JPH0711452A - 意匠性に優れたステンレス鋼製屋根外装材及び製造方法 - Google Patents

意匠性に優れたステンレス鋼製屋根外装材及び製造方法

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JPH0711452A
JPH0711452A JP18188393A JP18188393A JPH0711452A JP H0711452 A JPH0711452 A JP H0711452A JP 18188393 A JP18188393 A JP 18188393A JP 18188393 A JP18188393 A JP 18188393A JP H0711452 A JPH0711452 A JP H0711452A
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stainless steel
hot
steel sheet
phosphate
dip galvanized
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JP18188393A
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English (en)
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Wakahiro Harada
和加大 原田
Toshiro Adachi
俊郎 足立
Yoshihiro Uematsu
美博 植松
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Nippon Steel Nisshin Co Ltd
Original Assignee
Nisshin Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐候性に優れ、建築構造物と調和性が良好な
黒灰色の色調に着色したステンレス鋼製の屋根外装材を
得る。 【構成】 ステンレス鋼板の表面に形成した目付け量2
00g/m2 以上で溶融亜鉛めっき層に燐酸塩処理を施
し、黒灰色に発色させる。必要に応じて、燐酸塩処理に
先立って燐酸塩皮膜生成の反応核を付着させる前処理,
溶融亜鉛めっき後のステンレス鋼板を更に電気亜鉛めっ
きすること、溶融亜鉛めっきしたステンレス鋼板を調質
圧延すること等によって、燐酸塩処理が均一化され、色
ムラのない着色皮膜が得られる。 【効果】 亜鉛の腐食生成物に類似した色調が得られる
ため、長期間にわたって色調変化が抑制される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、意匠性及び耐食性に優
れた屋根,壁板等として使用されるステンレス鋼製屋根
外装材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】屋根,壁板等の金属製屋根外装材とし
て、銅板,アルミニウム板,ステンレス鋼板,亜鉛合金
板,溶融亜鉛めっき鋼板,塗装鋼板等が使用されてい
る。銅板は、大気雰囲気中で生成する塩基性塩・緑青の
色合が独特な趣を建物に添えることから、神社・仏閣等
の建築用材料として古くから使用されている。しかし、
他の金属材料と接触する状態で銅板が使用される条件下
では、銅板と他の金属材料との間にガルバニック電流が
流れ、Cuよりも卑な金属であるAl,Fe,Zn等の
腐食を促進させる。また、Cuが雨水等に溶出すると、
殺菌性のあるCuイオンを含む雨水が土壌に流入し、周
囲の植物を枯らす原因になる。金属材料の中でも、Cu
は比較的軟質な部類に属する。そのため、強度が要求さ
れる部分には、銅板を使用できない。強度不足を補うた
めCuめっきした鋼板を使用することもあるが、この場
合にはガルバニック腐食が懸念される。
【0003】アルミニウム板は、Al自体が非常に卑な
金属であるものの、表層に形成されている酸化皮膜によ
って耐食性が確保される。しかし、酸化皮膜が破壊され
る過酷な腐食環境でアルミニウム板を使用すると、深い
孔食が発生する。大気雰囲気中では、粉塵,鉄粉,塩素
イオンの付着等を起点として腐食が進行する。そのた
め、海岸地帯や汚れのひどい場所では、清掃作業を頻繁
に行う必要がある。ステンレス鋼板は、表面に形成され
た強固な不動態皮膜によって優れた耐食性を呈する。し
かし、孔食,隙間腐食等によって局部腐食を生じ、腐食
部から赤錆流れによって構造物の美観を悪くする。ステ
ンレス鋼は、その光沢が自然環境と調和しないことか
ら、着色,塗装等の表面処理が施されることがある。亜
鉛は、それ自体では腐食し易い卑な金属であるが、表面
に形成される塩基性の腐食生成物によって耐食性が確保
される。また、自ら腐食されることによって他の金属を
防食する犠牲陽極としての作用も呈することから、鋼板
表面に形成されるめっき層として従来から使用されてい
る。
【0004】亜鉛は、腐食形態の一つに白錆流れの問題
がある。また、熱膨張係数が他の金属に比較して大きい
ため、昼夜或いは夏冬の気温差が激しい環境での使用に
制約を受ける。しかも、非常に柔らかい金属であること
から、強度が要求される箇所での使用に制約を受ける。
そのため、亜鉛に合金元素を添加して強度を向上させた
り、鋼板にめっきして使用されている。しかし、亜鉛め
っき鋼板も、使用環境によっては耐食性が十分でなく、
腐食による赤錆,端面からの赤錆流れ等の問題を生じ
る。金属材料は、無垢の状態で使用されることもある
が、人目に付き易い公共建造物等の構造材には着色,デ
ザイン等で意匠性を高めることが要求され、耐候性塗装
等を施した塗装鋼板等が使用されている。しかし、塗装
鋼板においても、塗膜の劣化に起因した色褪せ,塗膜下
腐食による塗膜膨れ,端面からの錆流れ等の問題があ
る。たとえば、20年以上の耐候性を保証するために
は、塗料の質を向上すべく高価なフッ素系塗料が必要と
され、製品コストを上げる原因となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】屋根,外壁等の屋根外
装材としての用途では、次のような性質をもつことが要
求される。 使用環境で十分な耐候性をもち、たとえば塗装鋼板
では褪色,光沢の減少,腐食等によって表面外観が変化
しないこと。 屋根,外壁等として十分な強度を備えていること。 熱膨張係数が小さいこと。 自然環境と調和する色調を呈すること。 本発明は、従来から屋根,外壁等の建材として使用され
ている材料がもつ前掲の欠点を解消すべく案出されたも
のであり、亜鉛めっきしたステンレス鋼に特定された燐
酸塩処理を施すことにより、必要とする色調に発色さ
せ、意匠性に優れた高耐食性屋根外装材を提供すること
を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のステンレス鋼製
屋根外装材は、その目的を達成するため、ステンレス鋼
製の下地鋼板と、該下地鋼板の表面に片面当り目付け量
200g/m2 以上で形成された溶融亜鉛めっき層と、
該溶融亜鉛めっき層の表面に形成され、亜鉛の腐食生成
物と同じ色調をもつ燐酸塩皮膜とを備えている。燐酸塩
皮膜は、表面に反応核を生成する前処理を溶融亜鉛めっ
き層に施した後,溶融亜鉛めっき層に更に電気亜鉛めっ
き層を形成した後、或いは溶融亜鉛めっきしたステンレ
ス鋼板を調質圧延した後で設けられたものであってもよ
い。このステンレス鋼製屋根外装材は、ステンレス鋼板
に片面当り目付け量200g/m2 以上で溶融亜鉛めっ
きを施し、次いで燐酸塩処理によって亜鉛の腐食生成物
と同じ色調をもつ表面状態に着色される。溶融亜鉛めっ
きと燐酸塩処理の間で、コロイダルTi等を含む処理液
に溶融亜鉛めっきステンレス鋼板を接触させ、燐酸塩生
成の反応核を析出させる前処理,溶融亜鉛めっきされた
ステンレス鋼板を更に電気亜鉛めっきする工程,溶融亜
鉛めっきされたステンレス鋼板を調質圧延する工程等を
組み込むとき、燐酸塩処理の均一性が向上する。
【0007】亜鉛めっきしたステンレス鋼板は、そのま
まの状態で、或いは燐酸塩皮膜の反応核を付着させる前
処理を施した後で燐酸塩処理が施され、2.0〜8.0
g/m2 の燐酸塩皮膜が形成される。皮膜付着量が2.
0〜6.0g/m2 と比較的低いときには、クロマチッ
クネス指数L値が48〜62の範囲にある比較的白みが
強い色調が得られる。皮膜付着量が5.0〜8.0g/
2 と比較的高いときには、クロマチックネス指数L値
が45〜52の範囲にある比較的暗い色調になる。燐酸
塩皮膜の反応核は、たとえばコロイダルTiを含む処理
液に亜鉛めっきステンレス鋼板を接触させることによっ
て、鋼板表面に形成される。燐酸塩処理されたステンレ
ス鋼板は、必要に応じてクリヤ塗装が施される。溶融亜
鉛めっきステンレス鋼板に対する化成処理性は、電気め
っき,調質圧延等によって表面を改質することにより向
上させることができる。電気めっきによるとき、溶融亜
鉛めっき層の上に20g/m2 以下の電気亜鉛めっき層
が形成される。調質圧延では、0.8%以下の圧延率で
溶融亜鉛めっきステンレス鋼板が圧延される。
【0008】
【作用】亜鉛めっきの下地鋼としてステンレス鋼を使用
すると、従来の亜鉛めっき鋼板では得られなかった亜鉛
の防食作用が期待される。従来の亜鉛めっき鋼板は、亜
鉛の犠牲溶解によって耐食性を確保していることから、
金属亜鉛の消失に伴って下地鋼の腐食が進行する。その
結果、赤錆流れが生じ、建築構造物の美観が損なわれ
る。これに対し、ステンレス鋼に亜鉛めっきを施したも
のでは、亜鉛の犠牲陽極作用の他に、鋼板表面に付着・
残留している亜鉛の腐食生成物によっても腐食抑制効果
が奏せられる(特開平1−132792号公報,特開平
2−4996号公報等参照)。亜鉛の腐食生成物による
腐食抑制作用は、ステンレス鋼板表面に付着した亜鉛の
腐食生成物が腐食過程における陰極反応である酸素還元
反応を抑制すると共に、腐食生成物の解離に基づくpH
緩衝作用である。この現象は、下地鋼にステンレス鋼を
使用した場合に生じる特有なものであり、普通鋼に亜鉛
めっきを施したものではみられない。
【0009】本発明では、ステンレス鋼に片面当り20
0g/m2 以上の目付け量で亜鉛めっきを施す。この目
付け量は、ステンレス鋼の耐食性を向上させると共に、
着色処理を容易にするために定められる。亜鉛めっきの
目付け量は、屋根,外壁等の屋根外装材として使用され
る環境における亜鉛の消耗量に基づいて寿命を予測し、
この寿命から定められる。腐食性が比較的弱い山間部等
の環境では、片面当り200g/m2 の目付け量でも約
40年の寿命が予測される。しかし、比較的過酷な腐食
雰囲気である海浜地帯等では、亜鉛の年間消耗量が20
g/m2 ともいわれている。したがって、環境の腐食性
如何に拘らず、長期的に屋根,外壁等としての機能を維
持するためには、片面当り200g/m2 以上の亜鉛め
っき層が必要である。また、更に目付け量を大きくする
ことによって、寿命の長期化が図られる。このような目
付け量で亜鉛めっき層を形成する上では、電気めっき法
よりも溶融めっき法がコスト的に優れている。
【0010】亜鉛めっきしたステンレス鋼板は、屋根,
外壁等として使用する場合にめっき層表面の金属光沢が
自然環境と調和しないことから、燐酸塩処理によって所
望の色調に着色する。また、亜鉛めっきのままでは、表
面に形成される塩基性の腐食生成物により金属光沢が失
われ、白色から黒灰色に経時変化する。この点でも、屋
根外装材として使用される亜鉛めっき鋼板の表面外観を
長期間にわたって維持する上で、燐酸塩処理が有効であ
る。溶融めっき法で形成された亜鉛めっき層には、表層
に亜鉛の酸化皮膜が存在する。酸化皮膜は、燐酸塩処理
性を劣化させ、部分的に処理ムラを発生させる原因とな
り、処理後の色調を不均質にする。均質な燐酸塩処理の
ためには、表層の酸化皮膜を除去し、活性な表面状態に
する必要がある。表面活性化は、電気亜鉛めっき,調質
圧延等で行われる。電気亜鉛めっきは、本質的に熱を伴
わない反応であることから、溶融めっきの酸化皮膜と比
較すると表面に形成される酸化皮膜が極めて薄くなって
いる。また、形成された電気亜鉛めっき層は、微細な結
晶粒組織をもち、燐酸塩処理性にも優れている。しか
し、電気めっきは、目付け量の増加に応じてコスト的に
不利となる。そのため、目付け量の上限を20g/m2
に設定した。表層部に設けられる電気亜鉛めっき層は、
燐酸塩処理性を向上させ、処理ムラも軽減する。
【0011】調質圧延によっても、溶融亜鉛めっき層の
表面を活性化できる。特に目付け量が200g/m2
上の厚目付けで溶融亜鉛めっきするとき、めっき層表面
の凹凸による影響が顕著に現れ、凹凸によっては前処理
液の付着状態が異なるために燐酸塩処理後の色調にムラ
が発生する。この点、溶融亜鉛めっきステンレス鋼板を
調質圧延すると、亜鉛めっき層が軟質なことと相俟つて
めっき層表面が平滑化され、表面凹凸に起因する燐酸塩
処理ムラが抑制される。燐酸塩処理に先立って、必要に
応じ燐酸塩皮膜の反応核を付着させる前処理が施され
る。たとえば、コロイダルTiを含む処理液に亜鉛めっ
きステンレス鋼板を浸漬し或いは処理液を亜鉛めっきス
テンレス鋼板にスプレーすることによって、TiO2
反応核を付着させる。これによって、後続する工程で微
細なホーパイトが均一に析出し、燐酸塩処理性を均質化
させ、色ムラのない着色ができる。また、反応核の付着
によってホーパイトの生成も促進され、短時間で反応を
終了させることができる。そのため、通板速度を上げ、
生産性を向上させることが可能となる。一般的に前処理
したものでは、10年暴露後の色調に類似した色調を呈
する燐酸塩皮膜が形成される。他方、前処理を施さない
ものでは、ホーパイトが大きく析出しており、黒みの強
い色調をもった燐酸塩皮膜が得られる。
【0012】電気めっき,調質圧延等により溶融亜鉛め
っき層の表面を改質すると、燐酸塩皮膜の均一化が図ら
れると共に、明度の最大値と最小値との差が小さくな
る。すなわち、明度の幅が小さな着色皮膜となり、深み
のある色調が得られる。燐酸塩処理による着色は、仕上
げの色彩に応じて種々の方法が採用される。仕上げの色
彩は、使用する環境に調和するように選択される。この
点、着色層の寿命が半永久的に持続しないこと,腐食の
進行に伴って亜鉛めっき層が黒灰色の腐食生成物を生成
することを考慮するとき、黒灰色又はそれに近い色彩に
着色する条件が好ましい。黒灰色は、日本瓦の色調に似
ており、コンクリート等の建築構造物との調和が良く、
重厚な趣を醸し出す。本発明者等は、種々の調査・検討
した結果、燐酸塩処理により亜鉛めっきステンレス鋼の
表面を黒灰色に仕上げることができることを見い出し
た。
【0013】燐酸塩反応においては、処理液に含まれて
いるリン酸の解離反応により、亜鉛めっき層の表面にホ
ーパイトが形成される。このとき、TiO2 等の反応核
を鋼板表面に予め付着させておくと、ホーパイトが微細
に且つ均一に析出する。ホーパイトの析出状態によって
は塗色のような色調に仕上がることもあるので、故意に
反応核を析出させず、亜鉛めっき層の表面に大きな結晶
のホーパイトをまばらに生成する方法も採用できる。反
応核を析出させる前処理を施すことなく燐酸塩処理する
と、処理液中の重金属イオンが反応核となる。黒灰色の
重厚な趣を出すためには、むしろ前処理を省略する方が
好ましい場合もある。
【0014】燐酸塩皮膜は、2.0〜8.0g/m2
範囲で付着量が調整される。付着量が2.0g/m2
り少ないと亜鉛の腐食生成物の色調よりも白みがかった
色調になり、8.0g/m2 を超えると亜鉛の腐食生成
物の色調よりも黒みがかった色調になる。何れの場合
も、使用が長期間にわたると色調が劣化した印象を与え
る。また、付着量が過剰になると、鋼板表面から燐酸塩
皮膜が剥離し易くなり、加工性が低下する。このような
ことから、燐酸塩皮膜の付着量は、2.0〜8.0g/
2 の範囲に設定した。化成処理による着色仕上りが所
定の色調になる限り、燐酸塩処理に特定されることな
く、他の化成処理も可能である。たとえば、燐酸塩皮膜
の上にクロメート処理を施し、耐食性を向上させること
もできる。この場合、目付け量もそれぞれの処理に応じ
た量に選定される。亜鉛めっき層表面に形成された燐酸
塩皮膜は、めっき層の溶解を抑制し、耐食性を向上させ
且つめっき層の寿命を長くすることにも有効に働く。
【0015】燐酸塩処理後の亜鉛めっき層表層には、耐
食性の向上及び加工時の傷付き防止のためにクリヤ塗装
が施される。亜鉛めっき層は、クリヤ塗装の劣化が生じ
るまで大気と接触することがないので、腐食反応が起こ
りにくくなる。すなわち、クリヤ塗装は、亜鉛めっき層
の消耗速度を遅くし、長期間にわたる耐候性を屋根外装
材に付与する。燐酸塩皮膜及び亜鉛めっき層は柔らかい
ので、加工時等に傷が入り易い。下地鋼に達するような
傷がめっき層に生じると、傷部周辺にガルバニック電流
が流れて亜鉛の溶解が加速される。その結果、白錆流れ
を生じ、美観が損なわれ、部分的に亜鉛めっき層の寿命
を低下させる。この点、クリヤ塗装を施したものでは、
加工時に傷が入りにくく、局部的な亜鉛の溶解が防止さ
れる。クリヤ塗装は、燐酸塩皮膜の色調を保持できるも
のである限り、塗料の種類に制約を受けるものではな
い。たとえば、アクリル系の塗料を使用できる。また、
5〜20μmの範囲でクリヤ塗装の膜厚を変えることに
より、微妙な色の調整が可能となり、環境に応じた黒灰
色の色調が得られる。
【0016】
【実施例】
実施例1:硝フッ酸酸洗仕上げした板厚0.4mmのス
テンレス鋼帯SUS430,SUS304に片面当りの
目付け量250g/m2 で溶融亜鉛めっきした。次い
で、市販の前処理液を使用して、亜鉛めっきステンレス
鋼帯に前処理を施した。前処理したもの及び前処理を施
さなかったものそれぞれについて、市販の燐酸塩処理液
を使用して着色した。表1に燐酸塩処理の条件を、図1
に得られた燐酸塩皮膜におけるホーパイトの形態を示
す。図1の対比から明らかなように、ホーパイト結晶
は、前処理を施すことなく亜鉛めっきステンレス鋼板を
直接燐酸塩処理した方が大きく且つ不均一に生成してい
た、前処理を施すことなく直接燐酸塩処理した材料は、
比較的質量感に富んだ重厚な色調を呈した。他方、前処
理後に燐酸塩処理した材料は、Znめっき鋼板を10年
間暴露した後の色調に類似していた。また、燐酸塩処理
後の明度指数L値を、JIS Z8721に準拠して測
定した。
【0017】
【表1】
【0018】燐酸塩処理後の亜鉛めっきステンレス鋼板
を腐食促進試験に供し、耐食性及び色調変化を調査し
た。腐食促進試験は、表2に示す条件を採用した。ま
た、比較材として、無垢のステンレス鋼板SUS43
0,304を硝フッ酸酸洗仕上げしたもの及び目付け量
120g/m2 (膜厚0.4mm)で溶融Znめっき層
を形成した鋼板を使用した。
【0019】
【表2】
【0020】表3に腐食促進試験を80サイクル繰り返
した後の結果を示す。燐酸塩処理した亜鉛めっきステン
レス鋼板では、発銹が検出されず、色調の変化もみられ
なかった。これに対し、無垢のSUS430及び304
ステンレス鋼板では全面的な発銹が生じており、溶融亜
鉛めっき鋼板では端面に赤錆の発生が検出された。この
ことから、燐酸塩処理によって亜鉛めっきステンレス鋼
板の耐食性及び耐候性が向上することが判る。なお、表
3においては、赤錆の発生がみられないものを4,端面
のみに赤錆が発生したものを3,全面的に軽微な赤錆が
発生したものを2,全面的に赤錆が発生したものを1と
して、耐食性を4段階で相対評価した。
【0021】
【表3】
【0022】燐酸塩処理した亜鉛めっきステンレス鋼板
をクロメート処理し、更にロールコーター法でアクリル
系のクリヤ塗装を施した。そして、表2に示した条件下
で腐食促進試験を行い、耐食性を調査した。表4は、腐
食促進試験200サイクル後の結果を示す。なお、表4
におけるクロメート処理は皮膜付着量5mg/m2 の割
合で、クリヤ塗装は膜厚10μmで行った。クロメート
処理を施さない試験片には白錆の発生が検出されたが、
クロメート処理を施すことにより白錆の発生は抑制され
た。白錆は、クリヤ塗装によっても防止できた。しか
し、クリヤ塗装を施していない試験片では、白錆が全面
的に発生し、明度指数L値が上昇した。以上の結果か
ら、クロメート皮膜及びクリヤ塗装は、亜鉛めっき層の
溶解を抑制して耐食性を向上させると共に、色調の変化
も抑制することが判った。
【0023】
【表4】
【0024】実施例2:(電気亜鉛めっきによる影響) 硝フッ酸酸洗仕上げした板厚0.4mmのステンレス鋼
板に片面当りの目付け量250g/m2 で溶融めっきし
た後、電気めっき法で片面当りの目付け量20g/m2
の亜鉛めっきを施し、市販の燐酸塩処理液を使用して着
色処理した。燐酸塩処理には、表1と同じ条件を採用し
た。燐酸塩処理後の表面を観察したところ、電気亜鉛め
っき層に燐酸塩処理したものの方が処理ムラがなく均一
な外観を呈していた。燐酸塩処理後の色調を表5に示
す。色調はJIS Z8721に準拠して明度指数L値
によって評価し、各試験片の9点を測定した。測定値の
最大値,最小値及び平均値を表5に示し、各測定点にお
ける明度指数Lの分布を図3に示す。求めた。表5から
明らかなように、電気めっき後に燐酸塩処理を行った方
が色調のバラツキが小さく、安定した色調が得られるこ
とが判る。また、前処理によって明度指数L値の最大値
と最小値との差ΔLが小さくなり、色調が更に安定し
た。
【0025】
【表5】
【0026】溶融亜鉛めっき,電気亜鉛めっき及び燐酸
塩処理を経たステンレス鋼板を実施例1と同じ腐食促進
試験に供し、80サイクル後の腐食状況及び色調変化を
調査した。調査結果を表6に示す。なお、表6における
耐食性は、表3と同様な基準で4段階に相対評価した。
表3との対比から明らかなように明度は若干上がってお
り、耐食性はほぼ同様であった。
【0027】
【表6】
【0028】燐酸塩処理した亜鉛めっきステンレス鋼板
をクロメート処理し、更にロールコーター法でアクリル
系のクリヤ塗装を施した。そして、表2に示した条件下
で腐食促進試験を行い、耐食性を調査した。表7は、腐
食促進試験200サイクル後の結果を示す。なお、表7
におけるクロメート処理は皮膜付着量5mg/m2 の割
合で、クリヤ塗装は膜厚10μmで行った。クロメート
処理後の耐食性は実施例1の表4とほぼ同様な傾向を呈
し、明度指数L値は表4よりも若干高い値を示した。
【0029】
【表7】
【0030】実施例3:(調質圧延による影響) 硝フッ酸酸洗仕上げした板厚0.4mmのステンレス鋼
帯SUS430,SUS304に片面当りの目付け量2
50g/m2 で溶融亜鉛めっきを施し、圧延率0.5%
で調質圧延した後、市販の燐酸塩処理液を使用して表1
と同じ条件下で着色した。燐酸塩処理後の色調につい
て、実施例2と同様に測定した最大値,最小値及び平均
値を表8に示し、各測定点ごとの明度指数分布を図4に
示す。表8及び図4から明らかなように、めっき後に調
質圧延を行うと、バラツキが少なく安定した深みのある
色調になっている。この場合も、前処理によって明度指
数L値の最大値と最小値との差が小さくなり、色調が更
に安定している。
【0031】
【表8】
【0032】燐酸塩処理後の亜鉛めっきステンレス鋼板
を腐食促進試験に供し、耐食性及び色調変化を調査し
た。腐食促進試験は、表2に示す条件を採用した。ま
た、比較材として、無垢のステンレス鋼板SUS43
0,304を硝フッ酸酸洗仕上げしたもの及び目付け量
120g/m2 (膜厚0.4mm)で溶融亜鉛めっき層
を形成した鋼板を使用した。表9に腐食促進試験を80
サイクル繰り返した後の結果を示す。燐酸塩処理した亜
鉛めっきステンレス鋼板では、発銹が検出されず、また
色調の変化もみられなかった。これに対し、無垢のSU
S430及び304ステンレス鋼板では全面的な発銹が
生じており、溶融亜鉛めっき鋼板では端面に赤錆の発生
が検出された。このことから、燐酸塩処理によって亜鉛
めっきステンレス鋼板の耐食性及び耐候性が向上するこ
とが判る。なお、表9の耐食性は、実施例1の表3と同
様に4段階で相対評価した。
【0033】
【表9】
【0034】燐酸塩処理した亜鉛めっきステンレス鋼板
をクロメート処理し、更にロールコーター法でアクリル
系のクリヤ塗装を施した。そして、表2に示した条件下
で腐食促進試験を行い、耐食性を調査した。表10は、
腐食促進試験200サイクル後の結果を示す。なお、表
10におけるクロメート処理は皮膜付着量5mg/m2
の割合で、クリヤ塗装は膜厚10μmで行った。
【0035】
【表10】
【0036】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明において
は、ステンレス鋼板の表面に形成した目付け量200g
/m2 以上の溶融亜鉛めっき層に燐酸塩処理を施すこと
により、予め亜鉛の腐食生成物が呈する色調に着色して
いるため、めっき層の腐食が進行した場合にも色調の変
化がなく、耐候性及び意匠性に極めて優れた屋根外装材
