JPH0710656U - 比例電磁弁 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 弁部と比例ソレノイド部とを備え、比例ソレ
ノイド部における固定鉄心の突起部とホルダの磁気誘導
部との間の寸法を精度よく出すことのできる比例電磁弁
を提供する。 【構成】 励磁コイルの通電に起因する可動鉄心の移動
に伴ってシャフトが移動する。そして、そのシャフトに
よって、弁部のスプールも移動する。スプールは調節ば
ねを圧縮するが、可動鉄心に対する吸引力と調節ばねの
反発力がつりあったところでスプールは停止する。よっ
て、励磁コイルへの電流値が所望のポートを開閉するよ
うに供給されることにより、各ポートは所望の開閉状態
となり、流体の圧力や流量が制御される。ここで、固定
鉄心の突起部とホルダの磁気誘導部との間にスペーサが
挿入され、突起部と磁気誘導部との間の寸法は、所望の
値に確保される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、液体の圧力制御や流量制御等において使用される電磁弁であって、 ソレノイドへの供給電流に応じてスプールを駆動し、弁体を開閉する比例電磁弁 に関する。

【０００２】

【従来の技術】

図２は従来の比例電磁弁の断面を示す縦断面図である。この比例電磁弁は、弁 部５０と比例ソレノイド部１００とで構成されている。

【０００３】 弁部５０は、筒状のスリーブ５１と、スリーブ５１内を軸方向に移動して後述 する各ポートを開閉するスプール５２と、スリーブ５１の一方の開口部にねじ止 めされた調節ねじ５３と、スプール５２と調節ねじ５３との間に設けられた調節 ばね５４とで構成されている。スリーブ５１の他方の開口部は、比例ソレノイド 部１００に接続されている。また、スリーブ５１の側面には、比例ソレノイド部 １００側から順に、所定の間隔をおいて、排出ポート５５、出力ポート５６およ び入力ポート５７が設けられている。

【０００４】 比例ソレノイド部１００は、ハウジング１１と、このハウジング１１内に設け られた以下のものとで構成されている。すなわち、ハウジング１１内には、ボビ ン１３にソレノイド状に巻線が施されたものである励磁コイル１２が設置される 。さらに、励磁コイル１２とともに磁気回路を構成するホルダ１４と固定鉄心１ ５とが設置される。ホルダ１４の内部には、ベアリング１８がベアリング押さえ １９によって固定され、また、可動鉄心１６が設けられる。

【０００５】 ベアリング１８、ベアリング押さえ１９、可動鉄心１６および固定鉄心１５の 中心側は貫通孔を形成している。そして、その貫通孔には、貫通孔内を軸方向に 移動できるシャフト１７が設けられている。このシャフト１７は、可動鉄心１６ に固定されている。また、貫通孔とシャフト１７との間にはブッシュ２０が配置 され、シャフト１７は、弁部５０のスリーブ５１内に突出し、スプール５２を押 す構造になっている。

【０００６】 比例ソレノイド部１００において、ハウジング１１、ホルダ１４、固定鉄心１ ５および可動鉄心１６は磁性材料でできていて、それらは磁気回路を構成してい る。

【０００７】 以上のように構成された比例電磁弁において、励磁コイル１２が通電されると 、固定鉄心１５が励磁され、その結果、可動鉄心１６に電磁力が作用する。この 電磁力は可動鉄心１６に対して吸引力として働く。すなわち、励磁コイル１２に 流された電流の大きさに比例して可動鉄心１６に対する吸引力が発生し、可動鉄 心１６が固定鉄心１５側に吸引される。

【０００８】 可動鉄心１６の移動に伴ってシャフト１７も移動する。そして、そのシャフト １７によって、スプール５２も移動する。スプール５２は調節ばね５４を圧縮す るが、可動鉄心１６に対する吸引力と調節ばね５４の反発力がつりあったところ で、スプール５２は停止する。よって、励磁コイル１２への電流値が所望のポー トを開閉するように供給されることにより、各ポートは所望の開閉状態となり、 流体の圧力や流量が制御される。

【０００９】 なお、可動鉄心１６の位置にかかわらず励磁コイル１２に供給された電流値に 比例した吸引力が発生するように、固定鉄心１５に突起部１５ａが形成され、ホ ルダ１４に磁気誘導部１４ａが形成される。そして、磁気誘導部１４ａと突起部 １５ａとの間には、空間２１が形成される。

【００１０】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、その空間２１の寸法が適切でないと供給電流に比例した吸引力が安定 に得られないので、ハウジング１１、ホルダ１４および固定鉄心１５の各部を精 度よく加工しなければならない。また、組立時にも、空間２１の寸法が適切な値 になるように精度よく組立てなければならない。ところが、空間２１は、構造上 、寸法管理の困難な箇所に形成されているので、精度よく組み立てるのは困難で あるという問題がある。

【００１１】 また、その空間２１に、作動油中の鉄粉が侵入すると、磁気回路が初期状態と は異なった状態となり、供給電流と吸引力との間の十分な比例特性が得られなく なるという問題も生じている。

【００１２】 本考案は上記のような問題を解決するためになされたもので、固定鉄心の突起 部とホルダの磁気誘導部との間の寸法を精度よく出すことのできる比例電磁弁を 提供することを目的とする。

【００１３】

【課題を解決するための手段】

本考案に係る比例電磁弁は、通路を開閉する弁体を有する弁部と、励磁コイル に流れる電流に応じて移動する可動部によって弁体を作動させる比例ソレノイド 部とを備えたものであって、比例ソレノイド部における磁気回路を構成する固定 部と磁気誘導部との間に非磁性体のスペーサが配置されたものである。

【００１４】

【作用】

本考案におけるスペーサは、磁気回路を構成する固定部と磁気誘導部との間の 寸法を所望の値に保つとともに、固定部と磁気誘導部との間に空間が生ずること を防止する。

【００１５】

【実施例】

以下、本考案の一実施例について図面を参照して説明する。図１に示すように 、この比例電磁弁は弁部５０と比例ソレノイド部１０とで構成されているが、弁 部５０の構成は、図２に示した構成と同じでよい。

【００１６】 比例ソレノイド部１０において、ハウジング１１内には、従来のものと同様に 、ボビン１３にソレノイド状に巻線が施されたものである励磁コイル１２が設置 される。また、励磁コイル１２に近接して、ホルダ１４と固定鉄心１５とが設置 される。ホルダ１４の内部には、ベアリング１８がベアリング押さえ１９によっ て固定され、また、可動鉄心１６が設けられる。

【００１７】 ベアリング１８、ベアリング押さえ１９、可動鉄心１６および固定鉄心１５の 中心の貫通孔には、貫通孔内を軸方向に移動できるシャフト１７が設けられてい る。このシャフト１７は、可動鉄心１６に固定されている。また、貫通孔とシャ フト１７との間にはブッシュ２０が配置され、シャフト１７は、弁部５０のスリ ーブ５１内に突出し、スプール５２を押す構造になっている。

【００１８】 そして、固定鉄心１５には突起部１５ａが形成され、ホルダ１４に磁気誘導部 １４ａが形成されているが、この場合には、磁気誘導部１４ａと突起部１５ａと の間隔を一定に保つための非磁性体のスペーサ１が挿入されている。

【００１９】 このように構成された比例電磁弁の弁開閉動作は、従来の場合と同様であるが 、磁気誘導部１４ａと突起部１５ａとの間隔は、スペーサ１の寸法のみによって 決定されている。よって、この比例電磁弁の加工および組立に際して、磁気誘導 部１４ａと突起部１５ａとの間隔が精度よく設定される。従って、この比例電磁 弁においては、供給電流と吸引力との間の十分な比例特性が確保される。また、 空間２１に作動油中の鉄粉などの異物が侵入するという可能性がなくなり、磁気 回路の特性は初期状態に保たれる。

【００２０】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案によれば、弁部と比例ソレノイド部とを備えた比 例電磁弁が、比例ソレノイド部における磁気回路を構成する固定部と磁気誘導部 との間に非磁性体のスペーサが挿入された構成となっているので、加工や組立の 精度によらず供給電流と吸引力との間の比例特性を安定させることができ、加工 や組立の工数を低減させて比例電磁弁を安価なものとすることができる。また、 鉄粉などの異物の混入を防止して、磁気回路の特性の経時的な変化を防止できる 。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例による比例電磁弁の断面を示
す縦断面図である。

【図２】従来の比例電磁弁の断面を示す縦断面図であ
る。

【符号の説明】

１ スペーサ １０ 比例ソレノイド部 １１ ハウジング １４ ホルダ １５ 固定鉄心 １６ 可動鉄心 ５０ 弁部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 通路を開閉する弁体を有する弁部と、 励磁コイルに流れる電流に応じて移動する可動部によっ
   て前記弁部の弁体を作動させる比例ソレノイド部とを備
   えた比例電磁弁において、 前記比例ソレノイド部における磁気回路を構成する固定
   部と磁気誘導部との間に配置された非磁性体のスペーサ
   を備えたことを特徴とする比例電磁弁。