JPH07105172B2 - 架橋ポリエチレン電力ケーブルの半導電層 - Google Patents
架橋ポリエチレン電力ケーブルの半導電層Info
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- JPH07105172B2 JPH07105172B2 JP1036663A JP3666389A JPH07105172B2 JP H07105172 B2 JPH07105172 B2 JP H07105172B2 JP 1036663 A JP1036663 A JP 1036663A JP 3666389 A JP3666389 A JP 3666389A JP H07105172 B2 JPH07105172 B2 JP H07105172B2
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Description
本発明は、電線被覆材として用いられる架橋ポリエチレ
ン電力ケーブルの半導電層に係り、特に、押出し加工時
におけるスコーチ(早期架橋)の発生を防止することが
でき、厳密な温度制御、押出し停止後の押出し機内のオ
ーバーホールを必要とせず、かつ、良好な耐熱性と機械
的物性を保持することのできる架橋ポリエチレン電力ケ
ーブルの半導電層に関する。
ン電力ケーブルの半導電層に係り、特に、押出し加工時
におけるスコーチ(早期架橋)の発生を防止することが
でき、厳密な温度制御、押出し停止後の押出し機内のオ
ーバーホールを必要とせず、かつ、良好な耐熱性と機械
的物性を保持することのできる架橋ポリエチレン電力ケ
ーブルの半導電層に関する。
近年、合成樹脂を用いて被覆する絶縁電線が多くなって
きている。このような絶縁材の使用目的は、構造材とし
ての目的を兼ねている場合も多いが、導体から電気的に
絶縁する点に主眼が置かれている。しかし、電気的絶縁
が優れていても耐熱性が悪かったり、加工がしにくかっ
たり、価格が高くなってしまっては絶縁材としての使用
に耐えなくなってしまう。このため、絶縁材料として
は、絶縁抵抗・絶縁耐力・誘電率・誘電体力率などの電
気的特性が良好であることは勿論のこと、この電気的特
性が良好であることに加えて材料力学的な強さや耐熱
性、加工のし易さ、価格などが選択の重要な基準となっ
ている。 そこで、一般に、架橋ポリエチレン電力ケーブル1は、
第1図に示す如く導体2の上に内部半導電層3を被覆
し、その上に絶縁体4を被覆し、この絶縁体4の上に外
部半導電層5を被覆して構成されている。この架橋ポリ
エチレン電力ケーブル1の絶縁体4は、カテナリー形、
縦型、横型(水平型)等の連続架橋装置によって架橋さ
れる。例えばカテナリー型連続架橋装置は、架橋管が下
方に傾斜しており、押し出されてきた架橋ポリエチレン
電力ケーブル1が管路内で懸垂線を構成するように管路
が湾曲して形成されている。したがって、この架橋ポリ
エチレン電力ケーブル1は、押出機から押し出された後
架橋管の冷却部の最下流付近のタッチダウンポイント
(ケーブルが架橋管に最初に接触する点)に至るまでの
間管路壁面に接触することなく進行し、このタッチダウ
ンポイント以後は、架橋管の底部に接触しつつ進行し、
冷却水によって冷却され、テンショニングキャブスタン
によって巻き取られる。 このように構成される架橋ポリエチレン電力ケーブル1
において、半導電層を形成する内部半導電層3、外部半
導電層5の導電化は、従来より内部半導電層3、外部半
導電層5のベース樹脂に導電性を有するカーボンブラッ
クを相当多量添加することによってなされている。この
ように、カーボンブラックを多量に添加すると耐屈曲性
・耐衝撃性等の機械的物性(引張り伸び値、脆化温度な
ど)が著しく低下するため、内部半導電層3、外部半導
電層5のベース樹脂としては、従来よりフィラー受容量
の多い非結晶のポリオレフィン系樹脂であるところのエ
チレン樹脂ビニル共重合体、あるいは、エチレン−エチ
レンアクリレート共重合体等が用いられている。 ところが、これらエチレン酢酸ビニル、あるいは、エチ
レン−エチレンアクリレート等の共重合体は、架橋ポリ
エチレン電力ケーブル1の絶縁体4を構成するポリエチ
レン(低密度ポリエチレン)に比べ、軟化点が低いた
め、加熱変形性などの耐熱性に劣るという問題点を有し
ており、これを補うために架橋が必要になる。また、半
導電層材料のベース樹脂として、軟化点の高い低密度あ
るいは高密度ポリエチレンを用いると、加熱変形性など
の耐熱性を改良することはできるが、低密度あるいは高
密度ポリエチレンが結晶性であることから、導電性を持
たせるため、カーボンブラックを相当多量に添加すると
機械的物性(引張り伸び値、脆化温度など)の著しい低
下を招き、そのためこの機械的物性を保持のためにもや
はり架橋が必須となる。 このようにして、架橋ポリエチレン電力ケーブル1とし
ての耐熱性(使用温度90℃)を付与するために、この内
