JPH07105530A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JPH07105530A
JPH07105530A JP27132193A JP27132193A JPH07105530A JP H07105530 A JPH07105530 A JP H07105530A JP 27132193 A JP27132193 A JP 27132193A JP 27132193 A JP27132193 A JP 27132193A JP H07105530 A JPH07105530 A JP H07105530A
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JP
Japan
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magnetic
atoms
magnetic layer
recording medium
powder
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Application number
JP27132193A
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English (en)
Inventor
Kunitsuna Sasaki
邦綱 佐々木
Hisato Kato
久人 加藤
Takahiro Mori
孝博 森
Kazuyoshi Imai
一儀 今井
Takahiro Hayashi
隆博 林
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
TDK Corp
Original Assignee
Konica Minolta Inc
TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】高温高湿下に長期に渡り保存してもドロップア
ウトの増加、再生出力の低下等を発生せずに、保存以前
に得られる高い電磁変換特性を維持した磁気記録媒体の
提供。 【構成】非磁性支持体上に2以上の塗布層を有し、該塗
布層の上層側が強磁性粉末を含有する磁性層であり、前
記塗布層の下層側が脂肪酸および分散剤を含有する磁性
層又は非磁性層である磁気記録媒体において、前記磁性
層中に存在した状態での前記強磁性金属粉末の表面を形
成する元素のXPSで測定された平均存在比率が、Fe
原子数100にたいしてNa原子数1未満、アルカリ土
類元素の原子数40以下、希土類元素の原子数1〜50
であり、前記脂肪酸の炭素原子数が12〜24であり、
前記分散剤が特定構造のリン酸エステルであるこ磁気記
録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高温高湿下に長期に渡
って保存しても、保存以前に得られる高い電磁変換特性
を劣化させることなく維持する磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高記録密度磁気記録媒体への要求
としては、益々高度なものが要求されてきている。この
要求に対して、磁性粉末として強磁性金属磁性粉末を用
いることによって、記録密度の向上を図る方法がよく知
られている。しかし、この方法だけでは、近年望まれて
いる高記録密度磁気記録媒体への要求を充分に満たすこ
とは出来なかった。
【0003】そこで、他なる方法として高周波数から低
周波数に及ぶ広範囲での再生出力を向上させるために、
磁気記録媒体の重層構造化が行われている。これは、高
周波数対応の上層と、低周波数対応の下層とを設け、広
範囲の周波数に対応させ、記録密度の向上を図る方法で
ある。特に、この時要求される技術としては上層の薄膜
化である。
【0004】更に、より一層の高記録密度の要求に対し
ては、磁性層の薄膜化を図ることによる自己減磁、再生
減磁の低減をする方法がある。これは、磁気記録媒体の
重層構造において、上層を薄膜の磁性層、下層を非磁性
層にする方法である。そしてこれらの方法に加えて、更
に磁性粉末を改良することにより記録密度の向上が図ら
れている。
【0005】このように保存以前の段階で高記録密度の
磁気記録媒体を得ることは比較的容易ではあるが、あら
ゆる環境下、特に高温高湿下に長期に渡って保存した時
に、高い電磁変換特性を維持し続けることは極めて困難
である。例えば、高温高湿下に保存後の再生出力の低
下、ドロップアウトの増加に対する解決方法として、磁
性粉末の水溶性カルシウム量を100ppm以下にする
ことが特開平4−146519号公報に記載されている
が、この方法では高温高湿下に保存したときに保存以前
に得られる高い電磁変換特性を維持する磁気記録媒体を
得ることは出来ず、この条件を満たしていても高温高湿
下に保存したとき、再生出力の低下、及びドロップアウ
トの増加を十分に防止することはできなかった。
【0006】そこで、本発明者らは、高温高湿下に長期
に渡って保存したときに保存以前に得られる高い電磁変
換特性を維持し、充分な信頼性を保証された磁気記録媒
体を得るために、あらゆる環境下での保存実験を行い、
検討を行った結果、高温高湿下に長期に渡って磁気記録
媒体を保存すると、保存以前に得られる再生出力から大
幅に低下し、ドロップアウトが増加し、ヘッドの目詰ま
りが発生する現象を見出した。この現象は磁気記録媒体
の磁性層が単層でも発生するが、特に重層構造において
顕著に発生することがわかった。
【0007】さらに電磁変換特性向上のため、下層に分
散剤を含有せしめることが考えられるが、この考えに基
づき、下層にリン酸エステル(分散剤)を含有せしめる
と、上記欠点ないし不都合がより顕著に生じることが判
明した。これの現象の原因について、鋭意研究の結果、
本発明者らは次のことが起因していることを突き止め
た。
【0008】通常、高温高湿下に保存したときに発生し
