JPH07108357A - 連続鋳造設備における鋳片冷却用ロール、及びその装置と方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 スプレーによる鋳片冷却において、通常、鋳
片に衝突後鋳片表面に沿って流下し、ロールにより排出
される冷却水を鋳片冷却水として効率よく使用し、冷却
水抜熱、及び冷却水使用効率を向上する。 【構成】 連鋳機用冷却ロールをその表面に多条の帯状
溝、または螺旋状溝を有する連鋳機用ロールとすること
により、鋳片表面を流下する冷却水を多条に分岐すると
同時に、流下水の排出を抑制し、流下水を鋳片冷却水と
して有効に使用する。その際、流下水を冷却水として使
用する冷却範囲に、低水量の冷却水を噴霧することで、
冷却水を供給することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は連鋳機の２次冷却装置に
用いる鋳片冷却用ロール及びその装置と方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】連鋳機の主機能の一つは溶融金属を凝固
させ、規定の形状の鋳片を連続的に製造することであ
り、そのため連鋳設備には鋳型、ガイドロール及び２次
冷却設備が組み込まれている。

【０００３】鋳型に注入された溶鋼は、鋳型内に通水さ
れている冷却水により鋳型に接触した面で冷却され、鋳
型内で凝固殻を形成した後、鋳型下方に引き抜かれる。

【０００４】その際、凝固殻内は未凝固溶鋼で満たされ
ており、鋳型を出た後、凝固殻は溶鋼の静圧により変形
（バルジング）する。

【０００５】連鋳機に於てはこのバルジング挙動を抑制
し、規定の鋳片形状を得るために、鋳型直下以降に設置
された２次冷却装置により凝固殻を冷却して凝固殻の変
形強度を向上し、ガイドロールにより凝固殻を規定のサ
イズに保持しながらバルジング変形を抑制して、凝固を
進行させる方法を取っている。

【０００６】連鋳機の２次冷却装置は一般に水スプレー
ノズル、または気水噴霧ノズルにより冷却水を鋳片に吹
きつける方法が取られている。

【０００７】ノズルから噴霧された冷却水は鋳片と衝突
して鋳片の熱を奪い、一部は蒸発し、一部は飛散し、そ
れ以外の冷却水は鋳片の表面に沿って流れることになる
（図１〜２）。

【０００８】一般に、湾曲型連鋳機の鋳片１表面にスプ
レーノズル３から噴霧して行なう２次冷却は、その水量
の１０〜１５％が鋳片の熱により蒸発し、７５〜７０％
が鋳片の表面に沿って流下する。

【０００９】鋳片表面を流下する冷却水は鋳片の熱を奪
って昇温するが、流下方向に位置するガイドロール２に
塞ぎ止められ、ロールの鋳片端面側部分より流下水５と
なって落下することになる。

【００１０】従って、冷却水の大半は鋳片の充分な冷却
に寄与しないまま冷却装置外に排出されることになる。

【００１１】また、ノズルから噴霧された冷却水が直接
鋳片に衝突する場合は、核沸騰状態で蒸発し、鋳片の抜
熱が行われる。

【００１２】一方、鋳片と衝突し、鋳片表面に沿って自
然流下する場合や、或いはロール部に塞ぎ止められる場
合には、冷却水は鋳片と面接触状態となり、水膜と鋳片
との間で蒸発する。

【００１３】しかし、蒸発形態は膜沸騰状態になるた
め、冷却能が低下することになる。

【００１４】このように、従来の２次冷却装置に使用さ
れる冷却水は、極めて使用効率、抜熱効率が悪いと言う
欠点がある。

【００１５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、連鋳機の２
次冷却における冷却水抜熱、及び冷却水使用効率の向上
を図ることを目的とする。

【００１６】

【課題を解決するための手段】連鋳機の２次冷却装置に
おいて、ノズルから噴霧された冷却水は鋳片と衝突し、
鋳片の熱を奪い、一部は蒸発し、一部は飛散し、それ以
外の冷却水は鋳片の表面に沿って流下してガイドロール
により排出されることから、冷却水は極めて使用効率、
抜熱効率が悪い。

【００１７】本発明は、通常ガイドロールにより排出さ
れる流下水を冷却水として有効利用し、冷却水の使用効
率、抜熱効率を向上させて、低注水比で操業を達成しよ
うとするものである。

【００１８】即ち、本発明の第一は、連続鋳造設備の２
次冷却装置に用いる鋳片冷却用ロールであって、その表
面にピッチ（Ｌ）が１０〜５０ｍｍの範囲となるように
加工した多条の帯状溝、または１本あるいは多条の螺旋
状溝を有し、その溝を通して冷却水が流下することによ
って、冷却水流量を調整可能としたことを特徴とする。

【００１９】本発明の第二は、上記の鋳片冷却用ロール
を用いた連続鋳造設備における鋳片冷却装置であって、
該鋳片冷却用ロールを、鋳片を挟んでその長辺側両側面
に接触対峙させ、鋳片と衝突して鋳片の表面に沿いなが
ら流下する冷却水を受け、該冷却水の全てまたは一部が
ロールの溝を通って下方に流下するように配置し、鋳片
表面に沿って流下する冷却水流量を調整する機能を持た
せたことを特徴とする。

