JPH07109908A - バルブタイミング制御装置付エンジンの潤滑油回路 - Google Patents

バルブタイミング制御装置付エンジンの潤滑油回路

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Publication number
JPH07109908A
JPH07109908A JP25613293A JP25613293A JPH07109908A JP H07109908 A JPH07109908 A JP H07109908A JP 25613293 A JP25613293 A JP 25613293A JP 25613293 A JP25613293 A JP 25613293A JP H07109908 A JPH07109908 A JP H07109908A
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JP
Japan
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oil
engine
valve
lubricating oil
pressure
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JP25613293A
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Inventor
Akira Hoshino
明良 星野
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】バルブタイミングの可変応答性及び制御性並び
に装置の耐久性の向上を図ることを可能とする。 【構成】カムシャフト1の先端にタイミングプーリ10
を設け、両者1,10の間にリングギヤ25を介在させ
る。カムシャフト1とタイミングプーリ10との間でリ
ングギヤ25の軸方向両側に各油圧室26,27を設け
る。オイルコントロールバルブ(OCV)44により、
各油圧室26,27に選択的に油圧を供給して、リング
ギヤ25を軸方向へ移動させてカムシャフト1とタイミ
ングプーリ10とを相対回動させる。オイルポンプ41
とOCV44との間にはモジュレートバルブ81を設け
る。このため、オイルポンプ41からのポンプ吐出圧が
一定値以上のときには、OCV44へ導入される圧力
は、ほぼ所定値となり、潤滑油の温度、粘度等が変化し
たり、エンジンの回転数が増大したりしても、OCV4
4に供給される油圧は、所定値を超えることがない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、エンジンの運転時に
バルブの開閉時期を可変とするバルブタイミング制御装
置に係る。より詳しくは、ヘリカルスプラインを有する
リングギヤを、リニアソレノイドにて調整される潤滑油
の油圧によって移動させるタイプのバルブタイミング制
御装置を備えたエンジンの潤滑油回路に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の技術として、例えば実開
平3−99806号公報に開示されたものが知られてい
る。この技術では、カムシャフトの外周に、自身の外周
にヘリカルスプラインを有するリングギヤが設けられて
いる。このリングギヤは、スプリングにより軸方向の一
方向に付勢されている。また、オイルポンプからの潤滑
油の油圧が、リニアソレノイド式の油圧制御弁により調
整されて、油圧室に供給されるようになっている。そし
て、エンジンの運転時においては、油圧室には、油圧制
御弁により調整された油圧が供給される。この供給によ
り、リングギヤはカムシャフトの軸方向に油圧を受ける
こととなり、適宜に移動する。このとき、前記ヘリカル
スプラインの存在により、エンジンに駆動連結されたプ
ーリとカムシャフトとの回転位相が変化し、結果的にバ
ルブの開閉時期が調整される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来技
術では、油圧制御弁には、オイルポンプから吐出される
油圧が直接加えられるようになっていた。このため、油
圧制御弁に加えられる油圧は、そのときどきの運転状態
に応じて大きく変動することとなっていた。すなわち、
油圧は、油温の変化に起因する油の粘度の変化や、オイ
ルポンプを駆動するためのエンジンの回転数によって大
きく変動していた。そのため、上記の油圧の変動によ
り、バルブタイミングの可変応答性が悪化したり、制御
弁の制御性が悪化したりするおそれがあった。また、エ
ンジンの高速回転による油圧の著しい上昇に起因して、
装置の構造上の耐久性が損なわれるおそれがあった。
【0004】本発明は前述した事情に鑑みてなされたも
のであって、その目的は、オイルポンプからの調整され
た潤滑油により、リングギヤをカムシャフトの軸方向へ
移動させ、プーリの駆動力をヘリカルスプラインにてカ
ムシャフトに伝達し、プーリ及びカムシャフトの回転位
相を変化させてバルブの開閉時期を調整するようにした
バルブタイミング制御装置付のエンジンの潤滑油回路に
おいて、バルブタイミングの可変応答性及び制御性並び
に装置の耐久性の向上を図ることのできるバルブタイミ
ング制御装置付エンジンの潤滑油回路を提供することに
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、第1の発明においては、エンジンのバルブ駆動用カ
ムシャフトの外周に設けられ、かつ、前記エンジンに駆
動連結されたプーリと、前記カムシャフト及びプーリ間
に介在されるとともに、内外周面にスプラインを有し、
かつ、少なくともその一方がヘリカルスプラインである
リングギヤと、前記エンジンに駆動連結され、かつ、そ
のエンジンの運転状態に応じて前記エンジン各部を潤滑
