JPH07127658A - 湿式摩擦部材 - Google Patents
湿式摩擦部材Info
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- JPH07127658A JPH07127658A JP5273751A JP27375193A JPH07127658A JP H07127658 A JPH07127658 A JP H07127658A JP 5273751 A JP5273751 A JP 5273751A JP 27375193 A JP27375193 A JP 27375193A JP H07127658 A JPH07127658 A JP H07127658A
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- Japan
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- friction
- wet
- clutch
- lock
- wet type
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Classifications
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16H—GEARING
- F16H45/00—Combinations of fluid gearings for conveying rotary motion with couplings or clutches
- F16H45/02—Combinations of fluid gearings for conveying rotary motion with couplings or clutches with mechanical clutches for bridging a fluid gearing of the hydrokinetic type
- F16H2045/0273—Combinations of fluid gearings for conveying rotary motion with couplings or clutches with mechanical clutches for bridging a fluid gearing of the hydrokinetic type characterised by the type of the friction surface of the lock-up clutch
- F16H2045/0284—Multiple disk type lock-up clutch
-
- F—MECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
- F16—ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
- F16H—GEARING
- F16H45/00—Combinations of fluid gearings for conveying rotary motion with couplings or clutches
- F16H45/02—Combinations of fluid gearings for conveying rotary motion with couplings or clutches with mechanical clutches for bridging a fluid gearing of the hydrokinetic type
- F16H2045/0273—Combinations of fluid gearings for conveying rotary motion with couplings or clutches with mechanical clutches for bridging a fluid gearing of the hydrokinetic type characterised by the type of the friction surface of the lock-up clutch
- F16H2045/0294—Single disk type lock-up clutch, i.e. using a single disc engaged between friction members
Landscapes
- Mechanical Operated Clutches (AREA)
- Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)
- Braking Arrangements (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 自動変速機の多板クラッチなどに用いた場合
には、変速ショックを小さくでき、ロックアップクラッ
チに用いた場合には、スリップ制御時におけるロックア
ップジャダーの発生を防ぐことが可能である湿式摩擦部
材を提供する。 【構成】 湿式摩擦材2を設けた摩擦板3と、摩擦相手
板4を備え、摩擦板3に設けた湿式摩擦材2と摩擦相手
板4とが圧接する湿式クラッチ1において、湿式摩擦材
2と圧接する摩擦相手板4を鉄系焼結合金により形成す
ると共に、鉄系焼結合金よりなる摩擦相手板4の湿式摩
擦材2との圧接面を少なくとも面積率5%の気孔を残し
た研削仕上げ面4aとした。
には、変速ショックを小さくでき、ロックアップクラッ
チに用いた場合には、スリップ制御時におけるロックア
ップジャダーの発生を防ぐことが可能である湿式摩擦部
材を提供する。 【構成】 湿式摩擦材2を設けた摩擦板3と、摩擦相手
板4を備え、摩擦板3に設けた湿式摩擦材2と摩擦相手
板4とが圧接する湿式クラッチ1において、湿式摩擦材
2と圧接する摩擦相手板4を鉄系焼結合金により形成す
ると共に、鉄系焼結合金よりなる摩擦相手板4の湿式摩
擦材2との圧接面を少なくとも面積率5%の気孔を残し
た研削仕上げ面4aとした。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、自動変速機における
湿式クラッチ,湿式ブレーキ,ロックアップクラッチな
どの構成部材として利用される湿式摩擦部材に関するも
のである。
湿式クラッチ,湿式ブレーキ,ロックアップクラッチな
どの構成部材として利用される湿式摩擦部材に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】一般に、車両に搭載される自動変速機に
