JPH0713140A - 高分子分散型液晶光学素子 - Google Patents

高分子分散型液晶光学素子

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JPH0713140A
JPH0713140A JP15882193A JP15882193A JPH0713140A JP H0713140 A JPH0713140 A JP H0713140A JP 15882193 A JP15882193 A JP 15882193A JP 15882193 A JP15882193 A JP 15882193A JP H0713140 A JPH0713140 A JP H0713140A
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liquid crystal
polymer
dispersed liquid
optical element
precursor
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JP15882193A
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English (en)
Inventor
Shin Tabata
伸 田畑
Shuichi Kita
修市 喜多
Masaya Mizunuma
昌也 水沼
Hitoshi Koyama
均 小山
Akira Tamaya
晃 玉谷
Tatsuo Masumi
達生 増見
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Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Mitsubishi Electric Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 電圧−透過率曲線が急峻であり、しかも高時
分割駆動が可能な高分子分散型液晶光学素子を提供する
こと。 【構成】 液晶組成物および光重合性高分子マトリクス
前駆体からなる高分子分散型液晶前駆体を2枚の透明電
極を有する基板の間に挾持し、光を照射することによっ
てえられた高分子分散型液晶光学素子であって、液晶組
成物および光重合性高分子マトリクス前駆体に対して相
溶性を有する相溶化化合物を高分子分散型液晶前駆体中
に配合したことを特徴とする高分子分散型液晶光学素
子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高分子分散型液晶光学素
子に関する。さらに詳しくは、液晶プロジェクションテ
レビなどに好適に使用しうる高分子分散型液晶光学素子
に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶光学素子の表示モードは、つぎに示
す3種に大別することができる。
【0003】(イ)偏光板を2枚用いる複屈折モード (ロ)偏光板を1枚用いるゲスト−ホストモード (ハ)偏光板を用いない散乱モード 前記(イ)および(ロ)の表示モードは、偏光板を必要
とするため、光の利用効率が10〜20%と低く、現在
市場からの要求が高まっている液晶プロジェクションテ
レビにこれらの表示モードの液晶光学素子を用いたばあ
い、投影面上での輝度を高めるために光源の強度を高め
る必要があり、またこのとき、光吸収の発熱によって液
晶光学素子が劣化することが考えられる。したがって、
前記(イ)および(ロ)の表示モードにおいては、光の
利用効率の高い液晶光学素子が求められている。
【0004】前記(ハ)の散乱モードは、偏光板を用い
ない表示モードであるため、液晶光学素子での光のロス
がほとんどなく、100%に近い光の利用効率を達成す
ることができ、液晶プロジェクションテレビへの適用が
期待されている。
【0005】前記散乱モードは、さらにつぎの2種に分
類することができる。
【0006】(ニ)動的散乱モード (ホ)高分子分散モード 前記(ニ)動的散乱モードでは、整列配向した誘電率の
異方性が負(Δε<0)のネマチック液晶中にイオン流
を走行させることにより、多数のドメインを発生させ、
このドメイン間の強い複屈折性により、光の散乱を起こ
させるものである。この表示モードでは、液晶中にイオ
ン剤を配合させることが必要であり、該イオン剤によっ
て電極界面で電気化学反応が起こるので、表示素子が劣
化するという問題点があり、実用化の可能性が低いとい
える。
【0007】一方、(ホ)高分子分散モードは、高分子
分散型液晶と呼ばれ、現在もっとも有望視されている表
示モードである。
【0008】前記(ホ)高分子分散モードにおいては、
高分子分散型液晶光学素子は、図2(a)および(b)
に示されるように、2枚の透明電極1、1の間の高分子
マトリクス2中に小滴状の液晶組成物3が分散した構造
を有しており、電圧が印加されていないときには、図2
(a)に示されるように液晶分子4が小滴状の液晶組成
物3の内部で高分子マトリクス2との界面に沿った配向
をしている。電圧が印加されていない状態における液晶
組成物の小滴の屈折率と、高分子マトリクスの屈折率と
に充分に差があれば、入射光5は、図2(a)に示され
た散乱光6のように散乱する。一方、この高分子分散型
液晶光学素子に電圧を印加すれば、液晶の誘電率の異方
性が正(Δε>0)のばあい、図2(b)に示されるよ
うに液晶分子4は、高分子マトリクス2との界面の拘束
から離れ、透明電極1の面に対して垂直に配向する。高
分子マトリクスの屈折率と電圧が印加されている状態に
おける液晶組成物の小滴の屈折率とが近接していると
き、入射光5は、散乱することなく、図2(b)に示さ
れた透過光7のように透過する。このように、高分子分
散型液晶光学素子では、偏光板を用いることなく、散乱
状態と透過状態の間でON/OFFを行なうことができ
るので、非常に光の利用効率が高い表示を行なうことが
できる。
【0009】このような高分子分散型液晶光学素子にお
いて、光重合を用いた一般的な製法としては、光重合性
高分子マトリクス前駆体、光重合開始剤および液晶組成
