JPH07106533B2 - 工作機械の主軸台における主軸構造 - Google Patents

工作機械の主軸台における主軸構造

Info

Publication number
JPH07106533B2
JPH07106533B2 JP62083913A JP8391387A JPH07106533B2 JP H07106533 B2 JPH07106533 B2 JP H07106533B2 JP 62083913 A JP62083913 A JP 62083913A JP 8391387 A JP8391387 A JP 8391387A JP H07106533 B2 JPH07106533 B2 JP H07106533B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
main shaft
spindle
heat
machine tool
headstock
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP62083913A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS63251147A (ja
Inventor
威夫 志賀
正広 姉川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seibu Electric and Machinery Co Ltd
Original Assignee
Seibu Electric and Machinery Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seibu Electric and Machinery Co Ltd filed Critical Seibu Electric and Machinery Co Ltd
Priority to JP62083913A priority Critical patent/JPH07106533B2/ja
Publication of JPS63251147A publication Critical patent/JPS63251147A/ja
Publication of JPH07106533B2 publication Critical patent/JPH07106533B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Auxiliary Devices For Machine Tools (AREA)
  • Turning (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、工作機械、特に、OA部品、光学部品、電子
機械部品等を加工対象とする精密旋盤等に適用される工
作機械の主軸台における主軸構造に関する。
〔従来の技術〕
工作機械、特に、OA部品、光学部品、電子機械部品等を
加工対象とする精密旋盤等の工作機械については、旋削
加工の際の反作用等によって回転軸に歪が生じないよう
に、機械の剛性を向上させるため強固な主軸台が設けら
れている。また、工作機械の主軸台は、機械の稼動に伴
って主軸と軸受との間で発生する回転摩擦熱は、工作物
の加工精度低下の要因となって加工精度に重要な影響を
与える構成要素となっている。このような作動熱に対し
て種々の対策が採用され、主軸と軸受との間の間隙内に
切削油や切削油内に含まれる微細切屑の侵入に対して充
分な注意が必要である。
従来、潤滑の方法として、主軸台の軸受には、精密軸受
を使用し、軸受空間容量の約15%程度の高品質グリース
を精密軸受に塗布し、潤滑油攪拌によって発生する熱を
抑えるようなグリース塗布方式、主軸の軸受各部分に給
油される潤滑油の油温を一定に保って工作物加工精度の
安定化のために潤滑油恒温装置を用いる潤滑油供給方式
等がある。
また、実開昭61−144943号公報に開示された工作機械の
主軸の冷却構造は、工具回転主軸を複数の軸受を介して
保持する主軸ケーシングの外周に半径方向に突出する複
数のフィンを設け、フィンの先端から離間して位置する
凹面を有する主軸支持台を備え、主軸後端部に羽根車を
取り付けて軸受で発生する回転摩擦熱を羽根車で生じた
空気流れでフィンから放熱するものである。
更に、実開昭61−131254号公報に開示された工作機械の
主軸の冷却構造は、軸方向前後の軸受を介して主軸ケー
シングに保持される工具回転主軸に前記軸受の内側で放