するための潤滑油を加圧して吐出するオイルポンプと、
前記オイルポンプからの潤滑油の一部を圧力室へ供給
し、その油圧を前記リングギヤに作用させるための供給
路と、前記供給路の途中に設けられ、前記油圧をリニア
ソレノイドにより調整するための油圧調整手段とを備
え、前記油圧調整手段にて調整された油圧により、リン
グギヤをカムシャフトの軸方向へ移動させ、プーリの駆
動力をヘリカルスプラインにてカムシャフトに伝達し、
プーリ及びカムシャフトの回転位相を変化させてバルブ
の開閉時期を調整するようにしたバルブタイミング制御
装置付エンジンの潤滑油回路において、前記オイルポン
プから吐出される油圧が基準値以上のときには、前記油
圧調整手段に供給される油圧がほぼ所定値となるよう、
前記オイルポンプと前記油圧調整手段との間に定圧弁を
設けたことをその要旨としている。
【0006】また、第2の発明においては、第1の発明
のバルブタイミング制御装置付エンジンの潤滑油回路に
おいて、前記定圧弁を前記エンジンのシリンダブロック
又はシリンダヘッド内の収容空間内に配設可能とすると
ともに、前記収容空間には、ピストンへ潤滑油を噴射す
るためのオイルジェット用オイル通路を開孔させたこと
をその要旨としている。
【0007】さらに、第3の発明においては、第1の発
明のバルブタイミング制御装置付エンジンの潤滑油回路
において、前記定圧弁は、全閉付勢型の弁であることを
その要旨としている。
【0008】
【作用】上記の第1の発明の構成によれば、エンジンの
バルブ駆動用カムシャフトの外周に設けられたプーリ
は、エンジンの回転に伴って回転駆動される。オイルポ
ンプは、エンジンの運転状態に応じてエンジン各部を潤
滑するための潤滑油を加圧、吐出して、それを供給路及
び圧力室へと供給する。また、供給路の途中に設けられ
た流体圧調整手段は、リニアソレノイドにより圧力室へ
供給される油圧を調整する。そして、その油圧がリング
ギヤに作用し、リングギアが軸方向へ移動する。この移
動及びヘリカルスプラインの作用により、プーリとカム
シャフトとの間に捩じり力が付与される。そして、プー
リの駆動力がヘリカルスプラインにてカムシャフトに伝
達されるに際しての、プーリ及びカムシャフトの回転位
相が変化する。このため、バルブの開閉時期が調整され
る。
【0009】さらに、この発明においては、オイルポン
プと油圧調整手段との間に設けられた定圧弁により、オ
イルポンプから吐出される油圧が基準値以上のときに
は、油圧調整手段に供給される油圧がほぼ所定値とな
る。すなわち、潤滑油の温度、粘度等が変化したり、エ
ンジンの回転数が増大したりしても、油圧調整手段に供
給される油圧は、所定値を超えることなく、その所定値
にほぼ保たれる。従って、バルブタイミングの可変応答
性及び制御性が、油圧調整手段に供給される油圧の変動
によって変化することが抑制される。また、油圧調整手
段に供給される油圧の著しい上昇によって、装置の耐久
性が損なわれることがなくなる。
【0010】また、第2の発明によれば、第1の発明の
作用に加えて、定圧弁がエンジンのシリンダブロック又
はシリンダヘッド内の収容空間内に配設可能とされてお
り、その収容空間には、ピストンへ潤滑油を噴射するた
めのオイルジェット用オイル通路が開孔されている。こ
のため、この収容空間へ収容される定圧弁のバリエーシ
ョンが適宜に変更されることにより、オイルジェットを
行うタイプのエンジンと、そうでないタイプのエンジン
との間での、シリンダブロック又はシリンダヘッドの共
用化が図られ得る。
【0011】さらに、第3の発明によれば、第1の発明
の作用に加えて、定圧弁は、全閉付勢型の弁であるた
め、エンジンの停止中には、各油路の連通が遮断され
る。このため、エンジンの停止中における、潤滑油の抜
け落ちが抑制されることとなり、エンジンの再始動時に
おいては、各油路には作動油がほぼ充満された状態とな
っている。従って、潤滑油の抜け落ちに起因してのバル
ブタイミング性能の悪化及び潤滑性の欠如による打音の
発生が抑制され、潤滑油の充填レベルの管理が容易に行
われる。
【0012】
【実施例】以下、この発明におけるバルブタイミング制
御装置付エンジンの潤滑油回路を具体化した一実施例を
図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】図1は、本実施例におけるバルブタイミン
グ制御装置付エンジンの潤滑油回路を模式的に示す図で
ある。潤滑油回路は、オイルパン42、オイルポンプ4
1、オイルフィルタ43、エンジン本体潤滑系47、リ
ニアソレノイド式のオイルコントロールバルブ(以下、
単にOCVという)44、可変バルブタイミングアクチ
ュエータ(VVTアクチュエータ)48及びこれらを連
結する各種油路等により構成されている。
【0014】以下に、個々の要素について詳細に説明す
る。図2は本実施例におけるVVTアクチュエータ48
を含むバルブタイミング制御装置を中心として示す断面
図である。カムシャフト1は、図示しないエンジンの吸
気バルブ或いは排気バルブを駆動するために設けられて
おり、そのジャーナル2がシリンダヘッド3の軸受部4
とベアリングキャップ5との間で回転可能に支持されて
いる。ジャーナル2には、その外周に沿って延びる二本
のジャーナル溝6,7が形成されている。また、シリン
ダヘッド3には、各ジャーナル溝6,7及びジャーナル
2に潤滑油を供給するための第1のヘッド油路8及び第
2のヘッド油路9が形成されている。
【0015】第1のヘッド油路8及び第2のヘッド油路
9の一端は、OCV44に接続され、このOCV44
は、オイルフィルタ43、オイルポンプ41、そして、
オイルストレーナ45を介してオイルパン42に接続さ
れている。オイルポンプ41は、エンジンに駆動連結さ
れており、エンジンの作動に連動して潤滑油を汲み上
