JPH0711184Y2 - 延伸仮撚機におけるバルーンプレート - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、糸に撚りを与えた状態で延伸し、この撚りに
沿った延伸を熱固定して、かさ高加工糸とする延伸仮撚
機におけるバルーンプレート（クーリングプレートとも
言われる）に関し、特に走行糸に対する耐摩耗性を向上
させたバルーンプレートに関する。

〔従来の技術〕

まず、第２図により延伸仮撚機全体の機器構成を説明す
る。

第２図は一つの延伸仮撚ユニットを示しており、クリー
ルスタンドで保持される給糸パッケージ１から繰り出さ
れる糸２は、ガイド3,4,5を経て第１フィードローラ６
に入る。第１フィードローラ６を出た糸は上方に向かっ
て延びる１次ヒータ７に入り、１次ヒータ７上方のガイ
ド８に至る。この１次ヒータ７は2.5m前後と高いので、
ガイド８が糸道を屈曲させ水平やや下方向きとし、メン
テナンス通路19をオーバーヘッドで越えるようになって
いる。ガイド８以降の糸はバルーンプレート９を経て仮
撚装置10で撚られ、ガイド１を経て第２フィードローラ
12に入る。この第２フィードローラ12と前記第１フィー
ドローラ６の速度比は糸張力が基準値となるように設定
されている。そして、仮撚装置10より上流の糸は加撚状
態であり、仮撚装置10より下流の糸は解撚状態となって
いる。すなわち、加撚状態の糸が１次ヒータ７で熱固定
される。なお、仮撚装置10は２本の交差するツイスター
ベルト間でニップするニップツイスターや多数のフリク
ションディスクのエッジで糸を転がすディスクツイスタ
ー等種々のものが用いられる。そして、第２フィードロ
ーラ12を出た糸は２次ヒータ13に入り、ガイド14を経て
第３フィードローラ15に至る。さらに、ガイド16,17を
経てテイクアップワインダー18にて巻き取られる。２次
ヒータはオーバーフィード状態の延伸仮撚加工糸に再熱
加工を行って伸縮性を減じかさ高性のみを残すものであ
る。この２次ヒータはPOYの種類で使用される場合と使
用されない場合がある。

ところで、メンテナンス通路19を挟んで配置されたガイ
ド８と仮撚装置10の間は2m前後と長くなる。この間糸Ｙ
をフリーにするとバルーンが発生し糸張力が変動する。
そこで、バルーンを制限するためにバルーンプレート９
を設けている。また、延伸仮撚機の高速化に伴って、１
次ヒータ後の糸Ｙの自然冷却が不足する場合もあるの
で、このバルーンプレート９が走行糸Ｙの冷却を促進さ
せる。したがって、バルーンプレート９をクーリングプ
レートと呼ぶこともある。

つぎに、このバルーンプレート９の詳細を第３図により
説明する。バルーンプレート９は断面Ｖ型であって基準
線ａに対して弓状となっており、糸ＹがＶ型の底9aを摺
接しつつ走行することによってバルーンコントロールを
行っている。また、走行糸ＹがＶ型の底9aを摺接するこ
とによって熱伝達による冷却も促進される。

〔考案が解決しようとする課題〕

従来の技術で説明したバルーンプレート９はその全体に
窒化処理等の表面処理が施されている。しかしながら、
ナイロン糸のように固い糸を延伸仮撚加工すると、第３
図の斜線で示されるような、走行糸Ｙによる出入り口付
近の摩耗が発生し、バルーンプレート９を交換しなけれ
ばならないという問題点を有していた。

本考案は、従来の技術の有するこのような問題点に鑑み
てなされたものであり、その目的とするところは、走行
糸に対する耐摩耗性に優れた延伸仮撚機におけるバルー
ンプレートを提供しようとするものである。

〔課題を解決するための手段〕

上記目的を達成するために、本考案における延伸仮撚機
バルーンプレートは、糸張力を付与しつつ糸を送給する
２組のフィードローラ間の下流側に糸に撚りを与える仮
撚装置を設け、該フィードローラ間の上流間に糸の撚り
を熱固定するヒータを設け、該ヒータと仮撚装置の間
に、走行糸の出入り口とそれに続く摺接部とを有するバ
ルーンプレートを設けた延伸仮撚機において、バルーン
プレートの前記出入り口前後における走行糸の振れや張
力を受け止める耐摩耗材のガイドを前記出入り口付近に
設けたものである。

〔作用〕

バルーンプレートの出入り口付近に設けられた耐摩耗材
のガイドは走行糸の振れや張力を受け止めて出入り口へ
の局所負荷を軽減する。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面を参照しつつ説明する。

