JPH07114327B2 - マイクロ波1/n分周器 - Google Patents

マイクロ波1/n分周器

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JPH07114327B2
JPH07114327B2 JP60079657A JP7965785A JPH07114327B2 JP H07114327 B2 JPH07114327 B2 JP H07114327B2 JP 60079657 A JP60079657 A JP 60079657A JP 7965785 A JP7965785 A JP 7965785A JP H07114327 B2 JPH07114327 B2 JP H07114327B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明はマイクロ波分周器に関するものである。
(従来技術) マイクロ波通信装置には、マイクロ局部発振器が必要と
なるが、この局部発振器には、高い周波数安定度が要求
される。発振周波数を安定化する方法は大別して二種類
ある。第一の方法は高安定な共振器を発振器に付加する
方法であり、第2の方法は発振周波数を分周して安定な
水晶発振周波数と位相比較しその結果を原発振器にフィ
ードバックし発振周波数を修正する方法である。
一般に第一の方法は設計技術的に容易であるが、外部共
振器を必要とするため形状が大きくなり、さらにマイク
ロ波部のモノリシックIC化が不可能であるという欠点を
有し、大量生産には向かない技術である。一方第二の方
法はマイクロ波部の完全モノリシック化が可能であり、
大量生産に向いている。第二の方法を実現するためには
マイクロ波帯で動作する分周器が必要であるが、従来は
第2図に示す再生分周器が用いられている。
(従来技術の問題点) 第2図において、入力端子21に入力した周波数の信号
はミキサ22の第1の入力端子に加えられ、ミキサ出力は
周波数の信号を遮断するフィルタ23を介して増幅器24
に入力され、増幅器出力の一部はミキサの第2の入力端
子に加えられ、周波数/2に関しては帰還ループが形成
され出力端子25から/2が得られる。このような再生分
周器の例はアイ・イー・イー・イー,トランズアクショ
ン・エム・ティー・ティー(IEEE Trasaction MTT)の
第32巻,第11号の第1461から1468頁に記載されている。
しかしながらこのような分周器では1/2分周器しか実現
できず、さらに分周出力レベルも小さく実際のシステム
への応用は困難であった。
(発明の目的) 本発明の目的は上記再生分周器の欠点を除去し、分周出
力レベルの大きい1/n(nは2以上の整数)分周器を提
供することにある。
(発明の構成) 本発明はデュアルゲートFETのドレイン電極と第1ゲー
ト電極との間に、縦続に接続された遅延線路および偶数
個のインバータとから構成される閉ループの遅延時間
が、分周出力周波数のほぼ逆数に設定され、前記デュア
ルゲートFETの第2ゲート電極に被分周周波数が加えら
れることを特徴とすることから構成される。
ここでデュアルゲートFETは1つのFETにゲートを2つ有
するものでも、1つのゲートをもつFETを2個接続した
ものでもよい。本実施例の第1図では動作を分かり易く
するために後者の例を用いる。
(実施例) 第1図は本発明の実施例を示すものであり、デュアルゲ
ートFET1のドレイン電極6と第1ゲート3の間には偶数
個(2m;mは正整数)のインバータ4および遅延線路5が
縦続接続されている。インバータと遅延線路は順番を変
えてもよく同様に機能する。また、デュアルゲートFET
とインバータの回路構成例を第3図に示した。ここでは
インバータは2個とした。インバータはこの2個を基本
として偶数個用いればよい。この時の信号の遅延は第1
ゲートで位相を0度とすると、第3図で示したような位
相になる。第1図において偶数個のインバータと遅延線
路5およびデュアルゲートFETからなる閉ループの遅延
時間は分周出力周波数f0/nのほぼ逆数であるtdに設定さ
れており、さらにデュアルゲートFETは分周出力周波数
にとっては1段のインバータになっているため閉ループ
としては2m+1(奇数)段となっている。第6図は奇数
段(2m+1段、m整数、第6図では3段とした)のイン
バータで構成したリング発信器である。この図で示すよ
うにインバータを奇数段接続したのち出力端子を入力端
子と接続しフィードバックをかけると、入力端子の電圧
状態(例えばON)は奇数個のインバータの動作遅延を介
した後、反転され(OFF)、フィードバックされる。こ
のOFF信号は再び奇数個のインバータの動作遅延を介し
た後、反転され(ON)、入力端子に戻される。
すなわち、インバータ1個当たりの動作遅延をτとす
