JPH0711426A - Al合金薄膜 - Google Patents

Al合金薄膜

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JPH0711426A
JPH0711426A JP15202193A JP15202193A JPH0711426A JP H0711426 A JPH0711426 A JP H0711426A JP 15202193 A JP15202193 A JP 15202193A JP 15202193 A JP15202193 A JP 15202193A JP H0711426 A JPH0711426 A JP H0711426A
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alloy thin
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resistance
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Takashi Onishi
隆 大西
Kazuo Yoshikawa
一男 吉川
Masatake Yamamoto
正剛 山本
Katsuhisa Takagi
勝寿 高木
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐熱性、耐ヒロック性、耐ストレスマイグレ
ーション性、耐エレクトロマイグレーション性、耐食性
に優れ、反射率が高く、熱伝導率が低く、比抵抗が小さ
く、液晶表示パネル用電極・配線、半導体装置集積回路
での配線・電極、固体撮像装置の遮光薄膜、光学式記録
媒体の反射膜、レーザーミラーの鏡体用反射膜等として
好適に使用し得るAl合金薄膜を提供する。 【構成】 スパッタリング等により形成され、合金成分
としてW,Yのうちの1種又は2種を合計で 0.1〜5.0a
t%含有するAl合金よりなることを特徴とするAl合金薄
膜。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、Al合金薄膜に関し、特
には、液晶表示パネルのゲートバスライン又はソースバ
スライン用の薄膜配線、同パネルのスイッチング素子部
の配線又は電極、半導体装置の集積回路での配線又は電
極、液晶表示パネル又は固体撮像装置の遮光薄膜、再生
専用型又は追記型(記録再生型)の光ディスク等の光学
式記録媒体の反射膜、レーザーミラー等の鏡体用反射膜
として好適なアルミニウム合金薄膜(Al合金薄膜)に関
する。
【0002】
【従来の技術】 液晶表示パネル用配線・電極 液晶表示パネル:Liquid Cristal Display(以降 LCDと
いう)は、従来のブラウン管に比し、薄型化・軽量化・
低消費電力化がはかれ、しかも高い解像度の画像が得ら
れる可能性が大きいため、近年その用途が拡大しつつあ
る。かかるLCDとして最近では、画像品質を高めるため
に LCD内部(画面内)に半導体装置である薄膜トランジ
スター:Thin Film Transister(以降 TFTという)を組
み込んだ構造の LCDが提案され、広く用いられるように
なってきた。
【0003】上記 TFTを搭載した LCD(以降 TFT-LCDと
いう)の配線材料としては、TFT 製造プロセス中に比較
的高温(300〜400 ℃程度)に加熱されるため、電気抵抗
率が低く一般の半導体装置の集積回路の電極・配線材料
として多用されている純AlやAl基合金では耐熱性が不充
分でヒロック(配線のふくれ)やボイドといわれる配線
表面上の微小凸凹を生じるので、Ta, Mo, Cr, Ti等の高
融点金属材料が多用されているが、これらは薄膜状態で
は比抵抗:約50μΩcm以上(Taで約180 、Moで約50、Cr
で約50、Tiで約80μΩcm)であって電気抵抗値が大きい
という問題点を有している。更には、近年 LCDは大画面