第１図は本考案のバルーンプレートを示す図である。

第１図において、バルーンプレート20は両端の出入り口
が拡大された拡大部20a,20bとなっている。この拡大部2
0a,20bは走行糸Ｙが摺接する底20cを走行糸Ｙから離れ
るように屈曲20dさせ、走行糸Ｙの導入空間20eを大きく
したものである。そして、この導入空間20eにセラミッ
クピン21が走行糸Ｙと直角方向に嵌入されている。この
セラミックピン21はアルミナのように耐摩耗性に優れた
材料で成形されたものである。また、セラミックピン21
の中央に円周窪み21aが設けられている。なお、走行糸
Ｙの出口も同様の構成となっている。以上の構造のバル
ーンプレート20においては、走行糸Ｙはセラミックピン
21の円周窪み21aに入り、横移動が防止される。また、
セラミックピン21が走行糸Ｙの振れや張力を受け止め
る。また、走行糸Ｙの出口も同様の作動となっている。
したがって、第３図のように、バルーンプレート20自体
の出入り口に局所負荷が作用しない。そして、走行糸Ｙ
は屈曲20dから底20cへと徐々に導かれ走行糸Ｙの摺接を
底20cへの滑らかなものにする。したがって、ポリエス
テル糸のようにナイロン糸ほど固くない糸に対しては、
バルーンプレート20自体の窒化処理等の表面処理が不用
となり、例えばステンレスのバルーンプレート20とする
ことも可能となる。しかし、ナイロン糸に対しては、バ
ルーンプレート20自体も窒化処理等の表面処理を施すこ
とが好ましい。

なお、セラミックピン21の円周窪み21aは必須ではな
く、ストレートのピンでもよい。また、ピン形状のガイ
ドに限らず、セラミック製の三角溝付きプレートをバル
ーンプレート20の拡大された出入り口に張りつけるも
の、又は三角溝付きプレートを拡大部のスリットに差し
込むものでもよい。さらに、拡大部20a、20bも必須では
なく、ストレートな出入り口の手前にセラミックピン21
を設けるものでもよい。

〔考案の効果〕

本考案における延伸仮撚機バルーンプレートは、糸張力
を付与しつつ糸を送給する２組のフィードローラ間の下
流側に糸に撚りを与える仮撚装置を設け、該フィードロ
ーラ間の上流間に糸の撚りを熱固定するヒータを設け、
該ヒータと仮撚装置の間にバルーンプレートを設けた延
伸仮撚機において、前記バルーンプレートの出入り口付
近に耐摩耗材のガイドを設けたものであり、耐摩耗材の
ガイドは走行糸の振れや張力を受け止めて出入り口への
局所負荷を軽減するので、バルーンプレートの寿命を長
くすることができる。バルーンプレートで特に摩耗の激
しい部分は摺接部に続く出入り口である。これは、出入
り口で糸が屈曲しているからである。この屈曲を防止す
るためには、出入口から摺動部に走行糸が接線方向に出
入りするように調整する必要があるが、調整に手間が掛
かる。本考案のように出入り口に耐摩耗性のガイドを設
けると、ある程度ラフな調整であっても、摩耗を防止で
き、調整が簡単になるという効果も奏する。また、出入
り口と摺動部の全体を高級な耐摩耗性材料で形成するこ
とも考えられるが、コスト高になり、高級な耐摩耗性材
料は一般に熱伝導率が低いので、冷却効果も劣ることに
なる。ポリエステル糸のようにナイロン糸ほど固くない
糸に対しては、バルーンプレート全体の表面処理を不用
にし、コストダウウンを可能にする。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のバルーンプレートを示す図、第２図は
延伸仮撚機全体の機器構成を示す図、第３図は従来のバ
ルーンプレートを示す図である。 ６……第１フィードローラ、７……一次ヒータ、10……
仮撚装置、12……第２フィードローラ、20……バルーン
プレート、20a,20b……拡大部、21……セラミックピン
（ガイド）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】糸張力を付与しつつ糸を送給する２組のフ
   ィードローラ間の下流側に糸に撚りを与える仮撚装置を
   設け、該フィードローラ間の上流側に糸の撚りを熱固定
   するヒータを設け、該ヒータと仮撚装置の間に、走行糸
   の出入り口とそれに続く摺接部とを有するバルーンプレ
   ートを設けた延伸仮撚機において、 バルーンプレートの前記出入り口前後における走行糸の
   振れや張力を受け止める耐摩耗材のガイドを前記出入り
   口付近に設けたことを特徴とする延伸仮撚機におけるバ
   ルーンプレート。