JPH07119299B2 - カルボジチオエート官能性イオン交換樹脂の製造方法 - Google Patents

カルボジチオエート官能性イオン交換樹脂の製造方法

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JPH07119299B2
JPH07119299B2 JP2315276A JP31527690A JPH07119299B2 JP H07119299 B2 JPH07119299 B2 JP H07119299B2 JP 2315276 A JP2315276 A JP 2315276A JP 31527690 A JP31527690 A JP 31527690A JP H07119299 B2 JPH07119299 B2 JP H07119299B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、カルボジチオエート官能性を有することを特
徴とする新規なイオン交換樹脂を与える方法に関するも
のである。本発明の方法により得られるイオン交換樹脂
は、化学的処理流体から貴金属を除去するのに用いた
時、驚く程効果的である。
〔従来の技術〕
イオン交換は商業的に行われているよく知られた方法で
あり、公開文献に広く報告されている。イオン交換法の
概説は、「カーク・オスマー・サイクロペディア・オブ
・ケミカル・テクノロジー」(Kirk−Othmer Cyclopedi
a of Chemical Technology)(Wiley&Sons出版、R.M.W
heaton及びL.J.Lefevre編集)第3版、第13巻、第678頁
〜第705頁に与えられている。上記カーク・オスマーの
文献に記載されているように、慣用的イオン交換樹脂は
通常スルホン酸官能性を有するが、他の型の官能基を有
するイオン交換樹脂を製造することも知られている。例
えば、金属をキレートする官能基(例えば、チオール、
アミン)を有するイオン交換樹脂は、湿式治金工業で用
いられている。アミン官能性樹脂と二硫化炭素と反応さ
せることによりカルバメート官能性樹脂を製造すること
も知られている(ケミカル・アブストラクツ、第102巻:
46764e参照)。しかし、当業者には明らかなように、炭
素・窒素結合はこの官能基の安定性を減ずる。
また、上記カーク・オスマーの文献第687頁及び第695頁
に記載されているように、イオン交換樹脂を製造するに
あたって、スチレンジビニルベンゼン共重合体をクロロ
メチルメチルエーテル(以下CMMEという)と反応させる
ことによってクロロメチル化する方法が用いられていた
が、これは、CMMEの異常な毒性及び発癌の危険のため、
クロロメチル化された共重合体は単離できないなどの不
便があった。さらに、従来の方法では、収率の点で必ず
しも満足なものではなかった。
これまで本発明の方法により製造されたカルボジチオエ
ート官能性を有するイオン交換樹脂は存在していなかっ
た。
〔本発明の要約〕
本発明は、結合ジビニルベンゼン15−30重量%を含むス
チレン−ジビニルベンゼン共重合体であり、平均粒径が
0.1−2.5mm(乾燥基準)と45%より大きい気孔率とを有
する非官能性巨大網状組織樹脂を臭素化し、次に、臭素
化樹脂をリチウム化し、更に、リチウム化樹脂を二硫化
炭素で処理して、1グラム(乾燥基準)当たり0.4−0.6
ミリ当量のカルボジチオエート官能性を有するイオン交
換樹脂を製造することを特徴とするカルボジチオエート
官能性を有するイオン交換樹脂の製造方法である。本発
明の樹脂の官能基は驚く程安定で、空気による酸化に対
し比較的抵抗性を有する。
〔詳細な記述〕
ここで用いられる用語「イオン交換樹脂」とは、その慣
用的意味を持ち、即ち典型的には0.1〜2.5mm(乾燥基
準)の粒径、600〜800g/(湿潤基準)の嵩密度、及び
イオン交換法で使用するのに適したものにする官能基を
有する架橋重合体樹脂ビードを意味する。本発明のイオ
ン交換樹脂は、出発材料として非官能性樹脂を用い、カ
ルボジチオエート官能性を与えるようにそれを処理する
ことにより製造される。本発明の範囲は、出発材料とし
て特定の非官能性樹脂を用いることに関する如何なる限
定によっても限定されるものではない。イオン交換樹脂
を製造するのに適していることが知られている非官能性
樹脂のいずれを用いてもよい。但しその非官能性樹脂は
カルボジチオエート官能性を与えるように成功裡に処理
することができるものとする。ジビニルベンゼン架橋ス
チレン共重合体樹脂(S−DVB)が好ましい出発材料と
して使用される。適切なS−DVBの典型的な例は、2〜5
0重量%、時に15〜30重量%の結合ジビニルベンゼン
(残余は結合スチレンからなる)を含み、それらが有機
溶媒に不溶性になる程度まで架橋されているものであ
る。最も好ましい出発材料は「巨大網状組織(macroret
icular)」〔マクロポーラス(macroporous)とも呼ば
れている〕であるS−DVB樹脂である。巨大網状組織イ
オン交換樹脂は、通常0.7ml/gより大きいとして記述さ
れている大きな気孔体積を有する。極めて好ましい巨大
網状組織樹脂は、45%より大きな気孔率(水銀気孔測定
により測定して)及び100m2/g以上のBET比表面積を有す
ることを更に特徴とする。
本発明のイオン交換樹脂はカルボジチオエート官能性
〔即ち、 (ここで、 は出発材料として用いられたイオン交換樹脂である)〕
を有する。用語「カルボジチオエート官能性」とは、カ
ルバジド官能性を明確に排除することを意味する(即
ち、本発明の樹脂は官能基の中に炭素・窒素結合を含ん
ではならない)。樹脂1g当たり(乾燥基準)0.4〜0.6ミ
リ当量(meq)のCS2を有するイオン交換樹脂が好まし
い。それより低い水準の官能性を有する樹脂を用いても
よいが、それに相当して吸着能力の水準は低くなる。一
層大きな水準の官能性を有する樹脂は経済的に実施でき
るやり方で製造することが困難である。カルボジチオエ
ート官能性が与えられた樹脂を製造するのに好ましい方
法を一般的に下に記述する。
好ましい方法は非官能性樹脂を臭素化し、次にリチウム
化(lithiation)し、次に二硫化炭素で処理する。
イオン交換樹脂出発材料は最初にそれを臭素含有溶液と
接触させることにより臭素化する。
臭素化されたイオン交換樹脂を、有機リチウム試薬(例
えば、n−ブチル リチウム)で処理することによりリ
チウム化する。
そのようにリチウム化された樹脂を次に二硫化炭素と接
触させ、最終的な本発明によるカルボジチオエート官能
性イオン交換樹脂を生成させる。上記手順(即ち、臭素
化、リチウム化、二硫化炭素による処理)の各々に関す
る更に一層詳細な点は後に記載する実施例に与えられて
いる。
本発明を限定するものではないが、本発明のイオン交換
樹脂は第VIII族金属の回収に適しており、化学的処理流
からロジウム含有触媒〔RhCl(PPh3及びHRh(PP
h3の如きもの〕を回収するのに驚く程効果的であ
る。更に本発明の樹脂は、有機又は水性流から他の重金
属(Ag、Cd、Hg、V又はCuの如きもの)を除去する方法
で用いるのに適している。
実施例1 この実施例はカルボジチオエート官能性を有するイオン
交換樹脂の製造を例示する。
出発材料はバイオ・ラド・ラボラトリーズ(Bio−Rad L
aboratories)から商標名バイオビーズ(Bio Beads)SM
16として売られている非官能性S−DVB樹脂であった。
この樹脂は「処理済み」級(即ち、製造業者により洗浄
及び篩分け済み)であった。樹脂は巨大網状組織であ
り、800m2/gより大きな比表面積を有すると報告されて
いた。本発明によるカルボジチオエート官能性樹脂は、
下に記述する如く、この巨大網状組織樹脂を臭素化し、
リチウム化し、二硫化炭素で処理することにより製造さ
れた。
最初の臭素化反応は、還流凝縮器、機械的撹拌器及び滴
下ロートを備えた三口1フラスコ中で行われた。上記
巨大網状組織樹脂20gを、300mlの塩化メチレン及び0.5g
の塩化第二鉄と一緒にフラスコへ入れた。混合物を暗中
で30分間撹拌し、次に30.3gの臭素(55mlの塩化メチレ
ン中に溶解)を滴下した。
暗中で更に1時間撹拌した後、混合物を4.5時間還流加
熱し、次に室温で一晩撹拌した。反応混合物は過剰の遊
離の臭素のため未だ赤い色をしていた。亜硫酸水素ナト
リウム水溶液(5%、100ml)を注意しながら前記溶液
へ撹拌しながら添加した。樹脂を過により収集し、塩
化メチレン、アセトン、アセトン・水(2:1)、アセト
ン、ベンゼン、及びメタノールで洗浄し、次に溶媒とし
て塩化メチレンを用いソックスレー抽出器で一晩洗浄し
た。真空中60℃で乾燥した後、28.6gの薄いベージュ色
の樹脂が得られた。
臭素化された樹脂の分析により、それは30.5重量%の臭
素を含むことが分かった。
次に臭素化された樹脂のリチウム化を次の如く行なっ
た:上記臭素化樹脂8.0gと乾燥THF100mlとの混合物を、
機械的撹拌器、凝縮器及びゴム隔壁を具えた500mlの三
口フラスコ中に入れた。その装置を窒素で追い出し、反
応中窒素下に維持した。混合物を0℃へ冷却し、ヘキサ
ン中にn−ブチル リチウムを入れたもの(ヘキサン中
2.5M、30ml)を注射器により滴下した。反応混合物を0
℃で30分間撹拌し、次に室温で1時間撹拌した。このリ
チウム化樹脂を分離せずに次の工程で用いた。
臭化第一銅帯び臭化リチウムのTHF溶液を、上記リチウ
ム化樹脂へ、混合物を0℃の温度に維持しながら添加し
た。次に二硫化炭素を混合物へ添加し、カルボジチオエ
ート官能性(中間のリチウム化工程を考慮して 形のもの)を与えた。
実施例2 この実施例は実施例1に記載したカルボジチオエート官
能性樹脂を用いて、粘稠なロジウム含有ゴム溶液からロ
ジウムを除去する場合を例示する。
ゴム溶液は、アクリルニトリル・ブタジエン ゴムのク
ロロベンゼン溶液をHRh(PPh3触媒及びトリフェニ
ルホスフィン触媒を用いて均質水素化することにより製
造された。この種の水素化工程に関する一層詳細な点
は、米国特許第4,464,515号明細書に与えられている。
次に溶液を少量のクロロベンゼンで希釈し、6%溶液
(即ち、水素化ゴムの重量/溶媒重量)の溶媒を与え
た。
次に下に記載する本発明の実験で、実施例1のカルボジ
チオエート樹脂の上記ゴム溶液からロジウムを除去する
能力を試験した。
150mlのゴム溶液を、実施例1に記載した樹脂0.5gと一
緒に、撹拌器付き500ml三口フラスコ中に入れた。反応
混合物を5時間窒素下で撹拌及び還流した。次に樹脂を
混合物から過により除去した。次にゴムを回転蒸発器
中で溶媒を蒸発させ、次に60℃の減圧炉中で乾燥するこ
とにより回収した。回収したゴムの試料を原子吸収分光
分析によりRh含有量について分析し、9.2ppmのRhを含む
ことが分かった。
比較実験としてゴム溶液の未処理150ml試料から、上に
記載した蒸発/乾燥手順によりゴムを回収した。対照実
験からのゴムを原子吸収分光分析により分析し、104ppm
含有することが分かった。
本発明の結果と比較実験の結果との比較から、存在ロジ
ウムの91%が本発明の樹脂によって除去されたことが判
る。
実施例3 本発明のカルボジチオエート官能性樹脂の製造について
実施例2で記述した手順を繰り返して同じイオン交換樹
脂を製造した。
次にその同様なイオン交換樹脂を用いて、実施例2に記
述したように、ロジウム含有ゴム溶液の更に別の150ml
試料を処理した。
この実施例の実験で回収されたゴムのロジウム含有量は
5.8ppmであることが決定され、ロジウムの94%が本発明
の樹脂により除去されたことを示していた。
実施例4 本発明のカルボジチオエート官能性樹脂を製造するため
に実施例2に記載した手順を繰り返した。但し出発材料
は未処理級樹脂であった(即ち、出発材料はバイオ・ラ
ド・ラボラトリーズから得られた巨大網状組織S−DVB
樹脂であったが、それは出荷前に製造業者によって予め
洗浄及び篩分けは行われていないものであった)。
元素分析を、最終的に得られたカルボジチオエート官能
性樹脂について行なった。官能性樹脂は3.1重量%の硫
黄を含むことが判明し、それからその樹脂が乾燥樹脂1g
当たりCS20.48ミリ当量の官能性度を持っていることが
計算された。
実施例2に記載した水素化法により、ロジウム含有水素
化アクリロニトリル・ブタジエン ゴム溶液を調製し
た。この溶液から回収されたゴムの分析によると、60.9
ppmのロジウムを含むことが分かった。
この実施例の本発明のイオン交換樹脂を次に、実施例2
に記載した手順を用いてこのゴム溶液の試料150mlを処
理するのに用いた。
この実施例の実験から回収されたゴムのロジウム含有量
は7.9ppmで、ロジウムの87%が除去されたことを示して
いた。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カルボジチオエート官能性を有するイオン
    交換樹脂の製造方法において、結合ジビニルベンゼン15
    −30重量%を含むスチレン−ジビニルベンゼン共重合体
    であり、平均粒径が0.1−2.5mm(乾燥基準)と45%より
    大きい気孔率とを有する非官能性巨大網状組織樹脂を臭
    素化し、次に、臭素化樹脂をリチウム化し、更に、リチ
    ウム化樹脂を二硫化炭素で処理して、1グラム(乾燥基
    準)当たり0.4−0.6ミリ当量のカルボジチオエート官能
    性を有するイオン交換樹脂を製造することを特徴とする
    前記製造方法。
JP2315276A 1989-11-20 1990-11-20 カルボジチオエート官能性イオン交換樹脂の製造方法 Expired - Fee Related JPH07119299B2 (ja)

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