げ、吐出する。そして、オイルポンプ41が駆動される
ことにより、オイルパン41からオイルストレーナ45
を介して潤滑油が吸い上げられる。その潤滑油がオイル
フィルタ43を通過した後、OCV44の作動により、
所定の圧力をもって各ヘッド油路8,9に供給されて各
ジャーナル溝6,7及びジャーナル2に供給されるよう
になっている。ここで、ヘッド油路8,9に対する潤滑
油の供給は、前記OCV44により任意に調節すること
ができるようになっている。このOCV44の詳しい構
成については、後述する。
【0016】また、前記オイルフィルタ43とOCV4
4との間において、メイン油路46が分岐形成されてお
り、この油路46は、動弁機構及びクランク機構等より
構成されるエンジン本体潤滑系47に連通されている。
【0017】次に、バルブタイミングを調整するための
機構、すなわちVVTアクチュエータ48について説明
する。カムシャフト1の先端部には、プーリを構成する
タイミングプーリハウジング10が設けられている。こ
のタイミングプーリハウジング10はプーリ本体11と
そのプーリ本体11の一側面及びカムシャフト1の先端
部を覆うように組み付けられたカバー12とを備えてい
る。プーリ本体11はほぼ円板状をなし、その外周には
複数の外歯13が形成され、中央にはボス14が形成さ
れている。プーリ本体11はそのボス14によりカムシ
ャフト1に対して相対回動可能に装着されている。ま
た、外歯13にはタイミングベルト15が装着されてお
り、同ベルト15を介してタイミングプーリハウジング
10がエンジンの図示しないクランクシャフトに駆動連
結されている。一方、カバー12は有底円筒状をなし、
その外周にはフランジ16が形成され、底部中央には連
通孔17が形成されている。また、カバー12の内周に
は、複数の内歯12aが形成されている。カバー12は
そのフランジ16にて複数のボルト18及びピン19に
より、プーリ本体11の一側面に固定されている。ま
た、連通孔17には蓋20が取り外し可能に装着されて
いる。そして、プーリ本体11とカバー12とにより囲
まれた空間が、タイミングプーリハウジング10の内部
に形成された収容空間21となっている。
【0018】この収容空間21において、カムシャフト
1の先端には、有底筒状をなすインナキャップ22が中
空ボルト23により締め付けられると共に、ピン24に
より回り止めされている。このインナキャップ22の周
壁22aはプーリ本体11のボス14を内包するように
装着されており、両者11,22は相対回動可能となっ
ている。また、インナキャップ22の周壁22aの外周
には、複数の外歯22bが形成されている。
【0019】タイミングプーリハウジング10とカムシ
ャフト1との間にはリングギヤ25が介在され、そのリ
ングギヤ25により両者10,1が連結されている。す
なわち、リングギヤ25は、図2に示すように環状をな
し、タイミングプーリハウジング10の収容空間21に
て、カムシャフト1の軸方向に沿って往復動可能に収容
されている。このリングギヤ25はその内外周に設けら
れた複数の歯25a,25bの両方がヘリカル歯となっ
ており、軸方向への移動によってカムシャフト1と相対
回動可能になっている。そして、リングギヤ25の内周
の歯25aはインナキャップ22の外歯22bに、リン
グギヤ25の外周の歯25bはカバー12の内歯12a
にそれぞれ噛合している。従って、タイミングプーリハ
ウジング10が回転駆動されることにより、リングギヤ
25で連結されたタイミングプーリハウジング10とイ
ンナキャップ22とが一体的に回転され、更にカムシャ
フト1がタイミングプーリハウジング10と一体的に回
転駆動される。
【0020】収容空間21において、リングギヤ25の
軸方向一端とカバー12の底壁との間には、圧力室を構
成する第1の油圧室26が形成されている。同じく、収
容空間21において、リングギヤ25の軸方向他端とプ
ーリ本体11との間には、圧力室を構成する第2の油圧
室27が形成されている。
【0021】ここで、第1の油圧室26に潤滑油による
油圧を供給するために、カムシャフト1にはその中心に
沿って延びる第1のシャフト油路28が形成されてい
る。このシャフト油路28の先端側は中空ボルト23の
中心孔23aを通じて第1の油圧室26に連通されてい
る。また、このシャフト油路28の基端側は、カムシャ
フト1の半径方向に延びる油孔29を通じてジャーナル
溝6に連通されている。
【0022】一方、第2の油圧室27に潤滑油による油
圧を供給するために、カムシャフト1には第1のシャフ
ト油路28と平行に延びる第2のシャフト油路30が形
成されている。また、カムシャフト1の先端寄り位置に
は、その外周に沿って延びる一つの周溝31が形成され
ている。この周溝31の一部は第2のシャフト油路30
に連通されている。更に、プーリ本体11のボス14の
一部には、上記の周溝31と第2の油圧室27とを連通
させる油孔32が形成されている。また、第2のシャフ
ト油路30の基端側は他方のジャーナル溝7に連通され
ている。加えて、第2の油圧室27において、リングギ
ヤ25とプーリ本体11との間には、リングギヤ25を
図2に示す初期位置(遅角側位置)へ復帰させるために
付勢するスプリング33が介在されている。
【0023】そして、図3に示すように、OCV44に
より第1のヘッド油路8に潤滑油が供給されると共に、
第2のヘッド油路9がオイルパン42へ開放されること
により、その油圧がジャーナル溝6、油孔29、第1の
シャフト油路28及び中空ボルト23の中心孔23aを
通じて第1の油圧室26に供給される。この油圧がリン
グギヤ25の一端に加えられることにより、リングギヤ
25がスプリング33の付勢力と第2の油圧室27内の
油に抗して軸方向へ移動されながら回動して、カムシャ
フト1に捩じりが付与される。この結果、カムシャフト
