JPH07106882B2 - 導電性酸化物の製造方法 - Google Patents

導電性酸化物の製造方法

Info

Publication number
JPH07106882B2
JPH07106882B2 JP63228339A JP22833988A JPH07106882B2 JP H07106882 B2 JPH07106882 B2 JP H07106882B2 JP 63228339 A JP63228339 A JP 63228339A JP 22833988 A JP22833988 A JP 22833988A JP H07106882 B2 JPH07106882 B2 JP H07106882B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
conductive oxide
oxygen
solid electrolyte
oxide
oxygen concentration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP63228339A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0280302A (ja
Inventor
希男 石亀
浩雄 湯上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP63228339A priority Critical patent/JPH07106882B2/ja
Publication of JPH0280302A publication Critical patent/JPH0280302A/ja
Publication of JPH07106882B2 publication Critical patent/JPH07106882B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Conductive Materials (AREA)
  • Investigating Or Analyzing Materials By The Use Of Fluid Adsorption Or Reactions (AREA)
  • Oxygen, Ozone, And Oxides In General (AREA)
  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Superconductor Devices And Manufacturing Methods Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は導電性酸化物の製造方法に関し、更に詳しくは
導電性酸化物の酸素濃度を正確に制御でき、又そのまま
固定できる導電性酸化物の製造方法に関するものであ
る。
(従来の技術) 導電性酸化物は、センサー,バリスター等のエレクトロ
ニクスデバイスへの応用が期待されている。中でも酸化
物超伝導体は各種応用が期待され、多くの注目を集めて
いる。一方、これら導電性酸化物の物性は酸化物中の酸
素濃度に大きく依存しているので、導電性酸化物を応用
するためには、その酸素濃度を精密かつ安定に制御する
ことが必要と云われている。
従来から行なわれている導電性酸化物の酸素濃度の制御
方法としては、大気または酸素雰囲気中における熱酸化
法と、スパッタリングやCVDを用いた酸素プラズマによ
る酸化法が一般的である。前者はバルクや厚膜の導電性
酸化物の酸素濃度制御に、後者は薄膜の導電性酸化物の
酸素濃度制御に主として用いられている。
(発明が解決しようとしている問題点) しかしながら、熱酸化法を用いた場合、導電性酸化物の
種類によっては高温に加熱しなければならないので、そ
の導電性酸化物をエレクトロニクスデバイスなどに応用
するのが困難な場合がある。また、酸素プラズマによる
酸化法を用いた場合、プラズマの状態により導電性酸化
物の酸素濃度は大きく変化するので、応用を目的に、所
定の酸素濃度を持った導電性酸化物を再現性良く得よう
とするならば、プラズマの状態を常に厳密に制御する必
要があり、実際上困難な場合が多い。