物の均一溶液を電極付ガラスセルに注入して光を照射す
る方法がある。かかる方法によれば、光重合性高分子マ
トリクス前駆体が重合するので、液晶組成物が分離し、
小滴状に析出し、さらに重合が進行するとこの相分離構
造が固定化されて高分子分散型液晶光学素子がえられ
る。
【0010】このように高分子分散型液晶光学素子は、
重合反応にともなう相分離によってえられるものである
ので、高分子分散型液晶光学素子ではその全面で均一な
大きさの液晶組成物の小滴をうることが困難であり、一
般に、図3(b)に示されるように種々の大きさ、形状
の液晶組成物の小滴が混在した状態となる。なお、図3
(b)において、8はガラス基板、9はシール材であ
る。
【0011】液晶組成物の小滴の大きさ、形状は、電圧
を印加したときの液晶分子の電界に対する応答のしやす
さによって大きな影響を受けるため、種々の大きさ、形
状の液晶組成物の小滴が混在している従来の高分子分散
型液晶光学素子では、電気光学特性、すなわち液晶分子
の電界に対する応答特性にばらつきが生じるため、えら
れる高分子分散型液晶光学素子の電圧−透過率曲線は急
峻でなく、緩やかな曲線となってしまい、単純マトリク
スを用いた高時分割駆動を行なうことができないという
問題点がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術に鑑みてなされたものであり、電圧−透過率曲線が急
峻であり、しかも高時分割駆動が可能な高分子分散型液
晶光学素子を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、液
晶組成物および光重合性高分子マトリクス前駆体からな
る高分子分散型液晶前駆体を2枚の透明電極を有する基
板の間に挾持し、光を照射することによってえられた高
分子分散型液晶光学素子であって、液晶組成物および光
重合性高分子マトリクス前駆体に対して相溶性を有する
相溶化化合物を高分子分散型液晶前駆体中に配合したこ
とを特徴とする高分子分散型液晶光学素子に関する。
【0014】
【作用および実施例】本発明の高分子分散型液晶光学素
子は、前記したように、液晶組成物および光重合性高分
子マトリクス前駆体からなる高分子分散型液晶前駆体を
2枚の透明電極を有する基板の間に挾持し、光を照射す
ることによってえられた高分子分散型液晶光学素子であ
って、液晶組成物および光重合性高分子マトリクス前駆
体に対して相溶性を有する相溶化化合物を高分子分散型
液晶前駆体中に配合したことを特徴とするものである。
【0015】本発明においては、前記液晶組成物の構成
成分にはとくに限定がなく、一般に高分子分散型液晶光
学素子に用いられているものであればよい。
【0016】なお、後述する相溶化化合物との相溶性を
考慮すれば、液晶組成物を構成する液晶性化合物がたと
えば−OCH3基、−CN基などの極性基や
【0017】
【化2】 などの芳香環または環状構造を有する基を有することが
好ましい。かかる液晶性化合物の具体例としては、たと
えば4−シアノ−4’−n−ペンチルビフェニル、4−
シアノ−4’−n−ヘプトキシビフェニル、4−シアノ
−4’−n−ペンチル−p−ターフェニル、4−メトキ
シ−4’−n−ヘプチルビフェニルなどがあげられる。
【0018】前記液晶組成物の代表例としては、たとえ
ばメルク社製、E8、E7、BL009、BL015、
BL035、ロディック社製、PN001〜010など
があげられる。
【0019】前記光重合性高分子マトリクス前駆体は、
一般に光重合活性基を1つ有する単量体(以下、単官能
モノマーという)と2つ以上の光重合活性基を有する単
量体(以下、多官能モノマーという)または2つ以上の
光重合活性基を有するオリゴマー(以下、多官能オリゴ
マーという)との混合物である。
【0020】前記単官能モノマー、多官能モノマーおよ
び多官能オリゴマーは、アクリル基、メタクリル基、ア
リル基などの光重合活性基を有する化合物であれば、該
光重合活性基以外の部分の構造にはとくに限定がない。
【0021】前記単官能モノマーの具体例としては、た
とえばラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレー
ト、ステアリルアクリレート、ステアリルメタクリレー
ト、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、
シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリ
レート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチル
ヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリ
レート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、イソボ
ルニルアクリレート、イソボルニルメタクリレート、テ
トラヒドロフルフリルアクリレート、テトラヒドロフル
フリルメタクリレート、メトキシトリエチレングリコー
ルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールメタ
クリレート、テトラフロロプロピルアクリレート、テト
ラフロロプロピルメタクリレート、トリフロロエチルア
クリレート、トリフロロエチルメタクリレートなどがあ
げられる。
【0022】前記多官能モノマーの具体例としては、た
とえば1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4
−ブタンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコ
ールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリ
レート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオ
ペンチルグリコールジメタクリレート、ジメチロールト
リシクロペンタンジアクリレート、ヒドロキシピバリン