は、例えば、新自動車工学便覧(昭和62年6月:社団
法人 自動車技術会発行)第5編、第1−22頁〜24
頁に開示されたものがあり、この自動変速機では、多板
クラッチ,多板ブレーキ,バンドブレーキなどといった
湿式摩擦材を具備した湿式摩擦部材を用い、遊星歯車列
の入力要素を締結,遮断すると共に、反力要素を固定,
解放することにより、変速を行っている。
は、例えば、新自動車工学便覧(昭和62年6月:社団
法人 自動車技術会発行)第5編、第1−22頁〜24
頁に開示されたものがあり、この自動変速機では、多板
クラッチ,多板ブレーキ,バンドブレーキなどといった
湿式摩擦材を具備した湿式摩擦部材を用い、遊星歯車列
の入力要素を締結,遮断すると共に、反力要素を固定,
解放することにより、変速を行っている。
【0003】前記湿式摩擦部材は、上記湿式摩擦材を設
けた一方の摩擦部材と、他方の摩擦相手部材を備えてお
り、湿式摩擦材には、充填材を充填したペーパーにレジ
ンを含浸させたいわゆるペーパー系摩擦材と呼ばれるも
のが用いられている。
けた一方の摩擦部材と、他方の摩擦相手部材を備えてお
り、湿式摩擦材には、充填材を充填したペーパーにレジ
ンを含浸させたいわゆるペーパー系摩擦材と呼ばれるも
のが用いられている。
【0004】そして、この湿式摩擦材と圧接する摩擦相
手部材には、冷延鋼や機械構造用炭素鋼などが用いられ
ており、この摩擦相手部材は、ピストンなどから押圧力
を受けて摩擦部材の湿式摩擦材と圧接することにより相
互にトルクを伝達し合う機能と、前記圧接により生じた
熱を圧接中一時的に吸収したのち冷却油などに放熱して
摩擦面の温度を所定値以下に保持する機能を有してい
る。
手部材には、冷延鋼や機械構造用炭素鋼などが用いられ
ており、この摩擦相手部材は、ピストンなどから押圧力
を受けて摩擦部材の湿式摩擦材と圧接することにより相
互にトルクを伝達し合う機能と、前記圧接により生じた
熱を圧接中一時的に吸収したのち冷却油などに放熱して
摩擦面の温度を所定値以下に保持する機能を有してい
る。
【0005】この場合、摩擦相手部材によるトルクの伝
達に際しては、例えば、”潤滑”第22巻、第10号、
第628頁〜第631頁に開示されているように、自動
変速機の変速クラッチあるいは変速ブレーキにおける変
速ショック、すなわち、湿式摩擦材と摩擦相手部材との
圧接時の衝撃を小さくすることが望まれている。
達に際しては、例えば、”潤滑”第22巻、第10号、
第628頁〜第631頁に開示されているように、自動
変速機の変速クラッチあるいは変速ブレーキにおける変
速ショック、すなわち、湿式摩擦材と摩擦相手部材との
圧接時の衝撃を小さくすることが望まれている。
【0006】つまり、湿式摩擦部材には、一方の摩擦部
材と他方の摩擦相手部材との相対速度の増加に伴って両
者間の摩擦係数が増大するような特性を有することが要
求されている。
材と他方の摩擦相手部材との相対速度の増加に伴って両
者間の摩擦係数が増大するような特性を有することが要
求されている。
【0007】また、車両に搭載される自動変速機は、一
般にエンジンの回転がトルクコンバータを介して入力さ
れるようになっており、このトルクコンバータには、例
えば、新自動車工学便覧(昭和62年6月:社団法人
自動車技術会発行)第5編、第1−18頁、図1−44
に開示されているように、エンジンと出力軸とを直結す
るためのロックアップクラッチ(直結クラッチ)が設け
られるものがある。
般にエンジンの回転がトルクコンバータを介して入力さ
れるようになっており、このトルクコンバータには、例
えば、新自動車工学便覧(昭和62年6月:社団法人
自動車技術会発行)第5編、第1−18頁、図1−44
に開示されているように、エンジンと出力軸とを直結す
るためのロックアップクラッチ(直結クラッチ)が設け
られるものがある。
【0008】このようなロックアップクラッチは、上記
出力軸と一体に回転されるロックアップピストンを備
え、このロックアップピストンが、エンジンと一体に回
転するコンバータカバーの内面に圧接するようになすこ
とにより、コンバータカバーのエンジン回転をロックア
ップピストンを介して直接出力軸に伝達する構造となっ
ている。
出力軸と一体に回転されるロックアップピストンを備
え、このロックアップピストンが、エンジンと一体に回
転するコンバータカバーの内面に圧接するようになすこ
とにより、コンバータカバーのエンジン回転をロックア
ップピストンを介して直接出力軸に伝達する構造となっ
ている。
【0009】この場合、コンバータカバー内はトルク伝
達媒体として自動変速機の作動油で満されており、ロッ
クアップクラッチは、この作動油に浸漬された状態で用
いられるため、湿式摩擦部材として構成される。
達媒体として自動変速機の作動油で満されており、ロッ
クアップクラッチは、この作動油に浸漬された状態で用
いられるため、湿式摩擦部材として構成される。
【0010】すなわち、このロックアップクラッチにお
いて、ロックアップピストンに設けられる湿式摩擦材に
は、ペーパーにレジンを含浸させたいわゆるペーパー系
湿式摩擦材が用いられ、この湿式摩擦材がコンバータカ
バーの内面、すなわち、摩擦相手部材に圧接するように
なっている。
いて、ロックアップピストンに設けられる湿式摩擦材に
は、ペーパーにレジンを含浸させたいわゆるペーパー系
湿式摩擦材が用いられ、この湿式摩擦材がコンバータカ
バーの内面、すなわち、摩擦相手部材に圧接するように
なっている。
【0011】また、この湿式摩擦材と圧接するコンバー
タカバーとしての摩擦相手部材には、通常、熱延鋼や冷
延鋼あるいは機械構造用炭素鋼などが用いられ、この摩
擦相手部材は、上記した多板クラッチ,多板ブレーキ,
バンドブレーキなどといった湿式摩擦部材の摩擦相手部
材と同様に、湿式摩擦材と圧接することにより相互にト
ルクを伝達し合う機能と、摩擦面の温度を所定値以下に
保持する機能を有している。
タカバーとしての摩擦相手部材には、通常、熱延鋼や冷
延鋼あるいは機械構造用炭素鋼などが用いられ、この摩
擦相手部材は、上記した多板クラッチ,多板ブレーキ,
バンドブレーキなどといった湿式摩擦部材の摩擦相手部
材と同様に、湿式摩擦材と圧接することにより相互にト
ルクを伝達し合う機能と、摩擦面の温度を所定値以下に
保持する機能を有している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記した湿
式摩擦部材において、自動変速機の多板クラッチ,多板
ブレーキ,バンドブレーキなどに用いられる湿式摩擦部
材の場合、摩擦相手部材に、冷延鋼や機械構造用炭素鋼
