JPH07116474B2 - 高濃度アルカリ液体洗浄剤組成物及びその製造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、食器類等の洗浄に使
用されるスプレー式、シャワー式の自動洗浄機に好適な
高濃度アルカリ液体洗浄剤組成物及びその製造方法に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】ホテル、レストラン、給食会社、病院及
び会社の食堂等の大量の食事を提供する場所においては
使用後の食器を洗浄するためにスプレー式、シャワー式
の自動洗浄機が使用されている。

【０００３】これらスプレー式、シャワー式の自動洗浄
機においては発泡を避けるため界面活性剤の配合が行わ
れず、しかも食器類には油脂分、澱粉質及び蛋白質等の
多様な汚れが付着しているため、これに対応するための
アルカリ洗浄剤が使用されている。

【０００４】これらアルカリ洗浄剤の形状としては、粉
末、固形、液体状があるが、通常自動洗浄機においては
洗浄剤の使用濃度が低下すると、濃度低下をセンサーで
検知し、洗浄剤を自動的に補給するシステムを採用して
おり、この場合洗浄剤成分を均一な組成分として補給す
るには液体状が最も優れている。

【０００５】自動洗浄機用のアルカリ液体洗浄剤として
は、トリポリリン酸カリ、ナトリウムとケイ酸カリ、水
酸化カリ、次亜塩素酸アルカリ塩を配合したもの( 特公
平2-29720 号) 、アルカリ液体洗浄剤組成中にポリオー
ルの１種又は２種以上を配合したもの( 特公昭62-25184
号) 等が知られている。

【０００６】

【発明が解決しようとする問題点】しかし、これら従来
のアルカリ液体洗浄剤においてはアルカリの濃度を精々
30重量% 程度にしか高めることができないという欠点が
ある。

【０００７】そして、これ以上にアルカリ濃度を高めよ
うとする場合には低温における安定性が不良となり、且
つ常温に放置した場合でも析出等を起こし均一な液体と
はならない。

【０００８】本願発明者らは上記問題点を解決するため
に鋭意研究の結果、アルカリ液体洗浄剤組成中にホスホ
ノブタントリカルボン酸或はその塩を配合することによ
り、組成中のアルカリ濃度が高められることを見出し
た。

【０００９】

【問題点を解決するための手段】この発明は、上記知見
に基づいて高濃度のアルカリ剤を含むアルカリ液体洗浄
剤組成中にホスホノブタントリカルボン酸或はその塩を
配合してなる高濃度アルカリ液体洗浄剤組成物とその製
造方法を提案するものである。

【００１０】ここで、アルカリ剤としては水酸化カリウ
ム、水酸化ナトリウム、オルソ燐酸カリ、オルソ燐酸ソ
ーダ、ピロ燐酸カリ、ピロ燐酸ソーダ、オルソケイ酸カ
リ、メタケイ酸ソーダ等を挙げることができ、その配合
量は組成物中20〜60重量% 、好ましくは30〜50重量% で
ある。

【００１１】ホスホノブタントリカルボン酸は従来金属
イオン封鎖剤として使用され、或はスケール抑制剤とし
て公知であり( 特公昭58-53034号、 特公昭57-13358号、
特開昭63-258697 号) 、下記構造式で表される化合物で
ある。

【００１２】

【化１】

【００１３】ホスホノブタントリカルボン酸及びその塩
の配合量は組成物中に0.1 〜10重量% 、好ましくは0.5
〜8 重量% であり、0.1 重量% 以下の場合にはアルカリ
濃度を向上させる効果がなく、10重量% 以上配合しても
更に顕著な効果が認められない。

【００１４】アルカリ剤とホスホノブタントリカルボン
酸からなるアルカリ液体洗浄剤組成物は、配合例として
は例えば水酸化カリウム20重量% 、オルソリン酸カリウ
ム20重量% 、ホスホノブタントリカルボン酸2.5 重量%
、残部水からなる組成例を挙げることができる。

【００１５】また、この発明に係るアルカリ液体洗浄剤
組成物中には、この他にヘキソン酸塩、金属イオン封鎖
剤を配合することができる。

【００１６】ここで、ヘキソン酸塩としてはグルコン酸
塩、ヘキソン酸ソーダ、ヘプトン酸ソーダ等を挙げるこ
とができ、これらは洗浄成分として機能し、その配合量
は組成物中に5 〜30重量% 、好ましくは15〜30重量% で
ある。

【００１７】金属イオン封鎖剤としてはＮＴＡ、ＥＤＴ
Ａ等のキレート剤を挙げることができ、その配合量は組
成物中に5 〜20重量% 、好ましくは10〜15重量% であ
る。

【００１８】この発明に係るアルカリ液体洗浄剤の製造
方法としては、上記成分を混合釜に所定量配合し、撹拌
しながら65〜90℃まで、水の蒸発をできるだけ防ぎなが
ら加熱して透明な液体とする。

【００１９】これにより-15 ℃まで温度が低下した場合
でも、沈殿物、濁り、析出を起こさない高濃度アルカリ
液体洗浄剤が得られる。なお、加熱温度が65℃以下の場
合には常温で、固化して濁りを生ずる。

【００２０】

【実施例】以下、この発明の実施例を示す。 実施例１〜４と比較例１、２ 表１に示す成分の所定量を混合釜に配合して撹拌しなが
ら所定温度に加熱して透明な液体とし、200 メッシュス
トレナーで濾過してアルカリ液体洗浄剤を得た。

【００２１】獲られたアルカリ液体洗浄剤について水以
外の固形分量、-15 ℃乃至20℃における安定性を表１に
示す。

【００２２】

【表１】

【００２３】実施例５〜19と比較例３〜８ 表２に示す成分の所定量について上記実施例と同様にし
てアルカリ液体洗浄剤を製造し、これについて水以外の
固形分量、-15 ℃乃至20℃における安定性を測定した。
この結果を下記表２に示す。

【００２４】

【表２】

【００２５】

【発明の効果】以上要するに、この発明によればアルカ
リ液体洗浄剤組成物中にホスホノブタントリカルボン酸
或はその塩を配合することにより、組成物中におけるア
ルカリ濃度を高めることができ、食器類、コンテナ類、
ビン類等の洗浄に使用する自動洗浄機用として好適な高
濃度アルカリ液体洗浄剤を提供することができる。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ｃ１１Ｄ 7:36）

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 アルカリ剤20〜60重量% を含むアルカリ
   液体洗浄剤組成物中に、ホスホノブタントリカルボン酸
   或はその塩を0.1 〜10重量% 配合したことを特徴とする
   高濃度アルカリ液体洗浄剤組成物。
2. 【請求項２】 組成物中に、ヘキソン酸塩5 〜30重量%
   、金属イオン封鎖剤5 〜20重量% を含む特許請求の範
   囲第１項記載の高濃度アルカリ液体洗浄剤組成物。
3. 【請求項３】 アルカリ剤20〜60重量% とホスホノブタ
   ントリカルボン酸或はその塩0.1 〜10重量% を含む組成
   物を製造するに際して、組成物成分の所定量を順次混合
   釜に配合し、撹拌しながら65〜95℃まで加熱して透明液
   体とすることを特徴とする高濃度アルカリ液体洗浄剤組
   成物の製造方法。