JPH07125358A - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置

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Publication number
JPH07125358A
JPH07125358A JP30235393A JP30235393A JPH07125358A JP H07125358 A JPH07125358 A JP H07125358A JP 30235393 A JP30235393 A JP 30235393A JP 30235393 A JP30235393 A JP 30235393A JP H07125358 A JPH07125358 A JP H07125358A
Authority
JP
Japan
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recording
recording material
holding member
ink
roller
Prior art date
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Pending
Application number
JP30235393A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasutsugu Saijo
西城  泰嗣
Hiroshi Sugiyama
浩 杉山
Keisuke Matsuo
圭介 松尾
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP30235393A priority Critical patent/JPH07125358A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】記録用紙へのインク打ち込み量が多い場合でも
記録用紙の隆起を防止し、記録用紙に生じる余白部分を
非常に小さくし、記録用紙自身の弾性力による記録部に
おける端部の浮き上がりを防止する。 【構成】吸着力発生手段36により記録用紙9の一部分
を保持部材31に吸着させ、保持部材31の少なくとも
記録ヘッド1と対向するを平面状にし、記録用紙9側に
当接する駆動ローラ32を有するローラ対により保持部
材31と記録用紙9を挟持し、これらを一緒に移動させ
て紙送りする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は記録手段から被記録材へ
インクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】プリンター、複写機、ファクシミリ等の
機能を有する記録装置、あるいはコンピューターやワー
ドプロセッサ等を含む複合機やワークステーションの出
力機器として用いられる記録装置は、画像情報に基づい
て用紙やプラスチック薄板(OHPなど)等の被記録材
(記録媒体)に画像(文字や記号なども含む)を記録し
ていくように構成されている。前記記録装置は、使用す
る記録手段の記録方式により、インクジェット式、ワイ
ヤドット式、感熱式、熱転写式、レーザービーム式等に
分けることができる。
【0003】被記録材の搬送方向(副走査方向)と交叉
する方向に主走査する記録方式を採るシリアルタイプの
記録装置においては、被記録材を所定の記録位置にセッ
トした後、被記録材に沿って移動(主走査)するキャリ
ッジ上に搭載した記録手段(記録ヘッド)によって画像
(文字や記号等を含む)を記録し、1行分の記録を終了
した後に所定量の紙送り(副走査)を行ない、その後に
次の行の画像を記録(主走査)するという動作を繰り返
すことにより、被記録材の所望範囲に画像が記録され
る。
【0004】また、周面に被記録材を密着させたドラム
を回転(主走査)させるとともに、記録ヘッドを該ドラ
ムの回転方向と交叉する方向に移動(副走査)させなが
ら記録するドラムスキャン方式の記録装置においては、
記録ヘッドを所定の記録位置にセットした後、ドラムを
1回転させることにより記録ヘッドによって被記録材上
に1行分を画像(文字や記号等を含む)を記録し、1行
分の記録を終了した後に記録ヘッドをドラム軸方向に1
行分だけ移動(副走査)させ、そこで記録ヘッドを停止
させて次の行の画像を記録する(主走査)という動作を
繰り返すことにより、被記録材の全体に画像が記録され
る。
【0005】さらに、被記録材を搬送方向に送る副走査
のみで記録するラインタイプの記録装置においては、被
記録材を所定の記録位置にセットし、一括して1行分の
記録を連続的に行ないながら所定量の紙送り(ピッチ送
り)を行ない、被記録材の全体に画像が記録される。す
なわち、被記録材を移動(紙送り)させる副走査のみで
該被記録材の全体に対する記録が行われる。
【0006】上記各種の記録方式のうち、インクジェッ
ト式(インクジェット記録装置)は、記録手段(記録ヘ
ッド)から被記録材にインクを吐出して記録を行なうも
のであり、記録手段のコンパクト化が容易であり、高精
細な画像を高速で記録することができ、普通紙に特別の
処理を必要とせずに記録することができ、ランニングコ
ストが安く、ノンインパクト方式であるため騒音が少な
く、しかも、多色のインクを使用してカラー画像を記録
するのが容易であるなどの利点を有している。
【0007】特に、熱エネルギーを利用してインクを吐
出するインクジェット式の記録手段(記録ヘッド)は、
エッチング、蒸着、スパッタリング等の半導体製造プロ
セスを経て、基板上に製膜された電気熱変換体、電極、
液路壁、天板などを形成することにより、高密度の液路
配置(吐出口配置)を有するものを容易に製造すること
ができ、一層のコンパクト化を図ることができる。ま
た、IC技術やマイクロ加工技術の長所を活用すること
により、記録手段の長尺化や面状化(2次元化)が容易
であり、記録手段の長尺化および高密度化も容易であ
る。
【0008】図14はシリアルタイプのインクジェット
記録装置の一例を示す模式的斜視図であり、図15は図
14中の記録部の模式的側面図である。図14におい
て、1はインクを吐出して記録を行う記録ヘッド(記録
手段)、2は記録ヘッド1を搭載して往復移動する移動
台(キャリッジ)、3は移動台2を支持案内する一対の
ガイドレール、4は移動台2を駆動するモータ(主走査
モータ)、5はモータ4に直結されたモータプーリ、6
はプーリ5に対向した従動プーリ、7はモータ4の動力
を移動台2に伝えるように前記モータプーリ5および前
記従動プーリ6に張架されたワイヤー、9は記録用紙等
の被記録材(記録媒体)である。
【0009】図14において、10は被記録材9を移動
させるための紙送りモータ、12は記録待機中などの際
に記録ヘッド1のインク吐出部を乾燥や汚染から保護す
るためのキャップ、15は被記録材9を紙送り(搬送)
するための搬送ローラ、16は被記録材9を前記搬送ロ
ーラ15に押し付けるための押圧ローラ、17はキャッ
プ12と被記録材9との間に位置して、記録ヘッド1が
記録以外のインク吐出(空吐出や予備吐出など)を行う
時に吐出されたインクを受けるための空吐出箱である。
13は移動台2の往復移動方向を示す両矢印、14は搬
送ローラ15の回転方向を示す矢印である。
【0010】図14の記録装置で記録を行う際には、イ
ンク吐出部を保護するために記録ヘッド1に密着してい
たキャップ12を該記録ヘッド1から離隔させ、モータ
4を駆動してその動力をプーリ5、6およびワイヤー7
を介して移動台(キャリッジ)2へ伝達し、該移動台2
とともに記録ヘッド1を被記録材9に沿って移動(主走
査)させる。記録ヘッド1が被記録材9に沿って移動す
る間に画像信号に基づいて吐出口からインク滴を吐出さ
せて記録を行う。この記録は、記録ヘッド1の両方向の
移動の際に行ってもよく、片方向への移動の際のみに行
ってもよい。図14および図15において、被記録材9
は、記録ヘッド1の1主走査終了ごと(1行分の記録ご
と)に、紙送りモータ10により搬送ローラ15を矢印
14方向に一定量だけ回転させることにより、一定量
(1行分)だけ紙送りされる。以上の記録と紙送りを繰
り返すことにより、被記録材9の全体に対する記録が行
われる。
【0011】図16はドラムスキャン方式のインクジェ
ット記録装置の一例を示す模式的斜視図である。図16
において、1はインクを吐出して記録を行う記録ヘッド
(記録手段)、2は記録ヘッド1を搭載して往復移動す
る移動台(キャリッジ)、3は移動台2を支持案内する