やすい問題としては、強磁性金属粉末の酸化による磁性
粉末の劣化がある。この可能性について検討を行った
が、特に強磁性金属粉末が酸化しているという結果は得
られなかった。しかし、高温高湿下に長期に渡り保存す
ると磁性層表面に多数の突起が発生することがわかり、
この突起によりスペーシング損失が起こり再生出力の低
下に繋がり、またこの突起とヘッドとが衝突することに
より突起が磁性層表面から脱落し、脱落したものがヘッ
ド上に集積しヘッド目詰まりを起こしたり、更に、脱落
が頻繁に起こりドロップアウトの増加を起こすことを突
き止めた。
【0009】次に、本発明者らは突起の発生箇所におけ
る解析を行った。その結果、この発生箇所には特有の物
質が存在することが判明した。その物質は脂肪酸金属塩
の結晶(例えばステアリン酸バリウム、ステアリン酸カ
ルシウム等)であった。この突起の発生箇所に特有の脂
肪酸金属塩(水に対して不溶性の金属セッケン)の発生
を抑制することにより、前記に掲げた問題である高温高
湿下に長期に渡り保存しても充分な信頼性が保証され、
保存以前に得られる高い電磁変換特性を維持する磁気記
録媒体を提供できるものと考えられる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
問題を鑑み高温高湿下に長期に渡り保存してもドロップ
アウトの増加、再生出力の低下等を発生せずに、保存以
前に得られる高い電磁変換特性を維持した磁気記録媒体
を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の課題は下記の構
成によって達成される。
【0012】1.非磁性支持体上に2以上の塗布層を有
し、該塗布層の上層側が強磁性粉末を含有する磁性層で
あり、前記塗布層の下層側が脂肪酸および分散剤を含有
する磁性層又は非磁性層である磁気記録媒体において、
前記磁性層中に存在した状態での前記強磁性金属粉末の
表面を形成する元素のXPSで測定された平均存在比率
が、Fe原子数100にたいしてNa原子数1未満、ア
ルカリ土類元素の原子数40以下、希土類元素の原子数
1〜50であり、前記脂肪酸の炭素原子数が12〜24
であり、前記分散剤が下記一般式[1]で示されるリン
酸エステルである磁気記録媒体。
【0013】2.非磁性支持体上に2以上の磁性層を有
し、該磁性層の上層側が強磁性粉末を含有する磁性層で
あり、前記磁性層の下層側が脂肪酸および分散剤を含有
する磁性層である磁気記録媒体において、前記磁性層中
に存在した状態での前記強磁性金属粉末の表面を形成す
る元素のXPSで測定された平均存在比率が、Fe原子
数100にたいしてNa原子数1未満、アルカリ土類元
素の原子数40以下、希土類元素の原子数1〜50であ
り、前記脂肪酸の炭素原子数が12〜24であり、前記
分散剤が下記一般式[1]で示されるリン酸エステルで
ある磁気記録媒体。
【0014】3.非磁性支持体上に2以上の磁性層を有
し、該磁性層の上層側が強磁性粉末を含有する磁性層で
あり、前記磁性層の下層側が脂肪酸および分散剤を含有
する磁性層である磁気記録媒体において、単独状態での
前記強磁性金属粉末全体におけるWDXで測定された元
素の重量比が、Fe原子100重量部に対してAl原子
2〜10重量部、Na原子0.01重量部未満、アルカ
リ土類元素の原子0.1〜5重量部、希土類元素の原子
1〜8重量部であり、前記脂肪酸の炭素原子数が12〜
24であり、前記分散剤が下記一般式[1]で示される
リン酸エステルである磁気記録媒体。
【0015】4.非磁性支持体上に2以上の磁性層を有
し、該磁性層の上層側が強磁性粉末を含有する磁性層で
あり、前記磁性層の下層側が脂肪酸および分散剤を含有
する磁性層である磁気記録媒体において、単独状態での
前記強磁性金属粉末の表面を形成する元素のXPSで測
定された平均存在比率が、Fe原子数100にたいして
Al原子数70^300、Na原子数4未満、、アルカ
リ土類元素の原子数40以下、希土類元素の原子数0.
5〜60であり、前記脂肪酸の炭素原子数が12〜24
であり、前記分散剤が下記一般式[1]で示されるリン
酸エステルである磁気記録媒体。
【0016】一般式[1]
【0017】
【化9】 [式中、Aは−OH基、−OM(ここにMはアルカリ金
属原子)または
【0018】
【化10】 で表される基である。Rは水素原子または炭素原子数1
〜30個の脂肪族残基である。nはn≧6の整数であ
る。]
【0019】
【発明の具体的説明】本発明1〜4において、アルカリ
土類元素としては、Mg、Ca、Sr、Ba、Ra等が
挙げられ、これらから選ばれる1種以上の元素を含有、
また希土類元素としては、Sm、Nd、Y、La、Pr
等が挙げられ、これらから選ばれる1種以上の元素を含
有する。
【0020】本発明は高温高湿下に長期保存する際に、
突起が発生することを見出し、この突起が高記録密度の
磁気記録媒体の電磁変換特性を劣化させているものであ
ることを突き止めた。この突起が発生する条件の検討を
行った結果、以下の3つの条件が満たされるときに突起
が発生することがわかった。
【0021】第1の条件は非磁性支持体上の層中の脂肪
酸の存在状態、第2の条件は磁性層に含有される強磁性
金属粉末の特性、又は磁性層に含有される強磁性金属粉
末と下層に含有される磁性粉末又は非磁性粉末の特性、
第3の条件は高温高湿(40〜60℃/70〜90%)
下に保存されることである。
【0022】即ち、これらの条件のうち一つでも除かれ
れば突起の発生は防止できる。しかし、掲げた第3の条
件は保存状態であり磁気記録媒体から制御は出来ない。
従って、他の2つの条件をコントロールすることにより
高温高湿下に長期保存しても保存以前に得られる高い電
磁変換特性を維持する磁気記録媒体を得ることが出来
た。
【0023】この突起の発生するメカニズムは明らかで
はないが、次の反応が予想される。 a.高温高湿下での媒体に付着した水に磁気記録媒体中