部半導電層3、外部半導電層5も架橋することが必要と
なっている。
きている。このような絶縁材の使用目的は、構造材とし
ての目的を兼ねている場合も多いが、導体から電気的に
絶縁する点に主眼が置かれている。しかし、電気的絶縁
が優れていても耐熱性が悪かったり、加工がしにくかっ
たり、価格が高くなってしまっては絶縁材としての使用
に耐えなくなってしまう。このため、絶縁材料として
は、絶縁抵抗・絶縁耐力・誘電率・誘電体力率などの電
気的特性が良好であることは勿論のこと、この電気的特
性が良好であることに加えて材料力学的な強さや耐熱
性、加工のし易さ、価格などが選択の重要な基準となっ
ている。 そこで、一般に、架橋ポリエチレン電力ケーブル1は、
第1図に示す如く導体2の上に内部半導電層3を被覆
し、その上に絶縁体4を被覆し、この絶縁体4の上に外
部半導電層5を被覆して構成されている。この架橋ポリ
エチレン電力ケーブル1の絶縁体4は、カテナリー形、
縦型、横型(水平型)等の連続架橋装置によって架橋さ
れる。例えばカテナリー型連続架橋装置は、架橋管が下
方に傾斜しており、押し出されてきた架橋ポリエチレン
電力ケーブル1が管路内で懸垂線を構成するように管路
が湾曲して形成されている。したがって、この架橋ポリ
エチレン電力ケーブル1は、押出機から押し出された後
架橋管の冷却部の最下流付近のタッチダウンポイント
(ケーブルが架橋管に最初に接触する点)に至るまでの
間管路壁面に接触することなく進行し、このタッチダウ
ンポイント以後は、架橋管の底部に接触しつつ進行し、
冷却水によって冷却され、テンショニングキャブスタン
によって巻き取られる。 このように構成される架橋ポリエチレン電力ケーブル1
において、半導電層を形成する内部半導電層3、外部半
導電層5の導電化は、従来より内部半導電層3、外部半
導電層5のベース樹脂に導電性を有するカーボンブラッ
クを相当多量添加することによってなされている。この
ように、カーボンブラックを多量に添加すると耐屈曲性
・耐衝撃性等の機械的物性(引張り伸び値、脆化温度な
ど)が著しく低下するため、内部半導電層3、外部半導
電層5のベース樹脂としては、従来よりフィラー受容量
の多い非結晶のポリオレフィン系樹脂であるところのエ
チレン樹脂ビニル共重合体、あるいは、エチレン−エチ
レンアクリレート共重合体等が用いられている。 ところが、これらエチレン酢酸ビニル、あるいは、エチ
レン−エチレンアクリレート等の共重合体は、架橋ポリ
エチレン電力ケーブル1の絶縁体4を構成するポリエチ
レン(低密度ポリエチレン)に比べ、軟化点が低いた
め、加熱変形性などの耐熱性に劣るという問題点を有し
ており、これを補うために架橋が必要になる。また、半
導電層材料のベース樹脂として、軟化点の高い低密度あ
るいは高密度ポリエチレンを用いると、加熱変形性など
の耐熱性を改良することはできるが、低密度あるいは高
密度ポリエチレンが結晶性であることから、導電性を持
たせるため、カーボンブラックを相当多量に添加すると
機械的物性(引張り伸び値、脆化温度など)の著しい低
下を招き、そのためこの機械的物性を保持のためにもや
はり架橋が必須となる。 このようにして、架橋ポリエチレン電力ケーブル1とし
ての耐熱性(使用温度90℃)を付与するために、この内
部半導電層3、外部半導電層5も架橋することが必要と
なっている。
しかしながら、内部半導電層3、外部半導電層5を架橋
するには、内部半導電層3、外部半導電層5のベース樹
脂に架橋剤を混入して押出し成形加工を行うわけである
が、貯蔵中又は架橋工程以前の加工作業中に架橋反応を
起こし、製品への加工が著しく困難になる現象であるス
コーチ(早期架橋)が生じるという問題点を有してい
る。特に、半導電層材料の場合、導電性を与えるための
カーボンブラックの多量添加によって、材料の溶融粘度
が増加し、押出し時の剪断発熱量も大きくなることか
ら、スコーチ(早期架橋)が生じる可能性が高いものと
なっている。 この半導電層材料を押出し加工する際に、スコーチ(早
期架橋)が生じていると、このスコーチ(早期架橋)が
生じている部分が、半導電層の押出し表面(絶縁体との
界面)に突起を形成し、これが水トリーあるいは、絶縁
破壊の起点となり、ケーブルの電気的な長期信頼性を損
なう大きな要因となっているという問題点を有してい
る。 また、半導電層材料を押出し加工する際に、スコーチ
(早期架橋)が生じないように押出し加工に当たっての
厳密な温度制御を行い、並びに押出し機による押出し成
形停止後、押出し機内に架橋剤を混入した半導電層材料
を残留させないために完全なオーバーホールを行わなけ
ればならないという問題点を有している。 本発明は、押出し加工時におけるスコーチ(早期架橋)
の発生を防止することができ、厳密な温度制御、押出し
停止後の押出し機内のオーバーホールを必要とせず、か
つ、良好な耐熱性と機械的物性を保持することのできる
架橋ポリエチレン電力ケーブルの半導電層を提供するこ
とを目的としている。