などが用いられている関係上、一方の摩擦部材と他方の
摩擦相手部材との相対速度が大きい領域では流体潤滑成
分の影響が大きいため両者間の摩擦係数が小さく、境界
潤滑成分の影響が支配的となる。したがって、相対速度
が大きくなると両者間の摩擦係数が小さくなるという特
性が現れてしまう、すなわち、摩擦係数の相対速度に対
する負の勾配が現れてしまうことから、両部材の圧接時
には、時間の経過とともに相対速度が減少するのに伴っ
て摩擦係数が増大して、変速ショックが大きいものとな
ってしまうという問題があった。
式摩擦部材において、自動変速機の多板クラッチ,多板
ブレーキ,バンドブレーキなどに用いられる湿式摩擦部
材の場合、摩擦相手部材に、冷延鋼や機械構造用炭素鋼
などが用いられている関係上、一方の摩擦部材と他方の
摩擦相手部材との相対速度が大きい領域では流体潤滑成
分の影響が大きいため両者間の摩擦係数が小さく、境界
潤滑成分の影響が支配的となる。したがって、相対速度
が大きくなると両者間の摩擦係数が小さくなるという特
性が現れてしまう、すなわち、摩擦係数の相対速度に対
する負の勾配が現れてしまうことから、両部材の圧接時
には、時間の経過とともに相対速度が減少するのに伴っ
て摩擦係数が増大して、変速ショックが大きいものとな
ってしまうという問題があった。
【0013】また、自動変速機のロックアップクラッチ
に用いられる湿式摩擦部材の場合、摩擦相手部材には、
上記したように、熱延鋼や冷延鋼あるいは機械構造用炭
素鋼などが用いられていることから、ロックアップクラ
ッチをスリップ制御する際には、ロックアップピストン
側の湿式摩擦材とコンバータカバーとしての摩擦相手部
材との滑りにより摩擦熱が発生するが、この摩擦熱はコ
ンバータカバーの周方向に均等に分布しないので、局部
的に高温部が生じることとなる。そして、この高温部に
おいて摩擦相手部材の圧接面に油膜切れが起きて、湿式
摩擦材と摩擦相手部材との相対速度の増加に伴って両者
間の摩擦係数が減少するという特性が顕著になり、すな
わち、摩擦係数の相対速度に対する負勾配が顕著になる
ことから、ロックアップジャダー(回転方向の振動)が
発生してしまうという問題を有しており、これらの問題
を解決することが従来の課題となっていた。
に用いられる湿式摩擦部材の場合、摩擦相手部材には、
上記したように、熱延鋼や冷延鋼あるいは機械構造用炭
素鋼などが用いられていることから、ロックアップクラ
ッチをスリップ制御する際には、ロックアップピストン
側の湿式摩擦材とコンバータカバーとしての摩擦相手部
材との滑りにより摩擦熱が発生するが、この摩擦熱はコ
ンバータカバーの周方向に均等に分布しないので、局部
的に高温部が生じることとなる。そして、この高温部に
おいて摩擦相手部材の圧接面に油膜切れが起きて、湿式
摩擦材と摩擦相手部材との相対速度の増加に伴って両者
間の摩擦係数が減少するという特性が顕著になり、すな
わち、摩擦係数の相対速度に対する負勾配が顕著になる
ことから、ロックアップジャダー(回転方向の振動)が
発生してしまうという問題を有しており、これらの問題
を解決することが従来の課題となっていた。
【0014】
【発明の目的】この発明は、上記した従来の課題に着目
してなされたもので、一方の摩擦部材と他方の摩擦相手
部材との相対速度の増加に伴って両者間の摩擦係数が増
大するような特性、すなわち、μ−v特性が正勾配をな
し、自動変速機の多板クラッチ,多板ブレーキ,バンド
ブレーキなどに用いた場合には、変速ショックを小さく
抑えることができ、また、自動変速機のロックアップク
ラッチに用いた場合には、スリップ制御時におけるロッ
クアップジャダーの発生を防止することが可能である湿
式摩擦部材を提供することを目的としている。
してなされたもので、一方の摩擦部材と他方の摩擦相手
部材との相対速度の増加に伴って両者間の摩擦係数が増
大するような特性、すなわち、μ−v特性が正勾配をな
し、自動変速機の多板クラッチ,多板ブレーキ,バンド
ブレーキなどに用いた場合には、変速ショックを小さく
抑えることができ、また、自動変速機のロックアップク
ラッチに用いた場合には、スリップ制御時におけるロッ
クアップジャダーの発生を防止することが可能である湿
式摩擦部材を提供することを目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】この発明に係わる湿式摩
擦材を設けた一方の摩擦部材と、他方の摩擦相手部材を
備え、前記一方の摩擦部材に設けた湿式摩擦材と前記他
方の摩擦相手部材とが圧接する湿式摩擦部材において、
前記湿式摩擦材と圧接する他方の摩擦相手部材を焼結合
金により形成すると共に、前記焼結合金よりなる摩擦相
手部材の前記湿式摩擦材との圧接面を少なくとも面積率
5%の気孔を残した研削仕上げ面とした構成としたこと
を特徴としており、このような湿式摩擦部材の構成を前
述した従来の課題を解決するための手段としている。
擦材を設けた一方の摩擦部材と、他方の摩擦相手部材を
備え、前記一方の摩擦部材に設けた湿式摩擦材と前記他
方の摩擦相手部材とが圧接する湿式摩擦部材において、
前記湿式摩擦材と圧接する他方の摩擦相手部材を焼結合
金により形成すると共に、前記焼結合金よりなる摩擦相
手部材の前記湿式摩擦材との圧接面を少なくとも面積率
5%の気孔を残した研削仕上げ面とした構成としたこと
を特徴としており、このような湿式摩擦部材の構成を前
述した従来の課題を解決するための手段としている。
【0016】この場合、機械構造用炭素鋼製の摩擦相手
部材(気孔なし)を備えた従来の湿式摩擦部材や、例え
ば、面積率5%未満の気孔を残した研削仕上げ面を有す
る焼結合金製の摩擦相手部材を具備する湿式摩擦部材で
は、相対速度が大きくなると、摩擦係数に占める流体潤
滑成分が支配的となって摩擦係数が小さいものとなるこ
とから、この発明に係わる湿式摩擦部材では、摩擦相手
部材の研削仕上げ面に残した気孔から流体圧力を逃が
し、相対速度が大きくなっても、ある程度の境界潤滑成
分を維持して大きな摩擦係数が得られるようにする、す
なわち、湿式摩擦材と摩擦相手部材との相対速度が大き
くなるに伴って両者間の摩擦係数が大きくなるという摩
擦特性の正勾配が示される構成としている。
部材(気孔なし)を備えた従来の湿式摩擦部材や、例え
ば、面積率5%未満の気孔を残した研削仕上げ面を有す
る焼結合金製の摩擦相手部材を具備する湿式摩擦部材で
は、相対速度が大きくなると、摩擦係数に占める流体潤
滑成分が支配的となって摩擦係数が小さいものとなるこ
とから、この発明に係わる湿式摩擦部材では、摩擦相手
部材の研削仕上げ面に残した気孔から流体圧力を逃が
