JPH07119235B2 - ヒト免疫不全ウイルスエンドヌクレアーゼ蛋白質由来ポリペプチド - Google Patents

ヒト免疫不全ウイルスエンドヌクレアーゼ蛋白質由来ポリペプチド

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JPH07119235B2
JPH07119235B2 JP4507862A JP50786292A JPH07119235B2 JP H07119235 B2 JPH07119235 B2 JP H07119235B2 JP 4507862 A JP4507862 A JP 4507862A JP 50786292 A JP50786292 A JP 50786292A JP H07119235 B2 JPH07119235 B2 JP H07119235B2
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、HIV感染を顕示する抗HIVエンドヌクレアーゼ
抗体の検出に役立つポリペプチドに関する。
背景 ヒト免疫不全(HIV)ゲノムによってコードされる抗原
構造の同定は、ワクチンの開発および血清学試験のため
に必要である。いくつかの反応性の強い抗原部位が、HI
V−1およびHIV−2のgagおよびenvがコードする蛋白質
で同定された(8−13)。トランスメンブラン蛋白質の
NH2末端に位置する抗原配列(シーケンス)に由来する
ペプチドは、HIVの2つの型に対する抗体の明確な分類
を可能にし(12)、一方、2種の血清型間の交差反応性
が、配列相同性を示すこれら領域に対して見出された
(12−14)。しかしgagおよびenvの交差反応領域に対す
る血清反応性はしばしば非常に低く、さらに、すべての
HIV−1抗体陽性血清が、交差反応性ペプチドを基にし
た血清学試験で調べたとき陽性を示すとはかぎらない。
レトロウイルスのライフサイクルの特色の1つは、プロ
ウイルスDNAの宿主染色体への挿入である。ウイルスゲ
ノムのpol遺伝子の3′末端によりコードされる蛋白質
は、エンドヌクレアーゼ活性を有することが示されたが
(1)、これはDNA組み込みのために必要である。ヒト
免疫不全ウイルス(HIV)感染者の大半の血清は、血清
学試験でエンドヌクレアーゼP31と反応する(2−
4)。しかし、この蛋白のどの部分が抗体反応に対する
標的となるのかは不明である。
発明の要約 本発明は次の式のポリペプチドを含む: X−Glu−Thr−Gly−Gln−Glu−Thr−Ala−Tyr−Phe−
B Leu−Lys−Leu−Ala−Gly−Arg−Trp−Pro−Val−Lys−
Z 式中、BはLeuまたはIleで、 Xは1から20個のアミノ酸残基またはアミノ末端基で、 Zは1から20個のアミノ酸残基またはカルボキシ末端基
である。
本発明のポリペプチドまたは抗体(好ましくはユニット
を構成するが)も含まれ、そのような組成物は、抗HIV
エンドヌクレアーゼ抗体の検出に役立つ。
図面の簡単な説明 図1は、選択されたHIV−1エンドヌクレアーゼペプチ
ドに対するHIV感染および非感染者の血清の反応性を示
す。33検体のHIV−1抗体陽性血清(点付き四角)およ
び14のコントロール血清(白四角)を、HIV−1エンド
ヌクレアーゼ蛋白質を表象するペプチド(6)を用いて
ELISAで調べた。アミノ酸配列は、HIV−1コンセンサス
配列から得られ、図の下(横軸)に示してある。大文字
はコンセンサスアミノ酸を示し、一方、小文字はより保
存度の低いアミノ酸を示している。490nmの吸収値は縦
軸で示す。感染者の3血清はCDC1に(7)、13血清はCD
CIIに、7血清はCDCIIIに、10血清はCDCIVに分類され
た。End10により表される領域より他の領域に対する反
応性は非常に低かったので、図では選ばれた番号のペプ
チドの結果だけが示されている。
図2は、HIV−1抗体陽性およびコントロール血清の18
グリシン(G)置換ペプチドのEND10セットに対する反
応性を示している。横線入り四角は、抗体陽性13血清の
平均光学密度を示す。垂直の線は標準偏差を表してい
る。無傷のペプチドEnd10に対する平均反応性は、活性
の100%を示すために選ばれ、置換ペプチドに対する反
応性は、これとの関係で表現されている。HIV−1polに
おけるGのアミノ酸F(部位663)への置換。
発明の詳細な説明 A.定義 アミノ酸残基:本明細書中でいうアミノ酸残基は“L
型”異性体が好ましい。しかし、免疫グロブリン結合の
所望の機能的特性が当該ポリペプチドによって保持され
るかぎり、“D型”異性体残基もまたいずれのL−アミ
ノ酸残基にも置換できる。NH2は、ポリペプチドのアミ
ノまたはカルボキシ末端に存在する自由なアミノ基を指
す。COOHはポリペプチドのカルボキシ末端に存在する遊
離カルボキシ基を指す。遊離ペプチドのアミノ末端NH2
基およびカルボキシ末端COOH基は、例によって式中に記
載されていない。配列のアミノまたはカルボキシ末端の
ハイフンは、さらにアミノ酸残基配列または対応するNH
2もしくはCOOH末端基が存在することを示している。標
準的なポリペプチド命名法(J.Biol.Chem.,243:3552−59
(1969))に合わせて,アミノ酸残基の略語は以下の対
応表に示る。
対応表 記号 アミノ酸 1文字 3文字 Y Tyr チロシン G Gly グリシン F Phe フェニルアラニン M Met メチオニン A Ala アラニン S Ser セリン I Ile イソロイシン L Leu ロイシン T Thr スレオニン V Val バリン P Pro プロリン K Lys リジン H His ヒスチジン Q Gln グルタミン E Glu グルタミン酸 W Trp トリプトファン R Arg アルギニン D Asp アスパラギン酸 N Asn アスパラギン C Cys システイン
すべてのアミノ酸残基配列は、その左から右への方向性
がアミノ末端からカルボキシ末端への慣用的方向である
式によって、本明細書中では示されているという点に留
意されるべきである。
ポリペプチド:これは、連続したアミノ酸残基のアルフ
ァアミノ基とカルボキシ基との間のペプチド結合によっ
て互いに連結されたアミノ酸残基の直線状連続物であ
る。
ペプチド:ここで用いられているように、ポリペプチド
として互いに結合したアミノ酸残基が50個未満の直線状
連続体を指す。
蛋白質:ペプチドとして互いに結合したアミノ酸残基
が、50個より多い直線状連続体を指す 合成ペプチド:ペプチド結合によって互いに連結され
た、化学的に製造されたアミノ酸残基の鎖を指すが、天
然で得られる蛋白質およびそのフラグメントを含まな
い。
ヌクレオチド:糖部分(ペントース)、燐酸(燐酸基)
および窒素含有複素環基本体から成るDNAまたはRNAの単
量体ユニット。この基本体は、グリコシドの炭素(ペン
トースの1′炭素)を介して糖部分に結合し、基本体と
糖との連合体はヌクレオシドである。このヌクレオシド
がペントースの3′または5′位に結合した燐酸基を含
むとき、ヌクレオチドと呼ばれる。機能的に連結された
ヌクレオシド配列は、ここでは例によって“ヌクレオチ
ド配列”と呼ばれ、その左から右への方向性が、5′末
端から3′末端への慣用的方向である式で本明細書中で
は表されている。
B.ポリペプチド 一具体例では、本発明は次の式によって表されるポリペ
プチドを含む: (F1)Xn−Glu−Thr−Gly−Gln−Glu−Thr−Ala−Tyr−
Phe−B Leu−Lys−Leu−Ala−Gly−Arg−Trp−Pro−Val−Lys−
Zm Bは、LeuまたはIleのいずれかであるが、好ましくはLe
uである。XおよびZは、それぞれアミノおよびカルボ
キシ末端基を表す。Xが存在するか否かは、その下付き
文字nで示され、nは0または1のいずれかで、nが0
のときXは存在せず、nが1のときXは存在する。同様
に、mが0のときZは存在せず、mが1のときZは存在
する。好ましくは、n=0でm=1である。好ましく
は、n=1でm=0である。好ましくは、n=1でm=
1である。Xはアミノ末端NH2基でもよく、また、Xは
1からおよそ20個のアミノ酸残基鎖でもよいが、これは
nが1のときは存在するが、nが0のときは存在しな
い。Zはカルボキシ末端COOH基またはカルボキシ末端NH
2基でもよい。また、Zは1からおよそ20個のアミノ酸
残基鎖でもよいが、これはmが1のときは存在するが、
mが0のときは存在しない。
Xは以下のアミノ酸残基配列の1つでもよい: (a)NH2−Gly−Tyr−Ile−Glu−Ala−Glu−Val−Ile
−Pro−Ala (b)NH2−Gly−Tyr−Ile−Glu−Ala−Glu−Val−Ile
−Pro (c)NH2−Gly−Tyr−Ile−Glu−Ala−Glu−Val−Ile (d)NH2−Gly−Tyr−Ile−Glu−Ala−Glu−Val(e)
NH2−Gly−Tyr−Ile−Glu−Ala−Glu (f)NH2−Gly−Tyr−Ile−Glu−Ala (g)NH2−Gly−Tyr−Ile−Glu (h)NH2−Gly−Tyr−Ile (i)NH2−Gly−Tyr (j)NH2−Gly Nは以下のアミノ酸残基配列の1つでもよい: (a)Thr−Ile−His−Thr−Asp−Asn−Gly−Ser−Asn
−Phe−COOH (b)Thr−Ile−His−Thr−Asp−Asn−Gly−Ser−Asn
−COOH (c)Thr−Ile−His−Thr−Asp−Asn−Gly−Ser−COOH (d)Thr−Ile−His−Thr−Asp−Asn−Gly−COOH (e)Thr−Ile−His−Thr−Asp−Asn−COOH (f)Thr−Ile−His−Thr−Asp−COOH (g)Thr−Ile−His−Thr−COOH (h)Thr−Ile−His−COOH (i)Thr−Ile−COOH (j)Thr−COOH 別の具体例では、本発明のポリペプチドは次の式をも
