JPH07125228A - インクジェット記録装置およびクリーニング方法 - Google Patents

インクジェット記録装置およびクリーニング方法

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JPH07125228A
JPH07125228A JP29732193A JP29732193A JPH07125228A JP H07125228 A JPH07125228 A JP H07125228A JP 29732193 A JP29732193 A JP 29732193A JP 29732193 A JP29732193 A JP 29732193A JP H07125228 A JPH07125228 A JP H07125228A
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recording
wiping
ink
time
temperature
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JP29732193A
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English (en)
Inventor
Hitoshi Nishigori
均 錦織
Atsushi Arai
篤 新井
Kiichiro Takahashi
喜一郎 高橋
Naoji Otsuka
尚次 大塚
Kentaro Yano
健太郎 矢野
Osamu Iwasaki
督 岩崎
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】記録ヘッド1の吐出口82付近のインク等の付
着物を拭き取るワイピング動作を制御するに際し、ワイ
ピング間隔を必要最小限の最適値にし、記録装置のスル
ープットを低下させずにインクの吐出状態を常に良好に
維持する。 【構成】記録ヘッド1のインク吐出部に付着したインク
や異物を拭き取るためのワイピング部材7を設け、記録
ドット数および記録時間をカウントし、記録ドット数お
よび記録時間のそれぞれに基づいて吐出口面81のワイ
ピング動作の時期を制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は記録手段から被記録材へ
インクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置お
よび前記記録手段のインク吐出部をクリーニングするク
リーニング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プリンター、複写機、ファクシミリ等の
機能を有する記録装置、あるいはコンピューターやワー
ドプロセッサ等を含む複合機やワークステーションの出
力機器として用いられる記録装置は、画像情報に基づい
て用紙やプラスチック薄板(OHPなど)等の被記録材
(記録媒体)に画像(文字や記号なども含む)を記録し
ていくように構成されている。前記記録装置は、使用す
る記録手段の記録方式により、インクジェット式、ワイ
ヤドット式、感熱式、熱転写式、レーザービーム式等に
分けることができる。
【0003】被記録材の搬送方向(副走査方向)と交叉
する方向に主走査する記録方式を採るシリアルタイプの
記録装置においては、被記録材を所定の記録位置にセッ
トした後、被記録材に沿って移動(主走査)するキャリ
ッジ上に搭載した記録手段(記録ヘッド)によって画像
(文字や記号等を含む)を記録し、1行分の記録を終了
した後に所定量の紙送り(副走査)を行ない、その後に
次の行の画像を記録(主走査)するという動作を繰り返
すことにより、被記録材の所望範囲に画像が記録され
る。
【0004】また、周面に被記録材を密着させたドラム
を回転(主走査)させるとともに、記録ヘッドを該ドラ
ムの回転方向と交叉する方向に移動(副走査)させなが
ら記録するドラムスキャン方式の記録装置においては、
記録ヘッドを所定の記録位置にセットした後、ドラムを
1回転させることにより記録ヘッドによって被記録材上
に1行分を画像(文字や記号等を含む)を記録し、1行
分の記録を終了した後に記録ヘッドをドラム軸方向に1
行分だけ移動(副走査)させ、そこで記録ヘッドを停止
させて次の行の画像を記録する(主走査)という動作を
繰り返すことにより、被記録材の全体に画像が記録され
る。
【0005】さらに、被記録材を搬送方向に送る副走査
のみで記録するラインタイプの記録装置においては、被
記録材を所定の記録位置にセットし、一括して1行分の
記録を連続的に行ないながら所定量の紙送り(ピッチ送
り)を行ない、被記録材の全体に画像が記録される。す
なわち、被記録材を移動(紙送り)させる副走査のみで
該被記録材の全体に対する記録が行われる。
【0006】上記各種の記録方式のうち、インクジェッ
ト式(インクジェット記録装置)は、記録手段(記録ヘ
ッド)から被記録材にインクを吐出して記録を行なうも
のであり、記録手段のコンパクト化が容易であり、高精
細な画像を高速で記録することができ、普通紙に特別の
処理を必要とせずに記録することができ、ランニングコ
ストが安く、ノンインパクト方式であるため騒音が少な
く、しかも、多色のインクを使用してカラー画像を記録
するのが容易であるなどの利点を有している。
【0007】特に、熱エネルギーを利用してインクを吐
出するインクジェット式の記録手段(記録ヘッド)は、
エッチング、蒸着、スパッタリング等の半導体製造プロ
セスを経て、基板上に製膜された電気熱変換体、電極、
液路壁、天板などを形成することにより、高密度の液路
配置(吐出口配置)を有するものを容易に製造すること
ができ、一層のコンパクト化を図ることができる。ま
た、IC技術やマイクロ加工技術の長所を活用すること
により、記録手段の長尺化や面状化(2次元化)が容易
であり、記録手段の長尺化および高密度化も容易であ
る。
【0008】前記インクジェット記録装置においては、
インクを吐出して記録を行う際、記録部近傍に浮遊する
インクミストあるいは被記録材から跳ね返るインクなど
が記録ヘッドのインク吐出部(吐出口部分)に付着して