し、相対速度が大きくなっても、ある程度の境界潤滑成
分を維持して大きな摩擦係数が得られるようにする、す
なわち、湿式摩擦材と摩擦相手部材との相対速度が大き
くなるに伴って両者間の摩擦係数が大きくなるという摩
擦特性の正勾配が示される構成としている。
【0017】
【発明の作用】この発明に係わる湿式摩擦部材では、一
方の摩擦部材の湿式摩擦材と、他方の摩擦相手部材とが
圧接すると、この焼結合金よりなる摩擦相手部材の少な
くとも面積率5%の気孔を残して形成した研削仕上げ面
と湿式摩擦材とが互いに摺動することになるので、摩擦
相手部材の研削仕上げ面に残した気孔から流体圧力が逃
ることとなり、相対速度が大きくなっても、ある程度の
境界潤滑成分が維持されて大きな摩擦係数が示されるこ
ととなる、すなわち、摺動速度(一方の摩擦部材と他方
の摩擦相手部材との相対速度)の減少にともない両者間
の摩擦係数が小さくなる特性を示すこととなり、例え
ば、この発明に係わる湿式摩擦部材を車両に搭載される
自動変速機の多板クラッチや多板ブレーキなどに用いた
場合には、一方の摩擦部材の湿式摩擦材と他方の摩擦相
手部材との圧接時における変速ショックは小さく抑えら
れることとなる。
方の摩擦部材の湿式摩擦材と、他方の摩擦相手部材とが
圧接すると、この焼結合金よりなる摩擦相手部材の少な
くとも面積率5%の気孔を残して形成した研削仕上げ面
と湿式摩擦材とが互いに摺動することになるので、摩擦
相手部材の研削仕上げ面に残した気孔から流体圧力が逃
ることとなり、相対速度が大きくなっても、ある程度の
境界潤滑成分が維持されて大きな摩擦係数が示されるこ
ととなる、すなわち、摺動速度(一方の摩擦部材と他方
の摩擦相手部材との相対速度)の減少にともない両者間
の摩擦係数が小さくなる特性を示すこととなり、例え
ば、この発明に係わる湿式摩擦部材を車両に搭載される
自動変速機の多板クラッチや多板ブレーキなどに用いた
場合には、一方の摩擦部材の湿式摩擦材と他方の摩擦相
手部材との圧接時における変速ショックは小さく抑えら
れることとなる。
【0018】
【実施例】以下、この発明を図面に基づいて説明する。
【0019】図1および図2はこの発明に係わる湿式摩
擦部材の一実施例を示すもので、この実施例では、湿式
摩擦部材が湿式クラッチである場合を示す。
擦部材の一実施例を示すもので、この実施例では、湿式
摩擦部材が湿式クラッチである場合を示す。
【0020】図に示す湿式クラッチ1は、環状の湿式摩
擦材2を接着により固定した一方の摩擦部材である摩擦
板3と、他方の摩擦相手部材である摩擦相手板4とを交
互に並べた構成をなしている。
擦材2を接着により固定した一方の摩擦部材である摩擦
板3と、他方の摩擦相手部材である摩擦相手板4とを交
互に並べた構成をなしている。
【0021】この実施例において、摩擦相手板4は、炭
素0.7〜1重量%,銅1〜2重量%,その他の微量成
分が1重量%以下の組成とした鉄系焼結合金からなって
おり、摩擦板3の湿式摩擦材2との圧接面をラップ加工
により少なくとも面積率5%の気孔を残して仕上げた研
削仕上げ面4aとして形成している。
素0.7〜1重量%,銅1〜2重量%,その他の微量成
分が1重量%以下の組成とした鉄系焼結合金からなって
おり、摩擦板3の湿式摩擦材2との圧接面をラップ加工
により少なくとも面積率5%の気孔を残して仕上げた研
削仕上げ面4aとして形成している。
【0022】これにより、摩擦板3と摩擦相手板4との
圧接時には、摩擦相手板4の研削仕上げ面4aに残した
気孔から流体圧力を逃すことができることから、摺動速
度が大きくなっても、ある程度の境界潤滑成分を維持で
きることとなり、大きな摩擦係数が示されることとな
る。つまり、湿式摩擦材2と摩擦相手部板4との相対速
度が大きくなるに従って、両者間の摩擦係数が大きくな
るという摩擦特性の正勾配が示されることとなる。
圧接時には、摩擦相手板4の研削仕上げ面4aに残した
気孔から流体圧力を逃すことができることから、摺動速
度が大きくなっても、ある程度の境界潤滑成分を維持で
きることとなり、大きな摩擦係数が示されることとな
る。つまり、湿式摩擦材2と摩擦相手部板4との相対速
度が大きくなるに従って、両者間の摩擦係数が大きくな
るという摩擦特性の正勾配が示されることとなる。
【0023】したがって、摺動速度が減少すると、両者
間の摩擦係数が小さくなり、摩擦板3と摩擦相手板4と
の圧接時における変速ショックは小さく抑えられること
となる。
間の摩擦係数が小さくなり、摩擦板3と摩擦相手板4と
の圧接時における変速ショックは小さく抑えられること
となる。
【0024】次に、図3に示す摩擦試験機構を用いて、
湿式摩擦材2と摩擦相手部板4との摩擦特性の比較試験
を行った。
湿式摩擦材2と摩擦相手部板4との摩擦特性の比較試験
を行った。
【0025】この摩擦試験機構は、環状の湿式摩擦材5
1を接着により固定した湿式摩擦材試験片52を回転軸
53に取付けて回転させながら、荷重負荷軸54に取付
けた円板状をなす摩擦相手部材金属試験片55に押付
け、これらの試験片52,55をオイルバス(図外)に
入れた油に浸した状態で配置して、これらの試験片5
2,55の間で発生する摩擦トルクを荷重負荷軸54に
装着したトルク検出器(図外)により測定する構成とな
っている。
1を接着により固定した湿式摩擦材試験片52を回転軸
53に取付けて回転させながら、荷重負荷軸54に取付
けた円板状をなす摩擦相手部材金属試験片55に押付
け、これらの試験片52,55をオイルバス(図外)に
入れた油に浸した状態で配置して、これらの試験片5
2,55の間で発生する摩擦トルクを荷重負荷軸54に
装着したトルク検出器(図外)により測定する構成とな
っている。
【0026】図4に、潤滑油としてニッサンマチックフ
ィールドCを用いた場合のペーパー系湿式摩擦材と、摩
擦相手部材との間における摩擦係数の測定結果を示す。
ィールドCを用いた場合のペーパー系湿式摩擦材と、摩
擦相手部材との間における摩擦係数の測定結果を示す。
【0027】この場合、摩擦相手部材試験片には、鉄系
焼結合金よりなり、その組成が、0.7〜1.0重量%
の炭素と、1〜2重量%の銅と、その他の微量成分とし
て1重量%以下の不純物を含んだ上記摩擦相手板4と同
様のものを用い、密度6.3g/cm3,密度6.6g
/cm3,密度7.0g/cm3のそれぞれ密度の異な
る3種類の摩擦相手部材試験片に対して各々摩擦試験を
実施した。3種類の摩擦相手部材試験片における研削仕
上げ(ラップ仕上げ)を施した各研削仕上げ面には、そ
れぞれ面積率5%の気孔が残してあり、各研削仕上げ面
の表面粗さは、中心線平均粗さ(Ra)でいずれも0.
1〜0.2μmとした。
焼結合金よりなり、その組成が、0.7〜1.0重量%
の炭素と、1〜2重量%の銅と、その他の微量成分とし
て1重量%以下の不純物を含んだ上記摩擦相手板4と同
様のものを用い、密度6.3g/cm3,密度6.6g
/cm3,密度7.0g/cm3のそれぞれ密度の異な
る3種類の摩擦相手部材試験片に対して各々摩擦試験を
実施した。3種類の摩擦相手部材試験片における研削仕
上げ(ラップ仕上げ)を施した各研削仕上げ面には、そ
れぞれ面積率5%の気孔が残してあり、各研削仕上げ面
の表面粗さは、中心線平均粗さ(Ra)でいずれも0.
1〜0.2μmとした。
【0028】また、図4には、従来例としてペーパー系
湿式摩擦材と機械構造用炭素鋼(S40C)製の摩擦相
手部材との間の摩擦係数、および、比較例としてペーパ
ー系湿式摩擦材と面積率2%の気孔を残した研削仕上げ
面を有する鉄系焼結合金製の摩擦相手部材との間の摩擦
係数の各測定結果を同時に示す。従来例の機械構造用炭
素鋼製の摩擦相手部材試験片は、表面粗さが中心線平均
粗さで0.1〜0.2μmとなるようにラップ仕上げに
より仕上げてあり、この仕上げ面には全く気孔を残して
いない。一方、比較例として用いた摩擦相手部材試験片
は、上記鉄系焼結合金製の摩擦相手部材試験片と同一組
成であり、密度が6.3g/cm3、表面粗さを中心線
平均粗さで0.1〜0.2μmとした。
湿式摩擦材と機械構造用炭素鋼(S40C)製の摩擦相
手部材との間の摩擦係数、および、比較例としてペーパ
ー系湿式摩擦材と面積率2%の気孔を残した研削仕上げ
面を有する鉄系焼結合金製の摩擦相手部材との間の摩擦
係数の各測定結果を同時に示す。従来例の機械構造用炭
素鋼製の摩擦相手部材試験片は、表面粗さが中心線平均
粗さで0.1〜0.2μmとなるようにラップ仕上げに
より仕上げてあり、この仕上げ面には全く気孔を残して
いない。一方、比較例として用いた摩擦相手部材試験片
は、上記鉄系焼結合金製の摩擦相手部材試験片と同一組
成であり、密度が6.3g/cm3、表面粗さを中心線
平均粗さで0.1〜0.2μmとした。
【0029】この図4に示すように、面積率5%の気孔
を残して仕上げた研削仕上げ面を有する鉄系焼結合金製
の摩擦相手部材試験片が、摺動速度(湿式摩擦材と摩擦
相手部材試験片との相対速度)の増加に伴って両者間の
摩擦係数が大きくなるという特性を呈したのに対して、
従来例として挙げた機械構造用炭素鋼製の摩擦相手部材
(気孔なし)、および、比較例として挙げた面積率2%
の気孔を残した研削仕上げ面を有する鉄系焼結合金製の
摩擦相手部材では、摺動速度の増加に伴って両者間の摩
擦係数が小さくなるという特性を呈した。
を残して仕上げた研削仕上げ面を有する鉄系焼結合金製
の摩擦相手部材試験片が、摺動速度(湿式摩擦材と摩擦
相手部材試験片との相対速度)の増加に伴って両者間の
摩擦係数が大きくなるという特性を呈したのに対して、
従来例として挙げた機械構造用炭素鋼製の摩擦相手部材
(気孔なし)、および、比較例として挙げた面積率2%
の気孔を残した研削仕上げ面を有する鉄系焼結合金製の
摩擦相手部材では、摺動速度の増加に伴って両者間の摩
擦係数が小さくなるという特性を呈した。
【0030】したがって、他方の摩擦相手部材を焼結合
金により形成すると共に、この焼結合金製の摩擦相手部
材における湿式摩擦材との圧接面を研削仕上げにより少
なくとも面積率5%の気孔を残した研削仕上げ面とする
ことによって、湿式摩擦部材における摩擦係数の速度特
性を、湿式摩擦材と摩擦相手部材との相対速度が大きく
なるに伴って両者間の摩擦係数が大きくなる特性に改善
できることが確かめられた。
金により形成すると共に、この焼結合金製の摩擦相手部
材における湿式摩擦材との圧接面を研削仕上げにより少
なくとも面積率5%の気孔を残した研削仕上げ面とする
ことによって、湿式摩擦部材における摩擦係数の速度特
性を、湿式摩擦材と摩擦相手部材との相対速度が大きく
なるに伴って両者間の摩擦係数が大きくなる特性に改善
できることが確かめられた。
【0031】上記試験結果から、この実施例の湿式クラ
ッチ1において、摺動速度が減少すると、両者間の摩擦
係数が小さくなることが確かめられ、摩擦板3と摩擦相
手板4との圧接時における変速ショックが小さく抑えら
れることが実証できた。
ッチ1において、摺動速度が減少すると、両者間の摩擦
係数が小さくなることが確かめられ、摩擦板3と摩擦相
手板4との圧接時における変速ショックが小さく抑えら
れることが実証できた。
【0032】図5および図6はこの発明に係わる他の実
施例によるトルクコンバータのロックアップクラッチを
示している。
施例によるトルクコンバータのロックアップクラッチを
示している。
【0033】図に示すロックアップクラッチ11はトル
クコンバータ12の内部に一体に組み込まれて構成され
る。
クコンバータ12の内部に一体に組み込まれて構成され
る。
【0034】このトルクコンバータ12は、外殻を構成
するコンバータカバー13と、このコンバータカバー1
3に固定されるポンプインペラー14と、このポンプイ
ンペラー14に対向して配置されるタービンランナー1
5と、ポンプインペラー14およびタービンランナー1
5の間に配置されるステータ16によって構成されてい
る。
するコンバータカバー13と、このコンバータカバー1
3に固定されるポンプインペラー14と、このポンプイ
ンペラー14に対向して配置されるタービンランナー1
5と、ポンプインペラー14およびタービンランナー1
5の間に配置されるステータ16によって構成されてい
る。
【0035】前記タービンランナー15は、トルクコン
バータ12の出力軸である自動変速機のインプットシャ
フト17に、タービンハブ18を介してスプライン嵌合
され、このタービンランナー15とインプットシャフト
17とは一体で回転するものとなっている。
バータ12の出力軸である自動変速機のインプットシャ
フト17に、タービンハブ18を介してスプライン嵌合
され、このタービンランナー15とインプットシャフト
17とは一体で回転するものとなっている。
【0036】前記ステータ16は、ワンウェイクラッチ
21を介してインプットシャフト17に嵌着され、ポン
プインペラー14とタービンランナー15との間に正転
方向に回転差がある場合に、ポンプインペラー14から
タービンランナー15に回転力を伝達する作動油の流れ
をさらに加速させ、タービンランナー15に伝達される
トルクを増加させる機能を有している。
21を介してインプットシャフト17に嵌着され、ポン
プインペラー14とタービンランナー15との間に正転
方向に回転差がある場合に、ポンプインペラー14から
タービンランナー15に回転力を伝達する作動油の流れ
をさらに加速させ、タービンランナー15に伝達される
トルクを増加させる機能を有している。
【0037】前記ロックアップクラッチ11は、タービ
ンハブ18にビス22を介して固定されるロックアップ
ピストン23と、このロックアップピストン23と対向
するコンバータカバー13の垂直壁部分とで構成され、
ピストン室24に供給される圧力によってロックアップ
クラッチ11の締結,スリップおよび解放が制御される
ようになっている。
ンハブ18にビス22を介して固定されるロックアップ
ピストン23と、このロックアップピストン23と対向
するコンバータカバー13の垂直壁部分とで構成され、
ピストン室24に供給される圧力によってロックアップ
クラッチ11の締結,スリップおよび解放が制御される
ようになっている。
【0038】すなわち、ピストン室24には、インプッ
トシャフト17の中心部を貫通する油路25を介して図
外のコントロールバルブからロックアップ制御油圧P2
が供給されるようになっており、このロックアップ制御
油圧P2がドレーンされた場合には、コンバータカバー
13内でかつピストン室24の外方の作動油圧P1によ
り、ロックアップピストン23の外周縁部がコンバータ
カバー13に圧接して締結されることにより、ロックア
ップ状態となる。
トシャフト17の中心部を貫通する油路25を介して図
外のコントロールバルブからロックアップ制御油圧P2
が供給されるようになっており、このロックアップ制御
油圧P2がドレーンされた場合には、コンバータカバー
13内でかつピストン室24の外方の作動油圧P1によ
り、ロックアップピストン23の外周縁部がコンバータ
カバー13に圧接して締結されることにより、ロックア
ップ状態となる。
【0039】また、作動油圧P1より高いロックアップ
制御油圧P2が供給された場合には、ロックアップピス
トン23がコンバータカバー13から離間して解放され
ることにより、アンロックアップ状態となる。
制御油圧P2が供給された場合には、ロックアップピス
トン23がコンバータカバー13から離間して解放され
ることにより、アンロックアップ状態となる。
【0040】さらに、ロックアップピストン23には、
ダンパーピストン26が設けられており、ロックアップ
ピストン23に伝達されたトルクは、ダンパーピストン
26の緩衝機能を介してインプットシャフト17に伝達
されるようになっている。
ダンパーピストン26が設けられており、ロックアップ
ピストン23に伝達されたトルクは、ダンパーピストン
26の緩衝機能を介してインプットシャフト17に伝達
されるようになっている。
【0041】ここで、この実施例では、図6にも示すよ
うに、コンバータカバー13(一方の摩擦部材)の外周
縁部には、環状の湿式摩擦材27が接着により固定して
ある。また、ロックアップピストン23(他方の摩擦相
手部材)は、炭素0.7〜1重量%,銅1〜2重量%,
その他の微量成分が1重量%以下の組成とした鉄系焼結
合金からなっており、ロックアップ時に湿式摩擦材27
に圧接するロックアップピストン23の圧接面をラップ
加工により少なくとも面積率5%の気孔を残して仕上げ
た研削仕上げ面23aとしてある。
うに、コンバータカバー13(一方の摩擦部材)の外周
縁部には、環状の湿式摩擦材27が接着により固定して
ある。また、ロックアップピストン23(他方の摩擦相
手部材)は、炭素0.7〜1重量%,銅1〜2重量%,
その他の微量成分が1重量%以下の組成とした鉄系焼結
合金からなっており、ロックアップ時に湿式摩擦材27
に圧接するロックアップピストン23の圧接面をラップ
加工により少なくとも面積率5%の気孔を残して仕上げ
た研削仕上げ面23aとしてある。
【0042】この実施例におけるトルクコンバータのロ
ックアップクラッチ11にあっては、ロックアップ状態
またはアンロックアップ状態において、作動油圧P1と
制御油圧P2との差圧によりロックアップピストン23
が図5左方に移動して、コンバータカバー13の湿式摩
擦材27にロックアップピストン23の研削仕上げ面2
3aが圧接し、このとき生じる摩擦力によって、コンバ
ータカバー13に入力されたエンジン回転がこのロック
アップピストン23を介してインプットシャフト17に
伝達され、これにより、動力の伝達がなされることとな
る。
ックアップクラッチ11にあっては、ロックアップ状態
またはアンロックアップ状態において、作動油圧P1と
制御油圧P2との差圧によりロックアップピストン23
が図5左方に移動して、コンバータカバー13の湿式摩
擦材27にロックアップピストン23の研削仕上げ面2
3aが圧接し、このとき生じる摩擦力によって、コンバ
ータカバー13に入力されたエンジン回転がこのロック
アップピストン23を介してインプットシャフト17に
伝達され、これにより、動力の伝達がなされることとな
る。
【0043】このとき、この実施例では、ロックアップ
ピストン23を鉄系焼結合金製とし、ロックアップ時に
湿式摩擦材27に圧接するロックアップピストン23の
圧接面をラップ加工により少なくとも面積率5%の気孔
を残して仕上げた研削仕上げ面23aとしてあることか
ら、ロックアップクラッチ11の摩擦係数の速度特性
が、上記した第1実施例と同様に正勾配となり、その結
果、スリップ制御時におけるロックアップジャダーの発
生が阻止されることとなる。
ピストン23を鉄系焼結合金製とし、ロックアップ時に
湿式摩擦材27に圧接するロックアップピストン23の
圧接面をラップ加工により少なくとも面積率5%の気孔
を残して仕上げた研削仕上げ面23aとしてあることか
ら、ロックアップクラッチ11の摩擦係数の速度特性
が、上記した第1実施例と同様に正勾配となり、その結
果、スリップ制御時におけるロックアップジャダーの発
生が阻止されることとなる。
【0044】上記実施例においては、ロックアップ時に
湿式摩擦材27に圧接するロックアップピストン23の
圧接面をラップ加工により少なくとも面積率5%の気孔
を残して仕上げた研削仕上げ面23aとする構成とした
が、ロックアップピストン23に、ロックアップ時に湿
式摩擦材27に圧接する環状の鉄系焼結合金片を固定
し、この鉄系焼結合金片の圧接面をラップ加工により少
なくとも面積率5%の気孔を残して仕上げた研削仕上げ
面とすることも可能である。
湿式摩擦材27に圧接するロックアップピストン23の
圧接面をラップ加工により少なくとも面積率5%の気孔
を残して仕上げた研削仕上げ面23aとする構成とした
が、ロックアップピストン23に、ロックアップ時に湿
式摩擦材27に圧接する環状の鉄系焼結合金片を固定
し、この鉄系焼結合金片の圧接面をラップ加工により少
なくとも面積率5%の気孔を残して仕上げた研削仕上げ
面とすることも可能である。
【0045】図7はこの発明に係わる湿式摩擦部材のさ
らに他の実施例によるトルクコンバータのロックアップ
クラッチを示している。
らに他の実施例によるトルクコンバータのロックアップ
クラッチを示している。
【0046】この実施例のロックアップクラッチ31が
第2実施例におけるロックアップクラッチ11と異なる
ところは、ロックアップピストン33に湿式摩擦材37
を固定すると共に、コンバータカバー13に、ロックア
ップ時にこの湿式摩擦材37と圧接する環状でかつ鉄系
焼結合金からなる圧接片38を固定し、この圧接片38
の圧接面をラップ加工により少なくとも面積率5%の気
孔を残して仕上げた研削仕上げ面38aとした点にあ
る。そして、圧接片38の組成および他の構成は第2実
施例と同じであり、このロックアップクラッチ31にお
いてもスリップ制御時におけるロックアップジャダーの
発生が阻止されることとなる。
第2実施例におけるロックアップクラッチ11と異なる
ところは、ロックアップピストン33に湿式摩擦材37
を固定すると共に、コンバータカバー13に、ロックア
ップ時にこの湿式摩擦材37と圧接する環状でかつ鉄系
焼結合金からなる圧接片38を固定し、この圧接片38
の圧接面をラップ加工により少なくとも面積率5%の気
孔を残して仕上げた研削仕上げ面38aとした点にあ
る。そして、圧接片38の組成および他の構成は第2実
施例と同じであり、このロックアップクラッチ31にお
いてもスリップ制御時におけるロックアップジャダーの
発生が阻止されることとなる。
【0047】以上説明したように、上記各実施例では、
他方の摩擦相手部材としての摩擦相手板4,ロックアッ
プピストン23および圧接片38をいずれも鉄系焼結合
金により形成すると共に、各圧接面をラップ加工により
仕上げた研削仕上げ面4a,23a,38aとしてある
ことから、摩擦相手板4,ロックアップピストン23お
よび圧接片38を通して互いの圧接面に潤滑油が供給さ
れるので、従来の湿式摩擦部材と比較して、圧接面の温
度を低く保つことができるようになり、その結果、耐久
性が向上することとなる。
他方の摩擦相手部材としての摩擦相手板4,ロックアッ
プピストン23および圧接片38をいずれも鉄系焼結合
金により形成すると共に、各圧接面をラップ加工により
仕上げた研削仕上げ面4a,23a,38aとしてある
ことから、摩擦相手板4,ロックアップピストン23お
よび圧接片38を通して互いの圧接面に潤滑油が供給さ
れるので、従来の湿式摩擦部材と比較して、圧接面の温
度を低く保つことができるようになり、その結果、耐久
性が向上することとなる。
【0048】なお、この発明に係わる湿式摩擦部材の詳
細な構成は、上記した第1〜第3実施例に限定されるも
のではない。
細な構成は、上記した第1〜第3実施例に限定されるも
のではない。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、この発明に係わる
湿式摩擦部材では、上記した構成としたため、一方の摩
擦部材と他方の摩擦相手部材との相対速度の増加に伴っ
て両者間の摩擦係数が増大するような特性、すなわち、
μ−v特性を正勾配に改善できることとなり、その結
果、この湿式摩擦部材を自動変速機の多板クラッチ,多
板ブレーキなどに用いると、変速ショックを著しく小さ
く抑えることができ、一方、自動変速機のロックアップ
クラッチに用いると、スリップ制御時におけるロックア
ップジャダーの発生を防止することが可能であるという
極めて優れた効果がもたらされる。
湿式摩擦部材では、上記した構成としたため、一方の摩
擦部材と他方の摩擦相手部材との相対速度の増加に伴っ
て両者間の摩擦係数が増大するような特性、すなわち、
μ−v特性を正勾配に改善できることとなり、その結
果、この湿式摩擦部材を自動変速機の多板クラッチ,多
板ブレーキなどに用いると、変速ショックを著しく小さ
く抑えることができ、一方、自動変速機のロックアップ
クラッチに用いると、スリップ制御時におけるロックア
ップジャダーの発生を防止することが可能であるという
極めて優れた効果がもたらされる。
【図1】この発明に係わる湿式摩擦部材の一実施例を示