【００２０】さらに、本発明の第三は、上記本発明第二
の鋳片冷却装置を用いる連続鋳造設備における鋳片の冷
却方法であって、鋳片冷却用ロール間、または鋳片冷却
用ロール上方の鋳片表面に冷却水を噴霧して、鋳片と衝
突したのちに鋳片表面に沿って流下する冷却水の全てま
たは一部を鋳片冷却用ロールの溝を通して該ロール下方
へ流下させながら鋳片の冷却をすることを特徴とし、冷
却水注水比を低下させて、冷却水の使用効率あるいは抜
熱効率の向上を図る。

【００２１】ここで多条の溝付ロールとは、図３のよう
にロール軸に対して垂直な溝をロール表面に有するロー
ルであり、螺旋型溝付ロールとは図４のようにロール軸
に対して傾斜したねじ状の溝をロール表面に有するロー
ルであって、溝は１条であっても多条であってもかまわ
ない。

【００２２】

【実施例】以下は垂直型連鋳機に本発明を適用した例で
ある。

【００２３】まず、連鋳機操業条件を第１表に示す。

【００２４】

【表１】

【００２５】図５〜６に本発明の具体的な適用例を示
す。

【００２６】螺旋型溝付ロール６はロールの回転に従っ
て、溝部を通して流下する冷却水の位置がずれることか
ら、流下水５が蛇行し、鋳片表面の特定位置に集中しな
い特徴があるため、均一冷却に有利である。

【００２７】尚、溝部のピッチ（Ｌ）は、狭過ぎると溝
部を通して流下した冷却水が互いに結合し、水膜状態に
なるため１０〜５０ｍｍの範囲とすることが望ましい。

【００２８】ノズル３から噴霧された冷却水は鋳片表面
に吹き付けられ、鋳片の表面に沿って上流側のロールか
ら流下しながら鋳片を冷却する。

【００２９】本実施例の連鋳機は鋳型直下より９ゾーン
（Ｉ〜ＩＸゾーン）の冷却ゾーンに分割されている。本
発明の溝付きロールを使用した２次冷却方式はＩＩゾー
ン以降に適用した。

【００３０】第２表に２次冷却帯のゾーン分割、及び注
水密度を示す。

【００３１】

【表２】

【００３２】第２表に示したように２次冷却水水量密度
は、本発明を適用したＩＩゾーン以降では従来法に比較
して注水密度（ｌ／ｍｉｎ．ｍ²）を２８〜１５％程度
低く抑えることが出来、全体の注水量は２２％低下でき
た。

【００３３】尚、ＩＩゾーン以降の鋳片の表面温度の均
一性についても従来法と差はなかった。

【００３４】本実施例ではガイドロール端部から冷却水
を鋳片短辺側に流下させない条件で行ったが、鋳片コー
ナー部を意図的に冷却しようとする場合はガイドロール
端部から冷却水の一部を鋳片短辺側に流下させてもよ
い。

【００３５】

【発明の効果】溝付きロールを使用した本発明により、
通常ガイドロールから排出される流下水を冷却水として
有効利用し、冷却水の使用効率、抜熱効率を向上させ
て、低注水比での操業を達成出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】連鋳機の２次冷却水の説明図。

【図２】連鋳機の２次冷却水の説明図。

【図３】螺旋溝型ロールの説明図。

【図４】螺旋溝型ロールの説明図。

【図５】本発明の実施例の説明図。

【図６】本発明の実施例の説明図。

【符号の説明】

１ 鋳片 ２ ロール ３ スプレーノズル ４ スプレー噴射範囲 ５ 流下水 ６ 溝付きロール

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 連続鋳造設備の２次冷却装置に用いる鋳
   片冷却用ロールであって、その表面にピッチ（Ｌ）が１
   ０〜５０ｍｍの範囲となるように加工した多条の帯状
   溝、または１本あるいは多条の螺旋状溝を有し、その溝
   を通して冷却水が流下可能としたことを特徴とする連続
   鋳造設備における鋳片冷却用ロール。
2. 【請求項２】 請求項１記載の鋳片冷却用ロールを、鋳
   片を挟んでその長辺側両側面に接触対峙させ、鋳片と衝
   突して鋳片の表面に沿いながら流下する冷却水を受け、
   該冷却水の全てまたは一部がロールの溝を通って下方に
   流下するように配置したことを特徴とする連続鋳造設備
   における鋳片冷却装置。
3. 【請求項３】 請求項２記載の鋳片冷却装置を用いる鋳
   片の冷却方法であって、鋳片冷却用ロール間、または鋳
   片冷却用ロール上方の鋳片表面に冷却水を噴霧して、鋳
   片と衝突したのちに鋳片表面に沿って流下する冷却水の
   全てまたは一部を鋳片冷却用ロールの溝を通して該ロー
   ル下方へ流下させながら鋳片の冷却をすることを特徴と
   する連続鋳造設備における鋳片冷却方法。