の磁性粉末又は非磁性粉末よりナトリウムイオンが溶出 b.高温高湿下での媒体に付着した水に遊離脂肪酸が溶
解 c.水に溶解した脂肪酸とナトリウムイオンが反応 RCOOH + Na→ RCOONa + H RCOOH: ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチ
ン酸などRCOONaは水への溶解性が高い d.c.のHにより、磁気記録媒体中の磁性粉末又は
非磁性粉末よりカルシウムイオン、バリウムイオンなど
が溶出 e.RCOONa と水に溶出したカルシウムイオン、
バリウムイオンなどが反応 2RCOONa + Ca2+ → (RCOO)
Ca↓+ 2Na 2RCOONa + Ba2+ → (RCOO)
Ba↓+ 2Na この反応において、金属イオン(Ca2+、Ba2+
ど)は水に対して不溶性の金属セッケンを生成する元素
であれば同様の反応を示す f.(RCOO)Ca、(RCOO)Baは水に対
して不溶性であるため結晶化し、析出してこれが突起の
発生原因となる。
【0024】前記反応は工業的に金属セッケンを製造す
る方法の一つである。金属セッケンの一般的な製造方法
は、複分解法(水溶媒系、アルコール溶媒系)、直
接法(溶融法、半溶融法、スラリー法、固相法、溶媒
法)の2つに大別される。
【0025】複分解法の特徴 ・反応速度が速く、低温においても容易に進行する ・金属セッケンは一般的に水不溶性であるため、アルカ
リセッケン(水可溶性)と金属塩の水溶液を混合するこ
とにより、生成した金属セッケンは直ちに 沈殿物とし
て析出され、反応は瞬時に完了する RCOOH + NaOH → RCOONa + H
O (中和反応) 2RCOONa+CaCl→(RCOO)Ca+2
NaCl(複分解)
【0026】直接法の特徴 ・反応速度が遅く、反応温度が高い ・脂肪酸と金属の酸化物、水酸化物とを生成する金属セ
ッケンの融点以上の温度に保ち、反応によって生じた水
を系外に蒸発させて反応を進める 2RCOOH + CaO → (RCOO)Ca
+ HO 2RCOOH+Ca(OH) → (RCOO)
a+2H
【0027】前記の直接法による反応では生成する金
属セッケンの融点以上(例えばステアリン酸カルシウム
の場合、融点は約150℃)で反応をさせなければなら
ないので、本発明でいう高温高湿下とは大きく隔たり、
直接法の反応が磁気記録媒体の保存時におこっていると
は考えにくい。
【0028】従って、本発明において起こっている反応
は前記の複分解法であり、反応から明らかなように、こ
の反応の特徴は脂肪酸とカルシウム、バリウムなどの水
に不溶性の金属セッケンを生成する元素との直接的な反
応ではなく、間接的に反応が起こっていることである。
リン酸エステルを下層に含有している場合、脂肪酸の磁
性粉への吸着が妨げられるため、遊離脂肪酸が増加し、
高温高湿下の保存特性が悪化すると考えられる。
【0029】突起の発生を抑制するには前記に記載した
反応a、bを抑制すると反応cが抑制され、それ以後の
反応が起こりにくくなる。従って、反応a、bを抑制す
ることが突起の発生に大きく起因する。その解決方法を
次に示す。 ・ナトリウムイオンの水への溶出を抑制する ・脂肪酸の水への溶出を抑制する ・カルシウム、バリウムなどの水に不溶性の金属セッケ
ンを生成する元素の溶出を抑制する 以上3つの解決方法により、突起の発生が抑制され、高
温高湿下に保存後も高い電磁変換特性を維持する磁気記
録媒体が得られる。
【0030】ナトリウムイオンの水への溶出を抑制する
ために、磁性層に配向処理された強磁性金属粉末の表面
に存在する元素の平均存在比率を制御することによりナ
トリウムイオンの溶出量を制御する。また、ナトリウム
イオンの水への溶出及びカルシウム、バリウムなどの水
に不溶性の金属セッケンを生成する元素の溶出を抑制す
るために、強磁性金属粉末の全体組成と表面状態を制御
することにより、ナトリウムイオン、アルカリ土類元素
の溶出量を制御する。
【0031】本発明に用いられる請求項1、2及び4に
示される磁性層中に存在する強磁性金属粉末の表面を形
成する元素の平均存在比率はXPS表面分析装置を用い
てその値を測定する。
【0032】次にその方法について説明する。XPS表
面分析装置を以下の条件にセットする。
【0033】X線アノード;Mg 分解能;1.5〜1.7eV(分解能は清浄なAg3d
5/2ピークの半値幅で規定する) XPS表面分析装置としては、特に限定はなく、いかな
る機種も使用することが出来るが、本発明においては、
VG社製ESCALAB−200Rを用いた。
【0034】以下の測定範囲でナロースキャンを行い、
各元素のスペクトルを測定した。この時、データの取り
込み間隔は、0.2eVとし、目的とするピークが以下
に示す最低カウント数以上のカウントが得られるまで積
算することが必要である。
【0035】 ピーク 測定範囲 最低検出強度 (結合エネルギーeV) (カウント) C1s 305〜280 任意 Fe2p3/2 730〜700 60万 Na(KL2323) 280〜250 60万 オージェピーク 得られたスペクトルに対して、C1sのピーク位置が2
84.6eVになるようにエネルギー位置を補正する。
【0036】次に、VAMAS−SCA−JAPAN製
のCOMMON DATA PROCESSING S
YSTEM Ver.2.3(以下、VAMASソフト
と称する)上で処理を行うために、前記のスペクトルを
各装置メーカーが提供するソフトを用いて、VAMAS
ソフトを使用することができるコンピューターに転送す
る。そして、VAMASソフトを用い、転送されたスペ
クトルをVAMASフォーマットに転換した後、データ
処理を行う。
【0037】定量処理に入る前に、各元素についてCo
unt Scaleのキャリブレーションを行い、5ポ
イントのスムージング処理を行う。各元素のピーク位置
を中心として、次表に示す定量範囲でピークエリア強度
(cps*eV)を求める。以下に示した感度係数を使