す湿式クラッチの断面説明図である。
す湿式クラッチの断面説明図である。
【図2】(a)図1の湿式クラッチにおける摩擦相手板
を示す断面説明図である。 (b)図2(a)に示した摩擦相手板の正面説明図であ
る。
を示す断面説明図である。 (b)図2(a)に示した摩擦相手板の正面説明図であ
る。
【図3】湿式摩擦材と摩擦相手部材との摩擦係数を測定
する摩擦試験機構を示す説明図である。
する摩擦試験機構を示す説明図である。
【図4】この発明に係わる湿式摩擦部材の摩擦特性を従
来における湿式摩擦部材の摩擦特性および圧接面に面積
率5%未満の気孔を残した摩擦相手部材を有する湿式摩
擦部材の摩擦特性と比較するためのグラフである。
来における湿式摩擦部材の摩擦特性および圧接面に面積
率5%未満の気孔を残した摩擦相手部材を有する湿式摩
擦部材の摩擦特性と比較するためのグラフである。
【図5】この発明に係わる湿式摩擦部材の他の実施例を
示すロックアップクラッチの断面説明図である。
示すロックアップクラッチの断面説明図である。
【図6】図5のロックアップクラッチにおける圧接部分
を示す拡大断面説明図である。
を示す拡大断面説明図である。
【図7】この発明に係わる湿式摩擦部材のさらに他の実
施例によるロックアップクラッチの圧接部分を示す拡大
断面説明図である。
施例によるロックアップクラッチの圧接部分を示す拡大
断面説明図である。
1 湿式クラッチ(湿式摩擦部材) 2,27,37 湿式摩擦材 3 摩擦板(一方の摩擦部材) 4 摩擦相手板(他方の摩擦相手部材) 4a,23a,38a 研削仕上げ面 11,31 ロックアップクラッチ(湿式摩擦部材) 13 コンバータカバー(一方の摩擦部材) 23 ロックアップピストン(他方の摩擦相手部材) 33 ロックアップピストン(一方の摩擦部材) 38 圧接片(他方の摩擦相手部材)
Claims (1)
- 【請求項1】 湿式摩擦材を設けた一方の摩擦部材と、
他方の摩擦相手部材を備え、前記一方の摩擦部材に設け
た湿式摩擦材と前記他方の摩擦相手部材とが圧接する湿
式摩擦部材において、前記湿式摩擦材と圧接する他方の
摩擦相手部材を焼結合金により形成すると共に、前記焼
結合金よりなる摩擦相手部材の前記湿式摩擦材との圧接
面を少なくとも面積率5%の気孔を残した研削仕上げ面
としたことを特徴とする湿式摩擦部材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5273751A JPH07127658A (ja) | 1993-11-01 | 1993-11-01 | 湿式摩擦部材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP5273751A JPH07127658A (ja) | 1993-11-01 | 1993-11-01 | 湿式摩擦部材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07127658A true JPH07127658A (ja) | 1995-05-16 |
Family
ID=17532073
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP5273751A Pending JPH07127658A (ja) | 1993-11-01 | 1993-11-01 | 湿式摩擦部材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07127658A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0881405A3 (en) * | 1997-05-29 | 2000-05-03 | Dynax Corporation | Wet-type friction plate having small holes on the surface |
JP2001140936A (ja) * | 1999-09-30 | 2001-05-22 | Mannesmann Sachs Ag | 多重クラッチ装置 |
EP1783389A2 (en) * | 2005-08-30 | 2007-05-09 | Jtekt Corporation | Drive force transmission device |
-
1993
- 1993-11-01 JP JP5273751A patent/JPH07127658A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP0881405A3 (en) * | 1997-05-29 | 2000-05-03 | Dynax Corporation | Wet-type friction plate having small holes on the surface |
JP2001140936A (ja) * | 1999-09-30 | 2001-05-22 | Mannesmann Sachs Ag | 多重クラッチ装置 |
EP1783389A2 (en) * | 2005-08-30 | 2007-05-09 | Jtekt Corporation | Drive force transmission device |
EP1783389A3 (en) * | 2005-08-30 | 2007-05-16 | Jtekt Corporation | Drive force transmission device |
US7677375B2 (en) | 2005-08-30 | 2010-03-16 | Jtekt Corporation | Drive force transmission device |
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