1とタイミングプーリハウジング10との回転方向にお
ける相対位置が変えられ、吸気バルブ或いは排気バルブ
の作動タイミングが進角されることになる。このよう
に、第1の油圧室26に油圧が加えられることにより、
リングギヤ25はそのストロークエンドとして、図3に
示すように、プーリ本体11に近接する位置まで移動さ
れ、そのストロークエンドが最大進角側の位置となる。
【0024】一方、図4に示すように、OCV44によ
り第2のヘッド油路9に潤滑油が供給されると共に、第
1のヘッド油路8がオイルパン42へ開放されることに
より、その油圧がジャーナル溝7、第2のシャフト油路
30、周溝31及び油孔32を通じて第2の油圧室27
に供給される。この油圧がリングギヤ25の他端に加え
られることにより、リングギヤ25が第1の油圧室26
内の油に抗して軸方向へ移動されながら回動され、カム
シャフト1に反対方向の捩じりが付与される。この結
果、カムシャフト1とタイミングプーリハウジング10
との回転方向における相対位置が変えられ、吸気バルブ
或いは排気バルブの作動タイミングが遅角されることに
なる。このように、第2の油圧室27に油圧が加えられ
ることにより、リングギヤ25はストロークエンドとし
て、図4に示すように、カバー12に近接する位置まで
移動され、そのストロークエンドが最大遅角側の位置と
なる。
【0025】なお、この実施例では、図2に示すよう
に、OCV44により両ヘッド油路8,9に対する潤滑
油の供給を停止させることにより、リングギヤ25が、
スプリング33の付勢力により、最大遅角側のストロー
クエンドへ復帰して、図4で説明したのと同様の状態と
なるようになっている。また、この実施例では、OCV
44により第1の油圧室26及び第2の油圧室27に供
給される油圧のバランスを調整することにより、リング
ギヤ25をその軸方向へ移動させて任意の位置に保持す
ることも可能である。
【0026】ここで、リングギヤ25とインナキャップ
22との間には、シール面34が設けられている。ま
た、リングギヤ25とカバー12との間には、リングギ
ヤ25の外周に組み付けられたシールリング35が介在
されている。この構成により、第1の油圧室26と第2
の油圧室27とが互いに別空間として区切られており、
それぞれ袋小路の状態となっている。そのため、各油圧
室26,27に対する潤滑油の出入りは、前述した各油
路8,9,28,30等よりなる独立した別々の回路を
通じて行われることになる。
【0027】次に、前述したOCV44について説明す
る。前述したように、OCV44は、第1のヘッド油路
8及び第2のヘッド油路9を選択的に開閉して、リング
ギヤ25の停止位置を切り換えるためのものである。図
2に示すように、OCV44は、スリーブ51とスプー
ル52とソレノイド53とを備えている。スリーブ51
は供給ポート54、第1の吐出ポート55、第2の吐出
ポート56並びに第1のドレンポート57、第2のドレ
ンポート58を有している。供給ポート54は前記オイ
ルポンプ41に接続されている。また、第1の吐出ポー
ト55は第1のヘッド油路8に接続され、第2の吐出ポ
ート56は第2のヘッド油路9に接続されている。さら
に、第1のドレンポート57及び第2のドレンポート5
8はオイルパン42に接続されている。
【0028】スプール52は略円筒状をなし、前記スリ
ーブ51内において前後方向へ摺動可能に配設されてい
る。スプール52の外周には、三本の環状凹部59,6
0,61が互いに前後方向に離間した状態で形成されて
いる。
【0029】OCV44の後半部(図の右側部)にはソ
レノイド53が内蔵されており、このソレノイド53に
前記スプール52が連結されている。このソレノイド5
3の励磁は、後述する電子制御装置(以下、単にECU
という)71によってデューティ制御される。スプール
52はソレノイド53の励磁状態に応じてスリーブ51
内を往復動する。詳しくは、スプール52は、ソレノイ
ド53が励磁されないとき(例えばデューティ比=0
%)、スリーブ51の前端部に収容されたスプリング6
2の付勢力により図4で示す位置に保持される。一方、
ソレノイド53が励磁(例えばデューティ比=100
%)されたとき、前記スプリング62の付勢力に抗し
て、最大限で図3に示す位置まで前進する。また、スプ
ール52は、ソレノイド53が励磁と非励磁とを短いサ
イクルで繰り返すと(例えばデューティ比=50%)、
適当な中間位置、すなわち図2に示す位置に保持される
ようになっている。
【0030】より詳しく説明すると、前記ソレノイド5
3の非励磁(デューティ比=0%)により、スプール5
2が図4の位置まで後退すると、供給ポート54、中央
の環状凹部60及び第2の吐出ポート56が連通する。
また、第1の吐出ポート55、後側の環状凹部61及び
第1のドレンポート57が連通する。すると、オイルポ
ンプ41からの潤滑油は、第2の吐出ポート56から第
2のヘッド油路9へと供給される。一方、第1のヘッド
油路8からの潤滑油は、第1の吐出ポート55から第1
のドレンポート57を経てオイルパン42へと排出され
る。
【0031】また、前記ソレノイド53の励磁(デュー
ティ比=100%)により、前記スプール52が図3の
位置まで前進すると、供給ポート54、中央の環状凹部
60及び第1の吐出ポート55が連通する。また、第2
の吐出ポート56、前側の環状凹部59及び第2のドレ
ンポート58が連通する。すると、オイルポンプ41か
らの潤滑油は、第1の吐出ポート55から第1のヘッド
油路8へと供給される。一方、第2のヘッド油路9から
の潤滑油は、第2の吐出ポート56から第2のドレンポ
ート58を経てオイルパン42へと排出される。
【0032】さらに、前記ソレノイド53の励磁・非励
磁の繰り返し(デューティ比=50%)により、スプー
ル52が図2の位置に保持されると、中央の環状凹部6