吐出口を塞いだり、紙粉やゴミ等の異物がインク湿りを
介してインク吐出部に付着して吐出口を塞いだりするこ
とがあり、そのために、インク滴の吐出方向(飛翔方
向)が変化して吐出不良(ヨレなど)となったり、吐出
が不能(不吐出)になったりして、正常な記録ができな
くなることがある。
【0009】そこで、インクジェット記録装置では、イ
ンク吐出部の上記付着物を拭き取るためのワイピング部
材(ブレード)を設け、キャリッジの移動を利用して吐
出口部分を前記ワイピング部材に擦り付ける構成が採用
されている。このワイピング動作は、インクジェット記
録装置の信頼性を高めるための重要な技術となってい
る。また、ワイピング動作では除去しきれない紙粉やゴ
ミ等の異物を取り除く手段としては、例えば、吸引用キ
ャップおよび吸引用ポンプから成る回復装置を設け、ポ
ンプの負圧で吐出口からインクを吸引し、その際に吸い
出されるインクの流れにより吐出口部分から上記異物を
取り除く構成が採用されている。
【0010】ところで、従来のインクジェット記録装置
のワイピング制御においては、良好なワイピング能力を
維持するために、インク吐出部の濡れインク量が一定の
状態の時にワイピングを行うという観点から、記録時間
による制御、記録桁数による制御あるいは記録ドット数
による制御が行われている。その場合、ワイピングを行
うタイミングは、記録ヘッドの吐出口面の濡れが吐出不
良を引き起こす前にワイピングを行うように設定される
のが一般的である。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
制御によるワイピング動作には次のような不都合があっ
た。先ず、記録時間によりワイピングを制御する場合
は、記録デューティが高い場合も低い場合も同様に記録
時間に基づいてワイピングが行われるので、記録デュー
ティが高い場合は短時間で吐出口面が濡れるのに対し、
記録デューティが低い場合は吐出口面が濡れるまでに比
較的多くの時間を要する。そのため、高デューティ記録
の場合に合わせてワイピングの時間間隔を設定すると、
低デューティ記録の場合には必要がないのに短時間毎に
ワイピングを行うことになり、記録装置のスループット
を向上させるという点から無駄な時間がかかっていると
いう不都合がある。
【0012】次の記録桁数でワイピングを制御する場合
も、前述した記録時間による制御の場合と同様の不都合
がある。最後のドットカウントによるワイピング制御の
場合は、記録ヘッドの濡れに関しては、前記2つの制御
方法よりは適切に制御できると考えられる。しかし、記
録デューティが低い場合にワイピング間隔が長くなって
しまい、そのために生じる不都合がある。すなわち、例
えば、高温低湿などインクの増粘の進行速度が速い環境
の下でワイピング間隔が長くなってしまうと、ワイピン
グを行う前に吐出口面に付着したインクが増粘または固
着してしまい、ワイピングでは充分に拭き取ることがで
きなくなる。
【0013】また、インクジェット記録ヘッドの吐出量
は、一般に、インク温度が高くなると吐出量が増大する
傾向がある。したがって、インク温度が高くなると、被
記録材表面から反射する(跳ね返る)インク量や記録部
近傍に浮遊するインクミスト量が増大し、吐出口面の濡
れもひどくなる。そのため、ワイピング条件は、画像品
位を保証する範囲内で、濡れの最も多い条件でも濡れに
よる記録不良が起こらないように設定する必要がある。
しかし、このような設定を行うと、低温多湿など濡れの
起こり難い条件下では必要以上にワイピングを行うこと
になり、記録装置のスループットを速くする際の障害に
なる。
【0014】本発明はこのような技術課題に鑑みてなさ
れたものであり、本発明の目的は、吐出口面を拭き取る
ためのワイピングを制御するに際し、ワイピング間隔を
必要最小限にすることができ、記録装置のスループット
を低下させずにインクの吐出状態を常に良好に維持でき
るワイピング制御を行い得るインクジェット記録装置を
提供することである。
【0015】
【課題解決のための手段】請求項1の発明は、記録手段
から被記録材へインクを吐出して記録を行うインクジェ
ット記録装置において、記録手段のインク吐出部に付着
したインクや異物を拭き取るためのワイピング部材と、
記録データのドットカウント手段と、記録時間のタイム
カウント手段と、前記ドットカウント手段で得られる記
録ドット数と前記タイムカウント手段で得られる記録時
間とにより前記ワイピング部材のワイピング動作を制御
するワイピング制御手段と、を有する構成とすることに
より、上記目的を達成するものである。
【0016】請求項2の発明は、請求項1の構成に加え
て、前記ワイピング制御手段は、記録手段の温度を検出
する温度検出手段を備え、前記ドットカウント手段で得
られる記録ドット数と前記タイムカウント手段で得られ
る記録時間と前記温度検知手段で得られる記録手段の温
度とにより前記ワイピング部材のワイピング動作を制御
する構成とすることにより、一層効率よく上記目的を達
成するものである。
【0017】請求項3の発明は、被記録材へインクを吐
出して記録を行う記録手段のインク吐出部に付着したイ
ンクや異物を拭き取るクリーニング方法において、入力
される記録データのドット数と記録時間とを計数し、得
られた記録ドット数と記録時間とにより前記インク吐出
部に対する拭き取り動作を制御する構成とすることによ
り、上記目的を達成するものである。
【0018】請求項4の発明は、請求項3の構成に加え
て、さらに、記録手段の温度を検出し、前記記録ドット
数と記録時間とに加えて記録手段の温度との3種の因子
により前記インク吐出部に対する拭き取り動作を制御す
る構成とすることにより、一層効率よく上記目的を達成
するものである。
【0019】
【作用】上記構成によれば、吐出口面を拭き取るための
ワイピングを制御するに際し、インク吐出部に付着した
濡れインクの量を記録ドット数で見積もるとともに、イ
ンクの増粘を記録時間で見積もり、さらに必要に応じて
上記濡れインクの量を記録手段の温度で修正見積もり
し、これら各方面からの見積もりに基づく条件によって
ワイピング制御を行うので、ワイピング間隔を必要最小
限にすることができ、記録装置のスループットを低下さ
せずにインクの吐出状態を常に良好に維持できるワイピ
