JPH07113134A - 焼結チタン合金の製造方法 - Google Patents

焼結チタン合金の製造方法

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JPH07113134A
JPH07113134A JP25614093A JP25614093A JPH07113134A JP H07113134 A JPH07113134 A JP H07113134A JP 25614093 A JP25614093 A JP 25614093A JP 25614093 A JP25614093 A JP 25614093A JP H07113134 A JPH07113134 A JP H07113134A
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alloy
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Kazuhiro Takahashi
一浩 高橋
Tatsuo Yamazaki
達夫 山崎
Hideki Fujii
秀樹 藤井
Takao Horitani
貴雄 堀谷
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Nippon Steel Corp
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、水素化脱水素法により製造した極
低塩素チタン粉末を用いた素粉末混合法で焼結チタン合
金を製造する方法において、一般的な成形・焼結条件で
成分偏析や粗大な空孔の残存がなく高密度で、さらには
結晶粒の粗大化を抑制し、より高い機械的特性を有する
焼結チタン合金の製造法を提供する。 【構成】 合金元素添加用粉末において、その20〜4
0重量%を平均粒径3〜8μm、残部を平均粒径8〜1
5μmにする。それに加え使用粉末全重量の40〜70
%を粒径45〜150μmのチタン粉末、残部を粒径1
0〜45μmのチタン粉末にすることで高密度な焼結チ
タン合金を得る。さらには平均粒径8〜15μmの合金
元素添加用粉末として、当該合金の0.03〜0.5重
量%に相当するY,Er,Bの少なくとも1種類を含有
した粉末を使用し、結晶粒成長を抑制し、高い機械的特
性を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、粉末冶金法による焼結
チタン合金の製造方法に関する。さらに詳しくは素粉末
混合法による焼結チタン合金の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】粉末冶金法は材料から最終形状に近い形
の製品を直接製造するニアーネットシェイプ技術の一つ
で、加工性や成形性あるいは被削性に乏しいチタン合金
製品を製造する方法として適している。特に、素粉末混
合法はチタン粉末と合金元素添加用粉末を混合して容器
に充填し、これを圧力3〜8ton/cm2 で成形して圧粉体
とした後、真空中で1100〜1300℃で1〜8時間
の焼結と合金化熱処理を同時に行う方法であり、焼結前
に軟質のチタン粉末が大部分を占めるため、良好な成形
性を有し室温において精密な形状の圧粉体を得ることが
できるという利点がある。ここでチタン粉末として、ナ
トリウム還元法で製造するスポンジチタンの副産物であ
るハンタースポンジファイン(HSF)や、溶解後に水
素化し粉砕し脱水素処理する、いわゆる水素化脱水素法
により製造した極低塩素チタン粉末(HDH粉末)が使
われる。
【0003】しかし、素粉末混合法は上記のような高温
・長時間の焼結を行っても焼結密度が不十分で内部ポア
が残存しているため、疲労強度が低いという欠点があ
る。これを解決する方法として、焼結後さらに熱間静水
圧成形(HIP)を行い内部ポアを完全に消滅させ疲労
強度を向上させる方法があるものの、製造コストが著し
く高くなる。