0は出口側において塞がれることとなる。つまり、供給
ポート54から導入された潤滑油は、中央の環状凹部6
0内で遮断され、第1及び第2の吐出ポート55,56
のいずれにも吐出されない。そして、潤滑油はメイン油
路46を通過し、動弁機構及びクランク機構等のエンジ
ン本体潤滑系47のみに供給される。
【0033】すなわち、図9(a)に示すように、スプ
ール52は、そのときどきのデューティ比に応じて、前
後方向に移動し、潤滑油の流れを切換える。そして、デ
ューティ比が50%前後(40%〜60%)のときに
は、スプール52は中間位置に保持され、潤滑油のVV
Tアクチュエータ48への供給量はほぼ「0」になるの
である。
【0034】図2に示すように、前記OCV44のソレ
ノイド53は、ECU71によって駆動制御される。詳
しくは、ECU71の入力側には、各種センサが接続さ
れている。また、ECU71の出力側には前記OCV4
4のソレノイド53が接続されている。そして、ECU
71は前記各種センサからの検出信号に基づき、そのと
きどきのエンジンの状態を割出し、前記ソレノイド53
を駆動するための制御信号を出力するようになってい
る。
【0035】次に、本実施例の特徴部分について説明す
る。図1,2に示すように、前記オイルポンプ41(オ
イルフィルタ43)とOCV44との間には、定圧弁と
してのモジュレートバルブ81が設けられている。すな
わち、図5に示すように、オイルポンプ41及びOCV
44間の油路は、シリンダブロック40内に形成されて
おり、モジュレートバルブ81は、その油路の途中に形
成された収容空間82内に配設されている。従って、油
路は、収容空間82を境として、オイルポンプ41から
の潤滑油が導入される導入油路83と、OCV44へと
潤滑油が吐出される吐出油路84とに区分される。ま
た、シリンダブロック40には、モジュレートバルブ8
1から排出される余剰の潤滑油をオイルパン42に戻す
ための戻し油路85が形成されている。さらに、本実施
例において、シリンダブロック40には、図示しないシ
リンダボア下端近傍に形成されたオイルジェットへのオ
イル供給路(オイルジェット用オイル通路)86が収容
空間82に開口している。但し、同図に示すように、収
容空間82内にモジュレートバルブ81が配設されてい
るような場合には、前記オイルジェット用オイル通路8
6は使用されない。
【0036】モジュレートバルブ81は、スリーブ8
7、バルブ本体88、スプリング89及びプラグ90等
により構成されている。すなわち、収容空間82内に
は、スリーブ87が配設され、該スリーブ87の端面に
当接するようにしてプラグ90が嵌合装着されている。
プラグ90とシリンダブロック40との間には、シール
性を確保するためのガスケット91が介在されている。
スリーブ87は、略有底円筒状をなしている。また、ス
リーブ87には、前記導入油路83、吐出油路84及び
戻し油路85に対応して導入ポート92、吐出ポート9
3及び戻しポート94がそれぞれ形成されている。
【0037】スリーブ87の空間(ランド)内には、バ
ルブ本体88が図の上下方向に摺動可能に配設されてい
る。バルブ本体88は、略円柱状に形成されているとと
もに、両先端部分には、図の上下方向へ突出する第1及
び第2のストッパ95,96が一体的に形成されてい
る。また、バルブ本体88の中間部分には、環状凹部9
7が形成されている。さらに、バルブ本体88には、環
状凹部97近傍と第1のストッパ95近傍とを連通させ
るためのオリフィス98が形成されている。併せて、バ
ルブ本体88は、プラグ90内に収容されたスプリング
89の一端部に支持されている。すなわち、図5に示す
ように、スプリング89の付勢力により、バルブ本体8
8は図の上方へ付勢され、第1のストッパ95がスリー
ブ87に当接した状態に保持されている。そして、この
状態においては、モジュレートバルブ81に係わる全て
の油路83,84,85は、ほぼ完全に閉鎖された状態
となっている。
【0038】次に、前記のように構成された本実施例の
作用及び効果を説明する。なお、ECU71によるOC
V44の制御によって、バルブタイミングが進角側又は
遅角側に制御される際の作用については、上述した構成
部分において既に説明されているので、ここでの説明は
省略する。
【0039】まず、エンジンが駆動されることにより、
オイルポンプ41が駆動される。この駆動に伴ってオイ
ルパン42からオイルストレーナ45を介して潤滑油が
吸い上げられる。その潤滑油は、オイルフィルタ43を
通過した後、その一部がメイン油路46を通ってエンジ
ン本体潤滑系47へと供給されてゆく。このため、動弁
機構及びクランク機構等が供給された潤滑油によって潤
滑される。
【0040】また、オイルフィルタ43を通過した潤滑
油の他の一部は、図5に示すように、導入油路83を通
って前記モジュレートバルブ81へと導入される。そし
て、潤滑油は、導入ポート92を経て前記ランド内の環
状凹部97の部分へと導入されるとともに、オリフィス
98を通過して第1のストッパ95側のランド内へと導
入される。このため、第1のストッパ95側のランドの
内圧が上昇していき、その圧力の上昇に伴って、バルブ
本体88が、スプリング89の付勢力に抗して徐々に同
図下方へ移動する。
【0041】すると、図6に示すように、それまで閉ざ
されていた環状凹部97に対応するランド部分が吐出ポ
ート93に開口することとなり、潤滑油は吐出ポート9
3、吐出油路84を介して前記OCV44の方へと供給
されてゆく。
【0042】ここまでのバルブ本体88の動作に関し、
オイルポンプ41(オイルフィルタ43)側からの圧力
P0と、吐出油路84側の圧力P1との関係は、次のよ
うになる。すなわち、図7に示すように、オイルポンプ
41側の圧力、つまりポンプ吐出圧P0が上昇するに伴