またこれらの酸素濃度制御方法では、導電性酸化物中に
取込まれた酸素の量を、定量的に評価することが難し
い。
以上の通り導電性酸化物の酸素濃度を正確に制御できる
簡便な手段はいまだなく、又その酸素濃度を安定に保持
できる手段もないのが現状である。
本発明はかかる現状に鑑みなされたもので、導電性酸化
物の酸素濃度が正確に制御できる導電性酸化物の製造方
法を第1の目的とし、制御された酸素濃度がそのまま固
定保持できる導電性酸化物の製造方法を第2の目的とす
るものである。
(発明の構成及び作用) 上述の目的は以下の本発明により達成される。すなわち
本発明は、導電性酸化物と酸素イオン伝導性を有する固
体電解質とを積層した積層体を形成し、固体電解質を介
して導電性酸化物の酸素濃度を制御する導電性酸化物の
製造方法において、該積層体の導電性酸化物側表面に無
孔質電極を、その他方の表面に多孔質電極を設け、さら
に導電性酸化物表面を露出部が無いように酸素バリヤ層
で被覆し、この積層体を該固体電解質が酸素イオン伝導
を示す温度範囲に維持すると共に両電極の間に電流を流
すことによって、導電性酸化物の酸素濃度を制御するこ
とを特徴とする導電性酸化物の製造方法である。
上述の本発明は、酸素イオン伝導性を有する固体電解質
と導電性酸化物を積層し、固体電解質が酸素イオン伝導
性を示す温度下でその積層方向に電流を流すと導電性酸
化物の酸素濃度が調整でき、且つその通電電気量(クー
ロン量)により酸素濃度を正確に制御できることを見出
しなされたものである。
上述の本発明において、固体電解質と導電性酸化物とを
積層すると共に導電性酸化物を露出部がないように酸素
バリヤ層で被覆すると、電流のオフと同時に固体電解質
が酸素バリヤ層となるので、導電性酸化物の酸素濃度は
制御された値にそのまま固定される。従って雰囲気の影
響を受け、酸素濃度が変化し易い導電性酸化物であって
も正確な酸素濃度に制御できると共に長期に亘って安定
な値に保持できる効果がある。
以下、本発明の詳細を説明する。
本発明が適用される導電性酸化物は、電子・イオン混合
伝導性を示す酸素欠損型の導電性酸化物ならば、その種
類,材質,全導電率に占める電子導電率とイオン導電率
の割合に特に制限はない。かかる導電性酸化物として
は、たとえば、Ti2O3,Ti2O5、あるいは最近注目を集め
ている酸化物超伝導体等の導電性酸化物がある。なお、
酸化物超伝導体としては一般式;(La1−xMx)2CuO4
δ(M=Ba,Sr,Ca、x=0〜1、δ=0〜1)で表わさ
れるLa−Sr−Cu−O系超伝導体、一般式;LnBa2Cu3O7
δ(Ln=Y,La,Nd,Sm,Eu,Gd,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,δ=0
〜1)で表わされるY−Ba−Cu−O系超伝導体は、一般
式;Bi2Sr2Can-1CunO2n+4(n=1,2,3)で表わされるBi
−Sr−Ca−Cu−O系超伝導体、一般式;Tl2Ba2Can-1CunO
2n+4(n=1,2,3)で表わされるTl−Ba−Ca−Cu−O系
超伝導体等が挙げられる。ところで、本発明は前述した
通り低温で正確な酸素濃度制御ができ、更には経時的に
も安定した構成ができるものであり、各種応用特に電子
デバイスの応用に際しかかる構成が要求されている前述
の酸化物超伝導体に好ましく適用できるものである。
また、本発明に用いる酸素イオン伝導性を有する固体電
解質は酸素イオン伝導性を有するものであれば、その種
類と材質に特に制限はない。かかる固体電解質としては
Y2O3−ZrO2(YSZ),CaO−ZrO2(CSZ),Bi2O3,Bi2O3−Y2
O3,Bi2O3−Nb2O5,Bi2O3−WO3等が知られているが、本発
明には酸素イオン導電率が大きく、電子導電体が小さい
もので、緻密な構造で、酸素イオン伝導を示す条件外で
は酸素バリア性が高いものが好ましい。かかる点からY2
O3−ZrO2(YSZ),CaO−ZrO2(CSZ)をはじめとする螢石
(CaF2)型結晶構造を持つ酸化物固溶体系の固体電解質
が望ましい。
なお、以上の導電性酸化物及び酸素イオン伝導性を有す
る固体電解質の厚み,大きさ,形状に特に制限はない。
また、導電性酸化物は酸化物単体であっても、デバイス