用し、各元素の原子数%を求める。原子数はFe原子数
100に対する原子数に換算し定量値とする。
【0038】 元素 ピーク位置(B.E.:ev) 定量範囲(B.E.:ev) 感度係数 Fe 719.8付近 高B.E.側5ev,低B.E.側7ev 10.54 Na 264.0付近 高B.E.側2ev,付近にある極小値, 7.99 低B.E.側6ev 上記元素以外については以下の条件で測定した。
【0039】
【表1】
【0040】〈試料準備方法〉上記測定をする前に媒体
(磁気テープ)の前処理を行う。
【0041】磁気テープからバインダー樹脂をプラズマ
低温灰化処理法で除去し磁性粒子を露出させる。処理方
法はバインダー樹脂は灰化されるが磁性粒子はダメージ
を受けない条件を選択する。例えば、以下に記す装置及
び処理条件で処理した後、配向処理された強磁性金属粉
末の表面を形成する元素の平均存在比率を測定した。 装 置 ; 盟和商事 PL−850X 処理条件 ; FORWARD POWER 10
0W REFLECTED POWER 5W 真空度 10Pa 導入ガス種 Air 放電時間 1min また、強磁性金属粉末全体における元素の重量比は、波
長分散型蛍光X線分析装置(WDX)を用いて、各元素
の蛍光X線強度を測定した後、ファンダメンタルパラメ
ーター法(以下、FP法と称する。)に従い算出して求
める。
【0042】蛍光X線の測定には、理学電気(株)製の
WDXシステム3080を、以下の条件にて使用する。
【0043】X線管球 ;ロジウム管球 出力 ;50KV,50mA 分光結晶 ;LiF(Fe、Co、Ni、Nd、L
a、Y、Sr、Ca、Baに対して)、PET(Alに
対して)、RX−4(Siに対して)、RX−40(N
aに対して) アプソーバ;1/1(Feのみ1/10) スリット ;COARSE フィルター;OUT PHA ;15〜30(Ai、Si、Naに対し
て)、10〜30(Fe、Co、Ni、Nd、La、
Y、Sr、Ca、Baに対して) 計数時間 ;ピーク=40秒、バックグラウンド=40
秒(ピーク前後の2点を測定) 尚、蛍光X線の測定を行うには、前記装置に限定される
ものではなく、種々の装置を使用することが出来る。
【0044】標準試料には、以下の8種類の金属化合物
を使用する。
【0045】標準試料1は、Analytical R
eference Materials intern
ational社製の合金SRM1219(Cを0.1
5重量%、Mnを0.42重量%、Pを0.03重量
%、Siを0.55重量%、Cuを0.16重量%、N
iを2.16重量%、Crを15.64 重量%、Mo
を0.16重量%、Vを0.06重量%を各々含有す
る)である。
【0046】標準試料2は、Analytical R
eference Materials intern
ational社製の合金SRM1250(Niを3
7.78重量%、Crを0.08重量%、Moを0.0
1重量%、Coを16.10重量%、Alを0.99重
量%を各々含有する)である。
【0047】標準試料3は、磁性酸化鉄粉末(Mnを
0.14重量%、Pを0.15重量%、Sを0.19重
量%、Siを0.36重量%、Coを3.19重量%、
Znを1.26重量%、Caを0.07重量%、Naを
0.02重量%を各々含有する)である。
【0048】標準試料4は、強磁性金属粉末(Ndを
2.73重量%、Naを0.001重量%含有する)で
ある。
【0049】標準試料5は強磁性金属粉末(Srを0.
97重量%含有する)である。
【0050】標準試料6は強磁性金属粉末(Baを1.
40重量%,Caを0.40重量%含有する)である。
【0051】標準試料7は強磁性金属粉末(Laを2.
69重量%含有する)である。
【0052】標準試料8は強磁性金属粉末(Yを1.9
8重量%含有する)である。
【0053】前記標準試料1及び2における元素の重量
%は、メーカー供与のデータシートの値であり、前記標
準試料3から8における元素の重量%は、ICP発光分
析装置による分析値である。この値を以下のFP法の計
算における標準試料の元素組成値として入力する。FP
法の計算には、テクノス製のファンダメンタルパラメー
タソフトウェアVersion2.1を用い、次の条件
にて計算する。
【0054】試料モデル ;バルク試料 バランス成分試料;Fe 入力成分 ;測定X線強度(KCPS) 分析単位 ;重量% 算出された各元素の重量比は、Fe原子100重量%に
対する他の元素の重量%として換算し、定量値としたも
のである。
【0055】さらに、請求項4に示される強磁性金属粉
末の表面における組成元素の平均存在比率は以下の方法
で求められる。
【0056】強磁性金属粉末の表面における組成中のF
e,Co,Ni,Nd,Si,Al,Sr,Ca,B
a,Y,Na,La各元素の平均存在比率については、
XPS表面分析装置を用いてその値を求めた。
【0057】以下にその方法について説明する。
【0058】先ずXPS表面分析装置を以下の条件にセ
ットする。
【0059】X線アノード;Mg 分離能 ;1.5〜1.7eV(分解能は、清浄な
Agの3d5/2ピークの半値巾で規定する。) なお、試料の固定には、いわゆる粘着テープは使用しな
い。XPS表面分析装置の機種としては、特に限定はな
く、種々の装置を使用することができるが、本願におい
ては、VG社製ESCALAB−200Rを用いた。
【0060】以下の測定範囲でナロースキャンを行い、
各元素のスペクトルを測定した。この時、データの取込
み間隔は0.2eVとし、表2に示す最低カウント数以
上のカウントが得られるまで積算した。
【0061】得られたスペクトルに対して、Cのピーク
位置が284.6eVになるようにエネルギー位置を補
正する。
【0062】次に、VAMAS−SCA−JAPAN製
のCOMMON DATA PROCESSING S
YSTEM Ver.2.3(以下、VAMASソフト
と称する)上で、データ処理を行うために、上記スペク
トルを各装置メーカーが提供するソフトを用いて、VA
MASソフトを使用することができるコンピュータに転
送する。
【0063】そして、VAMASソフトを用い、転送さ
れたスペクトルをVAMASフォーマットに変換した
後、以下のデータ処理を行う。
【0064】定量処理に入る前に、各元素についてCo
unt Scaleのキャリブレーションを行い、5ポ
イントのスムージング処理を行う。
【0065】定量処理は、次の通りである。
【0066】各元素のピーク位置を中心として下表に示
す定量範囲でピークエリア強度を求める。次に下表に示
す感度係数を使用し、各元素の原子数%を求めた。原子
数%は、Fe原子数100に対する原子数に換算し定量
値とした。
【0067】
【表2】
【0068】本発明の下層に用いられる磁性粉末として
は、特開平4−248177号の段落番号0018,0
019に記載の磁性粉末等を使用することが出来、強磁
性酸化鉄粉末、強磁性金属粉末、六方晶板状粉末等いず
れの磁性粉末を使用してもよい。これらの中でも強磁性
酸化鉄粉末,強磁性金属粉末が好適である。
【0069】また、非磁性粉末としては各種公知の非磁
性粉末を適宜選択して使用することが出来、アゾ系の有
機色素顔料等の有機粉末、カーボンブラック、グラファ
イト、TiO、硫酸バリウム、ZnS、MgCO
CaCO、ZnO、CaO、二硫化タングステン、二
硫化モリブデン、窒化硼素、MgO、SnO、SiO
、Cr、α−Al、α−Fe、α
−FeOOH、SiC、酸化セリウム、コランダム、人
造ダイヤモンド、α−酸化鉄、ざくろ石、ガーネット、
珪石、窒化珪素、炭素珪素、炭化モリブデン、炭素硼
素、炭化タングステン、チタンカーバイド、トリボリ、
珪藻土、ドロマイト等の無機粉末を挙げることが出来
る。これらの中で好ましいのは、カーボンブラック、C
aCO、TiO、硫酸バリウム、α−Al
α−Fe、α−FeOOH、Cr等の無機
粉末である。
【0070】また、この磁性粉末又は非磁性粉末はいか
なる形状のものを用いても良いが、針状であることが好
ましい。本発明においては、粉末の形状が針状のものを
用いると、下層の表面の平滑性を向上させることが出
来、その上に積層される磁性層の表面の平滑性も向上さ
せることが出来る。その平均長軸径が0.3μm未満で
あり、好ましくは0.20μm未満であり、平均短軸径
は0.05μm未満であり、好ましくは0.03μm未
満である。非磁性粉末の軸比としては、通常2〜15で
あり、好ましくは3〜10である。ここでいう軸比と
は、平均短軸径に対する平均長軸径の比(平均長軸径/
平均短軸径)のことをいう。
【0071】また、非磁性粉末の比表面積としては、通
常10〜250m/gであり、好ましくは20〜15
0m/gである。ここで非磁性粉末の比表面積はBE
T法と称される比表面積の測定方法によって測定された
表面積を単位グラム当たりの平方メートルで表したもの
である。この比表面積並びにその測定方法については、
「粉体の測定」(J.M.Dallavelle,Cl
yeorrJr. 共著、牟田その他訳; 産業図書社
刊)に詳述されており、また「化学便覧」応用編117
0頁〜1171頁(日本化学会編;丸善(株)昭和41
年4月30日発行)にも記載されている。
【0072】比表面積の測定は、例えば粉末を105℃
前後で13分間加熱処理しながら、脱気して粉末に吸着
されているものを除去し、その後この粉末を測定装置に
導入して窒素の初期圧力を0.5kg/mに設定し、
窒素により液体窒素温度(−105℃)で10分間測定
を行う。測定装置としては例えばカウンターソープ(湯
浅アイオニクス(株)製)を使用する。
【0073】また、非磁性粉末がSi化合物及び/又は
Al化合物により表面処理されていることが好ましい。
かかる表面処理のなされた非磁性粉末を用いると磁性層
である上層の表面状態を良好にすることが出来る。前記
Si及び/又はAlの含有量としては、非磁性粉末に対
してSi、Alとも0.1〜10重量%であることが好
ましい。
【0074】更に、磁性層表面にはオーバーコート層を
設けてもよい。
【0075】また、本発明にかかる磁性層の乾燥膜厚は
0.02〜1.0μmが好ましく、更に好ましくは0.
1〜0.6μmである。また、重層構造にした時の下層
の乾燥膜厚は0.2〜2.0μmが好ましく、更に好ま
しくは0.3〜1.5μmである。
【0076】本発明は、前記した反応を種々の方法で抑
制することによって、高温高湿下に長期に渡って保存し
ても保存以前に得られるものと同じ高い電磁変換特性を
有する磁気記録媒体を得ることが出来るものである。
【0077】本発明において、非磁性支持体の形態は特
に制限はなく、主にテープ状、フィルム状、シート状、
カード状、ディスク状、ドラム状などの形態を取り得、
非磁性支持体の厚みも用途に応じて適宜に最適なものが
選択される。また、非磁性支持体は、たとえばコロナ放
電処理等の表面処理を施されたものであってもよい。
【0078】更に、非磁性支持体の磁性層が設けられて
いない面(裏面)には、磁気記録媒体の走行性の向上、
帯電防止及び転写防止などを目的として、バックコート
層を設けることが好ましく、磁性層と非磁性支持体との
間に下引き層を設けることも出来る。
【0079】磁性層または下層は、前記した特定の強磁
性金属粉末、磁性粉末又は非磁性粉末を含有するほかは
特に制限はなく、種々の方法を用いて形成することが可
能である。
【0080】磁性層又は下層はバインダー及びその他の
成分を含有してもよい。
【0081】磁性層又は下層に用いるバインダーとして
は、例えばポリウレタン、ポリエステル、塩化ビニル系
共重合体等の塩化ビニル系樹脂等が代表的なものであ
り、これらの樹脂は−SOM、−OSOM、−CO
OM及び−PO(OMスルホベタイン基から選ば
れた少なくとも一種の極性基を有する繰り返し単位を含
むことが好ましい。
【0082】但し、前記極性基においてMは水素原子又
はNa、K、Li等のアルカリ金属を表し、またM
水素原子、Na、K、Li等のアルカリ金属又はアルキ
ル基を表す。
【0083】本発明においては、バインダーとして次の
樹脂を全バインダーの20〜80重量%の使用量で併用
することができる。
【0084】その樹脂としては、重量平均分子量が1
0,000〜200,000である、塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合
体、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合体、ブタジエ
ン−アクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリ
ビニルブチラール、セルロース誘導体(ニトロセルロー
ス等)、スチレン−ブタジエン共重合体、フェノール樹
脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フェノキ
シ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル系樹脂、尿素ホルム
アミド樹脂、各種の合成ゴム系樹脂等が挙げられる。
【0085】本発明においては、磁性層又は下層の品質
の向上を図るために、研磨剤、潤滑剤、硬化剤、分散
剤、帯電防止剤及び導電性微粉末等の添加剤をその他の
成分として含有させることが出来る。
【0086】研磨剤としては、例えば特開平4−214
218号の段落番号0105に記載の公知の物質を使用
することが出来る。この研磨剤の平均粒子径は、通常
0.05〜0.6μmであり、好ましくは0.05〜
0.5μmであり、特に好ましくは0.05〜0.3μ
mである。この研磨剤の磁性層又は下層における含有量
としては、通常3〜20重量部であり、好ましくは5〜
15重量部である。
【0087】潤滑剤としては、脂肪酸及び/又は脂肪酸
エステルを使用することが出来る。この場合、脂肪酸の
添加量は磁性粉末又は非磁性粉末に対して0.2〜10
重量%が好ましく、特に好ましくは0.5〜5重量%で
ある。脂肪酸と脂肪酸エステルとを併用して潤滑効果を
より高めたい場合には、脂肪酸と脂肪酸エステルは重量
比で10:90〜90:10が好ましい。脂肪酸として
は一塩基酸であっても二塩基酸であってもよく、炭素原
子数は6〜30個が好ましく、より好ましくは12〜2
4個である。
【0088】脂肪酸の具体例としては、特開平4−21
4218号の段落番号0102に記載の脂肪酸が、脂肪
酸エステルの具体例としては、同公報の段落番号010
3に記載の脂肪酸エステルが挙げられる。
【0089】また、前記脂肪酸、脂肪酸エステル以外の
潤滑剤としてそれ自体公知の物質を使用することが出
来、例えばシリコーンオイル、フッ化カーボン、脂肪酸
アミド、α−オレフィンオキサイド等を使用することが
出来る。
【0090】硬化剤としては、ポリイソシアネートを挙
げることが出来、ポリイソシアネートとしては、例え
ば、トリレンジイソシアネート(TDI)等と活性水素
化合物との付加体等の芳香族ポリイソシアネートと、ヘ
キサメチレンジイソシアネート(HMDI)等と活性水
素化合物との付加体等の脂肪族ポリイソシアネートがあ
る。尚、前記ポリイソシアネートの重量平均分子量は、
100〜3,000の範囲にあることが望ましい。
【0091】上層の分散剤としては、同公報の段落番号
0093に記載の化合物を挙げることが出来る。これら
の分散剤は、通常、磁性粉末又は非磁性粉末に対して
0.5〜5重量%の範囲で用いられる。
【0092】下層の分散剤としては、一般式[1]
【0093】
【化11】 [式中、Aは−OH基、−OM(ここにMはアルカリ金
属原子)または
【0094】
【化12】 で表される基である。Rは水素原子または炭素原子数1
〜30個の脂肪族残基である。nはn≧6の整数であ
る。]で示されるリン酸エステルを磁性粉末に対して
0.5〜5重量%の範囲で用いられる。
【0095】帯電防止剤としては、同公報の段落番号0
107に記載の界面活性剤を挙げることが出来る。この
帯電防止剤は、通常バインダーに対して0.01〜40
重量%の範囲で添加される。更に本発明においては、帯
電防止剤として導電性微粉末を好ましく用いることが出
来る。前記帯電防止剤としては、カーボンブラック、グ
ラファイト、酸化錫、銀粉、酸化銀、硝酸銀、銀の有機
化合物、銅粉等の金属粒子等、酸化亜鉛、硫酸バリウ
ム、酸化チタン等の金属酸化物等の顔料を酸化錫皮膜又
はアンチモン固溶酸化錫皮膜等の導電性物質でコーティ
ング処理したもの等を挙げることができる。
【0096】前記導電性微粉末の平均粒子径としては、
5〜700nmであり、より好ましくは5〜200nm
である。この導電性微粉末の含有量としては、磁性粉末
又は非磁性粉末100重量部に対して、1〜20重量部
であり、好ましくは2〜7重量部である。
【0097】本発明にかかる磁気記録媒体は、磁性層の
塗設を下層が湿潤状態にあるときに行う所謂ウェット−
オン−ウェット塗布方式で塗設することが好ましい。こ
のウェット−オン−ウェット塗布方式は公知の重層構造
の磁気記録媒体の製造に使用される方法を適宜に採用す
ることが出来る。
【0098】例えば、一般的には磁性粉末、バインダ
ー、分散剤、潤滑剤、研磨剤、帯電防止剤等と溶媒とを
混練して高濃度磁性塗料を調整し、次いでこの高濃度磁
性塗料を希釈して磁性塗料を調整したあと、この磁性塗
料を非磁性支持体の表面に塗布する。前記溶媒として
は、例えば特開平4−21418号の段落番号0119
に記載の溶媒を用いることが出来る。これらの各種溶媒
は単独で使用することも出来るし、またそれらの二種以
上を併用することも出来る。
【0099】磁性層形成成分の混練にあたっては、各種
の混練分散機を使用することが出来る。この混練分散機
としては同公報の段落番号0112に記載のものを挙げ
ることが出来る。
【0100】混練分散機のうち、0.05〜0.5KW
(磁性粉末1kgあたり)の消費電力負荷を提供するこ
との出来る混練分散機は、加圧ニーダー、オープンニー
ダー、連続ニーダー、二本ロールミル、三本ロールミル
である。
【0101】また、塗料の塗布にあたっては、ウェット
−オン−ウェット塗布方式では、リバースロールと押し
出しコーターとの組み合わせ、グラビアロールと押し出
しコーターとの組み合わせ等も使用することが出来る。
更にはエアドクターコーター、ブレードコーター、エア
ナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、ト
ランスファロールコーター、キスコーター、キャストコ
ーター、スプレイコーター等を組み合わせることが出来
る。
【0102】ウェット−オン−ウェット塗布方式におけ
る重層塗布においては、下層が湿潤状態のままで上層を
塗布を行うので、下層の表面(即ち、上層との境界面)
が滑らかになるとともに上層の表面性が良好になり、か
つ上下層間の接着性も向上する。
【0103】この結果、特に高密度磁気記録媒体に要求
される性能を満たしたものとなる。また膜強度が向上
し、耐久性も十分となり、ウェット−オン−ウェット塗
布方式により、ドロップアウトも低減することが、信頼
性も向上する。
【0104】次にカレンダリングにより表面平滑化処理
を行ってもよい。その後は、必要に応じてバーニッシュ
処理又はブレード処理を行ってスリッテイングされる。
【0105】表面平滑処理においては、カレンダ条件と
して温度、線圧力、コーティングスピード(C/S)等
を挙げることができ、本発明においては前記温度を50
〜140℃、前記線圧力を50〜1200kg/cm、
前記C/Sを20〜600m/分に保持することが好ま
しい。これらの範囲を外れると、磁気記録媒体の表面性
を良好な状態に保つことが困難になる。
【0106】
【実施例】以下の実施例によって本発明の構成、効果を
具体的に説明するが、以下に示す成分、割合、操作順序
は本発明を逸脱しない範囲において種々変更可能であ
り、以下の実施例に限定されるものではないことは言う
までもない。
【0107】尚、以下の実施例において、「部」はすべ
て重量部である。
【0108】下記組成を有する最上層用磁性塗料及び下
層用塗料の各成分を、それぞれニーダー及びサンドミル
を用いて混練分散して上層用磁性塗料及び下層用塗料を
調製した。
【0109】 {上層用磁性塗料} 強磁性金属粉末 100部 (組成を表3,4及び5に示す) スルホン酸カリウム基含有塩化ビニル系樹脂 10部 (日本ゼオン社製 MR−110) スルホン酸ナトリウム基含有ポリウレタン樹脂 10部 (東洋紡績社製、UR−8700) α−アルミナ(平均粒径0.15μm) 8部 ステアリン酸 1部 ブチルステアレート 1部 シクロヘキサノン 100部 メチルエチルケトン 100部 トルエン 100部
【0110】 {下層用塗料A} Co−γ−Fe(表3,5,6,7,8,9,12,13,15及び1 7に示す)100部 (Si、Al化合物で表面処理、Si含有量0.1重量%、Al含有量0.3 重量%、水溶性Na量、塩酸溶解性Naを示す) スルホン酸カリウム基含有塩化ビニル系樹脂 12部 (日本ゼオン社製 MR−110) スルホン酸ナトリウム基含有ポリウレタン樹脂 8部 (東洋紡績社製、UR−8700) リン酸エステル(R=C919、n=6〜9) 3部 α−アルミナ(平均粒径0.2μm) 5部 カーボンブラック(15nm) 10部 脂肪酸 1部 (炭素数を表3、4及び5に示す) ブチルステアレート 1部 シクロヘキサノン 100部 メチルエチルケトン 100部 トルエン 100部
【0111】得られた上層用磁性塗料及び下層用塗料A
のそれぞれに、ポリイソシアネート化合物(コロネート
L、日本ポリウレタン工業社製)5部を添加した。
【0112】{下層用塗料B}下層用塗料Bは、下層用
塗料AにおけるCo−γ−Feに代えて針状α−
Feを用いた以外は下層用塗料Aと同様にして得
た。
【0113】(実施例1−1〜1−6、2−1〜2−
6、3−1〜3−6及び比較例1−1〜1−8、2−1
〜2−8、3−1〜3−8) 各表に示した、強磁性金属粉末を含有する前述の上層用
磁性塗料及び下層用塗料を用いて、ウェット−オン−ウ
ェット方式で厚さ10μmのポリエチレンテレフタレー
トフィルム上に塗布した後、塗膜が未乾燥であるうちに
磁場配向処理を行ない、続いて乾燥を施してから、カレ
ンダーで表面平滑化処理を行ない、下層1.7μm、上
層0.3μmの厚さを有する下層及び上層からなる磁性
層を形成した。
【0114】更に、この磁性層とは反対側の前記ポリエ
チレンテレフタレートフィルムの面(裏面)に下記の組
成を有する塗料を塗布し、この塗膜が乾燥後、上述した
カレンダー条件にしたがってカレンダー加工をすること
によって、厚さ0.8μmのバックコート層を形成し、
広幅の原反磁気テープを得た。
【0115】 カーボンブラック(ラベン1035)(平均粒径25nm) 40部 硫酸バリウム(平均粒子径300nm) 10部 ニトロセルロース 25部 ポリウレタン系樹脂 25部 (日本ポリウレタン社製、N−2301) ポリイソシアネート化合物 10部 (日本ポリウレタン社製、コロネートL) シクロヘキサノン 400部 メチルエチルケトン 250部 トルエン 250部
【0116】こうして得られた原反磁気テープをスリッ
トして、8mm幅のビデオ用磁気記録媒体を作成した。
この磁気記録媒体につき、以下の評価を行った。その結
果を表3、4及び5に示した。
【0117】《評価》 〈磁性塗膜に存在する強磁性金属粉末の表面組成〉;本
文中の記載方法で測定した。 〈強磁性金属粉末の全体組成〉;本文中の記載方法で測
定した。 〈強磁性金属粉末の表面組成〉;本文中の記載方法で測
定した。 〈再生出力〉ソニー(株)製8ミリビデオカメラCCD
V−900により、7MHzでのRF出力(dB)を測
定した。 〈ドロップアウト〉サンプルを保存する前後に測定す
る。入力信号としてはモノクロ信号の階段波を録画し、