一対のガイドレール、4は移動台2を駆動するモータ、
5はモータ4に直結されたモータプーリ、6はプーリ5
に対向した従動プーリ、7はモータ4の動力を移動台2
に伝えるように前記モータプーリ5および前記従動プー
リ6に張架されたワイヤー、9は記録用紙等の被記録材
(記録媒体)である。
【0012】図16において、10は被記録材9を移動
させるための紙送りモータ、8は紙送りモータ10によ
り回転駆動される回転ドラムである。この回転ドラム8
は、その内部に静電気力もしくは空気吸引力の発生手段
を備え、静電気力もしくは空気吸引力を被記録材9に作
用させることにより該被記録材9全体をほぼ均一にドラ
ム周面上に密着固定状態で支持するものである。12は
記録待機中などの際に記録ヘッド1のインク吐出部を乾
燥や汚染から保護するためのキャップ、13は移動台2
の往復移動方向を示す矢印、14は回転ドラム8の回転
方向を示す矢印である。
【0013】図16の記録装置で記録を行う際には、イ
ンク吐出部を保護するために記録ヘッド1に密着してい
たキャップ12を該記録ヘッド1から離隔させ、モータ
4を駆動してその動力をプーリ5、6およびワイヤー7
を介して移動台2へ伝達し、該移動台2とともに記録ヘ
ッド1を被記録材9上(記録開始位置)へ移動させる。
一方、回転ドラム8の外周面には被記録材9が予め吸着
固定されており、モータ10の動力により回転ドラム8
が矢印14方向に所定の周速度で回転する間に、所定の
位置に停止した移動台2上の記録ヘッド1からインクを
吐出して1行分の記録を行う。記録ヘッド1が1行分の
記録を終了すると、移動台2とともに記録ヘッド1を次
の行の記録位置まで移動させ、回転ドラム8を回転させ
てその行の記録を行う。これらの動作を繰り返すことに
より、回転ドラム8上の被記録材9の全体に対する記録
が行われる。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
ようなインクジェット記録装置の従来例では、次のよう
な不都合がある。先ず、図14および図15に示したシ
リアルタイプの記録装置においては、走査最終行の記録
時点では、押圧ローラ16が被記録材9を挟持している
点から最端部の吐出口までの距離Wの間は、それ以上被
記録材9を正確に紙送りする手段が無いため、記録を行
うことができない。したがって、被記録材9の終端から
距離Wの間は余白となり、所望の画像サイズが得られな
いという不都合がある。図15中の距離Wは余白を表す
ものである。
【0015】特にA1サイズやA0サイズなどのように
被記録材9の幅が相当に大きい場合には、それに伴って
押圧ローラ16の長さも大きくなり、強度を保つために
その直径を増加させる必要があり、その結果、上記の余
白Wは更に増加してしまう。また、被記録材9の送り方
向下流側にローラ対を設ける場合には、被記録材9の先
端部分にも同様の余白が生じることになる。
【0016】なお、図14および図15の搬送機構に類
似した形態のものとして、記録ヘッド1を挟んで被記録
材9の送り方向上流側と下流側の両方にローラ対を設け
る構成がある。この場合、両ローラ対の送り速度を同一
に設定すると、送り誤差が蓄積した時に両ローラ対の間
で被記録材が盛り上がる(浮き上がる)ことがあり、被
記録材9が記録ヘッド1に接触することがある。この接
触を防止するために、下流側のローラ対の送り速度を上
流側のローラ対より数%多い目に設定することが行なわ
れている。そのため、被記録材9の終端が下流側のロー
ラ対を通過した後は、被記録材9の送りは上流側のロー
ラ対に支配されることになり、正確な画像が得られなく
なる。これに対処するためには、被記録材9の送り寸法
を変える必要があり、紙送り制御が複雑になってしま
う。
【0017】次に、図16に示したドラムスキャン式の
記録装置においては、記録用インクの主な溶媒として水
が用いられており、更に、相当に高濃度の画像を記録す
る場合には多くの水分が被記録材9上に打ち込まれるこ
とになり、そのため、被記録材9が膨潤し、その寸法が
大きくなる方向に広がろうとする。その際、被記録材9
はその全体が回転ドラム8に吸着固定されているので、
上記の広がろうとする力は記録が進むにつれて徐々に蓄
積されて逃げ場を失い、被記録材9が回転ドラム8の円
周方向に隆起することになる。その高さは、概ね1mm
前後にも達し、被記録材9が記録ヘッド1に接触して記
録画像を乱したり、該記録ヘッド1の吐出口に目詰まり
を発生させたりすることがある。
【0018】また、回転ドラム8が円筒形状であるた
め、そこに巻き付けられた被記録材9は自らの弾性力に
より平面状に戻ろうとし、特に、被記録材9の厚みが比
較的大きい場合、その端部が回転ドラム8から浮く傾向
が強くなり、記録ヘッド1と接触して記録画像を乱して
しまうことがある。
【0019】本発明は以上のような従来技術に鑑みてな
されたものであり、本発明の目的は、被記録材へのイン
ク打ち込み量が多い場合でも該被記録材の隆起を防止す
ることができ、記録する際の被記録材の余白部分を非常
に小さくすることができ、被記録材自身の弾性力による
端部の浮き上がりを防止することができるインクジェッ
ト記録装置を提供することである。
【0020】
【課題解決のための手段】請求項1の発明は、記録手段
から被記録材へインクを吐出して記録を行うインクジェ
ット記録装置において、前記被記録材の一部分を吸着す
るための吸着力発生手段と、前記吸着力発生手段から与
えられる吸着力により前記被記録材を吸着保持する保持
部材と、前記保持部材の移動手段とを具備し、前記保持
部材は少なくとも前記記録手段と対向する部分で平面状
を成し、前記移動手段は前記被記録材と前記保持部材を
共に挟持可能でありかつ該被記録材と当接する側に駆動
ローラを有するローラ対である構成とすることにより、
上記目的を達成するものである。
【0021】請求項3の発明は、記録手段から被記録材
へインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置
において、前記被記録材を保持しつつ移動する吸着力発
生手段を有し、該吸着力発生手段の吸着力発生部が少な
くとも2つの領域に分割されており、その分割された領
域の記録手段と対向している領域に部分的に吸着力を発
生させる構成とすることにより、上記目的を達成するも
のである。
【0022】請求項4の発明は、記録手段から被記録材
へインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置
において、前記被記録材の一部分を吸着するための吸着
力発生手段と、該吸着力発生手段から与えられる吸着力
により被記録材を吸着保持しつつ移動する無端ベルト状
の保持部材と、該保持部材を保持し張力を付与する少な
くとも2本のローラと、前記保持部材へ付与する張力の
解除手段と、前記保持部材を前記ローラの軸方向所定位
置に矯正する矯正手段とを具備し、前記保持部材への張
力を前記解除手段により解除している間に、前記矯正手
段が前記保持部材を所定位置へ矯正する構成とすること
により、上記目的を達成するものである。
【0023】
【作用】上記請求項1の発明によれば、記録ヘッドと対
向する位置に固定された吸着力発生手段からの作用によ
り保持部材上に被記録材を吸着保持し、これを移動させ
つつ記録を行うので、前記保持部材が被記録材を吸着す
る範囲は吸着力発生手段により最小限に限定することが
できる。その結果、被記録材の一部のみが吸着固定され
ているので、被記録材へのインク打ち込み量が相当多い
場合でも、該被記録材の膨潤による影響が蓄積されるこ
とはなく、被記録材の隆起は発生しない。また、記録ヘ
ッド最端部の吐出口と被記録材端部とを近接させた状態
でも記録することができ、被記録材上の余白部分を非常
に小さくすることができる。さらに、記録ヘッドと対向
する範囲では保持部材はほぼ平面のまま移動するので、
被記録材自身の弾性力による端部の浮き上がりも発生し
ない。
【0024】上記請求項3の発明によれば、被記録材を
保持しつつ移動する吸着力発生手段の吸着力発生部を少
なくとも2つの領域に分割し、記録ヘッドと対向してい
る領域のみに吸着力を発生させて被記録材を保持するの
で、記録インクの打ち込み量が相当多い場合でも、被記
録材が膨潤し変形しようとする力を蓄積させずに開放部
分へ逃がすことができる。したがって、被記録材の保持
されている部分は変形力の影響を全く受けることがな
く、良好な記録を行うことができる。また、被記録材を
吸着力発生手段の発生する吸着力のみで保持しているの