化・大型化して、各 TFT素子を結ぶ配線(アドレス配
線)も増長化する傾向にあり、それに伴って抵抗及び容
量が増大してアドレスパルスの遅延を引き起こし易くな
り、上記高融点金属材料は使用し難くなっており、従っ
て、比抵抗(配線抵抗)の小さい新規耐熱性金属材料の
開発が望まれている。
【0004】かかる配線抵抗としては略30μΩcm以下で
あることが望まれ、これを充たす金属種としてはAu、C
u、Alが挙げられるが、Auはシート状配線膜の成膜後に
所定パターンにするのに必要なエッチングの特性が悪い
と共に高価であり、Cuは膜の密着性及び耐食性に問題が
あり、一方、Alは前述の如くヒロック等を生じるので、
いづれも実用し得ない。従って、かかる問題点を有さ
ず、配線抵抗が小さく且つ耐熱性に優れてヒロック等を
生じない LCD用新規電極・配線材料の開発が望まれてい
る現状にある。
【0005】 半導体装置の集積回路における配線又
は電極 一般の半導体装置(即ちSiウェハー上に素子を形成する
半導体装置)の集積回路の電極・配線としては、純Al薄
膜又はSi或いはCuを含有するAl合金薄膜が使用されてい
る。この中、純Alは配線抵抗が小さい点では最も優れて
いるが、ストレスマイグレーション(以降SMという)や
エレクトロマイグレーション(以降EMという)が生じる
という問題点がある。ここで、SMとは使用中に発生する
応力に起因する薄膜状電極・配線のふくれ(ヒロック)
及び断線(通電不良)であって主に温度上昇により発生
する。EMとは使用中の電気泳動に起因する配線の断線で
あって主に通電により発生する。一方、Si又はCuを含有
するAl合金は、上記問題点を改善すべく開発されたもの
であるが、耐SM性及び耐EM性が未だ充分でなく、又、耐
食性が純Alよりも低くて良くない。従って、耐SM性及び
耐EM性に優れると共に、比抵抗が低く且つ耐食性も良好
であり、より信頼性の高い新規の配線・電極材料の開発
が要望されている。
【0006】 液晶表示パネル及び固体撮像装置の遮
光薄膜 液晶表示パネルでは、石英やガラス等の透明絶縁基板上
にa-Si,p-Si等の半導体領域を部分的に形成し、その領
域内にスイッチング素子として TFTを形成し、更にその
上に電極、液晶等の表示体を形成し、表示パネルとして
使用する。しかし、透明基板を用いる場合、光が TFT領
域に入り、光励起電流が流れ、スイッチング動作が不充
分になる。そこで、その対策として TFTの上部又は/及
び下部に遮光のための金属薄膜(遮光膜)を形成する手
法が用いられる。又、この遮光膜は TFT領域だけでな
く、各画素間の上下に細巾で格子状に形成し、コントラ
スト向上手段としても用いられている。
【0007】従来、かかる遮光膜としてはCr等の高融点
金属又は着色樹脂製薄膜が用いられている。ところが、
これらは光の反射率が低いため、遮光膜に光が吸収さ
れ、その温度上昇が起こり、特に高融点金属膜では熱伝
導率が高いため、遮光膜外面に照射された光により遮光
膜内面部での温度上昇が容易に起こり、従って液晶の温
度が上昇し、液晶の電極界面での電気化学反応が促進さ
れ、 TFTオフ電流が増大し、その結果、表示品位の著し
い低下が生じるという問題点がある。
【0008】この対策として、より反射率の高い遮光膜
の採用が考えられ、かかる遮光膜としてAu, Cu,Alが挙
げられるが、価格、基板との密着性、エッチング特性か
らAlが最適であり、純Alや Al-Si合金薄膜が多用されて
いる。しかしながら、かかる純Alや Al-Si合金薄膜で
は、成膜時又は積層によって膜に生じた残留応力によ
り、又は、液晶表示パネル製造時に受ける熱履歴によ
り、ヒロック等が発生するという問題点がある。又、ピ
ンホールが発生し易く、光照射時にピンホールを通った
光が TFTを動作させ、誤って電気信号を発生させる。更
に、熱伝導率が高いため、光照射時の温度上昇により液
晶パネル表示品位が低下するという問題点もある。特
に、近年開発が活発に行われている大画面表示可能な投