って、バルブ本体88が下方へ移動し、吐出油路84側
へ吐出される潤滑油の量は増大していく。つまり、吐出
油路84側の圧力P1はポンプ吐出圧P0の増大に伴っ
て増大してゆく。ここで、バルブ本体88を下方へ押圧
する力とスプリング96の付勢力Fは常に等しいので、
P1=F/A(Aはバルブ本体88が潤滑油により受け
る受圧面積を示す)なる関係が常時成立する。また、吐
出油路84側の圧力P1とポンプ吐出圧P0とは等しい
ので、P1=P0なる関係が成立する。従って、ポンプ
吐出圧P0が後述する所定圧力に達するまでは、P1=
P0=F/Aなる関係が成立するのである。
【0043】そして、バルブ本体88は、ポンプ吐出圧
P0の上昇によって、どんどん下方へ移動していくので
あるが、図8に示すところまで移動した場合、今度は、
バルブ本体88の大径部分によって、導入ポート92が
塞がれてゆく。すると、オイルポンプ41からの潤滑油
は、ランド内に導入されにくくなり、スプリング89の
付勢力に抗してバルブ本体88を下方へ移動させる力が
小さくなる。このため、バルブ本体88は、一旦上方へ
移動するが、再度導入ポート92のランドに対する開口
面積が大きくなり、バルブ本体88を下方へ移動させ
る。このようにして、バルブ本体88は、図8の状態で
同図上下方向への微小な移動を繰り返し、ほぼこの状態
にとどまるのである。
【0044】このときのスプリング96の付勢力をF0
とすると、P0=F0/Aなる関係が成立する。換言す
れば、ポンプ吐出圧P0が上昇してF0/Aとなったな
らば、バルブ本体88はいわゆる定常状態となり、これ
以上の上方又は下方への移動がなくなり、P1=P0=
F0/Aなる関係が成立するのである。
【0045】また、ポンプ吐出圧P0がさらに上昇した
としても、前述したように、潤滑油の導入される部分の
開口面積の兼ね合いによって、図8の状態で同図上下方
向への微小な移動を繰り返し、ほぼこの状態にとどま
る。従って、ポンプ吐出圧P0がF0/Aを超えていく
ら大きくなったとしても、これ以上はバルブ本体88が
ほとんど移動することはない。そのため、吐出油路84
側の圧力P1はF0/Aのまま一定に保持されることと
なる。すなわち、ポンプ吐出圧P0がF0/Aよりも大
きくなった場合には、その吐出圧P0の上昇にかかわら
ず、P1=F0/A≠P0なる関係が成立するのであ
る。
【0046】このように、本実施例によれば、オイルポ
ンプ41とOCV44との間に、モジュレートバルブ8
1を設けるようにした。このモジュレートバルブ81の
存在により、オイルポンプ41からのポンプ吐出圧P0
がF0/A以上のときには、吐出油路84側の圧力、つ
まり、OCV44へ導入される圧力P1は、ほぼ所定の
値F0/Aとなる。すなわち、潤滑油の温度、粘度等が
変化したり、エンジンの回転数が増大したりしても、O
CV44に供給される油圧は、所定値F0/Aを超える
ことなく、その値にほぼ保たれる。従って、VVTアク
チュエータ48の可変応答性及び制御性が、OCV44
に供給される油圧の変動によって変化することが抑制さ
れる。
【0047】図9,10,11は、本実施例のようにモ
ジュレートバルブ81を設けた場合(図9(a),10
(a),11(a))と、オイルポンプとOCVとを直
接連結した従来技術のような場合(図9(b),10
(b),11(b))とを比較して示すグラフである。
【0048】図9(a),(b)に示すように、ポンプ
吐出圧の増大に伴ってOCVを流れる潤滑油の流量が増
大していた従来技術とは異なり、本実施例においては、
ポンプ吐出圧P0がF0/A以上となった場合、OCV
44を流れる潤滑油の流量特性は、同図に示す上限を超
えることはない。
【0049】また、図10(a),(b)に示すよう
に、ポンプ吐出圧の増大に伴ってVVTの応答性が変動
していた従来技術とは異なり、本実施例においては、ポ
ンプ吐出圧P0がF0/A以上となった場合、VVTの
応答性はほぼ一定となる。そのため、そのときどきの油
圧(応答速度)に応じて細かな制御が必要であった従来
技術とは異なり、本実施例では、通常使用領域(ポンプ
吐出圧P0がF0/A以上での領域)においては、VV
Tの応答性はほぼ一定となるので、応答速度が一定とな
る。その結果、制御の簡易化を図ることができる。
【0050】さらに、OCV44のスプール52を図2
のような中間位置に保持させた場合におけるVVTアク
チュエータ48からの洩れ油量については、図11
(a),(b)に示すような関係が成立する。すなわ
ち、ポンプ吐出圧が増大するに伴って、洩れ油量も増大
していた従来技術とは異なり、本実施例では、通常使用
領域(ポンプ吐出圧P0がF0/A以上での領域)にお
ける、洩れ油量を一定の最小限に止めることができる。
そのため、洩れ油量の増大に起因する潤滑性能の悪化を
抑制することができる。
【0051】併せて、本実施例では、上述したように、
OCV44には著しく大きい油圧が供給されることがな
い。従って、油圧の著しい上昇に起因して、VVTアク
チュエータ48等の各装置の耐久性が損なわれることが
なくなる。つまり、各装置類の延命化を図ることができ
る。
【0052】加えて、本実施例では、図5で説明したよ
うに、当初、つまりエンジン停止中においては、スプリ
ング89の付勢力により、バルブ本体88は図の上方へ
付勢され、第1のストッパ95がスリーブ87に当接し
た状態に保持されている。そして、この状態において
は、モジュレートバルブ81に係わる全ての油路83,
84,85は、ほぼ完全に閉鎖された状態となってい
る。このため、モジュレートバルブ81がいわゆるチェ
ックバルブ的な役割を果たすこととなり、図12に示す
ように、エンジン停止中において、モジュレートバルブ
81から潤滑油が洩れて抜け落ちてしまうことがない。
また、オイルフィルタ43にも通常、逆流防止の逆止弁
があるため、モジュレートバルブ81とオイルフィルタ
43のそれぞれからオイルが洩れない。そのため、エン
ジン停止中においても、VVTアクチュエータ48、エ
ンジン本体潤滑系47等には、潤滑油が存在しているこ
ととなる。その結果、エンジンの始動時において、エン
ジン本体潤滑系47に潤滑油が存在しないことにより始
動時の潤滑不良(金属打音等の発生)を招くおそれを無
くすことができる。また、潤滑油の抜け落ちがないこと
から、オイルレベルの管理を容易なものとすることがで
き、ひいては制御性のさらなる向上を図ることができ
る。
【0053】さて、本実施例では、前述したように、シ
リンダブロック40には、オイルジェット用オイル通路
86が、収容空間82に開口するようにして形成されて
いる。ここで、図5で説明したように、収容空間82内
にモジュレートバルブ81が配設されているような場合
には、前記オイルジェット用オイル通路86は使用され
ない。しかし、図13に示すように、モジュレートバル
ブ81の代わりにプラグ101が配設されたような場合
には、オイルジェット用オイル通路86が使用され得
る。すなわち、同図に示すように、プラグ101は、吐
出油路84及び戻し油路85を塞ぐようになっている。
また、プラグ101には、導入油路83とオイルジェッ
ト用オイル通路86との間を連通する連通路102が形
成されている。但し、このような構成は、VVTアクチ
ュエータ48が使用されないタイプのエンジンに対して
採用されるものである。
【0054】そして、このような構成を採用することに
より、図14に示すように、オイルポンプ41から吐出
された潤滑油は、オイルフィルタ43を介してメイン油
路46及びプラグ101の方へと供給される。そして、
メイン油路46に供給された潤滑油はエンジン本体潤滑
系47へと導かれる。また、プラグ101、すなわち導
入油路83に供給された潤滑油は連通路102を通過し
てオイルジェット用オイル通路86へと導かれる。そし
て、オイルジェット用オイル通路86へ導入された潤滑
油は、エンジンのピストンへ噴射され、ピストンとシリ
ンダボアとの間の潤滑に供される。
【0055】このように、本実施例によれば、モジュレ
ートバルブ81がエンジンのシリンダブロック内の収容
空間82内に配設可能とされているとともに、その収容
空間82には、ピストンへ潤滑油を噴射するためのオイ
ルジェット用オイル通路86が開孔されている。このた
め、この収容空間82にプラグ101が収容されること
により、オイルジェットを行うタイプのエンジンと、そ
うでないタイプのエンジンとの間での、シリンダブロッ
クの共用化を図ることができる。その結果、個々の製品
間でのシリンダブロックの共用化により、総合的な製造
コストの低減を図ることができる。
【0056】さらには、図15に示すように、モジュレ
ートバルブ81の代わりにプラグ103が配設されるよ
うな場合もありうる。すなわち、同図に示すように、プ
ラグ103は、導入油路83、吐出油路84、戻し油路
85及びオイルジェット用オイル通路86の全ての油路
を塞ぐようになっている。但し、このような構成は、V
VTアクチュエータ48及びオイルジェットシステムが
使用されない、いわゆる通常タイプのエンジンに対して
採用されるものである。
【0057】そして、このような構成を採用することに
より、図16に示すように、オイルポンプ41から吐出
された潤滑油は、オイルフィルタ43を介してメイン油
路46のみへと供給される。そして、メイン油路46に
供給された潤滑油はエンジン本体潤滑系47へと導かれ
るのである。
【0058】従って、本実施例によれば、モジュレート
バルブ81がエンジンのシリンダブロック内の収容空間
82内に配設可能とされているとともに、その収容空間
82に、プラグ103が収容されることにより、いわゆ
る通常タイプのエンジンと、そうでないタイプのエンジ
ン(例えばVVT制御を行うようなタイプのエンジン)
との間での、シリンダブロックの共用化を図ることがで
きる。その結果、前記同様、個々の製品間でのシリンダ
ブロックの共用化により、総合的な製造コストの低減を
図ることができる。
【0059】なお、この発明は前記実施例に限定される
ものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で構成の一
部を適宜に変更して次のように実施することもできる。 (1)前記実施例では、収容空間82をシリンダブロッ
ク40に形成する構成を採用したが、シリンダヘッドに
形成する場合に具体化してもよい。
【0060】(2)前記実施例では、リングギヤ25と
プーリ本体11との間に、スプリング33を介在させる
構成を採用したが、このスプリング33を省略してもよ
い。 (3)前記実施例では、リングギヤ25の内外周両方の
歯25a,25bをヘリカル歯としたが、その内外周の
歯25a,25bのいずれか一方のみをヘリカル歯とし
てもよい。
【0061】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
オイルポンプからの調整された潤滑油により、リングギ
ヤをカムシャフトの軸方向へ移動させ、プーリの駆動力
をヘリカルスプラインにてカムシャフトに伝達し、プー
リ及びカムシャフトの回転位相を変化させてバルブの開
閉時期を調整するようにしたバルブタイミング制御装置
付のエンジンの潤滑油回路において、オイルポンプから
吐出される油圧が基準値以上のときには、油圧調整手段
に供給される油圧がほぼ所定値となるよう、オイルポン
プと油圧調整手段との間に定圧弁を設けうるようにし
た。
【0062】従って、バルブタイミングの可変応答性及
び制御性の向上を図ることができ、しかも、装置の耐久
性の向上を図ることができるという優れた効果を奏す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を具体化した一実施例におけるバルブ