酸ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチ
レングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコ
ールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアク
リレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、
トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロ
ールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトー
ルテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメ
タクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレ
ートなどがあげられる。
【0023】前記多官能オリゴマーの具体例としては、
たとえば昭和高分子(株)製、リポキシSP−150
6、1507、1509などのエポキシアクリレート系
オリゴマー;根上工業(株)製、アートレジン3320
HA、3320HB、3320HC、東亜合成化学工業
(株)製、アロニックスM−1100、1200などの
ウレタンアクリレート系オリゴマーなどがあげられる。
【0024】前記光重合性高分子マトリクス前駆体に
は、通常光重合開始剤が含まれている。
【0025】前記光重合開始剤にはとくに限定がなく、
たとえばアセトフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾフェ
ノン系、チオキサントン系のいずれであってもよい。
【0026】前記光重合開始剤の具体例としては、たと
えば2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパ
ン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2
−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒ
ドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインイ
ソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、
ベンジルジメチルケタール、ベンゾイル安息香酸メチ
ル、2,4−ジエチルチオキサントンなどがあげられ
る。
【0027】前記光重合開始剤の光重合性高分子マトリ
クス前駆体への配合割合は、とくに限定がなく、通常該
光重合性高分子マトリクス前駆体に対して0.1〜5重
量%程度であればよい。
【0028】前記液晶組成物と光重合性高分子マトリク
ス前駆体との配合割合(液晶組成物/光重合性高分子マ
トリクス前駆体:重量比)は、通常30/70〜90/
10程度であればよい。
【0029】前記相溶化化合物は、図1(a)に示され
るように、前記光重合性高分子マトリクス前駆体に対し
て相溶性を有する部分14と液晶組成物に対して相溶性
を有する部分13とを有しており、高分子分散型液晶光
学素子中の液晶組成物の小滴径の分布を小さくするため
に用いられる化合物である。
【0030】前記相溶化化合物が液晶組成物および光重
合開始剤を含有する光重合性高分子マトリクス前駆体中
に配合されることによって、光を照射して光重合性高分
子マトリクス前駆体の重合を進行させ、それにともなっ
て液晶組成物を小滴状に析出、固定化させる際に、図1
(b)に示されるように、析出した液晶組成物3と高分
子マトリクス2との界面に相溶化化合物10が液晶組成
物3の小滴を取りまくように配列し、図3(a)に示さ
れるように液晶組成物の小滴の径の分布が小さくなり、
電圧−透過率曲線が急峻な高分子分散型液晶光学素子を
うることができる。このとき安定な液晶組成物の小滴の
径は、添加した相溶化化合物の量に依存すると考えられ
る。
【0031】前記相溶化化合物において、液晶組成物に
対して相溶性を有する部分としては、たとえば
【0032】
【化3】 などの1または2以上の芳香環または環状構造を有する
基にシアノ基、メトキシ基などの極性基が結合した基な
どがあげられる。なお、かかる液晶組成物に対して相溶
性を有する部分には、相溶性を向上せしめるために、液
晶組成物を構成する液晶性化合物の分子構造と同一の極
性基や芳香環または環状構造を有する基が含まれている
ことが好ましい。
【0033】前記光重合性高分子マトリクス前駆体に対
して相溶性を有する部分としては、たとえば炭素数1〜
20のアルキル基、(メタ)アクリル基などの光重合性
を有する基などがあげられるが、これらのなかでも光重
合性を有する基がとくに好ましい。
【0034】前記相溶化化合物の具体例としては、たと
えば4−シアノフェニル4−(デシルオキシ)ベンゾエ
ート、4−アクリロイルオキシ−4´−シアノビフェニ
ル、4−(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシルオキ
シ)−4´−メトキシビフェニル、
【0035】
【化4】 たとえば
【0036】
【化5】 などの一般式(I):
【0037】
【化6】 (式中、nは0〜20の整数を示す)で表わされる化合
物などがあげられる。
【0038】前記相溶化化合物のうち、1または2以上
の芳香環または環状構造を有する基と光重合活性基との
間に炭素数1〜20のアルキレン鎖がある化合物は、同
一分子内に液晶性化合物と類似した構造と光重合性高分
子マトリクス前駆体と類似した構造の両者を有している
点で好ましく、そのなかでもとくに、極性基と該極性基
に直結した1または2以上の芳香環または環状構造を有
する基とからなる側鎖と、光重合活性基との間に炭素数
1〜20のアルキレン鎖がある化合物が好ましい。
【0039】なお、本発明においては、相溶化化合物と
しては、一般式(I)で表わされるものがとくに好まし
い。
【0040】前記相溶化化合物の配合量は、目的とする
液晶組成物の小滴の径に依存するので、最適の配合量を