写型液晶表示パネルにおいては、明るさ確保のためにハ
ロゲンランプ等により強い光が照射されるため、上記の
誤った電気信号及びヒロック等の発生がより顕著になっ
てくる。
【0009】一方、固体撮像装置(素子)は撮像能力が
急速に進歩し、近年高性能化の要望が強くなってきてい
る。該装置においても、液晶表示パネルと同様の目的で
遮光膜が使用され、その遮光膜には純Al及び Al-Si合金
薄膜が多用されている。ところが、該装置では基板にSi
半導体が使われ、その表面準位を消去するために施すア
ニール(300〜 450℃) によりAlの熱的移動が起こり、遮
光膜にヒロックが発生するという問題点がある。又、こ
のヒロックが受光窓端面から受光素子側に飛び出した場
合、受光素子の受光面積が小さくなり、その感度が低下
する。更に、ピンホールが発生し易く、その結果誤って
電気信号を発生させる問題もある。
【0010】 光学式記録媒体の反射膜 光学式記録媒体は、磁気記録媒体に比し、情報の記録密
度が高く、しかも該情報の再生を非接触で行い得るとい
う特性を有しているため、近年その用途が拡大されつつ
ある。光学式記録媒体の中、再生専用型光ディスクでは
従来より光反射層(反射膜)が設けられており、近年は
光磁気ディスク等の書き換え可能な追記型光学式記録媒
体においても信号品質向上(即ち C/N比向上)等の目的
から反射膜を設けたものが提案され、反射膜の使用は年
々増大する傾向にある。
【0011】かかる反射膜には、反射率が高いことが要
求されるため、従来より基板上に純Al薄膜を形成したも
のが用いられている。しかし、純Al薄膜は耐食性に劣
り、大気中での長時間放置により腐食し、反射率の低下
や孔食発生を起こし、情報(信号)再生時の読み取り誤
り率(エラレート)の増加を生じるという難点がある。
又、純Al薄膜には熱伝導率が高く、光磁気記録媒体に用
いた場合、記録感度の大幅な低下を引き起こすという難
点がある。
【0012】この改善策として、種々の組成のAl合金薄
膜、例えばSi, Mg,Cu或いはPt,Pdを含有するAl合金薄
膜が提案されている。しかし、このAl合金薄膜は純Al薄
膜よりは耐食性に優れているものの、まだまだ耐食性の
点で充分でなくて情報記録再生に関する長期信頼性を確
保し得ず、又、純Al薄膜よりは熱伝導率が低下するもの
の、記録感度は充分でないという問題点がある。
【0013】 レーザーミラー等の鏡体用反射膜 レーザーミラー等の鏡体としては、一般に所定形状に加
工した金属板或いはブロック、又は、所定形状の金属或
いは樹脂製の鏡体に反射率の高い金属膜(合金膜)をコ
ーティングしたものが使用されることが多い。この金属
膜としては、高反射率の観点からAu, Ag, Cu, Al膜が使
用されるが、Au膜は価格が高い難点があり、一方Ag, C
u, Al膜では耐食性に劣り、長期間の使用により反射率
低下を引き起こすという問題点がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明はこの様な事情
に着目してなされたものであって、その目的は従来のも
のがもつ以上のような問題点を解消し得る高機能の新規
なAl合金薄膜、即ち、耐熱性に優れ、ヒロック、SM及び
EMが生じ難く、又、耐食性に優れ、反射率が高く、熱伝
導率が低く、比抵抗:30μΩcm以下であって、液晶表示
パネル(LCD) 用配線・電極、半導体装置集積回路での配
線又は電極、LCD 及び固体撮像装置の遮光薄膜、光学式
記録媒体の反射膜、レーザーミラー等の鏡体用反射膜と
して好適に使用し得るAl合金薄膜を提供しようとするも
のである。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明に係るAl合金薄膜は、次のような構成とし
ている。即ち、請求項1記載のAl合金薄膜は、合金成分
としてW,Yのうちの1種又は2種を合計で 0.1〜5.0a
t%含有するAl合金よりなることを特徴とするAl合金薄膜
である。請求項2記載のAl合金薄膜は、スパッタリング