タイミング制御装置付エンジンの潤滑油回路を模式的に
示す図である。
【図2】一実施例におけるVVTアクチュエータを含む
バルブタイミング制御装置を中心として示す断面図であ
る。
【図3】一実施例において、スプールが移動した場合の
バルブタイミング機構の状態を説明する断面図である。
【図4】一実施例において、スプールが移動した場合の
バルブタイミング機構の状態を説明する断面図である。
【図5】一実施例において、モジュレートバルブ等の構
成を説明する断面図である。
【図6】一実施例において、モジュレートバルブの作用
を示す断面図である。
【図7】一実施例において、ポンプ吐出圧に対する吐出
油路側の圧力の関係を説明するグラフである。
【図8】一実施例において、モジュレートバルブの作用
を示す断面図である。
【図9】(a)は本実施例における、(b)は従来技術
におけるスプールの前進量(デューティ比に対するOC
Vでの潤滑油流量の関係を示すグラフである。
【図10】(a)は本実施例における、(b)は従来技
術におけるポンプ吐出量に対するVVTの応答性の関係
を示すグラフである。
【図11】(a)は本実施例における、(b)は従来技
術におけるポンプ吐出量に対する洩れ油量の関係を示す
グラフである。
【図12】一実施例において、収容空間内にモジュレー
トバルブを配設した場合におけるエンジン停止中のとき
の潤滑油の存在状況を説明するための潤滑油回路を模式
的に示す図である。
【図13】一実施例において、モジュレートバルブの代
わりにプラグを配設した状態を示す断面図である。
【図14】一実施例において、収容空間内にモジュレー
トバルブの代わりにプラグを配設した場合における潤滑
油回路を模式的に示す図である。
【図15】一実施例において、モジュレートバルブの代
わりに別のプラグを配設した状態を示す断面図である。
【図16】一実施例において、収容空間内にモジュレー
トバルブの代わりに別のプラグを配設した場合における
潤滑油回路を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1…カムシャフト、8…供給路を構成する第1のヘッド
油路、9…供給路を構成する第2のヘッド油路、10…
プーリを構成するタイミングプーリハウジング、25…
リングギヤ、26…圧力室を構成する第1の油圧室、2
7…圧力室を構成する第2の油圧室、28…供給路を構
成する第1のシャフト油路、30…供給路を構成する第
2のシャフト油路、40…シリンダブロック、41…オ
イルポンプ、44…油圧調整手段としてのOCV、81
…定圧弁としてのモジュレートバルブ、82…収容空
間、86…オイルジェット用オイル通路。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンのバルブ駆動用カムシャフトの
    外周に設けられ、かつ、前記エンジンに駆動連結された
    プーリと、 前記カムシャフト及びプーリ間に介在されるとともに、
    内外周面にスプラインを有し、かつ、少なくともその一
    方がヘリカルスプラインであるリングギヤと、 前記エンジンに駆動連結され、かつ、そのエンジンの運
    転状態に応じて前記エンジン各部を潤滑するための潤滑
    油を加圧して吐出するオイルポンプと、 前記オイルポンプからの潤滑油の一部を圧力室へ供給
    し、その油圧を前記リングギヤに作用させるための供給
    路と、 前記供給路の途中に設けられ、前記油圧をリニアソレノ
    イドにより調整するための油圧調整手段とを備え、前記
    油圧調整手段にて調整された油圧により、リングギヤを
    カムシャフトの軸方向へ移動させ、プーリの駆動力をヘ
    リカルスプラインにてカムシャフトに伝達し、プーリ及
    びカムシャフトの回転位相を変化させてバルブの開閉時
    期を調整するようにしたバルブタイミング制御装置付エ
    ンジンの潤滑油回路において、 前記オイルポンプから吐出される油圧が基準値以上のと
    きには、前記油圧調整手段に供給される油圧がほぼ所定
    値となるよう、前記オイルポンプと前記油圧調整手段と
    の間に定圧弁を設けたことを特徴とするバルブタイミン
    グ制御装置付エンジンの潤滑油回路。
  2. 【請求項2】 前記定圧弁を前記エンジンのシリンダブ
    ロック又はシリンダヘッド内の収容空間内に配設可能と
    するとともに、前記収容空間には、ピストンへ潤滑油を
    噴射するためのオイルジェット用オイル通路を開孔させ
    たことを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミング
    制御装置付エンジンの潤滑油回路。
  3. 【請求項3】 前記定圧弁は、全閉付勢型の弁であるこ
    とを特徴とする請求項1に記載のバルブタイミング制御
    装置付エンジンの潤滑油回路。
JP25613293A 1993-10-13 1993-10-13 バルブタイミング制御装置付エンジンの潤滑油回路 Pending JPH07109908A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07139319A (ja) * 1993-11-16 1995-05-30 Nippondenso Co Ltd バルブタイミング調整装置
JPH07139316A (ja) * 1993-11-15 1995-05-30 Nippondenso Co Ltd バルブタイミング調整装置
KR20150066284A (ko) * 2013-12-06 2015-06-16 현대중공업 주식회사 가변 밸브 타이밍 장치

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