一義的に決定することができないが、高分子分散型液晶
光学素子が良好な電気光学特性を示す液晶組成物の小滴
の径、すなわち一般に0.5〜5μmをえ、かつ液晶組
成物の小滴の径の分布を小さくするためには、液晶組成
物に対して0.01〜5重量%であることが好ましく、
もっとも良好な電気光学特性を示す液晶組成物の小滴の
径(一般に1〜3μm)をえ、かつ液晶組成物の小滴の
径の分布を小さくするためには、液晶組成物に対して
0.1〜2重量%であることが好ましい。該配合量が液
晶組成物に対して0.01重量%未満であるばあいに
は、液晶組成物の小滴の径を均一にする効果がえられに
くく、また5重量%をこえるばあいには、液晶組成物の
小滴の径を均一にする効果がえられるものの、生成した
液晶組成物の小滴が非常に小さくなり、しきい値電圧が
高くなって高分子分散型液晶光学素子の電気光学特性が
低下する傾向がある。
【0041】前記基板としては、通常高分子分散型液晶
光学素子に用いられているものであればとくに限定がな
いが、その代表例としては、たとえばガラス基板などが
あげられる。
【0042】前記透明電極は、通常用いられているもの
であればとくに限定がなく、その代表的なものとして、
たとえばITOなどの光を透過する性質を有するものが
あげられる。
【0043】前記透明電極のうち、下側の基板上の電極
は、光を反射または吸収する性質を有するものであって
もよい。すなわち、下側の基板上の電極は、光反射膜ま
たは光吸収膜を兼ねていてもよい。
【0044】前記光反射膜を兼ねた電極としては、反射
率が50%以上のものが好ましく、さらには、光の利用
効率の点から反射率が70%以上のものが好ましい。ま
た、充分な電圧を印加する点から面抵抗値(1cm幅,
1cmの間の表面抵抗値)が1000Ω以下のものが好
ましい。
【0045】前記光吸収膜を兼ねた電極としては、可視
光の50%以上を吸収し、面抵抗値が1000Ω以下の
ものが好ましく、さらに、コントラスト向上の点から
は、吸収率が70%以上のものが好ましい。
【0046】なお、前記透明電極のうち、下側の基板上
の電極が光を反射または吸収する性質を有するばあい、
上側の基板上の電極は、光を透過する性質を有するもの
であることが好ましい。
【0047】なお、前記上側の基板とは、高分子分散型
液晶光学素子の2枚の基板のうちの入射光の側の基板を
いい、また下側の基板とは、透過光または散乱光の側の
基板をいう。
【0048】前記2枚の透明電極を有する基板の透明電
極は、ライン状にパターニングされていてもよい。
【0049】前記2枚の透明電極を有する基板のうち少
なくとも一方の基板において、ライン状にパターニング
された透明電極の数は表示素子として用いたときに充分
な表示容量をうる点から500本以上であることが好ま
しい。
【0050】前記高分子分散型液晶前駆体を挾持する2
枚の透明電極を有する基板は、前記透明電極のライン状
のパターンがたがいに直交するように設けられているこ
とが好ましい。
【0051】前記高分子分散型液晶前駆体に照射される
光の波長や照射時間などについてはとくに限定がなく、
通常の波長、照射時間であればよい。
【0052】なお、光を照射し、液晶組成物−光重合性
高分子マトリクス前駆体間の相分離開始直後に所定の光
の非照射時間を設けることにより析出した液晶組成物と
高分子マトリクスの界面に配列した相溶化化合物の配列
状態を安定化させ、そののち、一定光量に達するまでた
とえば紫外線などの光の再照射を行なうことによってさ
らに液晶組成物の小滴の径の分布を小さくすることがで
きる。
【0053】本発明においては、誘電体光反射膜が下側
の透明電極を有する基板のライン状の透明電極と高分子
分散型液晶前駆体との間または該透明電極と基板との間
に設けられていてもよい。
【0054】前記誘電体光反射膜としては、たとえばM
gF2、SiO2、TiO2、ZrO2などの多層膜などが
あげられる。
【0055】前記誘電体光反射膜全体の厚さは、通常
0.1〜1μm程度であることが好ましい。
【0056】前記誘電体光反射膜としては、可視光の5
0%以上を反射し、膜の比抵抗が109Ω・cm以上で
あるものが好ましく、さらに光の利用効率を向上させる
点からは、光の反射率が70%以上、電極間のクロスト
ークを防ぐ点からは、比抵抗が1010Ω・cm以上であ
るものが好ましい。
【0057】また、下側の透明電極を有する基板におい
て、ライン状の透明電極が設けられた面の反対面に、光
反射膜または光反射板が設けられていてもよい。
【0058】前記光反射膜および光反射板の材質にはと
くに限定がなく、その例としては、たとえばアルミニウ
ム、クロムなどがあげられる。
【0059】前記光反射膜および光反射板の厚さは、通
常それぞれ数100オングストローム程度であることが
好ましい。
【0060】前記光反射膜および光反射板は、光の反射
率が50%以上であるものが好ましく、さらに光の利用
効率を向上させるためには70%以上であるものが好ま
しい。
【0061】本発明においては、下側の透明電極を有す
る基板のライン状の透明電極と高分子分散型液晶前駆体
との間または該透明電極と基板との間に誘電体光吸収膜
が設けられていてもよい。
【0062】前記誘電体光吸収膜の材質にはとくに限定
がなく、その一例として、たとえばメルク社製、ブラッ
クAなどがあげられる。
【0063】前記誘電体光吸収膜の厚さは、通常50〜
500オングストローム程度であることが好ましい。
【0064】前記誘電体光吸収膜としては、可視光の5
0%以上を吸収し、膜の比抵抗が109Ω・cm以上の
ものが好ましく、さらにコントラストを向上させるため
には光の吸収率が70%以上、電極間のクロストークを
防ぐためには比抵抗が1010Ω・cm以上であるものが
好ましい。
【0065】また、本発明においては、下側の透明電極
を有する基板において、ライン状の透明電極が設けられ
ている面の反対面に、光吸収膜または光吸収板が設けら
れていてもよい。
【0066】前記光吸収膜および光吸収板の材質にはと
くに限定がなく、その一例として、たとえばメルク社
製、ブラックAなどがあげられる。
【0067】前記光吸収膜および光吸収板の厚さは、通