により形成されている請求項1記載のAl合金薄膜であ
る。
【0016】請求項3記載のAl合金薄膜は、液晶表示パ
ネル(LCD) 等でのゲートバスライン或いはソースバスラ
イン用の薄膜配線、又は、アクティブマトリックス型LC
D 等のスイッチング素子部での配線或いは電極材料とし
て用いられる請求項1記載のAl合金薄膜である。請求項
4〜6記載のAl合金薄膜は、半導体装置の集積回路の配
線或いは電極材料、LCD 又は固体撮像装置の遮光薄膜、
再生専用型又は追記型の光ディスク等の光学式記録媒体
の反射膜として用いられる請求項1記載のAl合金薄膜で
ある。又、請求項7記載のAl合金薄膜は、レーザーミラ
ー等にコーティングされて鏡体反射膜として用いられる
請求項1記載のAl合金薄膜である。
【0017】
【作用】本発明者等は、Alに種々の元素を添加したAl合
金スパッタリングターゲットを製作し、これらターゲッ
トを使用して、スパッタリング法により種々の組成のAl
合金薄膜を形成し、その組成、及び、耐熱性、耐ヒロッ
ク性、耐SM性及び耐EM性、耐食性、反射率、熱伝導率、
比抵抗等のそれぞれの用途に要求されるAl合金薄膜の諸
特性を調べ、その結果W,Yの添加が上記特性の向上に
有効であり、これらの元素を添加したAl合金薄膜は液晶
表示パネル(LCD) 用配線・電極、半導体装置集積回路で
の配線又は電極、LCD 及び固体撮像装置の遮光薄膜、光
学式記録媒体の反射膜、レーザーミラー等の鏡体用反射
膜としての優れた特性を有することを見出し、本発明を
完成するに至ったものである。
【0018】即ち、AlにW,Yのうちの1種又は2種を
添加すると、その添加量の増大に伴って、耐熱性、耐ヒ
ロック性、耐SM性、耐EM性及び耐食性が向上し、熱伝導
率が低くなる。又、これらの添加量が多すぎると、反射
率の低下及び比抵抗の増大による不具合が生じるが、少
ない量(5.0at%以下)に制限することにより、Al本来の
性質を発揮し得、純Al膜と同様に反射率が高く、比抵抗
を低い水準(30μΩcm以下)に抑えることも可能である
ことがわかった。
【0019】このとき、W,Yのうちの1種又は2種
は、合計で 0.1〜5.0at%にする必要がある。その理由は
次の通りである。0.1 at%未満では耐熱性、耐ヒロック
性、耐SM性、耐EM性及び耐食性が不充分であり、又、熱
伝導率が充分に低くならず、5.0at%超では反射率が低下
して不充分になると共に、比抵抗が増大して30μΩcm以
下に抑えることが難しくなるからである。
【0020】そこで、本発明に係るAl合金薄膜は、合金
成分としてW,Yのうちの1種又は2種を合計で 0.1〜
5.0at%含有するAl合金よりなるAl合金薄膜としており、
従って、耐熱性に優れ、ヒロック、SM及びEMが生じ難
く、又、耐食性に優れ、反射率が高く、熱伝導率が低
く、比抵抗が低い(30μΩcm以下)ものである。
【0021】このように本発明に係るAl合金薄膜は優れ
た特性を有するので、LCD 等でのゲートバスライン或い
はソースバスライン用薄膜配線、又は、アクティブマト
リックス型LCD 等のスイッチング素子部での配線或いは
電極材料として好適に用いることができる(請求項3記
載のAl合金薄膜)。又、半導体装置集積回路の配線或い
は電極材料、LCD 又は固体撮像装置の遮光薄膜、再生専
用型又は追記型の光ディスク等の光学式記録媒体の反射
膜として好適に用いることができる(請求項4〜6記載
のAl合金薄膜)。更に、レーザーミラー等にコーティン
グされて使用される鏡体反射膜として好適に用い得る
(請求項7記載のAl合金薄膜)。
【0022】前記本発明に係るAl合金薄膜はスパッタリ
ングにより形成されていることが望ましく、その理由は
下記の通りである。即ち、W,Yは平衡状態ではAlに対
する固溶限が小さいが、スパッタリングにより形成され
たAl合金薄膜(請求項2記載のAl合金薄膜)では、スパ
ッタリング固有の気相急冷によって非平衡固溶が可能に
