JPH0711015Y2 - 農用トラクタの配管構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、エンジンに接続するクラツチハウジング内に
油圧駆動無断変速機構を装備した農用トラクタの配管構
造に関し、さらに詳しくは、油圧駆動無断変速機構のポ
ンプと、取付ケースの油路との間を内部配管により連結
し、取付ケースの油路に外部配管を接続するようにした
農用トラクタの配管構造に関するものである。

〔従来技術〕

従来は、クラツチハウジング内に配設した油圧駆動無断
変速機構のポンプ（可変容量型）に接続される配管は、
クラツチハウジング側に設けた組立用の孔やクラツチハ
ウジング下方に設けた組立用の開放部等によつて外部よ
り配管するようになつていた。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかし、従来では、クラツチハウジング内に組み込んだ
ポンプに外部より配管を行つているので、配管が複雑と
なり配管の組立が非常に困難となる上に、クラツチハウ
ジングに組立用の孔や開放部を設ける関係上、農用トラ
クタのモノコツク機体を構成するクラツチハウジングの
強度が不足するという問題点があつた。

そこで、本考案は上述した従来の実情に鑑み、その問題
を解消すべく創案されたもので、配管を、油圧駆動無断
変速機構のポンプと取付ケースとの間を連結する内部配
管と、取付ケースの外部に配管する外部配管とに区画す
ることにより、配管構造を簡素化できると共に、クラツ
チハウジングの強度を維持し組立性を向上できる農用ト
ラクタの配管構造を提供することを目的として実施する
ものである。

〔問題を解決するための手段〕

上記目的を達成する本考案は、エンジンに接続するクラ
ツチハウジング内に油圧駆動油断変速機構を装備した農
用トラクタにおいて、上記無段変速機構のポンプを取付
ける取付ケースをクラツチハウジングに接続固定し、上
記ポンプと取付ケースに設けた油路との間を、上記ハウ
ジング内に位置する夫々の内部配管により連結し、取付
ケースの上記油路に連通する外面側油路に外部配管を接
続してなるものである。

〔作用〕

したがつて、エンジン２に接続するクラツチハウジング
３内に油圧駆動油断変速機構の可変容量ポンプ20を装備
するようにした農用トラクタにあつても、該ポンプ20を
取付ける取付ケース４をクラツチハウジング３に接続固
定し、可変容量ポンプ20のチヤージポンプと取付ケース
４に設けた油路22、25、との間を、上記ハウジング３内
に位置するチヤージポンプ系のパイプ23、26により夫々
連結すると共に、可変容量ポンプ20側のドレン口27と取
付ケース４に設けた油路29との間を上記ハウジング３内
に位置するドレン系のパイプ30により連結することで、
これらパイプ30、パイプ23、パイプ26よりなる３本のパ
イプは、可変容量ポンプ20と取付ケース４との組立時に
同時に配管されクラツチハウジング内の位置する内部配
管に構成されている。

また、パイプ32、パイプ34、パイプ40の３本よりなる作
動油供給・循環系のパイプは、可変容量ポンプ20に直接
組み立てることなく、クラツチハウジングに接続固定さ
れる取付ケース４の油路22、25、39に夫々連通する外面
側油路22a、25a、39aに接続する外部配管に構成されて
いる。

このように、可変容量ポンプ20と取付ケース４との間を
直接連結するチヤージポンプ系およびドレン系の内部配
管と、取付ケース４の外面側油路に接続する作動油供給
・循環系の外部配管とに区画することで、配管構造を簡
素化するとと共に組立性が向上され、また、従来のよう
な組立用の孔や開放部を設ける必要がないので、クラツ
チハウジング３の強度が維持される。

〔実施例〕

以下、本考案を一実施例として示す図面について説明す
る。

第４図〜第５図に示す如く、機体前方にボンネツト１に
覆われるエンジン２が配設され、このエンジン２の後端
には後方に延びるクラツチハウジング３の前端が接続固
定され、このクラツチハウジング３の後端には取付ケー
ス４の前端が接続固定され、この取付ケース４の後端に
はトランスミツシヨンケース５の前端が接続固定されて
おり、これらエンジン１、クラツチハウジング３、取付
ケース４およびトランスミツシヨンケース５により前後
方向に延びる農用トラクタＴのモノコツク機体６が構成
されている。