として形成されたものであっても更には電子デバイスの
等の一部として形成されたものであってもよい。
次に本発明の製造方法の手順を説明する。まず、上述の
導電性酸化物と酸素イオン伝導性を有する固体電解質を
積層する。この積層方法は導電性酸化物と固体電解質が
酸素イオンの授受を行なえる程度に接続されておれば良
く、特に制限はない。しかしこれらの条件は、目的とす
る導電性酸化物に酸素イオン導電性を有する固体電解質
を実際に積層した場合に、積層体が力学的に安定である
ように選択されなければならない。たとえば好ましい例
として、力学的に安定な平板状の導電性酸化物の片面
に、酸素イオン導電性を有する固体電解質の薄膜をスパ
ッタリング等の物理蒸着方法で積層した場合、力学的に
安定な平板状の酸素イオン伝導性を有する固体電解質の
片面に、導電性酸化物の薄膜をスパッタリング等の物理
蒸着法で積層した場合、あるいは、力学的に安定な平板
状の導電性酸化物と、同じく力学的に安定な平板状の酸
素イオン伝導性を有する固体電解質を、力学的な方法で
すき間がないように圧着接合した場合、などが挙げられ
る。
上述の所定の条件を満足する、導電性酸化物と酸素イオ
ン伝導性を有する固体電解質の積層体を形成したなら
ば、積層された導電性酸化物と固体電解質の表面にそれ
ぞれ電極を配置する。酸化物側には、酸化物の表面の一
部に固体電解質に接触しないように、無孔質の電極を形
成する。この電極は、電子伝導性のみを示す導電率の大
きい導電性物質で、化学的に安定なものであるならば、
その種類に特に制限はないが、好ましい例としては白金
が挙げられる。また固体電解質側には、固体電解質の表
面の一部に、導電性酸化物に接触しないように、固体電
解質が雰囲気との間で酸素を授受できるように多孔質の
電極を形成する。この電極は、電子伝導性を示す導電率
の大きい導電性物質で、化学的に安定なもので多孔質構
造のものであれば、その種類に特に制限はないが、この
場合も、好ましい例としては白金が挙げられる。
それぞれの電極の厚みと面積に特に制限はないが、電極
の面積は少なくとも、酸化物と固体電解質の接触面積の
数分の一以上であることが好ましい。
積層体に電極を形成したならば、形成した無孔質電極と
多孔質電極の間に直流電源をつなぎ、大気または酸素を
含む雰囲気中で積層体を室温から加熱し一定の温度に保
つ。この温度は、積層体に用いられている酸化物と固体
電解質において、酸化物では酸素の注入または排出が可
能で、かつ固体電解質では酸素イオン伝導が可能な温度
範囲にあれば特に制限はない。この温度は用いる固体電
解質,対象となる導電性酸化物の特性等により異なるが
通常300〜900℃程度の温度範囲にある。
酸化物の酸素濃度を増加させるには直流電源の陰極を固
体電解質の電極に、陽極を酸化物の電極にそれぞれ接続
し、積層体を上記のように一定の温度に維持した状態
で、適当な大きさの電流を流す。すると固体電解質の多
孔質電極において、酸素分子と電子が反応し酸素イオン
が発生する。この酸素イオンは固体電解質中をイオン伝
導し、酸化物に注入される。注入された酸素イオンは、
酸化物中の酸素欠陥位置に取り込まれて周りのイオンと
結合する。酸化物の内部では、電荷の中性を保つために
電子を放出する。放出された電子は、酸化物の無孔質電
極を通って電源の陽極に戻る。尚、無孔質電極には電子
伝導性のみを示す導電性物質が用いられているので、酸
素イオンはブロックされ電子のみが通過する。
逆に酸化物の酸素濃度を減少させるには、直流電源の極
性を反転し、上記と同様の温度に維持した状態で適当な
大きさの電流を流す。すると積層体の酸化物の内部で
は、上記で述べた反応の逆反応が進行し、酸化物から固
体電解質へ酸素イオンが排出される。排出された酸素イ
オンは固体電解質を通り、固体電解質の多孔質電極にお
いて電子を吸収され、酸素分子となって放出される。
積層体に流す電流の大きさには特に制限はないが、当然
のことではあるが、積層体が破壊されない程度の大きの
の範囲内になければならない。
導電性酸化物の酸素濃度は、上記のように積層体の積層
方向に電流を流し、電流の方向,大きさ,通電時間を調
整することによって、制御することができる。そして、
所定の酸素濃度が得られたならば電流を止め、固体電解