なることから、その他の通常の薄膜形成法により形成さ
れるAl合金薄膜に比較し、より耐熱性、耐ヒロック性、
耐SM性、耐EM性及び耐食性を著しく向上し得、又、熱伝
導率を極めて低下させ得るからである。
【0023】
【実施例】
(実施例1)純Alターゲット(純度99.999%)上に5mm
角のW又はY(純度99.9%)のチップを所定量設置した
複合ターゲット、又、W又はYを所定量含有する溶製Al
合金スパッタリングターゲットを用いて、DCマグネトロ
ンスパッタリング法により、厚さ:0.5mmのガラス基板上
に厚さ:3000Åの2元系Al合金薄膜を形成した。次いで
該薄膜をフォトリソグラフィ、ウェットエッチングによ
り巾10mmのストライプパターン形状に加工した後、400
℃で1時間加熱する真空熱処理を施した。
【0024】耐熱性を評価するため、上記熱処理の後、
ストライプパターン表面に発生するヒロック(半球状の
突起物)数を測定し、ヒロック密度を求めた。かかるヒ
ロック密度とAl合金薄膜中のW,Y量との関係を図1に
示す。W,Yの添加によりヒロック密度が大幅に減少
し、耐熱性が向上することがわかる(少なくとも400 ℃
までの耐熱性は向上することがわかる)。このような効
果は、図8に示す如く、W,Yを同時に添加した場合で
も得られる。
【0025】(実施例2)薄膜の厚さを4000Åとし、こ
の点を除き実施例1と同様のスパッタリング法により同
様のAl合金薄膜を形成した。この薄膜をチッ素雰囲気中
にて5℃/min の昇温及び冷却速度で500 ℃迄加熱し、
この加熱中及び冷却中のAl合金薄膜の内部応力をレーザ
ー光によるガラス基板の反り量測定から算出した。次い
で、この内部応力を加熱温度に対してプロットし、これ
より加熱時の温度変化に対して内部応力が直線的に変化
する領域(弾性変形領域)から内部応力が飽和し始める
領域(塑性変形領域)に遷移する遷移温度及び応力値
(降伏応力値)を求め、この遷移温度より耐熱性を評価
し、遷移応力値より耐SM性を評価した。図2及び3に上
記プロットの結果(薄膜の内部応力−温度曲線)を例示
する。W,YをAl膜に添加していくことにより、遷移温
度は高温側にシフトして耐熱性が向上していくこと、
又、遷移点での降伏応力値も増加して耐SM性が向上して
いくことがわかる。
【0026】(実施例3)実施例1の場合と同様のター
ゲットを用いて同様のスパッタリング法により、厚さ:
1.27mmの透明ポリカーボネート樹脂基板上に厚さ:500Å
のAl合金薄膜を形成した後、該薄膜上にアクリル樹脂よ
りなる厚さ:10μm の保護膜をスピンコートにより塗布
して試料を得た。次に、これら試料について、環境加速
試験としてPCT (Pressure Cooker Test ;温度 105℃,
圧力 1.2atm, 湿度 100%RH )を行ない、膜の耐食性を
評価した。耐食性は波長:780nmのレーザー光による反射
率をPCT 前後に測定し、該前後の変化量(減少量)より
評価した。PCT:60時間後における反射率減少量を図4に
示す。W,Yの添加により反射率減少量が著しく少なく
なり、耐食性に優れることが判る。かかる効果はW,Y
を同時に添加した場合でも得られる。
【0027】(実施例4)実施例1の場合と同様のター
ゲットを用いて同様のスパッタリング法により、厚さ:1
50μm のガラス基板上に厚さ:10μm のAl合金薄膜を形
成した。次に、これら試料について光交流法による熱伝
導率測定を行った。図5に示す如く、W,Yを添加する
ことにより、熱伝導率は著しく低下した。
【0028】(実施例5)実施例3の場合と同様の試料
について、波長:780nmのレーザー光による反射率を透明
ポリカーボネート樹脂基板側から測定した。その結果を
図6に示す。W,YをAl膜に添加することにより、反射
率(初期反射率)は低下していく傾向にあるが、W,Y
添加量 0.1〜5.0at%の範囲においていづれのAl合金薄膜
も60%以上の高い反射率を示した。
【0029】(実施例6)実施例1の場合と同様のAl合