常それぞれ500〜5000オングストローム程度であ
ることが好ましい。
【0068】前記光吸収膜および光吸収板は、光の吸収
率が50%以上であるものが好ましく、コントラストの
点からは70%以上であるものが好ましい。
【0069】本発明の高分子分散型液晶光学素子は、電
圧を印加したときの液晶の応答の各液晶組成物の小滴間
でのばらつきが小さく、電圧−透過率曲線が急峻であ
り、単純マトリクスを用いて駆動したとき、高時分割駆
動が可能である。
【0070】つぎに本発明の高分子分散型液晶光学素子
を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は
これらの実施例に限定されるものではない。
【0071】[実施例1]2−エチルヘキシルアクリレ
ート(以下、2EHAという)とウレタンアクリレート
系オリゴマー(東亜合成化学工業(株)製、アロニック
スM−1200)とを、2EHA/アロニックスM−1
200が重量比で70/30となる割合で混合し、さら
に光重合開始剤(チバガイギー社製、イルガキュア65
1)を前記2EHAおよびアロニックスM−1200の
混合物に対して0.5重量%添加して光重合性高分子マ
トリクス前駆体をえた。えられた光重合性高分子マトリ
クス前駆体に相溶化化合物である4−シアノフェニル−
4−(デシルオキシ)ベンゾエートを光重合性高分子マ
トリクス前駆体に対して1重量%加え、さらにこの混合
物に液晶組成物(メルク社製、E8)を混合物/液晶組
成物が20/80となる比率で混合して高分子分散型液
晶前駆体をえた(液晶組成物に対する相溶化化合物の添
加量:0.25重量%)。
【0072】つぎに、この高分子分散型液晶前駆体をセ
ルギャップ約10μmの透明電極セル(基板:無アルカ
リガラス基板、透明電極:厚さ500オングストローム
のITO膜)に注入し、超高圧水銀灯を用いて365n
m付近にピークをもつ約400nm以下の紫外線(50
mW/cm2)を30秒間照射して高分子分散型液晶光
学素子をえた。
【0073】この高分子分散型液晶光学素子の印加電圧
と光の透過率との関係(電圧−透過率特性)を調べたと
ころ、図4に示されるように、透過率が飽和透過光量の
10%になる電圧(V10)は6.0V、90%となる
電圧(V90)は7.0Vであった。急峻度を(V90
/V10)と定義すると、急峻度は1.17であり、非
常に良好な電圧−透過率特性(しきい値特性)を有して
いることがわかった。
【0074】[実施例2]実施例1で用いられたものと
同様の高分子分散型液晶前駆体を実施例1で用いられた
ものと同様のセルギャップ約10μmの透明電極セルに
注入し、超高圧水銀灯を用いて365nm付近にピーク
をもつ約400nm以下の紫外線(50mW/cm2
を照射して高分子分散型液晶光学素子を作製する際に、
照射する総紫外線の光量の10%を照射したのちに1分
間の紫外線の非照射時間を設け、そののち、残りの90
%の紫外線を照射して高分子分散型液晶光学素子をえ
た。
【0075】えられた高分子分散型液晶光学素子の電圧
−透過率特性を調べたところ、図4に示されるようにV
10が6.0V、V90が6.5Vで急峻度は1.08
であり、非常に良好な電圧−透過率特性を有しているこ
とがわかった。
【0076】[比較例1]実施例1において、光重合性
高分子マトリクス前駆体に相溶化化合物を添加せずに該
光重合性高分子マトリクス前駆体を液晶分率が80重量
%となるように液晶組成物E8と混合し、実施例1と同
様にしてセルギャップ約10μmの透明電極セルに注入
後、紫外線を照射して高分子分散型液晶光学素子を作製
し、電圧−透過率特性を調べたところ、図4に示される
ようにV10は6.2V、V90は8.5Vとなり、急
峻度は1.37であり、電圧−透過率曲線が急峻な高分
子分散型液晶光学素子をうることができなかった。
【0077】[実施例3]ラウリルアクリレートとジメ
チロールトリシクロペンタンジアクリレート(日本化薬
(株)製、カヤラッドR684)とをラウリルアクリレ
ート/カヤラッドR684が重量比で70/30となる
割合で混合し、さらに光重合開始剤(チバガイギー社
製、イルガキュア651)を前記ラウリルアクリレート
とカヤラッドR684との混合物に対して1重量%添加
して光重合性高分子マトリクス前駆体をえた。えられた
光重合性高分子マトリクス前駆体に対して光重合性を有
する相溶化化合物である4−アクリロイルオキシ−4´
−シアノビフェニルを1重量%添加し、さらにこの混合
物に液晶組成物E8を混合物/液晶組成物が重量比で2
0/80となる比率で混合して高分子分散型液晶前駆体
をえた(液晶組成物に対する相溶化化合物の添加量:
0.25重量%)。
【0078】ついでこの高分子分散型液晶前駆体を実施
例1と同様にしてセルギャップ約10μmの透明電極セ
ルに注入後、紫外線を照射して高分子分散型液晶光学素
子を作製し、電圧−透過率特性を調べたところ、V10
は6.3V、V90は7.0Vであり、急峻度は1.1
1と良好であった。
【0079】[実施例4]実施例3で用いられたものと
同様の高分子分散型液晶前駆体を実施例1で用いられた
ものと同様のセルギャップ約10μmの透明電極セルに
注入後、実施例2と同じ紫外線の照射条件(紫外線の非
照射時間を有する)で超高圧水銀灯を用いて365nm
付近にピークをもつ約400nm以下の紫外線(50m
W/cm2)を照射して高分子分散型液晶光学素子をえ
た。
【0080】えられた高分子分散型液晶光学素子の電圧
−透過率特性を調べたところ、V10は6.2V、V9
0は6.6Vで急峻度は1.06であり、電圧−透過率
曲線が非常に急峻であった。
【0081】[実施例5]イソボルニルアクリレートと
ウレタンアクリレート系オリゴマー(アロニックスM−
1200)とをイソボルニルアクリレート/アロニック
スM−1200が重量比で70/30となる割合で混合
し、さらに光重合開始剤(チバガイギー社製、ダロキュ
ア1116)を 該イソボルニルアクリレートとアロニ
ックスM−1200との混合物に対して0.5重量%添
加して光重合性高分子マトリクス前駆体をえた。えられ
た光重合性高分子マトリクス前駆体に、光重合性を有