質の酸素イオン伝導が停止する温度まで積層体を冷却す
ることによって、導電性酸化物の酸素濃度を固定するこ
とができる。
ところで、導電性酸化物の種類によっては、その露出部
分において、用いられている雰囲気との間で酸素のやり
とりを行なうものがあり、上記で述べた方法のみでは、
酸素濃度を制御あるいは固定することが困難な場合があ
る。このような導電性酸化物の場合には、前述したよう
に積層体に電極を形成した後に、酸化物の表面で雰囲気
に露出している部分を、酸素を阻止して通さない酸素バ
リヤ性が高くかつ電気的に絶縁性の高い材料で被覆した
後、前述のように酸素濃度の調整をすれば良い。この被
覆材料は前述の酸素バリヤ性を有するものであれば、特
に制限はなく、たとえば公知の電子デバイスの封止剤等
が適用できるが耐熱性面等からAl2O3,Al2O3−MgO,SiO2,
Si3N4などのセラミック誘電体が好ましい。
このように、積層体の形成段階において、導電性酸化物
の露出部分を必要に応じて酸素バリヤ層で被覆しておけ
ば、酸化物は積層されている固体電解質も通常は酸素バ
リヤ性を有するので、酸素濃度調整時を除いてはその全
表面が酸素バリヤ層で被覆されたことなり、酸素濃度が
不安定な導電性酸化物についても、酸素濃度の制御,固
定が可能になる。
以上のような手順に従うことによって、目的とする導電
性酸化物の製造及び酸素濃度の制御が行なわれる。
以下に本発明の実施例を示す。
(実施例) 第1図に示すように、20mm×20mmの大きさで、厚さ1mm
の平板状YSZ単結晶からなる固体電解質基板(以下“YSZ
基板”という)1の上の中心部に、YSZ基板1を400℃に
加熱しながら、エキシマレーザースパッタ装置を用い
て、導電性酸化物薄膜2として厚さ1μmのY−Ba−Cu
−O薄膜(具体的にはY1Ba2Cu3O7-δ薄膜)を10mm×10m
mの大きさに形成した。YSZは酸素イオン伝導を有する固
体電解質として知られている。また、Y−Ba−Cu−Oは
酸素欠損を持つ酸化物超伝導体として知られている。こ
のようにして形成された導電性酸化物であるY−Ba−Cu
−O薄膜2は、さらに以下のようにしてその酸素濃度が
制御される。
ところで、同図に示すように、固体電解質基板1の導電
性酸化物薄膜2を形成する面の反対側の表面に、多孔質
平板状白金電極3を以下のように形成した。すなわち、
白金ペーストをYSZ基板1の該表面に塗布した後、大気
中で1000℃程度に加熱することによって形成した。なお
多孔質平板状白金電極3は図示の通り導電性酸化物薄膜
2より大きい15mm×15mmの大きさの板状とし、図示のよ
うにこれに対向する配置となるように形成した。
次にY−Ba−Cu−O薄膜2の側面に接するように、絶縁
性の酸素バリヤ層4として厚さ1μmのAl2O3−MgO薄膜
4aを、YSZ基板1上にYSZ基板1を400℃に加熱しなが
ら、エキシマレーザースパッタ装置を用いてY−Ba−Cu
−O薄膜2をマスクして形成した。また同様にして、エ
キシマレーザースパッタ装置を用いて、第2図に示すよ
うに、電気抵抗測定端子を兼ねた、巾1mm,長さ15mmで厚
さ1μmの4本の電極を所定間隔で配置した四端子の無
孔質平板状白金電極5をY−Ba−Cu−O薄膜2上を横断
し、その一端がAl2O3−MgO薄膜4aに渡るように形成し
た。さらに、形成した無孔質平板状白金電極5の一端部
が露出し、Y−Ba−Cu−O薄膜2は露出している表面が
ないように、電気絶縁性の酸素バリヤ層4として、厚さ
1μmのYSZ薄膜4bを形成した。この酸素バリヤ層4は
Y−Ba−Cu−O薄膜2の一部が大気中に露出することに
よって、その酸素の濃度が変化するのを防ぐのが目的で
ある。
次に、直流安定化電源10の陰極を多孔質平板状白金電極
3に、陽極を無孔質平板状白金電極5につなぎ、積層体
全体を大気中でYSZ基板1が酸素イオン伝導性を示す温
度の500℃に加熱維持しながら、1mAの電流を10秒間ずつ
断続的に流し、その都度Y−Ba−Cu−O薄膜2の抵抗率
を直流四端子法で測定した。すると第3図の実線に示す
ように、電流の注入回数がふえるに従って抵抗率が減少
し、やがて一定の値で飽和した。次に直流安定化電極10
の極性を反転し、逆方向に、上記と同様に10秒間ずつ断
