JPH07113902A - ガラス、その製造方法、及びその徐冷方法 - Google Patents

ガラス、その製造方法、及びその徐冷方法

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JPH07113902A
JPH07113902A JP5259860A JP25986093A JPH07113902A JP H07113902 A JPH07113902 A JP H07113902A JP 5259860 A JP5259860 A JP 5259860A JP 25986093 A JP25986093 A JP 25986093A JP H07113902 A JPH07113902 A JP H07113902A
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glass
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slow cooling
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和史 石橋
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博史 山本
Atsuzo Yamamoto
敦三 山本
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    • Y02P40/50Glass production, e.g. reusing waste heat during processing or shaping
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 光学特性に優れたガラスおよびその製造方
法、徐冷方法を提供する。 【構成】 ガラスを形成後、再度加熱して徐冷炉内の基
板上にガラスを載置して一定時間保持して無歪状態に
し、基板を回転させながら降温することにより、ガラス
の一方向に対して屈折率が規則的に回転対称に分布した
ガラスが得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ガラス、特に光学ガラ
ス、その製造方法及び徐冷方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】ガラスの徐冷(アニール)操作は古くから
行われている操作であり、一般的にガラスの製造工程の
最後に行われる。徐冷操作によって、ガラス本来の物理
的性質、例えば屈折率、比重、機械的性質が変化する。
このため、徐冷操作は、それ以前の製造工程において生
じたガラス内部の残留応力による複屈折の除去や熱履歴
による屈折率のばらつきを防ぐことを目的として行われ
る。
【0003】従来の徐冷操作は、それ以前の製造工程に
おいて割れない程度に急冷されたガラスを再度、転移温
度と呼ばれる温度付近に加熱して一定時間保持し、無歪
状態にしてから、ガラス表面と内部の温度差をできるだ
け小さくするように、保持温度からガラスがほぼ固化す
るまでの温度域をゆっくりした速度で降温するという方
法であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、ガラスはさ
まざまな用途に用いられるが、その中でも光学特性、つ
まり物理的性質に優れたガラスが要求されているのが光
学用ガラスの分野である。例えば、レンズとして像の伝
達に用いられる光学ガラスは、ガラス内部の残留応力に
よる複屈折や熱履歴による屈折率のばらつきがないこと
が好ましい。
【0005】しかしながら、従来の製造方法において
は、製造工程における物理的性質を均一なものにするた
めの徐冷操作を行うと、徐冷操作後のガラス中の残留応
力は、平均値では徐冷操作前に比べて小さくなるが、降
温の際のガラスの周囲の温度分布が原因でガラス内部の
場所により応力値が不規則に異なるという問題があっ
た。この残留応力の不規則な分布に起因して、徐冷操作
後のガラスの屈折率は不規則な分布を持つ。そして、こ
のような光学ガラスをレンズとして用いた場合、ガラス
の異なった場所に入射した光は不規則な方向に屈折し、
レンズによる像の再現が正確にできないという問題があ
った。
【0006】また、光学ガラスを反射鏡として用いる場
合では、ガラス内に残留応力の不規則な分布があると、
反射鏡を長期間使用しているうちに反射面の形状が徐々
に不規則に変化していき、光が使用当初とは異なった方
向に不規則に反射し、像の再現が正確にできないという
問題があった。本発明の目的は、上記のような問題を解
決し、光学特性に優れたガラスを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前述したように、徐冷を
行う場合、加熱後一定時間保持し、無歪状態にしてから
ゆっくり降温していくが、この際ガラスは周囲から冷却
されていくため、温度勾配が発生しその結果、残留応力
が発生する。ガラス内部の残留応力をなくすためには、
理論的にはガラス表面と内部の温度差がない状態、つま
り無限時間かけて降温させなければならず、現実的に
は、ガラス内にある程度の残留応力が発生するのは避け
られない。
【0008】一般的に、降温の際のガラスの周囲の温度
は不規則に分布しており、この結果、残留応力はガラス
内部で場所によって異なる値をもち、その分布は不規則
となってしまう。降温に際して、ガラスの周囲の温度分
布を均一にできれば、残留応力は、何らかの数学的な方
程式で表される規則的分布をすることになるが、温度分
布が均一な炉を製作するのは非常に困難である。残留応
力が不規則に分布すると、これが原因でいろいろな性質
もガラス内で不規則に分布することになる。
【0009】そこで、本発明者らは、さまざまな考察の
結果、残留応力が回転対称に分布しているガラスであれ
ば、それに起因する屈折率分布があってもレンズ等に用
いる際の光学特性を低下させないことを見い出した。光
学ガラスはレンズとして使われる場合がほとんどで、レ
ンズは回転対称な形状をしており、光束の屈折は回転対
称になるように行われる。反射鏡でも、光束の反射は回
転対称になるように行われる。従って、屈折率を回転対
称にすれば、レンズ本来の機能を妨げないのである。な
お、これらの場合、光束は中空状であっても差し支えな
い。
【0010】よって、本発明は、「一方向に対して、屈