し、光重合性基と芳香環との間にアルキレン鎖を有する
相溶化化合物4−(6−(アクリロイルオキシ)ヘキシ
ルオキシ)−4´−メトキシビフェニルを光重合性高分
子マトリクス前駆体に対して1重量%添加し、さらにこ
の混合物と液晶組成物E8とを混合物/液晶組成物が重
量比で20/80となるように混合して高分子分散型液
晶前駆体をえた(液晶組成物に対する相溶化化合物の添
加量:0.25重量%)。
【0082】ついでこの高分子分散型液晶前駆体を実施
例1と同様にしてセルギャップ約10μmの透明電極セ
ルに注入後、紫外線を照射して高分子分散型液晶光学素
子を作製し、電圧−透過率特性を調べたところ、V10
は6.0V、V90は7.2Vであり、急峻度は1.2
0と良好であった。
【0083】[実施例6]実施例5で用いられたものと
同様の光重合性高分子マトリクス前駆体に実施例5で用
いられたものと同様の相溶化化合物を、光重合性高分子
マトリクス前駆体に対して25重量%添加し、ついでこ
の混合物と液晶組成物E8とを混合物/液晶組成物が重
量比で20/80となるように混合して高分子分散型液
晶前駆体をえた(液晶組成物に対する相溶化化合物の添
加量:6.25重量%)。この高分子分散型液晶前駆体
を実施例1と同様にしてセルギャップ約10μmの透明
電極セルに注入し、紫外線を照射して高分子分散型液晶
光学素子を作製し、電圧−透過率特性を調べたところ、
V10は15.0V、V90は16.7Vであり、急峻
度は1.11と、電圧−透過率曲線が比較的急峻であっ
た。
【0084】[実施例7]実施例1で用いられたものと
同様の光重合性高分子マトリクス前駆体に、光重合性を
有し、用いる液晶組成物の構成化合物の一つと同一の極
性基および芳香環構造を有する側鎖と光重合活性基との
間にアルキレン鎖を有する式:
【0085】
【化7】 で表わされる相溶化化合物を光重合性高分子マトリクス
前駆体に対して1重量%添加し、この混合物とフェニル
シクロヘキサン骨格を有する液晶性化合物を構成成分の
一つとする液晶組成物(TNI:91℃、Δn:0.20
5、Δε:13.2)とを、前記混合物/液晶組成物が
重量比で20/80となるように混合し、高分子分散型
液晶前駆体をえた(液晶組成物に対する相溶化化合物の
添加量:0.25重量%)。
【0086】ついでこの高分子分散型液晶前駆体を実施
例1で用いられたものと同様のセルギャップ約10μm
の透明電極セルに注入し、実施例2と同じ照射条件で紫
外線を照射して高分子分散型液晶光学素子を作製し、電
圧−透過率特性を調べたところ、V10は6.5V、V
90は6.9Vであり、急峻度は1.06と良好であっ
た。
【0087】[実施例8]実施例5で用いられたものと
同様の光重合性高分子マトリクス前駆体に、式:
【0088】
【化8】 で表わされる相溶化化合物を光重合性高分子マトリクス
前駆体に対して1重量%添加し、この混合物と液晶組成
物E8とを該混合物/液晶組成物が重量比で20/80
となるように混合して高分子分散型液晶前駆体をえた
(液晶組成物に対する相溶化化合物の添加量:0.25
重量%)。
【0089】この高分子分散型液晶前駆体を実施例1で
用いられたものと同様のセルギャップ約10μmの透明
電極セルに注入し、実施例2と同じ照射条件で紫外線を
照射して高分子分散型液晶光学素子を作製し、電圧−透
過率特性を調べたところ、V10は7.1V、V90は
7.6Vであり、急峻度は1.07と良好であった。
【0090】[実施例9]実施例5で用いられたものと
同様の光重合性高分子マトリクス前駆体に、式:
【0091】
【化9】 で表わされる相溶化化合物を光重合性高分子マトリクス
前駆体に対して1重量%添加し、この混合物と液晶組成
物E8とを該混合物/液晶組成物が重量比で20/80
となるように混合して高分子分散型液晶前駆体をえた
(液晶組成物に対する相溶化化合物の添加量:0.25
重量%)。
【0092】ついでこの高分子分散型液晶前駆体を画素
数100×100、セルギャップ約10μmの単純マト
リクスセル(ライン状透明電極:厚さ800オングスト
ロームのITO膜、基板:無アルカリガラス基板)に注
入し、実施例2と同じ照射条件で紫外線を照射して高分
子分散型液晶光学素子を作製し、電圧−透過率特性を調
べたところ、V10は6.7V、V90は7.2Vであ
り、急峻度は1.07であった。
【0093】この単純マトリクスセルを、いわゆる最適
バイアス法により駆動させたばあい、走査時の走査電極
にはN1/2V(V)、非走査時の走査電極にはV
(V)、表示時の信号電極には−V(V)、非表示時の
信号電極にはV(V)が印加されることになる。ただし
Nは走査電極の数を示している。
【0094】このとき液晶に印加される電圧の選択時と
非選択時の比率(電圧比)は((N1/2+1)/(N1/2
−1))1/2で表わされ、Nが100のとき電圧比は
1.11となる。したがって本実施例の高分子分散型液
晶光学素子を、走査ライン数100本の単純マトリクス
セルを用いて駆動させることができることがわかる。
【0095】実際に本実施例の画素数100×100の
単純マトリクスセルを用いた高分子分散型液晶光学素子
を駆動させたところ、高コントラストで良好な表示をう
ることができた。
【0096】[比較例2]相溶化化合物を添加しなかっ
たほかは実施例9と同様にして高分子分散型液晶光学素
子を作製し、電圧−透過率特性を調べたところ、V10
は7.5V、V90は10.5となり急峻度は1.40
であった。また、コントラストが低く良好な表示をうる
ことができなかった。
【0097】[実施例10]実施例1で用いられたもの
と同様の光重合性高分子マトリクス前駆体に、式:
【0098】
【化10】 で表わされる相溶化化合物を光重合性高分子マトリクス
前駆体に対して1重量%添加し、この混合物と液晶組成
物E8とを該混合物/液晶組成物が重量比で20/80
となるように混合して高分子分散型液晶前駆体をえた
(液晶組成物に対する相溶化化合物の添加量:0.25
重量%)。
【0099】ついでこの高分子分散型液晶前駆体を実施
例2で用いられたものと同様のセルギャップ約10μm
の透明電極セルに注入し、実施例2と同じ照射条件で紫
外線を照射して高分子分散型液晶光学素子を作製し、電