で、被記録材の余白部分を非常に小さくすることができ
る。さらに、吸着力発生手段は記録ヘッドと対向する領
域ではほぼ平面のまま移動するので、被記録材自身の弾
性による端部の浮き上がりも発生しない。
【0025】上記請求項4の発明によれば、記録ヘッド
と対向した位置に固定した吸着力発生手段からの作用に
より保持部材上に被記録材を吸着保持するとともに該保
持部材を移動させつつ記録を行うとともに、前記吸着力
発生手段により前記保持部材が被記録材を吸着する範囲
を必要最小限に限定することができる。また、解除手段
を作動させることにより前記保持部材に付与されている
張力を一時的に解除するとともに、その間に矯正手段に
より該保持部材の位置を矯正して所定の位置に戻すこと
が可能である。
【0026】その結果次のような作用がもたらされる。
第1に、相当数の被記録材に記録を行った後も保持部材
の斜行などによる偏りが適宜修正され、次の記録に対す
る支障が無くなる。第2に、被記録材の一部のみが吸着
固定されているので、被記録材へのインク打ち込み量が
相当に多い場合でも、被記録材の膨潤による影響は蓄積
されず、被記録材の隆起発生は抑制される。第3に、記
録ヘッド最端部の吐出口と被記録材端部とを近接させて
記録することができ、被記録材上の余白部分を非常に少
なくすることができる。第4に、保持部材は記録ヘッド
と対向する部分がほぼ平面のまま移動するので、被記録
材自身の剛性により該被記録材の端部の浮き上がりが防
止され、被記録材と記録ヘッドとの接触が防止される。
【0027】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。図1は本発明を適用したインクジェット記録装置
の第1実施例の要部構成を示す模式的側面図である。図
1において、1はインクを吐出して記録を行う記録ヘッ
ド、2は記録ヘッド1を搭載して往復移動する移動台
(キャリッジ)、9は紙等の被記録材(記録媒体)、3
1は被記録材9を吸着保持しつつ移動するエンドレスベ
ルト状の保持部材であり、35はプラテン、36は吸着
力発生手段である。前記保持部材は、約0.1mm厚さ
のポリエチレンなどの合成樹脂からできており、無端ベ
ルト形状をしている。
【0028】前記吸着力発生手段36は、記録ヘッド1
に対向する位置にプラテン35により固定されており、
約0.5kV〜10kVの電圧を印加されることによ
り、記録ヘッド1の記録幅とほぼ同一の幅のみ保持部材
31に吸着力を発生させるものであり、所定の高電圧を
発生する高圧電源(不図示)に接続されている。
【0029】図1において、33、34は、保持部材3
1を支持するとともに該保持部材31に適度の張力を与
えるローラである。ローラ34は、上下動可能に筐体に
支持され、図1中で上方へ付勢されている。32は駆動
送りローラある。この駆動送りローラ32は、不図示の
モータにより所定角度回転し、被記録材9および保持部
材31を図中矢印a方向に所定量だけ送るように動作す
る。
【0030】前記記録ヘッド(記録手段)1は、熱エネ
ルギーを利用してインクを吐出するインクジェット記録
ヘッドであって、熱エネルギーを発生するための電気熱
変換体を備えたものである。また、前記記録ヘッド1
は、前記電気熱変換体により印加される熱エネルギーに
よってインク内に膜沸騰を生じさせ、その時に生じる気
泡の成長、収縮による圧力変化を利用して吐出口よりイ
ンクを吐出させ、記録を行うものである。
【0031】図2は、前記記録ヘッド1のインク吐出部
の構造を模式的に示す部分斜視図である。図2におい
て、前記被記録材9と所定の隙間(例えば、約0.5〜
2.0ミリ程度) をおいて対面する吐出口面81には、
所定のピッチで複数の吐出口82が形成され、共通液室
83と各吐出口82とを連通する各液路84の壁面に沿
ってインク吐出用のエネルギーを発生するための電気熱
変換体(発熱抵抗体など)85が配設されている。記録
ヘッド1は、前記吐出口82が主走査方向(該記録ヘッ
ド1の往復移動方向)と交叉する方向に並ぶような位置
関係で、移動台(キャリッジ2)に搭載されている。こ
うして、画像信号または吐出信号に基づいて対応する電
気熱変換体85を駆動(通電)して、液路84内のイン
クを膜沸騰させ、その時に発生する圧力によって吐出口
82からインクを吐出させる記録ヘッド1が構成されて
いる。
【0032】図1に示した状態は被記録材9の最先端部
を記録する時の状態を示す。記録動作が開始されると、
被記録材9は、駆動送りローラ32および保持部材31
により挟まれつつ、図中の右側から図示の状態まで導か
れ、吸着力発生手段36から与えられた吸着力により保
持部材31の平面部に吸着され、記録ヘッド1の図面に
垂直方向の走査(主走査)動作により画像を記録され
る。1ライン分の記録が行われると、駆動送りローラ3
2を所定角度回転させて被記録材9および保持部材31
を図中左方向へ所定量だけ送り、次いで記録ヘッド1を
再び図面に垂直方向に移動(主走査)させながら次のラ
インの記録が行われる。以上の動作を繰り返して被記録
材9全体の画像記録が行われる。
【0033】そして、被記録材9の後端が駆動送りロー
ラ32を抜けると、ローラ34および保持部材31は該
被記録材9の厚み分だけ上昇して図中二点鎖線に示す状
態となる。その後では、駆動送りローラ32は保持部材
31のみを駆動する。この時、被記録材9は保持部材3
1に吸着されているので、その後も前述と同じ手順で該
被記録材9の後端まで画像を記録することができる。
【0034】前述の被記録材9および保持部材31の送
り精度は駆動送りローラ32の外径Dに支配され、その
直径Dを正確に製作すれば、精度の高い送りを達成する
ことが可能となる。しかしながら、本実施例とは逆にロ
ーラ34をモータにより所定角度回転させて送りを行う
構成を採ると、該ローラ34の外径dと保持部材31の
厚みtとの2つの精度により送り量が支配されるため、
この2つの精度を厳しく管理する必要が生じたり、エン
コーダー等で送り量をフィードバック制御しなければな
らないためにコストアップを招く可能性がでてくる。図
示の本実施例はこれらの点で有利な構成になっている。
【0035】以上説明した実施例によれば、吸着力発生
手段36からの作用により保持部材31上に被記録材9
を吸着保持し、これを移動させつつ記録を行い、該保持
部材31が被記録材9を吸着する範囲は前記吸着力発生
手段36により必要最小限に限定することにより、被記
録材9へのインク打ち込み量が相当多い場合でも、被記
録材9の一部のみが吸着固定されていることから、該被
記録材9の膨潤による影響は蓄積されず、該被記録材9
の隆起が発生し難いという効果が得られる。
【0036】また、記録ヘッド1最端部の吐出口82と
被記録材端部とを近接させた状態でも記録することがで
き、被記録材9上の余白部分を非常に小さくすることが
可能となり、更に、記録ヘッド1と対向する範囲では保
持部材31はほぼ平面のまま移動するので、被記録材9
自身の弾性力による端部の浮き上がりも発生しないとい
う効果が得られる。さらに、被記録材9に当接する側の
ローラ32を駆動送りローラとすることにより、保持部
材31の厚みムラやバラツキの影響を受けないで正確な
紙送りを達成できるという効果も得られる。
【0037】図3は本発明を適用したインクジェット記
録装置の第2実施例の要部構成を示す模式的側面図であ
る。本実施例は、前述の第1実施例に比べ、無端ベルト
状の前記保持部材31に代えて巻き取り式の帯状のベル
トを使用し、さらに、吸着力発生手段として帯電ローラ
を使用する点で異なる構成になっている。図3におい
て、1はインクを吐出して記録を行う記録ヘッド、2は
記録ヘッド1を搭載して往復移動する移動台(キャリッ
ジ)、9は紙やプラスチック薄板等の被記録材(記録媒
体)、41は被記録材9を吸着保持する保持部材であ
る。
【0038】前記保持部材41は厚み約0.1mmの合
成樹脂(ポリエチレン等)の材質でできており、その一
端をローラ42に、他の一端をローラ43にそれぞれ連
結(固定)し、それぞれのローラ42、43に巻き取ら
れている。前記ローラ42は図中矢印b方向に、前記ロ
ーラ43は図中矢印c方向に、それぞれゼンマイ等で付
勢されており、保持部材41に張力が付与されている。
32は駆動送りローラであり、37はプラテンである。
【0039】図3において、44は帯電加圧ローラであ
る。この帯電加圧ローラ44は、一つには、駆動送りロ
ーラ32へ押圧されることにより、被記録材9および保
持部材41を駆動送りローラ32との間で挟持する加圧
ローラとしての役目を果たしており、二つ目には、高圧