熱フィン又は放熱リングを取り付け、前記主軸ケーシン
グ外部から貫通する孔を通して放熱リングに空気を送り
込んで軸受で発生する回転摩擦熱を空気放熱するもので
ある。
一方、特公昭54−35701号公報、特開昭53−113356号公
報等には、液体・気体間の発熱と凝縮とを利用したヒー
トパイプが開示されている。ヒートパイプは、取り出し
難い所から熱を受熱して速やかに無動力で熱の移動を達
成するものである。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、上記の従来技術については、潤滑油恒温
装置等を使用する時、本来の給油タンク容量とは別の容
量分の油量を必要とし、潤滑油恒温装置のメインテナン
スも必要となるため、装置全体のコスト上昇は避けられ
ない。また、高品質グリースを使用する場合でも、グリ
ース使用量が少量であるとはいえ、主軸回転に伴って軸
受部に回転摩擦熱が発生するのを避けられない。
また、実開昭61−144943号公報に記載された工作機械の
主軸の冷却構造は、冷却風を生じさせる羽根車が主軸後
端部に取り付けてあるので、主軸ケーシング全体を冷却
するといっても主軸ケーシング後部からの空冷であるの
で、加工精度に最も重要な部分である工具取付部分とし
ての前方軸受部を冷却するのに時間を費やしてしまう。
冷却風は主軸ケーシング後部から送風されるので、主軸
ケーシング前部を冷却する冷却風は既に主軸ケーシング
後部や中央部で熱を奪って加熱されているので、主軸ケ
ーシング前部の冷却効率が悪いという問題点もある。
また、冷却羽根車を主軸前端部に取り付ければ上記問題
点は幾分解消するが、主軸ケーシングへの冷却羽根車の
取付スペースを確保する必要が出てくるので、主軸ケー
シングから工具のチャック取付面までのオーバハング距
離が大きくなり、加工精度維持に良い方策とは言えず、
切削油を使用する加工にあっては冷却羽根車が切削油を
主軸台に向けて飛散させるため、切削油等の回転部分へ
の侵入のみならず作業環境を劣悪にさせる。
更に、実開昭61−131254号公報に記載された工作機械の
主軸の冷却構造は、発熱源である回転摩擦熱を生じる軸
受部の近傍を冷却しているため、上記従来例に比べると
冷却効率は良いが、放熱フィン又は放熱リングに冷却風
を送る空気供給装置を必要とし、しかも主軸回転速度の
変化に対して供給する空気圧と空気量が一定である。従
って、空気供給装置による供給空気圧が必要以上に高す
ぎると、回転部分に封入されている潤滑油が押し流され
てしまう危険性が高く、逆に前記空気圧が必要以下に低
いとラビリンス効果が不足して外部からの微細切削屑が
軸受部への侵入し、適正な供給空気圧を調整維持するの
が難しい。また、前軸受と後軸受に対する送風空気量、
空気圧が独自に制御できないので、軸受状態に応じた冷
却を行うのが難しいという欠点もあった。
ところで、特公昭54−35701号公報及び特開昭53−11335
6号公報に開示されているヒートパイプについては、発
熱源の近くから均一に熱を捕捉するという点では、好ま
しいものであるが、工作機械の主軸台に適用するには、
主軸中心にアクチュエータ操作用の貫通孔が必要であ
る。
それ故に、特開昭53−113356号公報に開示されているよ
うなヒートパイプは、工作機械の主軸台には適用するこ
とができない。また、特公昭54−35701号公報に開示さ
れているようなヒートパイプは、量産を目的とし、工作
機械に適用の場合に、工作機械に好ましいヒートパイプ
の外径及びアクチュエータを操作するため必要なヒート
パイプの内径を有するものを入手するには不可能に近
く、仮に入手できたとしてもコストの上から採用するこ
とができないものである。しかも、ヒートパイプメーカ
の製品をそのまま使用するには、機械的仕様の制約を受
け、そのため工作機械の機械設計の自由度を束縛される
ことになり、問題点を有している。
この発明の目的は、上記の問題点を解消することであ
り、従来のヒートパイプの特性を活かすように主軸自体
にヒートパイプの性能を持たせ、工作物の加工精度に悪
影響を与える回転摩擦熱に発熱源近くで主軸全周から均
一に且つ迅速に受熱し、無動力で速やかに機外に放熱
し、しかも冷却の性能を半永久的に得ることができ、工
作機械が要求する機械仕様値を変更する必要がなく、機
械設計の自由度を奪われること等もない工作機械の主軸
台における主軸構造を提供することである。
〔問題点を解決するための手段〕
この発明は、上記の目的を達成するために、次のように
構成されている。即ち、この発明は、主軸ケーシングに
軸受を介して回転駆動される主軸、該主軸の中空内壁面