が得られる。燐酸塩皮膜は、溶融亜鉛めっき層の表面に
電気亜鉛めっき層を更に積層し、溶融亜鉛めっきを施し
たステンレス鋼板を調質圧延し、或いはコロイダルチタ
ン等を含む処理液で反応核を鋼板表面に付着させる前処
理を行うことにより、ステンレス鋼板の表面に均一に析
出させ、均質性の良好な着色皮膜とすることができる。
得られた色調は、建築構造物との調和が良い黒灰色を基
調とし、深みがあり落ち着いた趣を醸し出す。更に、下
地がステンレス鋼板であることから、屋根材等の外装材
としても十分な強度を呈し、銅板等と比較すると熱膨張
係数も小さく、長尺屋根等にも施工される。このように
して、本発明によるとき、従来の金属材料と比較して厳
しい腐食環境においても半永久的な耐候性及び意匠性を
もつ屋根外装材が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ステンレス鋼板の表面に生成した燐酸塩皮膜
の結晶構造を、前処理した場合と前処理しない場合とを
対比して示す。
【図2】 燐酸塩処理時間が燐酸塩の付着量に与える影
響を示したグラフ
【図3】 燐酸塩皮膜の明度指数分布に与える電気亜鉛
めっきの影響
【図4】 燐酸塩皮膜の明度指数分布に与える調質圧延
の影響
【手続補正書】
【提出日】平成5年8月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正内容】
【0021】
【表3】

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステンレス鋼製の下地鋼板と、該下地鋼
    板の表面に片面当り目付け量200g/m2 以上で形成
    された溶融亜鉛めっき層と、該溶融亜鉛めっき層の表面
    に形成され、亜鉛の腐食生成物と同じ色調をもつ燐酸塩
    皮膜とを備えている意匠性に優れたステンレス鋼製屋根
    外装材。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の燐酸塩皮膜は、表面に反
    応核を生成する前処理を溶融亜鉛めっき層に施した後で
    設けられたものである意匠性に優れたステンレス鋼製屋
    根外装材。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の燐酸塩皮膜は、溶融亜鉛
    めっき層に更に電気亜鉛めっき層を形成した後で設けら
    れたものである意匠性に優れたステンレス鋼製屋根外装
    材。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の燐酸塩皮膜は、溶融亜鉛
    めっきしたステンレス鋼板を調質圧延した後で設けられ
    たものである意匠性に優れたステンレス鋼製屋根外装
    材。
  5. 【請求項5】 ステンレス鋼板に片面当り目付け量20
    0g/m2 以上で溶融亜鉛めっきを施し、次いで燐酸塩
    処理によって亜鉛の腐食生成物と同じ色調をもつ表面状
    態に着色する意匠性に優れたステンレス鋼製屋根外装材
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の溶融亜鉛めっきと燐酸塩
    処理の間で、コロイダルTi等を含む処理液に溶融亜鉛
    めっきステンレス鋼板を接触させ、燐酸塩生成の反応核
    を付着させる意匠性に優れたステンレス鋼製屋根外装材
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項5記載の溶融亜鉛めっきと燐酸塩
    処理の間で、溶融亜鉛めっきされたステンレス鋼板を更
    に電気亜鉛めっきする意匠性に優れたステンレス鋼製屋
    根外装材の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項5記載の溶融亜鉛めっきと燐酸塩
    処理の間で、溶融亜鉛めっきされたステンレス鋼板を調
    質圧延する意匠性に優れたステンレス鋼製屋根外装材の
    製造方法。
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