JPH07111884B2 - 金属酸化物・水素蓄電池 - Google Patents

金属酸化物・水素蓄電池

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JPH07111884B2
JPH07111884B2 JP62161713A JP16171387A JPH07111884B2 JP H07111884 B2 JPH07111884 B2 JP H07111884B2 JP 62161713 A JP62161713 A JP 62161713A JP 16171387 A JP16171387 A JP 16171387A JP H07111884 B2 JPH07111884 B2 JP H07111884B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は水素を可逆的に吸蔵・放出する合金又は水素化
物からなる電極、すなわち水素吸蔵電極を負極とし、金
属酸化物電極を正極とする金属酸化物・水素蓄電池に関
するもので、特に、その負極の改良に関するものであ
る。
従来の技術 従来、この種の水素吸蔵電極を負極とする金属酸化物・
水素蓄電池では、充・放電サイクルの繰り返しによって
負極を構成する水素吸蔵合金又は水素化物粒子が細分化
し、しかも膨張により亀裂を発生し電極支持体から脱落
するなどの理由で電池性能の低下がおこる。この現象は
とくに開放型アルカリ蓄電池に顕著に現われる。そこ
で、水素吸蔵合金粉末と導電性の良い金属粉末を混合
し、電極事態の導電性と機械的強度を改良する試みもあ
るが、充・放電サイクル寿命の大きな伸長が見られなか
ったので、さらに水素吸蔵合金粉子の表面を銅の薄膜で
完全に被覆する試みが提案されている(特開昭50−1115
46号公報)。すなわち、水素吸蔵合金又は水素化物粒子
の表面に銅を無電解メッキによって、完全に被覆膜を施
す事によって、電極自体の機械的強度と電気導電性の向
上を図っている。
発明が解決しようとする問題点 この様な従来の構成では負極自体の機械的強度と導電性
は改良されるが、その反面水素吸蔵合金又は水素化物粒
子の表面が金属薄膜で完全に被覆されるので、水素を電
気化学的に吸蔵・放出する速度が遅く、しかも水素吸蔵
量が減少する。このために電池性能が低下する。また、
密閉型蓄電池を構成した場合、過充電時正極で発生する
酸素ガスを負極表面で還元反応により水にする必要があ
るが、酸素ガスの発生より消費する反応がおくれ、電池
内に酸素ガスが蓄積して電池内圧を上昇させる。とく
に、急速充電時においてこの現象が顕著に現われ、安全
性の点で問題となる。
そこで、本発明はこのような問題点を解決するもので、
負極自体の導電性を低下させないで、高率放電特性に優
れ、機械的強度の増大を図ると共に、過充電時に正極よ
り発生する酸素ガスによる水素吸蔵合金の酸化防止と負
極表面での酸素吸収をバランス良く進行させて、電池の
内圧上昇の抑制と充・放電サイクル寿命の伸長を図るこ
とも目的とするものである。
問題点を解決するための手段 この問題点を解決するために、本発明は金属酸化物正極
と、水素吸蔵合金又は水素化物からなる負極と、セパレ
ータおよびアルカリ性電解液を備え、前記負極を構成す
る水素吸蔵合金粒子又は水素化物粒子(母粒子)の表面
を少なくとも金属粒子(子粒子)が部分的に被覆してお
り、好ましくは母粒子の表面を被覆する子粒子の平均粒
径が母粒子の平均粒径より1/10〜1/200程小さく、金属
粒子(子粒子)が、ニッケル,銅,コバルト,鉄,亜
鉛,カドミウムなどの金属単体か又はステンレス鋼,ニ
ッケル基合金などの電子導伝性の優れた材料よりなるも
のである。
作用 このような構成により、電子導伝性に優れた金属粒子
(子粒子)が水素吸蔵合金又は水素化物粒子(母粒子)
の表面で強固に結合しているとともに金属粒子(子粒
子)間の結合も確保されることから、高率放電特性に優