【0004】これに対して特公平2−50172号公報
には、平均粒径40〜177μmのチタン粉末と、粉砕
により高エネルギーを付与した平均粒径0.5〜20μ
mの合金形成粒子(合金元素添加用粉末)を使用し、粉
末の表面エネルギーを高くすることにより、焼結段階で
理論値に対して99.0%以上の密度を得る方法が記載
されている。しかし、この方法はハンタースポンジファ
イン(HSF)などの酸素を0.1重量%以下しか含有
しない軟質のチタン粉末を使用した場合には、一般的な
成形・焼結条件で99.0%以上の高密度化が可能であ
るが、製造工程上0.1重量%を超える酸素を不可避的
に含有するため硬質で成形性に劣る水素化脱水素法によ
り製造した極低塩素チタン粉末(HDH粉末)を使用し
た場合には、一般的な成形・焼結条件での高密度化は困
難であった。またHDH粉末は塩素を20ppm 以下しか
含んでおらず、塩素による結晶粒粗大化を抑制する効果
がないため塩素を0.05〜0.2重量%含むHSFを
使用した場合と異なり、焼結時に組織が粗大化し機械的
特性、特に疲労特性の劣化をもたらすという欠点もあっ
た。
【0005】これに加え、さらに特公平2−50172
号公報記載の方法では、平均粒径が0.5〜3μmと非
常に細かい合金元素添加用粉末を使用すると焼結後の密
度は高いものの粉末が凝集を起こし成分偏析を生じ、そ
の結果、機械的特性、特に疲労強度が低下するという問
題点があった。また、平均粒径が15μm以上の合金元
素添加用粉末を使用すると、焼結後の密度は高いもの
の、局所的に粗大な空孔が残存し、機械的特性、特に疲
労強度を低下させるという問題点があった。
【0006】一方1980年 American Institute of Minin
g, Metallurgical, and PetroleumEngineers, Inc. 発
行の「Titanium '80 Science and Technology 」1185頁
に記載されているようにTiまたはTi−6Al−4V
溶製材にErあるいはYを約1重量%以下添加すると、
これらの酸化物が合金中に生成し、これが粒成長を抑制
するため組織が微細化されるという知見がある。この知
見を素粉末混合法に応用しY,Er,Y2 3 ,Er2
3 あるいはTiB2 ,B4 C,BNなどのB含有化合
物を単独で添加すると、チタン粉末や合金元素添加用粉
末の接触を阻害したり粉末表面の移動をピン止めするた
め、HDH粉末の焼結特性をさらに劣化させ、その結
果、疲労強度がさらに低下するという欠点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、水素
化脱水素法により製造した0.1重量%を超える酸素を
含有する極低塩素チタン粉末を用いた素粉末混合法で、
焼結チタン合金を製造する方法において、従来と同様の
一般的な成形・焼結条件で成分偏析や局所的に残存する
粗大な空孔がなく高密度で高い機械的特性を有する焼結
チタン合金を製造する方法を提供することを目的とす
る。さらには結晶粒の粗大化を抑制し、より高い機械的
特性を有する焼結チタン合金を製造する方法を提供する
ことを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明は、(1)水素化脱水素法により製造した0.1
重量%を超える酸素を含有する極低塩素チタン粉末を用
いた素粉末混合法で、焼結チタン合金を製造する方法に
おいて、使用する合金元素添加用粉末の20重量%以上
40重量%未満が平均粒径3μm以上8μm未満であ
り、残りの合金元素添加用粉末が平均粒径8μm以上1
5μm未満であることを特徴とする、焼結チタン合金の
製造方法であり、(2)使用する粉末全重量の40%以
上70%以下が粒径45μm以上150μm以下のチタ
ン粉末であり、残りのチタン粉末が粒径10μm以上4
5μm未満であることを特徴とする、(1)記載の焼結
チタン合金の製造方法であり、(3)平均粒径8μm以
上15μm未満の合金元素添加用粉末として、当該焼結