電源46で発生した所定の電圧を端子45を経由して印
加されることにより、保持部材41に被記録材9を吸着
する吸引力を発生させる吸着力発生手段としての役目を
果たすものである。
【0040】図3に示す状態は被記録材9の最先端部に
記録可能な状態を示す。記録動作が開始されると、被記
録材9は、駆動送りローラ32および保持部材41によ
り挟まれつつ、図中の右側から図示の状態まで導かれ、
帯電加圧ローラ44により発生させられた吸着力により
保持部材41の平面部に吸着され、記録ヘッド1の図面
に垂直方向の走査(主走査)動作により画像を記録され
る。1ライン分の記録が行われると、駆動送りローラ3
2を所定角度回転させて被記録材9および保持部材41
を図中左方向へ所定量だけ送り、次いで記録ヘッド1を
再び図面に垂直方向に移動(主走査)させながら次のラ
インの記録が行われる。以上の動作を繰り返して被記録
材9全体の画像記録が行われる。記録が終了し、被記録
材9がローラ33の左側へ抜けると、駆動送りローラ3
2の回転方向を逆転させて該駆動送りローラ32を図中
反時計方向に回転させ、保持部材41をイニシアル状態
まで巻き戻す。
【0041】以上図3で説明した第2実施例によれば、
前述の第1実施例の場合と同様の効果が得られる他に、
駆動送りローラ32と対向して設けられた加圧ローラ4
4に帯電機能を持たせることにより、部品点数の少ない
コンパクトな構成が可能となるという効果が得られる。
【0042】以上説明した第1および第2実施例に関し
ては、次の点を追加または変更した態様で実施すること
も可能である。すなわち、第1に、保持部材31、41
として多種の異なった材質を重ねた構造のものを使用
し、吸着力や被記録材9との摩擦力を一層好適なものに
する。第2に、記録終了後の被記録材9を保持部材3
1、41から分離させる分離手段として、曲率を利用し
たり、分離爪を使用する周知の分離手段を用いる。第3
に、保持部材31、41の移動手段に超音波モータを利
用する。第4に、記録装置本体と保持部材31、41と
の間に、その相対移動距離あるいは速度などの検知を行
うための光学式あるいは磁気式の検知手段を設けること
により、被記録材の送りを一層正確なものにする。
【0043】図4は本発明を適用したインクジェット記
録装置の第3実施例の要部構成を示す模式的斜視図であ
る。図4において、1はインクを吐出して記録を行う記
録ヘッド(記録手段)、2は記録ヘッド1を搭載して往
復移動する移動台(キャリッジ)、3は移動台2を支持
案内する一対のガイドレール、4は移動台2を駆動する
モータ(主走査モータ)、5はモータ4に直結されたモ
ータプーリ、6はプーリ5に対向した従動プーリ、7は
モータ4の動力を移動台2に伝えるように前記モータプ
ーリ5および前記従動プーリ6に張架されたワイヤー、
9は記録用紙等の被記録材(記録媒体)である。
【0044】図4において、20は被記録材9を保持す
る保持手段(保持部材)、10は被記録材9を移動させ
るための紙送りモータ、21は紙送りモータ10に直結
されて保持手段20を駆動するローラ、22は前記ロー
ラ21に対向した従動ローラである。前記保持手段20
は、例えば厚みが0.5〜1.0mm程度のポリイミド
やポリエステル等の合成樹脂からできており、導電体を
串歯状に配線した無端ベルト状の部材で構成されてい
る。
【0045】図5および図6は前記保持手段20上の前
記導電体の配線状態を例示する平面図である。図5およ
び図6において、前記導電体は図示のように複数の領域
に分割されており、該導電体の記録ヘッド1と対向して
いて該記録ヘッド1とほぼ同じ幅の領域に給電ブラシ2
3a、23bより高電圧を印加することによって、保持
手段20の記録ヘッド1が主走査する領域だけに吸着力
を発生させるように構成されている。すなわち、保持手
段20の走行経路の両側に、不図示の電源より該保持手
段20に高電圧を印加するための給電ブラシ23a、2
3bが配設されており、該給電ブラシ23a、23bよ
り保持手段20に一体的に配線された導電体28a、2
8b(29a、29b────)に順次電圧を印加する
ことにより、記録ヘッド1と対向する領域で被記録材9
を吸着するように構成されている。したがって、本実施
例では、保持手段20自体で吸着力発生手段が形成され
ている。
【0046】図4において、25は記録ヘッド1の待機
中などに該記録ヘッドの吐出口82を乾燥などから保護
するためのキャップであり、26は移動台2の移動方向
を示す矢印、矢印27はローラ21の回転方向を示す矢
印である。図4の記録装置で記録を行う際には、インク
吐出部を保護するために記録ヘッド1に密着していたキ
ャップ25を該記録ヘッド1から離隔させ、モータ4を
駆動してその動力をプーリ5、6およびワイヤー7を介
して移動台(キャリッジ)2へ伝達し、該移動台2とと
もに記録ヘッド1を被記録材9に沿って移動(主走査)
させる。記録ヘッド1が被記録材9に沿って移動する間
に画像信号に基づいて吐出口からインク滴を吐出させて
記録を行う。この記録は、記録ヘッド1の両方向の移動
の際に行ってもよく、片方向への移動の際のみに行って
もよい。
【0047】被記録材9は、記録ヘッド1の1主走査終
了ごと(1行分の記録ごと)に、紙送りモータ10とロ
ーラ21、22によって保持手段20とそれに保持され
た被記録材9は矢印27方向へ所定の幅だけ紙送りされ
る。この時、図5に示すように、給電ブラシ23a、2
3bより印加される高電圧により吸着力を発生して被記
録材9を保持していた保持手段20の導電体28a、2
8bも、矢印24の方向に所定の幅だけ移動し、図6に
示すように、前記導電体28a、28bは給電ブラシ2
3a、23bから離れて被記録材9を解放し、そして、
次の導電体29a、29bが給電ブラシ23a、23b
に接触し、この導電体29a、29bにより発生する吸
着力によって被記録材9を保持するようになる。これら
を繰り返しながら、記録ヘッド1によって保持手段20
に保持された被記録材9全域に画像が記録される。
【0048】図4〜図6の第3実施例によれば、被記録
材9は常に記録ヘッド1の走査領域でのみ保持されてい
て、所定の記録が終了すると解放されるので、記録イン
クの打ち込み量が相当多い場合でも、被記録材9が膨潤
して変形しようとする力は、蓄積されることなく、解放
されている方へ逃げていく。したがって、被記録材9の
保持されている領域では、その影響を全く受けずに、良
好な記録を行うことができる。
【0049】また、被記録材9を吸着力発生手段(保持
手段)20の発する吸着力のみで保持しているため、被
記録材9の端部を記録ヘッド1の最端部の吐出口82近
接させた状態でも記録することができ、被記録材9の余
白部分を非常に小さくすることができる。さらに、記録
ヘッド1と対向する範囲では保持部材20はほぼ平面の
まま移動するので、被記録材9自身の弾性力による端部
の浮き上がりも防止することができる。また、記録ヘッ
ド1と対向している領域のみに電圧を印加しているの
で、消費電力を低減することもできる。
【0050】図7は本発明を適用したインクジェット記
録装置の第4実施例の保持手段20を示す部分平面図で
ある。本実施例においては、被記録材9を保持する保持
手段20の導電体28a、28bは記録ヘッド1の走査
方向に対し若干の角度θをもって取り付けられている。
被記録材9の厚みが比較的薄い場合など、いわゆる腰が
無いために被記録材自身で平板形状を保つ力が弱い場合
には、該被記録材の全幅を一度に吸着すると凸形状の部
分を残したまま保持手段20に吸着されてしまうが、本
実施例のように導電体28a、28bを記録ヘッド1の
走査方向に対して傾斜させ、一端部から他端に向けて徐
々に吸着していくことにより、凸形状の部分を残したま
ま吸着されるという上記の欠点を緩和することが可能に
なる。
【0051】図7の第4実施例のその他の構成および動
作は前述の第3実施例の場合と同一である。したがっ
て、この第4実施例によっても、第3実施例の場合と同
様の効果が得られる。
【0052】図8は本発明を適用したインクジェット記
録装置の第5実施例の要部構成を示す模式的斜視図であ
る。本実施例は、前述の第3実施例に比べ、無端ベルト
状の前記保持部材20に代えて巻き取り式のベルト状の
保持手段30を使用する点で相違している。図8におい
て、1はインクを吐出して記録を行う記録ヘッド、2は
記録ヘッド1を搭載して往復移動する移動台(キャリッ
ジ)、9は紙やプラスチック薄板等の被記録材(記録媒
体)、30は被記録材9を吸着保持する保持手段であ
る。
【0053】前記保持手段30は、例えば厚みが約0.