圧−透過率特性を調べたところ、V10は7.5V、V
90は7.9Vであり、急峻度は1.05と良好であっ
た。
【0100】なお、前記透明電極セルのかわりに、セル
ギャップ10μm、画素数500×500の単純マトリ
クスセル(ライン状透明電極:厚さ800オングストロ
ームのITO膜、基板:無アルカリガラス基板)を用い
て駆動させたばあい、いわゆる最適バイアス法を用いて
時分割駆動したとき、液晶に印加される電圧の選択時と
非選択時の比率は1.05であり、高コントラストで良
好な表示がえられた。
【0101】[実施例11]ガラス基板上に誘電体光反
射膜を3000オングストロームの厚さに成膜し、その
上にITOからなる100本の厚さ800オングストロ
ームのライン状の透明電極を作製した。この透明電極付
基板と、あらかじめ前記と同様にして100本のライン
状の透明電極が設けられたガラス基板とを該2枚の基板
のライン状の透明電極が直交するようにして、セルギャ
ップ約8μmの液晶セルを作製した。
【0102】ついでこの液晶セルに実施例8で用いられ
たものと同様の高分子分散型液晶前駆体を注入し、誘電
体光反射膜が設けられていないガラス基板から実施例2
と同じ照射条件で紫外線を照射して図5に示されるよう
な高分子分散型液晶光学素子を作製した。なお、図5に
おいて、11は誘電体光反射膜である。
【0103】えられた画素数100×100の反射型高
分子分散型液晶光学素子を最適バイアス法を用いて時分
割駆動したところ、しきい値特性が急峻であるため高時
分割駆動が可能であり、また反射型であるので散乱特性
にすぐれた高コントラストの高分子分散型液晶光学素子
であることがわかった。
【0104】[実施例12]一方のガラス基板の外面に
光反射膜として厚さ1000オングストロームのアルミ
ニウム膜を有する、画素数100×100の反射型単純
マトリクスセル(ライン状の透明電極:厚さ800オン
グストロームのITO膜、セルギャップ約8μm)を作
製した。
【0105】このセルに実施例7で用いられたものと同
様の高分子分散型液晶前駆体を注入し、光反射膜のない
ガラス基板方向から実施例2と同じ照射条件で紫外線を
照射して図6に示されるような高分子分散型液晶光学素
子を作製した。なお、図6において12は光反射膜であ
る。
【0106】えられた高分子分散型液晶光学素子を最適
バイアス法を用いて時分割駆動させたところ、しきい値
特性が急峻であるため高時分割駆動が可能であり、また
反射型であるので散乱特性にすぐれた高コントラストの
高分子分散型液晶光学素子であることが確認された。
【0107】[実施例13]上側の無アルカリガラス製
基板のライン状電極が厚さ800オングストロームのI
TO膜、下側の無アルカリガラス製基板の電極が厚さ5
00オングストロームのアルミニウム膜である、セルギ
ャップ8μm、画素数100×100の反射型単純マト
リクスセルを作製した。
【0108】このセルに実施例8で用いられたものと同
様の高分子分散型液晶前駆体を注入し、上側の基板方向
から実施例2と同じ照射条件で紫外線を照射して高分子
分散型液晶光学素子を作製した。
【0109】えられた高分子分散型液晶光学素子を最適
バイアス法を用いて時分割駆動したところ、しきい値特
性が急峻であるため高時分割駆動が可能であり、また光
反射型であるので散乱特性にすぐれた高コントラストの
高分子分散型液晶光学素子であることが確認された。ま
たこの高分子分散型液晶光学素子は下側の基板の電極が
反射膜を兼ねているので、素子の作製工程を簡略化する
ことができた。
【0110】[実施例14]ITOからなる100本の
ライン状透明電極を有するガラス基板上に厚さ1000
オングストロームの誘電体光吸収膜(メルク社製、ブラ
ックA)を成膜した。このガラス基板と、あらかじめI
TOからなる100本のライン状透明電極が設けられた
ガラス基板とを、2枚の基板上のライン状透明電極が直
交するようにして、セルギャップ10μmの液晶セルを
作製した。
【0111】ついでこの液晶セルに実施例8で用いられ
たものと同様の高分子分散型液晶前駆体を注入し、誘電
体光吸収膜が設けられていないガラス基板の側から実施
例2と同じ照射条件で紫外線を照射して高分子分散型液
晶光学素子を作製した。
【0112】えられた高分子分散型液晶光学素子を最適
バイアス法を用いて時分割駆動したところ、しきい値特
性が急峻であるため高時分割駆動が可能であり、また光
吸収型であるのでコントラストの高い高分子分散型液晶
光学素子であることが確認された。
【0113】[実施例15]一方のガラス基板の外面に
厚さ3000オングストロームの光吸収膜(メルク社
製、ブラックA)を有する画素数100×100の光吸
収型単純マトリクスセル(透明電極:厚さ800オング
ストロームのITO膜、セルギャップ10μm)を作製
した。
【0114】このセルに実施例7で用いられたものと同
様の高分子分散型液晶前駆体を注入し、光吸収膜のない
ガラス基板方向から実施例2と同じ照射条件で紫外線を
照射して高分子分散型液晶光学素子を作製した。
【0115】えられた高分子分散型液晶光学素子を最適
バイアス法を用いて時分割駆動したところ、しきい値特
性が急峻であるため高時分割駆動が可能であり、また光
吸収型であるのでコントラストの高い高分子分散型液晶
光学素子であることが確認された。
【0116】[実施例16]上側の無アルカリガラス製
基板上のライン状電極が厚さ800オングストロームの
ITO膜、下側の無アルカリガラス製基板上の電極が、
厚さ1000オングストロームのクロム膜上に反射防止
膜として厚さ300オングストロームのフッ化マグネシ
ウム(MgF2)膜を成膜した2層膜である、画素数1
00×100のセルギャップ10μmの光吸収型単純マ
トリクスセルを作製した。
【0117】このセルに実施例7で用いられたものと同
様の高分子分散型液晶前駆体を注入し、上側の基板方向
から実施例2と同じ照射条件で紫外線を照射して高分子
分散型液晶光学素子を作製した。
【0118】えられた高分子分散型液晶光学素子を最適
バイアス法を用いて時分割駆動したところ、しきい値特
性が急峻であるため高時分割駆動が可能であり、また高