チタン合金の0.03重量%以上0.5重量%以下に相
当する量のY,Er,Bの少なくとも1種類を含有する
粉末を使用することを特徴とする、(1)および(2)
記載の焼結チタン合金の製造方法である。
【0009】ここで、合金元素添加用粉末とは、Tiあ
るいは合金元素のうち2元素以上を含む母合金粉末、あ
るいは合金化元素の単一金属粉末である。また合金元素
添加用粉末に含有されるY,Er,Bは単体でもよい
し、酸化物などの化合物、例えばY2 3 ,Er
2 3 ,B4 Cなどでもよい。なお、本発明において、
チタン合金中にはTiと合金元素および0.4重量%以
下の酸素の他、0.4重量%未満のFe(非Fe含有合
金の場合),N,C,Hなどの不純物を不可避的に含ん
でもよい。
【0010】
【作用】以下、本発明を詳細に説明する。本発明者等
は、酸素を0.1重量%より多く含むためHSFより成
形性に劣るものの安定供給が可能なHDH粉末を使用
し、焼結段階で高密度で成分偏析や局所的に残存する粗
大な空孔がなく、高い機械的特性を有する焼結チタン合
金を得るため、合金元素添加用粉末およびHDH粉末の
粒度分布と酸素量や焼結材の組織制御などに関して研究
を重ねた。その結果、使用粉末の粒度分布を最適化する
ことにより、焼結材の密度を著しく高め、且つ成分偏析
をなくし粗大な空孔を残存させず高い機械的特性が達成
できることを見いだした。さらには結晶粒成長を抑制す
る物質の添加方法を工夫することにより、組織の粗大化
を抑制し、さらに高い機械的特性が達成できることを見
いだした。
【0011】本発明1(請求項1の発明)では、酸素を
0.1重量%より多く含むHDH粉末を使用する素粉末
混合法において、使用する合金元素添加用粉末の20重
量%以上40重量%未満を平均粒径3μm以上8μm未
満にし、残りの合金元素添加用粉末を平均粒径8μm以
上15μm未満にすることとした。このように特定の粒
度に制御した合金元素添加用粉末を特定の割合で添加す
ることにより、粉末間の空隙を埋め充填効果が上がり、
成形性に劣るHDH粉末の欠点を十分に補い、高密度の
焼結材が成分偏析や粗大な空孔がない状態で得られ、そ
の結果、高い機械的特性が達成できる。
【0012】ここで合金元素添加用粉末の平均粒径を3
μm以上15μm未満にしたのは、3μm未満では粉末
が凝集し成分偏析を起こし、15μm以上では局所的に
粉末が充填していない部分が生じ粗大な空孔が残存し、
その結果、機械的特性が劣化するためである。平均粒径
3μm以上8μm未満の合金元素添加用粉末を使用合金
元素添加用粉末の20重量%以上40重量%未満にした
のは、20重量%未満では粗い合金元素添加用粉末の割
合が増加し、粉末間の空隙を埋めることによる充填率向
上の効果が十分ではなく、40重量%以上では微細な粉
末が多くなり混合時にこれらが凝集し成分偏析を起こ
す、その結果、機械的特性が劣化するためである。
【0013】本発明2(請求項2の発明)は、酸素含有
量が高いためHSFより成形性に劣るHDH粉末の粒度
を、使用粉末全重量(素粉末混合法でチタン合金を製造
する場合に使用する全粉末重量)の40%以上70%以
下が粒径40μm以上150μm未満、残部が粒径10
μm以上45μm未満、に制限することとした。これに
より、合金元素添加用粉末の粒度分布制限による上記の
ような充填率向上の効果に加え、さらにチタン粉末にお
いても空隙を埋める充填効果が向上し、さらに高密度な
焼結材が得られる。その結果、高い機械的特性が達成で
きる。ここでHDH粉末の粒径を10μm以上150μ
m以下にしたのは、10μm未満にすると、チタンの微
細粉末は活性なため安全上取扱いが困難となるためであ
る。150μmより粒径が大きいと粉末の充填率が低下
し十分な焼結密度が得られず機械的特性が低いためであ
る。さらに、粒径45μm以上150μm以下のHDH
粉末の使用量を使用粉末全重量の40%以上70%以下
にしたのは、40%未満では粒径が45μm未満のチタ
ン粉末の割合が相対的に増加し、製品の酸素量が上昇し
機械的特性が急激に低下するためであり、70%より多
いと粗大な粉末が多くなり焼結密度が低下し機械的特性
が劣化するためである。
【0014】本発明3(請求項3の発明)は、平均粒径
8μm以上15μm未満の合金元素添加用粉末として、
当該合金の0.03重量%以上0.5重量%以下に相当
するY,Er,Bの少なくとも1種類を含有する粉末を
使用することとした。これは焼結密度向上に加え、組織
を微細化することにより機械的特性、特に疲労特性をさ
らに向上させることを目的とするものである。
【0015】しかし、従来の技術の項で説明したよう
に、Y,Er,Bあるいはこれらの化合物を直接添加す
ると焼結密度が著しく低下する。そこで本発明では、焼
結密度を低下することなく結晶粒粗大化を抑制し組織を
微細化にするため、予め合金元素添加用粉末の内部に結
晶粒成長を抑制する物質を含有させて使用することとし
た。すなわちY,Er,Bあるいはこれらの化合物の周
囲を、合金元素が被っている状態の合金元素添加用粉末
を使用することにより、Y,Er,Bあるいはこれらを
含む化合物がチタン粉末同士あるいはチタン粉末と合金
元素の接触を阻害することなく、焼結中の粉末表面の移
動を妨げることなく、焼結密度の向上を達成できる。し
かし、一方ではY,Er,Bあるいはこれらの化合物は
結晶粒界の移動を阻害し組織粗大化を抑制する。
【0016】ここで、Y,Er,Bの少なくとも1種類
を予め含有した合金元素添加用粉末の平均粒径は8μm
以上15μm未満である必要がある。それは平均粒径が
8μm未満になると粉末製造時の粉砕工程や粉末混合時
にY,Er,Bあるいはこれらの化合物が欠落し、直接
添加した場合と同様になり焼結特性を劣化させるためで
あり、15μm以上にすると上記のような欠落はないも
のの局所的に粉末が充填していない部分ができ粗大な空
孔が残存し機械的特性が劣化するためである。またY,
Er,Bの添加量を当該チタン合金の0.03重量%以
上0.5重量%以下にしたのは、0.03重量%未満で
は添加量が少ないため組織微細化の効果が認められない
ためであり、0.5重量%以下で既に十分な効果が得ら
れており0.5重量%より多く添加するとY,Er,B
あるいはこれらの化合物の大きな塊ができ破壊の起点と
なり機械的特性を劣化させるためである。
【0017】
【実施例】以下、実施例によって本発明をさらに詳しく
説明する。試験に供した試料は以下の工程で作製した。
すなわち、所定の割合の粉末を混合し、成形用容器に充
填し、4.9ton/cm2の圧力で冷間静水圧成形(CI
P)を行い圧粉体を作製した後、1×10-3Paの真空中
で1250℃、2時間の焼結を行い直径約15mm、長さ
約150mmの円柱状試験片を作製した。この焼結チタン
合金に対して、焼結密度(相対密度)測定、β粒径測
定、引張試験による伸び測定、回転曲げ疲労試験による
疲労強度測定を行った。また一部の試料については含有
酸素量測定を行った。ここで、相対密度とは、同一な組
成の合金を溶解法により製造した場合に得られる試料の
密度を100%とした場合の密度であり、疲労強度は繰
り返し数が107 回に達しても破断しない負荷応力で評
価した。
【0018】まず最初に、従来例(試験番号1〜6)に
ついて説明する。チタン粉末として、粒径10μm以上
45μm未満の粉末と粒径45μm以上150μm以下
の粉末を重量比で15:85の割合で混合したHSFと
HDH粉末の2種類を使用し、表1に示すようなチタン
粉末と合金元素添加用粉末を混合し上記の条件でTi−
6Al−4V焼結チタン合金を作製した。ここでHSF
は0.1重量%以下の酸素を含有し、HDH粉末は粒径
10μm以上45μm未満の粉末が0.3重量%、粒径
45μm以上150μm以下の粉末が0.15重量%の
酸素を含有している。
【0019】HSFを使用した場合(表1の試験番号
1,2,3)とHDH粉末を使用した場合(表1の試験
番号4,5,6)を比較する。チタン粉末にHSFを使
用し、平均粒径が10μmの合金元素添加用粉末を使用
した試験番号1は、焼結密度が高く、伸び、疲労強度と
もにHIP処理をした材料並みの値を示したが、チタン
粉末にHDH粉末を使用し平均粒径が10μmの合金元
素添加用粉末を使用した試験番号4は、焼結密度が9
8.5%と低く、伸びと疲労強度も低い。これはHDH
粉末がHSFに比べ含有酸素量が高く成形性に劣るため
でる。また平均粒径が2μmの合金元素添加用粉末を使
用し各々チタン粉末としてHSF,HDH粉末を使用し
た試験番号2,5は、いずれも充填率が向上し99.5
%以上の高い焼結密度に達している。しかし、いずれも
成分偏析が生じているため、伸びと疲労強度が低い。ま
た平均β粒径が、試験番号5は試験番号2の4倍以上と
大きい。これは結晶粒粗大化を抑制する効果のある塩素
の含有量がHSFで0.1重量%、HDH粉末で20pp
m 以下と大きな差があり、HDH粉末を使用した試験番
号5では組織微細化の効果がなかったためである。
【0020】チタン粉末にHSFを使用し平均粒径が1
7μmの合金元素添加用粉末を使用した試験番号3は、
焼結密度は向上しているものの、合金元素添加用粉末が
粗いため局所的に粗大な空孔が残存しており、伸びと疲
労強度がともに低い値を示している。チタン粉末にHD
H粉末を使用し平均粒径が17μmの合金元素添加用粉
末を使用した試験番号6は、HSFと比較しHDH粉末
の成形性が劣るとともに、合金元素添加用元素が粗いた
め、焼結密度が向上せず、伸びと疲労強度が低い。
【0021】次に、本発明1について説明する。チタン
粉末として粒径10μm以上45μm未満で0.3重量
%の酸素を含有するHDH粉末と粒径45μm以上15
0μm以下で0.15重量%の酸素を含有するHDH粉
末を重量比で15:85の割合で混合し使用した。この
チタン粉末に対して表2に示すような合金元素添加用粉
末を混合し、Ti−6Al−4VおよびTi−5Al−
2.5Fe焼結チタン合金を作製した。
【0022】Ti−6Al−4V(表2の試験番号7〜
15)において、平均粒径が2μmの合金元素添加用粉
末を使用した試験番号7は、99.5%の焼結密度に達
しているものの、成分偏析を生じているため、伸びと疲
労強度が低い。また平均粒径が17μmの合金元素添加
用粉末を使用した試験番号10は、焼結密度が98.9
%に達しているものの局所的に粗大な空孔が残存してお
り、伸びと疲労強度が低い。合金元素添加用粉末におい
て平均粒径8μm未満の粉末の使用量が15%と本発明
1に規定された量より少ない試験番号11は、相対的に
平均粒径8μm以上の粉末が多いため粉末間の空隙を十
分に埋めることができずに焼結密度が98.7%と低
く、伸びと疲労強度も低い値である。また平均粒径8μ
m未満の粉末の使用量が45%と本発明1に規定された
量より多い試験番号15は、微細な粉末が多くなったた
め凝集を起こし成分偏析を生じ、伸びと疲労強度が低
い。
【0023】それに対して本発明1の実施例である試験
番号8,9,12,13,14は、最適な粒度分布の合
金元素添加用粉末を使用し成分偏析なく粉末間の空隙を
埋める効果により、いずれも99%以上の焼結密度に達
しており、14%以上の伸びと300MPa 以上の疲労強
度を示している。
【0024】Ti−5Al−2.5Fe(表2の試験番
号16〜20)についても同様な結果が得られた。すな
わち合金元素添加用粉末の割合が本発明1に規定された
量の範囲外である試験番号16,20は、各々、充填率
低下による焼結密度の不足と粉末凝集による成分偏析が
原因で、伸びと疲労強度が低い値を示している。一方、
本発明1の実施例である試験番号17,18,19は、
最適な粒度分布の合金元素添加用粉末を使用し成分偏析
なく粉末間の空隙を埋める効果によりいずれも99.2
%以上の焼結密度に達しており、17%以上の伸びと3
40MPa以上の疲労強度を示している。
【0025】次に、本発明2について説明する。すなわ
ち表3に示す割合で、HDH粉末と種々の合金元素添加
用粉末をTi−6Al−4VおよびTi−5Al−2.