続的に1mAの電流を流したところ、第3図の破線に示す
ように、抵抗率は逆に増加しはじめ、やがて元の値に戻
った。これら一連の、Y−Ba−Cu−O薄膜2の抵抗率の
変化は可逆的であった。また、通電電気量(クーロン
量)の計測から通電電気量と注入酸素イオンの量に対応
関係があった。
次に直流安定化電極10をオフにして、積層体を室温に戻
すと、Y−Ba−Cu−O薄膜2の抵抗率は500℃で最後に
得られた値に固定され、経時変化もみられなかった。
Y−Ba−Cu−Oは酸素欠損型の酸化物超伝導体であり、
含まれる酸素濃度が高い程、抵抗率が小さくなることが
知られている。従って、上記で示した500℃におけるY
−Ba−Cu−O薄膜2の抵抗率の変化は、YSZ基板1から
Y−Ba−Cu−O薄膜2へ、酸素イオンの注入又は排出が
行なわれ、Y−Ba−Cu−O薄膜2の酸素イオン濃度が制
御されていることに対応している。また室温においてY
−Ba−Cu−O薄膜2の抵抗率が一定となったのは、酸素
濃度が固定されたことに対応している。
すなわち、本発明により導電性酸化物の酸素濃度を正確
に制御でき、又そのまま固定できることが確認された。
(実施例2) Y,Ba,Cuの3元素の原子数の比がY:Ba:Cu=1:2:3になる
ようにY2O3,BaCO3,CuOをエタノール中で混合した後、93
0℃で10時間焼成して、Y−Ba−Cu−Oの粉体を作成し
た。この粉体にイソプロピルアルコールを加えてペース
ト状にした。
第1図に示すように、20mm×20mmの大きさで厚さ1mmのY
SZ基板1の中心部に、上記のY−Ba−Cu−Oペーストを
スクリーン印刷した後、900℃で2時間焼成し、10mm×1
0mmの大きさで厚さ10μmのY−Ba−Cu−O膜2を形成
した。
ただし、YSZ基板1のY−Ba−Cu−O膜2を形成する面
の反対側の面の中心部には、実施例1の場合と同様に、
15×15mmの大きさの多孔質平板状白金電極3をあらかじ
め形成しておいた。
以下第1図,第2図に示すように、実施例1と同様の積
層構成で、Al2O3−MgO膜4a,無孔質平板状白金電極5,YSZ
薄膜4bを、エキシマレーザースパッタ装置を用いてそれ
ぞれ順に形成した。
Al2O3−MgO膜4aは酸素バリヤ層4を兼ねた絶縁性の保護
層として、YSZ基板1を400℃に加熱しながら、Y−Ba−
Cu−O膜2の側面に接するように、YSZ基板1上に厚さ1
0μmに形成した。無孔質平板状白金電極5は、抵抗率
測定端子を兼ねるために、幅1mm,長さ15mm,厚さ1μm
の電極を所定の間隔で配置した四端子の電極として、Y
−Ba−Cu−O膜2上を横断しAl2O3−MgO膜4aに渡るよう
に形成された。さらに、YSZ薄膜4bは絶縁性の酸素バリ
ヤ層4として、Y−Ba−Cu−O膜2の露出部分を被覆す
るように、積層体の中心に15mm×15mmの大きさで厚さ1
μmに形成された。
このようにして作成した導電性酸化物、Y−Ba−Cu−O
膜2の低温における抵抗率を直流四端子法を用いて測定
したところ、第4図のように半導体的挙動を示し、超伝
導を示さなかった。そこで、直流安定化電源10の陰極を
多孔質平板状白金電極3に接続し、陽極を無孔質平板状
白金電極5に接続して、積層体を大気中で500℃に加熱
しながら、1mAの電流を70秒間通電し、Y−Ba−Cu−O
膜2に酸素イオンを注入した後、電源をオフにし、積層
体を室温に冷却して酸素濃度を固定した。そしてY−Ba
−Cu−O膜2の抵抗率を測定したところ、第5図の実線
Aに示すように、抵抗率約1/1000に減少するとともに30
Kで超伝導を示した。
抵抗率の測定終了後、積層体を大気中で再び500℃に加
熱しながら、積層方向に沿って、前回とは逆向きで、1m
Aの大きさの電流を50秒間通電し、Y−Ba−Cu−O膜2
から酸素イオンを排出した後、電源をオフにし、積層体
を冷却して酸素濃度を再び固定した。そしてY−Ba−Cu
−O膜2の低温抵抗率を測定したところ、第5図の破線
Bに示すように、抵抗率が増大し、10K以上の温度では
超伝導を示さなくなった。
以上の操作が終了し、積層体が室温に戻された後、Y−
Ba−Cu−O膜2の抵抗率は一定になり、経時変化はみら
れなかった。