するには、内部半導電層3、外部半導電層5のベース樹
脂に架橋剤を混入して押出し成形加工を行うわけである
が、貯蔵中又は架橋工程以前の加工作業中に架橋反応を
起こし、製品への加工が著しく困難になる現象であるス
コーチ(早期架橋)が生じるという問題点を有してい
る。特に、半導電層材料の場合、導電性を与えるための
カーボンブラックの多量添加によって、材料の溶融粘度
が増加し、押出し時の剪断発熱量も大きくなることか
ら、スコーチ(早期架橋)が生じる可能性が高いものと
なっている。 この半導電層材料を押出し加工する際に、スコーチ(早
期架橋)が生じていると、このスコーチ(早期架橋)が
生じている部分が、半導電層の押出し表面(絶縁体との
界面)に突起を形成し、これが水トリーあるいは、絶縁
破壊の起点となり、ケーブルの電気的な長期信頼性を損
なう大きな要因となっているという問題点を有してい
る。 また、半導電層材料を押出し加工する際に、スコーチ
(早期架橋)が生じないように押出し加工に当たっての
厳密な温度制御を行い、並びに押出し機による押出し成
形停止後、押出し機内に架橋剤を混入した半導電層材料
を残留させないために完全なオーバーホールを行わなけ
ればならないという問題点を有している。 本発明は、押出し加工時におけるスコーチ(早期架橋)
の発生を防止することができ、厳密な温度制御、押出し
停止後の押出し機内のオーバーホールを必要とせず、か
つ、良好な耐熱性と機械的物性を保持することのできる
架橋ポリエチレン電力ケーブルの半導電層を提供するこ
とを目的としている。
本発明は、架橋剤の添加された電力ケーブルの絶縁体の
内側に形成される内部半導電層又は電力ケーブルの絶縁
体の外側に形成される外部半導電層に関するものであ
る。 本発明で用いた超低密度ポリエチレンは、直鎖状ポリエ
チレン(密度0.910g/cm3)、通常の低密度ポリエチレン
(密度0.915〜0.935g/cm3)、高密度ポリエチレン(密
度0.935〜0.970g/cm3に比べ、密度が低く(密度0.910g/
cm3以下)、低結晶性であるにも拘らず、明確な融点を
有しており、この融点が110℃以上と高い(低密度ポリ
エチレンの融点は100℃〜110℃程度、高密度ポリエチレ
ンの融点は125℃〜140℃程度)という特徴を有してい
る。 本発明は、この密度が0.910g/cm3以下で、融点が110℃
以上の超低密度ポリエチレンに対して、導電性カーボン
ブラックを配合して構成したものである。そして本発明
に用いられるカーボンブラックとしては、ケッチェンブ
ラック、アセチレンブラック、あるいは導電性のファー
ネスブラックがある。この導電性カーボンブラックは、
超低密度ポリエチレン100重量部に対して、5〜80重量
部が配合されている。 本発明は、密度が0.910g/cm3以下で、融点が110℃以上
の超低密度ポリエチレンに対して、導電性カーボンブラ
ックを配合し、さらに、架橋助剤を配合して構成したも
のである。この架橋助剤というのは、そのものでは、ベ
ース樹脂(ポリエチレン等)を架橋する作用を有しない
が、熱処理により鎖状高分子間の架橋を行って、網目状
の高分子にする際に配合する架橋剤(例えば、有機過酸
化物)の架橋作用を助長する働きを有するものである。
この架橋助剤としては、多官能性モノマー、例えば、ト
リアリルイソツアヌレート、トリアリルツアヌレートな
どが用いられる。 本発明は、架橋剤の添加された電力ケーブルの絶縁体の
内層又は外層として形成される内部又は外部半導電層で
あって、密度が0.910g/cm3以下で、融点が110℃以上の
超低密度ポリエチレン100重量部に対して、導電性カー
ボンブラック5〜80重量部、架橋助剤5重量部以下を配
合して構成したものである。 本発明のように内部半導電層3及び外部半導電層5に架
橋剤を添加しない半導電層の場合は、内部半導電層3及
び外部半導電層5と絶縁体4との境界面の密着が弱くな
る傾向がある。そこで、本発明においては、内部半導電
層3及び外部半導電層5に架橋助剤を添加し、内部半導
電層3と絶縁体4との境界面近傍、外部半導電層5と絶
縁体4との境界面近傍において、同時押出し成形後の同
時架橋時に絶縁体4側から移行してくる架橋剤による架
橋反応を促進し、その部分の耐熱性、並びに絶縁体との
密着性を向上させるものである。 このように、架橋助剤を超低密度ポリエチレン100重量
部に対し5重量部以下の量添加するようにしたのは、内
部半導電層3の上に架橋ポリエチレン樹脂によって形成
される絶縁体4を押出し被覆し、さらに、この架橋ポリ
エチレン樹脂よって形成される絶縁体4の上に外部半導
電層5を押出し被覆した場合、架橋ポリエチレン樹脂よ
って形成される絶縁体4内の架橋剤が絶縁体4から内部
半導電層3及び外部半導電層5に移行してきて、内部半
導電層3及び外部半導電層5の部分の絶縁体4との境界
面の架橋を促進し、かつ、内部半導電層3及び外部半導
電層5と絶縁体4との密着性を強固にするためである。