折率が規則的に回転対称に分布していることを特徴とす
るガラス。」(請求項1)を提供する。なお、本発明
は、特に、ガラスが光束を入射して用られる光学用ガラ
ス部材として用いられる場合には、「ガラス部材の屈折
率が前記光束の光軸を中心として回転対称に分布してい
ることを特徴とする光学用ガラス部材。」(請求項2)
を提供する。
【0011】ここで、回転対称とは、数学的な意味での
厳密な回転対称のみをさすものではない。本発明におけ
る回転対称な屈折率分布とは、例えば、等屈折率曲線の
真円度が1/5以内に収まるものであって、真円度とは該
曲線にに内接・外接する2つの同心円のうち、半径差の
最小となる2円の半径差と2円の平均半径の比をいう。
【0012】さらに、本発明者らは、徐冷操作の際にガ
ラスを回転させながら降温させることにより、残留応力
が回転対称に分布し、これにより屈折率も回転対称に分
布するガラスが得られることを見い出した。よって、本
発明は、「ガラスを加熱して一定時間保持し、無歪状態
にしてから降温するガラスの徐冷方法において、前記降
温はガラスを回転させながら行うものであることを特徴
とするガラスの徐冷方法。」(請求項3)、及び「ガラ
スを形成後、再度加熱して徐冷炉内の基板上にガラスを
載置して一定時間保持し、無歪状態にしてから降温する
ガラスの製造方法において、前記降温時に前記基板を回
転させることを特徴とするガラスの製造方法。」(請求
項4)をも提供するものである。
【0013】
【作用】本発明のガラスは、回転対称な屈折率分布を有
するので、光学用として用いる場合でもその光学性能を
低下させない。ガラス内の屈折率分布が回転対称であっ
てかつ、その最大屈折率差が例えばΔn=10×10-6以内
であると光学系の球面収差が小さくなる。さらに、球面
収差に注目してみれば、ガラスの周辺部の屈折率が中央
部より低いような屈折率分布を示すガラスの方が球面収
差に対して有利である。
【0014】また、本発明においては、徐冷操作の際に
ガラスを回転させることにより、回転中心より等距離に
ある点は同一の熱履歴を受け、残留応力は回転対称に分
布し、これによりガラスの物理的性質も回転対称に分布
するので、従来のような問題を解決する。このようなガ
ラスは、周辺部の屈折率が中央部より高いような屈折率
分布を示すガラスである。
【0015】徐冷操作の際のガラスの加熱は、転移温度
と呼ばれる温度付近まで加熱して、一定時間保持するも
のである。これにより、ガラスを無歪状態にする。一般
に、保持温度が高いほど保持時間は短くなるが、保持温
度が高すぎるとガラスはその形状を保つことができなく
なり、保持時間が長すぎると生産性が低下する。また、
ガラスによってその転移温度が異なる点を考慮して、多
成分ガラスでは400〜700℃、石英ガラスでは1000〜1200
℃程度まで加熱し、1〜48時間程度保持するのが適当
である。
【0016】また、降温速度を遅くすれば屈折率差は小
さくなるが、生産性が低下する。従って、ガラスの形状
(径、厚み等)によって異なるが、降温速度は大体0.00
1〜0.1℃/min程度に設定する。屈折率の変化がおこらな
くなる程度まで徐冷した後、降温速度を早めることによ
り、生産性が向上する。降温のときの回転数は、1〜60
rpm程度が適当である。
【0017】本発明により提供されるガラスは、その形
状について限定されるものではないが、一般の徐冷(ア
ニール)炉には温度分布があり、大口径のガラスほどそ
の影響を強く受けることを考慮すれば、大口径のガラス
に対してより有効であることがわかる。
【0018】
【実施例】実施例として、径230mmφ、厚さ50mmの円柱
状ガラスを本発明に従い回転しながら徐冷したもの、比
較例として実施例と同じガラスを従来技術に従い回転し
ないで徐冷したもののそれぞれの均質性を干渉計により
測定した。図1は実施例のガラスの屈折率分布、図2は
比較例のガラスの屈折率分布である。同じ曲線上の点は
同じ屈折率を持っており、異なる曲線上の点は異なる屈
折率をもつ。
【0019】図より明かなように、図2の従来の徐冷操
作では屈折率分布は不規則な、楕円を変形したような分
布になるが、図1の回転させながら徐冷操作を行ったガ
ラスは、ほぼ回転対称な屈折率分布になった。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、屈折率が回転対称に分
布したガラスが得られる。従って、ガラスの物理的性質
も回転対称になり、光学特性に優れたガラスを提供する
ことができる。また、従来の徐冷操作では、ガラス内の
屈折率差をなくすために徐冷操作に長時間を要したが、
本発明においては、その時間を短縮することが可能で、
生産性が向上する。
【0021】また、本発明においては、従来の徐冷炉の
基板を回転するように改造して用いることが可能である
ため、経済的に有利であるという効果をも奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の徐冷操作により製造したガラスの屈
折率分布図である。
【図2】 従来の徐冷操作により製造したガラスの屈折
率分布図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一方向に対して、屈折率が規則的に回転対
    称に分布していることを特徴とするガラス。
  2. 【請求項2】光束を入射して用られる光学用ガラス部材
    において、前記ガラス部材の屈折率が前記光束の光軸を
    中心として回転対称に分布していることを特徴とする光
    学用ガラス部材。
  3. 【請求項3】ガラスを加熱して一定時間保持し、無歪状
    態にしてから降温するガラスの徐冷方法において、前記
    降温はガラスを回転させながら行うものであることを特
    徴とするガラスの徐冷方法。
  4. 【請求項4】ガラスを形成後、再度加熱して徐冷炉内の
    基板上にガラスを載置して一定時間保持し、無歪状態に
    してから降温するガラスの製造方法において、前記降温
    時に前記基板を回転させることを特徴とするガラスの製
    造方法。
  5. 【請求項5】請求項4に記載のガラスの製造方法におい
    て、前記降温時の基板の回転数が1〜60rpm であること
    を特徴とするガラスの製造方法。
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