ング制御を行うことが可能になる。
【0020】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。図1は本発明を適用したインクジェット記録装置
の一実施例を示す模式的斜視図である。図1において、
1は記録ヘッド(記録手段)、2はキャリッジ、3はキ
ャリッジ2を案内支持するガイド軸、4はキャリッジ2
の底面と接触して該キャリッジとプラテン(被記録材)
との間隔を決めているガイドレールである。キャリッジ
2は、前記ガイド軸3およびガイドレール4によりその
姿勢を決められ、かつ記録装置の幅方向の位置および往
復移動を案内されている。5は用紙やプラスチック薄板
等のシート状の被記録材(記録媒体)、6は記録部にお
いて被記録材5を支持するプラテンである。
【0021】図1の記録装置ではキャリッジ2上に4個
の記録ヘッド1が搭載されている。カラー記録用の場合
には、これら4個の記録ヘッド1は、それぞれ異なる色
(例えば、ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)の
インクを用いて記録するように構成される。なお、以下
の説明では、これら4個の記録ヘッドの全体または任意
の一つを指す場合には、単に記録ヘッド1または記録手
段1で示すことにする。
【0022】図1において、7は各記録ヘッド1の吐出
口面に摺接してインク等の異物を拭き取るためのワイピ
ング部材(ブレード)、8は記録ヘッド1の吐出口面に
密着することにより吐出口を保護密封したり吸引回復時
に吐出口に吸引負圧を発生させるためのキャッピング部
材(キャップ)である。前記ワイピング部材7およびキ
ャッピング部材8は、キャリッジ2に対して接近離反方
向に移動可能に回復台9上に保持されている。また、回
復台9に保持された各キャッピング部材8の内部は吸引
チューブ10を通して吸引回復用のポンプ11に接続さ
れている。
【0023】前記記録手段(記録ヘッド)1は、熱エネ
ルギーを利用してインクを吐出するインクジェット記録
ヘッドであって、熱エネルギーを発生するための電気熱
変換体を備えたものである。また、前記記録ヘッド1
は、前記電気熱変換体により印加される熱エネルギーに
よってインク内に膜沸騰を生じさせ、その時に生じる気
泡の成長、収縮による圧力変化を利用して吐出口よりイ
ンクを吐出させ、記録を行うものである。
【0024】図2は、前記記録ヘッド1のインク吐出部
の構造を模式的に示す部分斜視図である。図2におい
て、前記被記録材5と所定の隙間(例えば、約0.5〜
2.0ミリ程度) をおいて対面する吐出口面81には、
所定のピッチで複数の吐出口82が形成され、共通液室
83と各吐出口82とを連通する各液路84の壁面に沿
ってインク吐出用のエネルギーを発生するための電気熱
変換体(発熱抵抗体など)85が配設されている。記録
ヘッド1は、前記吐出口82が主走査方向(該記録ヘッ
ド1の往復移動方向)と交叉する方向に並ぶような位置
関係で、キャリッジ2に搭載されている。こうして、画
像信号または吐出信号に基づいて対応する電気熱変換体
85を駆動(通電)して、液路84内のインクを膜沸騰
させ、その時に発生する圧力によって吐出口82からイ
ンクを吐出させる記録ヘッド1が構成されている。
【0025】図1および図2で説明したようなインクジ
ェット記録装置においては、記録終了または記録中断の
後に、キャリッジ2が記録領域からキャップ8の位置
(記録ヘッド1がキャップ8と対向するホームポジショ
ン)へ移動し、その位置に停止すると、該キャップ8が
キャリッジ2の方向へ移動して吐出口面81に密着する
ことにより各吐出口82を密封する動作(キャッピン
グ)が行われる。このキャッピングの後、吸引ポンプ1
1を作動させてキャップ8内に負圧を発生させることに
より、各吐出口82からインクとともに異物を吸い出す
動作(吸引回復動作)が行われる。
【0026】また、キャリッジ2がホームポジションへ
移動する際、ブレード(ワイピング部材)7を記録ヘッ
ド1の吐出口面81の方向へ突出させ、該ブレード7に
よりキャリッジ2上の記録ヘッド1の吐出口面81を摺
擦することにより、該吐出口面81上の異物を拭き取る
動作(ワイピング動作)が行われる。通常、このような
インクジェット記録装置におけるワイピング動作を行う
時期(タイミング)は、吐出口面81上の吸引残インク
を除去するための記録ヘッド1の吸引回復動作後のタイ
ミング、並びに記録中の濡れインクを除去するための記
録中のタイミングなどに設定される。この中でも、記録
中のワイピング動作は記録品位を良好に保つために特に
重要である。
【0027】また、ワイピング動作によって吐出口面8
1上のインクやゴミなどを確実に除去するためには、ワ
イピング条件を精密に制御する必要がある。ワイピング
条件としては、ワイピング部材(ブレード)7のヘッド
摺接部形状およびヘッド摺接部撥水性、並びに、ワイピ
ング時に吐出口面81に接触するワイピング部材7の当
接面積、当接圧、当接角、相対移動速度などが挙げられ
る。
【0028】例えば、他の条件を一定にし、記録ヘッド
1に対するワイピング部材7の相対移動速度(以下ワイ
ピング速度と呼ぶ)を変化させた時の、それぞれの速度
におけるワイピング動作後の吐出口面81の状態は、図
3の(A)、(B)、(C)に示すとおりである。図3
中の四角は吐出口82を示し、大小の丸印は吐出口面8
1上に付着したインクやゴミ等の異物を示す。図3にお
いて、(A)はワイピング速度が速すぎる場合を、
(B)は適正である場合を、(C)は遅すぎる場合をそ
れぞれ示す。また、図3の(B)のような除去性能が発
揮されるような条件に決められても、実際には、異なる
ワイピング動作時期における吐出口面81上の濡れイン
クの量や物性は様々であるので、常に良好でかつ同様な
ワイピング能力を発揮できるとは限らない。
【0029】そこで、本発明によれば、吐出口面81の
濡れによって記録不良が起こらないようなワイピング間
隔をドットカウントにより制御するのと並行して、吐出
口面81に付着したインクが増粘する前にワイピングを
行うように記録時間によってもワイピング間隔を制御す
ることが行われる。
【0030】図4は本発明者らの実験によって得られた