このように内部半導電層3及び外部半導電層5と絶縁体
4との密着性を強固にするのは、架橋剤を添加しない内
部半導電層3及び外部半導電層5にあっては、どうして
も内部半導電層3及び外部半導電層5と絶縁体4との密
着が弱くなる傾向があるので、内部半導電層3及び外部
半導電層5の部分の絶縁体4との境界面に剥離(空隙)
が生じるとこの境界面で放電が起こり、電気的信頼性が
損なわれるのを防止するためである。 なお、内部半導電層3及び外部半導電層5の半導電層の
部分に、架橋助剤を超低密度ポリエチレン100重量部に
対し5重量部以下の量添加するようにしたのは、5重量
部を超えて架橋助剤を添加すると、ブリード、ブルーム
などによる問題が生じるからである。 本発明で、架橋ポリエチレン電力ケーブルの半導電層材
料として用いられているポリエチレンは、架橋しなくて
も、すなわち架橋剤を全く添加しない場合でも、融点が
110℃以上と高いため、加熱変形性などの耐熱性に優
れ、それにも拘らず、密度が0.910g/cm3以下の超低密度
で低結晶性であるため、半導電層に導電性付与のための
カーボンブラックを多量に添加しても機械的物性低下
(引張り伸び値、脆化温度など)を少なくすることがで
きる。 また、必要に応じてアミン系(例えば、ポリメライズド
2、 2、4−トリメチル−1、 2−ジハイドロキノ
リン)、フェノール系(例えば、4、4′−チオビス
(6−tert−ブチル−m−クレゾール)などの酸化防止
剤が添加される。
内側に形成される内部半導電層又は電力ケーブルの絶縁
体の外側に形成される外部半導電層に関するものであ
る。 本発明で用いた超低密度ポリエチレンは、直鎖状ポリエ
チレン(密度0.910g/cm3)、通常の低密度ポリエチレン
(密度0.915〜0.935g/cm3)、高密度ポリエチレン(密
度0.935〜0.970g/cm3に比べ、密度が低く(密度0.910g/
cm3以下)、低結晶性であるにも拘らず、明確な融点を
有しており、この融点が110℃以上と高い(低密度ポリ
エチレンの融点は100℃〜110℃程度、高密度ポリエチレ
ンの融点は125℃〜140℃程度)という特徴を有してい
る。 本発明は、この密度が0.910g/cm3以下で、融点が110℃
以上の超低密度ポリエチレンに対して、導電性カーボン
ブラックを配合して構成したものである。そして本発明
に用いられるカーボンブラックとしては、ケッチェンブ
ラック、アセチレンブラック、あるいは導電性のファー
ネスブラックがある。この導電性カーボンブラックは、
超低密度ポリエチレン100重量部に対して、5〜80重量
部が配合されている。 本発明は、密度が0.910g/cm3以下で、融点が110℃以上
の超低密度ポリエチレンに対して、導電性カーボンブラ
ックを配合し、さらに、架橋助剤を配合して構成したも
のである。この架橋助剤というのは、そのものでは、ベ
ース樹脂(ポリエチレン等)を架橋する作用を有しない
が、熱処理により鎖状高分子間の架橋を行って、網目状
の高分子にする際に配合する架橋剤(例えば、有機過酸
化物)の架橋作用を助長する働きを有するものである。
この架橋助剤としては、多官能性モノマー、例えば、ト
リアリルイソツアヌレート、トリアリルツアヌレートな
どが用いられる。 本発明は、架橋剤の添加された電力ケーブルの絶縁体の
内層又は外層として形成される内部又は外部半導電層で
あって、密度が0.910g/cm3以下で、融点が110℃以上の
超低密度ポリエチレン100重量部に対して、導電性カー
ボンブラック5〜80重量部、架橋助剤5重量部以下を配
合して構成したものである。 本発明のように内部半導電層3及び外部半導電層5に架
橋剤を添加しない半導電層の場合は、内部半導電層3及
び外部半導電層5と絶縁体4との境界面の密着が弱くな
る傾向がある。そこで、本発明においては、内部半導電
層3及び外部半導電層5に架橋助剤を添加し、内部半導
電層3と絶縁体4との境界面近傍、外部半導電層5と絶
縁体4との境界面近傍において、同時押出し成形後の同
時架橋時に絶縁体4側から移行してくる架橋剤による架
橋反応を促進し、その部分の耐熱性、並びに絶縁体との
密着性を向上させるものである。 このように、架橋助剤を超低密度ポリエチレン100重量
部に対し5重量部以下の量添加するようにしたのは、内
部半導電層3の上に架橋ポリエチレン樹脂によって形成
される絶縁体4を押出し被覆し、さらに、この架橋ポリ
エチレン樹脂よって形成される絶縁体4の上に外部半導
電層5を押出し被覆した場合、架橋ポリエチレン樹脂よ
って形成される絶縁体4内の架橋剤が絶縁体4から内部
半導電層3及び外部半導電層5に移行してきて、内部半
導電層3及び外部半導電層5の部分の絶縁体4との境界
面の架橋を促進し、かつ、内部半導電層3及び外部半導
電層5と絶縁体4との密着性を強固にするためである。
このように内部半導電層3及び外部半導電層5と絶縁体
4との密着性を強固にするのは、架橋剤を添加しない内
部半導電層3及び外部半導電層5にあっては、どうして
も内部半導電層3及び外部半導電層5と絶縁体4との密
着が弱くなる傾向があるので、内部半導電層3及び外部
半導電層5の部分の絶縁体4との境界面に剥離(空隙)
が生じるとこの境界面で放電が起こり、電気的信頼性が
損なわれるのを防止するためである。 なお、内部半導電層3及び外部半導電層5の半導電層の
部分に、架橋助剤を超低密度ポリエチレン100重量部に
対し5重量部以下の量添加するようにしたのは、5重量
部を超えて架橋助剤を添加すると、ブリード、ブルーム
などによる問題が生じるからである。 本発明で、架橋ポリエチレン電力ケーブルの半導電層材
料として用いられているポリエチレンは、架橋しなくて
も、すなわち架橋剤を全く添加しない場合でも、融点が
110℃以上と高いため、加熱変形性などの耐熱性に優
れ、それにも拘らず、密度が0.910g/cm3以下の超低密度
で低結晶性であるため、半導電層に導電性付与のための
カーボンブラックを多量に添加しても機械的物性低下
(引張り伸び値、脆化温度など)を少なくすることがで
きる。 また、必要に応じてアミン系(例えば、ポリメライズド
2、 2、4−トリメチル−1、 2−ジハイドロキノ
リン)、フェノール系(例えば、4、4′−チオビス
(6−tert−ブチル−m−クレゾール)などの酸化防止
剤が添加される。
上記のように構成された架橋ポリエチレン電力ケーブル
の半導電層は、架橋剤を全く添加しないため、スコーチ
という問題を生じることなく、また、架橋剤を全く添加
しなくても半導電層のベース樹脂に密度が0.910g/cm3以
下の低結晶性、しかも、融点が110℃以上の超低密度ポ
リエチレンを用いているため、導電性付与のためのカー
ボンブラックを多量に添加しても機械的物性低下(引張
り伸び値、脆化温度など)が少なく、かつ、加熱変形性
などの耐熱性を向上することができる。 また、上記のように構成された架橋ポリエチレン電力ケ
ーブルの半導電層は、架橋助剤を5重量部以下添加して
いるため、絶縁体に添加されている架橋剤の絶縁体から
の移行により半導電層の絶縁体近傍部分の架橋が促進さ
れ、半導電層と絶縁体との密着性を強固にすることがで
き、半導電層と絶縁体との間の剥離(空隙)による放電
の発生を防止し、電気的信頼性を損なうことがない。
の半導電層は、架橋剤を全く添加しないため、スコーチ
という問題を生じることなく、また、架橋剤を全く添加
しなくても半導電層のベース樹脂に密度が0.910g/cm3以
下の低結晶性、しかも、融点が110℃以上の超低密度ポ
リエチレンを用いているため、導電性付与のためのカー
ボンブラックを多量に添加しても機械的物性低下(引張
り伸び値、脆化温度など)が少なく、かつ、加熱変形性
などの耐熱性を向上することができる。 また、上記のように構成された架橋ポリエチレン電力ケ
ーブルの半導電層は、架橋助剤を5重量部以下添加して
いるため、絶縁体に添加されている架橋剤の絶縁体から
の移行により半導電層の絶縁体近傍部分の架橋が促進さ
れ、半導電層と絶縁体との密着性を強固にすることがで
き、半導電層と絶縁体との間の剥離(空隙)による放電
の発生を防止し、電気的信頼性を損なうことがない。
以下、本発明の実施例について説明する。 本実施例において基本となる半導電層のポリエチレン、
電導性カーボンブラック、架橋助剤の配合比は、密度が
0.910g/cm3以下で、融点が110℃以上の超低密度ポリエ
チレン100重量部に対して、導電性カーボンブラック5
〜80重量部、架橋助剤5重量部以下である。以下に本発
明の具体的実施例について比較例と対比して説明する。 実施例1 本実施例は、密度が0.900g/cm3で、融点が116℃で、軟
化点70℃、MI 0.4の超低密度ポリエチレンA(具体的
には、日本ユニカー株式会社製 DFDA 1138)100重量
部に対して、導電性カーボンブラックA(具体的には、
ケッチェンブラックインターナショナル株式会社製 ケ
ッチェンブラックEC)15重量部、架橋助剤(具体的に
は、日本化成株式会社製 TAIC;トリアリルイソシヌア
レート)1重量部を、さらに酸化防止剤(具体的には、
川口化学工業株式会社製 アンテージ RD;ポリメライ
ズド2,2,4−トリメチル−1,2−ジハイドロキノリン:TMD
Q)を配合したものである。 実施例2 本実施例は、密度が0.900g/cm3で、融点が115℃で、軟
化点67℃、MI 2の超低密度ポリエチレンB(具体的に
は、住友化学工業株式会社製 エクセレン VL200)100
重量部に対して、導電性カーボンブラックB(具体的に
は、電気化学工業株式会社製 アセチレンブラック)50
重量部、架橋助剤(具体的には、日本化成株式会社製
TAIC;トリアリルイソシヌアレート)1重量部を、さら
に酸化防止剤(具体的には、川口化学工業株式会社製
アンテージ RD;ポリメライズド2,2,4−トリメチル−1,
2−ジハイドロキノリン:TMDQ)を配合したものである。 実施例3 本実施例は、密度が0.900g/cm3で、融点が115℃で、軟
化点67℃、MI 2の超低密度ポリエチレンB(具体的に
は、住友化学工業株式会社製 エクセレン VL200)100
重量部に対して、導電性カーボンブラックC(具体的に
は、東海カーボン株式会社製 トーカブラック4501)50
重量部、架橋助剤(具体的には、日本化成株式会社製
TAIC;トリアリルイソシヌアレート)1重量部を、さら
に酸化防止剤(具体的には、川口化学工業株式会社製
アンテージ RD;ポリメライズド2,2,4−トリメチル−1,
2−ジハイドロキノリン:TMDQ)を配合したものである。 比較例1 比較例1は、密度が0.900g/cm3で、融点が115℃で、軟
化点67℃、MI 2の超低密度ポリエチレンB(具体的に
は、住友化学工業株式会社製 エクセレン VL200)100
重量部に対して、導電性カーボンブラックB(具体的に
は、電気化学工業株式会社製 アセチレンブラック)50
重量部、さらに酸化防止剤(具体的には、川口化学工業
株式会社製 アンテージ RD;ポリメライズド2,2,4−ト
リメチル−1,2−ジハイドロキノリン:TMDQ)を配合した
ものである。 比較例2 比較例2は、密度が0.935g/cm3で、融点が126℃で、軟
化点119℃、MI 0.2の高密度ポリエチレン(具体的に
は、東燃石油化学株式会社製 E4012)100重量部に対し
て、導電性カーボンブラックA(具体的にはケッチェン
ブラックインターナショナル株式会社製 ケッチェンブ
ラックEC)15重量部、架橋助剤(具体的には、日本化成
株式会社製 TAIC;トリアリルイソシヌアレート)1重
量部を、さらに、酸化防止剤(具体的には、川口化学工
業株式会社製 アンテージ RD;ポリメライズド2,2,4−
トリメチル−1,2−ジハイドロキノリン:TMDQ)を配合し
たものである。 比較例3 比較例3は、密度が0.935g/cm3で、融点が126℃で、軟
化点119℃、MI 0.2の高密度ポリエチレン(具体的に
は、東燃石油化学株式会社製 E4012)100重量部に対し
て、導電性カーボンブラックA(具体的には、ケッチェ
ンブラックインターナショナル株式会社製 ケッチェン
ブラックEC)3重量部、架橋助剤(具体的には、日本化
成株式会社製 TAIC;トリアリルイソシヌアレート)1
重量部を、さらに酸化防止剤(具体的には、川口化学工
業株式会社製 アンテージ RD;ポリメライズド2,2,4−
トリメチル−1,2−ジハイドロキノリン:TMDQ)を配合し
たものである。 比較例4 比較例4は、密度が0.940g/cm3で、軟化点59℃、MI 10
のエチレン−酢酸ビニル共重合体(具体的には、日本ユ
ニカー株式会社製 NUC 3145)100重量部に対して、導
電性カーボンブラックB(具体的には、電気化学工業株
式会社製 アセチレンブラック)50重量部、架橋助剤
(具体的には、日本化成株式会社製 TAIC;トリアリル
イソシヌアレート)1重量部を、さらに酸化防止剤(具
体的には、川口化学工業株式会社製 アンテージ RD;
ポリメライズド2,2,4−トリメチル−1,2−ジハイドロキ
ノリン:TMDQ)を配合したものである。 これらの実施例に基づく架橋ポリエチレン電力ケーブル
の半導電層と、比較例の架橋ポリエチレン電力ケーブル
の半導電層とのそれぞれについて体積抵抗率(ASTM D9
91)、引張伸び値(JIS 3号)、脆化温度(ASTM D74
6)、120℃における加熱変形率(JIS C3005)、溶剤抽
出試験(AEIC CS5−82)のそれぞれに対する比較結果
を第1表に示す。 これらのうち、体積抵抗率、120℃における加熱変形
率、溶剤抽出試験については、実際にケーブルを試作し
得られた結果(6KV−CV 100mm2、架橋温度300℃の乾式
架橋、半導電層厚1.00mm)、また、引張伸び値、脆化温
度についてはプレス成型シート試験において得られた結
果である。 この第1表中の体積抵抗率(ASTM D991)においては、
体積抵抗率の値が105Ω−cm以下を○とし、105Ω−cmを
超えた場合を×として表わしている。この体積抵抗率の
値を105Ω−cm以下としたのは、体積抵抗率の値が105Ω
−cmを超えると、半導電層としての作用を最大限に発揮
させることができなくなってしまうからである。また、
第1表中の引張伸び値(JIS 3号ダンベル)において
は、引張伸び値が100%以上を○とし、100%を下回った
場合を×として表している。この引張伸び値は、半導電
層材料を引っ張ってどのくらい伸びるかという伸び具合
を表すもので、引っ張り力に対し、切れる限界を100%
以上にしたものである。この100%という値は、架橋ポ
リエチレン電力ケーブルの半導電層として持っていなけ
ればならない引張伸び値を示している。 また、第1表中の脆化温度(ASTM D746)は、−10℃以
下を○とし、−10℃に満たない場合を×として表してい
る。この脆化温度は、どのくらいの寒さに耐えられるか