に密接状態に設けられた毛細管作用を有する作動液体還
流層を構成する多孔質物質から成る中空筒、該中空筒内
に真空室を形成するように配設した中空内筒、前記中空
筒と前記真空室との両端部をそれぞれ密封する端部材、
前記真空室内に充填された前記中空筒と前記真空室とを
循環する作動流体、及び前記主軸を回転駆動する主軸駆
動プーリに隣接して設けられた前記主軸の端部外周を放
熱する放熱フィン、から成ることを特徴とする工作機械
の主軸台における主軸構造に関する。
また、この工作機械の主軸台における主軸構造では、前
記中空内筒には主軸中心にアクチュエータ操作用の貫通
孔が形成されている。
また、この工作機械の主軸台における主軸構造では、前
記主軸駆動プーリ側に位置する前記端部材には、前記真
空室から空気を吸引し且つ前記真空室に前記作動流体を
充填するための流体出入口が形成されている。
〔作用〕
この発明による工作機械の主軸台における主軸構造は、
上記のように構成され、次のような作用を有する。即
ち、この工作機械の主軸台における主軸構造は、主軸ケ
ーシングに軸受を介して主軸を回転自在に支持し、前記
主軸の中空内壁面に密接状態に設けた毛細管作用を有す
る作動液体還流層を構成する多孔質物質から成る中空筒
内に真空室を形成するように中空内筒を配設し、真空室
に作動流体を充填し、主軸を回転駆動する主軸駆動プー
リに隣接して放熱フィンを設けたので、前記作動液体還
流層と前記真空室とを作動流体が循環するヒートパイプ
を構成し、前記主軸の高温領域から前記放熱フィンへ熱
を移動させ、前記主軸を冷却することができる。
それ故に、前記軸受部位で発生した回転摩擦熱が前記主
軸に伝導したとしても、その熱は作動液還流層に浸され
ている作動液体を熱し、作動液体を気化させて蒸気に
し、その蒸気は圧力差によって前記放熱フィンを設けた
前記主軸の端部に急移動する。
前記主軸は高速回転しているので、前記多孔質物質から
成る前記中空筒は前記主軸の中空内壁面に密接して効率
的に前記主軸から熱を奪うことができて作動流体は蒸気
になり、前記端部に移動した蒸気は前記端部に設けられ
た前記放熱フィンの作用によって冷却され、凝縮して元
の液体になり、作動液体還流層の毛細管作用で前記軸受
が位置する受熱部位へと移動する。
即ち、前記主軸の回転運動によって発生した熱の作用に
よって、作動液体の蒸発、蒸発移動、凝縮、作動液体の
毛細管作用による移動というサイクルは繰り返され、従
って、工作機械の主軸台における前記主軸に発生した熱
の移動が無動力で且つ急速に行われる。しかも、前記主
軸の内周壁に接触して前記作動液体還流層が形成されて
いるので、前記主軸が回転運動をすると、作動液体は遠
心力によって前記主軸の内壁即ち真空室外周壁に押し付
けられて密着するので、発生した熱の受熱効率が極めて
良好に行われる。
〔実施例〕
以下、図面を参照して、この発明による工作機械の主軸
台における主軸構造の一実施例を詳述する。第1図は主
軸台をその主軸の回転軸線を含む垂直面で切断した縦断
面図である。
第1図において、主軸台1は、主軸2と、該主軸2を回
転軸線A−A方向の前後の二つの軸受、即ち前軸受3及
び後軸受4とで回転支持する主軸ケーシング5とから成
る。主軸2は、中心にチャック等を操作する作動ロッド
即ちアクチュエータ貫通するアクチュエータ操作用の貫
通孔6を有し、前方端部7は貫通孔6に連なる孔径が拡
大し、チャック取付面8となり、切削バイト等の任意の
工作機械工具が取付可能に構成されている。
主軸2の後方端部9には、キー及びキー溝、止めねじ等
の周知の固定手段11によって主軸駆動プーリ10が取付け
られ、図示しない駆動源からベルトを介して回転駆動力
を与えられて主軸2を回転する。
ところで、上記アクチュエータは、工作物を旋削加工す
る場合に、工作物の一部を加工基準部に密着させて工作
物を正確に固定するのに適用されている。一般に、従来
のチャックをそのまま使用するか、又はチャックの一部
を加工して使用している。或いは、特殊な工作物では、
対象とする工作物を目的とした専用取付治具を製作して
用いることもある。アクチュエータ操作用の貫通孔につ
いては、チャック、専用取付治具等のアクチュエータの
開閉操作を行うため、主軸後端面よりドローバーを挿入
し、シリンダ、ソレノイド等でドローバーを前後させて
アクチュエータを開閉する目的に設けられた孔であり、
或いはドローバーに換えてエア配管、油圧配管、電気信
号線等を配置するために設けられている孔である。
主軸ケーシング5は、主軸2の前後両端部7,9の間の略