つ: (F2)NH2−〔Glu−Thr−Gly−Gln−Glu−Thr−Ala−Ty
r−Phe−Ile Leu−Lys−Leu−Ala−Gly−Arg−Trp−Pro−Val−Lys〕
p−COOH 式中、BはIleまたはLeuのいずれかで、好ましくはLeu
である。pの値は、そのホモブロックポリマーか0.15M
塩化ナトリウム水溶液中で溶解できるような整数であ
る。好ましくは、pの値は2からおよそ6である。
好ましいポリペプチドはアミノ酸残基およそ30個未満で
あり、さらに免疫的に活性な配列を含み、細胞付着活性
を示し、その配列は次の式によって表される: (F3)Glu−Thr−Gly−Gln−Glu−Thr−Ala−Tyr−Phe
−Leu Leu−Lys−Leu−Ala−Gly−Arg−Trp−Pro−Val−Lys より好ましくは、次の式のポリペプチドである: (F4)Gly−Tyr−Ile−Glu−Ala−Glu−Val−Ile−Pro
−Ala−Glu−Thr−Gly−Gln−Glu−Thr−Ala−Tyr−Phe
−Leu−Leu−Lys−Leu−Ala−Gly−Arg−Trp−Pro−Val
−Lys−Thr−Ile−His−Thr−Asp−Asn−Gly−Ser−Asn
−Phe 本発明のポリペプチドの各々は、HIVエンドヌクレアー
ゼ(p31)に免疫学的に類似する活性を有するという特
色をもつ。
好ましい具体例では、本発明のポリペプチドは、固形マ
トリックス(例えばアガロース、ポリカーボネート、ポ
リスチレン、ポリプロピレン、ニトロセルロース、ポリ
エステル、ガラス、合成樹脂、ラテックス、長鎖多糖類
など)に機能的に連結される。好ましくは、本発明のポ
リペプチドは、例えばマイクロリットル容量のプレート
ウェルのような診断用デバイスを形成する固形マトリッ
クスに機能的に連結される。
本発明のポリペプチドには、そのポリペプチドがHIVエ
ンドヌクレアーゼ蛋白質p31によって誘発される抗体と
免疫的に結合することができるポリペプチドであるかぎ
り、そのアミノ酸残基配列が本明細書で示されているポ
リペプチドのいずれの類似体、フラグメントまたは化学
的誘導体も含まれる。したがって、本発明のポリペプチ
ドは、種々の変更、置換、挿入、および欠失にも付すこ
とができ、その場合、そのような変化はそれらを使用す
るについて特定の利点を提供する。“類似体”という用
語は、ここで具体的に示された配列と実質的に同一のア
ミノ酸残基配列をもつ一切のポリペプチドを指すが、そ
の場合1つまたは1つより多い残基が、機能的に類似の
残基で保存的に置換されている。保存的置換の例は、1
個の非極性(疎水性)残基(例えばイソロイシン、バリ
ン、ロイシン、またはメチオニン)の他との置換、1個
の極性(親水性)残基の他との置換(例えばアルギニン
とリジン間、グルタミンとアスパラギン間、グリシンと
セリン間)、1個の塩基性残基(例えばリジン、アルギ
ニン、またはヒスチジン)と他との置換、または酸性残
基(例えばアスパラギン酸またはグルタミン酸)と他と
の置換を含む。
“保存的置換”という語句は、また、本来の残基の場所
に化学的に誘導した残基を使用することを含むが、ただ
し、そのようなポリペプチドが必要な結合活性を発揮す
るということを条件とする。
“化学的誘導体”とは、機能的側鎖基の反応によって化
学的に誘導された1つまたは1つより多い残基をもつ本
発明のポリペプチドを指す。そのような誘導分子には、
例えば、自由なアミノ基が誘導され、アミンヒドロクロ
リド、p−トルエンスルフォニル基、カルボベンゾキシ
基、t−ブチルオキシカルボニル基、クロロアセチル基
またはホルミル基をその中で形成するような分子が含ま
れる。自由なカルボキシル基は、塩、メチルおよびエチ
ルエステル、またはエステルもしくはヒドラジドの他の
タイプを形成するために誘導することができる。自由な
ヒドロキシル基は、o−アシルまたはo−アルキル誘導
体を形成するために誘導することができる。ヒスチジン
のイミダゾール窒素は、N−im−ベンジルヒスチジンを
形成するために誘導することができる。化学誘導体に含
まれるものは、また、1つまたは1つより多い天然に得
られるアミノ酸の、20個の標準アミノ酸の誘導体を含む
ようなペプチドである。例えば、4−ヒドロキシプロリ
ンはプロリンに置換でき、5−ヒドロキシリジンはリジ
ンに置換でき、3−メチルヒスチジンはヒスチジンに置
換でき、ホモセリンはセリンに置換でき、さらに、オル
ニチンはリジンに置換できる。本発明のポリペプチド
は、1つまたは1つより多い付加および/または欠失を
もつか、またはその配列がここに示されているポリペプ
チドに関連した残基をもついずれのポリペプチドも含む
が、ただし必須の結合活性が維持されていることを条件
とする。“フラグメント”という用語は、そのアミノ酸
残基配列がここに示されているポリペプチドのそれより
短いアミノ酸残基配列をもついずれの本発明のポリペプ
チドも指す。
本発明のポリペプチドは、メリーフィールドが最初に記
載した固相合成法(Merrifield,J.Am.Chem.Soc.,85:214
9−2154(1963))によって製造できる。他のポリペプ
チド合成技術は、例えば、ボダンスキーらの“ペプチド
合成”(M.Bodanszkyら、Peptide Synthesis,John Wile
y & Sons,第2版(1976)の他に当該技術分野で既知の
参考文献で見出すことができる。ポリペプチド合成技術
の要約は、“固相ペプチド合成”(J.Stuart & J.D.Yo
ung, Solid Phase Peptide Synthesis,ピアースケミカ
ルカンパニー、ロックフォード、イリノイ、第3版、Ne
urathら編、104−237ページ、アカデミックプレス、ニ
ューヨーク、ニューヨーク(1976)で見出すことができ
る。そのような合成に使用できる適切な保護基は、上記
のテキスト、並びに、“有機化学の保護基”(J.F.W.Mc
Omie,Protective Groups in Organic Chemistry,プレ
ナムプレス、ニューヨーク、ニューヨーク(1973))で
見出すことができる。
一般には、これらの合成法は、1つまたは1つより多い
アミノ酸残基または適切に保護されたアミノ酸残基の、
成長ポリペプチド鎖への連続付加を含む。普通には、最
初のアミノ酸残基のアミノまたはカルボキシル基のいず
れかが、適切な、選択的に除去できる保護基で保護され
る。種々の、選択的に除去できる保護基が、反応性側鎖
基を含むアミノ酸(例えばリジン)のたに利用できる。
例として固相合成法を用いて、保護アミノ酸または誘導
アミノ酸は、その非保護カルボキシルまたはアミノ基を
介して内部支持固体に結合させられる。その後、アミノ
またはカルボキシル基の保護基を選択的に除去し、さら
に、適切に保護された相補的な(アミノまたはカルボキ
シル)基をもつ、当該配列の次のアミノ酸を混合し、固
体支持体にすでに結合している残基とアミド結合を形成
するために適した条件下で反応させる。続いてこのアミ
ノまたはカルボキシル基の保護基を、新しく付加された
アミノ酸残基から除去し、その後、次のアミノ酸(適切
に保護されている)を付加していく。すべての所望のア
ミノ酸が適切な配列で連結された後、一切の残存末端基
および側鎖基の保護基(および固体支持体)を連続的
に、または同時に除去し、最終的なポリペプチドを提供
する。
本発明のポリペプチドは、C−末端アミド基をもつこと
ができる。以下で述べる理由のため、C−末端アミド
(例えば式p2のペプチド)は、通常、対応するC−末端
酸よりもわずかに高い純度で合成できる。C−末端酸を
もつペプチドは、通常、HF92.5%/アニソール7.5%中
で1時間で切断される。これは、“SN1"型反応を含む
が、ここでアニソールはスカベンジャーとして用いられ
る。このタイプの反応の間、除去される側鎖保護基は遊
離ベンジル型カルボカチオンを生じ、これは、アニソー
ルスカベンジャーの代わりにこのペプチドの他の領域
(すなわち、Met,Trp,Cys残基)と反応できる。これら
の反応は、“SN2"型反応が切断に用いられる場合は、こ
れらの反応は避けることができる。これは、タムの“低
/高切断”方法(Tam′s “low/high cleavage"procedu
re,Int.J.Pept.Prot.Res.,21:57−65,1983)を用いて行
われる。ベンズヒドリルアミン樹脂(これはC−末端ア
ミドを生成する)を用いて、この反応はより穏和な“SN
2"型反応によって側鎖保護基を切断するが、該反応は、
ペプチドからベンジャーへの保護基の1分子移転(反応
性カルボカチオン中間体を経由して)を含み、一方、樹
脂に結合したペプチドは残存する(この切断方法は、C
−末端酸の製造に用いられる非常に不安定な樹脂には用
いることができない。)スカベンジャー副産物は、その
後洗い流し、ペプチドは標準的な“SN1"方法を用いて樹
脂から切断する。これは、殆どのペプチドについて通常
少なくとも5%高い純度をもたらし、時には、より長い
ペプチドまたは“困難な”残基を含むペプチドについて
は成功と失敗の分かれ道となる。
本発明のポリペプチドは、少なくとも15個のアミノ酸残
基および50個までのアミノ酸残基、好ましくは20−35個
のアミノ酸残基のHIVエンドヌクレアーゼ由来セグメン
トを含んでいる。このポリペプチドは、付加的配列にN
−末端およびC−末端のいずれか、またはその両方で結
合させることができ、この場合、付加的配列は、長さで
1から100個のアミノ酸である。そのような付加的アミ
ノ酸配列、またはリンカー配列は、エンドヌクレアーゼ
アミノ酸残基配列とは異種であり、検出可能な標識、固
体支持体または担体に簡単に固定できる。本発明のペプ
チドとともに用いることができる標識、固体支持体およ
び担体は、下記に述べる。連結に用いられる典型的なア
ミノ酸残基は、チロシン、システイン、リジン、グルタ
ミン酸、およびアスパラギン酸などである。好ましい連
結残基は、カルボキシ末端システインおよびリジン、並
びにアミノ末端チロシンである。
本発明のいずれのポリペプチドも(下記に述べるキメラ
ポリペプチドを含む)、医薬的に許容できる塩の形で用
いることができる。本発明のポリペプチドと塩を形成す
ることができる適切な酸は、無機酸、例えば塩酸、臭化
水素酸、過塩素酸、クエン酸、チオシアン酸、硫酸、燐
酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビ
ン酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマー
ル酸、アントラニル酸、桂皮酸、ナフタレンスルホン
酸、スルファニル酸などを含む。
本発明のペプチドと塩を形成することができる適切な塩
基は、無機塩基(例えば水酸化ナトリウム、水酸化アン
ニモウム、水酸化カリウムなど)および有機塩基(例え
ばトリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、メチルア
ミン、ジメチルアミンなど)および場合によって置換さ
れたエタノールアミン(例えばエタノールアミン、ジエ
タノールアミンなと)を含む。
さらに、本発明は、本発明のポリペプチドを、pH緩衝
剤、湿潤剤、抗酸化剤、還元剤、水性媒体などのうち1
つまたは1つより多いものと組み合わせて含む組成物を
も含み、そのような組成物は、ここに記載されているよ
うに使用するための水溶液として、または、水溶液を作
るために復元できる乾燥組成物(例えば粉末)として製
剤化される。
C.キメラポリペプチド 本発明のキメラポリペプチドは、次の式により限定され
る少なくとも1つのペプチドセグメントの存在によって
明示される。: Glu−Thr−Gly−Gln−Glu−Thr−Ala−Tyr−Phe−B Leu
−Lys−Leu−Ala−Gly−Arg−Trp−Pro−Val−Lys 式中、BはIleまたはLeuのいずれか、好ましくはLeu
で、ペプチド結合を介してHIVエンドヌクレアーゼとは
異種のペプチドセグメントに機能的に連結されている。
本発明のキメラポリペプチドのHIVエンドヌクレアーゼ
由来セグメントは、ポリペプチド鎖内で連続している
か、または互いに隣接していてもよい。それらが隣接し
ている場合、該セグメントは、典型的にはおよそ5個か
ら手頃にはおよそ50個の残基まで、好ましくはおよそ15
からおよそ30残基を含むスペーサーセグメントを形成す
るアミノ酸残基によって分断されている。本発明のキメ
ラポリペプチドは、複数の同一エンドヌクレアーゼセグ
メントを含むことができる。本発明のキメラポリペプチ
ド内に3つまたは3つより多いエンドヌクレアーゼセグ
メトが隣接する場合、スペーサーセグメントは同一でも
異なっていてもよい。
本発明のキメラポリペプチドは、さらに、1つから手頃
なところではおよそ50個、例えばおよそ5またはおよそ
10、典型的にはおよそ15またはおよそ30個のヘッドおよ
び/またはテールセグメントを、それぞれそのアミノま
たはカルボキシ末端に含むことができる。その場合、そ
のようなセグメントは該ポリペプチドの作成または使用
において好都合である。例えば、テールセグメントは、
本発明のキメラポリペプチドを固形マトリクスに結合さ
せるための手段を提供し、その場合、細胞内で発現され
ている間、該ポリペプチドの分泌を促進させるために都
合よくリーダーセグメントとして使用することができ
る。
D.DNAおよび組み換えDNA分子 生命体では、蛋白質またはポリペプチドのアミノ酸残基
配列は、該蛋白質をコードする遺伝子のデオキシリボ核
酸(DNA)と遺伝的コードを介して直接関連をもつ。し
たがって、遺伝子は、アミノ酸残基の配列、すなわち遺
伝子がコードする蛋白質またはポリペプチドを限定する
ことができる。
遺伝的コードに重要でよく知られた特色は、その重複性
である。すなわち、蛋白質を作るために用いられるアミ
ノ酸の殆どについて、1つより多いヌクレオチドトリプ
レットコード(コドン)が特定のアミノ酸残基をコード
または指定する。したがって、多くの異なるヌクレオチ
ド配列が特定の1個のアミノ酸残基配列をコードするこ
とができる。そのようなヌクレオチド配列は機能的に同
等であると考えられる。なぜならば、それらは、すべて
の生物において同じアミノ酸残基配列の産生をもたらす
ことができるからである。時には、プリンまたはピリミ
ジンのメチル化変種を与えられたヌクレオチド配列に取
り込ませることができる。しかし、そのようなメチル化
は、いずれの場合でもコーディング関係に影響を与えな
い。
本発明は、本発明のポリペプチドまたは本発明のキメラ
ポリペプチドの遺伝子コード(すなわち発現が可能)を
限定するデオキシリボ核酸(DNA)分子またはセグメン
トを含む。好ましいDNAセグメントは、次の式によって
表される配列に対応するヌクレオチド塩基配列を有す
る: (F5)GAA ACA GGG CAG GAA ACA GCA TAT TTT CTT TTA
AAA TTT GCA GGA AGA TGG CCA GTA AAA 本発明のポリペプチドをコードするDNA分子は、化学的
手技、例えばマッテウッチらのフォスホトリエステル法
(Matteucciら、J.Am.Chem.Soc.,103:3185(1981))に
よって容易に合成できる。もちろん、コード配列を化学
的に合成することによって、所望されるいずれの修飾
も、その天然のアミノ酸残基配列をコードするものにつ
いて適切な塩基を置換することによって簡単に行うこと
ができる。しかしながら、上に示した塩基配列の一部ま
たは全てと同一な塩基配列が好ましい。
本発明のポリペプチドをコードするDNA配列を含むDNA分
子は、よく知られた方法を用いて、上記の供託プラスミ
ドの各々からの適切な制限フラグメントを機能的に連結
(ライゲート)することによって調製することができ
る。この方法で製造された本発明のDNA分子は、典型的
には粘着末端、すなわち該分子の二本鎖部分を越えて伸
びる“突出”(“オーバーハンギング”)一本鎖部分を
もつ。本発明のDNA分子上に粘着末端が存在することが
好ましい。本発明によってまた意図されるものは、上記
のDNA分子のリボ核酸同等物である。
本発明はさらに組み換えDNA分子をも含み、これは、複
製および/または発現のために本発明のDNA分子(すな
わち、本発明のポリペプチドまたは本発明のキメラポリ
ペプチドをコードする遺伝子を規定するDNA分子)に機
能的に連結されたベクターを含む。
本明細書中で用いられているように、“ベクター”とい
う用語は、細胞中で自律的に複製できるDNA分子を指
し、それに別のDNAセグメントが機能的に連結され、そ
れによって連結されたセグメントの複製を引き起こす。
本発明のDNAセグメントによって伝達される遺伝子の発
現を支持することができるベクターは、ここでは“発現
ベクター”と呼ぶ。したがって、組み換えDNA分子(rDN
A)は、天然には通常一緒に見出されることがない、少
なくとも2つのヌクレオチド配列を含むハイブリッドDN
A分子である。
本発明のDNAセグメントが機能的に連結されるベクター
の選択は、当該技術分野でよく知られているように、所
望される機能的特性(例えば蛋白質発現)および形質転
換される宿主細胞に直接依存し、これらは、組み換えDN
A分子構築の技術に固有の制限である。しかし、本発明
で意図されるベクターは、それが機能的に連結されてい
るDNAセグメントに含まれている本発明のキメラポリペ
プチドの少なくとも複製、さらに好ましくは発現をも指
令することができる。
好ましい具体例では、本発明で意図されるベクターに
は、原核細胞レプリコン、すなわち原核宿主細胞(例え
ば細菌宿主細胞)内の組み換えDNA分子の染色体外自律
的複製および維持を指令する能力をもつDNA配列が含ま
れる。そのようなレプリコンは当該技術分野ではよく知
られている。さらに、原核細胞レプリコンを含むこれら
具体例には、その発現によって、それで形質転換(トラ
ンスフォーム)された細菌宿主に薬剤耐性を付与する遺
伝子が含まれる。典型的な細菌の薬剤耐性遺伝子は、ア
ンピシリンまたはテトラサイクリンに対する耐性を付与
する遺伝子である。
原核細胞レプリコンを含むこれらベクターは、それで形
質転換された細菌宿主細胞(例えば大腸菌(E.coli))
内の本発明のキメラポリペプチド遺伝子の発現を指令す
ることができる原核細胞プロモーターもまた含むことが
できる。プロモーターは、RNAポリメラーゼの結合およ
び転写の開始を許すDNA配列によって形成される発現制
御エレメントである。細菌宿主に適合するプロモーター
配列は、本発明のDNAセグメントの挿入のために便利な
制限部位を含むプラスミドベクターにおいて典型的には
提供される。そのようなベクタープラスミドの典型列
は、pUC8、pUC9、pBR322およびpBR329(バイオラドラボ
ラトリー(Biorad Laboratories,リッチモンド、カリフ
ォルニア)から市販)、並びにpPLおよびpKK223(ファ
ルマシア(ピスカタウェー、ニュージャージー)から市
販)である。真核細胞と適合する発現ベクター、好まし
くは哺乳類細胞と適合するものは、本発明の組み換えDN
A分子を生成するためにまた用いることができる。真核
細胞発現ベクターは、当該技術分野においてよく知られ
ており、いくつかの販売元から利用可能である。典型的
には、そのようなベクターは、所望のDNAセグメントの
挿入のための便利な制限部位を含んで提供される。その
ようなベクターの典型例は、pSVLおよびpKSV−10(ファ
ルマシア)、pBPV−1pML2d(インターナショナルバイオ
テクノロジー社)およびpTDT1(ATCC,#31255)であ
る。
好ましい具体例では、本発明の組み換えDNA分子を構築
するために用いられる真核細胞発現ベクターは、真核細
胞で有効な選別マーカー、好ましくは薬剤耐性選別マー
カーを含む。好ましい薬剤耐性マーカーは、その発現が
ネオマイシン耐性を生じる遺伝子、すなわちネオマイシ
ンフォスホトランスフェラーゼ(neo)遺伝子である(S
outhernら、J.Mol.Appl.Genet.,1:327−341(198
2))。
本発明のrDNAを生成するためにレトロウイルス発現ベク
ターを使用することも考えられている。ここで用いられ
ているように、“レトロウイルス発現ベクター”という
用語は、レトロウイルスゲノムのロングターミナルリピ
ート(LTR)に由来するプロモーター配列を含むDNA分子
を指す。
好ましい具体例では、発現ベクターは、典型的にはレト
ロウイルス発現ベクターで、これは好ましくは、真核細
胞内で増殖不能である。レトロウイルスベクターの構築
および使用は、ソーグらによって記載されている(Sorg
eら、Mol.Gell.Biol.,4:1730−37(1984))。
相補的な粘着末端を介してベクターにDNAを機能的に連
結させる種々の方法が開発された。例えば、相補的なホ
モポリマートラクトを、挿入されるべきDNAセグメント
およびベクターDNAに付加することができる。続いて、
挿入されるセグメントおよびベクターDNAに付加された
相補的ホモポリマートラクト間の水素結合によってベク
ターおよびDNAセグメントをつなぐ。続いて、ベクター
およびDNAセグメントを、相補的ホモポリマーテール間
で水素結合によってつなぎ、組み換えDNA分子を生成す
る。
1つまたは1つより多い制限部位を含む合成リンカー
は、DNAセグメントをベクターにつなぐまた別の方法を
提供する。前に述べたようにエンドヌクレアーゼ制限消
化で生成したDNAセグメントを、大腸菌DNAポリメラーゼ
IのバクテリオファージT4DNAポリメラーゼで処理す
る。この酵素は、その3′−5′エキソヌクレアーゼ活
性により突出3′側一本鎖末端を除去し、さらにそのポ
リメラーゼ活性で引っ込んだ3′末端を補填する。した
がって、これらの活性の組み合わせは、平滑端をもつDN
Aセグメントを生じる。平滑端セグメントは、非常に過
剰モルのリンカー分子と、平滑端DNA分子の連結を触媒
することができる酵素(例えばバクテリオファージT4DN
Aリガーゼ)の存在下でインキュベートされる。したが
って、反応生成物は、その末端にポリマーリンカー配列
をもつDNAセグメントである。続いて、これらのDNAセグ
メントは適切な制限酵素で切断され、このDNAセグメン
トに適合しえる末端をつくる酵素で切断した発現ベクタ
ーに連結される。
種々の制限エンドヌクレアーゼ部位を含む合成リンカー
は、インターナショナルバイオテクノロジー社(ニュー
ヘブン、CN)を含む多数の販売元から市販されている。
また本発明に含まれるものは、上記の組み換えDNA分子
のRNA同等物である。
本発明は、また本発明の組み換えDNA分子、好ましくは
本発明のキメラポリペプチドを発現することができるrD
NAで形質転換された宿主細胞にも関する。この宿主細胞
は原核細胞でも真核細胞でもよい。細菌細胞は、好まし
い原核宿主細胞であるが、典型的には大腸菌株、例えば
大腸菌DH5株(ベセスダリサーチラボラトリーズ社)ベ
セスダ、メリーランド)から入手可能)である。好まし
い真核宿主細胞は酵母および哺乳類の細胞を含むが、好
ましくは脊椎動物細胞、例えばマウス、ラット、サルま
たはヒト線維芽細胞株からの細胞である。好ましい真核
宿主細胞には、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細
胞(ATCCからCCL61として入手可能)およびNIHスイスマ
ウス胎児細胞NIH/3T3(ATCCからCRL1658として入手可
能)が含まれる。本発明の組み換えDNA分子による適切
な細胞宿主の形質転換は、既知の方法で達成されるが、
これは用いるベクターに完全に依存する。原核宿主細胞
の形質転換に関しては、例えばコーエンら(Cohenら、P
roc,Natl.Acad.Sci.USA,69:2110(1972))およびマニ
アーティスら(Maniatisら、分子クローニング、実験室
指針(Molecular Clonig,A Laboratory Manual)、コー
ルドスプリングハーバー、ニューヨーク(1982)の文献
を参照できる。rDNAを含むレトロウイルスベクターによ
る脊椎動物細胞の形質転換に関しては、例えば、ソージ
ら(Sorgeら、Mol.Cell.Biol.,4:1730−37(1984))、
グラハムら(Grahamら、Virol.,52:456(1973))およ
びウィグラーら(Wiglerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,7
6:1373−76(1979)の文献を参照できる。
形質転換が完成した細胞、すなわち本発明の組み換えDN
A分子を含む細胞は、既知の技術で同定できる。例え
ば、本発明のrDNAの導入の結果得られた細胞をクローニ
ングし、単クローンコロニーを得ることができる。これ
らのコロニーの細胞を採集し溶解して、例えばサザーン
ら(Southernら、J.Mol.Biol.,98−503(1975))また
はベレントら(Berentら、Biotech.,3:208(1985))に
よって記載された方法を用いて、それらのDNA内容物を
調べることができる。rDNAの存在を直接調べることに加
え、形質転換が完全に行われたか否かは、rDNAが本発明
のキメラポリペプチドの発現指令することができる場合
に、既知の免疫的方法によって確認することができる。
例えば、発現ベクターで完全に形質転換された細胞は、
HIVエンドヌクレアーゼポリペプチドの抗原性を示す蛋
白質を生成する。形質転換されていると思われる細胞サ
ンプルを採集し、このペプチドセグメントに対して特異
的な抗ポリペプチド抗体を用いて、HIVエンドヌクレア
ーゼ抗原性の存在について調べる。
したがって、形質転換された宿主細胞自体に加え、本発
明はまた、栄養培地中のこれらの細胞の培養、好ましく
は単クローン(コロニーとして同質)培養、または単ク
ローン由来培養をも含む。好ましくは、この培養は、ま
たHIVエンドヌクレアーゼと免疫的に交差反応性を示す
蛋白質を含む。
形質転換された宿主細胞の培養に有用な栄養培地は、当
該技術分野において既知で、いくつかの市販元から入手
できる。宿主細胞が哺乳類である具体例では、“血清非
含有”培地を用いるのが好ましい。
E.接種 別の具体例では、本発明のポリペプチド、好ましくは式
F1に対応するペプチドは、接種物を作成するために医薬
的に許容できる水性希釈組成物として用いられる。これ
は、有効量で投与するとき、HIVエンドヌクレアーゼと
免疫的に反応する抗体を誘発させることができる。
“接種物”という用語は、本明細書では、本発明のポリ
ペプチドを活性成分として含む、インテグリンベータサ
ブユニットに対する抗体の生成のために使用される組成
物を指すために用いられる。
抗体を誘発するためにポリペプチドが用いられる場合、
当該ポリペプチドは単独で用いるか、または共役体とし
て(またはポリペプチドポリマーとして)担体に結合さ
せることができることは理解されるところであるが、表
現の容易さのために、本発明のポリペプチドの種々の具
体例では、共通して“ポリペプチド”(その種々の文法
的形態を含む)とうい用語で本明細書では呼ぶ。
既に記載したように、1つまたは1つより多い付加的ア
ミノ酸残基が、該ポリペプチドのアミノまたはカルボキ
シ末端に付加して、担体へのポリペプチドの結合を補助
することができる。ポリペプチドのアミノまたはカルボ
キシ末端に付加されたシステイン残基は、SS結合を介し
て共役体を形成するために特に有用であることが分かっ
た。しかし、共役体を調製するために当該技術分野で既
知の方法もまた用いることができる。付加連結方法の例
には、ミカエル付加反応生成物、グルタールアルデヒド
などのジアルデヒド(Klipsteinら、J.Infect.Dis.,14
7,318−326(1983)の使用、または担体にアミド結合を
形成するために水溶性カルボジイミドを使用するような
カルボジイミド技術の使用が含まれる。活性化官能基を
介する蛋白質共役またはカップリングについての論評の
ためには、例えば、オーラメアスら(Aurameasら、Scan
d.J.Immunol.,8巻補充7:7−23(1978))を参照でき
る。
有用な担体は当該技術分野において既知で、一般には蛋
白質それ自体である。そのような担体の見本例は、キー
ホールリンペットのヘモシアニン(KLH)、エデスチ
ン、サイログロブリン、アルブミン(例えばウシ血清ア
ルブミン(BSA)またはヒト血清アルブミン(HSA)、赤
血球細胞(例えばヒツジ赤血球(SRBC))、破傷風トキ
ソイド、コレラトキソイドの他、ポリアミノ酸(例えば
ポリ(D−リジン:D−グルタミン酸))などである。
担体の選択は、接種物の最終的な使用により左右され、
本発明に特に関係がない基準を基にしている。例えば、
接種される特定の動物に不利な反応を生じない担体が選
択されるべきである。
本接種物は、有効な、免疫発生量の本発明のポリペプチ
ドを、典型的には担体に結合させた共役物として含む。
単位用量当たりの該ポリペプチドまたは蛋白質の有効量
は、当該技術分野で知られているように、とりわけ接種
される動物種、動物の体重、選択される接種方法に依存
する。典型的には接種物は、単位接種(単位用量)当た
り、およそ10マイクログラムからおよそ500ミリグラ
ム、好ましくはおよそ50マイクログラムからおよそ50ミ
リグラムの濃度のポリペプチドまたは蛋白質を含む。
本発明の接種物に付属する、“単位用量”という用語
は、動物のための単位用量として適切な、物理的に明確
に限定された単位を指し、各単位は、所望の希釈剤(す
なわち担体または賦形剤)を含めて所望の免疫原的効果
をもたらすように計算され予め定められた量の活性物質
を含む。本発明の接種物の新規な単位用量の細目は、
(a)活性物質の固有の特性および達成される特定の免
疫学的効果並びに(b)動物の免疫に使用するためにそ
のような活性物質を調合する場合の当該技術分野におい
てつきものの制限(これらは、本明細書に詳細に開示さ
れている通りで、本発明の特徴である)によって決定さ
れ、さらにそれらに直接左右される。
接種物は、典型的には、乾燥固体ポリペプチド−共役物
から、該ポリペプチド−共役物を生理的に耐えられる
(許容できる)希釈剤または賦形剤(例えば水、食塩水
または燐酸緩衝食塩水)中に懸濁し、水性組成物を生成
することによって製造できる。そのような希釈剤は、当
該技術分野において既知で、例えば“レミントンの薬科
学”(Remington′s Pharmaceutical Sciences、16版、
マックパブリッシングカンパニー、イーストン、ペンシ
ルバニア(1980)、1465−1467ページ)で論じられてい
る。
接種物は、希釈剤の1部分としてアジュバントもまた含
むことができる。フロイントの完全アジュバント(CF
A)、フロイントの不完全アジュバント(IFA)およびミ
ョウバンは、当該技術分野において既知で、いくつかの
販売元から入手できる。
F.多クローンおよび単クローン抗ペプチド抗体 本発明の抗体は、多クローンまたは単クローン性にかか
わらず、HIVエンドヌクレアーゼおよび式F1のペプチド
と免疫反応を生じる。この抗体は、式F4によって表され
るペプチドとは免疫反応を起こさない。
“抗体”という用語は、免疫グロブリン分子および免疫
グロブリン分子の免疫学的に活性な部分(すなわち、抗
体結合部位またはパラトープを含む分子)を指すために
本明細書では用いられる。典型的な抗体分子は、無傷の
免疫グロブリン分子、実質的に無傷の免疫グロブリン分
子および、パラトープを含む免疫グロブリン分子の部分
(当該技術分野でFab、Fab′、F(ab′)2およびF
(V)として知られている部分を含む)である “抗体結合部位”とは、重鎖および軽鎖可変領域並びに
特異的に抗原と結合する(免疫反応を起こす)高度可変
領域を含む抗体の構造部分のことである。“免疫反応”
という用語は、抗原決定基を含む分子と抗体結合部位を
含む分子(例えば完全抗体分子またはその部分)との間
の結合を意味する。
“抗原決定基”は、抗体結合部位によって免疫的に結合
させられる抗原の実際の構造部分を指す。この用語はま
た、“エピトープ”という用語と相互に用いられる。
1.多クローン抗体 本発明の多クローン抗体は、本発明のポリペプチド、好
ましくはアミノ酸残基配列において式F1と対応するポリ
ペプチドと免疫反応を起こす。本発明の多クローン抗体
は、さらに、式F4のアミノ酸残基配列をもつポリペプチ
ドとは実質的に免疫反応を生じないとみなされる。
好ましい多クローン抗体は、HIVエンドヌクレアーゼと
免疫反応を起こす能力を有するとみなされる。
本発明の多クローン抗体は、典型的には、本発明の接種
物、好ましくは式Iに対応するペプチドを含む接種物で
哺乳類を免疫し、それによって適切なポリペプチド免疫
特異性をもつ哺乳類の抗体分子を誘発することによって
調製される。続いて抗体分子は当該哺乳類から集めら
れ、さらに、既知の技術、例えば固相に免疫ポリペプチ
ドを用いたイムノアフィニティーによって所望の程度に
分離される。そのようにして調製された多クローン抗体
は、特にHIV感染を同定するために本発明の診断方法お
よびシステムにおいて用いることができる。
2.単クローン抗体 本発明の単クローン抗体は、式F1によって表されるアミ
ノ酸残基配列によって形成されるエピトープと免疫反応
を生じるとみなされる。さらに好ましくは、本発明の単
クローン抗体は、式F4によって表されるアミノ酸残基配
列と対応するポリペプチドとは免疫反応を生じないとみ
なされる。
好ましい単クローン抗体は、またHIVエンドヌクレアー
ゼと免疫反応を起こす能力を有するとみなされる。
“単クローン抗体”という語句は、特定の抗原と免疫反
応を起こすことができる、ただ1種の抗体結合部位を含
む抗体分子の集団を指す。したがって、単クローン抗体
組成物は、典型的には、それが免疫反応を起こす抗原に
対して単一の結合親和性をもつ。単クローン抗体組成物
は、したがって、複数の抗体結合部位をもつ抗体分子、
各々は異なる抗原に対して免疫特異的、例えば二特異性
(bispecific)単クローン抗体を含むかもしれない。
単クローン抗体は、典型的には、ただ1種の抗体分子を
分泌(産生)するハイブリドーマと呼ばれる単一細胞ク
ローンによって産生される抗体から成る。ハイブリドー
マ細胞は、抗体産生細胞とミエローマまたは他の永続可
能株細胞とを融合させることによってつくられる。その
ような抗体は、最初コーラーとミルシュタインによって
記載された(Kohler&Milstein,Nature,256:495−497
(1975))(この文献の内容は引用として含まれてい
る)。
3.単クローン抗体の製造方法 本発明は、式F1のポリペプチドと免疫反応を起こすが、
式F4のペプチドとは免疫反応を起こさない単クローン抗
体の生成方法を含む。この方法は、次の工程を含む: (a)動物を、本発明のポリペプチド、好ましくは式F1
のペプチドで免役する。これは、典型的には免疫学的に
有効な量(すなわち免疫反応を生じるために充分な量)
の免疫原を免疫学的に能力のある動物に投与することに
よって達成される。好ましくは、該哺乳類はげっ歯類
(例えばウサギ、ラットまたはマウス)である。続いて
この哺乳類が、免疫原と免疫反応を起こす抗体分子を分
泌する細胞を産生するのに十分な期間、この哺乳類を維
持する。
(b)それから免疫された哺乳類から取り出した抗体産
生細胞の浮遊液を調製する。これは、典型的には該哺乳
類の脾臓を取り出し、当該技術分野で既知の方法を用い
て、個々の脾臓細胞を生理的に耐えうる培養液中で機械
的に分離することによって実施される。
(c)抗体産生細胞浮遊液を形質転換(永続性)細胞株
を生成することができる形質転換剤で処理する。形質転
換剤および永続細胞株を製造するためのそれらの使用
は、当該技術分野で既知であり、それらには、エプスタ
インバーウイルス、シミアンウイルス40、ポリオーマウ
イルスなどのDNAウイルス、モロニーネズミ白血病ウイ
ルス、ラウス肉腫ウイルスなどのRNAウイルス、ミエロ
ーマ細胞(例えば、P3X63−Ag8.653、Sp2/O−Ag14な
ど)が含まれる。
好ましい具体例では、形質転換剤での処理は、適切な融
合促進剤を用いて適切な細胞株由来マウスミエローマ細
胞で浮遊脾臓細胞を融合させることによってハイブリド
ーマ産生をもたらす。好ましい比率は、ミエローマ細胞
1個につき脾臓細胞はおよそ5個である。全容量はおよ
そ脾臓細胞108個である。用いられる細胞株は、好まし
くは、いわゆる“薬剤耐性”型で、それによって非融合
ミエローマ細胞は選択培地中で生存することができず、
一方、ハイブリッドは生存できる。最も普遍的な種類
は、8−アザグアニン耐性細胞株で、これはヒポキサン
チングアニンフォスホリボシルトランスフェラーゼ酵素
を欠き、したがって、HAT(ヒポキサンチン、アミノプ
テリンおよびチミジン)培地によって維持されない。ま
た、用いられるミエローマ細胞株が、それ自身いずれの
抗体も産生していない“非分泌”型あることも一般に望
ましいが、分泌型も用いることができる。ある場合に
は、しかしながら、分泌ミエローマ株が好ましい。好ま
しい融合促進剤は、平均分子量がおよそ1000からおよそ
4000のポリエチレングリコール(PEG1000などのように
市販されている)であるが、当該技術分野で既知の融合
促進剤も用いることができる。
(d)続いて形質転換細胞をクローニングし、好ましく
は単クローンにする。クローニングは、好ましくは、非
形質転換細胞は維持されない組織培養液中で実施され
る。形質転換細胞がハイブリドーマであるときは、クロ
ーニングは、典型的には、希釈し、さらに非融合ミエロ
ーマ細胞は維持しない選択培地中で非融合脾臓細胞、非
融合ミエローマ細胞および融合細胞(ハイブリドーマ)
の混合物を:非融合細胞を死滅させるために十分な期間
(およそ1週間)、別々の容器で培養することによって
実施される。希釈も制限方法の1つのタイプであるかも
しれない。この場合には、希釈液の容積は、それぞれ別
々の容器内(例えばマイクロタイタープレートの各ウェ
ル)で特定数の細胞(例えば1−4個)を分離できるよ
うに統計的に算定される。培養液は、薬剤耐性(例えば
8−アザグアニン耐性)非融合ミエローマ細胞株を維持
しないもの(例えばHAT培地)である。
(e)クローニングされた形質転換細胞(トランスフォ
ーマント)の組織培養液は、式F1のHIVエンドヌクレア
ーゼポリペプチドと免疫反応を起こす、分泌抗体分子の
存在について調べられる。ペプチド陽性トランスフォー
マントは、好ましくは、ペプチドF4とは反応しないもの
を識別するためにさらにスクリーニングされる。
(f)所望のトランスフォーマントが工程(e)で同定
されるや、それを適切な組織培養液で適切な期間選別
し、さらに増殖させ、続いて培養上清から所望の抗体を
回収する。適切な培養液および適切な培養期間は既知で
もあり、また容易に決定できる。
わずかに不純ではあるが非常に高濃度の単クローン抗体
を製造するために、望ましいハイブリドーマをマウス、
好ましくは同種系または半同種系に注射してもよい。こ
のハイブリドーマは、適切なインキュベーション期間後
抗体産生腫瘍を形成させ、これにより宿主マウスの血流
および腹腔滲出物(腹水)中に高濃度(およそ5−20mg
/ml)の所望抗体を生じるであろう。
これらの組成物の調製のために有用な培地は、当該技術
分野で既知で、市販もされており、合成培地、同系交配
マウスなども同様である。典型的な合成培地は、ダルベ
ッコー最小必須培養液(Dulbecco′s minimal essentia
l medium,DMEM)(Dulbecoら、Virol.,8:396(1959))
で、4.5g/1のグルコース、20mmのグルタミンおよび20%
のウシ胎児血清が補充されている。同系交配マウス株の
典型例はBalb/cである。
本発明の単クローン抗体は、抗体が免疫反応を起こす本
発明ののポリペプチドを固相中で用いる既知のイムノア
フィニティークロマトグラフィーによってさらに精製す
ることができる。
上記の方法で製造される単クローン抗体は、例えば、診
断および治療のために用いることができるが、この場
合、HIVエンドヌクレアーゼ含有免疫反応生成物が生成
されることが望ましい。
G.ハイブリドーマおよび製造方法 本発明のハイブリドーマは、本発明の単クローン抗体を
産生する能力を有するとみなされるものである。
所望の免疫特異性を有する、すなわち特定の蛋白質、特
定蛋白質上の識別可能なエピトープおよび/またはポリ
ペプチドと免疫反応を起こす能力を有する抗体分子を産
生する(分泌する)ハイブリドーマを製造する方法は、
当該技術分野で既知である。特に利用できるものは、ナ
イマンら(Nimanら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,80:4949
−4953(1983)およびガルファーら(Galferら、Meth.E
nzymol.,73:3−46(1981))によって記載されたハイブ
リドーマ技術である。これらの内容は、本明細書に参考
文献として含まれている。
H.アッセー方法 当業者は、種々の非均質および均質方法、競合または非
競合性免疫アッセー(ここで利用されてもいる)が存在
することは理解しえよう。例えば、有用な固相アッセー
は、実施例2で具体的に考察されるELISAの他に、酵素
増幅免疫アッセー法(EMIT)および蛍光免疫アッセー
(FIA)を含む。しかし、本発明のポリペプチドと抗体
との反応により付与されるシグナルを生じる一切の方法
が含まれる。これらアッセー法の各々は、単一または二
重抗体技術を採用することができ、その場合は、免疫反
応を示すための表示手段が用いられ、それによってアッ
セーされるべき抗体と本発明のポリペプチドとの結合が
示される。典型的な手技は、“酵素免疫アッセー”(Ma
ggio,Enzyme Immunoassay,CRC Press,クリーブランド、
オハイオ(1981)および“蛍光抗体法”(Goldman,Fluo
rescent Antibody Methods,アカデミックプレス、ニュ
ーヨーク、ニューヨーク(1980))でみいだされる。
管腔液サンプルが本アッセー法において用いられる。好
ましくは体液サンプルは、既知量の血液または血液由来
生成物(例えば血清または血漿)として提供されるが、
尿、唾液、膣分泌物または脳脊髄液(CSF)もまた使用
できる。
ここに含まれるアッセー方法の1つは、管腔液サンプル
中の抗HIVエンドヌクレアーゼ抗体の存在、好ましくは
その量を決定する。この方法は以下の工程を含む: (a)管腔液サンプルを本発明のポリペプチドと混合
し、免疫反応混合物をつくる。ポリペプチドは、好まし
くは、免疫反応混合物が液相および固相の両方をもつよ
うに固体支持体に機能的に結合されている。
(b)該免疫反応混合物をしばらく、典型的には予め定
めた時間、生物学的アッセー条件下で維持し、固相にポ
リペプチド含有免疫反応生成物を十分に生成させる。非
均質アッセー様式では、維持時間後、反応物は通常、典
型的には洗浄して固相を保持することによって分離され
る。
生物学的アッセー条件とは、本発明の免疫化学試薬およ
びアッセーされるべき抗原の活性を保持できるような条
件である。このような条件には、およそ4℃からおよそ
45℃の間の温度、およそ5からおよそ9の間のpH、さら
に、蒸留水のイオン強度からおよそ1モルの塩化ナトリ
ウムのそれの間のイオン強度が含まれる。そのような条
件の最適化方法は当該技術分野で既知である。
(c)工程(b)で形成された免疫反応生成物の存在、
好ましくはその量、さらにそれによって、抗HIVエンド
ヌクレアーゼ抗体の管腔液サンプル中の存在またはその
量を続いて決定する。
上記方法の好ましい具体例では、免疫反応生成物の量
は、以下の(i)−(iii)によって工程(c)にした
がい決定される: (i)ポリペプチド含有免疫反応生成物に結合すること
ができる標識された特異的結合試薬を混合し、標識反応
混合物をつくる; (ii)標識された特異的結合試薬がポリペプチド含有免
疫反応生成物に結合し、標識複合体を形成するために十
分な時間、生物学的アッセー条件下で該標識反応混合物
を維持する; (iii)形成された一切の標識複合体の存在または量を
求め、それによって、抗HIVエンドヌクレアーゼ抗体含
有免疫反応生成物の存在または量を検出する。
特に好ましい具体例では、標識された特異的結合試薬
は、標識抗IgGである。
また別の具体例では、管腔液サンプルは、標識または非
標識である本発明のポリペプチドで免疫反応を起こさせ
る。典型的には、非標識ポリペプチドは、固体マトリク
スに結合させる。抗HIVエンドヌクレアーゼ抗体の一方
の腕は、固相ポリペプチドに結合し、当該抗体のもう一
方の腕は、標識ポリペプチドに結合し、それによって固
相標識免疫反応生成物を形成するであろう。標識および
非標識ポリペプチドとの免疫反応は、実質的に同時に、
すなわち同一混合物中でまたは連続的に実施できる。
別の具体例では、本発明のポリペプチドと本発明の抗ポ
リペプチド抗体および管腔液サンプルとで免疫反応を起
こさせる。好ましくは、該ポリペプチドは、固体支持体
に固定され、抗ポリペプチド抗体は標識される。また別
に、抗ポリペプチド抗体は固体支持体に固定され、ポリ
ペプチドが標識される。いずれの場合にも、標識固相免
疫反応生成物が形成され、それが抗HIVエンドヌクレア
ーゼ抗体の存在および/または量を表示する。
好ましくは、固相支持体の表面の非特異的蛋白質結合部
位はブロックされる。したがって、固相結合ポリペプチ
ドは、吸着または他の既知の結合手段によって固体マト
リクスに結合される。その後、蛋白質水溶液(この蛋白
質水溶液は、該アッセーとの干渉物、例えばウシ、ウマ
または他の血清アルブミン(これらはまたHIVエンドヌ
クレアーゼに関する夾雑物を含まない)を含まない)は
固相と混合され、ポリペプチド含有固体支持体の表面
で、単クローン抗体分子が占領していない表面の蛋白質
結合部位で混合された蛋白質に吸着される。
典型的な蛋白質水溶液は、pH7.1−7.5のPBS中に、およ
そ3からおよそ10重量%のウシ血清アルブミンを含む。
この蛋白質水溶液−固体支持体混合物は、典型的には、
37℃で少なくとも1時間維持され、その後、生じた固相
から未結合蛋白質は洗浄除去される。
管腔液サンプルは、すでに述べたように血漿または血清
でもよい。サンプルは、好ましくはおよそ1:10からおよ
そ1:5000に、より好ましくはおよそ1:10に希釈される。
I.診断システム 本発明はまた、前述のアッセー方法を実施するときに用
いることができる診断システム、典型的にはキット形式
のシステムを含む。当該システムは、別包装の免疫化学
試薬として本発明のポリペプチドを少なくとも1アッセ
ーに十分な量で含む。包装試薬の使用指示書もまた、例
によって含まれる。
1具体例では、キット形式の診断システムは、固体支持
体、例えば本発明のポリペプチドを少なくとも1つのア
ッセーを実施するために十分な量で結合させたマイクロ
タイタープレート(機能的に該固体支持体に結合されて
いる)を含む支持固体を含む。
好ましい具体例では、上記の診断システムは、別包装の
試薬として第二の抗体、表示抗体をさらに含むが、この
抗体は、ヒトIgGと免疫反応を生じる抗体分子を含んで
いる。該システムは、競合ELISA様式で使用する本発明
の抗ポリペプチド抗体を、別包装試薬としてさらに含ん
でいる。
好ましくは、標識が酵素の場合、診断システムは、1つ
または1より多い下記のものをさらに含んでいる: (i)既知の濃度の過酸化水素供給源;(ii)OPDのよ
うな可視化用酸化的染色前駆体;(iii)着色反応を止
める停止剤溶液、例えば4N硫酸;(iv)アッセーに使用
する1種または1種より多い緩衝液(乾燥または液体
形);(v)標準リファレンスカーブ調製用物質。
本明細書で用いられているように、“包装”という用語
は、固体マトリクスまたは物質、例えばガラス、プラス
チック、紙、金属箔など固定範囲内に本発明のポリペプ
チド、多クローン抗体または単クローン抗体を保持でき
るものを指す。したがって、例えば包装は、ミリグラム
量の意図されたポリペプチドを入れるために用いられる
ガラス製バイアルでもよく、また、マイクログラム量の
意図されたポリペプチドが機能的に固定された(すなわ
ち抗体が免疫学的に結合できるように結合されている)
マイクロタイターウェルでもよい。
“使用指示書”は、例によって、試薬の濃度、または少
なくとも1つのアッセー方法のパラメーター(例えば混
合されるべき試薬およびサンプルの相対量、試薬/サン
プル混合物の維持時間、温度、緩衝液条件など)を説明
する重要な記載を含んでいる。
好ましい具体例では、本発明の診断システムは、さらに
本発明のポリペプチドまたは抗体分子を含む複合体形成
をシグナル化することができる標識または表示手段もま
た含んでいる。
ここで用いられている“複合体”という言葉は、特異的
結合反応、例えば抗体/抗原またはレセプター/リガン
ド反応の生成物を指す。典型的な複合体は、免疫反応生
成物である。
ここで用いられているように、“標識”および“表示手
段”は、複合体の存在を示す、検出可能なシグナルの生
成に直接または間接的に関係する単一原子および分子を
指す。いずれの標識または表示手段も、発現蛋白質、ポ
リペプチド、または本発明の抗体もしくは単クローン抗
体組成物の一部分である抗体分子に結合させ、もしくは
取り込ませることができるが、また別々に用いることも
できる。さらに、これら原子もしくは分子は。単独でも
または添加試薬との共役物としても用いることができ
る。そのような標識は、臨床診断化学においてそれ自体
よく知られているが、それらが新規な蛋白質、方法およ
び/またはシステムとして用いられる場合に限って、本
発明の一部分を構成する。
標識手段は、化学的に抗体または抗原にそれらを変成さ
せることなく結合し、有用な免疫蛍光トレーサーである
蛍光クロム(色素剤)を形成する蛍光標識剤でもよい。
適切な蛍光標識剤は、蛍光クロム、例えばフルオリセイ
ンイソシアネート(FIC)、フルオリセインイソチオシ
アネート(FITC)、5−ジメチルアミノ−1−ナフタレ
ンスルフォニルクロリド(DANSC)、テトラメチルロー
ダミンイソチオネシアネート(TRITC)、リサミン、ロ
ーダミン8200スルフォニルクロリド(RB200SC)などで
ある。免疫蛍光分析技術は、デルカの“免疫蛍光分析”
(DeLUca,“Immunofluorescence Analysis",“手段とし
ての抗体",(“Antibody As a Tool")、Marchalonis
編、ジョンウィリー&サンズ社、189−231ページ(198
2))で見出すことができるが、本明細書に参考文献と
して含まれている。
好ましい具体例では、表示団は酵素(例えばホースラデ
ィッシュペルオキシダーゼ(HRP)、グルコースオキシ
ダーゼなどである。第一の表示団がHRPまたはグルコー
スオキシダーゼのような酵素である場合、レセプター/
リガンド複合体が(免疫反応物)が形成された事実を可
視化する付加試薬が必要になる。HRPのためのそのよう
な付加試薬は、過酸化水素および酸化色素剤前駆体(例
えばジアミノベンジジン)を含む。グルコースオキシダ
ーゼについて有用な付加試薬は、2,2′−アジノ−ジ
(3−エチル−ベンズチアゾリン−G−スルホン酸)
(ABTS)である。
放射性元素もまた有用な標識剤で、本明細書では実例と
して用いられている。典型的な放射性標識剤は、ガンマ
線を放射する放射性元素である。それ自体ガンマ線を放
射する元素、例えば124I、125I、128I、132I、51Crは、
ガンマ線放射性元素表示群に属する種類の代表である。
特に好ましいものは125Iである。有用な標識手段の別の
グループは、11C、18F、15OおよびN13で、これらはそれ
自体陽電子を放射する。そのように放射される陽電子
は、動物の体に存在する電子に遭遇するとガンマ線を放
射する。また有用なものは、111Inまたは3Hのようなベ
ータ線を放出するものである。
標識物質の連結、すなわちポリペプチドおよび蛋白質の
標識は、当該技術分野で既知である。例えば、ハイブリ
ドーマによって産生される抗体分子は、培養液中の成分
として与えられた放射性同位体含有アミノ酸の代謝的取
り込みによって標識できる。例えば、ガルファーらの文
献(Galfreら、Meth.Enzymol.,73:3−46(1981))を参
照できる。活性化官能基を介する蛋白質の共役またはカ
プリングの技術は特に利用できる。例えば、オーラメア
スらの文献(Aurameasら、Scand.J.Immunol.,8巻、付録
7:7−23(1978)、ロドウエルらの文献(Rodwellら、Bi
otech.,3:889−894(1984)および米国特許第4493795号
を参照できる。
該診断システムは、好ましくは別包装として特異的結合
剤もまた含むことができる。“特異的結合剤”とは、本
発明の試薬物質またはそのような物質を含む複合体と結
合する分子であるが、しかし、それ自体は本発明のポリ
ペプチドまたは抗体分子組成物ではない。典型的な特異
的結合剤は、第二の抗体分子、補体蛋白質もしくはその
フラグメント、スタフィロコッカス・アウレウス(黄色
ぶどう球菌)蛋白質Aなどである。好ましくは、この特
異的結合剤は、該試薬物質が複合体の一部として存在す
るとき、該試薬物質と結合する。
好ましい具体例では、特異的結合剤は標識される。しか
し、診断システムが標識されていない特異的結合剤を含
む場合、該結合剤は、典型的には増幅手段または試薬と
して用いられる。これらの具体例では、標識特異的結合
剤は、増幅手段が試薬物質含有複合体と結合するとき、
該増幅手段と特異的に結合することができる。
本発明の診断キットは、管腔液サンプル(例えば血液、
血清または血漿)中のアポEの量を検出するために、
“ELISA"様式で用いることができる。“ELISA"とは、固
相に結合した抗体または抗原および酵素/抗原または酵
素/抗体共役物を、サンプル中に存在する抗原量を検出
および定量するために用いる酵素結合免疫吸着アッセー
を指す。ELISA技術の記載は、“基礎および臨床免疫
学”(D.P.Sitesら、Basic and Clinical Immunology
第4版、第22章、Lange Medical Publications of LosA
ltos出版、カリフォルニア(1982))並びに米国特許第
3654090号、3850752号および4016043号に見出される。
これらは、すべて本明細書に参考文献として含まれてい
る。
試薬は、典型的には、水性媒体から吸着によって固体マ
トリクスに固定されるが、当該技術分野で既知の、蛋白
質およびポリペプチドに応用できる他の固定態様も用い
ることができる。
したがって、好ましい具体例では、本発明のポリペプチ
ドまたは抗ポリペプチド抗体分子は、固体マトリクスに
固定され、本発明の診断システムの包装を含む固体支持
体を形成することができる。
有用な固体マトリクスは、それに固定された試薬を含む
固体支持体を調製するために当該技術分野において既知
である。そのような物質は水に不溶性で、ファルマシア
ファインケミカルズ(ピスカタウェー、ニュージャージ
ー)から商標SEPHADEXとして市販されている架橋デキス
トラン;アガロース;直径およそ1ミクロンからおよそ
5ミリメートルのポリスチレンビーズ(アボットラボラ
トリーズ(ノースシカゴ、イリノイ)から市販);塩化
ポリビニル、ポリスチレン、架橋ポリアクリルアミド、
ニトロセルロースもしくはナイロンをベースにした繊
物、例えばシート状、小片状、へら状のもの;または
管、プレートもしくはマイクロタイタープレートのウェ
ル、例えばポリスチレンもしくはポリビニルクロリドで
つくられたものを含む。
本明細書に記載されたいずれの診断システムの試薬物
質、標識特異結合剤または増幅試薬は、溶液(例えば液
体懸濁物として、または実質的に乾燥粉末(例えば凍結
乾燥形で)として)で提供することができる。表示手段
が酵素の場合、該酵素の基質は、またシステムの別包装
として提供することができる。例えは前記のマイクロタ
イタープレートのような固体支持体および1つまたは1
つより多い緩衝液もまた、この診断アッセーシステムに
別包装成分として含むことができる。
診断システムに関連してここで考察した包装材は、診断
システムにおいて通常用いられるようなものである。そ
のような材料には、ガラスおよびプラスチック(例えば
ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリカーボネー
ト)瓶、バイアル、プラスチックおよび薄層プラスチッ
ク封筒などが含まれる。
実施例 以下の実施例は説明のためで、本発明を制限するためで
はない。
1.ペプチド合成 HIV−1エンドヌクレアーゼ蛋白質の抗原部位の発生お
よび位置の決定のために、全エンドヌクレアーゼ配列を
カバーする28本の線状ペプチドを調製した。これらのペ
プチドのELISAでの反応性を、HIV感染が証明された個々
人のヒト血清を用いて調べた。該配列は、HIV−1polコ
ンセンサス配列(6)に由来し、各ペプチドは、10個の
オーバーラップ配列をもつ20個のアミノ酸残基から成
る。ペプチドEnd1(該蛋白質のアミノ末端を表す)は、
HIV−1コンセンサスpol配列の574位でロイシンで始ま
る。ペプチドEnd28(該シリーズの末端)は、この蛋白
質のCOOH末端をカバーし、809位でアスパラギン酸残基
で終わる。
血清学的アッセーで用いられるペプチドは、ホーテンら
(Houghtenら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:5131−5135
(1985)にしたがって合成し、タムらの低/高フッ化水
素法(Tamら、J.Am. Chem.Soc.,105:6442−6455(198
3))によって多槽装置で固相用に切断した。このペプ
チドはHPLCで80−85%の均質性を示したので、したがっ
てさらに精製せずに使用した。
2.血清学的アッセー ペプチドELISAは以下のように実施した。マイクロタイ
タープレートウェル(Linbro、フロー、スコットラン
ド)は、0.01M炭酸緩衝液に懸濁したペプチド(1μg/
ウェル)で室温で1晩被覆した。その後、プレートウェ
ルを5%ウシ血清アルブミンでブロックした。ウェル当
たり100μlの試薬を用いた。ELISA実施中の異なる工程
間では5回洗浄(蒸留水中の0.9%NaClおよび0.005%ト
ゥイーン20)を実施した。陽性血清およびコントロール
は1/100に希釈し、37℃で1時間プレート中でインキュ
ベートした。ペルオキシダーゼ共役抗ヒトIgGy鎖免疫グ
ロブリン(Dakopatts、デンマーク)の1/2000希釈を加
えた(1時間、37℃)。基質として、1,2フェニレンジ
アミンジヒドロクロリドを用いた。10分間反応させ、そ
の後3MH2SO4で反応を停止させた。プレートはタイター
テック(Titertek)分光光度計で490nmで判定した。光
度計の読みが陰性ヒト血清の平均光学密度+3標準偏差
(SD)の値を示すとき陽性と判定した。ペプチドEnd10
の平均光学密度+3倍のSDは0.8であった。
各ペプチドは、HIV−1感染および陰性コントール血清
とともにELISAシステムで別々に用いた。14種の抗体陰
性コントロール血清はいずれもこのペプチドと反応しな
かった。HIV感染の異なる臨床段階から選ばれた(7)3
3種のHIV−1抗体陽性血清はすべて、28種のペプチドの
1つ、End10と強く反応した(図1)。感染血清との反
応性は、非常に高希釈(1/10000)でも観察された。End
10のアミノ酸配列は、ETGQETAYFLLKLAGRQPVKである。ペ
プチドの他の部分の反応性は、感染者またはHIV−1抗
体陰性者から得られた血清の反応と区別できなかった。
結果として、いくかつの選択されたペプチドのELISAの
結果だけが図1に示されている。ペプチドEnd10を表す
アミノ酸配列は、エンドヌクレアーゼ蛋白質の中央部分
に位置し(655位で開始)、別々のHIV−1分離物間で高
度に保存されている(表1)。
1.配列はメイヤーら(Meyerら、(6))から得られ
た。End10を表す配列は、ぼpo1HIV−1コンセンサスの
アミノ酸655で開始する。対応する配列はHIVコンセンサ
ス配列の519位で開始する。その上に星印をもつ文字
は、HIV−1およびHIV−2の配列をもつ両株で保存され
ているアミノ酸を示している。?は、下に示す残基で表
示したように置換を示している。
HIV−2のゲノム(表1)およびサル免疫不全ウイルス
(SIV)の対応する領域もまた非常に保存的である。HIV
−1配列とHIV−2分離物の比較は、55%ホモロジーを
示している。いくつかのアミノ酸ストレッチは、しかし
ながら、異なる血清型間で完全に保存されている。この
観察のゆえに、HIV−1ペプチドEnd10を、HIV−2感染
者から得た30種の血清で調べた。驚いたことには、すべ
てのHIV−2血清は、該ペプチドと強く反応し、反応の
強さは、HIV−1血清のそれに匹敵した(結果は示さ
ず)。
エンドヌクレアーゼ領域のペプチドはすべてのHIV−1
およびHIV−2血清と反応するという我々の発見は、重
要な診断的示唆となるかもしれない。End10ペプチドに
基づく血清学的テストは、個々の蛋白質またはその部分
の同定は、免疫的診断に有効な方法であることを証明す
るかもしれない。
3.置換実験 ペプチドend9およびEnd11で得られた陰性結果は、両ア
ミノ酸残基配列、ETGQETAYFLおよびLKLAGRWPVKの部分
は、HIV抗体との反応を許容するために存在する必要が
あることを示している。ペプチドEnd10のアミノ酸の相
対的役割を決定するために、グリシンをもつ異なるEnd1
0残基の配列置換をもつ一連のペプチドを調製し、ELISA
に使用した。無傷のペプチドEnd10と比較して、光学密
度(490nm)値の70%以上の減少を示す置換は、抗体結
合と関係があるとみなした。13種のHIV−1抗体陽性血
清をこの実験では用いた。このペプチドの中央部分の4
個のアミノ酸(フェニルアラニン(HIV−1polコンセン
サス配列の663位のアミノ酸)、ロイシン(664位および
666位)、およびトリプトファン(670位))のいずれか
の置換は、光学密度の重大な減少をもたらした(図
2)。4個の重要なアミノ酸の各々は、1つまたは1つ
より多い重要でない残基が間に入っているので、結果
は、HIVのエンドヌクレアーゼ蛋白質に不連続な固有の
エピトープが存在することを示唆している。
引用文献 1.Grandgenettら、(1978)Virology,89:119−132. 2.Lillehojら、(1988)J.Virol.,62:8;3053−3058. 3.Steimerら、(1986)J.Virol.,58(1):9−16. 4.Allanら、(1987)Blood,69(1):331−333. 5.Houghtenら、(1985)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:51
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0. 7.疾病コントロールセンター(Center for Disease Con
trol),(1986)JAMA July4,256(1):20−25. 8.Wangら、(1986)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,83:6159−
6163. 9.Palkerら、(1987)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84:2479
−2483. 10.Palkerら、(1988)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85:193
2−1936. 11.Norrbyら、(1987)Nature,329:248−250. 12.Norrbyら、(印刷中)、ヒト免疫不全ウイルス(HI
V)タイプ2およびタイプ1のエンベロープ蛋白質の線
状抗原部位の比較。
13.Brolidenら、(印刷中)、HIV−1およびHIV−2感
染の検出およびそれらの識別用特異的合成ペプチド。
14.Goudsmitら、(1989)J.AIDS,2:297−302. 15.Kyteら、(1982)J.Mol.Biol.,157:105−132. 16.Chouら、(1978)Adv.Enzymol.,47:45−148. 17.Kopchickら、(1981)J.Virol.,37:274−283. 18.Panetrら、(1975)Proc.Natl.Acad.Sci.,72:2535−
2539. 19.Panganibanら、(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,8
1:7885−7889. 20.Donehowerら、(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:
6461−6465. 21.Tamら、(1983)J.Am.Chem.Soc.,105:6442−6445. 22.Houghtenら、(1986)Int.J.Pept.Protein Res.,27:
675−683. 本発明はこれまで特定の好ましい具体例として記載し、
さらにそれに関して例証してきたが、当業者ならば、種
々の修飾、変更、省略および置換が、本発明の範囲から
逸脱することなく容易に為されえることを理解しえよ
う。したがって、本発明は以下の請求の範囲によって専
ら制限されるであろう。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G01N 33/569 H

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】次の式のポリペプチド: X−Glu−Thr−Gly−Gln−Glu−Thr−Ala−Tyr−Phe−
    B Leu−Lys−Leu−Ala−Gly−Arg−Trp−Pro−Val−Lys−
    Z。 (式中、BはLeuまたはIleで、Xは1から20個のアミノ
    酸残基の鎖またはアミノ末端基で、Zは1から20個のア
    ミノ酸残基の鎖またはカルボキシ末端基である。)
  2. 【請求項2】Xが次の式で表される、請求の範囲第1項
    のポリペプチド: NH2−Gly−Tyr−Ile−Glu−Ala−Glu−Val−Ile−Pro−
    Ala。
  3. 【請求項3】Zが次の式で表される、請求の範囲第1項
    のポリペプチド: Thr−Ile−His−Thr−Asp−Asn−Gly−Ser−Asn−Phe−
    COOH。
  4. 【請求項4】固形マトリクスに結合させた、請求の範囲
    第1項のポリペプチド。
  5. 【請求項5】該固形マトリクスがコラーゲンを含む、請
    求の範囲第4項のポリペプチド。
  6. 【請求項6】該固形マトリクスがニトロセルロースまた
    はポリエステルを含む、請求の範囲第4項のポリペプチ
    ド。
  7. 【請求項7】該固形マトリクスがガラス、合成樹脂また
    は長鎖多糖類である、請求の範囲第4項のポリペプチ
    ド。
  8. 【請求項8】該固形マトリクスが合成樹脂繊維である、
    請求の範囲第4項のポリペプチド。
  9. 【請求項9】次の式をもつポリペプチド: NH2−〔Glu−Thr−Gly−Gln−Glu−Thr−Ala−Tyr−Phe
    −Leu−Leu−Lys−Leu−Ala−Gly−Arg−Trp−Pro−Val
    −Lys〕p−COOH。 (式中、pは、該ポリペプチドが0.15M塩化ナトリウム
    水溶液中で溶解可能であるような数値の整数であ
    る。)。
  10. 【請求項10】pが2から6の間の数値である、請求の
    範囲第9項のポリペプチド。
  11. 【請求項11】次の式のポリペプチド: NH2−Glu−Thr−Gly−Gln−Glu−Thr−Ala−Tyr−Phe−
    Leu Leu−Lys−Leu−Ala−Gly−Arg−Trp−Pro−Val−Lys−
    COOH。
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