JPH07126184A - プロテインcもしくは活性化プロテインcの安定化方法及び安定化組成物 - Google Patents
プロテインcもしくは活性化プロテインcの安定化方法及び安定化組成物Info
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Abstract
行なう際、または保存時のプロテインCもしくは活性化
プロテインCの安定化法並びに安定化された製剤を提供
する。 【構成】 プロテインCもしくは活性化プロテインCの
ナトリウムイオンを含有する塩類緩衝液から構成され、
少なくとも一種のアミノ酸を添加し、さらにアルブミン
もしくは非イオン性界面活性剤を単独でもしくは組み合
わせて添加する。
Description
か、または遺伝子組み換え技術を用いて製造されたプロ
テインC( 以下、PCと略称することがある) もしくは
活性化プロテインC( 以下、APCと略称することがあ
る) の安定化法に関する。さらに詳細には、保存時、分
離精製、凍結乾燥、加熱処理などの操作を行なう際のプ
ロテインCもしくは活性化プロテインCの安定化法並び
に当該方法で安定化された製剤に関する。
テインC( 以下、PCと略称することがある) は、ビタ
ミンK依存性蛋白質すなわちα- カルボキシグルタミン
酸含有蛋白質の一種であり、血管内皮細胞表層のトロン
ボモジュリンの存在下でトロンビンによって活性化され
て活性化プロテインCとなる。活性化プロテインCはセ
リンプロテアーゼの一種であり、血液凝固系の補酵素で
ある第V因子( FV、FVa) と第VIII因子( FVIII、
FVIIIa) を分解し、強い抗凝固作用を示す。また、血
管壁からプラスミノゲン・アクチベーターを放出させ、
線溶系を促進されることが知られている。さらに、プロ
テインC欠損症は重度の血栓症を呈すことも知られてお
り、活性化プロテインCは血液凝固線溶系の重要な制御
因子であることが明らかにされている。このようにプロ
テインCもしくは活性化プロテインCは抗凝固剤、線溶
系剤としての新たな医薬品の開発が期待される。
あるいは組織培養系中に誘発されるプロテインCの量
は、非常に微量であることが知られている。プロテイン
Cもしくは活性化プロテインCを抗凝固剤、線溶系剤と
して広く安全に使用するためには、分離精製することが
重要であり、また溶液あるいは凍結状態で長期保存した
り、凍結乾燥、あるいは夾雑ウイルスの不活性化のため
の加熱処理を行なうことは、プロテインCもしくは活性
化プロテインCを大量に工業的に製造する際に必須の操
作である。ところが、高純度のプロテインCもしくは活
性化プロテインCを保存したり、凍結あるいは凍結乾
燥、加熱処理を行なうと活性が著しく低下する。また、
高純度のプロテインCもしくは活性化プロテインCの安
定性について検討した報告も今日までになされていな
い。このような現状では、その抗凝固作用、線溶系作用
にもかかわらず、高純度のプロテインCもしくは活性化
プロテインCを効率よく安定的に工業的規模で提供する
ことは不可能である。
テインCもしくは活性化プロテインCの安定性について
鋭意研究を行なった結果、ナトリウムイオンを含有する
リン酸塩もしくはクエン酸塩緩衝液等の塩類緩衝液から
構成され、少なくとも一種のアミノ酸を添加し、さらに
アルブミンもしくは非イオン性界面活性剤を単独でもし
くは組み合わせてプロテインCもしくは活性化プロテイ
ンCに添加することにより、相当の期間保存しても、ま
たは、分離精製、凍結乾燥、加熱処理などの操作を行な
ってもプロテインCもしくは活性化プロテインCの活性
が保持されることを見出し本発明を完成した。
テインCをナトリウムイオンを含有するリン酸塩もしく
はクエン酸塩等の塩類緩衝液中に溶解させ、および蛋白
質構成アミノ酸、例えばグリシン、アラニン、リジン、
アルギニン、アスパラギン酸およびグルタミン酸等の少
なくとも1種のアミノ酸を添加すること、さらに、アル
ブミン、グロブリン等の蛋白質安定化効果を有するポリ
ペプチド、また好適な条件として選択的にTween
80で代表される非イオン性の界面活性剤の添加を特徴
とするプロテインCもしくは活性化プロテインCの安定
化法並びに当該方法で安定化された製剤に関するもので
ある。
活性化プロテインCは、公知の方法で調製される。その