れる。しかも、水素吸蔵合金又は水素化物粒子(母粒
子)の表面を母粒子より細かい金属粒子(子粒子)で被
覆させて、表面改質した複合粒体を形成しているので、
母粒子全体の表面積が大きくなり、正極から発生する酸
素ガスをイオン化し、酸素を吸収する触媒作用も大きく
向上し、電池内圧力の上昇を抑制し、さらに金属粒子が
酸素ガスによる酸化抑制の機能も有し、充・放電サイク
ル寿命を伸長することとなる。
実 施 例 市販のMm(ミッシュメタル),La,Ni,Coを一定の組成比
に秤量した試料をアーク溶解法により加熱溶解させた。
一例として、合金組成であるMm0.5La0.5Ni3.5Co1.5を負
極用の水素吸蔵合金とした。この合金を粉砕機で37μm
以下まで粉砕し水素吸蔵合金粉体とした。つぎにこの水
素吸蔵合金粒子(母粒子)の表面に、金属粒子の1例と
して銅の微粒子(子粒子)を部分的に形成させて水素吸
蔵合金粒子の表面改質を行なった。この複合粉体に3〜
5%濃度のフッ素樹脂の分散液を適量加え、ペースト状
とした。このペーストをパンチングメタルの様な導電性
の優れている芯材の両面に塗着し、乾燥後最適な厚さに
加圧して、ある一定の大きさに裁断した電極基板にリー
ド板を取付け負極とした。
ここで、水素吸蔵合金粒子の表面改質に用いた方法の1
例として「化学装置」1986年9月号(p.19)記載の粉体
の表面改質方法を応用した。この表面改質法(高速気流
中衝撃カプセル化)は水素吸蔵合金粒子の表面に静電気
的に金属粒子を付着させる。この状態では水素吸蔵合金
粒子と金属粒子との結合力が弱く、金属粒子が脱落する
ので、さらに、この金属粒子で被覆した水素吸蔵合金粉
末を回転ドラム中で高速気流によって回転させて、水素
吸蔵合金粒子の表面に金属粒子を高速気流の応力による
水素吸蔵合金相互の衝突で、打ち込むように水素吸蔵合
金に衝撃を与え、強固に金属粒子を部分的に被覆した水
素吸蔵合金粉末を作ることができる。
また比較のために、水素吸蔵合金粒子の表面に公知の無
電解メッキ法によって銅の薄膜を完全に形成させた水素
吸蔵合金粒子を用いて、他は前記と同じ製法で水素吸蔵
電極を試作し、リード板を取付け負極とした。
水素吸蔵合金は正極の公称容量の1.5倍である15gを用い
た。公知の発泡状ニッケル正極とセパレータを介して公
称2Ahの密閉型Ni−H2蓄電池を構成し、放電容量特性と
充・放電サイクル寿命特性を測定した。
第1図に金属粒子で表面改質した水素吸蔵合金の構造を
示し、第2図には第1図の水素吸蔵合金を負極とする密
閉型Ni−H2蓄電池を示す。又第3図には従来型構造の水
素吸蔵合金粒子を示す。
第1図においてIは水素吸蔵合金粒子(母粒子)1の表
面に金属粒子(子粒子)2が単に静電付着したモデル図
であり、IIは高速気流中衝撃カプセル化法によって、水
素吸蔵合金粒子(母粒子)3の表面から金属粒子(子粒
子)4が一部内部に食い込んで強固に結合している状態
を示したものである。
第2図において、水素吸蔵合金からなる負極5と、ニッ
ケル正極6はセパレータ7を介して渦巻き状に巻回さ
れ、負極端子を兼ねるケース8に挿入される。なお極板
群の上,下は絶縁板9,10が当てがわれ、安全弁11のある
封口板12でケース8の開口部は密閉化されている。13は
封口板12を介して正極リード14と接続しているキャップ
状の正極端子である。なお充電時に負極からの水素発生
を抑制するために正極容量より負極容量を大きくし、正
極容量規制とした。電池の充・放電条件として0.2C(40
0mA)で7.5時間充電(150%充電)し、0.2C(400mA)で
放電した。充・放電サイクル試験の温度はすべて20〜25
℃とし、終止電圧は1.0Vとした。その充・放電サイクル
と放電容量の関係を第4図に示し、また電池の150%充
電時における電池内圧の経時変化を第5図に示す。
第4図からわかる様に従来型電池の放電容量は充・放電
サイクルの増加と共に減少し、約100サイクル後から急
激に低下している。この低下原因は、第5図からわかる