(発明の効果) 以上の通り本発明は酸素イオン伝導性を有する固体電解
質を用いることにより、導電性酸化物の酸素濃度を比較
的低温で正確に制御でき、又そのまま固定できるもので
あり、各種デバイスの製造に適用できるものでる。特に
本発明は上述の作用効果から酸素濃度の正確な制御とそ
の長期安定性が実用に際し不可欠と云われる酸化物超伝
導体の製造に効果的に適用できるものである。このよう
に本発明は、多方面への応用が期待できる工業上非常に
有用なものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例の説明図、第2図は該実施例の積層部の
平面図、第3図は実施例1の結果を示すグラフで、横軸
は電流注入回数(回),縦軸は抵抗率(Ω・cm)であ
り、第4図,第5図は実施例2の結果を示すグラフで、
横軸は温度(K),縦軸は抵抗率(Ω・cm)である。 1:固体電解質(YSZ)基板 2:導電性酸化物(Y−Ba−Cu−O)薄膜 3:多孔質平板状白金電極 4:酸素バリヤ層 5:無孔質平板状白金電極 10:直流安定化電源
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 39/24 ZAA D

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性酸化物と酸素イオン伝導性を有する
    固体電解質とを積層した積層体を形成し、固体電解質を
    介して導電性酸化物の酸素濃度を制御する導電性酸化物
    の製造方法において、該積層体の導電性酸化物側表面に
    無孔質電極を、その他方の表面に多孔質電極を設け、さ
    らに導電性酸化物表面を露出部が無いように酸素バリヤ
    層で被覆し、この積層体を該固体電解質が酸素イオン伝
    導を示す温度範囲に維持すると共に両電極の間に電流を
    流すことによって、導電性酸化物の酸素濃度を制御する
    ことを特徴とする導電性酸化物の製造方法。
  2. 【請求項2】前記導電性酸化物が酸化物超伝導体である
    請求項第1項記載の導電性酸化物の製造方法。
  3. 【請求項3】前記酸素バリヤ層がセラミック誘電体であ
    る請求項第1項又は第2項記載の導電性酸化物の製造方
    法。
  4. 【請求項4】前記固体電解質が螢石型結晶構造を持つ酸
    化物固溶体系の固体電解質である請求項第1項〜請求項
    第3項記載のいずれかの導電性酸化物の製造方法。
  5. 【請求項5】前記導電性酸化物がY−Ba−Cu−O系の酸
    化物超伝導体であり、前記固体電解質がYSZ単結晶であ
    り、前記酸素バリヤ層がAl2O3−MgO膜であり、500℃以
    下の温度で両電極の間に電流を流して酸素濃度を制御す
    る請求項1記載の導電性酸化物の製造方法。
JP63228339A 1988-09-14 1988-09-14 導電性酸化物の製造方法 Expired - Fee Related JPH07106882B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63228339A JPH07106882B2 (ja) 1988-09-14 1988-09-14 導電性酸化物の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63228339A JPH07106882B2 (ja) 1988-09-14 1988-09-14 導電性酸化物の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0280302A JPH0280302A (ja) 1990-03-20
JPH07106882B2 true JPH07106882B2 (ja) 1995-11-15

Family

ID=16874911

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP63228339A Expired - Fee Related JPH07106882B2 (ja) 1988-09-14 1988-09-14 導電性酸化物の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07106882B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2684371A1 (fr) * 1991-11-29 1993-06-04 Alsthom Cge Alcatel Procede de traitement d'une piece en ceramique supraconductrice de type (ln)1ba2cu307-delta.

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2617645B1 (fr) * 1987-07-03 1989-10-20 Thomson Csf Dispositif en materiau supraconducteur et procede de realisation

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Appl.Phys.Lett.52(17),P.1441−1443(1988−4−25)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0280302A (ja) 1990-03-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4963524A (en) Sputtering device for manufacturing superconducting oxide material and method therefor
KR100352099B1 (ko) 혼합이온 전도체 및 이것을 이용한 장치
CA1330548C (en) Method and apparatus for producing thin film of compound having large area
US4142024A (en) Electrolyte-cathode assembly for a fuel cell
US4925829A (en) Method for preparing thin film of compound oxide superconductor by ion beam techniques
JP2671916B2 (ja) 超電導体の製造方法及び超電導回路の作製方法
JPH07106882B2 (ja) 導電性酸化物の製造方法
JP2815382B2 (ja) 導電性酸化物積層体
JP3037358B2 (ja) 酸化物超伝導体の製造方法及び酸化物超伝導体積層体
Chu Thin-and thick-film solid ionic devices
EP0306286B1 (en) Method and apparatus for manufacturing superconducting ceramics materials
JPS63310515A (ja) 超伝導体薄膜の製造方法
JPH0825742B2 (ja) 超電導材料の作製方法
US5225396A (en) Method for forming an oxide superconducting film
JP3015408B2 (ja) 超電導トランジスタの製造方法
JPH02248301A (ja) 酸化物超伝導体の製造方法
JP6706817B2 (ja) 電界制御電極および電気二重層デバイス
JPH0541237A (ja) 固体燃料電池
JP2585561B2 (ja) 酸化物超伝導材料
KR960001194B1 (ko) 세라믹 초전도체의 전이온도, 자기장을 갖거나 갖지 않는 포화전류밀도 및 정상적인 전도상의 비율을 조절하기 위한 방법
JP2564562B2 (ja) 超電導材料の作製方法
JPS63304678A (ja) 酸化物超電導回路の製造方法
JP2529347B2 (ja) 超電導薄膜の作製方法
JP2611332B2 (ja) 薄膜超電導体の製造方法
JPH061608A (ja) 導電性酸化物薄膜の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees