JPH07106710A - 相互注入同期光源 - Google Patents
相互注入同期光源Info
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- JPH07106710A JPH07106710A JP26982593A JP26982593A JPH07106710A JP H07106710 A JPH07106710 A JP H07106710A JP 26982593 A JP26982593 A JP 26982593A JP 26982593 A JP26982593 A JP 26982593A JP H07106710 A JPH07106710 A JP H07106710A
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- laser
- wavelength
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Abstract
(57)【要約】
【目的】発振パワーが安定で、広帯域な連続波長可変特
性を持つと同時に、周波数掃引時の制御が簡単な高SM
SR・狭スペクトル光源を実現する。 【構成】第1の半導体レーザ1と第2の半導体レーザ2
とを光軸を合わせて配置し、第1の半導体レーザ1の端
面1aをARコートし、第2の半導体レーザ2の端面2
aとで外部共振器を構成した。また、共振長可変手段3
を設けて、波長設定信号源13、距離可変手段制御器1
1等により制御するようにした。
性を持つと同時に、周波数掃引時の制御が簡単な高SM
SR・狭スペクトル光源を実現する。 【構成】第1の半導体レーザ1と第2の半導体レーザ2
とを光軸を合わせて配置し、第1の半導体レーザ1の端
面1aをARコートし、第2の半導体レーザ2の端面2
aとで外部共振器を構成した。また、共振長可変手段3
を設けて、波長設定信号源13、距離可変手段制御器1
1等により制御するようにした。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、例えば、光通信、光
波計測等の分野において用いられる光源装置に係り、特
に、相互注入同期現象を利用して、広い波長帯域にわた
って発振可能であり、狭いスペクトル線幅、高いサイド
モード抑圧比(SMSR:SideMode Supp
ression Ratio)を実現した相互注入同期
光源に関する。
波計測等の分野において用いられる光源装置に係り、特
に、相互注入同期現象を利用して、広い波長帯域にわた
って発振可能であり、狭いスペクトル線幅、高いサイド
モード抑圧比(SMSR:SideMode Supp
ression Ratio)を実現した相互注入同期
光源に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明の相互注入同期光源は、所望の波
長に固定して使用する場合も、従来の光源に比べ特長を
有するものであるが、特に、波長を可変とする場合に、
その効果が顕著であるので、広帯域波長可変光源を例に
とり説明する。従来技術では広帯域波長可変光源は、外
部共振器構造と光共振器によるQ値の高いフィルタを用
いて実現していた。
長に固定して使用する場合も、従来の光源に比べ特長を
有するものであるが、特に、波長を可変とする場合に、
その効果が顕著であるので、広帯域波長可変光源を例に
とり説明する。従来技術では広帯域波長可変光源は、外
部共振器構造と光共振器によるQ値の高いフィルタを用
いて実現していた。
【0003】例えば、図5に示すものはヒューレット−
パッカード ジャーナル 1993年2月号第20頁〜
第27頁(Hewlett−Packard Jour
nal,PP.20−27,February 199
3)に開示されている従来の広帯域波長可変光源の光学
系である。従来の広帯域波長可変光源の光学系は一方の
レーザ出射端面31aのみが無反射コート(ARコー
ト、AR:Anti−Reflection)されてい
る半導体レーザ31と、該半導体レーザ31のARコー
トされた端面31a側に、該ARコートされた端面31
aから出射されたレーザ光を受ける光共振器フィルタ3
2と、該光共振器フィルタ32を透過した光を受け、か
つ、前記半導体レーザ31の他方の端面31bとで共振
器を構成する回折格子33とを備えている。また、他方
のレーザ出射端面31b(ARコートされていない端
面)側に、半導体レーザ31へのレーザ光の反射を防ぐ
ための光アイソレータ34と、該光アイソレータ34か
らのレーザ光を集光してファイバ35へ入射させるため
のレンズと、該ファイバからモニターするためにレーザ
光を取り出すカプラ36と、該カプラで取り出したモニ
ター光を受けて光電変換する受光器37とを備えてい
る。
パッカード ジャーナル 1993年2月号第20頁〜
第27頁(Hewlett−Packard Jour
nal,PP.20−27,February 199
3)に開示されている従来の広帯域波長可変光源の光学
系である。従来の広帯域波長可変光源の光学系は一方の
レーザ出射端面31aのみが無反射コート(ARコー
ト、AR:Anti−Reflection)されてい
る半導体レーザ31と、該半導体レーザ31のARコー
トされた端面31a側に、該ARコートされた端面31
aから出射されたレーザ光を受ける光共振器フィルタ3
2と、該光共振器フィルタ32を透過した光を受け、か
つ、前記半導体レーザ31の他方の端面31bとで共振
器を構成する回折格子33とを備えている。また、他方
のレーザ出射端面31b(ARコートされていない端
面)側に、半導体レーザ31へのレーザ光の反射を防ぐ
ための光アイソレータ34と、該光アイソレータ34か
らのレーザ光を集光してファイバ35へ入射させるため
のレンズと、該ファイバからモニターするためにレーザ
光を取り出すカプラ36と、該カプラで取り出したモニ
ター光を受けて光電変換する受光器37とを備えてい
る。
【0004】そして、前記光共振器フィルタ32は光学
用板ガラスの両面を高反射率コート(HRコート、H
R:High−Reflection)したファブリ−
ペロ・エタロン(Fabry−Perot etalo
n)であり、図6に示すように、該ファブリ−ペロ・エ
タロンをDCモータの軸に2度傾けて取りつけ、かつ、
DCモータの軸とレーザ光の光軸とを3度傾けて取りつ
け、DCモータを制御してファブリ−ペロ・エタロンの
鏡面とレーザ光の光軸との角度を85度〜89度の間変
えることで共振長が変えられるようになっている。ま
た、前記回折格子33は半導体レーザ31からの距離
と、レーザ光の光軸との角度とを変えられるようになっ
ている。
用板ガラスの両面を高反射率コート(HRコート、H
R:High−Reflection)したファブリ−
ペロ・エタロン(Fabry−Perot etalo
n)であり、図6に示すように、該ファブリ−ペロ・エ
タロンをDCモータの軸に2度傾けて取りつけ、かつ、
DCモータの軸とレーザ光の光軸とを3度傾けて取りつ
け、DCモータを制御してファブリ−ペロ・エタロンの
鏡面とレーザ光の光軸との角度を85度〜89度の間変
えることで共振長が変えられるようになっている。ま
た、前記回折格子33は半導体レーザ31からの距離
と、レーザ光の光軸との角度とを変えられるようになっ
ている。
【0005】次に、従来の広帯域波長可変光源の光学系
の動作について説明する。半導体レーザ31のARコー
トされた端面31aから出射されたレーザ光は光共振器
フィルタ32の鏡面に対して斜めに入射される。斜めに
入射されるので、不要な反射光は半導体レーザ31には
戻らない。光共振器フィルタ32において両鏡面の光軸
方向の間隔で決まる特定周波数において共振したレーザ
光は、光共振器フィルタ32を透過して回折格子33に
入射する。回折格子33に入射したレーザ光は、該回折
格子33と光軸との角度で決まる特定周波数のレーザ光
のみがレーザ光の光軸方向に反射され、再度、光共振器
フィルタ32を透過して半導体レーザ31に帰還され
る。
の動作について説明する。半導体レーザ31のARコー
トされた端面31aから出射されたレーザ光は光共振器
フィルタ32の鏡面に対して斜めに入射される。斜めに
入射されるので、不要な反射光は半導体レーザ31には
戻らない。光共振器フィルタ32において両鏡面の光軸
方向の間隔で決まる特定周波数において共振したレーザ
光は、光共振器フィルタ32を透過して回折格子33に
入射する。回折格子33に入射したレーザ光は、該回折
格子33と光軸との角度で決まる特定周波数のレーザ光
のみがレーザ光の光軸方向に反射され、再度、光共振器
フィルタ32を透過して半導体レーザ31に帰還され
る。
【0006】このように、半導体レーザと回折格子との
間で作る共振器によりレーザ発振が発生するが、この
際、回折格子の分解能は、半導体レーザと回折格子との
共振器の単一モードを選択できないため、光共振器フィ
ルタを必要とする。
間で作る共振器によりレーザ発振が発生するが、この
際、回折格子の分解能は、半導体レーザと回折格子との
共振器の単一モードを選択できないため、光共振器フィ
ルタを必要とする。
【0007】図7は前記従来の広帯域波長可変光源にお
ける波長の選択とサイドモードの抑圧とを説明するため
の図である。図7(a)は半導体レーザのゲインプロフ
ァイルであり、図7(b)は外部共振器のモードプロフ
ァイルであり、図7(c)は回折格子の反射プロファイ
ルであり、図7(d)は光共振器フィルタの透過プロフ
ァイルであり、図7(e)は広帯域波長可変光源から出
射されるレーザ光の発振波長である。いずれの図も横軸
は波長である。
ける波長の選択とサイドモードの抑圧とを説明するため
の図である。図7(a)は半導体レーザのゲインプロフ
ァイルであり、図7(b)は外部共振器のモードプロフ
ァイルであり、図7(c)は回折格子の反射プロファイ
ルであり、図7(d)は光共振器フィルタの透過プロフ
ァイルであり、図7(e)は広帯域波長可変光源から出
射されるレーザ光の発振波長である。いずれの図も横軸
は波長である。
【0008】図7(a)に示されるように、半導体レー
ザ自体が増幅できる波長範囲は広く、図7(b)に示さ
れるように、外部共振器には複数の共振モードが立つ、
この内、図7(c)に示される回折格子の反射プロファ
イル及び図7(d)に示される光共振器フィルタの透過
プロファイルに合った共振モードのみが選択されて、図
7(e)に示される発振波長のレーザ光が出射されるこ
とになる。
ザ自体が増幅できる波長範囲は広く、図7(b)に示さ
れるように、外部共振器には複数の共振モードが立つ、
この内、図7(c)に示される回折格子の反射プロファ
イル及び図7(d)に示される光共振器フィルタの透過
プロファイルに合った共振モードのみが選択されて、図
7(e)に示される発振波長のレーザ光が出射されるこ
とになる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従来の広帯域波長可変
光源は前述のような構成となっているため、次のような
問題がある。 外部共振器内部に光パワーロスを持つフィルタを挿
入するため、レーザ出力パワーが小さい。 サイドモード抑圧比(SMSR)は次に示す式
(1)で表される。 SMSR=α・(L/L0 )・(ΔR1 /R1 ) (1) ここで、 α :半導体レーザの物性定数 L :全光学的共振器長 L0 :半導体レーザの光学的共振器長 R1 :メインモードに対する外部ミラー反射率 ΔR1 :R1 −(サイドモードに対する外部ミラー反射
率) 前記式(1)から分かるように、SMSRを大きくする
ためには、L/L0、ΔR1 /R1 を大きくすることが
必要であり、そのために長共振器構造と光共振器による
Q値の高いフィルタを必要とする。しかし、フィルタの
反射光が半導体レーザへ戻るのを避けるため、ファブリ
−ペロ・エタロンを傾けなければならず、傾けることに
よりフィルタのQ値は、外部共振器のモードを単一で選
択できる程大きくはならなくなる。したがって、外部共
振器モードのSMSRはあまり良くならない。
光源は前述のような構成となっているため、次のような
問題がある。 外部共振器内部に光パワーロスを持つフィルタを挿
入するため、レーザ出力パワーが小さい。 サイドモード抑圧比(SMSR)は次に示す式
(1)で表される。 SMSR=α・(L/L0 )・(ΔR1 /R1 ) (1) ここで、 α :半導体レーザの物性定数 L :全光学的共振器長 L0 :半導体レーザの光学的共振器長 R1 :メインモードに対する外部ミラー反射率 ΔR1 :R1 −(サイドモードに対する外部ミラー反射
率) 前記式(1)から分かるように、SMSRを大きくする
ためには、L/L0、ΔR1 /R1 を大きくすることが
必要であり、そのために長共振器構造と光共振器による
Q値の高いフィルタを必要とする。しかし、フィルタの
反射光が半導体レーザへ戻るのを避けるため、ファブリ
−ペロ・エタロンを傾けなければならず、傾けることに
よりフィルタのQ値は、外部共振器のモードを単一で選
択できる程大きくはならなくなる。したがって、外部共
振器モードのSMSRはあまり良くならない。
【0010】 また、フィルタの共振長を変えるとレ
ーザ光の入射角度が変化してしまい、フィルタの透過プ
ロファイルが変化する。このためモード選択性が変化
し、モードホップが生じ、結果的に位相連続で波長を可
変することはできない。 所望の周波数のレーザ出射光を得るためには、該所
望の周波数ごとに、ファブリ−ペロ・エタロンの共振器
長並びに回折格子の半導体レーザからの距離及びレーザ
光の光軸との角度を設定する複雑な制御をしなければな
らない。 レーザ光のフィルタへの入射角度が変化しないよう
に、前記ファブリ−ペロ・エタロンの代わりに、2枚の
ミラーを用いた光共振器フィルタを使用する構成で位相
連続周波数掃引を行う場合、ミラー間隔の制御が非常に
難しく、所望の精度は得られない。 周波数掃引時には、グレーティングの角度・位置及
び光共振器フィルタのミラー間隔を同時に高精度に制御
しなければならず、非常に複雑なものとなる。本発明の
目的は、これらの問題点を解決し、発振パワーが安定
で、広帯域な連続波長可変特性を持つと同時に、周波数
掃引時の制御が簡単な高SMSR・狭スペクトル光源を
相互注入同期現象を利用して実現した相互注入同期光源
によって提供することである。
ーザ光の入射角度が変化してしまい、フィルタの透過プ
ロファイルが変化する。このためモード選択性が変化
し、モードホップが生じ、結果的に位相連続で波長を可
変することはできない。 所望の周波数のレーザ出射光を得るためには、該所
望の周波数ごとに、ファブリ−ペロ・エタロンの共振器
長並びに回折格子の半導体レーザからの距離及びレーザ
光の光軸との角度を設定する複雑な制御をしなければな
らない。 レーザ光のフィルタへの入射角度が変化しないよう
に、前記ファブリ−ペロ・エタロンの代わりに、2枚の
ミラーを用いた光共振器フィルタを使用する構成で位相
連続周波数掃引を行う場合、ミラー間隔の制御が非常に
難しく、所望の精度は得られない。 周波数掃引時には、グレーティングの角度・位置及
び光共振器フィルタのミラー間隔を同時に高精度に制御
しなければならず、非常に複雑なものとなる。本発明の
目的は、これらの問題点を解決し、発振パワーが安定
で、広帯域な連続波長可変特性を持つと同時に、周波数
掃引時の制御が簡単な高SMSR・狭スペクトル光源を
相互注入同期現象を利用して実現した相互注入同期光源
によって提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明では、一対の半導体レーザを用い、そのレー
ザ光出射端面で外部共振器を構成すると共に、相互注入
同期現象を利用することとした。すなわち、第1の半導
体レーザと第2の半導体レーザとを光軸を合わせて配置
し、第1の半導体レーザのレーザ光出射端面のうち、第
2の半導体レーザのレーザ光出射端面に対向する端面を
ARコートし、第1の半導体レーザのARコートしてい
ない端面と第2の半導体レーザの端面とで外部共振器
(光共振器)を構成するようにした。
に、本発明では、一対の半導体レーザを用い、そのレー
ザ光出射端面で外部共振器を構成すると共に、相互注入
同期現象を利用することとした。すなわち、第1の半導
体レーザと第2の半導体レーザとを光軸を合わせて配置
し、第1の半導体レーザのレーザ光出射端面のうち、第
2の半導体レーザのレーザ光出射端面に対向する端面を
ARコートし、第1の半導体レーザのARコートしてい
ない端面と第2の半導体レーザの端面とで外部共振器
(光共振器)を構成するようにした。
【0012】また、前記外部共振器の共振長を変化させ
る共振長可変手段を備えた。さらに、前記第2の半導体
レーザの前記第1の半導体レーザのARコートされたレ
ーザ光出射端面に対向していない第2のレーザ光出射端
面をARコートし、該第2のレーザ光出射端面と対向さ
せて光反射体を配置し、該光反射体と第2の半導体レー
ザの第1のレーザ光出射端面とで第2の外部共振器を構
成するようにした。また、前記第1の光共振器及び前記
第2の光共振器の少なくとも一方の共振長を変化させる
共振長可変手段を備えた。
る共振長可変手段を備えた。さらに、前記第2の半導体
レーザの前記第1の半導体レーザのARコートされたレ
ーザ光出射端面に対向していない第2のレーザ光出射端
面をARコートし、該第2のレーザ光出射端面と対向さ
せて光反射体を配置し、該光反射体と第2の半導体レー
ザの第1のレーザ光出射端面とで第2の外部共振器を構
成するようにした。また、前記第1の光共振器及び前記
第2の光共振器の少なくとも一方の共振長を変化させる
共振長可変手段を備えた。
【0013】
【作用】半導体レーザに外部からレーザ光を注入する
と、半導体レーザの発振周波数が注入されたレーザ光の
周波数に固定される注入同期現象というものが知られて
いる。この注入同期現象を利用すると、次のような利点
をもった半導体レーザが得られる。すなわち、 ロッキング・レンジが発生する。半導体レーザの自
励発振周波数がνf で、外部からのレーザ光の周波数が
νe であった場合、注入同期現象が発生すると半導体レ
ーザの発振周波数νf がνe に変化する。この注入同期
現象が発生する、自励発振周波数νf と外部注入レーザ
周波数νe との最大差周波数範囲 絶対値(νf −νe
)をロッキング・レンジΔνと呼ぶ。このΔνは式
(2)で定式化できる。 Δν={1/(4πτp )}√(Pin/Pl ) (2) ここで、 τp :フォトン寿命 Pin:注入されるレーザ光のパワー Pl :半導体レーザ内の光パワー である。相互注入同期系の場合は、系を構成する2つの
半導体レーザの自励発振周波数νf1,νf2の間で注入同
期周波数が決まる。
と、半導体レーザの発振周波数が注入されたレーザ光の
周波数に固定される注入同期現象というものが知られて
いる。この注入同期現象を利用すると、次のような利点
をもった半導体レーザが得られる。すなわち、 ロッキング・レンジが発生する。半導体レーザの自
励発振周波数がνf で、外部からのレーザ光の周波数が
νe であった場合、注入同期現象が発生すると半導体レ
ーザの発振周波数νf がνe に変化する。この注入同期
現象が発生する、自励発振周波数νf と外部注入レーザ
周波数νe との最大差周波数範囲 絶対値(νf −νe
)をロッキング・レンジΔνと呼ぶ。このΔνは式
(2)で定式化できる。 Δν={1/(4πτp )}√(Pin/Pl ) (2) ここで、 τp :フォトン寿命 Pin:注入されるレーザ光のパワー Pl :半導体レーザ内の光パワー である。相互注入同期系の場合は、系を構成する2つの
半導体レーザの自励発振周波数νf1,νf2の間で注入同
期周波数が決まる。
【0014】 レーザ光のスペクトル線幅が狭窄化さ
れる。外部共振器構造であるため、共振器のQが向上
し、半導体レーザの外部共振器間隔Lの二乗の逆数に比
例して、発振線幅を狭窄化できる。また、相互注入同期
の効果による狭窄化も同時に発生するため、100kH
z以下の狭スペクトルが得られる。 レーザ光が単一モード化される。多モード発振状態
の半導体レーザに注入同期が発生すると単一モード化
し、安定な発振状態が得られる。
れる。外部共振器構造であるため、共振器のQが向上
し、半導体レーザの外部共振器間隔Lの二乗の逆数に比
例して、発振線幅を狭窄化できる。また、相互注入同期
の効果による狭窄化も同時に発生するため、100kH
z以下の狭スペクトルが得られる。 レーザ光が単一モード化される。多モード発振状態
の半導体レーザに注入同期が発生すると単一モード化
し、安定な発振状態が得られる。
【0015】本発明では相互注入同期系を利用してい
る。相互注入同期系では、2つの半導体レーザの自走発
振周波数がロッキングレンジ内であれば、お互いに相手
の周波数に引き込まれる方向に周波数が変化し、最終的
には、両方の半導体レーザの自走発振周波数の間の周波
数に落ち着く。第1の半導体レーザと第2の半導体レー
ザとが光軸を合わせて配置されているので、それぞれの
半導体レーザへの外部共振長を制御することにより、第
1と第2の外部共振器のモードが一致したモード波長で
相互注入同期状態をつくりだすことができる。
る。相互注入同期系では、2つの半導体レーザの自走発
振周波数がロッキングレンジ内であれば、お互いに相手
の周波数に引き込まれる方向に周波数が変化し、最終的
には、両方の半導体レーザの自走発振周波数の間の周波
数に落ち着く。第1の半導体レーザと第2の半導体レー
ザとが光軸を合わせて配置されているので、それぞれの
半導体レーザへの外部共振長を制御することにより、第
1と第2の外部共振器のモードが一致したモード波長で
相互注入同期状態をつくりだすことができる。
【0016】また、相互注入同期現象は一般的には外部
から入射される光電界の位相が半導体レーザ内部の光電
界の位相と結合するようにレーザ間隔を調整する必要が
あるが、本発明では第1の半導体レーザのレーザ光出射
端面のうち、第2の半導体レーザのレーザ光出射端面に
対向する端面がARコートされているので、第2の半導
体レーザのレーザ光出射端面から第1の半導体レーザの
第1の端面まで(第1の半導体レーザと、第2の半導体
レーザの第1の端面と、該第1の端面とARコートされ
た端面とで挟まれた空間と)が実効的に第1の外部共振
器として働く。つまり、第2の半導体レーザの第1の端
面が第1の外部共振器の端面ともなっており、第1の外
部共振器と第2の半導体レーザとの間に間隔(空間)が
ない。したがって、該端面における位相のミスマッチは
生じず、第2の半導体レーザは第1の半導体レーザを含
む第1の外部共振器にとって、非常にQの高い(前記式
(1)のΔR1 が大きい)反射ミラーとみなせる。
から入射される光電界の位相が半導体レーザ内部の光電
界の位相と結合するようにレーザ間隔を調整する必要が
あるが、本発明では第1の半導体レーザのレーザ光出射
端面のうち、第2の半導体レーザのレーザ光出射端面に
対向する端面がARコートされているので、第2の半導
体レーザのレーザ光出射端面から第1の半導体レーザの
第1の端面まで(第1の半導体レーザと、第2の半導体
レーザの第1の端面と、該第1の端面とARコートされ
た端面とで挟まれた空間と)が実効的に第1の外部共振
器として働く。つまり、第2の半導体レーザの第1の端
面が第1の外部共振器の端面ともなっており、第1の外
部共振器と第2の半導体レーザとの間に間隔(空間)が
ない。したがって、該端面における位相のミスマッチは
生じず、第2の半導体レーザは第1の半導体レーザを含
む第1の外部共振器にとって、非常にQの高い(前記式
(1)のΔR1 が大きい)反射ミラーとみなせる。
【0017】さらに、第1の半導体レーザを含む第1の
外部共振器は長共振器構造を持つため高SMSRが得ら
れることになる。また、前記外部共振器の共振長を可変
する手段(共振長可変手段)を備えたものは、該共振長
可変手段で共振長を変化させるとともに注入電流や温度
により第2の半導体レーザの発振周波数を変化させるこ
とで、出射レーザ光を別の波長へ変えられ、該波長にお
いても高SMSR・狭スペクトルのレーザ光とすること
ができる。この際、変化させる外部共振長の要求される
制御精度は、ロッキングレンジが発生するため、従来技
術の場合と比較して数10倍緩和され、その結果位相連
続で波長を変化させることができる。
外部共振器は長共振器構造を持つため高SMSRが得ら
れることになる。また、前記外部共振器の共振長を可変
する手段(共振長可変手段)を備えたものは、該共振長
可変手段で共振長を変化させるとともに注入電流や温度
により第2の半導体レーザの発振周波数を変化させるこ
とで、出射レーザ光を別の波長へ変えられ、該波長にお
いても高SMSR・狭スペクトルのレーザ光とすること
ができる。この際、変化させる外部共振長の要求される
制御精度は、ロッキングレンジが発生するため、従来技
術の場合と比較して数10倍緩和され、その結果位相連
続で波長を変化させることができる。
【0018】さらに、前記第2の半導体レーザの前記第
1の半導体レーザのARコートされたレーザ光出射端面
に対向していない第2のレーザ光出射端面をARコート
し、該第2のレーザ光出射端面と対向させて光反射体を
配置した場合、該光反射体と第2の半導体レーザの第1
のレーザ光出射端面とで構成される第2の外部共振器が
実効的に第2の外部共振器として働く。したがって、設
定できる周波数の範囲が第2の半導体レーザのゲイン幅
まで広がる。また、前記第1の外部共振器及び前記第2
の外部共振器の少なくとも一方の共振長を変化させる共
振長可変手段を備えたものは、該共振長可変手段で共振
長を変化させるとともに半導体レーザの発振周波数を変
化させることで、出射レーザ光を別の波長に変えられ、
該周波数においても高SMSR・狭スペクトルのレーザ
光とすることができる。しかも、波長可変範囲が広い。
1の半導体レーザのARコートされたレーザ光出射端面
に対向していない第2のレーザ光出射端面をARコート
し、該第2のレーザ光出射端面と対向させて光反射体を
配置した場合、該光反射体と第2の半導体レーザの第1
のレーザ光出射端面とで構成される第2の外部共振器が
実効的に第2の外部共振器として働く。したがって、設
定できる周波数の範囲が第2の半導体レーザのゲイン幅
まで広がる。また、前記第1の外部共振器及び前記第2
の外部共振器の少なくとも一方の共振長を変化させる共
振長可変手段を備えたものは、該共振長可変手段で共振
長を変化させるとともに半導体レーザの発振周波数を変
化させることで、出射レーザ光を別の波長に変えられ、
該周波数においても高SMSR・狭スペクトルのレーザ
光とすることができる。しかも、波長可変範囲が広い。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1はこの発明の第1の実施例を示す概略構成図
である。第1の実施例の相互注入同期光源の光学系は第
2のレーザ光出射端面1aがARコートされた第1の半
導体レーザ1、該第1の半導体レーザ1と光軸をあわ
せ、かつ、第1の半導体レーザ1の第2のレーザ光出射
端面1aにその第1のレーザ光出射端面2aが光学的に
対向するように隔置された第2の半導体レーザ2、第1
の半導体レーザ1の第2のレーザ光出射端面1aと第2
の半導体レーザ2の第1のレーザ光出射端面2aとを光
学的に対向させるための直角プリズム17、及びレンズ
20,21,22,23から成っている。
する。図1はこの発明の第1の実施例を示す概略構成図
である。第1の実施例の相互注入同期光源の光学系は第
2のレーザ光出射端面1aがARコートされた第1の半
導体レーザ1、該第1の半導体レーザ1と光軸をあわ
せ、かつ、第1の半導体レーザ1の第2のレーザ光出射
端面1aにその第1のレーザ光出射端面2aが光学的に
対向するように隔置された第2の半導体レーザ2、第1
の半導体レーザ1の第2のレーザ光出射端面1aと第2
の半導体レーザ2の第1のレーザ光出射端面2aとを光
学的に対向させるための直角プリズム17、及びレンズ
20,21,22,23から成っている。
【0020】第1の半導体レーザ1、第2の半導体レー
ザ1、及びレンズ20,21,22,23は第2の半導
体レーザ2の第2のレーザ光出射端面2bからの出射光
を光電変換する受光器6とともにヒートシンク18の中
に収められている。そして、該ヒートシンク18に距離
可変手段としてのピエゾ素子3を介して、直角プリズム
17を固定した直角プリズム支持部材16が取りつけら
れている。このような構造にすると、 装置の小型化が図れる。 半導体レーザの温度制御がし易い。 光路長の可変範囲が広い。(光路長が距離可変手段
で変えた距離の2倍変化する) 2つの半導体レーザの光軸ずれが少ない。等のメリ
ットがある。
ザ1、及びレンズ20,21,22,23は第2の半導
体レーザ2の第2のレーザ光出射端面2bからの出射光
を光電変換する受光器6とともにヒートシンク18の中
に収められている。そして、該ヒートシンク18に距離
可変手段としてのピエゾ素子3を介して、直角プリズム
17を固定した直角プリズム支持部材16が取りつけら
れている。このような構造にすると、 装置の小型化が図れる。 半導体レーザの温度制御がし易い。 光路長の可変範囲が広い。(光路長が距離可変手段
で変えた距離の2倍変化する) 2つの半導体レーザの光軸ずれが少ない。等のメリ
ットがある。
【0021】制御系は粗調信号、微調基準信号、第2の
半導体レーザ制御信号、第1の半導体レーザ1及び第2
の半導体レーザ2の温度を設定する温度信号を出力する
波長設定信号源13、該波長設定信号源13からの第2
の半導体レーザ制御信号に基づいて前記第2の半導体レ
ーザ2への注入電流を制御する第2の注入電流源8、前
記波長設定信号源13からの温度信号に基づいて前記第
1の半導体レーザ1及び第2の半導体レーザ2の温度を
制御する温度制御器15、前記波長設定信号源13から
の微調基準信号と前記受光器6からの受光信号との差を
演算し微調信号を出力する差動増幅器14、該差動増幅
器14からの微調信号と前記波長設定信号源13からの
粗調信号とを受けて、周波数設定信号と同期保持制御信
号を重畳させて2系統に出力する距離可変手段制御器1
1、該距離可変手段制御器11の一方の系統への周波数
設定信号と同期保持制御信号の重畳された信号を受けて
前記第1の半導体レーザ1への注入電流を制御する第1
の注入電流源7、並びに、前記距離可変手段制御器11
の他方の系統への周波数設定信号と同期保持制御信号の
重畳された信号を受けて前記ピエゾ素子3を制御するピ
エゾ素子制御器9から成っている。
半導体レーザ制御信号、第1の半導体レーザ1及び第2
の半導体レーザ2の温度を設定する温度信号を出力する
波長設定信号源13、該波長設定信号源13からの第2
の半導体レーザ制御信号に基づいて前記第2の半導体レ
ーザ2への注入電流を制御する第2の注入電流源8、前
記波長設定信号源13からの温度信号に基づいて前記第
1の半導体レーザ1及び第2の半導体レーザ2の温度を
制御する温度制御器15、前記波長設定信号源13から
の微調基準信号と前記受光器6からの受光信号との差を
演算し微調信号を出力する差動増幅器14、該差動増幅
器14からの微調信号と前記波長設定信号源13からの
粗調信号とを受けて、周波数設定信号と同期保持制御信
号を重畳させて2系統に出力する距離可変手段制御器1
1、該距離可変手段制御器11の一方の系統への周波数
設定信号と同期保持制御信号の重畳された信号を受けて
前記第1の半導体レーザ1への注入電流を制御する第1
の注入電流源7、並びに、前記距離可変手段制御器11
の他方の系統への周波数設定信号と同期保持制御信号の
重畳された信号を受けて前記ピエゾ素子3を制御するピ
エゾ素子制御器9から成っている。
【0022】次に、第1の実施例の動作を説明する。動
作の説明の前に外部共振器形半導体レーザの相互注入同
期系の発振周波数について述べる。外部共振器形半導体
レーザの相互注入同期系の発振周波数は、立ち上げ段階
では以下の条件で決定される。すなわち、 条件 第1の外部共振器と第2の半導体レーザの共振
器モードがロッキングレンジ以内に接近して存在する周
波数領域が1箇所以上存在する。 条件 条件の周波数領域のうち第1の半導体レーザ
を含む第1の外部共振器と第2の半導体レーザの総合ゲ
インが最大の周波数領域。
作の説明の前に外部共振器形半導体レーザの相互注入同
期系の発振周波数について述べる。外部共振器形半導体
レーザの相互注入同期系の発振周波数は、立ち上げ段階
では以下の条件で決定される。すなわち、 条件 第1の外部共振器と第2の半導体レーザの共振
器モードがロッキングレンジ以内に接近して存在する周
波数領域が1箇所以上存在する。 条件 条件の周波数領域のうち第1の半導体レーザ
を含む第1の外部共振器と第2の半導体レーザの総合ゲ
インが最大の周波数領域。
【0023】このことを図3を用いて説明する。図3で
横軸は周波数、縦軸はゲインであり、図3(a)は第1
の外部共振器の共振器モード、図3(b)は第2の半導
体レーザの外部共振器モード、図3(c)は立ち上げ時
の総合ゲインプロファイル、図3(d)は同期時の総合
ゲインプロファイルを示す。図のように、第1 外部共振
器の共振器モードはc/(2nL1 )毎にゲインのピー
クを持っており、第2の半導体レーザの外部共振器モー
ドはc/(2nL2)毎にゲインのピークを持ってい
る。そのゲインピークのうち、少なくとも1つがしきい
値ゲイン(Gth)に達し発振している。そして、両方の
外部共振器モードは何箇所かの周波数領域で設定条件で
のロッキングレンジ以内に存在する。この何箇所かの周
波数が条件を満たす周波数である。これらの周波数の
うち条件を満たす周波数、すなわち、立ち上げ時の総
合ゲインプロファイル(図3(c)に示す)のゲインが
最大である第1の半導体レーザを含む第1の外部共振器
のm次のモード(第2の半導体レーザではm’次のモー
ド)の周波数領域で相互注入同期が発生し図3(d)に
