JPH07113595B2 - 土壌ガスの採取装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、土壌ガスの採取装置に関するものである。

（従来の技術） 土壌中に含まれる有害物質によるガスを採取することに
より土壌汚染ならびに地下水汚染の実態を把握すること
ができる。又、地下から上昇する微量のガスを採取して
石油、天然ガス、地熱の資源探査を行うことができる。
このように土壌ガスの採取は種々の目的で行われてい
る。

従来における土壌ガスの採取方法は、注射器のような器
具を使用して直接土壌中のガスを採取するか、又は土壌
表面を覆った容器内に出てくる土壌ガスを採取していた
が、これらの方法は手数がかかり、広範囲の地域におい
てはガスを採取しにくいといった問題がある。

近年になって、ガラス簡などによるガスコレクタの内に
活性炭を塗布したサンプルワイヤを収容し、このガスコ
レクタを土壌中に埋設し、１〜２週間放置した後これを
回収し、サンプルワイヤに吸着したガスを採取する方法
が開発された。この方法はこれまでの採取方法に比べれ
ば手数がかからないこと、極微量のガスも採取できるこ
となどの優れた特徴があるが、採取に１〜２週間を要す
るので作業能率に難点がある。

（発明が解決しようとする課題） 本発明は、発生する土壌ガスを散逸することなく採取で
きると共に、採取時間を短縮することができる土壌ガス
の採取装置を提供することを目的としている。

（課題を解決するための手段） 本発明において上記課題を解決するための手段は、円筒
状に形成されたホルダ円筒と、該ホルダ円筒の基端部に
設けられ底壁の中心部が周縁部よりも高くなる傾斜面を
有しかつ当該中心部に直管の脚管部を有するガス吸入ロ
ートと、該ガス吸入ロートの脚管部に着脱自在に装着し
かつ内部に吸着剤を充填したガス採取管と、該ガス採取
管の先端部に接続するガス吸引装置とを具備し、上記ホ
ルダ円筒を土壌中に埋設して上記ガス吸入ロートの開口
部を土壌の穴底に接して当該土壌中のガスを採取するこ
とを特徴とするものである。

（作用） 本発明によって採取する主なガスは、有機塩素系物質の
ほか水銀、PCB、窒素などの有害物質の微量ガスであ
る。

ホルダ円筒１はガス吸入ロート２を下向きにして土壌中
に埋設し、ホルダ円筒１の開口部近傍の上部ジョイント
６にガス吸引装置10を接続する。埋設御は土壌中のガス
を一定時間吸引する。土壌中のガスはホルダ円筒１内に
装着したガス採取管８内の吸着剤に付着するので、この
ガス採取管８を回収して採取されたガスを分析する。

（実施例） 第１図は土壌ガス採取装置の断面図、第２図は同平面
図、第３図はガス採取管の側面図である。

ガス採取管は、ホルダ円筒１内に装着されている。ホル
ダ円筒１は基端部（底部）にガス吸入ロート２が設けら
れており、このガス吸入ロート２は底壁の中心部が高く
周縁部が低い傾斜面を有しているが、傾斜角度はごく緩
やかな角度がよい。又、ガス吸入ロート２の中心部には
ロート中心部から立ち上がる直管の脚管部３が設けら
れ、この脚管部３の先端に下部ジョイント４を設けてい
る。又、ホルダ円筒１の先端部（上部）にはフランジ1a
が形成されると共に、先端部近傍に３本の支持脚５によ
って固定された上部ジョイント６が設けられている。

ホルダ円筒１に設けられた下部ジョイント４と上部ジョ
イント６は同一軸線上にあり、これら２つのジョイント
4,6の間に保護管７が設けられている。そして、保護管
７は上部ジョイント６から先端部が突出しており、内部
にガス採取管８が着脱自在に装着されている。なお、ガ
ス採取管８内には活性炭を充填し両端に石英綿を詰めて
いる。

又、上部ジョイント６から突出した保護管７には、中空
のコネクタジョイント９が着脱自在に設けられ、このコ
ネクタジョイント９にガス吸引装置10の吸引パイプ11が
接続されている。

なお、ホルダ円筒１及び保護管７はステンレス鋼などに
よる金属製であるが、ガス採取管８はガラス製である。
又、ガス採取管８は外径6mm、内径3mm、長さ250mmを標
準としている。さらに又、ホルダ円筒１は直径100mm、
長さ350mmを標準としている。

この他、ホルダ円筒１の土壌中への埋設ならびに搬送時
の保護のために当該ホルダ円筒１の外側に嵌めるガイド
円筒12が設けられる。13はガイド円筒12の取っ手であ
る。

本装置を使用するには、土壌に穴を掘り保護管７内にガ
ス採取管８を装着した状態でホルダ円筒１を単独で、又
は、ガイド円筒12と共に土壌中に埋設する。このときガ
ス吸入ロート２を土壌の穴底に接するようにする。コネ
クタジョイント９に接続したガス吸引装置10を作動させ
ると、土壌ガスは、ガス吸入ロート２からガス採取管８
内に吸引される。

吸引作業が終了した後、コネクタジョイント９を外して
保護管７内のガス採取管８を取り出す。ガス採取管８は
大気との接触を避けるため、第３図に示すように両端部
をグラファイトフェラル付きの締め付け具14でシールし
て分析を行うまで保管する。

第４図は土壌ガスを採取するときのフロー図であり、同
図に記載された部材をユニットにまとめておけば携帯に
便利である。

実施例では吸引量を20〜50ml/分とし、１回の吸引時間
を数分とすることにより、分析可能な量のガスを採取す
ることができた。

（発明の効果） 本発明は、土壌に埋設したガス採取管に吸引装置を接続
して強制的に吸引しながら土壌ガスを採取するに際し、
ガス採取管の基端部に底壁中心部が周縁部よりも高くな
る傾斜面を有するガス吸入ロートを設けたものであるか
ら、発生する土壌ガスを可能な限り散逸させることなく
採取できると共に、従来方法に比べ短時間で採取するこ
とができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る土壌ガス採取装置の断面図、 第２図は同平面図、 第３図はガス採取管の側面図、 第４図は実施例のフロー図。 １……ホルダ円筒、２……ガス吸入ロート、３……脚管
部 ４……下部ジョイント、５……支持脚、６……上部ジョ
イント ７……保護管、８……ガス採取管、９……コネクタジョ
イント 10……ガス吸引装置、11……吸引パイプ、12……ガイド
円筒 13……取っ手、14……締め付け具

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】円筒状に形成されたホルダ円筒と、該ホル
   ダ円筒の基端部に設けられ底壁の中心部が周縁部よりも
   高くなる傾斜面を有しかつ当該中心部に直管の脚管部を
   有するガス吸入ロートと、該ガス吸入ロートの脚管部に
   着脱自在に装着しかつ内部に吸着剤を充填したガス採取
   管と、該ガス採取管の先端部に接続するガス吸引装置と
   を具備し、上記ホルダ円筒を土壌中に埋設して上記ガス
   吸入ロートの開口部を土壌の穴底に接して当該土壌から
   発生するガスを採取することを特徴とする土壌ガスの採
   取装置。