JPH0710532A - カチオン置換粘土鉱物、その製造方法、及びそれを用いたクロマトグラフィー用充填剤 - Google Patents

カチオン置換粘土鉱物、その製造方法、及びそれを用いたクロマトグラフィー用充填剤

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JPH0710532A
JPH0710532A JP6055327A JP5532794A JPH0710532A JP H0710532 A JPH0710532 A JP H0710532A JP 6055327 A JP6055327 A JP 6055327A JP 5532794 A JP5532794 A JP 5532794A JP H0710532 A JPH0710532 A JP H0710532A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 水膨張性粘土鉱物の層間のカチオンを低原子
価金属アンミン錯体および/又は低原子価金属アミン錯
体で実質的に置換してなるカチオン置換粘土鉱物及びそ
れを用いたクロマトグラフィー用充填剤 【効果】 本発明の粘土鉱物からなるクロマトグラフィ
ー用充填剤は高度不飽和化合物に対してシャープなピー
クが得られ、また溶媒による変化を受けにくいため長時
間安定に使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はカチオン置換粘土鉱物、
それを用いたクロマトグラフィー用充填剤及びその製造
方法、特に置換カチオンの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】各種物質の分析あるいは分離精製にクロ
マトグラフィーが汎用されており、このうち特に液体ク
ロマトグラフィーはその分離機構により、大きくは吸着
クロマトグラフィーと分配クロマトグラフィーに分類さ
れている。分配クロマトグラフィーはさらに、溶離液と
充填剤の極性の関係から、順相分配クロマトグラフィー
と逆相分配クロマトグラフィーとに分けられる。前記吸
着及び順相分配クロマトグラフィーにおける充填剤は、
いずれも巨大孔と微細孔が網目状に分布した全多孔性シ
リカゲル系がほとんどであり、その他アルミナ系、ポー
ラスガラス系の無機担体やポリスチレン−ジビニルベン
ゼン、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシメタクリ
レート等のポーラスポリマー系、また特殊な用途として
水酸化カルシウム粉末、リン酸カルシウムゲル等が用い
られている。
【0003】一方、逆相分配クロマトグラフィー用充填
剤には、ODS−シリカゲルに代表されるように、前記
充填剤(例えばシリカゲル)を担体として、これにオク
タデシル基などのアルキル基を化学結合させたものが多
く用いられている。この他にもシリカゲルや有機ポーラ
スポリマーにスルホン基やカルボキシル基を有する化合
物を結合させたカチオン交換用、あるいは4級アンモニ
ウムやジエチルアミノエチル基を結合させたアニオン交
換用の液体クロマトグラフィー用充填剤も用いられてい
る。
【0004】しかしながら、これらの充填剤はいずれも
各種の課題を有しており、特に近似する分子量の物質の
飽和−不飽和識別能がきわめて貧弱であり、この点に関
する改善が従来より強く求められていた。このような要
望に応える充填剤として、本発明者らは特開平1−19
9155に開示される充填剤を開発している。これは、
水膨潤性粘土鉱物の層間イオンがナトリウムイオン以外
のカチオン、特に銀イオンで実質的に置換されてなる充
填剤であり、飽和−不飽和識別能を有するため、広範な
不飽和化合物の不飽和度毎の分離が可能であり、各種分
析や分離手段として用いられていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記粘土鉱