ようなものとして、例えばヒト血液より分離した、ある
いは遺伝子組換え技術を用いて調製されたプロテインC
を活性化する方法、ヒト血液よりAPCを分離する方
法、あるいは遺伝子組換え技術の利用によりAPCを作
製する方法などによって製造することができる。プロテ
インCからAPCへの活性化の方法には特に制約はな
く、例えばヒトやウシなどの血液より分離したトロンビ
ンにより活性化する方法、あるいは等価なプロテアーゼ
により活性化する方法などにより実施できる。
方法が挙げられる。例えば、ヒト血漿から抗プロテイン
C抗体を用いたアフィニティークロマトグラフィーによ
り精製されたプロテインCを、ヒトトロンビンで活性化
した後、陽イオンクロマトグラフィーを用いて精製する
方法( ブラッド Blood,63, p.115-121(1984)) 、あるい
はKisielによる、ヒト血漿からクエン酸バリウム吸着・
溶出、硫酸アンモニウム画分化、DEAE- セファデ
ックスカラムクロマトグラフィー、デキストラン硫酸ア
ガロースクロマトグラフィーおよびポリアクリルアミド
ゲル電気泳動等の工程により精製して得られたプロテイ
ンCを活性化してAPCとする方法( ジャーナル オブ
クリニカル インヴェスティゲーション J.Clin.Inve
st.,64,p.761-769(1979)) 、あるいは市販のプロテイン
Cを含有する血液凝固製剤をTaylor等の方法( ジャーナ
ル オブ クリニカル インヴェスティゲーション J.C
lin.Invest.,79,p.918-925(1987)) で活性化してAPC
とする方法等がある。
調製する方法としては、例えば特開昭61- 20548
7号、特開平1- 2338号あるいは特開平1- 850
84号等に記載された方法等がある。本発明に用いられ
るプロテインCもしくは活性化プロテインC原料の生産
方法は上記に限られるものではない。
しくは活性化プロテインC原料は通常の生化学的分離精
製法を組み合わせて分離精製される。そのようなものと
しては、例えば、硫酸アンモニウムによる塩析法、イオ
ン交換樹脂によるイオン交換クロマトグラフィー、ゲル
濾過法、電気泳動法などが挙げられる。
くと、プロテインCもしくは活性化プロテインCは次第
に不安定となる。また、純度がそれほど高くない試料
も、保存、凍結、凍結乾燥、加熱処理などの操作によっ
て、その活性が低下する。本発明の対象となるのは、主
としてこのように精製度が上昇し不安定となったプロテ
インCもしくは活性化プロテインCであり、溶液と粉末
のいずれにも限定されない。
活性化プロテインCの安定化方法においては、100〜
2500U/mlのプロテインCもしくは活性化プロテ
インC緩衝液中に、安定化剤として好ましくは50mM
〜200mMの濃度のナトリウムイオンを含有する塩類
と少なくとも1種のアミノ酸および安定化効果を有する
ポリペプチドを添加する。塩類およびアミノ酸は単独
で、あるいは2種以上を適宜組合わせて使用することが
できる。アミノ酸の添加濃度は最終濃度が0. 005M
〜0. 1M、より好ましくは0. 01M〜0. 05Mで
ある。また、アルブミン、グロブリン等の安定化効果を
有するポリペプチドの添加濃度は常識的経済的観点から
決定され、好適には0. 5%( W/V) 〜10%( W/
V) の濃度で使用される。なお、本明細書中の%( W/
V) は1リットルの溶液中に溶解している溶質の濃度を
示し、1リットルの溶液中に溶解している溶質が10g
である場合を1%( W/V) とする。また、本発明の好
適な実施態様として、さらに選択的に0. 0005%(
W/V) 〜0. 1%( W/V) のTween 80等の
非イオン性界面活性剤が添加されると安定化効果が助長
される。
テインC及び/または活性化プロテインCを100〜2
500U/ml、ナトリウムイオンを50〜200m
M、アミノ酸を5〜100mM含有し、さらにアルブミ
ン0.5〜10%(W/V)もしくは非イオン性界面活
性剤0.0005〜0.1%(W/V)を単独でもしく
は組み合わせて含有するプロテインC及び/または活性
化プロテインC含有水溶液が得られる。
インCを含有する粉末に添加する場合の本発明の安定化
剤の添加量は、該当粉末を溶解した際に、上記の溶液濃
度になるように選ばれる。
プロテインC及び/または活性化プロテインCを1×1