ると、 1/{(2m+1)×τ×2}=1/td の周波数で自励発振しやすい状態となる。このような発
振器をリング発振器というが、実際のインバータはマイ
クロ波帯では完全なインバータ(180度位相)とならず
位相誤差が生じるので、遅延回路5を閉ループ内に設け
て位相調整をし疑似リング発振器としている。
ここで第2ゲート2に被分周周波数が入力された場
合、が入力された瞬間のトランジェント又は無限の
周波数成分が存在するホワイト雑音により閉ループ内に
存在する0/nの信号が、該とミキシングされ、 の信号が発生する。この の信号が閉ループを巡って第1ゲート3に到達すると、
とのミキシングにより0/nの信号が発生する。こ
のように0/nの信号はの信号によりポンプされ閉
ループ内に定常的に存在するようになる。このとき被分
周周波数は外部からの強制入力となり、その周波数
)は本発明の分周器の閉ループに存在する周波数
に影響を与えることはあっても、逆に影響されることは
ない。前述したように閉ループ内には(n−1)0/n
0/nの周波数が存在し得るが、(n−1)0/nと
0/nの両周波数の信号の瞬時合成電圧波形はこの両周波
数に調波関係がない場合にはビート現象により間欠的に
大きなピーク電圧(n−1)0/nの信号の電圧最大振
幅と0/nの信号の電圧最大振幅の和)を生じる。半導
体素子など能動素子はバイアス電圧、ブレークダウン電
圧等の影響で非線形特性を有し大きなピーク電圧を通す
ことはできない。励えばリアクタンス負荷の場合を除い
て半導体素子のRF動作電圧振幅はバイアス電圧を越える
ことはない。すなわち外部から与えられる直流バイアス
電圧が半導体素子に加わる信号の振幅の上限を決めてい
る。リアクタンス負荷の場合はバイアス電圧の2倍程度
の誘導電圧が加わることもあるが、マイクロ波半導体の
耐圧は通常数Vから数十Vと低く、この耐圧以上の電圧
は結果として半導体素子の端子には加わらない。
一方、(n−1)0/nと0/nに調波関係がある場合に
は合成電圧波形は間欠的でなく1周期毎に定常的にな
り、ピーク電圧値が低くなる両周波数間の位相関係が存
在する。すなわち半導体素子を通過可能な信号振幅が制
限される場合、両周波数間の位相が自動的に変化し合成
電圧波形のピーク値を下げ、半導体素子はその合成電圧
波形を通することができるようになる。このため閉ルー
プでは調波関係にある(n−1)0/nと0/nの2つの
信号のみが最終的に選択され依存することになる。すな
わち、 {(n−1)0/n}/{0/n}=n−1=m、(mは
1以上の整数) となる。mが整数であるということは、n=m+1も整
数となり、外部からの強制的に入力した信号に対し
ても閉ループ内の信号は調波関係が生じ、すなわち分周
動作が起こる。言い換えれば閉ループ内の0/nは完全
に被分周周波数に同期する。例えばn=4とする場
合、閉ループ内には30/4と0/4が存在するが、この
うち0/4の周波数成分の振幅を大きくして分周器外部
に取り出そうとする場合、閉ループ内に0/4の周波数
成分が強く存在する必要がある。このために本発明では
閉ループを0/4の周波数近傍で発振し易くしている。
分周モードを考えると、n=4はn=3とn=5の間に
存在する。従って閉ループは0/4で発振し易くかつ0
/3、0/5では発振しにくくする必要がある。このため
閉ループ内の発振周波数は概ね算術平均として {0/4+0/5}/2<閉ループ発振周波数<{0/3+
0/4}/2 とすることができる。つまり、閉ループ発振周波数は
0/4(=0.25の近傍であり、この近傍の意味する範
囲は0.225と0.292の間となる。0/4近傍の意
味は概ね±10%すなわち20%の幅とすることができる。
このように遅延時間tdを有する疑似リング発振器におい
て、1/tdを所望の分周周波数0/nの近傍(±10%)に
設定することにより、0/nの信号レベルを他の周波数
成分より大きくして取り出すことができる。
図面を用いて本発明の動作を詳しく説明する。第4図の
(a)から(d)は第1の閉ループの中の電力密度と周
波数の関係を示す図で、(a)は第2ゲート2、(b)
はドレイン電極6、(c)はインバータと遅延線路接続
点での電力密度を示す図である。第1図の閉ループを例
えば第1ゲート3の所で切断し、第4図(e)のように
閉ループにして、この閉ループの電圧利得A=Vout/Vin
を求めると第4図(d)に示すように、周波数が0/n
で1に近づく。Aが1より大きくなると電圧波形が閉ル
ープを回る度に増大し発振を起こすことを意味する。す
なわち0/n近くで発振を起こし易くした回路の閉ルー
プ利得は第4図(d)のようになる。このような回路に
0/n、(n−1)0/n、の3波が生じた場合、各
周波数での利得の違いから電力密度は異なったものとな