示すように同期発振周波数νL で総合ゲインに突起が発
生するため、νL での発振が安定となる。
横軸は周波数、縦軸はゲインであり、図3(a)は第1
の外部共振器の共振器モード、図3(b)は第2の半導
体レーザの外部共振器モード、図3(c)は立ち上げ時
の総合ゲインプロファイル、図3(d)は同期時の総合
ゲインプロファイルを示す。図のように、第1 外部共振
器の共振器モードはc/(2nL1 )毎にゲインのピー
クを持っており、第2の半導体レーザの外部共振器モー
ドはc/(2nL2)毎にゲインのピークを持ってい
る。そのゲインピークのうち、少なくとも1つがしきい
値ゲイン(Gth)に達し発振している。そして、両方の
外部共振器モードは何箇所かの周波数領域で設定条件で
のロッキングレンジ以内に存在する。この何箇所かの周
波数が条件を満たす周波数である。これらの周波数の
うち条件を満たす周波数、すなわち、立ち上げ時の総
合ゲインプロファイル(図3(c)に示す)のゲインが
最大である第1の半導体レーザを含む第1の外部共振器
のm次のモード(第2の半導体レーザではm’次のモー
ド)の周波数領域で相互注入同期が発生し図3(d)に
示すように同期発振周波数νL で総合ゲインに突起が発
生するため、νL での発振が安定となる。
【0024】ここで、話を第1の実施例の動作に戻す。
波長設定信号源13は所望の出力波長に対する温度信
号、第2の半導体レーザ制御信号、微調基準信号、及
び、粗調信号の各値をセットで記憶している。温度制御
器15は温度信号を受けて所望の出力波長に対して第1
及び第2の半導体レーザ1,2の総合ゲインが最大にな
る温度に両方の半導体レーザの温度を制御する。すなわ
ち、条件を満足させる。第2の注入電流源8は第2の
半導体レーザ制御信号を受けて、単独で所望の出力波長
近傍で発振するように第2の半導体レーザ2に注入電流
を出力する。距離可変手段制御器11は粗調信号をうけ
て、第1の半導体レーザを含む第1の外部共振器が単独
で所望の出力波長近傍で発振するように、ピエゾ制御器
9を介してピエゾ素子3により外部共振器長と、第1の
注入電流源7を介して第1の半導体レーザの注入電流を
制御する。すなわち、条件を満足させる。以上の動作
により、第1の半導体レーザを含む第1の外部共振器と
半導体レーザ2は所望の出力波長の近傍で発振すること
になるが、両方の発振周波数が設定条件におけるロッキ
ングレンジ以内であれば、相互注入同期が発生し、ほぼ
所望の出力波長に対応する出力光が得られることにな
る。
波長設定信号源13は所望の出力波長に対する温度信
号、第2の半導体レーザ制御信号、微調基準信号、及
び、粗調信号の各値をセットで記憶している。温度制御
器15は温度信号を受けて所望の出力波長に対して第1
及び第2の半導体レーザ1,2の総合ゲインが最大にな
る温度に両方の半導体レーザの温度を制御する。すなわ
ち、条件を満足させる。第2の注入電流源8は第2の
半導体レーザ制御信号を受けて、単独で所望の出力波長
近傍で発振するように第2の半導体レーザ2に注入電流
を出力する。距離可変手段制御器11は粗調信号をうけ
て、第1の半導体レーザを含む第1の外部共振器が単独
で所望の出力波長近傍で発振するように、ピエゾ制御器
9を介してピエゾ素子3により外部共振器長と、第1の
注入電流源7を介して第1の半導体レーザの注入電流を
制御する。すなわち、条件を満足させる。以上の動作
により、第1の半導体レーザを含む第1の外部共振器と
半導体レーザ2は所望の出力波長の近傍で発振すること
になるが、両方の発振周波数が設定条件におけるロッキ
ングレンジ以内であれば、相互注入同期が発生し、ほぼ
所望の出力波長に対応する出力光が得られることにな
る。
【0025】次に、発生した注入同期状態保持の動作を
説明する。発生した注入同期状態は環境温度の変化等で
第1の外部共振器LD1あるいは第2の半導体レーザL
D2 の単独発振周波数がロッキングレンジ外へ変化する
ことにより、単独発振状態になる。そこで微調制御が必
要となる。本実施例では、図4に示すように所望の出力
波長における注入同期状態で半導体レーザの出力強度が
ロッキングレンジ内で所定のDC強度を中心に分散特性
を示すことを利用して微調制御を行っている。すなわ
ち、あらかじめ取得した所望の出力波長における最適注
入同期時における第2の半導体レーザの出力光量の前記
受光器出力に対応する信号を微調基準信号として前記波
長設定信号源13から前記差動増幅器14へ出力し、実
際のに受光された注入同期出力との差をとり負帰還制御
を行うための微調信号を前記差動増幅器14から出力さ
せる。この微調信号を前記距離可変手段制御器11から
出力されるピエゾ素子3への信号と第1の半導体レーザ
の注入電流に重畳させ、ピエゾ素子3で外部共振器長の
低速度の微調を、注入電流で第1の半導体レーザ内の屈
折率の微調による高速度の外部共振器長の微調を行い最
適な注入同期状態を保持する。
説明する。発生した注入同期状態は環境温度の変化等で
第1の外部共振器LD1あるいは第2の半導体レーザL
D2 の単独発振周波数がロッキングレンジ外へ変化する
ことにより、単独発振状態になる。そこで微調制御が必
要となる。本実施例では、図4に示すように所望の出力
波長における注入同期状態で半導体レーザの出力強度が
ロッキングレンジ内で所定のDC強度を中心に分散特性
を示すことを利用して微調制御を行っている。すなわ
ち、あらかじめ取得した所望の出力波長における最適注
入同期時における第2の半導体レーザの出力光量の前記
受光器出力に対応する信号を微調基準信号として前記波
長設定信号源13から前記差動増幅器14へ出力し、実
際のに受光された注入同期出力との差をとり負帰還制御
を行うための微調信号を前記差動増幅器14から出力さ
せる。この微調信号を前記距離可変手段制御器11から
出力されるピエゾ素子3への信号と第1の半導体レーザ
の注入電流に重畳させ、ピエゾ素子3で外部共振器長の
低速度の微調を、注入電流で第1の半導体レーザ内の屈
折率の微調による高速度の外部共振器長の微調を行い最
適な注入同期状態を保持する。
【0026】この発振周波数を掃引するときは、第1の
外部共振器のm次のモードの周波数と第2半導体レーザ
のm’次のモードの周波数とが一致するように、外部共
振器長を変化させる。すなわち、mc/(2nL1 )=
m’c/(2nL2 )、つまり、m/L1 =m’/L2
の条件を満たすように掃引すればよい。具体的には、前
記波長設定信号源13にあらかじめm/L1 =m’/L
2 の条件を満たすようにして測定して得た粗調信号デー
タ、第2の半導体レーザの制御信号データ、微調基準信
号データ、第1の半導体レーザ及び第2の半導体レーザ
の温度信号データの対応したものをセットで記憶してお
き、掃引動作に伴い各データを変化させることにより実
現する。
外部共振器のm次のモードの周波数と第2半導体レーザ
のm’次のモードの周波数とが一致するように、外部共
振器長を変化させる。すなわち、mc/(2nL1 )=
m’c/(2nL2 )、つまり、m/L1 =m’/L2
の条件を満たすように掃引すればよい。具体的には、前
記波長設定信号源13にあらかじめm/L1 =m’/L
2 の条件を満たすようにして測定して得た粗調信号デー
タ、第2の半導体レーザの制御信号データ、微調基準信
号データ、第1の半導体レーザ及び第2の半導体レーザ
の温度信号データの対応したものをセットで記憶してお
き、掃引動作に伴い各データを変化させることにより実
現する。
【0027】図2はこの発明の第2の実施例を示す概略
構成図である。第2の実施例の光学系が第1の実施例の
光学系と異なるところは、第2の半導体レーザ2の第2
の端面2bがARコートされており、該端面2bに対向
してハーフミラー(光反射体)5が配置されていること
である。したがって、第2の半導体レーザ2の第1の端
面2aとハーフミラー5とで第2外部共振器を構成し、
第2の半導体レーザ2及び第2の半導体レーザ2の第2
の端面2bからハーフミラー5までの光路が実効的に第
2の外部共振器として働く。この際、ハーフミラー5は
回折格子を使用して安定性を向上させてもよい。また、
該ハーフミラー5と第2の半導体レーザ2の第2の端面
2bとの距離は第2の距離可変手段であるピエゾ素子4
で変えられるようになっている。第2の実施例の制御系
が第1の実施例の制御系と異なるところは、第2の距離
可変手段4用の第2の距離可変手段制御器12を備えて
いることである。波長設定信号源13は所望出力波長に
対応する第1の距離可変手段制御器11へ粗調信号1を
送ると同時に、粗調信号2を第2の距離可変手段制御器
12に送る。第2の距離可変手段制御器12は粗調信号
2を受けて、第2半導体レーザを含む第2の外部共振器
が単独で所望の出力波長近傍で発振するように第2のピ
エゾ制御器10を介してピエゾ素子4により第2の外部
共振器の外部共振器長と、第2の注入電流源8を介して
第2の半導体レーザ2の注入電流を制御するようになっ
ている。
構成図である。第2の実施例の光学系が第1の実施例の
光学系と異なるところは、第2の半導体レーザ2の第2
の端面2bがARコートされており、該端面2bに対向
してハーフミラー(光反射体)5が配置されていること
である。したがって、第2の半導体レーザ2の第1の端
面2aとハーフミラー5とで第2外部共振器を構成し、
第2の半導体レーザ2及び第2の半導体レーザ2の第2
の端面2bからハーフミラー5までの光路が実効的に第
2の外部共振器として働く。この際、ハーフミラー5は
回折格子を使用して安定性を向上させてもよい。また、
該ハーフミラー5と第2の半導体レーザ2の第2の端面
2bとの距離は第2の距離可変手段であるピエゾ素子4
で変えられるようになっている。第2の実施例の制御系
が第1の実施例の制御系と異なるところは、第2の距離
可変手段4用の第2の距離可変手段制御器12を備えて
いることである。波長設定信号源13は所望出力波長に
対応する第1の距離可変手段制御器11へ粗調信号1を
送ると同時に、粗調信号2を第2の距離可変手段制御器
12に送る。第2の距離可変手段制御器12は粗調信号
2を受けて、第2半導体レーザを含む第2の外部共振器
が単独で所望の出力波長近傍で発振するように第2のピ
エゾ制御器10を介してピエゾ素子4により第2の外部
共振器の外部共振器長と、第2の注入電流源8を介して
第2の半導体レーザ2の注入電流を制御するようになっ
ている。
【0028】したがって、構成上の違いは第2半導体レ
ーザが外部共振器構造になっていることであり、その外
部共振器長をピエゾ素子4と第2半導体レーザへの注入
電流で変化させ、前記条件を満足させるように制御す
る点にある。このような構成をとることにより、実施例
1の第2半導体レーザの波長可変幅(通常数nm)によ
り制限されていた出力波長可変幅を、半導体レーザ1と
半導体レーザ2のゲイン幅(100nm程度)まで拡大
することができ、広帯域波長掃引を行うことができる。
他の制御は実施例1と同様である。
ーザが外部共振器構造になっていることであり、その外
部共振器長をピエゾ素子4と第2半導体レーザへの注入
電流で変化させ、前記条件を満足させるように制御す
る点にある。このような構成をとることにより、実施例
1の第2半導体レーザの波長可変幅(通常数nm)によ
り制限されていた出力波長可変幅を、半導体レーザ1と
半導体レーザ2のゲイン幅(100nm程度)まで拡大
することができ、広帯域波長掃引を行うことができる。
他の制御は実施例1と同様である。
【0029】
【発明の効果】この発明では、一対の半導体レーザを用
い、第1の半導体レーザのレーザ光出射端面と第2の半
導体レーザのレーザ光出射端面とで外部共振器を構成す
ると共に、相互注入同期現象を利用することとしたか
ら、SMSRが高い、スペクトル線幅が狭い、ロ
ッキングレンジが発生するため機械的制御の余裕度が広
い、発振パワーが安定な、広い帯域にわたって連続
して波長可変な、周波数掃引時の制御が簡単な相互注
入同期光源が得られた。さらに、第2の半導体レーザの
レーザ光出射端面と光反射体とで第2の外部共振器を構
成することとすれば、半導体レーザのゲイン幅まで発
振周波数範囲が広がった相互注入同期光源が得られる。
い、第1の半導体レーザのレーザ光出射端面と第2の半
導体レーザのレーザ光出射端面とで外部共振器を構成す
ると共に、相互注入同期現象を利用することとしたか
ら、SMSRが高い、スペクトル線幅が狭い、ロ
ッキングレンジが発生するため機械的制御の余裕度が広
い、発振パワーが安定な、広い帯域にわたって連続
して波長可変な、周波数掃引時の制御が簡単な相互注
入同期光源が得られた。さらに、第2の半導体レーザの
レーザ光出射端面と光反射体とで第2の外部共振器を構
成することとすれば、半導体レーザのゲイン幅まで発
振周波数範囲が広がった相互注入同期光源が得られる。
【図1】この発明の第1の実施例を示す概略構成図であ
る。
る。
【図2】この発明の第2の実施例を示す概略構成図であ
る。
る。
【図3】外部共振器形LDの相互注入同期系の発振周波
数が決定される様子を説明する1めの図であり、(a)
はLD1 の外部共振器モード、(b)はLD2 の外部共
振器モード、(c)は立ち上げ時の総合ゲインプロファ
イル、(d)は同期時の総合ゲインプロファイルを示
す。
数が決定される様子を説明する1めの図であり、(a)
はLD1 の外部共振器モード、(b)はLD2 の外部共
振器モード、(c)は立ち上げ時の総合ゲインプロファ
イル、(d)は同期時の総合ゲインプロファイルを示
す。
【図4】最適注入同期時における出力パワープロファイ
ルを示す図である。
ルを示す図である。
【図5】従来の広帯域波長可変光源の光学系を示す図で
ある。
ある。
【図6】従来の広帯域波長可変光源に用いられた光共振
器フィルタを示す図である。
器フィルタを示す図である。
【図7】従来の広帯域波長可変光源における波長の選択
とサイドモードの抑圧とを説明するための図であり、
(a)は半導体レーザのゲインプロファイル、(b)は
外部共振器のモードプロファイル、(c)は回折格子の
反射プロファイル、(d)は光共振器フィルタの透過プ
ロファイル、(e)は広帯域波長可変光源から出射され
るレーザ光の発振波長を示す。
とサイドモードの抑圧とを説明するための図であり、
(a)は半導体レーザのゲインプロファイル、(b)は
外部共振器のモードプロファイル、(c)は回折格子の
反射プロファイル、(d)は光共振器フィルタの透過プ
ロファイル、(e)は広帯域波長可変光源から出射され
るレーザ光の発振波長を示す。
1 第1の半導体レーザ 2 第2の半導体レーザ 3 共振長可変手段(距離可変手段、ピエゾ素子) 4 共振長可変手段(距離可変手段、ピエゾ素子) 5 光反射体(ハーフミラー) 6 受光器 7 第1の注入電流源 8 第2の注入電流源 9 ピエゾ制御器(第1のピエゾ制御器) 10 第2のピエゾ制御器 11 距離可変手段制御器(第1の距離可変手段制御
器) 12 第2の距離可変手段制御器 13 波長設定信号源 14 差動増幅器 15 温度制御器 16 直角プリズム支持部材 17 直角プリズム 18 ヒートシンク 19 光反射体支持部材 20 レンズ 21 レンズ 22 レンズ 23 レンズ 24 レンズ 31 半導体レーザ 32 光共振器フィルタ 33 回折格子 34 光アイソレータ 35 ファイバ 36 カプラ 37 受光器 38 レンズ 39 レンズ 40 レンズ
器) 12 第2の距離可変手段制御器 13 波長設定信号源 14 差動増幅器 15 温度制御器 16 直角プリズム支持部材 17 直角プリズム 18 ヒートシンク 19 光反射体支持部材 20 レンズ 21 レンズ 22 レンズ 23 レンズ 24 レンズ 31 半導体レーザ 32 光共振器フィルタ 33 回折格子 34 光アイソレータ 35 ファイバ 36 カプラ 37 受光器 38 レンズ 39 レンズ 40 レンズ
Claims (4)
- 【請求項1】 一方のレーザ光出射端面のみがARコー
トされている第1の半導体レーザ(1)と、該第1の半
導体レーザのARコートされたレーザ光出射端面に対向
し、かつ、該レーザ光出射端面から隔置された第1のレ
ーザ光出射端面を有する第2の半導体レーザ(2)とを
備え、 前記第1の半導体レーザの他方のレーザ光出射端面と前
記第2の半導体レーザの第1のレーザ光出射端面とで第
1の光共振器を構成するようにした相互注入同期光源。 - 【請求項2】 前記第1の光共振器の共振長を変化させ
る共振長可変手段(3)を備えた請求項1の相互注入同
期光源。 - 【請求項3】 前記第2の半導体レーザは前記第1の半
導体レーザのARコートされたレーザ光出射端面に対向
する第1のレーザ光出射端面とARコートされた第2の
レーザ光出射端面とを有しており、さらに、該第2のレ
ーザ光出射端面と対向し、かつ、該第2のレーザ光出射
端面から隔置されていて前記第2の半導体レーザの第1
のレーザ光出射端面と協働して第2の光共振器を構成す
る光反射体(5)を備えた請求項1の相互注入同期光
源。 - 【請求項4】 前記第1の光共振器及び前記第2の光共
振器の少なくとも一方の共振長を変化させる共振長可変
手段(3,4)を備えた請求項3の相互注入同期光源。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26982593A JPH07106710A (ja) | 1993-09-30 | 1993-09-30 | 相互注入同期光源 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP26982593A JPH07106710A (ja) | 1993-09-30 | 1993-09-30 | 相互注入同期光源 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07106710A true JPH07106710A (ja) | 1995-04-21 |
Family
ID=17477705
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP26982593A Pending JPH07106710A (ja) | 1993-09-30 | 1993-09-30 | 相互注入同期光源 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07106710A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6141360A (en) * | 1995-08-25 | 2000-10-31 | Anritsu Corporation | Tunable wavelength laser light source apparatus using a compound cavity such as a compound cavity semiconductor laser |
JP2003124559A (ja) * | 2001-10-17 | 2003-04-25 | Opnext Japan Inc | 光モジュール及びその製造方法 |
JP2013004769A (ja) * | 2011-06-17 | 2013-01-07 | Anritsu Corp | マルチモード波長掃引光源 |
-
1993
- 1993-09-30 JP JP26982593A patent/JPH07106710A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6141360A (en) * | 1995-08-25 | 2000-10-31 | Anritsu Corporation | Tunable wavelength laser light source apparatus using a compound cavity such as a compound cavity semiconductor laser |
JP2003124559A (ja) * | 2001-10-17 | 2003-04-25 | Opnext Japan Inc | 光モジュール及びその製造方法 |
JP2013004769A (ja) * | 2011-06-17 | 2013-01-07 | Anritsu Corp | マルチモード波長掃引光源 |
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