05 〜2.5×106 単位、ナトリウムを50〜200
mg単位有するナトリウム塩、アミノ酸を5〜100m
mol含有し、さらにアルブミン5〜100gもしくは
非イオン性界面活性剤0.005〜1gを単独でもしく
は組み合わせて含有するプロテインC及び/または活性
化プロテインC含有組成物が得られる。
本発明の物質の粉末を直接、プロテインCもしくは活性
化プロテインC含有溶液に添加する方法、あらかじめ同
粉末を水あるいは適当な緩衝液に溶解して添加する方
法、または同粉末をプロテインCもしくは活性化プロテ
インC含有粉末と混合して添加する方法が挙げられる。
添加時期は、分離精製過程であっても、製剤化工程であ
っても良い。
もしくは活性化プロテインCを含有する溶液は、溶液状
態のままでは0〜30℃、より好ましくは0〜10℃で
保存あるいは分離精製、製剤化操作をすることが好まし
い。また、同溶液を凍結状態で保存する場合は、凍結点
以下、より好ましくは−20℃以下、凍結乾燥状態で保
存する場合は室温以下とすることが望ましい。本発明の
安定化剤を添加したプロテインCもしくは活性化プロテ
インCを含有する溶液では、溶液状態、凍結状態または
凍結乾燥状態での保存中あるいは分離精製、製剤化操作
中においてもプロテインCもしくは活性化プロテインC
の活性は保持される。
性測定は、以下の方法により実施した。APC活性1単
位は正常ヒト血漿の活性化トロンボプラスチン時間( A
PTT( 秒))を2倍に延長する量と定義する。従って、
APC活性測定法は、希釈した試料を正常ヒト血漿に加
えてAPTT( 秒) を測り、その値が対照( 緩衝液) の
値の2倍となるときの希釈倍率を試料のAPC活性値と
する。
緩衝液で、例えば400、500、800、1000倍
になるように希釈する。37℃で、対照( 緩衝液) また
は試料の各希釈液の各々100μlに、正常ヒト血漿(
例えば、サイトロール: 国際試薬) 100μl、APT
T試薬( 例えば、アクチン:国際試薬) 100μlを1
5秒間隔で加えて混和し、2分後、0. 025MCaC
l2 100μlを加え凝固時間を測定する。
率( X) でのAPTTの値( Y) から、103 /XとY
の直線回帰式と相関係数を求める。 Y=A(103 /X)+ B 対照のAPTT( 秒) の2倍の値をY1 として、 X1 =103 {(Y1 −B)/A} から求めたX1 の値を、試料のAPC活性( 単位/m
l) とする。
トプロテインC”(ベーリンガーマンハイム社)を用い
て測定した。
施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例になんら限定
されるものではない。
0U/mlの活性を有するヒト活性化プロテインC溶液
にヒト血清アルブミン( 以下HSAと略することがあ
る) 2. 5%を加え、0. 7%NaClおよび0. 06
7Mグリシンを含有する、クエン酸Na、リン酸Na、
および硫酸Na溶液( 各20mM) で透析し、透析後、
各溶液を37℃で24時間静置し、活性の測定を行なっ
た。その結果を表1に示す。対イオンがクエン酸Na、
リン酸Na、硫酸Naの場合は、満足できる同様な安定
性を示した。
mlの活性を有する活性化プロテインC溶液にHSAを
2. 5%加え、0. 7%NaClを含有し、グリシン、
アラニン、リジン、 アルギニン、アスパラギン酸、グ
ルタミン酸を各々0. 05M含むクエン酸ナトリウム緩
衝溶液で透析し、透析後、各溶液を37℃で24時間静
置し、活性の測定を行なった。その結果を表2に示す。
今回検討した6種類のアミノ酸は、APCの安定性を損
なうことなく、いずれも高い安定性を保持した。
700U/ml、20mMクエン酸塩、0.7%NaC
l、0. 067Mグリシン) にHSAを2. 5%添加し
た溶液、およびHSA未添加の溶液を調製し、37℃お
よび4℃に静置した。経時的に、活性を本明細書中に記
載した方法で測定し、活性保持率を求めた。その結果を
表3に示す。
していない系においては、APC活性の経時的な低下を
阻止することができない。これらの結果より、2. 5%
HSAがAPCを著しく安定化することを示すことが結
論される。
が、HSAの濃度に依存するデータを表4に示す。活性
化プロテインC溶液( 500U/ml) にHSAを0.
5〜10. 0%添加した。この溶液を保存容器に充填
し、37℃で静置した。24時間後、試料を採取し活性
を測定した。HSAを添加していない場合は、活性が約
20%低下するが、HSAを0. 5〜10. 0%の濃度
範囲で添加した場合には活性は殆ど低下せず安定であっ
た。
プロテインC溶液( 500U/ml、20mMクエン酸
塩、0. 7%NaCl、0. 067Mグリシン) に非イ
オン性の界面活性剤であるTween 80( 商品名)
を0. 0005%〜0. 1%添加した。この溶液を保存
容器に充填し、37℃で静置した。24時間後、試料を
採取し、活性を測定した。結果を表5に示す。Twee
n 80を添加しない場合は、活性が約20%低下し、
安定性が損なわれるが、Tween 80を0. 000
5%〜0. 1%の濃度範囲で添加すると、活性に変化は
認められず、高い安定性が保持された。
lの影響)塩化ナトリウムを濃度1mM〜500mMの
範囲まで包合するように、2. 5%HSAを含むAPC
凍結乾燥製剤を調製した。各凍結乾燥製剤を60℃で1
カ月保存した時の固形物の外観上の品質を表6に示す。
に含有した場合、ならびに低濃度に含有した場合には、
APCの固形物としての製剤を形成しにくいことが明ら
かとなり、50mM〜100mMの塩化ナトリウムの存
在が凍結乾燥製剤の安定化に寄与しているものと考えら
れる。
添加し( 0. 7%NaCl、0. 067Mグリシンおよ
び2. 5%HSA) 、APC活性を各々100〜250
0U/バイアル含有するように調製したクエン酸緩衝溶
液をバイアルに無菌的に小分けして充填し、凍結乾燥し
て密閉した。各バイアルを10℃、15℃および60℃
に静置し、活性の低下を観た。結果を表7に示す。この
データは、本発明のAPCの安定化方法において、凍結
乾燥の形で安定であることを示すものである。
00U/mlの活性を有する活性化プロテインCクエン
酸緩衝溶液に本発明の安定化剤( 0. 7%NaCl、
0. 067Mグリシンおよび2. 5%HSA)を添加
し、これを凍結( −80℃) と融解を繰り返し( 5、1
0、15、20回) 、その活性を測定した。その結果を
表8に示す。凍結融解を20回繰り返したが、APC活
性に大きな変化は観られず、安定であった。
Claims (8)
- 【請求項1】 ナトリウムイオンを含有する塩類緩衝液
から構成され、少なくとも一種のアミノ酸を添加し、さ
らにアルブミンもしくは非イオン性界面活性剤を単独で
もしくは組み合わせて添加することを特徴とするプロテ
インCもしくは活性化プロテインCの安定化方法。 - 【請求項2】 最終濃度が、0. 005M〜0. 1Mと
なる量でアミノ酸を含有させる請求項1記載のプロテイ
ンCもしくは活性化プロテインCの安定化方法。 - 【請求項3】 アミノ酸が蛋白質構成アミノ酸から選択
される請求項1もしくは請求項2に記載のプロテインC
もしくは活性化プロテインCの安定化方法。 - 【請求項4】 上記蛋白質構成アミノ酸がグリシン、ア
ラニン、リジン、アルギニン、アスパラギン酸およびグ
ルタミン酸から選択される請求項3に記載のプロテイン
Cもしくは活性化プロテインCの安定化方法。 - 【請求項5】 最終濃度が、0. 5%( W/V) 〜10
%( W/V) となる量でアルブミンを含有させる請求項
1記載のプロテインCもしくは活性化プロテインCの安
定化方法。 - 【請求項6】 最終濃度が、0. 0005%( W/V)
〜0. 1%( W/Vとなる量で非イオン性界面活性剤を
添加することを特徴とする請求項1記載のプロテインC
もしくは活性化プロテインCの安定化方法。 - 【請求項7】 プロテインC及び/または活性化プロテ
インCを100〜2500U/ml、ナトリウムイオン
を50〜200mM、アミノ酸を5〜100mM含有
し、さらにアルブミン0.5〜10%(W/V)もしく
は非イオン性界面活性剤0.0005〜0.1%(W/
V)を単独でもしくは組み合わせて含有するプロテイン
C及び/または活性化プロテインC含有水溶液。 - 【請求項8】 プロテインC及び/または活性化プロテ
インCを1×105〜2.5×106 単位、ナトリウム
を50〜200mg単位有するナトリウム塩、アミノ酸
を5〜100mmol含有し、さらにアルブミン5〜1
00gもしくは非イオン性界面活性剤0.005〜1g
を単独でもしくは組み合わせて含有するプロテインC及
び/または活性化プロテインC含有組成物。
Priority Applications (10)
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