る。例えばドレイン電極6において0/nの周波数の電
力密度が最も大きくなり、(n−1)0/n及び
周波数の電力密度は0/nに比べて小さくなる。これが
0/nの信号のみが強くなる理由である。
出力はバッファアンプを介して閉ループのどこから取り
出しても良い。
第2ゲート2では被分周信号のみであり第4図(a)の
ように周波数のみである。ドレイン電極6での電力
密度と、インバータと遅延線路との接続点における電力
密度はそれぞれ第4図(b)、(c)のように3つの周
波数成分があり、相似形となっている。これは偶数個の
インバータ(これは偶数個の増幅器に相当する)の入力
端子と出力端子における信号レベルの差になるからであ
る。
各部での時間領域での波形は第4図(a)(b)(c)
を時間領域に展開して得られる。第5図(b)に各周波
数に対する時間軸での電圧を示す。例えば、第2ゲート
2では被分周信号のみの波形となるので第5図(a)の
ようになる。ドレイン電極6においては波形は第5図
(b)の周波数と(n−1)0/nと0/nの3波の
合成波形となる。さらにインバータと遅延線路との接続
点での波形はドレイン電極での波形の振幅が全体に大き
くなったものとなる。
tdが決まればnが決まる。nを変えるときは
が一定であればtdを変えなければならない。
本発明は、従来の分周器ではできなかったnが3以上の
整数の1/n分周器としての機能を有し、またn=2とし
た場合でも従来の分周器に比べ次の効果がある。従来の
第2図の分周器ではバンドパスフィルタにより0/2の
周波数を選択しているのに対し、本発明では疑似リング
発振器を閉ループ中に構成しているので、0/2の信号
レベルを大きく取り出すことができる。すなわち、被分
周周波数の信号レベルから分周周波数の信号レベルへの
変換利得を考えると、従来例に比べて本発明の分周器で
は10dB程度の改善があり、従来の分周器の外部に一定の
信号レベルを得るために必要であった補助増幅器が不要
となるという利点がある。
(発明の効果) このような本発明においては1/2分周のみならず1/n分周
がマイクロ波帯において再生分周器構成で実現でき、さ
らに分周出力も大きくとれるためマイクロ波通信装置に
おいてその効果は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例で、第2図は従来例である。第
3図は本発明の構成を説明するための図面であり、第4
図と第5図と第6図は本発明を説明するための図面であ
る。図において、1はデュアルゲートFET、4はインバ
ータ、5は遅延線路、22はミキサ、23はフィルタ、24は
増幅器である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−168706(JP,A) 小柴典居・佐々木博文著「トランジス タ・パルス回路」竜報出版,昭和55年6月 10日発行,P.219〜225 一杉勝著「C−MOS応用回路とトラブ ル対策」CQ出版,昭和55年11月30日発 行,P.182

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】デュアルゲートFETと前記デュアルゲートF
    ETのドレイン電極と第1ゲート電極との間に縦続に接続
    された遅延線路および偶数個のインバータと、から閉ル
    ープが構成され、前記閉ループの遅延時間は必要な分周
    出力が得られるように設定され、前記デュアルゲートFE
    Tの第2ゲート電極に被分周周波数が加えられ、前記閉
    ループの任意の場所から分周出力を取り出すことを特徴
    とするマイクロ波1/n(ただしnは2以上の整数)分周
    器。
JP60079657A 1985-04-15 1985-04-15 マイクロ波1/n分周器 Expired - Fee Related JPH07114327B2 (ja)

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JP4734510B2 (ja) * 2004-03-11 2011-07-27 エスティー‐エリクソン、ソシエテ、アノニム 分周器
JP2007208589A (ja) * 2006-02-01 2007-08-16 Univ Of Tokyo 周波数分周器

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一杉勝著「C−MOS応用回路とトラブル対策」CQ出版,昭和55年11月30日発行,P.182
小柴典居・佐々木博文著「トランジスタ・パルス回路」竜報出版,昭和55年6月10日発行,P.219〜225

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