シバソク社製ドロップアウトカウンターVH01BZを
使用して10μs以上、16dB以上出力の低下した回
数の単位時間1分当たり求めた。
【0118】
【表3】
【0119】
【表4】
【0120】
【表5】
【0121】上記の表の結果から明らかな如く、本発明
が比較例に比して優れていることがわかる。
【0122】
【発明の効果】本発明による磁気記録媒体は、高温高湿
下に長期に渡り保存してもドロップアウトの増加、再生
出力の低下等を発生せずに、保存以前に得られる高い電
磁変換特性を維持することが出来る。
フロントページの続き (72)発明者 森 孝博 東京都日野市さくら町1番地 コニカ株式 会社内 (72)発明者 今井 一儀 東京都日野市さくら町1番地 コニカ株式 会社内 (72)発明者 林 隆博 東京都中央区日本橋1丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性支持体上に2以上の塗布層を有し、
    該塗布層の上層側が強磁性粉末を含有する磁性層であ
    り、前記塗布層の下層側が脂肪酸および分散剤を含有す
    る磁性層又は非磁性層である磁気記録媒体において、前
    記磁性層中に存在した状態での前記強磁性金属粉末の表
    面を形成する元素のXPSで測定された平均存在比率
    が、Fe原子数100にたいしてNa原子数1未満、ア
    ルカリ土類元素の原子数40以下、希土類元素の原子数
    1〜50であり、前記脂肪酸の炭素原子数が12〜24
    であり、前記分散剤が下記一般式[1]で示されるリン
    酸エステルであることを特徴とする磁気記録媒体。一般
    式[1] 【化1】 [式中、Aは−OH基、−OM(ここにMはアルカリ金
    属原子)または 【化2】 で表される基である。Rは水素原子または炭素原子数1
    〜30個の脂肪族残基である。nはn≧6の整数であ
    る。]
  2. 【請求項2】非磁性支持体上に2以上の磁性層を有し、
    該磁性層の上層側が強磁性粉末を含有する磁性層であ
    り、前記磁性層の下層側が脂肪酸および分散剤を含有す
    る磁性層である磁気記録媒体において、前記磁性層中に
    存在した状態での前記強磁性金属粉末の表面を形成する
    元素のXPSで測定された平均存在比率が、Fe原子数
    100にたいしてNa原子数1未満、アルカリ土類元素
    の原子数40以下、希土類元素の原子数1〜50であ
    り、前記脂肪酸の炭素原子数が12〜24であり、前記
    分散剤が下記一般式[1]で示されるリン酸エステルで
    あることを特徴とする磁気記録媒体。一般式[1] 【化3】 [式中、Aは−OH基、−OM(ここにMはアルカリ金
    属原子)または 【化4】 で表される基である。Rは水素原子または炭素原子数1
    〜30個の脂肪族残基である。nはn≧6の整数であ
    る。]
  3. 【請求項3】非磁性支持体上に2以上の磁性層を有し、
    該磁性層の上層側が強磁性粉末を含有する磁性層であ
    り、前記磁性層の下層側が脂肪酸および分散剤を含有す
    る磁性層である磁気記録媒体において、単独状態での前
    記強磁性金属粉末全体におけるWDXで測定された元素
    の重量比が、Fe原子100重量部に対してAl原子2
    〜10重量部、Na原子0.01重量部未満、アルカリ
    土類元素の原子0.1〜5重量部、希土類元素の原子1
    〜8重量部であり、前記脂肪酸の炭素原子数が12〜2
    4であり、前記分散剤が下記一般式[1]で示されるリ
    ン酸エステルであることを特徴とする磁気記録媒体。一
    般式[1] 【化5】 [式中、Aは−OH基、−OM(ここにMはアルカリ金
    属原子)または 【化6】 で表される基である。Rは水素原子または炭素原子数1
    〜30個の脂肪族残基である。nはn≧6の整数であ
    る。]
  4. 【請求項4】非磁性支持体上に2以上の磁性層を有し、
    該磁性層の上層側が強磁性粉末を含有する磁性層であ
    り、前記磁性層の下層側が脂肪酸および分散剤を含有す
    る磁性層である磁気記録媒体において、単独状態での前
    記強磁性金属粉末の表面を形成する元素のXPSで測定
    された平均存在比率が、Fe原子数100にたいしてA
    l原子数70〜300、Na原子数4未満、、アルカリ
    土類元素の原子数40以下、希土類元素の原子数0.5
    〜60であり、前記脂肪酸の炭素原子数が12〜24で
    あり、前記分散剤が下記一般式[1]で示されるリン酸
    エステルであることを特徴とする磁気記録媒体。一般式
    [1] 【化7】 [式中、Aは−OH基、−OM(ここにMはアルカリ金
    属原子)または 【化8】 で表される基である。Rは水素原子または炭素原子数1
    〜30個の脂肪族残基である。nはn≧6の整数であ
    る。]
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6440545B1 (en) 1998-12-18 2002-08-27 Dowa Mining Co., Ltd. Powder for use in lower layer of coating type magnetic recording medium

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US6440545B1 (en) 1998-12-18 2002-08-27 Dowa Mining Co., Ltd. Powder for use in lower layer of coating type magnetic recording medium

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