5Feとなるよう混合し、先述の条件で試験片を作製し
た。ここで使用しているHDH粉末の酸素量は粒径10
μm以上45μm未満の粉末では0.30重量%、45
μm以上150μm以下の粉末では0.15重量%、1
50μmより大きく180μm以下の粉末では0.12
重量%であり、塩素量はいずれも20ppm 以下である。
表4に各々の焼結密度、含有酸素量、平均β粒径、伸
び、疲労強度を示す。
【0026】粒径45μm以上150μm以下のHDH
粉末の割合が、本発明2に規定された量の上限値以上の
75%である試験番号21,29は粒径45μm以上1
50μm以下の粗いHDH粉末の割合が多いため、充填
率が低く、そのため焼結密度も低く伸びと疲労強度が低
い。粒径45μm以上150μm以下のHDH粉末の割
合が、本発明2に規定された量の下限値以下の35%で
ある試験番号28,31は粒径10μm以上45μm未
満の微細なHDH粉末の割合が多いため、焼結密度は9
9.7%と高いものの機械的特性の低下をもたらす含有
酸素量が0.35重量%以上と高くなり、伸びと疲労強
度が低い値を示している。
【0027】平均粒径が150μmより大きく180μ
m以下のHDH粉末を5%添加した試験番号24は、粗
大な粉末間の空隙が十分に充填されず焼結密度が低く、
伸びと疲労強度も低い。チタン粉末の粒径と割合が本発
明2に規定された範囲内で合金元素添加用粉末の平均粒
径が本発明1に規定された範囲以下または以上である試
験番号25,26は、各々粉末凝集による成分偏析と粗
い粉末による粗大空孔の残留が原因で、伸びと疲労強度
が低い値を示している。
【0028】一方、本発明2の実施例に相当する試験番
号22,23,27,30は、本発明1の合金元素添加
用粉末の粒度分布を最適化にする効果に加え、チタン粉
末の粒径と割合を本発明2に規定した範囲内にして酸素
量の増加を抑え且つ粉末間の空隙を埋める効果がさらに
向上したため、99.5%以上の高い焼結密度に達して
おり17%以上の高い伸びと320MPa 以上の高い疲労
強度が得られた。
【0029】次に、本発明3について説明する。表5お
よび表6(表5の続き)に示した種類および量の合金元
素添加用粉末と使用粉末全重量の50%を粒径45μm
以上150μm以下で0.15重量%の酸素を含有する
HDH粉末、残部を粒径10μm以上45μm未満で
0.30重量%の酸素を含有するHDH粉末にして混合
し、先述の条件で、Ti−6Al−4VまたはTi−5
Al−2.5FeにY,Er,Bあるいはこれらの化合
物が分散した焼結チタン合金を作製した。
【0030】ここで表5の試験番号32〜35は各々、
Y,Y2 3 ,Er2 3 ,B4 Cの粉末を直接添加し
た場合で、従来法に相当する。一方、表5,6の試験番
号36〜52は、Y,Er,Bが所定の量になるように
合金元素添加用物質(60Al-40V, TiAl, TiFe)とY,Y2
3 ,Er2 3 ,B4 C粉末を混合し、真空アーク溶
解後、破砕して作製した合金元素添加用粉末(60Al-40V
-Y, 60Al-40V-Y2 O3, 60Al-40V-Er2 O3 ,60Al-40V-
B4 C ,TiAl-Y2 O3 , TiFe-Y2 O 3 )を使用した場合
である。
【0031】Y,Y2 3 ,Er2 3 ,B4 Cの粉末
を直接添加した試験番号32〜35は、いずれもこれら
の粉末がチタン粉末やチタン合金母材組成の合金元素添
加用粉末(60Al-40V)の接触を阻害したり粉末の表面移
動をピン止めし、HDH粉末の焼結特性をさらに劣化さ
せたため、96%以下の低い焼結密度しか得られず、伸
び、疲労強度ともに著しく低い。
【0032】一方、Y,Y2 3 ,Er2 3 ,B4
を添加した平均粒径10μmの合金元素添加用粉末を使
用した試験番号40〜43,45〜48,50,51は
Y,Er,Bあるいはこれらの化合物を添加していない
試験番号23,30(表4)と比較して、焼結密度は9
9.5%以上と同等であり、平均β粒径が約5分の1以
下になっている。そのため伸び、疲労強度がより高くな
っており、特に疲労強度はTi−6Al−4Vで380
MPa 以上、Ti−5Al−2.5Feで440MPa 以上
と極めて高い。これはY,Er,Bあるいはこれらの化
合物がチタン粉末や合金元素の接触を阻害せず、粉末表
面の移動を妨げることなく、結晶粒界の移動を阻害し組
織の粗大化を抑制した効果である。
【0033】しかし、Y,Y2 3 ,Er2 3 ,B4
Cを添加した平均粒径6μmの合金元素添加用粉末を使
用した試験番号36〜39,44は、平均粒径が6μm
と細かいため粉砕および混合工程においてY,Er,B
あるいはこれらの化合物が欠落しY,Y2 3 ,Er2
3 ,B4 Cを直接添加した場合と同じ状態となり、直
接添加した場合と同様の原因により、焼結密度が98.
5%と低く、伸び、疲労強度ともに低い値しか得られな
かった。
【0034】また試験番号49は、Y,Er,Bあるい
はこれらの化合物を添加していない試験番号23と比較
して、焼結密度、平均β粒径、伸び、疲労強度ともにほ
とんど変わらず、Y2 3 添加の効果がほとんど認めら
れなかった。これはYの添加量が本発明3に規定した量
の下限値以下である0.02重量%と低かったためであ
る。また試験番号52は、β粒径は微細になっているも
のの伸び、疲労強度は低い値しか得られなかった。これ
はYの添加量が本発明3に規定した量の上限値以上であ
る0.55重量%と高いため、Y2 3 の粗大な塊が生
成し、破壊の起点になり機械的特性を劣化させた結果で
ある。
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
【表5】
【0040】
【表6】
【0041】
【発明の効果】以上説明したように本発明を適用するこ
とにより、水素化脱水素法により製造した0.1重量%
を超える酸素を含有する極低塩素チタン粉末を用いた素
粉末混合法で、焼結チタン合金を製造する方法におい
て、従来と同様の一般的な成形・焼結条件で成分偏析や
局所的に残存する粗大な空孔がなく、高密度で高い機械
的特性を有する焼結チタン合金を製造することができ
る。さらには結晶粒の粗大化を抑制し、より高い機械的
特性を有する焼結チタン合金を製造することができる。
フロントページの続き (72)発明者 堀谷 貴雄 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水素化脱水素法により製造した0.1重
    量%を超える酸素を含有する極低塩素チタン粉末を用い
    た素粉末混合法で、焼結チタン合金を製造する方法にお
    いて、使用する合金元素添加用粉末の20重量%以上4
    0重量%未満が平均粒径3μm以上8μm未満で、残り
    の合金元素添加用粉末が平均粒径8μm以上15μm未
    満であることを特徴とする、焼結チタン合金の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 使用する粉末全重量の40%以上70%
    以下が粒径45μm以上150μm以下のチタン粉末
    で、残りのチタン粉末が粒径10μm以上45μm未満
    であることを特徴とする、請求項1記載の焼結チタン合
    金の製造方法。
  3. 【請求項3】 平均粒径8μm以上15μm未満の合金
    元素添加用粉末として、当該焼結チタン合金の0.03
    重量%以上0.5重量%以下に相当する量のY,Er,
    Bの少なくとも1種類を含有する粉末を使用することを
    特徴とする、請求項1および2記載の焼結チタン合金の
    製造方法。
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