上記トランスミツシヨンケース５の後方側両側面には、
後輪７を取付ける後車軸を支持するための後輪ケース９
が夫々固定されており、またエンジン２の両側面に基端
側が固定されたシヤーシ10は前方に延長され、このシヤ
ーシ10の下方には図示しない前輪ケースが配設され、こ
の前輪ケースに支持された前輪軸に前輪11が取付けられ
ており、この前輪11は後輪７を駆動する走行系の伝動機
構から同時に駆動される４駆状態に切換えられるよう構
成されている。

上記ボンネツト１の後方には、前輪11を操向するための
ステアリングホイール12が設けられ、このステアリング
ホイール12の後方に配設された運転座席13は、上記トラ
ンスミツシヨンケース５の上側に固定されており、この
運転座席13の下方には油圧シリンダケース14が設けら
れ、この油圧シリンダケース14の後方には、内部のピス
トンが進退することで支点軸15を中心にして昇降するリ
フトアーム16が設けられており、このリフトアーム16に
より、図示しない三点リンク機構に連結された作業機が
昇降する。

第１図〜第３図に示す如く、上記取付ケース４には、ク
ラツチハウジング４内に収納される油圧駆動無段変速機
構（HST装置）の可変容量ポンプ（可変容量型可逆斜板
式ポンプ）20が取付ボルト等により取付けられるが、こ
の可変容量ポンプ20は、その入力軸20aが図外のメイン
クラツチを介してエンジン２に接続する主軸に連動連結
されると共に、その上方側の出力軸20aおよび下方側の
出力軸20bとが、取付ケース４内に装備された図外の伝
動ギヤに接続されることにより、トランスミツシヨンケ
ース４内に装備された走行系の伝動軸とPTO系の伝動軸
とに夫々連動連結される油圧駆動無段変速機構（HST装
置）に構成されている。

この可変容量ポンプ20の斜板角を制御する操作軸45はク
ラツチハウジング３の側面よりも外側に突出され連結ア
ーム46が固定されており、この連結アーム46は連結ロッ
ド47を介して運転座席13側方に位置する操作レバー49に
連動連結されている。この操作レバー49は支点50を中心
にして中立位置と、この中立位置を挟む前方側の前進状
態と、後方側の後進状態とにわたつて操作可能に設けら
れている。したがつて可変容量ポンプ20は操作レバー49
の操作に連動して走行系の伝動軸とPTO系の伝動軸とが
所定の範囲内において無段に変速できる。

取付ケース４のクラツチハウジング３後端に対面する側
には、油路22、25、29、39が夫々設けられており、この
油路22は取付ケース４の右側外側面に設けた外面側油路
22aに連通され、また油路25は取付ケースの左側外側面
に設けた外面側油路25aに連通され、また、油路29はト
ランスミツシヨンケース５に戻るドレンに連通され、さ
らに油路39は取付ケース４の上面側外側面に設けた外面
側油路39aに連通されている。

しかして、組立の際、取付ケース４に固定された可変容
量ポンプ20は、チヤージポンプの吸入口21と取付ケース
４側の油路22との間がパイプ23、そのチヤージポンプの
吐出口24と取付ケース４側の油路25との間がパイプ26に
より連結される。また可変容量ポンプ20側のドレン口27
と取付ケース４側の油路29との間がパイプ30により連結
できるので、このパイプ30、およびパイプ23、パイプ26
よりなる３本のパイプは、可変容量ポンプ20と取付ケー
ス４との組立時に同時に配管された上で、可変容量ポン
プ20と一体でクラツチハウジング３内部に配設される内
部配管に構成されている。

この可変容量ポンプ20と内部配管とが組み立てられた取
付ケース４は、ユニツトとしてクラツチハウジング３の
後端に接続固定するが、この取付ケース４の油路22に連
通する外面側油路22aと、分流パイプ31との間はパイプ3
2により連結され、また取付ケース４の油路25に連通す
る外面側油路25aにはジヨイント33が取付けられ、この
ジヨイント33と機体前方のオイルクーラー35の入口側と
の間はパイプ34により連結される。また、オイルクーラ
ー35の出口側とラインフイルタ36の入口側との間はパイ
プ37により連結され、このラインフイルタ36の出口側と
取付ケース４の上面に開口の外面側油路39aとの間はパ
イプ40により連結される。この取付ケース４の上面側に
設けた油路39の下流側は可変容量ポンプ20の内部に装備
されるプランジヤーに連通されている。上記分流パイプ
31はメインサクシヨンパイプ44を介してエンジン２によ
り駆動される油圧ポンプＰに連通されている。

したがつて、これらのパイプ32、パイプ34、パイプ40の
３本よりなる作動油供給・循環系のパイプは、可変容量
ポンプ20に直接組み立てることなく、クラツチハウジン
グ３に接続固定された取付ケース４の外面に位置する外
面側油路22a、25a、39aに夫々接続する外部配管に構成
されている。

可変容量ポンプ20への作動油供給経路は、第３図の如
く、トランスミツシヨンケース５よりメインサクシヨン
パイプ41を経由してメインフイルタ43を通過した作動油
を、分流パイプ31を通過する際にパイプ32側に分流さ
せ、取付ケース４側の油路22を通過させてパイプ23から
可変容量ポンプ20からチヤージポンプの吸入側に供給す
るが、このチヤージポンプから吐出された作動油は、パ
イプ26を経由し取付ケース４の油路25を通過してパイプ
34から機体前方のオイルクーラー35に流れる。

オイルクーラー35を通過した作動油は、パイプ37を経由
してラインフイルタ36を通過し取付ケース４側の油路39
を通り可変容量ポンプ20に供給される循環経路を循環す
るが、この可変容量ポンプ20からのドレン油はパイプ30
を通り取付ケース４の油路29からトランスミツシヨンケ
ース５内に返るドレン系を流れる。

このように、取付ケース４には、可変容量ポンプ20と、
チヤージポンプ系およびドレン系の３本のパイプ23、2
6、30とを予めユニツトとして組み立てることができ
る。このユニツトは取付ケース４の前端をクラツチハウ
ジング３の後端に接続固定することで、その可変容量ポ
ンプ20と内部配管とがクラツチハウジング３内に組み込
みできる。クラツチハウジング３に接続固定された取付
ケース４に、外部配管とした作動油供給・循環系のパイ
プ32、パイプ34、およびパイプ40を配管することで、ク
ラツチハウジング３内に一旦組み込んだ可変容量ポンプ
20に後から各パイプを配管する必要がないので、従来の
ように農用トラクタのモノコツク機体を構成するクラツ
チハウジングに配管組立用の孔や開放部を設ける必要が
なく、クラツチハウジングの強度を維持できる上に、内
部配管と外部配管とに区画することで、配管構造を簡素
化できると共に組立性を向上できる。

〔考案の効果〕

以上に説明してきたように本考案は、エンジンに接続す
るクラツチハウジング内に油圧駆動無段変速機構を装備
するようにした農用トラクタにあつても、上記無段変速
機構のポンプを取付ける取付ケースをクラツチハウジン
グに接続固定し、ポンプと取付ケースとの間をクラツチ
ハウジング内に位置する内部配管により連結すること
で、この内部配管をポンプと取付ケースとの組立時に同
時に配管できる。

しかも、外部配管は、クラツチハウジング内に位置する
ポンプに直接組み立てることなく、クラツチハウジング
に接続固定される取付ケースの外面側油路に夫々接続し
て組み立てることができる。

したがつて、従来のようにクラツチハウジング内にポン
プを組み込んた後に配管することなく、ポンプと取付ケ
ースとの間を直接連結する内部配管と、取付ケースに接
続させる外部配管とに区画することで、配管構造を簡素
化できる共に組立性を向上できる。また従来のような組
立用の孔や開放部が不要となることで、クラツチハウジ
ングの強度を維持できる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は要部の平面
図、第２図は要部の側面図、第３図は配管の配置図、第
４図は農用トラクタの右側面を示す全体側面図、第５図
は農用トラクタの左側面を示す全体側面図である。 ２……エンジン、３……クラツチハウジング、４……取
付ケース、20……可変容量ポンプ（油圧駆動油断変速機
構）、22……油路、22a……外面側油路、23……パイ
プ、25……油路、25a……外面側油路、26……パイプ、2
7……ドレン口、29……油路、29a……外面側油路、30…
…パイプ、32……パイプ、34……パイプ、39……油路、
40……パイプ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】エンジンに接続するクラツチハウジング内
   に油圧駆動無段変速機構を装備した農用トラクタにおい
   て、上記無段変速機構のポンプを取付ける取付ケースを
   クラツチハウジングに接続固定し、上記ポンプと取付ケ
   ースに設けた油路との間を、上記ハウジング内に位置す
   る夫々の内部配管により連結し、取付ケースの上記油路
   に連通する外面側油路に外部配管を接続してなる農用ト
   ラクタの配管構造。