5〜1.0mm程度のポリイミドやポリエステル等の合
成樹脂でできており、導電体を串歯状に一体的に配線し
た帯状部材に加工されている。図8において、47は紙
送りを行うローラ21に押圧される加圧ローラである。
この加圧ローラ47は不図示の付勢手段により送りロー
ラ21に押圧付勢されている。前記帯状の保持手段30
は、その一端で巻き取りローラ48に結合(固定)さ
れ、繰り出された他端側の部分で前記紙送りローラ21
と加圧ローラ47との間で挟持されており、前記巻き取
りローラ48をモータ49で駆動することにより所定方
向に所定量だけ走行駆動される。
【0054】図8の第5実施例は、以上説明した点で図
4の第3実施例と相違しているが、その他の部分では構
成および動作とも第3実施例と同一であり、したがっ
て、それぞれ対応する部分を同一符号で示し、それらの
詳細説明は省略する。そして、図8の第5実施例によっ
ても、図4の第3実施例の場合と同様、被記録材9を保
持しつつ移動する吸着力発生手段(保持手段)20、3
0の吸着力発生部を少なくとも2つ以上の領域に分割
し、記録ヘッド1に対向している領域のみに吸着力を発
生させて被記録材9を保持するので、記録インクの打ち
込み量が相当多い場合でも、被記録材9が膨潤し変形し
ようとする力を蓄積せずに解放されている方へ逃がすこ
とができ、したがって、被記録材9の保持されている領
域への前記変形力の影響を全く無くすことができ、良好
な記録を行うことができる。
【0055】また、第3実施例の場合と同様、吸着力発
生手段20、30の発する吸着力のみで被記録材9を保
持しているので、被記録材9の余白部分を非常に小さく
することも可能である。さらに、保持手段20、30は
記録ヘッド1と対向する領域ではほぼ平面のまま移動す
るので、被記録材9自身の弾性(剛性)による端部の浮
き上がりも防止される。
【0056】以上説明した第3実施例〜第5実施例に関
しては、次の点を追加または変更した態様で実施するこ
とも可能である。第1に、記録終了後の被記録材9を保
持部材20、30から分離させる分離手段として、曲率
を利用したり、分離爪を使用する周知の分離手段を用い
る。第2に、被記録材9を保持する吸着力発生手段2
0、30を移動させる手段として超音波モータあるいは
リニア型ステッピングモータを利用する。
【0057】第3に、記録装置本体と吸着力発生手段2
0、30との間に、その相対移動距離あるいは速度など
の検知を行うための光学式あるいは磁気式の検知手段を
設け、その検知手段からの電気信号に基づいて吸着力発
生手段20、30の移動距離または速度を制御し、被記
録材9の送り(搬送)を一層正確なものにする。第4
に、有端の帯状吸着力発生手段30を用い、長尺の被記
録材上に記録を行う装置構成として、記録位置に対して
吸着力発生手段移動方向上流側に吸着力発生手段の巻き
取り手段を、同じく下流側に吸着力発生手段の繰り出し
手段および巻き取り手段を設ける。
【0058】図9は本発明を適用したインクジェット記
録装置の第6実施例の要部構成を示す模式的斜視図であ
る。図9において、1はインクを吐出して記録を行う記
録ヘッド(記録手段)、2は記録ヘッド1を搭載して往
復移動する移動台(キャリッジ)、3は移動台2を支持
案内する一対のガイドレール、4は移動台2を駆動する
モータ(主走査モータ)、5はモータ4に直結されたモ
ータプーリ、6はプーリ5に対向した従動プーリ、7は
モータ4の動力を移動台2に伝えるように前記モータプ
ーリ5および前記従動プーリ6に張架されたワイヤー、
9は記録用紙等の被記録材(記録媒体)である。
【0059】図9において、10は被記録材9を移動さ
せるための紙送りモータ、12は記録待機中などの際に
記録ヘッド1のインク吐出部を乾燥や汚染から保護する
ためのキャップ、17はキャップ12と被記録材9との
間に位置して、記録ヘッド1が記録以外のインク吐出
(空吐出や予備吐出など)を行う時に吐出されたインク
を受けるための空吐出箱である。13は移動台2の往復
移動方向を示す両矢印、14は駆動ローラ19の回転方
向を示す矢印である。
【0060】図9において、18は被記録材9を吸着し
保持しつつ移動する保持部材である。この保持部材18
は、例えば厚みが約0.1mm程度のポリエチレンなど
の合成樹脂からできており、無端ベルト形状をしてい
る。51は吸着力発生手段である。この吸着力発生手段
51は、記録ヘッド1に対向する位置に固定されてお
り、約0.5kV〜10kVの電圧を印加されることに
より記録ヘッド1の記録幅とほぼ同一幅のみ保持部材1
8に吸着力を発生させるものであり、所定の高電圧を発
生する高圧電源(不図示)に接続されている。
【0061】図9において、19は保持部材18を支持
駆動する駆動ローラである。この駆動ローラ19は紙送
りモータ10により回転駆動される。52は従動ローラ
である。この従動ローラ52は、駆動ローラ19に対向
する位置に配設され、保持部材18を支持するととも
に、該保持部材18に所定の張力を付与するためのもの
である。53は支持アームである。この支持アーム53
は従動ローラ52を回転自在に支持しており、また、該
支持アーム53には回動中心孔54a、54bが形成さ
れている。
【0062】図9において、55a、55bはコイルバ
ネである。このコイルバネ55a、55bは、一端が支
持アーム53に、他端が記録装置本体側にそれぞれ掛止
され、保持部材18に張力を付与している。56はプラ
ンジャーである。このプランジャー56は、その動作部
が支持アーム53に係合しており、所定の電力を供給さ
れることにより所定量動作し、コイルばね55a、55
bのばね力に対抗して保持部材18の張力を解除するこ
とが可能なものである。
【0063】図9において、57a、57bは矯正アー
ムである。これらの矯正アーム57a、57bは、それ
ぞれが回転中心孔58a、58bを有し、L字形に曲が
った一端部が保持部材18の側面に当接、離反するよう
に配設されている。59はプランジャーである。このプ
ランジャー59は、その動作部が各矯正アーム57a、
57bの一端部に係合し、所定の電力供給により所定の
動作量および力を発生し、矯正アーム57a、57bを
回動させることが可能である。図10は矯正アーム57
a、57bが保持部材18の位置を矯正する前の状態を
示す模式的正面図であり、図11は矯正アーム57a、
57bが保持部材18の位置を矯正している時の状態を
示す模式的正面図である。
【0064】図9の記録装置で記録を行う際には、イン
ク吐出部を保護するために記録ヘッド1に密着していた
キャップ12を該記録ヘッド1から離隔させ、モータ4
を駆動してその動力をプーリ5、6およびワイヤー7を
介して移動台(キャリッジ)2へ伝達し、該移動台2と
ともに記録ヘッド1を被記録材9に沿って移動(主走
査)させる。記録ヘッド1が被記録材9に沿って移動す
る間に画像信号に基づいて吐出口からインク滴を吐出さ
せて記録を行う。この記録は、記録ヘッド1の両方向の
移動の際に行ってもよく、片方向への移動の際のみに行
ってもよい。
【0065】一方、被記録材9は、吸着力発生手段51
により与えられた吸着力により保持部材18の平面部に
吸着しており、記録ヘッド1の一主走査ごとに(1ライ
ンの記録ごとに)、モータ10で駆動ローラ19を矢印
14方向に所定量だけ回転させることにより紙送りされ
る。上記の記録ヘッド1の主走査による1ライン分の記
録と上記の被記録材9の1ライン分の紙送り(副走査)
を繰り返すことにより、該被記録材9全体に画像が記録
される。
【0066】この記録動作の時、保持部材18は、コイ
ルバネ55a、55bにより、支持アーム53を介し
て、駆動ローラ19との間で進行方向のすべりが生じな
い程度の適度な張力を付与されている。一枚もしくは複
数枚の被記録材9に対する記録が終了した後、プランジ
ャー56を作動させることにより支持アーム53との連
結部を引き上げる。すると、支持アーム53が回動中心
54a、54bを中心に回動し、従動ローラ52が駆動
ローラ19の方向へ所定量だけ移動する。その結果、保
持部材18に作用していた張力が解除され、該保持部材
18と駆動ローラ19および従動ローラ52との間の摩
擦力が大幅に減少し、両ローラ19、52の軸方向への
拘束も小さいものとなる。
【0067】そこで、プランジャー59を作動させるこ
とにより、図11に示すように、矯正アーム57a、5
7bを回転中心孔58a、58bを中心に所定角度だけ
回転させ、保持部材18を両側面から挟み込む。こうす
ることにより、保持部材18に駆動ローラ19の軸方向
への位置ずれ(偏り)が生じる場合でも、該保持部材1
8を初期の位置へ矯正することができる。この保持部材
18の矯正動作を行う理由は次のとおりである。すなわ