様に、充・放電サイクルの増加と共に電池内圧が上昇
し、安全弁の作動圧力である1Kg/cm2を約100サイクルの
所で越えており、安全弁より過充電時に発生する酸素ガ
スや水素ガスが排出し、また、一部電解液の漏出も発生
して電池内の電解液が減少する。このために電池の内部
抵抗が増大し、容量低下を引きおこしていると考えられ
る。これを確認するために電池重量を初期の場合と比較
して測定すると、明らかに重量減少が観察され、電解液
量の減少に起因している事がわかった。
これに対して本発明型電池は充・放電サイクルの増加と
共に放電容量の減少も少なく、300サイクルに達しても
1.8Ahを保持し、約10%の容量低下しか見られない。こ
れは、従来型電池と異なり過充電時の電池内圧の経時変
化を見ても、電池内圧の上昇は小さく、300サイクルに
達しても5Kg/cm2の電池内圧を維持している。安全弁の
動作圧力が10Kg/cm2であるから安全弁からの酸素ガスや
水素ガスの排出もなく、過充電時には正極から発生した
酸素ガスは負極において吸収,イオン化されて水に還元
されているために、従来型電池のように電池内圧の急激
な上昇は見られない。
過充電時に電池内圧が充・放電サイクルの増加と共に上
昇する理由をさらに詳細に説明する。即ち第3図に示す
ように、Iに示す水素吸蔵合金粒子15の表面に公知の無
電解メッキ法で、IIに示すように金属薄膜16を形成させ
ているために、水素吸蔵合金粒子を全面被覆している金
属薄膜の表面積が小さい故に、過充電時に正極より発生
する酸素ガスを効率よく水に還元する触媒作用が充・放
電サイクルの増加と共に減少し、酸素ガスを水に還元す
る反応速度より酸素ガスを発生する反応速度が大きくな
って、電池内に酸素ガスが蓄積し、電池内圧の上昇をお
こし、安全弁より電解液がガス状となって排出し、さら
には電解液の漏出現象まで発生し、電池内の電解液減少
による内部抵抗が上昇し、放電容量を減少させている。
これに対して本発明型電池は第1図IIに示すように、水
素吸蔵合金粒子(母粒子)の表面に母粒子より細かい金
属粒子(子粒子)が強固に数多く結合しているために、
水素吸蔵合金粒子自体の表面積も大きく、正極から発生
する酸素ガスを効率よく水に還元する触媒作用を有して
いる。その水素吸蔵合金粒子の表面に形成している金属
粒子の触媒作用が電池容量を保持し、充・放電サイクル
と共に低下する度合を小さくし、長寿命化が図られてい
る。
一方、従来型電池では水素吸蔵合金粒子の全表面を金属
薄膜で包囲した形をとっているので、電子導伝性は向上
するが、水素吸蔵合金粒子と水素との吸蔵・放出速度が
おそいために、放電電流の増加と共に電池電圧の降下が
大きく、充電電圧も高くなる。
これに対して本発明型電池は水素吸蔵合金粒子の表面を
金属粒子で強固に結合・被覆しているので、電子導伝性
の向上と水素吸蔵合金粒子と水素との吸蔵・放出速度も
早く、放電電流を増加しても電池電圧の降下は従来型電
池程大きくない、例えば、1C(2A)放電において従来型
電池の平均電圧は1.15Vに対して本発明型電池の平均電
圧は1.25Vであり、0.1V程優れている事がわかる。これ
は従来型電池の負極電位が高電流値になるにつれて降下
する度合が大きく影響している。
従来型電池において、水素吸蔵合金粒子に無電解メッキ
する時に発生するピンホール等で、水素の移動速度も異
なって来るが、仮にピンホール等で水素の移動が比較的
用意になったとしても、水素吸蔵合金粒子の表面積は小
さく、触媒活性も小さくなるので、充・放電サイクルの
増加と共に電池内圧は上昇する。
本発明型電池は、水素吸蔵合金粒子を金属粒子で保護し
た構造となっているので、酸素ガスによる水素吸蔵合金
の酸化現象も少なく、1種の酸化抑制層の働きも兼ねて
おり、充・放電サイクルの長寿化が図れることとなる。
この様に、水素吸蔵合金粒子の表面や部分的に金属粒子
で被覆する事によって、表面積の大きい複合粒子が酸素
ガス吸収触媒の働きをし、過充電時の電池内圧の上昇を
