JPH07124677A - 薄肉ウェブリブ部材のプレス型鍛造方法 - Google Patents

薄肉ウェブリブ部材のプレス型鍛造方法

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JPH07124677A
JPH07124677A JP25988893A JP25988893A JPH07124677A JP H07124677 A JPH07124677 A JP H07124677A JP 25988893 A JP25988893 A JP 25988893A JP 25988893 A JP25988893 A JP 25988893A JP H07124677 A JPH07124677 A JP H07124677A
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JP
Japan
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rib
web
thin
thickness
press
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JP25988893A
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Nobuo Kanamaru
信夫 金丸
Osamu Tsuda
統 津田
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 薄肉ウェブから突出させた薄肉リブを有し
て、ウェブ部とリブ部からなるT字状および/またはL
字状断面部を持ち、かつウェブ厚/リブ厚の比の小さな
つ薄肉ウェブリブ部材を、ヒケ欠陥を生じさせることな
くネットシェイプにブレス型鍛造する。 【構成】 金型の、薄肉ウェブリブ部材のT字状および
L字状断面部を成形するインプレッション(I) 面部の反
リブ側面に、他のインプレッション(I) 面部より面粗度
を粗くした粗化部(3a),(3b)を設け、かつ、その面粗度
を3〜8S(Rmax値)とすると共に、T字状断面部に対
応する粗化部(3a)の範囲をリブ(Rc)部を中心とするリブ
厚(Rt)の1倍以上5倍以下、L字状断面部に対応する粗
化部(3b)の範囲をリブ(Rs)部の外側端からリブ厚(Rt)の
1倍以上3倍以下としてプレス型鍛造する。 【効果】 ウェブ背面の表層で衝突してリブ部に向かう
材料の流れを低く規制して、折れ込みや欠肉となるヒケ
欠陥の発生を防止できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄肉部材のプレス型鍛
造に関し、詳細には、薄肉板状のウェブから突出させた
薄肉リブを有し、かつそのウェブ厚/リブ厚の比の小さ
な薄肉ウェブリブ部材をネットシェイプに成形する薄肉
ウェブリブ部材のプレス型鍛造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、航空機や高速車両等における部材
取付金具等として用いられるウェブリブ部材、すなわち
基部となす平板状のウェブから板状のリブを突出させた
ウェブリブ部材については、信頼性の面から型鍛造等に
より一体成形されたものが採用されている。また、近年
では、投影面積の大きなウェブリブ部材も一体成形した
もが求められ、しかも、その軽量化のために、ウェブ厚
/リブ厚の比を1に近づけ更には1以下として、主体部
となるウェブ部をより薄肉化したものが求められるよう
になっている。更に、これらウェブリブ部材は、比強度
が高いものであることは無論として、疲労強度の面から
各断面におけるグレンフローが切断されずに閉鎖流線を
描くものであることが要求される。つまり、より薄肉に
設定された最終製品形状に対応するネットシェイプに精
密鍛造されて、成形品の主要部、特に使用時に応力集中
部となるリブ付け根部等に、グレンフローの切断を伴う
機械加工等を加えることなく、黒皮に近い状態で使用可
能なものが要求される。
【0003】そして、このような厳しい要求を満足する
型鍛造法としては、例えば、日本塑性学会発行の「塑性
と加工」第30巻、第 343号(1989-8);頁1114〜1120“航
空機アルミニュウム合金部品の熱間精密鍛造”に紹介さ
れているように、抜け勾配の大きなコンベンショナル鍛
造法は不向きで、ノードラフト鍛造法もしくはシームレ
ス鍛造法に基づくプレス型鍛造が適するものとされてお
り、また、成形に際する加圧方向にある制約の生じるウ
ェブリブ部材では、一般にノードラフト鍛造法に基づく
プレス型鍛造が適用されている。一方、被成形材として
は、軽量で強度が高いAl合金やTi合金材が広く適用
されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ノードラフト鍛造法に
基づくプレス型鍛造では、一般的なコンベンショナル鍛
造法よりも薄肉で、かつウェブ高さ/ウェブ厚の比が大
きい形状でも成形でき、その比がコンベンショナル鍛造
法で8/1が限界とされているに対して、15/1程度、
特殊な場合では23/1まで可能とされている。しかしな
がら、この従来のプレス型鍛造によって、より薄肉とさ
れたウェブリブ部材をネットシェイプに精密鍛造した場
合、特にウェブ厚/リブ厚の比を1に近づけ更には1以
下とした薄肉ウェブリブ部材を成形対象とした場合に
は、次のような問題が派生する。
【0005】例えば〔図2〕の (a)図に示すように、ダ
イインサート(D1)と、このダイインサート(D1)内で対向
して摺動移動可能な上・下ポンチ(P1),(P2) とを備えて
なる金型(D) を用いたプレス型鍛造により、薄肉平板状
のウェブ(W) の中央部および両端部から同方向に突出さ
せた薄肉なリブ(Rc),(Rs) を有し、そのウェブ(W) 部と
リブ(Rc),(Rs) 部からなるT字状およびL字状断面部を
持つ薄肉ウェブリブ部材(M) を、ネットシェイプに精密
鍛造した場合、その横断面図である (b)図に示すよう
に、その薄肉ウェブリブ部材(M) のT字状断面部のウェ
ブ背面に折れ込み状のヒケ欠陥(c) が生じ、更に、L字
状断面部の外角R部に欠肉となるヒケ欠陥(r) が生じ
る。また、それらヒケ欠陥は、該薄肉ウェブリブ部材
(M) のウェブ厚(Wt)/リブ厚(Rt)を1に近づけ更には1
以下にするほど、より顕著に発生する。
【0006】このことは、ノードラフト鍛造法が基本的
には押出し鍛造法であり、これに基づくプレス型鍛造で
は、上・下ポンチ(P1),(P2) でウェブ(W) 部を圧縮し、
そのウェブ(W) 部の材料をリブ(Rc),(Rs) 部に押出して
成形することに起因する。すなわち、そのウェブ(W) 部
の材料をリブ(Rc)部に流してT字状断面部を形成する過
程において、材料の鍛流線は、 (c)図中の鎖線で示すよ
うな挙動を示し、つまりウェブ背面において鍛流線同士
が衝突してリブ(Rc)部に向かって流れ、ウェブ(W) 部の
圧縮が進んで、ウェブ厚(Wt)がリブ厚(Rt)に近づき、更
にはリブ厚(Rt)以下の厚さになると、ウェブ背面の表面
部の材料が内方に引き込まれて前記折れ込み状のヒケ欠
陥(c) となる。また同様に、L字状断面部を形成する過
程において、材料の鍛流線は、同(c) 図中の鎖線で示す
ような挙動を示し、つまりウェブ背面において鍛流線が
金型(D) 側面に衝突してリブ(Rs)部に向かって流れ、そ
の衝突部位となるL字状断面部のウェブ(W) 部の圧縮が
進み、ウェブ厚(Wt)がリブ厚(Rt)に近づき、更にはリブ
厚(Rt)以下の厚さになると、その外角表面部の材料が内
方に引き込まれて欠肉となるヒケ欠陥(r) が生じる。
【0007】そのため従来では、このような薄肉ウェブ
リブ部材(M) をプレス型鍛造するには、仕上げ鍛造形状
に近い形状に成形されたブランクを用いたり、(d) 図に
示すように、ウェブ(W) 部の背面全体に余肉(St)を付す
ことでウェブ厚(Wt)/リブ厚(Rt)の比を2から3程度に
大きくし、T字状およびL字状断面部のヒケ欠陥(c),
(r) の発生を抑え、型鍛造後にその余肉(St)を機械加工
により削除して所定のウェブ厚さに仕上げる等の対処が
必要とされていた。しかし、これらの対処は、投影面積
が大きく、かつウェブ・リブ部の形状が複雑な場合には
適用が困難であり、また適用できた場合でも、本来的に
は不要な工数の増大および材料歩留りの低下を招いて、
生産性を大きく低下させる。また、後者の対処では、前
述した要求を充分に満たすことができないと言う問題点
もある。すなわち上記従来技術では、前述した要求に実
用上効果的に対応することができなかった。
【0008】本発明は、上記課題を解決すべくなされた
もので、薄肉板状のウェブから突出させた薄肉リブを有
し、かつそのウェブ厚/リブ厚の比の小さな薄肉ウェブ
リブ部材をネットシェイプにかつ効率良く成形できる薄
肉ウェブリブ部材のプレス型鍛造方法を提供することを
目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明は以下の構成とされている。すなわち、第
1の発明に係る薄肉ウェブリブ部材のプレス型鍛造方法
は、薄肉板状のウェブ面から突出させた薄肉リブを有
し、そのウェブ部とリブ部からなるT字状断面部を持つ
薄肉ウェブリブ部材をプレス型鍛造するに際し、用いる
金型の前記T字状断面部を成形するインプレッション面
部の反リブ部側の面粗度を、その他のインプレッション
面部の面粗度よりも粗くし、かつ、その面粗度を3〜8
Sとすると共に、粗化する範囲をリブ部を中心とする該
リブ厚さの1倍以上5倍以下としてプレス型鍛造するこ
とを特徴とする。
【0010】第2の発明に係る薄肉ウェブリブ部材のプ
レス型鍛造方法は、薄肉板状のウェブ側端から突出させ
た薄肉リブを有し、そのウェブ部とリブ部からなるL字
状断面部を持つ薄肉ウェブリブ部材をプレス型鍛造する
に際し、用いる金型の前記L字状断面部を成形するイン
プレッション面部の反リブ部側の面粗度を、その他のイ
ンプレッション面部の面粗度よりも粗くし、かつ、その
面粗度を3〜8Sとすると共に、粗化する範囲を前記L
字状断面部の外側端から該リブ厚さの1倍以上3倍以下
としてプレス型鍛造することを特徴とする。
【0011】
【作用】前述したように、薄肉板状のウェブから突出さ
せた薄肉リブを有し、そのウェブ部とリブ部からなるT
字状およびL字状断面部を持つ薄肉ウェブリブ部材をプ
レス型鍛造するに際し、被成形材のウェブ部を圧縮して
該ウェブ部の材料をリブ部に流し、その薄肉リブを押出
し形成する過程において、ウェブ背面で鍛流線同士また
は鍛流線と金型側面とが衝突してリブ部に向かって流
れ、ウェブ部の圧縮が進んでウェブ厚が小さくなると、
ウェブ背面の材料が引き込まれてヒケ欠陥となる。
【0012】しかしこのとき、ウェブ背面の表面部を流
れる材料の流れを、その内方で流れる材料の流れよりも
低く規制できれば、薄肉リブの押出し形成を進展させる
一方で、該ウェブ背面の表面部における鍛流線同士また
は鍛流線と金型側面との衝突を緩和して、ヒケ欠陥の発
生を防止できる。一方、プレス型鍛造の過程における被
成形材の表面部の材料の流れは、用いる金型のインプレ
ッションの表面粗度およびその潤滑状態に大きく左右さ
れるので、その金型のインプレッション面の特定部位の
表面粗度を粗くすることで、その特定部位のインプレッ
ション面に沿って流れる材料に対する面抵抗を高めて、
内方で流れる材料の流れよりも低く規制することができ
る。
【0013】本発明はこれらの点に着目して完成された
ものであって、第1の発明では、薄肉板状のウェブ面か
ら突出させた薄肉リブを有し、そのウェブ部とリブ部か
らなるT字状断面部を持つ薄肉ウェブリブ部材をプレス
型鍛造するに際し、用いる金型のT字状断面部を成形す
るインプレッション面部の反リブ部側の面粗度を、その
他のインプレッション面部の面粗度よりも粗くするの
で、ウェブ部の材料をリブ部に流して薄肉リブを押出し
形成する過程において、そのT字状断面部のウェブ背面
の表面部で互いに衝突する方向に流れる材料の流れを、
内方で流れる材料の流れよりも低く規制して、該ウェブ
背面の表面部における鍛流線同士の衝突を緩和し、よっ
て折れ込み状のヒケ欠陥の発生を防止できる。
【0014】ここで、金型のインプレッション面部の反
リブ部側の面粗度は、粗くするほど、また粗化する範囲
を広くするほど、それに沿って流れる材料の流れを、つ
まりT字状断面部のウェブ背面の表面部での材料の流れ
を、より確実に遅くすることができるが、その面粗度を
必要以上に粗くすると、得られる成形品の表面が荒れて
要求品質を逸脱し、その表面の補正工程が必要となると
言う事態を招来する。また通常、プレス型鍛造では潤滑
剤を用いるが、例えばプレス深絞り加工で良く知られて
いるように、金型のインプレッションの面粗度を3S未
満の範囲で適度に粗くすると、潤滑剤の膜切れが防げて
潤滑効果が高まり、表面部の材料の流れが促進され、ま
た無論のこととして、より鏡面に近い面粗度にすると、
面抵抗が低下して表面部の材料の流れが促進されるの
で、つまり3S未満の粗度では材料の流れを確実に規制
することができない。従って、本発明では、上記面粗度
を3〜8S(Rmax値)の範囲内であって要求表面品質を
勘案した値に設定する。一方、粗化する範囲をリブ厚さ
よりも小さくすると、ウェブ背面の表面部での材料の流
れを低く規制する効果が得られなくなり、また、その粗
化する範囲を広くし、例えばウェブ背面全面にわたるも
のとしてプレス型鍛造すると、そのウェブ背面の表面部
に他の部位より高い圧縮応力が残留し、それがため得ら
れた成形品の薄肉ウェブに大きな反りが生じ、その補正
のための煩雑な矯正工程が必要となる。従って、本発明
では、その粗化する範囲をリブ部を中心とする該リブ厚
さの1倍以上5倍以下の範囲内であって対象とする薄肉
ウェブリブ部材の形状特性を勘案した値に設定する。
【0015】また、第2の発明では、薄肉板状のウェブ
側端から突出させた薄肉リブを有し、そのウェブ部とリ
ブ部からなるL字状断面部を持つ薄肉ウェブリブ部材を
プレス型鍛造するに際し、用いる金型の前記L字状断面
部を成形するインプレッション面部の反リブ部側の面粗
度を、その他のインプレッション面部の面粗度よりも粗
くするので、ウェブ部の材料をリブ部に流して薄肉リブ
を押出し形成する過程において、そのL字状断面部のウ
ェブ背面の表面部で金型側面と衝突する方向に流れる材
料の流れを、その内方で流れる材料の流れよりも低く規
制して、該ウェブ背面の表面部における鍛流線と金型側
面との衝突を緩和し、よってそのL字状断面部の欠肉と
なるヒケ欠陥の発生を防止できる。
【0016】ここで、粗化する金型のインプレッション
面部の反リブ部側の面粗度は、粗くするほど、また範囲
を広くするほど、それに沿って流れる材料の流れを、つ
まりL字状断面部のウェブ背面の表面部での材料の流れ
を、より確実に低めることができるが、本発明では、前
記第1の発明と同理由により、粗化する金型のインプレ
ッション面部の面粗度を3〜8S(Rmax値)の範囲内で
あって要求表面品質を勘案した値に設定する。また、L
字状断面部におけるウェブ部からリブ部に向かう材料の
流れは一方向からの流れであるので、本発明では、その
粗化する範囲をL字状断面部の外側端から該リブ厚さの
1倍以上3倍以下であって対象とする薄肉ウェブリブ部
材の形状特性を勘案した値に設定する。
【0017】
【実施例】以下、本発明のプレス型鍛造の実施例を図面
を参照して説明する。〔図1〕は、本実施例のプレス型
鍛造に関わる説明図であって、 (a)図は成形対象とする
薄肉ウェブリブ部材の仕上鍛造形状を示す斜視図、 (b)
図は用いた荒地の形状を示す斜視図、 (c)図は用いた金
型の概要構成を示す正断面図である。
【0018】まず〔図1〕の (a)図により、本実施例で
成形対象とする薄肉ウェブリブ部材について説明する
と、この薄肉ウェブリブ部材(M) は、薄肉板状のウェブ
(W) の中央部および両端部から同方向に突出させた薄肉
なリブ(Rc),(Rs) を有し、そのウェブ(W) 部とリブ(R
c),(Rs) 部からなるT字状およびL字状断面部を持つも
のであって、本実施例では、Al7075合金からなり、かつ
そのウェブ厚(Wt)と全てのリブ厚(Rt)が等厚に設定され
たものである。
【0019】次いで本実施例で用いた金型の概要構成を
同 (c)図により説明すると、この金型(1) は、筒状のダ
イインサート(2) と、このダイインサート(2) 内で対向
して摺動移動可能な上・下ポンチ(3),(4) とを備えてな
り、また、それらは熱間金型用合金鋼(JIS;SKT4)からな
ると共に、下ポンチ(4) 上面の中央部および両端部にリ
ブ成形凹部を設け、それらで区成される内部に上記薄肉
ウェブリブ部材(M) の形状に対応するインプレッション
(I) を形成せしめ得るものとされている。また、この金
型(1) の上ポンチ(3) は、図示省略のプレス本体の駆動
手段によって昇降する圧下メインラム(5) に取付けら
れ、その圧下メインラム(5) により、同プレス本体の下
アンビル(6) 上に固定配置されたダイインサート(2) の
内下部に配された下ポンチ(4) に向けて圧下させられ
る。一方、ダイインサート(2)内に配された下ポンチ(4)
は、下アンビル(6) 側に設けられ、図示省略の駆動手
段によって昇降するノックアウトラム(6a)により単独で
上昇可能とされている。
【0020】そしてまた、この金型(1) のダイインサー
ト(2) および上・下ポンチ(3),(4)のインプレッション
(I) 面は、 0.8〜 1.2Sの面粗度(Rmax値)に仕上げる
一方、上ポンチ(3) については、下ポンチ(4) のリブ成
形凹部に対応する中央部および両端部それぞれに、つま
りリブ(Rc),(Rs) の背面を成形する部位に、前記面粗度
に仕上げられた他の面部よりも面粗度を粗くした粗化部
(3a),(3b)を設けおり、また、その中央部の粗化部(3a)
はリブ(Rc)部を中心とするリブ厚(Rt)の3倍の範囲、両
端部の粗化部(3b)はその両外側端それぞれからリブ厚(R
t)の2倍の範囲に設け、かつその面粗度を 6.3Sと粗く
している。
【0021】上記構成の金型を用いて、前記仕上鍛造形
状の薄肉ウェブリブ部材(M) をプレス型鍛造した。また
比較のために、上ポンチに粗化部を設けず、全インプレ
ッション面を 0.8〜 1.2Sの範囲内となる面粗度に仕上
げた金型を用いて、同薄肉ウェブリブ部材(M) をプレス
型鍛造した。
【0022】また、本実施例では、金型(1) のダイイン
サート(2) 内に僅少の間隙をもって挿入できる平面外郭
形状とされると共に、〔図1〕の (b)図に示すように、
リブ成形対象部となる中央部および両端部を増厚させた
断面形状に予備成形されてなるブランク(B) を用い、そ
のブランク(B) の加熱温度を 420℃、金型(1) の保持温
度を 420℃とすると共に黒鉛系の潤滑剤を用い、圧下メ
インラム(5) の圧下速度を約10mm/secとする条件でプレ
ス型鍛造した。
【0023】そして、得られた薄肉ウェブリブ部材につ
いて、表面状態および寸法形状を精査すると共に、その
T字状およびL字状断面部を主体とする各断面における
材料の鍛流線を調査したところ、比較例のものは、各断
面におけるグレンフローは閉鎖流線を描くものの、その
T字状断面部のウェブ背面に折れ込み状のヒケ欠陥が認
められ、また両側のL字状断面部の外角R部に欠肉がそ
れぞれ認められた。これに対して本実施例のものは、上
記のようなヒケ欠陥は一切認められず、また金型の粗化
部に対応する部位の製品表面に肌荒れがなくて要求表面
品質を十分満足でき、更にまた、各断面におけるグレン
フローが完全な閉鎖流線を描く健全なものであり、この
結果より、金型のインプレッション面部の反リブ部側の
面粗度を粗くすることで、T字状およびL字状断面部の
ウェブ背面の表面部における材料の流れを低く規制し
て、ヒケ欠陥の発生を防止する本発明の優れた効果を確
認することができた。
【0024】次いで、金型インプレッションの粗化する
面部の面粗度およびその範囲の変動が及ぼす影響を確認
するため、前記金型(1) の上ポンチ(3) に設ける粗化部
(3a),(3b) の面粗度およびその範囲を種々に変化させ
て、前記実施例と同条件の熱間プレス型鍛造を行った。
そして、その結果から次のことが確認された。
【0025】まず、上ポンチ(3) の粗化部(3a),(3b) の
範囲を前記実施例と同様に(リブ厚(Rt)の3倍および2
倍)し、それら粗化部(3a),(3b) の面粗度を 1.2〜 100
Sの範囲で種々に変化させてプレス型鍛造したところ、
その面粗度が 1.2Sに近づくほどヒケ欠陥の発生傾向お
よび頻度が高まり、しかも 3S以下では急激に高まる領
域があることが判った。これは例えばプレス深絞り加工
で良く知られているように、金型のインプレッションの
面粗度を 3S未満の範囲で適度に粗くすると、潤滑剤の
膜切れが防げて潤滑効果が高まり、これによって表面部
の材料の流れが促進されからであると推測される。一
方、その面粗度を 3S以上に粗くして行くとヒケ欠陥の
発生は抑止できたが、その面粗度が粗くすればするほど
成形品に肌荒れが生じ易くなり、ついには要求品質を逸
脱するものとなった。またその傾向は 8Sを越えて粗く
なるほど激しくなる。従って、ウェブ背面の表面部での
材料の流れを低く規制するために設ける粗化部の面粗度
としては、 3S〜 8Sの範囲内であって 6.2S前後が好
適であることが確認された。
【0026】次に、上記結果より上ポンチ(3) の粗化部
(3a),(3b) の面粗度を 6.2Sとし、それら粗化部(3a),
(3b) を設ける範囲を種々に変化させてプレス型鍛造し
たところ、その範囲をリブ厚(Rt)よりも小さくすると、
ウェブ背面の表面部での材料の流れを低く規制する効果
が得られなくなってヒケ欠陥が発生し、その範囲はリブ
(Rc),(Rs) 部に対応する部位であって、少なくともリブ
厚(Rt)以上とする必要があることが判った。一方、それ
ら粗化部(3a),(3b) の範囲を、上ポンチ(3) のイップレ
ッション全面にまで拡大させていくと、ヒケ欠陥の発生
は抑止できたが、得られた成形品に反りが生じ易くな
り、またその傾向はそれらの範囲を広くするほど激しく
なることが判った。そしてこのことは、それら粗化部(3
a),(3b) にて材料の流れを規制されるため、ウェブ背面
の表面部に他の部位より高い圧縮応力が残留し、それが
型鍛造後に開放されることが原因することが確認され
た。更にその一方で、T字状面部のウェブ背面に対応す
る中央部の粗化部(3a)では、その範囲をリブ(Rc)部を中
心とするリブ厚(Rt)の5倍以下としたとき、L字状面部
のウェブ背面に対応する両端部の粗化部(3b)では、その
範囲をリブ(Rs)部の外側端からリブ厚(Rt)の3倍以下と
したときには、すなわち、それら粗化部(3a),(3a)を、
リブ(Rc),(Rs) 部と、そのリブ(Rc),(Rs) 部からリブ厚
(Rt)の2倍以下の範囲のみを覆う形で設けたときには、
成形品に反りが生じないことが確認された。従って、ウ
ェブ背面の表面部での材料の流れを低く規制するために
設ける粗化部の範囲としては、T字状面部のウェブ背面
に対応する粗化部でリブ部を中心とするリブ厚さの1倍
以上5倍以下(好ましくは1倍以上3倍以下)、L字状
面部のウェブ背面に対応する粗化部でリブ部外側端から
リブ厚さの1倍以上3倍以下(好ましくは1倍以上2倍
以下)とすることが好適であることが確認された。
【0027】以上の実施例で述べたように、本発明方法
は、用いる金型のインプレッションの特定面部を粗化す
るという実用上適用の容易な構成でもって、従来技術で
はヒケ欠陥なしで成形することが困難であったウェブ厚
/リブ厚の比の小さな薄肉ウェブリブ部材を、ネットシ
ェイプにかつ効率良く成形できるという優れた効果を達
成することができる。
【0028】なお、以上の実施例では、Al7075合金から
なる薄肉ウェブリブ部材のプレス型鍛造を例にして述べ
たが、本発明方法は、これに限定されるものではなく、
例えばTi合金等の他の金属材料からなる薄肉ウェブリ
ブ部材のプレス型鍛造に適用して同様の効果が得られる
ことは言うまでもない。
【0029】
【発明の効果】以上に述べたように、本発明に係るプレ
ス型鍛造方法によれば、薄肉板状のウェブから突出させ
た薄肉リブを有し、かつそのウェブ厚/リブ厚の比の小
さな薄肉ウェブリブ部材を、折れ込み欠陥や欠肉となる
ヒケ欠陥を生じさせることなく、ネットシェイプにかつ
効率良く成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例のプレス型鍛造に関わる説明図であっ
て、 (a)図は成形対象とする薄肉ウェブリブ部材の仕上
鍛造形状を示す斜視図、 (b)図は用いた荒地の形状を示
す斜視図、 (c)図は用いた金型の概要構成を示す正断面
図である。
【図2】従来のプレス型鍛造に関わる説明図である。
【符号の説明】
(1) --金型、(2) --ダイインサート、(3) --上ポンチ、
(3a)--粗化部、(3b)--粗化部、(4) --下ポンチ、(5) --
圧下メインラム、(6) --下アンビル、(6a)--ノックアウ
トラム、(B) --ブランク、(M) --薄肉ウェブリブ部材、
(W) --ウェブ、(Wt)--ウェブ厚、(Rc)--リブ、(Rs)--リ
ブ、(Rt)--リブ厚。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薄肉板状のウェブ面から突出させた薄肉
    リブを有し、そのウェブ部とリブ部からなるT字状断面
    部を持つ薄肉ウェブリブ部材をプレス型鍛造するに際
    し、用いる金型の前記T字状断面部を成形するインプレ
    ッション面部の反リブ部側の面粗度を、その他のインプ
    レッション面部の面粗度よりも粗くし、かつ、その面粗
    度を3〜8Sとすると共に、粗化する範囲をリブ部を中
    心とする該リブ厚さの1倍以上5倍以下としてプレス型
    鍛造することを特徴とする薄肉ウェブリブ部材のプレス
    型鍛造方法。
  2. 【請求項2】 薄肉板状のウェブ側端から突出させた薄
    肉リブを有し、そのウェブ部とリブ部からなるL字状断
    面部を持つ薄肉ウェブリブ部材をプレス型鍛造するに際
    し、用いる金型の前記L字状断面部を成形するインプレ
    ッション面部の反リブ部側の面粗度を、その他のインプ
    レッション面部の面粗度よりも粗くし、かつ、その面粗
    度を3〜8Sとすると共に、粗化する範囲を前記L字状
    断面部の外側端から該リブ厚さの1倍以上3倍以下とし
    てプレス型鍛造することを特徴とする薄肉ウェブリブ部
    材のプレス型鍛造方法。
JP25988893A 1993-10-18 1993-10-18 薄肉ウェブリブ部材のプレス型鍛造方法 Pending JPH07124677A (ja)

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