を示すもので、寒中の風雪に晒される架橋ポリエチレン
電力ケーブルの半導電層としては、極寒地に敷設される
場合を考慮すると、−10℃の温度に耐えられることが必
要である。さらに第1表中の加熱変形率(JIS C3005)
は、120℃において、40%以下を○とし、40%を超えた
場合を×として表している。この加熱変形率は、一定の
圧力を加えておいて、所定の温度(ここでは、120℃)
に加熱した場合にどのくらい変形するかを見るものであ
る。この加熱変形率を値を40%としたのは、120℃で40
%を超えて変形してしまっては使用に耐えられないから
である。 また、さらに第1表中のAEIC溶剤抽出試験(AEIC CS5
−82)は、AEICCS5−82に規定された架橋ポリエチレン
絶縁電力ケーブルの半導電層、特に絶縁体界面の架橋度
合を評価する試験であり、合(○)、否(× 架橋不十
分)で示したものである。合格の条件としては、溶剤
(デカヒドナフタリン)抽出にて、半導電層全周に渡っ
て欠落、欠陥が生じないこと(AEICCS5−82)である。 第1表中、実施例1、2、3のそれぞれは、体積抵抗率
(ASTM D991)、引張伸び値(JIS 3号ダンベル)、
脆化温度(ASTM D746)、120℃における加熱変形率(J
IS C3005)、溶剤抽出試験(AEIC CS5−82)のそれぞ
れに対して合格(○)を示している。 これに対し、比較例1は、体積抵抗率(ASTM D991)、
引張伸び値(JIS 3号ダンベル)、脆化温度(ASTM D
746)、120℃における加熱変形率(JIS C3005)のそれ
ぞれに対して合格(○)するも、溶剤抽出試験(AEIC
CS5−82)においては、不合格(× 架橋不十分)の結
果が生じている。また、比較例2は、体積抵抗率(ASTM
D991)、120℃における加熱変形率(JIS C3005)、
溶剤抽出試験(AEIC CS5−82)のそれぞれに対して合
格(○)を示しているが、引張伸び値(JIS 3号ダン
ベル)、脆化温度(ASTM D746)に対して不合格(×)
の結果が生じている。さらに、比較例3は、引張伸び値
(JIS 3号ダンベル)、脆化温度(ASTM D746)、120
℃における加熱変形率(JIS C3005)、溶剤抽出試験
(AEIC CS5−82)のそれぞれに対して合格(○)する
も、体積抵抗率(ASTM D991)においては、105Ω−cm
を超え不合格(×)の結果が生じている。また、比較例
4は、体積抵抗率(ASTM D991)、引張伸び値(JIS
3号ダンベル)、脆化温度(ASTM D746)、溶剤抽出試
験(AEIC CS5−82)のそれぞれに対して合格(○)す
るも、120℃における加熱変形率(JIS C3005)におい
ては、不合格(×)の結果が生じている。
電導性カーボンブラック、架橋助剤の配合比は、密度が
0.910g/cm3以下で、融点が110℃以上の超低密度ポリエ
チレン100重量部に対して、導電性カーボンブラック5
〜80重量部、架橋助剤5重量部以下である。以下に本発
明の具体的実施例について比較例と対比して説明する。 実施例1 本実施例は、密度が0.900g/cm3で、融点が116℃で、軟
化点70℃、MI 0.4の超低密度ポリエチレンA(具体的
には、日本ユニカー株式会社製 DFDA 1138)100重量
部に対して、導電性カーボンブラックA(具体的には、
ケッチェンブラックインターナショナル株式会社製 ケ
ッチェンブラックEC)15重量部、架橋助剤(具体的に
は、日本化成株式会社製 TAIC;トリアリルイソシヌア
レート)1重量部を、さらに酸化防止剤(具体的には、
川口化学工業株式会社製 アンテージ RD;ポリメライ
ズド2,2,4−トリメチル−1,2−ジハイドロキノリン:TMD
Q)を配合したものである。 実施例2 本実施例は、密度が0.900g/cm3で、融点が115℃で、軟
化点67℃、MI 2の超低密度ポリエチレンB(具体的に
は、住友化学工業株式会社製 エクセレン VL200)100
重量部に対して、導電性カーボンブラックB(具体的に
は、電気化学工業株式会社製 アセチレンブラック)50
重量部、架橋助剤(具体的には、日本化成株式会社製
TAIC;トリアリルイソシヌアレート)1重量部を、さら
に酸化防止剤(具体的には、川口化学工業株式会社製
アンテージ RD;ポリメライズド2,2,4−トリメチル−1,
2−ジハイドロキノリン:TMDQ)を配合したものである。 実施例3 本実施例は、密度が0.900g/cm3で、融点が115℃で、軟
化点67℃、MI 2の超低密度ポリエチレンB(具体的に
は、住友化学工業株式会社製 エクセレン VL200)100
重量部に対して、導電性カーボンブラックC(具体的に
は、東海カーボン株式会社製 トーカブラック4501)50
重量部、架橋助剤(具体的には、日本化成株式会社製
TAIC;トリアリルイソシヌアレート)1重量部を、さら
に酸化防止剤(具体的には、川口化学工業株式会社製