抑制し、金属粒子が水素吸蔵合金の酸化抑制層にもなっ
て、水素吸蔵合金の耐久性を向上させ、充・放電サイク
ル寿命の伸長を図っている。
本実施例では水素吸蔵合金を機械的に粉砕した粒体を用
いたが、水素吸蔵合金を水素化させて細分化した水素化
物を用いることも出来る。水素化した粒体を脱水素化し
た状態で負極を作り、密閉型Ni−H2蓄電池を構成しサイ
クル寿命を測定したが同様な特性を得ている。
水素吸蔵合金又は水素化物粒子(母粒子)の表面を改質
する金属粒子(子粒子)の平均粒径は母粒子の平均流径
の1/10〜1/200の範囲にする事が望ましく、この範囲外
の場合は、母粒子の表面に子粒子が均質に強固に付着結
合しない。とくに子粒子が大きくなると脱落しやすくな
り改質の効果がうすい。
また、本実施例では水素吸蔵合金の1例としてMm0.5La
0.5Ni3.5Co1.5を用いたが、他の水素吸蔵合金を用いて
も同様であり、金属粒子としてここでは銅を用いたが他
の導電性の優れた金属であればよい。とくに、ニッケ
ル,コバルト,鉄,亜鉛,カドミウムなど負極に用いら
れる金属単体又は混合物が好ましい。さらにはステンレ
ス鋼,ニッケル基合金のような合金材料でも使用可能で
ある。要するに、金属単体,混合物,合金などであって
もよいが、吸蔵合金粒子より細かい導電性の高い金属が
望ましい。
第1図では金属粒子を単層で描いたが、2〜3層に重な
る場合もありうる。この様な複合した水素吸蔵合金も同
様な効果が期待できる。
発明の効果 以上の様に、本発明によれば過充電時における安全性が
高く、しかも高率放電特性が優れ、充・放電サイクル寿
命の長い、金属酸化物・水素蓄電池を提供できるという
効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は水素吸蔵合金粒子(母粒子)の表面を部分的に
金属粒子(子粒子)で被覆した表面改質の水素吸蔵合金
の構成図、第2図は金属粒子で表面改質した水素吸蔵合
金を負極に用いた密閉型Ni−H2蓄電池の断面斜視図、第
3図は従来の水素吸蔵合金粒子の表面を金属薄膜で包囲
した構成図、第4図は充・放電サイクルと放電容量との
関係を示す図、第5図は充・放電サイクルと電池内圧と
の関係を示した図である。 1,3……水素吸蔵合金粒子(母粒子)、2,4……金属粒子
(子粒子)、5……負極板、6……正極板、7……セパ
レータ。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属酸化物正極と、水素吸蔵合金又は水素
    化物からなる負極と、セパレータおよびアルカリ性電解
    液を備え、前記負極を構成する水素吸蔵合金粒子又は水
    素化物粒子(母粒子)の表面に少なくとも金属粒子(子
    粒子)が部分的に被覆されていることを特徴とする金属
    酸化物・水素蓄電池。
  2. 【請求項2】負極を構成する水素吸蔵合金又は水素化物
    (母粒子)の表面を部分的に被覆する金属粒子(子粒
    子)の平均粒子径が前記母粒子の1/10〜1/200であるこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の金属酸化物
    ・水素蓄電池。
  3. 【請求項3】負極を構成する水素吸蔵合金又は水素化物
    (母粒子)の表面を部分的に被覆する金属粒子(子粒
    子)が、ニッケル,銅,コバルト,鉄,亜鉛,カドミウ
    ムのいずれかの金属単体又はステンレス鋼,ニッケル基
    合金等の合金からなる事を特徴とする特許請求の範囲第
    1項記載の金属酸化物・水素蓄電池。
JP62161713A 1987-06-29 1987-06-29 金属酸化物・水素蓄電池 Expired - Lifetime JPH07111884B2 (ja)

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