JPH07111155A - 熱電池 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】使用済み熱電池の確認を容易にすることを目的
とする。 【構成】熱電池の容器の一部の保温効果を弱め、その部
分の表面に高温度によって不可逆的に変色する表示手段
を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は電池内部に発熱剤を内蔵
し、電池使用時に発熱剤に点火することにより、電池内
部を高温に加熱して電池を活性化させる熱電池に関する
もので、使用済み熱電池の確認を容易にするものであ
る。

【０００２】

【従来の技術】熱電池とは溶融塩を電解質とする電池で
あり、保存中は電解質が非電導性の固体塩であるため
に、不活性状態にあるが、内蔵されている発熱剤を燃焼
させて、電池内部を高温に加熱することにより、電解質
が溶融して電導性を示すようになり、活性化される。

【０００３】熱電池は保存中の自己放電がほとんどな
く、長期間の保存が可能であり、必要なときは瞬時に活
性化させることができる貯蔵型電池の一種である。ま
た、-55〜100 ℃というような広範囲な環境温度下でも
使用が可能であり、ミサイル、ロケット等の飛しょう体
用の電源や各種非常用電源として欠かせないものとなっ
ている。

【０００４】熱電池の活物質として、負極にカルシウム
を、正極にクロム酸カルシウムを用いた系がよく知られ
ているが、さらに高容量、高出力用として負極にリチウ
ムやリチウム合金を、正極に硫化物や酸化物を用いた熱
電池も開発されている。

【０００５】電解質としては LiCl- 59 モル％、KCl- 4
1 モル％の共晶塩が一般に用いられているが、融点が低
く、イオン電導度の高いその他の溶融塩も使用可能であ
り、カオリンや酸化マグネシウム等の絶縁体粉末を混合
して流動性をなくした状態で使用される。電解質層は、
熱電池作動時のイオンの伝導体であると同時に、正極と
負極のセパレータとしても作用している。

【０００６】発熱剤として、鉄粉と過塩素酸カリウムの
混合物を成形したものが素電池と交互に積層して用いら
れている。発熱剤は電池活性化時に点火されることによ
り、酸化還元反応を起こして発熱し、電池内を作動温度
まで加熱する。この発熱剤は鉄が発熱反応に必要な量よ
りも過剰に含まれており、発熱反応後も導電性が高く、
隣接する素電池間の接続体としても作用している。

【０００７】熱電池は、内蔵した発熱剤に点火する活性
化操作によって初めて起電力を発生するため、他の一次
電池のように端子電圧の測定によって未使用を判別する
ことは不可能である。従来、熱電池容器表面に温度によ
って非可逆に変色する塗料を塗り、その色の変化によっ
て活性化済みを表示する提案が行われている（特公昭50
-11056号）。これによれば、未使用品であれば塗料の変
色はなく、変色していれば使用済み品であると判断でき
る。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】前記提案は、活性化し
た熱電池の容器表面の温度上昇を検出して活性化済みの
有無を判定するものであるが、低温度での使用において
は容器表面の温度が充分上昇せず、塗料の変色が認めら
れないことがあった。長時間放電用の熱電池において
も、厚い断熱層を使用するために、容器の温度上昇はわ
ずかである。また近年、断熱法の改良が進み、容器の温
度上昇は抑えられる傾向にあり、塗料の変色に必要な温
度上昇を示さない場合があった。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明は、素電池および
発熱剤を断熱材で包んで容器に収納した熱電池におい
て、容器の一部の保温効果を弱め、該部分の表面に高温
度によって不可逆的に変色する表示手段を設けたことを
特徴とするものである。

【００１０】

【作用】熱電池容器の一部の保温効果を弱めることによ
り、容器表面の温度検出部の温度を、表示手段の変色に
必要な温度まで上昇させることが可能となった。

【００１１】

【実施例】図１は本発明の一実施例として製作した熱電
池の断面図である。１は素電池、２は発熱剤であり、交
互に積層して発電部３を構成している。４は正極端子、
５は負極端子であり、６は熱電池を活性化するための点
火玉で、７は点火用端子である。点火用端子７に点火電
流を通電することにより、熱電池が活性化し、正極端子
４と負極端子５間に起電力が発生する。８は断熱材、９
は容器であり、熱電池内部を保温している。１０は高温
度によって不可逆的に変色する表示手段であり、該部分
の容器内側の断熱材の一部１１は、他の部分より薄く構
成され、保温効果が弱められている。

【００１２】実施例の表示手段として、サーモペイント
No.10 （テイカ産業（株）製）を使用した。サーモペイ
ントNo.10 は不可逆性温度指示塗料で、130 ℃以上に加
熱されることにより、うす赤紫色から青紫色に変色し、
温度が下がってもその色を保持している。従来、厚さ5m
m のセラミック繊維を断熱材に使用した熱電池を、-55
℃の低温で活性化すると、容器表面温度は120 ℃までし
か上昇せず、サーモペイントの変色は認められなかっ
た。

【００１３】本発明電池は表示手段の内側のみ、断熱層
の厚さを2mm としたもので、-55 ℃で放電した場合で
も、青紫色への変色が認められた。本発明電池は表示手
段を設けた部分がスポット的に温度上昇するのみであ
り、全体の保温性を低下させるものではなく、電池の放
電特性への悪影響は認められなかった。

【００１４】実施例では断熱材の一部を薄くしたが、内
部の熱を積極的に取り出すような手段を構じてもよい。
すなわち、電池容器内側に金属やセラミックのような熱
伝導性の良好な物質の突起を取り付けることにより、容
器表面の一部の温度を上げることが可能である。なお、
表示手段は不可逆性温度指示塗料を塗布してもよいし、
シート状に加工したものを張り付けてもよい。

【００１５】

【発明の効果】本発明によれば、容器全体の温度が上昇
しないような低温度でも表示手段の変色が可能であり、
また優れた保温手段を使用した場合でも、一部の保温効
果を弱めることにより、未使用電池の確認が容易となっ
た。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す熱電池の断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 素電池 ２ 発熱剤 ３ 発電部 ４ 正極端子 ５ 負極端子 ６ 点火玉 ７ 点火用端子 ８ 断熱材 ９ 容器 １０ 表示手段 １１ 断熱材の薄い部分

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】素電池および発熱剤を断熱材で包んで容器
   に収納した熱電池において、容器の一部の保温効果を弱
   め、該部分の表面に高温度によって不可逆的に変色する
   表示手段を設けたことを特徴とする熱電池。