インク温度と吐出口面のワイピング性の関係を示すグラ
フである。図4の横軸はインク温度を示し、縦軸は参考
としての各温度におけるインク粘度を示している。図4
において、インク温度がTL(下限温度)以下の場合、
全体に拭き残りインクが多く図3の(A)のような状態
になる。一方、インク温度がTH (上限温度)以上の場
合、吐出口82の近傍に大きなインク残りが生じ、図3
の(C)のような状態となり、いずれの場合も良好なワ
イピング性が得られなかった。
【0031】これに対して、インク温度がTL とTH
の間(以下最適ワイピング温度と称す)においては、イ
ンク残りは少なく、図3の(B)のような良好なワイピ
ング効果が得られただけでなく、前述した他のワイピン
グ条件に関しても設定の許容度が大きくなった。インク
の組成は種々のものが考えられるが、今回の実験に使用
した水性インクの場合には、いずれも図4に示すような
傾向(特性)を示した。
【0032】図5は本発明を適用したインクジェット記
録装置の構成をデータフローで表した模式図であり、図
6は本発明を適用したインクジェット記録装置の第1実
施例の制御動作を示すフローチャートである。図5にお
いて、15は記録制御手段、16は記録ドット数カウン
タ、17は前回のワイピングまたは記録開始からの記録
時間のタイムカウント手段、18はワイピング動作指示
手段、19はワイピング動作制御手段である。前記記録
制御手段15は、記録命令によって所望の画像を被記録
材5に記録するように、記録ヘッド1、キャリッジ2お
よび被記録材搬送手段を駆動するものである。前記ワイ
ピング動作指示手段18は、記録ドットカウント値とそ
の設定値との比較並びにタイムカウント値とその設定値
との比較に基づいてワイピングのタイミング(時期)を
決定するものである。
【0033】次に図6のフローチャートを参照して各部
の動作を説明する。図6において、記録制御手段15が
記録命令を受けて記録を開始する(ステップS1)と、
記録ドット数カウンタ16と記録時間カウンタ17がス
タートされ、記録ドット数カウントと記録時間カウント
を開始する(ステップS2)。記録継続中、ワイピング
動作指示手段18は、記録ドット数カウント値Nと予め
設定されたワイピングドット数NWIP とを比較し(ステ
ップS3)、N>NWIP であれば、ワイピング動作命令
を記録制御手段15とワイピング動作制御手段19に送
り(ステップS5)、ワイピング動作を実行する。一
方、N<NWIP の場合には、続いて記録時間をチェック
する。
【0034】前回のワイピングまたは記録開始から未だ
ワイピングを行っていない場合は、記録開始時からの記
録時間Tと予め設定されたワイピング記録時間TWIP
を比較し(ステップS4)、T>TWIP であれば、ワイ
ピング動作命令を記録制御手段15とワイピング動作制
御手段19に送り(ステップS5)、ワイピング動作を
実行する。一方、T<TWIP の場合には、ワイピングは
行わず、記録制御手段により1行の記録が行われる(ス
テップS7)。
【0035】ワイピング動作命令を受けた記録制御手段
15は、記録を中断してワイピング動作に備える。動作
命令を受けたワイピング動作制御手段19がキャリッジ
2およびワイピング部材7を駆動することによりワイピ
ング動作が行われる。ワイピング動作終了後、記録ドッ
ト数カウンタ16および記録時間カウンタ17はリセッ
トおよびスタートされる(ステップS6)。その後、記
録制御手段15により1行分の記録が行われ(ステップ
S7)、続いて記録が行われる場合には、ステップS3
の記録ドット数のチェックに戻る。一方、記録終了の場
合には、キャリッジ2がホームポジションまで移動して
停止し、キャッピング動作に備える。
【0036】前述のような制御を行う場合、記録ヘッド
1全体の保温温度を最適ワイピング温度範囲内(TL
H との間)に設定しておき、また、非記録時にインク
の到達最高温度TMAX からTH になるまでの時間をワイ
ピングウェイト値TWIP に予め設定しておくことによ
り、ワイピング時のインク温度が常に最適ワイピング温
度範囲になり、良好なワイピング性能が得られる。本実
施例では、記録ヘッド1の表面(吐出口面81)の濡れ
性を推定するためにドットカウントを行ったが、もっと
簡易な手法としては、記録キャラクターの数により記録
ヘッド1の濡れを見積もり、同時に記録時間によりイン
クの増粘を推定する構成にしてもよい。
【0037】以上図6について説明した第1実施例によ
れば、記録データのドットカウントと記録時間のタイム
カウントを行い、記録ドット数と記録時間の双方に基づ
いてワイピング制御を行うので、濡れインク量を記録ド
ット数で見積もるとともに、インクの増粘を記録時間で
見積もり、その両方に対してワイピング制御を行うこと
が可能になり、それによって、ワイピング間隔を必要最
小限にすることができ、記録装置のスループットを低下
させずに記録ヘッド1を常に良好な状態に維持し得るワ
イピング制御を行うことが可能になる。
【0038】なお、カラー記録の場合、各ヘッドにより
インクの吐出条件が異なるが、ワイピングのための所定
の条件になったものが1つでも出現したところでワイピ
ングを行うようにすることが望ましい。また、複数のヘ
ッド間でほぼ同様なインク吐出条件により記録が実行さ
れるような場合には、ほぼ同様な記録条件でインク吐出
している記録ヘッドの全てがワイピングのための条件と
なったところでワイピングを行うようにすることが好ま
しい。
【0039】図7は本発明を適用したインクジェット記
録装置の第2実施例におけるワイピング制御のための割
り込みの処理を示すフローチャートであり、図8は図7
の第2実施例におけるワイピング制御動作のフローチャ
ートである。前述の第1実施例では記録命令を受けた時
にワイピングを実行するか否かの判定を行ったが、本実
施例では、一定時間間隔毎に割り込み処理を行うことに
よりワイピングを実行するか否かの判定を行う。そし
て、本実施例では、ワイピングの条件が成立していれ
ば、メモリのワイピングフラグをセットし、次の行の記
録を行う前に前記ワイピングフラグを参照してワイピン
グを実行するか否かを決定する。以下、図7および図8
を参照して本実施例(第2実施例)のワイピング制御動
作を説明する。
【0040】図7は一定時間毎に発生する割り込みの処
理を示す。図7において、割り込みが発生すると、第1
実施例の場合と同様に、記録ドット数カウンタ16と記
録時間カウンタ17をチェックし、ワイピングを行う条
件、すなわち前述したようなN>NWIP およびT>T
WIP の条件が成立している場合には、ワイピングフラグ
をセットし、割り込み処理を終了する。ワイピングを行
う条件が成立しない場合は、そのまま割り込み処理を終
了する。
【0041】図8において、記録指令を受けると、第1
実施例における記録ドット数および記録時間のチェック
の代わりに、ワイピングフラグをチェックし、ワイピン
グフラグがセットされていればワイピング動作を指示
し、ワイピング動作制御手段19によってワイピング動
作を実行する。ワイピング動作終了後、記録ドットカウ
ンタ16および記録時間カウンタ17の各カウンタをリ
セットし、ワイピングフラグをリセットした後、1行分
の記録を行う。上記チェックでワイピングフラグがセッ
トされていない場合は、そのまま1行分の記録を行う。
【0042】以上図7および図8で説明した第2実施例
によっても、前述の第1実施例の場合と同様、記録デー
タのドットカウントと記録時間のタイムカウントを行
い、記録ドット数と記録時間の双方に基づいてワイピン
グ制御を行うので、濡れインク量を記録ドット数で見積
もるとともに、インクの増粘を記録時間で見積もり、そ
の両方に対してワイピング制御を行うことが可能にな
り、それによって、ワイピング間隔を必要最小限にする
ことができ、記録装置のスループットを低下させずに記
録ヘッド1を常に良好な状態に維持し得るワイピング制
御を行うことが可能になる。なお、カラー記録では、前
述したように制御されることが好ましい。
【0043】図9は本発明を適用したインクジェット記
録装置の第3実施例におけるワイピング制御動作を示す
フローチャートである。本実施例では、記録ヘッド1の
温度(吐出口面81の温度、インクの温度など)によ
り、記録ヘッド1の濡れに対する制御および吐出口面8
1に付着したインクの増粘に対する制御条件を変え、こ
の変更した条件でワイピングの制御が行われる。すなわ
ち、本実施例は、上記の記録ドット数Nおよび記録時間
Tの他に記録ヘッド温度を検知し、これら3つの条件に
基づいてワイピング制御を行うものである。
【0044】記録ヘッド1の吐出口面81や記録ヘッド
1内のインクの温度は、装置の置かれている環境の温度
によっても当然変化するが、記録に伴う自己昇温(発
熱)により大きく変化する。インク温度が高い場合、記
録ヘッド1のインク吐出量が大きくなる。吐出量が大き
くなると、被記録材5からの反射(跳ね返り)などによ
り、吐出口面81が濡れる速度はインク温度が低温であ
る場合に比べて速くなる。それに対応するために、ドッ
トカウンタ16でカウントするドット数を温度によって
変えることにより、インク温度が高温であるために吐出
量が大きい場合はワイピング間隔を短くする。一方、イ
ンク温度が低く吐出量が小さいために吐出口面81の濡
れが起こり難い場合(濡れる速度が遅い場合)には、ワ
イピング間隔を大きくし、記録装置のスループットの向
上およびワイピング機構の耐久性の向上を図る。
【0045】ドットカウントは、吐出量が大きい場合に
は多くカウントし、吐出量が小さい場合には少なくカウ
ントするので、吐出したインク量より吐出口面81の濡
れの程度を見積もることになる。また、吐出口面81や
それに付着したインクの温度が高温であれば、インクの
増粘も速くなる。一般的に、高温低湿では増粘しやすく
なり、低温高湿では増粘しにくい。これに対処するた
め、本実施例では、タイムカウント手段17による記録
時間のカウント量を温度により変えるという手法が採ら
れる。
【0046】つまり、高温の場合は、カウントする量を
多くすることにより、記録時間カウンタ17の値Tが予
め設定されたワイピング記録時間TWIP に速く達するよ
うになり、ワイピング間隔が短くなる。また、低温で増
粘し難い場合には、ワイピング間隔が長くなり、記録装
置のスループットが向上し、ワイピング機構の無駄な消
耗を防止することができる。本実施例では、記録ヘッド
1の吐出口面81の温度あるいは記録ヘッド1内のイン
クの温度は、該記録ヘッド1に取り付けられた温度セン
サにより測定される。以下に、図9を参照して、本実施
例(第3実施例)におけるドットカウントおよびタイム
カウントの処理を説明する。
【0047】図9において、カウンタ16、17による
カウントは、一定時間毎に発生させる割り込みによる割
り込み処理で行われる。割り込み処理に入ると、先ず記
録ヘッド1の温度を調べ(ステップS31)、その値に
より、記録ドットカウンタ16と記録時間カウンタ17
に加算する数を変える。本実施例では、図示のように、
ヘッド温度Jが20℃以下の時は、ステップS32およ
びS33へ進み、タイムカウンタ17の値に2を加算す
るとともに、ドットカウンタ16のドット数を4分の3
倍(0・75倍)にする。
【0048】また、ヘッド温度Jが20℃と28℃との
間の時には、ステップS34およびS35へ進み、タイ
ムカウンタ17の値に3を加算するとともに、ドットカ
ウンタ16のドット数はそのまま(1倍)にする。さら
に、ヘッド温度Jが28℃以上の時には、ステップS3
6およびS37へ進み、タイムカウンタ17の値に5を
加算するとともに、ドットカウンタ16のドット数を3
分の4倍(1・33倍)にする。
【0049】以上図9で説明した第3実施例によれば、
前述の第1実施例の場合と同様に記録データのドットカ
ウントと記録時間のタイムカウントを行うとともに、こ
れらのカウント値を温度による吐出口面81の濡れ性の
変化で補正し、これら補正したカウント値(記録ドット
数と記録時間)に基づいてワイピング制御を行うので、
記録ドット数による濡れインク量の見積もり並びに記録
時間によるインク増粘を見積もりが一層正確になり、こ
れらの見積もりに基づいて一層精密なワイピング制御を
行うことが可能になり、それによって、ワイピング間隔
を必要最小限にすることができ、記録装置のスループッ
トを低下させずに記録ヘッド1を常に良好な状態に維持
し得るワイピング制御を行うことが可能になる。
【0050】なお、前述した第3実施例では、一定時間
毎の割り込み処理で温度を測定し、その温度により、記
録ドット数カウント値および記録時間カウント値を補正
するように制御したが、これに代えて、記録開始時の記
録ヘッド1の温度によりワイピング記録ドット数NWIP
およびワイピング記録時間TWIP を変更するように構成
してもよい。また、記録休止時間が短い場合は前の記録
による昇温のため一時的にヘッド温度が高くなることが
あるので、記録休止時間が例えば30秒以内と短い場合
には、前回の記録のNWIP およびTWIP を用いるという
制御を行ってもよい。
【0051】本発明を適用したインクジェット記録装置
の第4実施例として、装置本体の記録モードによりワイ
ピング制御を変える構成が採られる。本実施例に用いた
インクジェット記録装置は、記録速度が90cpsの駆
動モードと120cpsの駆動モードを備えている。ま
た、記録ヘッド1のインク吐出量は、90cpsのモー
ドの方が多くなるように設定されている。吐出量が大き
ければ、被記録材5から反射する(跳ね返る)インク量
が多くなるなど、吐出口面81は濡れやすくなる。逆に
吐出量が小さくなれば、吐出口面81は濡れ難くなる。
【0052】90cpsの駆動モードと120cpsの
駆動モードでは、120cpsの駆動モードの方がキャ
リッジ2の移動速度が速い。キャリッジ2の移動速度が
速いと、記録ヘッド1の吐出口面81に当たる空気の量
が多くなり、該吐出口面81に付着したインクの溶媒の
蒸発が速くなるため、インクは速く増粘する。本実施例
では、これらの駆動モードの違いに対応し、モードによ
ってワイピング記録ドット数NWIP およびワイピング記
録時間TWIP を変えることにより、ワイピングの間隔の
最適化が図られる。
【0053】以上説明した第4実施例によっても、記録
データのドットカウントと記録時間のタイムカウントを
行うとともに、これらのカウント値を記録モードによる
吐出口面81の濡れ性の変化で補正し、これら補正した
カウント値(記録ドット数と記録時間)に基づいてワイ
ピング制御を行うので、記録ドット数による濡れインク
量の見積もり並びに記録時間によるインク増粘を見積も
りが一層正確になり、これらの見積もりに基づいて一層
精密なワイピング制御を行うことが可能になり、それに
よって、ワイピング間隔を必要最小限にすることがで
き、記録装置のスループットを低下させずに記録ヘッド
1を常に良好な状態に維持し得るワイピング制御を行う
ことが可能になる。
【0054】なお、前述の各実施例では、記録手段(記
録ヘッド)を主走査方向に移動させるシリアル記録方式
の場合を例に挙げて説明したが、本発明は、被記録材の
全幅または一部をカバーする長さのライン記録手段を用
いて副走査のみで記録するライン記録方式の場合にも、
同様に適用することができ、同様の効果を達成し得るも
のである。また、本発明は、異なる色で記録する複数の
記録手段を用いるカラー記録用の他、1個の記録ヘッド
で記録する単色記録用、あるいは同一色彩で異なる濃度
で記録する複数の記録手段を用いる階調記録用の記録装
置、さらには、これらを組み合わせた記録装置の場合に
も、同様に適用することができ、同様の効果を達成し得
るものである。
【0055】さらに、本発明は、記録ヘッドとインクタ
ンクを一体化した交換可能なヘッドカートリッジを用い
る場合、あるいは記録ヘッドとインクタンクを別体に
し、その間をインク供給用のチューブ等で接続する場合
など、記録ヘッドとインクタンクの配置構成がどのよう
な場合にも同様に適用することができ、同様の効果が得
られるものである。
【0056】なお、本発明は、インクジェット記録装置
であれば、例えば、ピエゾ素子等の電気機械変換体等を
用いる記録手段(記録ヘッド)を使用するものに適用で
きるが、中でも、熱エネルギーを利用してインクを吐出
する方式の記録手段を使用するインクジェット記録装置
において優れた効果をもたらすものである。かかる方式
によれば、記録の高密度化、高精細化が達成できるから
である。
【0057】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行なうのが好ましい。この方式は、所謂オンデマンド
型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能である
が、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)
が保持されているシートや液路に対応して配置されてい
る電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越
える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号
を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギー
を発生せしめ、記録手段(記録ヘッド)の熱作用面に膜
沸騰させて、結果的にこの駆動信号に一対一に対応し液
体(インク)内の気泡を形成出来るので有効である。
【0058】この気泡の成長、収縮により吐出用開口を
介して液体(インク)を吐出させて、少なくとも一つの
滴を形成する。この駆動信号をパルス形状とすると、即
時適切に気泡の成長収縮が行なわれるので、特に応答性
に優れた液体(インク)の吐出が達成でき、より好まし
い。このパルス形状の駆動信号としては、米国特許第4
463359号明細書、同第4345262号明細書に
記載されているようなものが適している。尚、上記熱作
用面の温度上昇率に関する発明の米国特許第43131
24号明細書に記載されている条件を採用すると、更に
優れた記録を行なうことができる。
【0059】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体
の組み合わせ構成(直線状液流路又は直角液流路)の他
に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示
する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4
459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれる
ものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開
示する特開昭59年第123670号公報や熱エネルギ
ーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を
開示する特開昭59年第138461号公報に基づいた
構成としても本発明は有効である。すなわち、記録ヘッ
ドの形態がどのようなものであっても、本発明によれ
ば、記録を確実に効率よく行なうことができるようにな
るからである。
【0060】さらに、前述のように、記録装置が記録で
きる被記録材(記録媒体)の最大幅に対応した長さを有
するフルラインタイプの記録ヘッドに対しても、本発明
は有効に適用できる。そのような記録ヘッドとしては、
複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満たす
構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとしての
構成のいずれでもよい。加えて、上例のようなシリアル
タイプのものでも、装置本体に固定された記録ヘッド、
あるいは装置本体に装着されることで装置本体との電気
的な接続や装置本体からのインクの供給が可能になる交
換自在のチップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッ
ド自体に一体的にインクタンクが設けられたカートリッ
ジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効で
ある。
【0061】また、本発明に記録装置の構成として設け
られる記録ヘッドに対しての回復手段や予備的な補助手
段等を付加することは、本発明の効果を一層安定できる
ので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、
記録ヘッドに対しての、キャッピング手段、クリーニン
グ手段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは
別の加熱素子或はこれらの組み合わせによる予備加熱手
段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出モードを行なう
ことも安定した記録を行なうために有効である。
【0062】また、前述のように、搭載される記録ヘッ
ドの種類ないし個数についても、例えば、単色のインク
に対応して1個のみが設けられたものの他、記録色や濃
度を異にする複数のインクに対応して複数個数設けられ
るものであってもよい。すなわち、例えば、記録装置の
記録モードとしては、黒色等の主流色のみの記録モード
だけではなく、記録ヘッドを一体的に構成するか複数個
の組み合わせによるか、いずれでもよいが、異なる色の
複色カラー又は、混色によるフルカラーの少なくとも一
つを備えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0063】さらに加えて、以上説明した本発明実施例
においては、インクを液体として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もし
くは液化するもの、あるいは、インクジェット方式で
は、インク自体を30℃以上70℃以下の範囲内で温度
調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあるように
温度制御するものが一般的であるから、使用記録信号付
与時にインクが液状をなすものであればよい。加えて、
積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの固形状態か
ら液体状態への状態変化のエネルギーとして使用せしめ
ることで防止するか、または、インクの蒸発防止を目的
として放置状態で固化するインクを用いるかして、いず
れにしても、熱エネルギーの記録信号に応じた付与によ
ってインクが液化し、液状インクが吐出されるものや、
記録媒体に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等
のような、熱エネルギーによって初めて液化する性質の
インクを使用する場合も本発明は適用可能である。
【0064】このような場合のインクは、特開昭54−
56847号公報あるいは特開昭60−71260号公
報に記載されるような、多孔質シート凹部または貫通孔
に液状または固形物として保持された状態で、電気熱変
換体に対して対向するような形態としてもよい。本発明
においては、上述した各インクに対して最も有効なもの
は、上述した膜沸騰方式を実行するものである。
【0065】さらに加えて、本発明によるインクジェッ
ト記録装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理
機器の画像出力端末として用いられるものの他、リーダ
等と組み合わせた複写装置、さらには送受信機能を有す
るファクシミリ装置の形態を採るもの等であってもよ
い。
【0066】
【発明の効果】以上の説明から明らかなごとく、請求項
1の発明によれば、記録手段から被記録材へインクを吐
出して記録を行うインクジェット記録装置において、記
録手段のインク吐出部に付着したインクや異物を拭き取
るためのワイピング部材と、記録データのドットカウン
ト手段と、記録時間のタイムカウント手段と、前記ドッ
トカウント手段で得られる記録ドット数と前記タイムカ
ウント手段で得られる記録時間とにより前記ワイピング
部材のワイピング動作を制御するワイピング制御手段
と、を有する構成としたので、吐出口面を拭き取るため
のワイピングを制御するに際し、ワイピング間隔を必要
最小限にすることができ、記録装置のスループットを低
下させずにインクの吐出状態を常に良好に維持できるワ
イピング制御を行い得るインクジェット記録装置が提供
される。
【0067】請求項2の発明によれば、請求項1の構成
に加えて、前記ワイピング制御手段は、記録手段の温度
を検出する温度検出手段を備え、前記ドットカウント手
段で得られる記録ドット数と前記タイムカウント手段で
得られる記録時間と前記温度検知手段で得られる記録手
段の温度とにより前記ワイピング部材のワイピング動作
を制御する構成としたので、吐出口面を拭き取るための
ワイピングを制御するに際し、一層効率よく、ワイピン
グ間隔を必要最小限にすることができ、記録装置のスル
ープットを低下させずにインクの吐出状態を常に良好に
維持できるワイピング制御を行い得るインクジェット記
録装置が提供される。
【0068】請求項3の発明によれば、被記録材へイン
クを吐出して記録を行う記録手段のインク吐出部に付着
したインクや異物を拭き取るクリーニング方法におい
て、入力される記録データのドット数と記録時間とを計
数し、得られた記録ドット数と記録時間とにより前記イ
ンク吐出部に対する拭き取り動作を制御するように構成
したので、吐出口面を拭き取るためのワイピングを制御
するに際し、ワイピング間隔を必要最小限にすることが
でき、記録装置のスループットを低下させずにインクの
吐出状態を常に良好に維持できるワイピング制御を行い
得るクリーニング方法が提供される。
【0069】請求項4の発明によれば、請求項3の構成
に加えて、さらに、記録手段の温度を検出し、前記記録
ドット数と記録時間とに加えて記録手段の温度との3種
の因子により前記インク吐出部に対する拭き取り動作を
制御するように構成したので、吐出口面を拭き取るため
のワイピングを制御するに際し、一層効率よく、ワイピ
ング間隔を必要最小限にすることができ、記録装置のス
ループットを低下させずにインクの吐出状態を常に良好
に維持できるワイピング制御を行い得るクリーニング方
法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したインクジェット記録装置の一
実施例の要部構成を示す模式的斜視図である。
【図2】図1中の記録手段のインク吐出部の構造を模式
的に示す部分斜視図である。
【図3】ワイピング後における吐出口面上のインク残り
状態を示す模式図である。
【図4】インク温度とワイピング性の関係を例示するグ
ラフである。
【図5】本発明を適用したインクジェット記録装置のワ
イピング動作制御手段のデータフローを示す模式図であ
る。
【図6】本発明を適用したインクジェット記録装置の第
1実施例の制御動作のフローチャートである。
【図7】本発明を適用したインクジェット記録装置の第
2実施例の制御系の割り込み処理のフローチャートであ
る。
【図8】本発明を適用したインクジェット記録装置の第
2実施例の制御動作のフローチャートである。
【図9】本発明を適用したインクジェット記録装置の第
3実施例の制御動作のフローチャートである。
【符号の説明】
1 記録手段(記録ヘッド) 2 キャリッジ 3 ガイド軸 5 被記録材 6 プラテン 7 ワイピング部材(ブレード) 8 キャッピング部材(キャップ) 9 回復台 11 吸引ポンプ 15 記録制御手段 16 記録ドット数カウンタ(ドットカウント手段) 17 記録時間カウンタ(タイムカウント手段) 18 ワイピング動作指示手段 19 ワイピング動作制御手段 81 吐出口面 82 吐出口 83 共通液室 84 液路 85 電気熱変換体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大塚 尚次 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 矢野 健太郎 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 岩崎 督 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 記録手段から被記録材へインクを吐出
    して記録を行うインクジェット記録装置において、記録
    手段のインク吐出部に付着したインクや異物を拭き取る
    ためのワイピング部材と、記録データのドットカウント
    手段と、記録時間のタイムカウント手段と、前記ドット
    カウント手段で得られる記録ドット数と前記タイムカウ
    ント手段で得られる記録時間とにより前記ワイピング部
    材のワイピング動作を制御するワイピング制御手段と、
    を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 【請求項2】 前記ワイピング制御手段は、記録手段
    の温度を検出する温度検出手段を備え、前記ドットカウ
    ント手段で得られる記録ドット数と前記タイムカウント
    手段で得られる記録時間と前記温度検知手段で得られる
    記録手段の温度とにより前記ワイピング部材のワイピン
    グ動作を制御することを特徴とする請求項1のインクジ
    ェット記録装置。
  3. 【請求項3】 被記録材へインクを吐出して記録を行
    う記録手段のインク吐出部に付着したインクや異物を拭
    き取るクリーニング方法において、入力される記録デー
    タのドット数と記録時間とを計数し、得られた記録ドッ
    ト数と記録時間とにより前記インク吐出部に対する拭き
    取り動作を制御することを特徴とするクリーニング方
    法。
  4. 【請求項4】 さらに、記録手段の温度を検出し、前
    記記録ドット数と記録時間とに加えて記録手段の温度と
    の3種の因子により前記インク吐出部に対する拭き取り
    動作を制御することを特徴とする請求項3のクリーニン
    グ方法。
  5. 【請求項5】 前記記録手段が、インクを吐出するた
    めに利用される熱エネルギーを発生する電気熱変換体を
    備えているインクジェット記録手段であることを特徴と
    する請求項1のインクジェット記録装置。
  6. 【請求項6】 前記記録手段が、前記電気熱変換体が
    発生する熱エネルギーによりインクに生じる膜沸騰を利
    用して、吐出口よりインクを吐出させることを特徴とす
    る請求項5のインクジェット記録装置。
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