ち、保持部材18は、それ自身の形状誤差や駆動ローラ
19と従動ローラ52の平行性の誤差などに起因して、
被記録材9を記録する間に初期の位置から駆動ローラ1
9の軸方向へ移動し、遂には許容範囲外へ移動してしま
うことがあり、このような保持部材18の許容範囲外へ
移動を防止するためである。次に、各プランジャー5
6、59への電力供給を停止して支持アーム53および
矯正アーム57a、57bを元の位置に復帰させること
により、保持部材18は矯正動作以前の張力を付与され
た状態になり、次の記録に備えることになる。
【0068】上記の記録動作において、被記録材9を保
持する保持部材18は被記録材9の記録ヘッド1と対向
する部分を吸着保持して該被記録材9を送るので、被記
録材9の先端および後端部分の記録時においても、記録
ヘッド1側へ出っ張る部材が存在せず、したがって、被
記録材9の端部が記録ヘッド1の最端部の吐出口82に
近接した時にも記録することができ、被記録材9上の余
白部分を最小限にすることができる。また、保持部材1
8が被記録材9を吸着している領域は、被記録材9の全
体ではなく、ほぼ記録ヘッド1の1行の記録幅程度の必
要最小限の範囲であり、吸着力発生手段51上から離れ
た後では吸着力は供給されず減衰するので、水を主たる
溶媒とする記録インクを被記録材9に相当多量に打ち込
んだ時にも、被記録材9が吸水したことによる膨潤が蓄
積し難いので、被記録材9の隆起を最小限に減らすこと
ができる。さらに、被記録材9の記録ヘッド1と対向す
る部分はほぼ平面であるので、該被記録材9自身の弾性
(剛性)により端部が浮き上がることもなく、記録ヘッ
ド1と被記録材9との接触も発生せず、保持部材18は
記録開始時には所定の位置に保持されるので、記録の妨
げになるものはなく、良好な記録を行うことができる。
【0069】図12は本発明を適用したインクジェット
記録装置の第7実施例の要部構成を示す模式的斜視図で
ある。本実施例は、第6実施例のプランジャー59を廃
止し、これに代わる動力源として移動台2の動作を利用
したものである。図12において、61は記録装置本体
に回動自在に支持されているアームである。このアーム
61は、移動台2がキャップ12に当接する位置に戻っ
た際にその先端部が移動台2に押される位置に配置され
ている。62はアーム61からの動きを伝達するワイヤ
ーである。63はワイヤー62の動きを矯正アーム57
a、57bに伝達する接続部材である。この接続部材6
3の一端はワイヤー62に連結され、他端は各矯正アー
ム57a、57bに連結されている。64a、64b、
64cはワイヤー62を案内支持するための滑車であ
る。65はアーム61を所定の姿勢に保つための引っ張
りばねである。
【0070】図12の第7実施例は、以上説明した点で
図9〜図11の第6実施例と相違するが、その他の構成
および動作は第6実施例の場合と同一である。そのた
め、図12中にそれぞれ対応する部分を同一符号で示
し、それらの詳細説明は省略する。図12の第7実施例
によっても、図9〜図11の第6実施例の場合と同様の
作用および効果を実現することができる。
【0071】図13は本発明を適用したインクジェット
記録装置の第8実施例の要部構成を示す模式的斜視図で
ある。本実施例は、第6実施例のプランジャー59を廃
止するとともに、前述の矯正アーム57a、57bの代
わりにバネ付勢された滑車付きアームを用いる構成とし
たものである。図13において、66a、66bは保持
部材18の両側縁に接触する回転自在な滑車であり、6
7a、67bは回動中心孔68(左右対称の2箇所)に
より記録装置本体に回動自在に支持されている滑車支持
アームである。左右の滑車66a、66bは、それぞ
れ、左右の滑車支持アーム67a、67bに軸支されて
いる。
【0072】図13において、69は滑車66a、66
bが保持部材18に接触する方向に左右の滑車支持アー
ム67a、67bを付勢する引っ張りコイルばねであ
る。なお、図13では、前記引っ張りコイルばね69は
左側のみ図示されているが、右側の滑車支持アーム67
bにも同様に(左右対称に)に取り付けられている。前
記左右の引っ張りコイルばね69、69のばね力は、保
持部材18に所定の張力が作用している時には該保持部
材18に影響を与えず、張力が解除されて駆動ローラ1
9および従動ローラ52との摩擦力が大幅に減少し、保
持部材18に対する両ローラ19、52の軸方向拘束力
が小さくなった際には、該保持部材18を初期の位置に
移動(矯正)させることができる値(引っ張り力)に設
定されている。
【0073】図13の第8実施例は、以上説明した点で
図9〜図11の第6実施例と相違するが、その他の構成
および動作は第6実施例の場合と同一である。そのた
め、図13中にそれぞれ対応する部分を同一符号で示
し、それらの詳細説明は省略する。図13の第8実施例
によっても、図9〜図11の第6実施例の場合と同様の
作用および効果を実現することができる。
【0074】すなわち、図9〜図13に示した第6実施
例〜第8実施例によれば、記録ヘッド1と対向した位置
に固定した吸着力発生手段51からの作用により保持部
材18上に被記録材9を吸着し、それを移動させつつ記
録を行う構成としたので、前記保持部材18が被記録材
9を吸着する範囲は吸着力発生手段51により必要最小
限の範囲に限定することができる。また、保持部材18
に付与する張力の解除手段53、56を作動させ、その
間に保持部材18の位置を矯正手段により矯正するの
で、保持部材18および被記録材9を常に正しい位置を
通して送ることができる。
【0075】その結果、次のような効果も併せて実現す
ることができる。第1に、相当数の被記録材9に記録を
行った後も、保持部材18の斜行などによって生じた偏
りを適宜修正(矯正)することができ、次の記録に支障
を及ぼすことはない。第2に、被記録材9への記録イン
ク打ち込み量が相当多い場合でも、被記録材9の一部の
みが吸着固定されているので、該被記録材9の膨潤によ
る影響は蓄積せず、該被記録材9における隆起の発生を
防止することができる。第3に、被記録材9の端部(前
後の端部)が記録ヘッド1の最端部の吐出口82に接近
した状態でも正常に記録できるので、被記録材9上の余
白部分を非常に小さくすることができる。第4に、保持
部材18は記録ヘッド1と対向する部分でほぼ平面のま
ま移動するので、被記録材9自身の弾性(剛性)による
端部の浮き上がりが防止され、被記録材9が記録ヘッド
1に接触することは無い。
【0076】以上説明した第6実施例〜第8実施例に関
しては、次の点を追加または変更した態様で実施するこ
とも可能である。第1に、保持部材18の張力を解除す
る手段の動力源として、移動台2の駆動力を利用する。
第2に、保持部材18として多種の異なった材質を重ね
た構造のものを使用し、吸着力や被記録材9との摩擦力
を一層好適なものにする。第3に、記録終了後の被記録
材9を保持部材18から分離させる分離手段として、曲
率を利用したり、分離爪を使用する周知の分離手段を追
加して用いる。第4に、保持部材18の移動手段として
超音波モータあるいはリニア型ステッピングモータを利
用する。第5に、記録装置本体と保持部材18との間
に、その相対移動距離あるいは速度などの検知を行うた
めの光学式あるいは磁気式の検知手段を設け、その検知
手段からの電気信号に基づいて保持部材18の移動距離
または速度を制御することにより、被記録材9の送り
(搬送)を一層正確なものにする。
【0077】なお、前述の各実施例では、記録手段(記
録ヘッド)を主走査方向に移動させるシリアル記録方式
の場合を例に挙げて説明したが、本発明は、被記録材の
全幅または一部をカバーする長さのライン記録手段を用
いて副走査のみで記録するライン記録方式の場合にも、
同様に適用することができ、同様の効果を達成し得るも
のである。また、本発明は、1個の記録ヘッドで記録す
る単色記録用の他、異なる色で記録する複数の記録手段
を用いるカラー記録用、あるいは同一色彩で異なる濃度
で記録する複数の記録手段を用いる階調記録用の記録装
置、さらには、これらを組み合わせた記録装置の場合に
も、同様に適用することができ、同様の効果を達成し得
るものである。
【0078】さらに、本発明は、記録ヘッドとインクタ
ンクを一体化した交換可能なヘッドカートリッジを用い
る場合、あるいは記録ヘッドとインクタンクを別体に
し、その間をインク供給用のチューブ等で接続する場合
など、記録ヘッドとインクタンクの配置構成がどのよう
な場合にも同様に適用することができ、同様の効果が得
られるものである。
【0079】なお、本発明は、インクジェット記録装置
であれば、例えば、ピエゾ素子等の電気機械変換体等を
用いる記録手段(記録ヘッド)を使用するものに適用で
きるが、中でも、熱エネルギーを利用してインクを吐出
する方式の記録手段を使用するインクジェット記録装置
において優れた効果をもたらすものである。かかる方式
によれば、記録の高密度化、高精細化が達成できるから
である。
【0080】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行なうのが好ましい。この方式は、所謂オンデマンド
型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能である
が、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)
が保持されているシートや液路に対応して配置されてい
る電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越
える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号
を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギー
を発生せしめ、記録手段(記録ヘッド)の熱作用面に膜
沸騰させて、結果的にこの駆動信号に一対一に対応し液
体(インク)内の気泡を形成出来るので有効である。
【0081】この気泡の成長、収縮により吐出用開口を
介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも一つの
滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即
時適切に気泡の成長収縮が行なわれるので、特に応答性
に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好まし
い。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4
463359号明細書、同第4345262号明細書に
記載されているようなものが適している。尚、上記熱作
用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第43131
24号明細書に記載されている条件を採用すると、更に
優れた記録を行なうことができる。
【0082】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体
の組み合わせ構成(直線状液流路又は直角液流路)の他
に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示
する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4
459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれる
ものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開
示する特開昭59年第123670号公報や熱エネルギ
ーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を
開示する特開昭59年第138461号公報に基づいた
構成としても本発明は有効である。すなわち、記録ヘッ
ドの形態がどのようなものであっても、本発明によれ
ば、記録を確実に効率よく行なうことができるようにな
るからである。
【0083】さらに、前述のように、記録装置が記録で
きる被記録材(記録媒体)の最大幅に対応した長さを有
するフルラインタイプの記録ヘッドに対しても、本発明
は有効に適用できる。そのような記録ヘッドとしては、
複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満たす
構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての
構成のいずれでもよい。加えて、上例のようなシリアル
タイプのものでも、装置本体に固定された記録ヘッド、
あるいは装置本体に装着されることで装置本体との電気
的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交
換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッ
ド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッ
ジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効で
ある。
【0084】また、本発明に記録装置の構成として設け
られる記録ヘッドに対しての回復手段や予備的な補助手
段等を付加することは、本発明の効果を一層安定できる
ので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、
記録ヘッドに対しての、キャッピング手段、クリーニン
グ手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは
別の加熱素子或はこれらの組み合わせによる予備加熱手
段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出モードを行なう
ことも安定した記録を行なうために有効である。
【0085】また、前述のように、搭載される記録ヘッ
ドの種類ないし個数についても、例えば、単色のインク
に対応して1個のみが設けられたものの他、記録色や濃
度を異にする複数のインクに対応して複数個数設けられ
るものであってもよい。すなわち、例えば、記録装置の
記録モードとしては、黒色等の主流色のみの記録モード
だけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個
の組み合わせによるか、いずれでもよいが、異なる色の
複色カラー又は、混色によるフルカラーの少なくとも一
つを備えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0086】さらに加えて、以上説明した本発明実施例
においては、インクを液体として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もし
くは液化するもの、あるいは、インクジェット方式で
は、インク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度
調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように
温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付
与時にインクが液状をなすものであればよい。加えて、
積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの固形状態か
ら液体状態への状態変化のエネルギーとして使用せしめ
ることで防止するか、または、インクの蒸発防止を目的
として放置状態で固化するインクを用いるかして、いず
れにしても、熱エネルギーの記録信号に応じた付与によ
ってインクが液化し、液状インクが吐出されるものや、
記録媒体に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等
のような、熱エネルギーによって初めて液化する性質の
インクを使用する場合も本発明は適用可能である。
【0087】このような場合のインクは、特開昭54−
56847号公報あるいは特開昭60−71260号公
報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔
に液状または固形物として保持された状態で、電気熱変
換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明
においては、上述した各インクに対して最も有効なもの
は、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0088】さらに加えて、本発明によるインクジェッ
ト記録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理
機器の画像出力端末として用いられるものの他、リーダ
等と組み合わせた複写装置、さらには送受信機能を有す
るファクシミリ装置の形態を採るもの等であってもよ
い。
【0089】
【発明の効果】以上の説明から明らかなごとく、請求項
1の発明によれば、記録手段から被記録材へインクを吐
出して記録を行うインクジェット記録装置において、前