コントラストであることが確認された。またこの高分子
分散型液晶光学素子は下側の基板の電極が光吸収膜を兼
ねているので、素子の作製工程を簡略化することができ
た。
【0119】
【発明の効果】本発明の高分子分散型液晶光学素子は、
光重合性高分子マトリクス前駆体中に相溶化化合物が配
合されてなるものであるので、液晶組成物の小滴の径の
分布が小さく、電圧−透過率特性(しきい値特性)が急
峻であり、高時分割駆動を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明で用いられる相溶化化合物の構
造を示す説明図、(b)は本発明の高分子分散型液晶光
学素子の製造時における相溶化化合物の液晶組成物の小
滴の界面への配列の状態の説明図である。
【図2】一般に用いられている高分子分散型液晶光学素
子の駆動原理を示す概略説明図であり、(a)は散乱状
態、(b)は透過状態を示す。
【図3】高分子分散型液晶光学素子中における液晶組成
物の小滴の状態を示す概略説明図であり、(a)は本発
明の高分子分散型液晶光学素子、(b)は従来の高分子
分散型液晶光学素子を示す。
【図4】本発明の実施例1〜2および比較例1でえられ
た高分子分散型液晶光学素子における印加電圧と光の透
過率との関係を示すグラフである。
【図5】本発明の実施例11でえられた高分子分散型液
晶光学素子を示す概略説明図である。
【図6】本発明の実施例12でえられた高分子分散型液
晶光学素子を示す概略説明図である。
【符号の説明】
1 透明電極 3 液晶組成物 10 相溶化化合物
フロントページの続き (72)発明者 小山 均 兵庫県尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三 菱電機株式会社材料デバイス研究所内 (72)発明者 玉谷 晃 兵庫県尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三 菱電機株式会社材料デバイス研究所内 (72)発明者 増見 達生 兵庫県尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三 菱電機株式会社材料デバイス研究所内

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液晶組成物および光重合性高分子マトリ
    クス前駆体からなる高分子分散型液晶前駆体を2枚の透
    明電極を有する基板の間に挾持し、光を照射することに
    よってえられた高分子分散型液晶光学素子であって、液
    晶組成物および光重合性高分子マトリクス前駆体に対し
    て相溶性を有する相溶化化合物を高分子分散型液晶前駆
    体中に配合したことを特徴とする高分子分散型液晶光学
    素子。
  2. 【請求項2】 相溶化化合物が光重合性高分子マトリク
    ス前駆体に対して相溶性を有する部分を有し、該部分が
    光重合性を有するものである請求項1記載の高分子分散
    型液晶光学素子。
  3. 【請求項3】 相溶化化合物が1または2以上の芳香環
    または環状構造を有する基、光重合活性基および炭素数
    が1〜20のアルキレン鎖からなり、該アルキレン鎖が
    芳香環または環状構造を有する基と光重合活性基との間
    に位置した構造を有するものである請求項1または2記
    載の高分子分散型液晶光学素子。
  4. 【請求項4】 相溶化化合物が極性基と該極性基に直結
    した1または2以上の芳香環または環状構造を有する基
    とからなる側鎖、炭素数が1〜20のアルキレン鎖およ
    び光重合活性基からなり、該極性基と芳香環または環状
    構造を有する基とからなる側鎖が液晶組成物の構成化合
    物の1つと同一の極性基および芳香環または環状構造を
    有する基を有し、前記アルキレン鎖が該極性基と芳香環
    または環状構造を有する基とからなる側鎖と、光重合活
    性基との間に位置した構造を有するものである請求項1
    または2記載の高分子分散型液晶光学素子。
  5. 【請求項5】 相溶化化合物が一般式(I): 【化1】 (式中、nは0〜20の整数を示す)で表わされる化合
    物である請求項1または2記載の高分子分散型液晶光学
    素子。
  6. 【請求項6】 ライン状にパターニングされた2枚の透
    明電極を有する基板が高分子分散型液晶前駆体を介して
    該透明電極のライン状のパターンがたがいに直交するよ
    うに設けられた請求項1、2、3、4または5記載の高
    分子分散型液晶光学素子。
  7. 【請求項7】 2枚の透明電極を有する基板の少なくと
    も一方がライン状の透明電極を500本以上有する基板
    である請求項6記載の高分子分散型液晶光学素子。
  8. 【請求項8】 下側の透明電極を有する基板のライン状
    の透明電極と高分子分散型液晶前駆体との間または透明
    電極と基板との間に誘電体光反射膜を有する請求項6ま
    たは7記載の高分子分散型液晶光学素子。
  9. 【請求項9】 下側の透明電極を有する基板のライン状
    の透明電極が設けられた面の反対面に光反射膜または光
    反射板を有する請求項6または7記載の高分子分散型液
    晶光学素子。
  10. 【請求項10】 上側の基板上の電極が光を透過する性
    質を有し、下側の基板上の電極が光を反射または吸収す
    る性質を有するものである請求項6または7記載の高分
    子分散型液晶光学素子。
  11. 【請求項11】 下側の透明電極を有する基板のライン
    状の透明電極と高分子分散型液晶前駆体との間または透
    明電極と基板との間に誘電体光吸収膜を有する請求項6
    または7記載の高分子分散型液晶光学素子。
  12. 【請求項12】 下側の透明電極を有する基板のライン
    状の透明電極が設けられた面の反対面に光吸収膜または
    光吸収板を有する請求項6または7記載の高分子分散型
    液晶光学素子。
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