金薄膜を形成し、該薄膜をフォトリソグラフィ、ウェッ
トエッチングにより所定のテストパターン形状に加工し
た後、4端子(探針)法により比抵抗値を室温にて測定
した。その結果を図7に示す。W,Yの含有量の増大に
伴ってAl合金薄膜の比抵抗は直線的に増大するが、W,
Yの含有量0.1 〜5.0at%の範囲においていづれのAl合金
薄膜も30μΩcm以下となった。
【0030】
【発明の効果】本発明に係るAl合金薄膜は、以上の如き
構成を有し作用をなすものであり、耐熱性に優れ、ヒロ
ック、ストレスマイグレーション(SM)及びエレクトロマ
イグレーション(EM)が生じ難く、又、耐食性に優れ、反
射率が高く、熱伝導率が低く、比抵抗が低い。そのた
め、液晶表示パネル(LCD)等でのゲートバスライン或い
はソースバスライン用薄膜配線、アクティブマトリック
ス型LCD 等のスイッチング素子部での配線又は電極材
料、半導体装置集積回路の配線又は電極材料、LCD 又は
固体撮像装置の遮光薄膜、再生専用型又は追記型の光デ
ィスク等の光学式記録媒体の反射膜、又、レーザーミラ
ー等の鏡体反射膜として好適に用いることができ、従っ
て、これら各機器の高機能化及び品質向上を図ることが
できるようになるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1に係るAl合金薄膜についてのW,Y添
加量とヒロック密度との関係を示す図である。
【図2】実施例2に係るAl合金薄膜についての温度と内
部応力との関係の一例を示す図である。
【図3】実施例2に係るAl合金薄膜についての温度と内
部応力との関係の他の例を示す図である。
【図4】実施例3に係るAl合金薄膜についてのW,Y添
加量と反射率減少量との関係を示す図である。
【図5】実施例4に係るAl合金薄膜についてのW,Y添
加量と熱伝導率との関係を示す図である。
【図6】実施例5に係るAl合金薄膜についてのW,Y添
加量と反射率との関係を示す図である。
【図7】実施例6に係るAl合金薄膜についてのW,Y添
加量と電気抵抗率との関係を示す図である。
【図8】Al−W膜中のY添加量とヒロック密度との関係
を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高木 勝寿 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合金成分としてW,Yのうちの1種又は
    2種を合計で 0.1〜5.0at%含有するAl合金よりなること
    を特徴とするAl合金薄膜。
  2. 【請求項2】 スパッタリングにより形成されている請
    求項1記載のAl合金薄膜。
  3. 【請求項3】 液晶表示パネル等でのゲートバスライン
    或いはソースバスライン用の薄膜配線、又は、アクティ
    ブマトリックス型液晶表示パネル等のスイッチング素子
    部での配線或いは電極材料として用いられる請求項1記
    載のAl合金薄膜。
  4. 【請求項4】 半導体装置の集積回路の配線或いは電極
    材料として用いられる請求項1記載のAl合金薄膜。
  5. 【請求項5】 液晶表示パネル又は固体撮像装置の遮光
    薄膜として用いられる請求項1記載のAl合金薄膜。
  6. 【請求項6】 再生専用型又は追記型の光ディスク等の
    光学式記録媒体の反射膜として用いられる請求項1記載
    のAl合金薄膜。
  7. 【請求項7】 レーザーミラー等にコーティングされて
    鏡体反射膜として用いられる請求項1記載のAl合金薄
    膜。
JP15202193A 1993-06-23 1993-06-23 Al合金薄膜 Withdrawn JPH0711426A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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