全長にわたって主軸2を取囲んでおり、下部据付部によ
って図示しない機械本体等に据え付けられる。主軸2
は、前方端部7、前軸受3の内側レース支持部21、中間
部13、後軸受4の内側レース支持部14及び後方端部9を
その順序に外形が順次小さくなった外周面を有し、これ
に合わせて主軸ケーシング5についても前軸受3の外側
レース支持部15、中間部16及び後軸受4の外側レース支
持部17をその順序に内径が小さくなった内周面を有して
いる。
従って、主軸2を主軸ケーシング5に挿入するには、主
軸2にあっては前方端部7の外周面に嵌合させた一方の
前軸受押え部材18を、内側レース支持部21と中間部13の
境界肩部にねじ止めした他方の前軸受押え部材19でもっ
て前軸受3を予め取り付けておき、後軸受4の内側レー
ス支持部14上に後軸受4を予め嵌合しておく。この段階
では、主軸駆動プーリ10を取り付けない。主軸ケーシン
グ5の後方端には後軸受押え部材20をねじ止めしてお
く。この状態で、前方より主軸2を主軸ケーシング5内
に挿入し、後軸受4が主軸ケーシング5側の後軸受押え
部材20に当接した時に、前方側の前軸受押え部材18をボ
ルト(図示省略)で押えると、主軸2の主軸ケーシング
5への取付けが完了する。
前方の前軸受押え部材18を前記ボルトでねじ止めした時
に、前軸受押え部材18の内周面と主軸2の前方端部7の
外周面との間には前方ラビリンスを形成してもよい。
次いで、主軸2の後方端部9側では、内側の後軸受押え
部材23を後軸受の内側レース支持部14に隣接して設けら
れた雄ねじ部14aに後軸受4に向かってねじ込み固定
し、後軸受4の内側レースの抜け出めを防止する。同時
に、この状態では外側の後軸受押え部材20の内周面と内
側の後軸受押え部材23との間には、後方ラビリンスを形
成してもよい。
最後に、主軸駆動プーリ10を主軸2の後方端部9に嵌合
し、次いで、後方端部9に形成した雄ねじ部9aにナット
22を螺入して主軸駆動プーリ10を主軸2に固定する。更
に、工作物、加工工具等を前方端部7のチャック取付面
8に取り付けることで主軸台1の組立てが完了する。
この主軸構造は、上記の工作機械の主軸台1において次
の構成を有する点で特徴を有している。この主軸構造
は、主軸ケーシング5に前軸受3(図では3個)及び後
軸受4(図では2個)を介して主軸2を回転自在に支持
し、主軸2の中空内壁24に密接状態に設けた多孔質物質
から成る中空筒26と、中空筒26内に真空室27を形成する
ように配設した中空内筒28とからヒートパイプ30を構成
し、主軸2の端部外周に取り付けた主軸駆動プーリ10と
一体的に形成した放熱フィン25を設けたものである。
従って、ヒートパイプ30は、主軸2、主軸2の中空内壁
24に配設した多孔質物質から成る中空筒26、及び中空筒
26内に真空室27を形成するように配設した中空内筒28か
ら構成されている。即ち、主軸2の内壁面がヒートパイ
プ30の外周内壁面を構成するので、主軸2自体がヒート
パイプ30の1つの構成要素となっている。ヒートパイプ
30における中空内筒28には、主軸中心にアクチュエータ
操作用の貫通孔6が形成されている。真空室27を構成す
る主軸駆動プーリ10側の端部材29には、流体出入口31が
形成されている。
ヒートパイプ30の組み立てについて説明すると、主軸2
の内壁面即ち内径を加工し、該内径より僅かに大きな外
径を有する多孔質物質から作られた毛細管作用を有する
作動液体還流層を構成する中空筒26を、主軸2内に挿入
する。中空筒26内に真空室27を形成するようにアクチュ
エータ操作用の貫通孔6を有する中空内筒28を中空筒26
内に挿入し、中空筒26と中空内筒28の一方の各端部に端
部材29を溶接等によって気密状態に固着する。次いで、
中空筒26と中空内筒28の他方の各端部に端部材32を溶接
等によって気密状態に固着する。中空内筒28に形成され
た雄ねじ部33にナットである端部材32を螺入し、中空筒
26の端部に端部材32を当接させ、主軸2と端部材32及び
端部材32と中空内筒28を溶接等によって気密状態に固着
している。
ヒートパイプ30を上記のように構成することによって、
主軸2の中空部内に作動液体還流層が形成される。該作
動液体還流層を構成する多孔質物質から成る中空筒26
は、フェルト、グラスペーパ、ファイバシート、濾過紙
等の毛細管作用を有する材料から成り、しかも作動液体
及び主軸2の発熱温度によって化学変化が生じない材料
から作る。作動液体即ち作動流体は、アンモニア、フレ
オン、アセトン、メタノール、水等が適用できる。該作
動流体は、工作機械で発生する作動温度範囲によって使
い分けられる。
ヒートパイプ30に、作動液体を注入するには、端部材29
に形成した流体出入口31の栓を開放し、流体出入口31を
通じて作動液体を適量注入し、次いで中空筒26と中空内
筒28とで形成される円筒形空間を真空状態にするため、
該円筒形空間内に存在する空気を流体出入口31より吸引
し、該円筒形空間を真空室27に構成する。
次に、この発明による工作機械の主軸台における主軸構
造の実施例の作用について説明する。
この主軸構造において、主軸2は、そのものがヒートパ
イプ30の1つの構成要素となり、熱を移動即ち運び出す
ヒートパイプ機能を有している。加工工具、チャック、
バイト等を取り付けた主軸2が主軸駆動プーリ10からの
回転駆動力によって回転すると、前軸受3の部位、即ち
受熱部において発生した回転摩擦熱は、図の矢印で示す
ように、多孔質物質から成る中空筒26の作動液体還流層
に浸されている作動液体を熱し、該作動液体を気化させ
て蒸気にし、該蒸気は圧力差によって放熱フィン25を設
けた主軸2の端部へ真空室27を通って急移動する。
主軸2は高速回転しているので、主軸2の端部に移動し
た蒸気は、主軸駆動プーリ10に隣接して主軸2の端部に
設けられた放熱フィン25の作用によって冷却され、凝縮
して元の液体即ち作動液体になり、中空筒26の作動液体
還流層の毛細管作用で受熱部である軸受3の部位へと移
動する。主軸2の回転運動によって発生した熱の作用に
よって、作動液体の蒸発、蒸気移動、凝縮、作動液体の
毛細管作用による移動というサイクルは矢印で示す流れ
方向を通じて順次に繰り返され、従って、工作機械の主
軸台1における主軸2に発生した熱の移動が無動力で且
つ迅速に行われる。
主軸2の内周壁に接触して中空筒26の作動液体還流層が
形成されているので、主軸2が回転運動をすると、作動
液体は遠心力によって主軸2の内壁即ち真空室27の外周
壁に押し付けられて密着するので、発生した熱の捕捉効
率が極めて良好に行われる。このようにして、主軸2で
発生した回転摩擦熱は、作動液体が循環することによっ
て工作機械の外部に汲み出されることになる。
次に、この発明による工作機械の主軸台における主軸構
造の別の実施例について、第2図を参照して説明する。
この主軸構造は、上記実施例では、多孔質物質で形成さ
れた中空筒26を主軸2の内径に挿入して主軸2を構成し
たが、このような構成に限定されるものではなく、主軸
内に作動液体が還流できる層を設ければよいものであ
る。
この実施例における主軸2は、まず、主軸2の両端部に
中央開口44,45を有する端部材37,38を固着し、またセラ
ミックス、砂等で作られた微粒子等の粒子状の物質を作
動液体還流層の成形に必要な量だけ、主軸2の中空部に
投入すると供に、作動液体によって化学変化を発生しな
い接着液を適量入れる。次いで、これらの中央開口44,4
5にメタル39,42を介して治具本体35を挿入し、治具本体
35の端部に形成した雄ねじ部46にナット47を螺入して主
軸2を治具本体35に固定する(場合によっては、軸受を
介して回転自在に取り付ける)。勿論、主軸2に挿入し
た治具本体35は、溶接等によって主軸2に固着する必要
はない。
次に、治具本体35の両端を一対の支持軸48,48に支持
し、主軸中心を軸として主軸2をベルト、ローラ等の駆
動手段43によって高速回転させる。主軸2内に投入され
ている微粒子状の物質及び接着液は、回転遠心力を受け
て主軸2の内壁面に均一な状態の厚さに密着され、主軸
2の内壁面に作動液体還流層36を形成する。この状態で
接着液の自然乾燥をさせ、微粒子状等の粒子状の物質を
主軸2に固着する。この場合に、接着液の乾燥を助ける
のに接着液に熱を照射するため、治具本体35に赤外線ヒ
ータ41を組み込んでおくこともできる。
作動液体還流層36は、主軸2の回転中、停止中にかかわ
らず、他の部材との機械的な接触はないので、各微粒子
状の物質は層の内部まで強力な接着の必要はない。作動
液体還流層36は、毛細管作用を果たすために、各微粒子
状の物質の接着状態はポーラス状態に保つ必要があり、
そのような構造に構成する。最後に、主軸2から治具本
体35を抜き取ることによって、主軸2の内壁面に作動液
体還流層36が形成される。その後は、上記第1実施例の
ものと同様に、主軸2内に中空内筒28を挿入して溶接等
で固着し、主軸2内にヒートパイプ30を構成する(第1
図参照)。
〔発明の効果〕
この発明は、以上のように構成され、次のような効果を
有する。即ち、この工作機械の主軸台における主軸構造
は、上記のように構成したので、精密加工で嫌われる熱
は、主軸を回転支持する軸受で発生するが、発生した回
転摩擦熱をヒートパイプの機能によって効率的に移動さ
せて工作機械の外部に放熱し、主軸及び軸受等を冷却す
ることができる。
即ち、前記主軸自体が前記ヒートパイプの1つの構成要
素となり、熱を移動させるヒートパイプ機能の性質を有
することになり、前記軸受部位で発生した回転摩擦熱
は、前記主軸に伝導し、次いで作動液還流層に浸されて
いる作動液体を熱し、作動液体を気化させて蒸気にし、
その蒸気は圧力差によって前記放熱フィンを設けた前記
主軸の端部に急移動する。
前記主軸は高速回転しているので、前記端部に移動した
蒸気は前記端部に設けられた前記放熱フィンの作用によ
って冷却され、凝縮して元の液体になり、作動液体還流
層の毛細管作用で前記軸受部位へと移動する。即ち、主
軸台における主軸の回転運動によって発生した熱の作用
によって、作動液体の蒸発、蒸気移動、凝縮、作動液体
の毛細管作用による移動というサイクルは繰り返され
(図の矢印で示す方向)、従って、主軸に発生した熱の
移動が無動力で且つ急速に行われる。
しかも、主軸の内周壁面に密着して作動液体還流層が形
成されているので、主軸が回転運動をすると、作動液体
は回転に伴って発生する遠心力によって主軸の内壁面即
ち真空室外周壁に押し付けられて密着するので、発生し
た熱の捕捉効率が極めて良好に行われる。しかも、前記
主軸の回転速度に対して回転遠心力は順特性でもって変
化するので、回転摩擦熱の発生量が多い高回転数の時ほ
ど、遠心力は大きくなり、しかも作動液体は前記主軸に
密着して受熱するので、回転摩擦熱の発生量に適格的に
対応することができる。
従って、ヒートパイプでは、作動液体還流層を金属製内
壁面に押し付けることが熱抵抗を少なくして好ましい
が、従来のものでは、作動液体還流層を金属製内壁面に
押し付けるためスプリング力等で押し付けたり、金属管
を絞り込むことによって達成していたが、この主軸構造
では、剛体である主軸(即ち金属管)を絞り込むような
ことは不可能であるが、遠心力によって作動液体を主軸
の内壁面に密着させることができ、作動液体が主軸から
受熱し易い状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明による工作機械の主軸台における主軸
構造の一実施例を示す断面図、及び第2図はこの発明に
よる工作機械の主軸台における主軸構造の別の実施例を
示す断面図である。 2……主軸、3……前軸受、4……後軸受、5……主軸
ケーシング、6……貫通孔、10……主軸駆動プーリ、25
……放熱フィン、26……中空筒、28……中空内筒、29…
…端部材、31……液体出入口、36……作動液体還流層。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】主軸ケーシングに軸受を介して回転駆動さ
    れる主軸、該主軸の中空内壁面に密接状態に設けられた
    毛細管作用を有する作動液体還流層を構成する多孔質物
    質から成る中空筒、該中空筒内に真空室を形成するよう
    に配設した中空内筒、前記中空筒と前記真空室との両端
    部をそれぞれ密封する端部材、前記真空室内に充填され
    た前記中空筒と前記真空室とを循環する作動流体、及び
    前記主軸を回転駆動する主軸駆動プーリに隣接して設け
    られた前記主軸の端部外周を放熱する放熱フィン、から
    成ることを特徴とする工作機械の主軸台における主軸構
    造。
  2. 【請求項2】前記中空内筒には主軸中心にアクチュエー
    タ操作用の貫通孔が形成されていることを特徴とする特
    許請求の範囲第1項に記載の工作機械の主軸台における
    主軸構造。
  3. 【請求項3】前記主軸駆動プーリ側に位置する前記端部
    材には、前記真空室から空気を吸引し且つ前記真空室に
    前記作動流体を充填するための流体出入口が形成されて
    いることを特徴とする特許請求の範囲第1項に記載の工
    作機械の主軸台における主軸構造。
JP62083913A 1987-04-07 1987-04-07 工作機械の主軸台における主軸構造 Expired - Fee Related JPH07106533B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP62083913A JPH07106533B2 (ja) 1987-04-07 1987-04-07 工作機械の主軸台における主軸構造

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP62083913A JPH07106533B2 (ja) 1987-04-07 1987-04-07 工作機械の主軸台における主軸構造

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS63251147A JPS63251147A (ja) 1988-10-18
JPH07106533B2 true JPH07106533B2 (ja) 1995-11-15

Family

ID=13815843

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP62083913A Expired - Fee Related JPH07106533B2 (ja) 1987-04-07 1987-04-07 工作機械の主軸台における主軸構造

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH07106533B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101017843B1 (ko) 2008-10-29 2011-03-04 (주)유지인트 공작기계에 사용하는 스핀들의 냉각장치
CN111250737A (zh) * 2019-10-10 2020-06-09 东南大学 一种热管冷却的高速主轴及其改善散热方法
CN113370081B (zh) * 2021-07-30 2021-12-17 惠州捷姆复合材料有限公司 一种基于气相变化冷却的砂轮机

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5657734U (ja) * 1980-07-21 1981-05-18

Also Published As

Publication number Publication date
JPS63251147A (ja) 1988-10-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2002928B1 (en) Rotary indexing apparatus comprising a cooling device for the table plate
JP5742534B2 (ja) 主軸装置
JPH03170211A (ja) 旋盤の加工部材用回転軸組立体
US11787001B2 (en) Spindle device for machine tool
US4402559A (en) Cooling device for a bearing means
JPH07106533B2 (ja) 工作機械の主軸台における主軸構造
JPH0192048A (ja) 冷却手段を備えたモータ内蔵形主軸装置
JPS5843613B2 (ja) 湿式多板クラツチ
JP4280383B2 (ja) モータ内蔵主軸台における主軸冷却構造
KR20090068030A (ko) 엔드밀 절삭공구
JP7067637B2 (ja) モータビルトイン方式のスピンドル装置
JP4048050B2 (ja) 主軸装置
JPH0761594B2 (ja) 工作機械の主軸台
JPH0333405Y2 (ja)
JP3748168B2 (ja) ボールねじ装置
CN220837951U (zh) 一种冷却效果好的电主轴
EP0083943B1 (en) Supporting table cooling apparatus
JPH03213243A (ja) 工作機械の主軸冷却装置
JP2001071202A (ja) 工作機械の主軸装置
EP0064173B1 (en) Apparatus comprising a frame in which a shaft is rotatably supported
KR0140340Y1 (ko) 선반용 모터내장형 주축
JPS6158262B2 (ja)
JPH0645316Y2 (ja) 工作機械の主軸台
JPS5829285Y2 (ja) シヤフト装置
JPH0525802Y2 (ja)

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees