JPH07122092B2 - 磁気特性に優れた一方向性けい素鋼板の製造方法 - Google Patents

磁気特性に優れた一方向性けい素鋼板の製造方法

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JPH07122092B2
JPH07122092B2 JP63170788A JP17078888A JPH07122092B2 JP H07122092 B2 JPH07122092 B2 JP H07122092B2 JP 63170788 A JP63170788 A JP 63170788A JP 17078888 A JP17078888 A JP 17078888A JP H07122092 B2 JPH07122092 B2 JP H07122092B2
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道郎 小松原
康之 早川
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、磁気特性に優れた一方向性けい素鋼板の製
造方法に関し、磁気特性中でも磁束密度の有利な改善を
図ろうとするものである。
(従来の技術) 主として変圧器や電動機などの鉄心材料として用いられ
る一方向性けい素鋼板に要求される特性は、一定の磁化
力において得られる磁束密度が高いこと、および一定の
磁束密度を与えた場合にその鉄損が低いことである。通
常これらの代表値としては、磁化力800A/mにおける磁束
密度B8(T:テスラ)および磁束密度1.70T、周波数50Hz
における鉄損W17/50(W/kg)が採用されている。
これらの両特性を含む磁気特性を向上させるためには、
現在まで多くの研究がなされ、特に素材の成分、熱間お
よび冷間圧延法、熱処理方法等の改善によってそれぞれ
少なからざる成果が得られている。
従来の一方向性けい素鋼板は、通常Si:2.5〜4.5wt%
(以下単に%で示す)を含む低炭素鋼に微量のMn,S,Se,
Sb,Al,Sn,NおよびB等のインヒビター形成元素を添加し
た素材を熱間圧延した後、1回もしくは中間焼鈍を挟む
2回以上の冷間圧延を経て、該冷延鋼板に脱炭を兼ねた
1次再結晶焼鈍を施し、しかるのち最終仕上げ焼鈍工程
において2次再結晶処理を施すことによって2次再結晶
粒を{110}<001>方位に高度に集積させると共に、引
き続く純化焼鈍によって鋼板中の不純物を除去すること
により良好な磁気特性を得ている。
この際、2次再結晶粒の方位が{110}<001>へ集積す
るほど鋼板の磁束密度は高くなるが、一方で巨大な2次
粒と成り易く、粒内の磁区幅が増し、過流損の増加によ
り鉄損特性が劣化する傾向にあった。そこで2次粒を微
細化することを目的とした努力が種々施され、例えば特
開昭60−89521号公報では、再結晶促進域と遅滞域を交
互に設け2次粒の核発生を増しかつ成長を阻止すること
で2次粒の微細化を図り鉄損を向上させる方法が提案さ
れている。しかしながら、近年物理的な局所歪の導入に
よる磁区細分化技術(たとえば特開昭58−26410号公
報)の確立により、とくに2次粒を微細化せずとも低鉄
損が得られるようになったため、技術開発の方向は、磁
束密度の向上に傾いている。
この点、特公昭58−50295号公報では、2次再結晶時に
一方向の温度勾配を与え、{110}<001>方位の2次粒
を選択成長させることで高い磁束密度を得る方法が開示
されている。この方法は、相対的に高温では2次粒の核
発生速度が大きく、一方低温では粒成長速度が大きいと
いう、2次再結晶に特有の現象を利用したものであり、
発生した2次粒を温度勾配を与えながら加熱することに
よって巨大に粒成長させて、鋼板全体の方向性を向上さ
せようとするものである。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら2次再結晶が進行するような高温度域で、
しかも数十トンもあるようコイルに特定の温度勾配を与
えることは、温度勾配付与技術および温度制御技術いず
れの面からも極めて難しく、さらに上記の方法では、最
初に発生する2次粒については何ら工夫が施されていな
いために、最初に核発生した2次粒の方位によって板全
体の特性が大きく影響されるという、言わば偶然性に負
うところが大きく、従って必ずしも常に高い磁束密度が
得られるわけではないところに問題を残していた。
この発明は上記の問題を有利に解決するもので、2次再
結晶前の低温度域において特殊な熱処理を施すことによ
って、{110}<001>方位に対する配向性が極めて良い
2次粒の核を高い確率の下で、優先的にしかも局所的に
発生させると共に、その後の2次再結晶においてこの粒
を優先的に成長させ、もって2次粒の方位がゴス方位に
高度に揃ったひいては高磁束密度の一方向性けい素鋼板
を安定して製造することができる有利な方法を提案する
ことを目的とする。
(課題を解決するための手段) さて発明者らは、上記のような問題を解決すべく鋭意研
究を重ねた結果、 i)とくに高温の2次再結晶時における温度勾配を制御
しなくても、鋼板の2次再結晶開始温度を制御してやれ
ば、{110}<001>方位の2次粒を優先的に選択成長さ
せ得ること、 ii)また核発生と粒成長に関する研究を系統的に進めた
結果、鋼板の板面内での集合組織またはインヒビターに
よる抑制力を変化させることによって2次再結晶開始温
度(Tsr)が変化すること、 iii)さらにTsrを鋼板の位置によって変化させてやれ
ば、2次再結晶時に温度勾配を付与しなくても、極めて
高い磁束密度の製品が得られること の知見を得た。
この発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわちこの発明は、含けい素鋼スラブを、熱間圧延
し、ついで1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧
延を施して最終板厚としたのち、脱炭・1次再結晶焼鈍
を施し、しかるのち2次再結晶焼鈍ついで純化焼鈍を施
す一連の工程によって一方向性けい素鋼板を製造するに
当り、脱炭・1次再結晶焼鈍後、2次再結晶焼鈍前の段
階において、2次再結晶前熱処理として、鋼板に対し、
温度勾配を有し、かつ高温側の温度が650℃以上、2次
再結晶開始温度未満の範囲になる傾斜焼鈍を、5〜100
時間にわたって施すことから成る磁気特性に優れた一方
向性けい素鋼板の製造方法である。
以下、この発明の解明経緯について説明する。
Tsrを鋼板の位置によって変化させる技術として発明者
らは先に、素材のC含有量を変化させる方法(特願昭62
−112402号)や2回冷延法で中間焼鈍温度を位置によっ
て変化させる方法(特願昭62−112405号)を開発し、出
願した。
しかしながらこれらの技術は、2次再結晶前の1次再結
晶集合組織やインヒビターを直接制御するものではな
く、それ以前の工程条件に工夫を加えて所望の効果を得
ようとするものであるため、その効果において安定性に
欠ける傾向があった。
この発明は、上記の欠点を除き、最終仕上げ焼鈍工程前
において直接、1次再結晶集合組織やインヒビターを制
御することによって、2次再結晶が開始する温度Tsrを
鋼板の位置によって変化させるという画期的なものであ
り、{110}<001>方位への集積度が高い従って磁束密
度が高い2次再結晶組織が得られる。
この点、従来の一方向性けい素鋼板の製造方法では、2
次粒の核発生頻度が高いため{110}<001>方位粒を十
分に選択成長させることはできなかった。
しかしながら発明者らの研究により、鋼板内で{110}
<001>方位の核発生時期を局所的にずらすことで、先
に発生した{110}<001>方位粒を選択的に成長させる
ことができ、かくして磁束密度の極めて高い2次再結晶
組織が得られることが究明されたのである。
一方向性けい素鋼板の2次再結晶開始温度は、通常800
〜1100℃の範囲にあるが、その成分、製造工程により鋼
板固有の温度が決まる。ここで2次再結晶開始温度は、
最終冷延後、脱炭・1次再結晶焼鈍板を一定温度で10h
保持したときの、2次再結晶粒の発生した温度を指標と
して用いるが、インヒビターとしてAlNを使用した場合
と使用しない場合とでは、この温度が大きく異なる。す
なわちAlNがインヒビターとしての機能を果たすべく微
細に鋼中に分散した素材においては、Tsrは1000℃以上
であるのに対して、インヒビターとしてAlNを使用しな
い場合2次再結晶開始温度は低く、800〜900℃程度であ
る。
通常、この2次再結晶開始温度以上の温度での焼鈍を長
時間行うことで2次再結晶を完了させることができる
が、この発明では、かかる2次再結晶焼鈍に先立ち、製
造条件に工夫を加えて、該鋼板の2次再結晶開始温度が
鋼板内で変化するように処理し、結果的に2次再結晶時
に2次再結晶が生じる鋼板内の位置を局所化させると共
に、他領域においては、2次再結晶粒が成長し易い地鉄
素地を形成させて、{110}<001>方位に高度に揃っ
た、2次粒を他領域に蚕食させて巨大な粒に成長せしめ
ることで2次再結晶を完了させることが大きな特徴であ
る。なおこの際2次再結晶粒の大きさは、2次再結晶温
度の分布状態に依存するため、鋼板の2次再結晶温度の
温度差を制御することによって高磁束密度を維持したま
ま2次再結晶組織の制御も可能となる。
さてこの発明の端緒となったのは次に述べる現象を解明
したことによる。
すなわち、MnSとSbを主要インヒビターとする素材に関
し、特開昭50−123517号公報に記載されているような87
0℃で30時間の2次再結晶のための低温保定を含む仕上
げ焼鈍をコイル規模で箱焼鈍している際、製品の磁気特
性として、時に極めて磁束密度の高いものが得られる場
合があった。この時得られた製品の2次再結晶粒につい
て調べたところ、10〜100mmと極めて巨大なものであっ
た。
そこで発明者らは、この現象について詳細に検討した結
果、かような現象は870℃での低温保定に入る前の昇温
過程におけるコイル内の温度の不均一性と関連し、コイ
ル内での温度不均一の度合いが高い場合に生じることが
判明した。
コイルのような重量物を箱焼鈍する場合、例えば特公昭
59−24167号公報の第6図にも示されているように、昇
温過程においてコイルの幅方向に温度差、すなわち温度
勾配が生じることは公知の事実である。一方向性けい素
鋼コイルを箱焼鈍する場合は、2次再結晶時の保定温度
を場所的にも時間的にもできる限り一定とするための温
度制御装置を付帯させているので、上掲公報の例ほどに
は温度差はないが、それでも昇温過程においては、コイ
ル幅方向に温度差が生じることは免がれ得ない。このた
め、温度制御の良くない場合には、前述のような現象が
生じたものと考えられる。
この発明は、上述したような現象を生起させる機構を解
明し、もって有利な方法で製品の磁気特性を向上させる
技術を新規に開発したものである。
さて発明者らは、2次再結晶前における熱処理によっ
て、板幅方向(圧延直角方向)における2次再結晶開始
温度Tsrが変化することを見出した。
第1図に、Alを0.025wt%(以下単に%で示す)含有す
る幅100mmの脱炭・1次再結晶板3コイルを、圧延方向
に対し直角方向(板幅方向)に高温側:880℃、低温側:6
30℃で25℃/cmの温度勾配を与えてそれぞれ、2時間、1
0時間、30時間焼鈍した後、圧延方向に11分割して1000
℃から1100℃にわたる温度範囲で20時間焼鈍したとき
の、板幅方向における2次再結晶開始温度(Tsr)につ
いて調べた結果を示す。
同図から明らかなように、2次再結晶前の低温焼鈍にお
ける温度を変えることにより、2次再結晶開始温度がと
くに10時間、30時間と長時間保持した場合、大きく変動
している。したがって引続く2次再結晶時には、保持温
度:730℃に対応する場所から優先的に{110}<001>方
位の2次再結晶粒が出現し、他領域に蚕食していって成
長していくことになるわけである。前述のコイルの場合
にも、このような機構で巨大な2次再結晶粒が成長し、
磁気特性とくに磁束密度の極めて優れた製品が得られた
ものと思われる。
このような2次再結晶前の熱処理によってTsrが変化す
る理由を解明するため、2次再結晶前熱処理材のミクロ
組織構造を観察したところ鋼板表層のインヒビヒターが
局所的に粗大化しており、しかも{110}<001>方位に
揃った1次再結晶粒の粒径が、1次再結晶粒の平均粒径
よりも大きく約2倍程度に成長していた。これにより、
{110}<001>方位に揃った1次再結晶粒の成長速度が
促進され、引続く2次再結晶時にTsrの低下をもたら
し、かくして製品の磁束密度を高めたものと思われる。
次に、この2次再結晶前熱処理の適正温度範囲を検討す
るために、Alを0.025%含有する前述と同じ脱炭・1次
再結晶板を用い、板幅方向に25℃/cmの温度勾配を付与
し、かつ高温側をそれぞれ1000℃,950℃,900℃,850℃,8
00℃,750℃,700℃,650℃,600℃,550℃および500℃と種
々に変化させて30時間焼鈍した後、15℃/hの昇降速度で
温度分布を均一にして1200℃まで昇温して2次再結晶焼
鈍を施した後、15時間保持した時の磁気特性について調
べた結果を第2図に示す。なおこれらの鋼板の2次再結
晶開始温度Tsrは1020〜1100℃である。
同図より明らかなように、650℃以上で、しかもTsrより
も低い900℃以下の温度範囲の2次再結晶前熱処理によ
って極めて高いB8値が得られている。
以上の結果より、2次再結晶前熱処理は、1次再結晶集
合組織もしくはインヒビターの状態を変え2次再結晶の
核生成の活性化エネルギーを変化させる作用を有するこ
とがわかり、特に{110}<001>方位に揃った2次再結
晶粒の核生成の活性化エネルギーを効果的に低下させ得
ることが判明した。
2次再結晶前熱処理において、鋼板に温度勾配を付与さ
せるには、焼鈍炉の均熱を悪くさせれば良いわけである
が、2次再結晶時においては、鋼板内が均一熱処理され
ることが必要であるから、結局、自然に形成される温度
勾配ではなく、各鋼板位置における温度制御を正確に行
なう必要がある。一般に高温において所望の温度勾配を
付与することは熱流制御上極めて難しいけれども、この
発明で温度勾配を付与するのは「2次再結晶前熱処理」
であって比較的低温であるので、温度勾配の制御が易し
く、この点においてもこの発明は有利である。
次にこの発明法を、製造工程順に具体的に説明する。
まずこの発明の出発素材については、従来公知の一方向
性けい素鋼板の成分たとえば、C:0.005〜0.15%、Si:0.
1〜7.0%およびMn:0.002〜0.15%を含有する他、インヒ
ビター形成成分として、S:0.005〜0.05%、Se:0.005〜
0.05%、Te:0.003〜0.03%、Sb:0.005〜0.05%、Sn:0.0
3〜0.5%、Cu:0.02〜0.3%、Mo:0.005〜0.05%、B:0.00
03〜0.0040%、N:0.001〜0.01%、Al:0.005〜0.05%、N
b:0.001〜0.05%、Cr:0.03〜0.30%およびP:0.015〜0.0
45%のうちから選んだ少なくとも一種を含有する素材い
ずれもが有利に適合する。
これらの素材は従来公知の製鋼法、たとえば転炉、電気
炉で製鋼され、さらに造塊−分塊法、連続鋳造法、また
ロール急冷法などによってスラブ、シートバーあるいは
直接薄鋼板としたのち、必要に応じて熱間圧延、温間又
は冷間圧延によって含けい素鋼板とする。ついで必要に
応じて均一化焼鈍、さらには1回の圧延もしくは中間焼
鈍を挟む2回以上の圧延により最終板厚に仕上げる。
次に湿水素中で700〜900℃、1〜15分間程度の焼鈍を施
して鋼中のCを除去すると共に、次の焼鈍時にゴス方位
の2次再結晶粒を発達させるのに有利な1次再結晶集合
組織を形成させる。
ついで焼鈍分離剤を塗布し、コイルに巻取って仕上げ焼
鈍を施すわけであるが、この時2次再結晶に先立って、
高温側の温度が650℃以上、Tsr未満の温度範囲で温度勾
配付与下に5〜100時間にわたる2次再結晶前熱処理を
施こすところに、この発明の特徴がある。上記の熱処理
において、処理温度がTsr以上では、引続く2次再結晶
時にTsrの最も低い鋼板位置で発生する2次再結晶粒方
位の{110}<001>方位への配向性がさほど良くないた
め、磁束密度、鉄損ともに優れた磁気特性は得られな
い。一方650℃未満ではTsrを変動させるのに十分な温度
ではないため、やはり所期した目的が達成されない。
また付与する温度勾配については、局部的にTsrを低下
させるためには十分な勾配が必要で1℃/cm以上が好ま
しい。ただしAlNをインヒビターとして含有しない場合
(Al含有量が0.004%以下の場合)には、2次再結晶温
度が低いので、2次再結晶前熱処理温度については、高
温側温度が650℃から800℃の温度範囲内において、一方
AlNをインヒビターとして含有する場合(Al含有量が0.0
1〜0.04%程度)には650〜900℃の温度範囲においてそ
れぞれ温度勾配を付与した熱処理を施すのが好適であ
る。
引続く2次再結晶焼鈍は、工業的に可能な限り温度分布
の少ない均一焼鈍が好ましい。というのは2次再結晶焼
鈍において、コイルに温度勾配が生じると上述の処理に
よって実現されたTsrの変動効果が鋼板内の温度変動に
よって弱められ、2次再結晶の出現位置が不明瞭になり
好ましい2次再結晶粒を優先成長させるというこの発明
で所期する効果が弱められるからである。
2次再結晶後は、1100℃〜1250℃での高温純化焼鈍によ
り、フォルステライト被膜の形成と純化を行なう。なお
仕上げ焼鈍におけるガス成分としては、N2,H2,Arまた
はこれらの混合ガスなどが好適である。
実施例1 C:0.060%、Si:3.05%、Mn:0.075%、S:0.023%、Al:0.
025%およびN:0.0080%を含む連鋳スラブを、常法に従
って熱間圧延、焼鈍、冷間圧延ついで脱炭・1次再結晶
焼鈍処理したのち、焼鈍分離剤を塗布した鋼板(厚み0.
30mm)を下記の要領で焼鈍した。
第3図(イ)に示したようなヒートサイクルに従い仕上
げ焼鈍前に2次再結晶前熱処理として、圧延方向に2℃
/cmの温度勾配を付与し、かつ鋼板の高温部(Tmax)と
低温部(Tmin)の温度を種々に変化させた傾斜焼鈍を施
した。
この時の高温部側の温度Tmaxは(a)600℃(比較
材)、(b)700℃、(c)800℃、(d)900℃、
(e)950℃(比較材)、(f)1000℃(比較材)であ
り、それぞれの場合につき50時間の保定処理を行った。
その後15℃/hの昇温速度で昇温して2次再結晶焼鈍し、
1200℃で10hの純化焼鈍を施した。なお純化焼鈍では純
水素を通入し、それ以外ではN2:25%、H2:75%の混合ガ
スを通入した。
かくして得られた製品の磁気特性について調べた結果を
第1表に示す。
実施例2 実施例1と同様に処理して得た脱炭・1次再結晶焼鈍板
の表面に焼鈍分離剤を塗布してから、圧延直角方向に0.
5℃/cm、1℃/cm、5℃/cmの温度勾配を付与し、いずれ
も高温側温度を800℃に設定して50時間保定する2次再
結晶前熱処理を施した。その後実施例1と同様の仕上げ
焼鈍処理を施した。
かくして得られた製品の磁気特性について調べた結果を
第2表に示す。
実施例3 C:0.035%、Si:3.25%、Mn:0.068%、Se:0.020%、Sb:
0.020%を含み、かつAlを0.002%に抑制した連鋳スラブ
を熱間圧延、焼鈍、1次冷延、中間焼鈍、2次冷延つい
で脱炭・1次再結晶焼鈍処理したのち、焼鈍分離剤を塗
布した鋼板(厚み0.23mm)を下記の要領で焼鈍した。
第3図(ハ),(ニ)に示したヒートサイクルで仕上げ
焼鈍を施したが、このとき2次再結晶前熱処理として冷
延方向と直角の方向に5℃/cmの温度勾配を付与し、第
3図(ハ)の熱処理では高温側温度Tmaxは=750℃とし
て15時間の保定処理を、また第3図(ニ)の熱処理では
Tmaxを700℃から750℃まで5℃/hで10時間かけて徐熱す
る焼鈍を施した。なおその他の昇温部はいずれも50℃/h
とした。さらに雰囲気は、2次再結晶焼鈍(870℃×30
時間)までをN2とし、1200℃で10時間の純化焼鈍は純H2
中で行った。
なお同一の鋼板で870℃,30hの2次再結晶焼鈍と1200℃,
10hの純化焼鈍を施し、比較例とした。
かくして得られた製品の磁気特性について調べた結果を
第3表に示す。
実施例4 第4表に示す成分組成になる連鋳スラブを、熱間圧延、
焼鈍、1次冷延、中間焼鈍、2次冷延ついで脱炭・1次
再結晶焼鈍処理したのち、焼鈍分離剤を塗布した鋼板
(厚み0.23mm)を下記の要領で焼鈍した。
第3図(ロ)に示したヒートサイクルで仕上げ焼鈍した
が、このとき2次再結晶前熱処理として、冷延直角方向
に15℃/cmの温度勾配を付与し、Tmaxを650℃から850℃
まで10℃/hで20時間かけて昇温し、その後、均一な温度
分布のもとで15℃/hの速度で1200℃まで昇温し2次再結
晶させた。このときの雰囲気は、2次再結晶前熱処理で
はN2、また15℃/hの昇温における2次再結晶焼鈍中では
N2:25%、H2:75%の混合ガス、さらに1200℃、10hの純
化焼鈍中では純H2とした。
かくして得られた製品の磁気特性について調べた結果を
第4表に併記する。
実施例5 第5表に示す成分組成になる鋼塊を分塊圧延してスラブ
とし、熱間圧延、焼鈍、冷間圧延ついで脱炭・1次再結
晶焼鈍処理を施したのち、焼鈍分離剤を塗布した鋼板
(厚み0.28mm)に第3図(イ)のヒートサイクルで仕上
げ焼鈍を施したが、このとき、2次再結晶前熱処理とし
て圧延直角方向に10℃/cmの温度勾配を付与し、この時
のTmaxを820℃として20時間保持した。2次再結晶は、1
5℃/hの昇温速度で均一な温度分布の下で1200℃まで昇
温して行ない、その後、1200℃で10時間の純化焼鈍を施
した。雰囲気としては、2次再結晶前熱処理までをAr雰
囲気とし、また1200℃までの昇温における2次再結晶焼
鈍中はN225%、H275%の混合ガス雰囲気とし、さらに12
00℃での純化焼鈍中はH2雰囲気とした。
かくして得られた製品の磁気特性について調べた結果を
第6表に示す。
なお第6表には比較のため、同一の鋼板を均一温度分布
下で15℃/hの速度で1200℃までN225%、H275%雰囲気下
で昇温し、ついでH2中で1200℃、10時間の純化焼鈍を施
して得た従来材の調査結果についても併せて示す。
(発明の効果) かくしてこの発明によれば、極めて高い磁束密度の一方
向性けい素鋼板を安定して得ることができ、しかも得ら
れた鋼板は鉄損も低いというメリットがある。
またこの発明法は、従来2次再結晶が困難で、磁束密度
が低いとされていた厚み:0.25mm以下の薄肉材に適用し
ても同等の効果が期待でき、さらに種々のインヒビター
成分の素材にも適用でき普遍的なものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は、2次再結晶前熱処理における処理温度と処理
時間が鋼板の2次再結晶開始温度(Tsr)に及ぼす影響
を示したグラフ、 第2図は、2次再結晶前熱処理の鋼板最高温度と製品の
磁束密度との関係を示したグラフ、 第3図(イ)〜(ニ)はいずれも、ヒートサイクルの模
式図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】含けい素鋼スラブを、熱間圧延し、ついで
    1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して
    最終板厚としたのち、脱炭・1次再結晶焼鈍を施し、し
    かるのち2次再結晶焼鈍ついで純化焼鈍を施す一連の工
    程によって一方向性けい素鋼板を製造するに当り、 脱炭・1次再結晶焼鈍後、2次再結晶焼鈍前の段階にお
    いて、2次再結晶前熱処理として、鋼板に対し、温度勾
    配を有し、かつ高温側の温度が650℃以上、2次再結晶
    開始温度未満の範囲になる傾斜焼鈍を、5〜100時間に
    わたって施すことを特徴とする磁気特性に優れた一方向
    性けい素鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】素材スラブ中のA1含有量が0.004wt%以下
    であって、2次再結晶前熱処理を、温度勾配:1℃/cm以
    上、高温側温度:650〜800℃および処理時間:5〜100時間
    の条件下に施す請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】素材スラブ中のA1含有量が0.01〜0.04wt%
    であって、2次再結晶前熱処理を、温度勾配:1℃/cm以
    上、高温側温度:650〜900℃および処理時間:5〜100時間
    の条件下に施す請求項1記載の製造方法。
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