物からなる充填剤にあっても、不飽和度3以上の高度不
飽和化合物の吸着がきわめて強く、ピークもブロードな
ものとなるため、効率よく短時間に分析、分離を行うこ
とができないものであった。また、不飽和化合物の保持
時間も、使用する溶媒によって経時的に変化するなどの
課題が指摘されていた。本発明は、前記従来技術の課題
に鑑みなされたものであり、その目的は特に不飽和化合
物の分離能力が高く、しかも経時安定性に優れたクロマ
トグラフィー用充填剤、及びその充填剤として用いるカ
チオン置換粘土鉱物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明者らが鋭意検討を進めた結果、高度不飽和化
合物のピークがブロードなものとなる点、及び保持時間
の経時的変化が大きい点は、粘土鉱物の層間に存在する
低原子価金属をアンミン錯体ないしアミン錯体とするこ
とにより解決可能なことを見出し本発明を完成するにい
たった。すなわち、粘土鉱物の層間に存在する銀等の置
換低原子価金属イオンは、溶媒と接触することにより、
イオンとして存在する以外にも酸化、還元などによる存
在状態の変化が生じ、これが高度不飽和化合物のピーク
をブロードなものとし、さらに保持時間の経時変化を大
きくする要因となることを見出した。
【0007】例えば、粘土鉱物の層間に存在させた1価
の銀イオンは、熱と溶媒によって酸化され酸化銀に変化
したり、金属銀に還元されることがX線解析の結果確か
められた。また、銀と同様に飽和−不飽和識別能を有す
るとされる1価の銅イオンは乾燥により容易に酸化され
て2価の銅イオンに変化してしまい、飽和−不飽和識別
能を弱めることが確認されている。そこで、本発明者ら
は粘土鉱物の層間に存在する置換低原子価金属イオンの
存在形態に着目したのである。
【0008】すなわち、本出願の請求項1記載のカチオ
ン置換粘土鉱物は、水膨潤性粘土鉱物の層間のカチオン
を低原子価金属アミン錯体及び/又は低原子価金属アン
ミン錯体で実質的に置換してなることを特徴とする。請
求項2記載のクロマトグラフィー用充填剤は、前記カチ
オン置換粘土鉱物よりなることを特徴とする。請求項3
記載の粘土鉱物は、低原子価金属アンミン錯体は、[M
(NH31■3]X (M=金属,X=アニオン)であ
ることを特徴とする。請求項4記載の粘土鉱物は、前記
Mが1価の銅、銀または金であることを特徴とする。
【0009】請求項5記載のカチオン置換粘土鉱物の製
造方法は、水膨潤性粘土鉱物をアンモニアアルカリ性の
アンモニウムイオン溶液に浸せきしたのち乾燥したもの
を、低原子価金属アミン錯体及び/又は低原子価金属ア
ンミン錯体溶液に浸せきし、層間カチオンイオンを低原
子価金属アミン錯体及び/又は低原子価金属アンミン錯
体で実質的に置換することを特徴とする。請求項6記載
のカチオン置換粘土鉱物の製造方法は、低原子価金属ア
ミン錯体及び/又は低原子価金属アンミン錯体溶液に浸
せきされた粘土鉱物をさらに焼成することを特徴とす
る。
【0010】請求項7記載の魚類油脂の分離方法は、魚
類油脂から、水膨潤性粘土鉱物の層間のカチオンを低原
子価金属アミン錯体及び/又は低原子価金属アンミン錯
体で実質的に置換してなる充填剤により、ドコサヘキサ
エン酸を分離・採取することを特徴とする。請求項8記
載の魚類油脂の分離方法は、魚類油脂を加水分解し、さ
らにエステル化した脂肪酸エステルを分離対象として用
いることを特徴とする。請求項9記載の魚類油脂の分離
方法は、溶媒として超臨界流体を用いることを特徴とす
る。
【0011】以下、本発明の構成について詳述する。本
発明において用いられる水膨潤性粘土鉱物は、スメクタ
イト属に属する層状ケイ酸鉱物であり、モンモリロナイ
ト、バイデライト、ノントロライト、サポナイト、及び
ヘクトライトなどが好適である。なお、天然または合成
品のいずれも用いることができる。市販品としては、ク
ニピア、スメクトン(クニミネ工業)、ビーガム(バン
ダービルト社)、ラポナイト(ラポルテ社)、フッ素四
ケイ素雲母(トピー工業)などを用いることができる。
本発明の実施にあたっては、これらの水膨潤性粘土性鉱
物のうちから、一種又は二種以上が任意に選択される。
クロマトグラフィー用充填剤としては、比表面積の大き
い粉末である程、吸着容量が大きく、溶質分子を強く保
持することができるため、充填剤として適している。
【0012】また、クロマトグラフィー用充填剤として
は、形状は破砕状よりも球状のほうが圧力損失及び圧力
変動が小さいので適している。このような観点から、水
性ゲルをスプレードライすることにより、球状の粘土鉱
物を得ることができる合成サポナイトのスメクトンや合
成ヘクトライトのラポナイトが特に好適である。前記水
膨潤性粘土鉱物に対し、その層間に存在するナトリウム
イオンと置換する低原子価の金属のアンミン錯体(アン
モニア錯塩)は、1価の銅、銀、金のアンミン錯体[M
(NH31■3]X (M=金属、X=アニオン)を用
いることができる。この他に2価の金属として銅、水
銀、白金、パラジウム等のアンミン錯体を用いることも
可能であるが、1価の銅、銀、金のアンミン錯体を用い
ることが好ましい。
【0013】これらの金属アミン錯体の粘土鉱物への交
換容量は、粘土鉱物100gあたり約60〜150ミリ
当量であるが、10ミリ当量程度の少量のイオン交換で
も飽和−不飽和識別能を有する。アンミン錯体の調整方
法としては、これらの1〜2価の金属塩(例えば塩化第
一銅、硝酸銀等)を適量の水、アルコール等の溶媒に溶
解し、適量の25〜28%アンモニア水を加え撹拌する
ことにより得られる。また、アミン錯体を調製する場合
には、アンミン錯体の調製方法におけるアンモニア水に
変えて有機アミンを使用することが好適である。
【0014】用いる有機アミンとしては、エチルアミ
ン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエ
チレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、モノエ
タノールアミンなどを用いることができる。これらの低
原子価金属アンミン錯体ないしアミン錯体は、単独で用
いても、あるいは2種以上組合せて用いてもよい。本ク
ロマトグラフィー用充填剤の金属イオン含有量は、金属
によっても異なるが、0.1〜15重量%、好ましくは
1〜5重量%である。本発明にかかるカチオン置換粘土
鉱物を製造する際には、原料粘土鉱物をあらかじめアン
モニウムイオン溶液に浸せきすることが好適である。
【0015】すなわち、例えばモンモリロナイトは三層
体積層を有し、図1に示すように各三層単位10a、1
0bの層間12にナトリウムイオン14がイオン結合さ
れている。そして、図2に示すように、層間12のナト
リムイオンをアンモニウムイオン16に置換し、さらに
図3に示すように低原子価金属の錯体18へと置換する
のである。このようにアンモニウムイオンで浸せきし
て、粘土鉱物中のナトリウムイオンをアンモニウムイオ
ンにあらかじめイオン交換することで、耐水性が改善さ
れるとともに、金属アンミン錯体の種類によってはアン
モニウムイオンで交換された粘土鉱物の方がアンミン錯
体とのイオン交換が容易となる。
【0016】なお、アンモニウムイオンで浸せきしてい
ない粘土鉱物にあっても、アンミン錯体あるいはアミン
錯体と容易にカチオン交換できるものもあるので、前記
アンモニウムイオン溶液への浸せきは必ずしも必須のも
のではない。 本発明において、粘土鉱物を浸せきする
際のアンモニウムイオンの濃度は0.1〜10規定、好
ましくは0.5〜3規定である。この時のアンモニウム
イオン溶液のpHはアンモニアを添加し7〜12、好ま
しくは8.5〜10.5とする。ここで添加するアンモ
ニアは、アンモニア水が好ましいがアンモニアガスを用
いることも可能である。
【0017】アンモニウムイオン溶液に粘土鉱物を浸せ
きする時間は1時間以上が望ましい。浸せき後、溶媒を
濾過などの方法で除去し、乾燥する。乾燥温度は60℃
以上、好ましくは100〜150℃とすることが好適で
ある。このように乾燥を行うことにより、粘土鉱物の細
孔内に満たされたアンモニアを除去し、金属錯イオンと
の交換が容易となる。さらに、これらの金属アンミン錯
体ないし金属アミン錯体によりカチオン交換された粘土
鉱物を焼成することも好適である。
【0018】焼成温度、焼成時間は金属により異なる
が、金属アンミン錯体もしくは金属アミン錯体が分解し
ない温度が好ましく、80℃〜500℃、特に好ましく
は100℃〜250℃である。焼成時間は1時間〜48
時間、好ましくは4時間〜18時間である。焼成温度が
高いほど、また焼成時間が長いものほどクロマトグラフ
ィーにおける保持力が強く、保持時間の調整も可能であ
る。このように焼成を行うことにより、粘土鉱物の外面
に表出したシラノール基の活性が増加し、より充填剤と
しての機能を改善することができる。
【0019】なお、本発明にかかるカチオン置換粘土鉱
物は、必要に応じて通常の乾式分級法により分級し、ク
ロマトグラフィー用充填剤として利用される。また、本
発明にかかる充填剤は、液体クロマトグラフィー用充填
剤はもとより、超臨界クロマトグラフィー用、あるいは
ガスクロマトグラフィー用充填剤としても利用できる。
【0020】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例を説明する。な
お、本発明はこれらの実施例によって限定されるもので
はない。実施例1 ラポナイトXLG900gをイオン交換水30Lに撹拌
しながら分散させる。得られたゲルを、ディスク式噴霧
乾燥実験器によりディスク回転数20000rpm、入
り口温度約200℃、排気温度約110℃で噴霧乾燥
し、2〜20μmの球状粘土鉱物720gを得た。この
球状粘土鉱物を乾式分級機TARBO CLASSIFINER TC-15N
(日清エンジニアリング社製)を用いて分級し、3〜8
μm粉径の粉末を180g得た。
【0021】上記粉末30gを、500mlガラス製ビ
ーカーに量り、これに6%{W/V}硝酸アンモニウム
/メタノール溶液200ml及び28%アンモニア水
0.66mlを加え、約1時間撹拌した後、ガラスフィ
ルター(G4)で濾過した。これを乾燥器を用いて11
0℃で6時間乾燥し乾燥粉末を得、この乾燥粉末を50
0mlビーカーにとった。あらかじめ2.55gの硝酸
銀に200mlのメタノールと28%アンモニア水2.
4mlを加え溶解した液全量を前記ビーカーに加え16
時間撹拌した後、グラスフィルターを用いて濾過した。
この後、28%アンモニア水/メタノール(1:10
0)200mlを用いて3回濾過、洗浄を繰り返し、更
に160℃で4時間乾燥し充填剤を得た。
【0022】つぎに本充填剤を内径4.6mm,長さ2
50mmのステンレスカラムに平衡スラリー法により均
一に充填し、充填カラムを得た。本充填カラムを高速ク
ロマトグラフに接続し、移動相溶媒に1%エタノール/
ヘキサンを1ml/minの流速でながした。温度は3
5℃に設定し、検出器はUV検出器をもちいて波長22
5nmで検出した。この充填カラムに、試料として、炭
素数20で不飽和度0〜4の脂肪酸メチルエステル混合
物を注入したところ、図4に示すクロマトグラムが得ら
れた。不飽和度0〜4の順にシャープに分離溶出したク
ロマトグラムが得られた。
【0023】比較例1 エタノール1Lに硝酸銀1.7gを溶解し、上記の分級
した球状の粘土鉱物10gを分散し、4時間撹拌する。
その後メタノールで洗浄し、80℃で乾燥し充填剤を得
た。その後、実施例1と同様に高速液体クロマトグラフ
に接続し、クロマトグラムを測定したところ、吸着が極
めて強く、脂肪酸メチルエステルの溶出はいずれも観測
されなかった。そこで移動相溶媒をより溶出力の強いア
セトンに替え、更に検出器を示差屈折計に替え、得られ
たクロマトグラムを図5に示す。5種の脂肪酸メチルエ
ルテルが分離溶出しているが、不飽和度3〜4の脂肪酸
メチルエステルは大きなテイリングを示し、分離も不良
であった。
【0024】実施例2 実施例1で得られた分級した球状の粘土鉱物30gを5
00mlガラス製ビーカーに量り、これに6%{W/
V}硝酸アンモニウム/メタノール溶液200mlと2
8%アンモニア水1.0mlを加え、約3時間撹拌した
後、ガラスフィルターで濾過した。これを乾燥器を用い
て110℃で6時間乾燥し、乾燥粉末を得、この乾燥粉
末を500mlビーカーにとった。あらかじめ1.49
gの塩化第一銅に400mlのメタノールと28%アン
モニア水5.0mlを加え溶解した液の全量を前記ビー
カーに加え、24時間撹拌した後、グラスフィルターを
用いて濾過した。この後28%アンモニア水/メタノー
ル{1/100}200mlを用いて3回濾過、洗浄を
繰り返し、更に110℃で16時間乾燥し充填剤を得
た。次に本充填剤を内径4.6mm、長さ250mmの
ステンレスカラムに充填し、充填カラムを得た。
【0025】本充填カラムを高速液体クロマトグラフに
接続し、移動相溶媒に0.5%アセトニトリル/2%ジ
オキサン/ヘキサンを0.5ml/minの流速で流し
た。温度は40℃に設定し、検出器はUV検出器を用い
て波長225nmで検出した。試料として、炭素数20
で不飽和度1〜4の脂肪酸メチルエステル混合物と、魚
油のエチルエステルを注入したところ、それぞれ図6、
図7のクロマトグラムが得られた。図6の脂肪酸メチル
エステル混合物のクロマトグラムは実施例1以上にシャ
ープであり、どの成分もほぼ完全に分離することができ
た。また、図7の魚油のエチルエステルのクロマトグラ
ムには比較例1のカラムでは溶出させることのできなか
った炭素数20、不飽和度5のエイコサペンタエン酸エ
チルエステルが22.8分に、また炭素数22、不飽和
度6のドコサヘキサエン酸エチルエステルが28.0分
に、極めてシャープに分離、溶出させることができた。
【0026】実施例3 実施例1で得られた球状の粘土鉱物に銀アンミン錯体を
交換し、110℃で16時間乾燥し得られた充填剤をさ
らに250℃で4時間焼成して得られた粉末を、内径
4.6mm、長さ250mmのステンレスカラムに充填
し、充填カラムを得た。本充填カラムを超臨界流体クロ
マトグラフ(日本分光製)に接続し、圧力200Kg,
温度90℃の超臨界状態で10%アセトニトリル/二酸
化炭素{W/W}を1ml/minの流速で流した。検
出器はUV検出器を用いて波長225nmでモニターし
た。試料は炭素数18、不飽和度0〜3の脂肪酸メチル
エルテルと、炭素数20、不飽和度4の脂肪酸メチルエ
ルテルの混合物を注入した。得られたクロマトグラムを
図8に示す。本実施例にかかる充填剤を用いた場合、超
臨界流体クロマトグラフィーによっても不飽和度毎のシ
ャープな分離溶出が可能であった。
【0027】実施例4 前記実施例1で製造した充填剤100gをパッカーとポ
ンプを用いて、内径20mm、長さ250mmのステンレス
スチール製カラムに平行スラリー法で充填し、充填カラ
ムを作成した。このカラムを超臨界クロマトグラフィー
装置(日本分光社製)に接続し、それぞれ下記表1の分
離条件下で二酸化炭素超臨界流体による分離精製を行っ
た。魚類油脂を常法により加水分解して得た脂肪酸組
成、C14:0(3.3%)、C16:0(16.9%)、C
18:0(5.2%)、C18:1(16.3%)、C20:5(1
2.2%)、C22:6(30.0%)及びその他(14.
3%)、(Cの添数字は、それぞれ前者が対応する脂肪
酸の炭素数を示し、後者は炭素−炭素の二重結合数を示
す。したがって、C20:5はEPAを、そしてC22:6はD
HAを表す)からなる脂肪酸混合物を常法によりエチル
アルコールでエステル化したサンプルを処理した。
【0028】つまり、カラムを工程Iの条件に平衡化さ
せた後、サンプル2.72gをカラムに負荷し、工程
I,IIの順に条件を変化させた。各フラクションは15
分毎に分画し、溶媒を留去後、その収量と純度を求め
た。
【 表1】 ──────────────────────────────── 圧 力 温 度 CO2流量 アセトン流量 フラクション数 Kg/cm2 ℃ ml/min ml/min ──────────────────────────────── I 200 50 8.5 1.5 〜(10) ──────────────────────────────── II 200 50 6 4 (11)〜(17) ──────────────────────────────── 条件I,IIの順に、条件を変化させた。各フラクション
は15分毎にサンプリングした。
【0029】各フラクションの純度を、ガスクロマトグ
ラムの面積百分率により求めたところ、工程IIのフラク
ション(11)〜 (17)から純度99.5%のDHA0.5
9g(回収率72.3%)が得られた。図9に各フラク
ションのEPA及びDHAの純度を、また図10に各フ
ラクションの収量及びEPA、DHAの重量を示した。
尚、前記EPA、DHAの重量は、各フラクションのそ
れぞれの純度及び収量より求めた。
【0030】実施例5 サンプルとして魚類脂肪処理物に代え、γ−リノレン酸
5.9%を含有するγ−リノレン酸含有油脂より調整し
た脂肪酸エチルエステル混合物を用い、二酸化炭素超臨
界流体による分離条件を表2記載の通りとした以外は、
前記実施例4に準じる。尚、粗サンプルの組成は、C
14:0(0.8%)、C16:0(27.6%)、C18:
0(6.5%)、C18:1(42.6%)、C18:2(8.
9%)、C18:3(5.9%)及びその他(6.4%)で
ある。カラムを表2の工程Iの条件に平衡化させた後、
サンプル2.64gをカラムに負荷し、工程I〜XIの順
に条件を変化させた。各フラクションは15分毎に分画
し、溶媒を留去後、その重量測定とGC分析を行った。
【0031】
【表2】 ──────────────────────────────── 圧 力 温 度 CO2流量 アセトン流量 フラクション数 Kg/cm2 ℃ ml/min ml/min ──────────────────────────────── I 200 50 9.5 0.5 〜(10) ──────────────────────────────── II 200 50 9.4 0.6 (11) ──────────────────────────────── III 200 50 9.3 0.7 (12) ──────────────────────────────── IV 200 50 9.2 0.8 (13) ──────────────────────────────── V 200 50 9.1 0.9 (14) ──────────────────────────────── VI 200 50 9.0 1.0 (15) ──────────────────────────────── VII 200 50 8.9 1.1 (16) ──────────────────────────────── VIII 200 50 8.8 1.2 (17) ──────────────────────────────── IX 200 50 8.7 1.3 (18) ──────────────────────────────── X 200 50 8.5 1.5 (19) ──────────────────────────────── XI 200 50 6.0 4.0 (20) ────────────────────────────────
【0032】各フラクションの純度をガスクロマトグラ
ムの面積百分率より求めたところ、工程VIII、IX、X、
XIのフラクション(17),(18),(19),(20)に純度75%
以上のγ−リノレン酸エチルエステルが得られた。次の
表3に主要フラクションのγ−リノレン酸エチルエステ
ルの純度、収量、回収率を示す。
【表3】 ─────────────────────────── 回収フラクション 純度(%) 収量(g) 回収率(%) ─────────────────────────── (17)〜(20) 76.2 0.153 74.8 ─────────────────────────── (18)〜(20) 77.2 0.125 61.7 ─────────────────────────── (19),(20) 77.5 0.099 49.3 ─────────────────────────── (20) 77.9 0.076 37.8 ─────────────────────────── 図11に各フラクションのC16:0,C18:1,C18:2,C
18:3の純度を示した。また、図12に各フラクションの
収量を示した。
【0033】実施例6 実施例4で作成したカラムを液体クロマトグラフィー装
置(島津製作所製)に接続し、下記表4の分離条件下で
液体クロマトグラフィーによる分離精製を行った。サン
プルは前記実施例4と同様である。すなわち、カラムを
工程Iの条件に平衡化させた後、サンプル2.58gを
カラムに負荷し、工程I,II,III,IVの順に条件を変
化させた。各フラクションは、10分毎に分画し、溶媒
を留去後、その収量と純度を求めた。
【表4】 ────────────────────────── 温 度 ヘキサン流量 アセトン流量 フラクション数 ℃ ml/min ml/min ────────────────────────── I RT 10 0 〜 ────────────────────────── II RT 9.9 0.1 〜(11) ────────────────────────── III RT 9.5 0.5 (12)〜(16) ────────────────────────── IV RT 6 4 (17)〜(20) ────────────────────────── 各フラクションの純度を、ガスクロマトグラムの面積百
分率より求めたところ、工程IVのフラクション(14)〜(1
9)から純度99.1%のDHA0.35g(回収率4
5.2%)が得られた。図13に各フラクションのEP
A及びDHAの純度を示す。また、図14に各フラクシ
ョンの収量及びEPA、DHAの重量を示す。
【0034】実施例7 実施例4と同一の装置を用い、DHA含有トリグリセリ
ドの二酸化炭素超臨界流体による精製を行った。尚、サ
ンプルは実施例4で用いたエチルエステル化前の魚類油
脂である。表5に示すように、カラムを工程Iの条件に
平衡化させた後、サンプル2.70gをカラムに負荷
し、工程I〜IVの順に条件を変化させた。各フラクショ
ンは15分毎に分画し、溶媒を留去後、重量測定とGC
分析を行った。尚、上記GC分析は、常法によりサンプ
ルをエチルエステル化した後行った。
【0035】各フラクションの組成を、GCの面積百分
率より求めたところ、工程III,IVのフラクション〜
(14)に構成脂肪酸としてDHAを約40%含有するトリ
グリセリドが得られた。表6にフラクション〜(14)を
あわせた時のDHA純度、収量、回収率を示した。ま
た、図15に各フラクションのEPA及びDHAの純度
を、図16に各フラクションの収量及びEPA、DHA
の収量を示した。
【0036】
【表5】 ──────────────────────────────── 圧 力 温 度 CO2流量 アセトン流量 フラクション数 Kg/cm2 ℃ ml/min ml/min ──────────────────────────────── I 200 50 9 1 〜 ──────────────────────────────── II 200 50 8.5 1.5 〜 ──────────────────────────────── III 200 50 8 2 〜(12) ──────────────────────────────── IV 200 50 6 4 (13)〜(16) ────────────────────────────────
【0037】
【表6】 ─────────────────────────── 回収フラクション 純度(%) 収量(g) 回収率(%) ─────────────────────────── 〜(14) 45.23 0.26 39.95 ───────────────────────────
【発明の効果】以上説明したように本発明にかかるカチ
オン置換粘土鉱物によれば、クロマトグラフィー用充填
剤として用いることにより優れた分離能及び経時安定性
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】、
【図2】、
【図3】本発明にかかるカチオン置換粘土鉱物の製造工
程の説明図である。
【図4】本発明の実施例1にかかる充填剤を用いたクロ
マトグラムである。
【図5】比較例1にかかる充填剤を用いたクロマトグラ
ムである。
【図6】実施例2にかかる充填剤を用い、炭素数20で
不飽和度0〜4の脂肪酸メチルエステル混合物を分離し
た場合のクロマトグラムである。
【図7】実施例2にかかる充填剤を用い、魚油のエチル
エステルを分離したクロマトグラムである。
【図8】実施例3にかかる充填剤を用いて得られたクロ
マトグラムである。
【図9】実施例1にかかる充填剤を用いて、魚類油脂脂
肪酸を、二酸化炭素超臨界流体により分離精製を行った
場合のフラクションとEPA,DHAの純度との関係を
示す説明図である。
【図10】実施例1にかかる充填剤を用いて、魚類油脂
脂肪酸を、二酸化炭素超臨界流体により分離精製を行っ
た場合のフラクションとEPA,DHAの収量との関係
を示す説明図である。
【図11】実施例1にかかる充填剤を用いて、γ−リノ
レン酸含有油脂を、二酸化炭素超臨界流体により分離精
製を行った場合のフラクションと各脂肪酸の純度との関
係を示す説明図である。
【図12】実施例1にかかる充填剤を用いて、γ−リノ
レン酸含有油脂を、二酸化炭素超臨界流体により分離精
製を行った場合のフラクションと収量との関係を示す説
明図である。
【図13】実施例1にかかる充填剤を用いて、魚類油脂
脂肪酸を、液体クロマトグラフィーにより分離精製を行
った場合のフラクションとEPA,DHAの純度との関
係を示す説明図である。
【図14】実施例1にかかる充填剤を用いて、魚類油脂
脂肪酸を、液体クロマトグラフィーにより分離精製を行
った場合のフラクションとEPA,DHAの収量との関
係を示す説明図である。
【図15】実施例1にかかる充填剤を用いて、DHA含
有トリグリセリドを、液体クロマトグラフィーにより分
離精製を行った場合のフラクションとEPA,DHAの
純度との関係を示す説明図である。
【図16】実施例1にかかる充填剤を用いて、DHA含
有トリグリセリドを、液体クロマトグラフィーにより分
離精製を行った場合のフラクションとEPA,DHAの
収量との関係を示す説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山口 道広 神奈川県横浜市港北区新羽町1050番地 株 式会社資生堂第一リサーチセンター内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】水膨潤性粘土鉱物の層間のカチオンを低原
    子価金属アミン錯体及び/又は低原子価金属アンミン錯
    体で実質的に置換してなることを特徴とするカチオン置
    換粘土鉱物。
  2. 【請求項2】請求項1記載の粘土鉱物よりなることを特
    徴とするクロマトグラフィー用充填剤。
  3. 【請求項3】請求項1記載の粘土鉱物において、低原子
    価金属アンミン錯体は、[M(NH31■3]X (M
    =金属,X=アニオン)であることを特徴とするカチオ
    ン置換粘土鉱物。
  4. 【請求項4】請求項3記載の粘土鉱物において、Mは1
    価の銅、銀または金であることを特徴とするカチオン置
    換粘土鉱物。
  5. 【請求項5】水膨潤性粘土鉱物をアンモニアアルカリ性
    のアンモニウムイオン溶液に浸せきしたのち乾燥したも
    のを、低原子価金属アンミン錯体及び/又は低原子価金
    属アミン錯体溶液に浸せきし、層間カチオンイオンを低
    原子価金属アミン錯体及び/又は低原子価金属アンミン
    錯体で実質的に置換することを特徴とするカチオン置換
    粘土鉱物の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項5記載の方法において、低原子価金
    属アミン錯体及び/又は低原子価金属アンミン錯体溶液
    に浸せきし、イオン交換された粘土鉱物をさらに焼成す
    ることを特徴とするカチオン置換粘土鉱物の製造方法。
  7. 【請求項7】魚類油脂を、水膨潤性粘土鉱物の層間のカ
    チオンを低原子価金属アミン錯体及び/又は低原子価金
    属アンミン錯体で実質的に置換してなる充填剤により、
    ドコサヘキサエン酸を分離・採取することを特徴とする
    魚類油脂の分離方法。
  8. 【請求項8】請求項7記載の方法において、魚類油脂を
    加水分解し、さらにエステル化した脂肪酸エステルを分
    離対象として用いることを特徴とする魚類油脂の分離方
    法。
  9. 【請求項9】請求項7または8記載の方法において、溶
    媒として超臨界流体を用いることを特徴とする魚類油脂
    の分離方法。
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