JPH07125168A - ポリプロピレンライニング及びライニング用粉体 - Google Patents

ポリプロピレンライニング及びライニング用粉体

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JPH07125168A
JPH07125168A JP5279138A JP27913893A JPH07125168A JP H07125168 A JPH07125168 A JP H07125168A JP 5279138 A JP5279138 A JP 5279138A JP 27913893 A JP27913893 A JP 27913893A JP H07125168 A JPH07125168 A JP H07125168A
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polypropylene
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Shigeo Hasegawa
繁夫 長谷川
Takashi Yoshiyama
隆士 吉山
Kenji Iwasaki
謙二 岩崎
Tatsuyuki Nishikawa
達行 西川
Takayoshi Kawaoka
孝義 川岡
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 金属(炭素鋼)材料に適用される加熱溶融ポ
リプロピレンライニング及びライニング用粉体に関す
る。 【構成】 マレイン酸変成ポリプロピレンとポリプロピ
レンの重量比が10/1〜1/100の混合物にエチレ
ン−プロピレンラバーを1〜20wt%添加し、該混合
物に酸化防止剤を0.1〜1.0wt%添加した粉末を
加熱溶融後、冷却固化してライニング層を形成させてな
る金属のポリプロピレンライニング。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は排煙脱硫装置、ガス精製
プラント、海水淡水化装置、火力プラントなどの金属
(炭素鋼)材料に適用される加熱溶融ポリプロピレンラ
イニング及びライニング用粉体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のポリプロピレンライニングはポリ
プロピレンのシートあるいはパイプの表面をコロナ放電
や、濃硫酸とクロム酸混液などにより接着性を付与する
表面処理を施した後、エポキシ樹脂などの接着剤を塗布
して接着するシートライニング法が知られている。しか
し、ポリエチレン、フッ素樹脂のようにポリプロピレン
の溶融温度以上に被ライニング材を加熱した面にポリプ
ロピレンの粉末を散布し、溶融させて皮膜を形成する加
熱溶融ポリプロピレンライニングは全く提案されていな
い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記、シートまたはパ
イプに表面処理を施し、接着剤で接着してライニングす
るポリプロピレンライニングは次のごとき問題があり、
工業的にはほとんど適用されていない。 (1)接着剤を塗布し、張り付ける方法であり接着不良
などの欠陥を生じやすい。 (2)接着法であり、ゴムライニングと同様に人手によ
り押し付けて接着するか、適当な工具で押し付けて接着
するため、配管のベント部、T字管など複雑な形状のも
の、または小口径の配管などへの適用が難しい。 (3)配管へのライニングの場合、予め押出機で押出し
たポリプロピレンパイプを用いるため、各種管径の配管
が用いられるプラントではそれらの管径に適合するポリ
プロピレンパイプを製作するために、それぞれのパイプ
を製造するための金型が必要であり、ポリプロピレンパ
イプの価格が非常に高くなる。
【0004】一般に、ポリプロピレンは射出成形品、押
出成形品、フィルムなどに用いられているが、これらの
市販ポリプロピレンは金属面に対して加熱溶融状態では
付着しているが、冷却固化時には剥離してしまう。従っ
て、ポリプロピレンライニングは前述のごとく押出成形
されたシートやパイプを各種表面処理により改質して接
着性を付与し、接着剤で接着ライニングするものしか実
用化されていない。
【0005】市販ポリプロピレンが、なぜ金属に対して
加熱溶融方法により接着できないかについては、ポリプ
ロピレンが固化収縮率が大きく、比較的低温(常温)に
なっても固化収縮が長時間継続すること、クリープ応力
がポリエチレン、フッ素樹脂に比べてかなり大きいこ
と、あるいは射出成形、押出成形などにおける離型性を
改良するために添加されている滑剤などの添加剤の影響
によると考えられるが詳細な要因については不明であ
る。
【0006】本発明は上記技術水準に鑑み、ポリプロピ
レンの有する優れた耐薬品性、耐熱性及び機械的性質を
保持し、かつ樹脂の劣化を抑える金属のライニング材及
びそのライニング用粉体を提供しようとするものであ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは複雑な形状
や大小管径に対応可能な粉体を用いる加熱溶融ポリプロ
ピレンライニングを開発すべく鋭意、実験検討の結果、
ポリプロピレンに変成ポリプロピレン、エチレン−プロ
ピレンラバーを混合した接着性ポリプロピレンに対し、
酸化防止剤を添加すると接着力を損なうことなく、かつ
樹脂の劣化を抑え、表面性が良好で強靱な皮膜が得られ
ることを見い出し、その知見に基づいて本発明を完成し
たものである。
【0008】すなわち、本発明は、 (1)マレイン酸変成ポリプロピレンとポリプロピレン
の重量比が10/1〜1/100の混合物にエチレン−
プロピレンラバーを1〜20wt%添加し、該混合物に
酸化防止剤を0.1〜1.0wt%添加した粉末を加熱
溶融後、冷却固化してライニング層を形成させてなるこ
とを特徴とする金属のポリプロピレンライニング。 (2)平均粒径が500μm以下のマレイン酸変成ポリ
プロピレン粉末と平均粒径が500μm以下のポリプロ
ピレン粉末の重量比が10/1〜1/100の混合物に
平均粒径が500μm以下のエチレン−プロピレンラバ
ー粉末を1〜20wt%添加し、該混合物に対し酸化防
止剤を0.1〜1.0wt%添加混合してなることを特
徴とするポリプロピレンライニング用粉体。 (3)マレイン酸変成ポリプロピレンとポリプロピレン
の重量比が10/1〜1/100の混合物にエチレン−
プロピレンラバーを1〜20wt%添加し、該混合物に
対し酸化防止剤を0.1〜1.0wt%添加した混合物
を溶融混練した後、平均粒径が500μm以下になるよ
うに粉砕してなることを特徴とするポリプロピレンライ
ニング用粉体。である。
【0009】本発明の対象とする金属は一般的には炭素
鋼である。本発明において使用されるマレイン酸変成ポ
リプロピレン中のマレイン酸の含有量は0.01wt%
以上であり、好ましくは0.1〜1.0wt%である。
本発明において使用されるエチレン−プロピレンラバー
中のプロピレンの含有量は10〜40wt%である。ま
た、本発明におけるポリプロピレンのメルトフローレー
トは0.1から40の間が好ましい。
【0010】本発明におけるマレイン酸変成ポリプロピ
レンとポリプロピレンの混合割合は、使用するマレイン
酸変成ポリプロピレン及びポリプロピレンの種類によっ
て異なるが適正範囲は10/1〜1/100であり、マ
レイン酸変成ポリプロピレンの混合割合が多いほど金属
との接着力が強くなり、該混合物に対し混合するエチレ
ン−プロピレンラバーの割合は使用するエチレン−プロ
ピレンラバーの種類によって異なるが、適正範囲は1.
0〜20wt%であり、エチレン−プロピレンラバーの
混合割合が多すぎると強度の低下をきたす。
【0011】本発明における酸化防止剤としては、使用
する酸化防止剤の種類によって異なるが、高分子量フェ
ノール系酸化防止剤や、フォスファイト(あるいはフォ
スフォナイト)がより好ましく、適正範囲は0.1wt
%〜1.0wt%である。具体的な酸化防止剤として
は、ヒンダードフェノール系のペンタエリスリチル−テ
トラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6
−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベ
ンジル)ベンゼン及びトリス−(3,5−ジ−t−ブチ
ル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレートとリ
ン系加工安定剤のトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェ
ニル)フォスファイトを併用したものがあげられる。
【0012】また、加熱溶融ライニングに適した粉体の
粒径は500μ以下であれば均一な膜厚の皮膜が得られ
る。これより大きな粉体を用いた場合でもライニング皮
膜は形成できるが、皮膜形成するための溶融に長時間を
要するばかりでなく表面が凸凹状態となり均一な膜厚の
ライニング皮膜を形成できなくなる。
【0013】
【作用】本発明のライニング材はマレイン酸変成ポリプ
ロピレンとポリプロピレンの重量比で10/1〜1/1
00の混合物に対し、エチレン−プロピレンラバーを
1.0〜20wt%添加し、該混合物に対し酸化防止剤
を添加したものより形成される。マレイン酸変成ポリプ
ロピレンとポリプロピレンは加熱溶融状態では両者が溶
融しており、冷却固化すればマレイン酸変成ポリプロピ
レンに含まれているカルボキシル基が金属と強固に結合
し、接着力の大きいライニング皮膜が得られる。
【0014】一方、マレイン酸変成ポリプロピレンとポ
リプロピレンに添加したエチレン−プロピレンラバーは
加熱溶融状態ではポリプロピレン中に溶融しており、冷
却固化時にマレイン酸変成ポリプロピレン、ポリプロピ
レン及びエチレン−プロピレンラバーの流動特性及び固
化温度が異なるためにポリプロピレンと変成されたポリ
プロピレン中にエチレン−プロピレンラバーが分散した
状態で固化される。エチレン−プロピレンラバーのクリ
ープ変形応力が非常に小さいために、固化収縮時にエチ
レン−プロピレンラバーが伸びて接着力よりも小さな応
力で瞬時に応力緩和されるために剥離されないライニン
グが得られる。
【0015】さらに、酸化防止剤はポリプロピレンの主
鎖が熱分解するのを抑える働きがあり、加熱溶融時の熱
劣化を低減することが可能となる。従って、本発明のラ
イニング用粉体はポリプロピレン、変成ポリプロピレン
及びエチレン−プロピレンラバーに対し、酸化防止剤を