記被記録材の一部分を吸着するための吸着力発生手段
と、前記吸着力発生手段から与えられる吸着力により前
記被記録材を吸着保持する保持部材と、前記保持部材の
移動手段とを具備し、前記保持部材は少なくとも前記記
録手段と対向する部分で平面状を成し、前記移動手段は
前記被記録材と前記保持部材を共に挟持可能でありかつ
該被記録材と当接する側に駆動ローラを有するローラ対
である構成としたので、被記録材へのインク打ち込み量
が多い場合でも該被記録材の隆起を防止することがで
き、記録する際の被記録材の余白部分を非常に小さくす
ることができ、被記録材自身の弾性力による端部の浮き
上がりを防止することができるインクジェット記録装置
が提供される。
【0090】請求項3の発明によれば、記録手段から被
記録材へインクを吐出して記録を行うインクジェット記
録装置において、前記被記録材を保持しつつ移動する吸
着力発生手段を有し、該吸着力発生手段の吸着力発生部
が少なくとも2つの領域に分割されており、その分割さ
れた領域の記録手段と対向している領域に部分的に吸着
力を発生させる構成としたので、被記録材へのインク打
ち込み量が多い場合でも該被記録材の隆起を防止するこ
とができ、記録する際の被記録材の余白部分を非常に小
さくすることができ、被記録材自身の弾性力による端部
の浮き上がりを防止することができるインクジェット記
録装置が提供される。
【0091】請求項4の発明によれば、記録手段から被
記録材へインクを吐出して記録を行うインクジェット記
録装置において、前記被記録材の一部分を吸着するため
の吸着力発生手段と、該吸着力発生手段から与えられる
吸着力により被記録材を吸着保持しつつ移動する無端ベ
ルト状の保持部材と、該保持部材を保持し張力を付与す
る少なくとも2本のローラと、前記保持部材へ付与する
張力の解除手段と、前記保持部材を前記ローラの軸方向
所定位置に矯正する矯正手段とを具備し、前記保持部材
への張力を前記解除手段により解除している間に、前記
矯正手段が前記保持部材を所定位置へ矯正する構成とし
たので、被記録材へのインク打ち込み量が多い場合でも
該被記録材の隆起を防止することができ、記録する際の
被記録材の余白部分を非常に小さくすることができ、被
記録材自身の弾性力による端部の浮き上がりを防止する
ことができるインクジェット記録装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したインクジェット記録装置の第
1実施例の要部構成を示す模式的側面図である。
【図2】図1中の記録手段のインク吐出部の構造を模式
的に示す部分斜視図である。
【図3】本発明を適用したインクジェット記録装置の第
2実施例の要部構成を示す模式的側面図である。
【図4】本発明を適用したインクジェット記録装置の第
3実施例の要部構成を示す模式的斜視図である。
【図5】図4中の保持手段上の導電体の配線状態を示す
模式的平面図である。
【図6】図5の状態から保持手段が所定距離移動した時
の状態を示す模式的平面図である。
【図7】本発明を適用したインクジェット記録装置の第
4実施例における保持手段上の導電体の配線状態を示す
模式的平面図である。
【図8】本発明を適用したインクジェット記録装置の第
5実施例の要部構成を示す模式的斜視図である。
【図9】本発明を適用したインクジェット記録装置の第
6実施例の要部構成を示す模式的斜視図である。
【図10】図9中の矯正アームが保持部材の位置を矯正
する前の状態を示す模式的正面図である。
【図11】図9中の矯正アームが保持部材の位置を矯正
している時の状態を示す模式的正面図である。
【図12】本発明を適用したインクジェット記録装置の
第7実施例の要部構成を示す模式的斜視図である。
【図13】本発明を適用したインクジェット記録装置の
第8実施例の要部構成を示す模式的斜視図である。
【図14】シリアルタイプのインクジェット記録装置の
要部構成を例示する模式的斜視図である。
【図15】図14中の記録部の模式的側面図である。
【図16】ドラムスキャン方式のインクジェット記録装
置の要部構成を例示する模式的斜視図である。
【符号の説明】
1 記録手段(記録ヘッド) 2 移動台(キャリッジ) 3 ガイドレール 4 主走査モータ 9 被記録材 10 紙送りモータ 12 キャップ 15 搬送ローラ 18 保持部材 19 駆動ローラ 20 保持手段 23 給電ブラシ 25 キャップ 27 駆動ローラ 28 導電体 29 導電体 30 保持手段 31 保持部材 32 駆動送りローラ 35 プラテン 36 吸着力発生手段 37 プラテン 41 保持部材 44 帯電加圧ローラ 46 高圧電源 47 加圧ローラ 48 巻き取りローラ 49 モータ 51 吸着力発生手段 52 従動ローラ 53 支持アーム 55 コイルバネ 56 プランジャー 57 矯正アーム 58 回転中心孔 59 プランジャー 61 アーム 62 ワイヤー 63 接続部材 65 引っ張りばね 66 滑車 67 滑車支持アーム 69 引っ張りコイルばね 81 吐出口面 82 吐出口 84 液路 85 電気熱変換体

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録手段から被記録材へインクを吐出
    して記録を行うインクジェット記録装置において、前記
    被記録材の一部分を吸着するための吸着力発生手段と、
    前記吸着力発生手段から与えられる吸着力により前記被
    記録材を吸着保持する保持部材と、前記保持部材の移動
    手段とを具備し、前記保持部材は少なくとも前記記録手
    段と対向する部分で平面状を成し、前記移動手段は前記
    被記録材と前記保持部材を共に挟持可能でありかつ該被
    記録材と当接する側に駆動ローラを有するローラ対であ
    ることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 【請求項2】 前記駆動ローラに対向する加圧ローラ
    が前記吸着力を発生するための帯電ローラであることを
    特徴とする請求項1のインクジェット記録装置。
  3. 【請求項3】 記録手段から被記録材へインクを吐出
    して記録を行うインクジェット記録装置において、前記
    被記録材を保持しつつ移動する吸着力発生手段を有し、
    該吸着力発生手段の吸着力発生部が少なくとも2つの領
    域に分割されており、その分割された領域の記録手段と
    対向している領域に部分的に吸着力を発生させることを
    特徴とするインクジェット記録装置。
  4. 【請求項4】 記録手段から被記録材へインクを吐出
    して記録を行うインクジェット記録装置において、前記
    被記録材の一部分を吸着するための吸着力発生手段と、
    該吸着力発生手段から与えられる吸着力により被記録材
    を吸着保持しつつ移動する無端ベルト状の保持部材と、
    該保持部材を保持し張力を付与する少なくとも2本のロ
    ーラと、前記保持部材へ付与する張力の解除手段と、前
    記保持部材を前記ローラの軸方向所定位置に矯正する矯
    正手段とを具備し、前記保持部材への張力を前記解除手
    段により解除している間に、前記矯正手段が前記保持部
    材を所定位置へ矯正することを特徴とするインクジェッ
    ト記録装置。
  5. 【請求項5】 前記記録手段が、インクを吐出するた
    めに利用される熱エネルギーを発生する電気熱変換体を
    備えているインクジェット記録手段であることを特徴と
    する請求項1〜4のいずれかのインクジェット記録装
    置。
  6. 【請求項6】 前記記録手段が、前記電気熱変換体が
    発生する熱エネルギーによりインクに生じる膜沸騰を利
    用して、吐出口よりインクを吐出させることを特徴とす
    る請求項5のインクジェット記録装置。
JP30235393A 1993-11-08 1993-11-08 インクジェット記録装置 Pending JPH07125358A (ja)

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JP30235393A JPH07125358A (ja) 1993-11-08 1993-11-08 インクジェット記録装置

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6511172B2 (en) 1997-11-20 2003-01-28 Canon Kabushiki Kaisha Printing apparatus

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