添加することで加熱溶融時の熱劣化を抑え、強靱な皮膜
を形成することができる。
【0016】本発明のライニング用粉体を溶融混練機を
用いて溶融混練した後、平均粒径が500μm以下にな
るように粉砕したものは、粒径の小さい変成ポリプロピ
レンとエチレン−プロピレンラバーと酸化防止剤を混合
したものよりも混合が均一になっており、より良好な接
着力を有するライニングが得られる。
【0017】
【実施例】マレイン酸変成ポリプロピレンのマレイン酸
変成率0.01〜1.0wt%のペレット、ポリプロピ
レンのペレット及びエチレン−プロピレンラバーのポリ
プロピレン含有率が10〜40wt%のペレットを、液
体窒素を用いた冷凍粉砕機で各々粉砕した後、平均粒径
1000μm、500μm及び100μmの粉末に分級
し、後記表1の配合比で前記粉末及び高分子量フェノー
ル系酸化防止剤とフォスファイト(あるいはフォスフォ
ナイト)を併用した酸化防止剤 IRGANOX B215 (Ciba-Ge
igy 社製) を混合したライニング用粉体を得た。
【0018】なお、こゝで使用した酸化防止剤 IRGANOX
B215 はペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート〕とトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)フォスファイトを1:2の割合で混合したものであ
る。
【0019】また、前記マレイン酸変成ポリプロピレ
ン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレンラバー及び
酸化防止剤を、後記表2に示す配合量で混合したのち、
溶融混練機を用いて混練後、冷凍粉砕機で粉砕し、平均
粒径1000μm、500μm及び100μmの粉末に
分級してライニング用粉体を得た。
【0020】次いで縦70mm×横200mm×厚さ5
mmの炭素鋼板を脱脂した後、ショットブラストし、こ
れを加熱熱板上で表面温度が250℃±20℃になるよ
うに加熱後、前記粉末を散布して溶融ライニングし、膜
厚1.5mmのライニング鋼板を得た。その後、ライニ
ング表面の観察、10mm幅の90度剥離方法による接
着力の測定及び5%硫酸、100℃の条件で6カ月間の
耐久性試験を行った。
【0021】その結果を表1及び表2に併せて示す。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
【表3】
【0025】
【表4】
【0026】
【発明の効果】本発明により、従来ポリエチレンライニ
ング、ゴムライニングでは適用できなかった高温領域ま
で適用可能で、耐熱、耐薬品性に優れた従来例を見ない
複雑形状または管径の異なる配管などにも適用できる粉
体を用いる加熱溶融ポリプロピレンライニング材及びラ
イニング粉体を提供することができる。
【0027】また、これまでに、ポリプロピレンライニ
ング、ゴムライニングが適用できないような高温領域や
腐食環境の厳しい装置には高価な高級ステンレス鋼、ま
たは高級フッ素樹脂系ライニング材が適用されてきた
が、本発明によればフッ素樹脂に比べて大幅に安価なマ
レイン酸変成ポリプロピレン、ポリプロピレン、エチレ
ン−プロピレンラバー及び酸化防止剤よりなる安価なラ
イニング材の提供が可能となり、その工業的、経済的効
果は極めて大である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 23/26 LDA (72)発明者 西川 達行 東京都千代田区丸の内二丁目5番1号 三 菱重工業株式会社本社内 (72)発明者 川岡 孝義 広島県広島市西区観音新町四丁目6番22号 三菱重工業株式会社広島製作所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 マレイン酸変成ポリプロピレンとポリプ
    ロピレンの重量比が10/1〜1/100の混合物にエ
    チレン−プロピレンラバーを1〜20wt%添加し、該
    混合物に酸化防止剤を0.1〜1.0wt%添加した粉
    末を加熱溶融後、冷却固化してライニング層を形成させ
    てなることを特徴とする金属のポリプロピレンライニン
    グ。
  2. 【請求項2】 平均粒径が500μm以下のマレイン酸
    変成ポリプロピレン粉末と平均粒径が500μm以下の
    ポリプロピレン粉末の重量比が10/1〜1/100の
    混合物に平均粒径が500μm以下のエチレン−プロピ
    レンラバー粉末を1〜20wt%添加し、該混合物に対
    し酸化防止剤を0.1〜1.0wt%添加混合してなる
    ことを特徴とするポリプロピレンライニング用粉体。
  3. 【請求項3】 マレイン酸変成ポリプロピレンとポリプ
    ロピレンの重量比が10/1〜1/100の混合物にエ
    チレン−プロピレンラバーを1〜20wt%添加し、該
    混合物に対し酸化防止剤を0.1〜1.0wt%添加し
    た混合物を溶融混練後、平均粒径が500μm以下にな
    るように粉砕してなることを特徴とするポリプロピレン
    ライニング用粉体。
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