アンテージ RD;ポリメライズド2,2,4−トリメチル−1,
2−ジハイドロキノリン:TMDQ)を配合したものである。 比較例1 比較例1は、密度が0.900g/cm3で、融点が115℃で、軟
化点67℃、MI 2の超低密度ポリエチレンB(具体的に
は、住友化学工業株式会社製 エクセレン VL200)100
重量部に対して、導電性カーボンブラックB(具体的に
は、電気化学工業株式会社製 アセチレンブラック)50
重量部、さらに酸化防止剤(具体的には、川口化学工業
株式会社製 アンテージ RD;ポリメライズド2,2,4−ト
リメチル−1,2−ジハイドロキノリン:TMDQ)を配合した
ものである。 比較例2 比較例2は、密度が0.935g/cm3で、融点が126℃で、軟
化点119℃、MI 0.2の高密度ポリエチレン(具体的に
は、東燃石油化学株式会社製 E4012)100重量部に対し
て、導電性カーボンブラックA(具体的にはケッチェン
ブラックインターナショナル株式会社製 ケッチェンブ
ラックEC)15重量部、架橋助剤(具体的には、日本化成
株式会社製 TAIC;トリアリルイソシヌアレート)1重
量部を、さらに、酸化防止剤(具体的には、川口化学工
業株式会社製 アンテージ RD;ポリメライズド2,2,4−
トリメチル−1,2−ジハイドロキノリン:TMDQ)を配合し
たものである。 比較例3 比較例3は、密度が0.935g/cm3で、融点が126℃で、軟
化点119℃、MI 0.2の高密度ポリエチレン(具体的に
は、東燃石油化学株式会社製 E4012)100重量部に対し
て、導電性カーボンブラックA(具体的には、ケッチェ
ンブラックインターナショナル株式会社製 ケッチェン
ブラックEC)3重量部、架橋助剤(具体的には、日本化
成株式会社製 TAIC;トリアリルイソシヌアレート)1
重量部を、さらに酸化防止剤(具体的には、川口化学工
業株式会社製 アンテージ RD;ポリメライズド2,2,4−
トリメチル−1,2−ジハイドロキノリン:TMDQ)を配合し
たものである。 比較例4 比較例4は、密度が0.940g/cm3で、軟化点59℃、MI 10
のエチレン−酢酸ビニル共重合体(具体的には、日本ユ
ニカー株式会社製 NUC 3145)100重量部に対して、導
電性カーボンブラックB(具体的には、電気化学工業株
式会社製 アセチレンブラック)50重量部、架橋助剤
(具体的には、日本化成株式会社製 TAIC;トリアリル
イソシヌアレート)1重量部を、さらに酸化防止剤(具
体的には、川口化学工業株式会社製 アンテージ RD;
ポリメライズド2,2,4−トリメチル−1,2−ジハイドロキ
ノリン:TMDQ)を配合したものである。 これらの実施例に基づく架橋ポリエチレン電力ケーブル
の半導電層と、比較例の架橋ポリエチレン電力ケーブル
の半導電層とのそれぞれについて体積抵抗率(ASTM D9
91)、引張伸び値(JIS 3号)、脆化温度(ASTM D74
6)、120℃における加熱変形率(JIS C3005)、溶剤抽
出試験(AEIC CS5−82)のそれぞれに対する比較結果
を第1表に示す。 これらのうち、体積抵抗率、120℃における加熱変形
率、溶剤抽出試験については、実際にケーブルを試作し
得られた結果(6KV−CV 100mm2、架橋温度300℃の乾式
架橋、半導電層厚1.00mm)、また、引張伸び値、脆化温
度についてはプレス成型シート試験において得られた結
果である。 この第1表中の体積抵抗率(ASTM D991)においては、
体積抵抗率の値が105Ω−cm以下を○とし、105Ω−cmを
超えた場合を×として表わしている。この体積抵抗率の
値を105Ω−cm以下としたのは、体積抵抗率の値が105Ω
−cmを超えると、半導電層としての作用を最大限に発揮
させることができなくなってしまうからである。また、
第1表中の引張伸び値(JIS 3号ダンベル)において
は、引張伸び値が100%以上を○とし、100%を下回った
場合を×として表している。この引張伸び値は、半導電
層材料を引っ張ってどのくらい伸びるかという伸び具合
を表すもので、引っ張り力に対し、切れる限界を100%
以上にしたものである。この100%という値は、架橋ポ
リエチレン電力ケーブルの半導電層として持っていなけ
ればならない引張伸び値を示している。 また、第1表中の脆化温度(ASTM D746)は、−10℃以
下を○とし、−10℃に満たない場合を×として表してい
る。この脆化温度は、どのくらいの寒さに耐えられるか
を示すもので、寒中の風雪に晒される架橋ポリエチレン
電力ケーブルの半導電層としては、極寒地に敷設される
場合を考慮すると、−10℃の温度に耐えられることが必
要である。さらに第1表中の加熱変形率(JIS C3005)
は、120℃において、40%以下を○とし、40%を超えた
場合を×として表している。この加熱変形率は、一定の
圧力を加えておいて、所定の温度(ここでは、120℃)
に加熱した場合にどのくらい変形するかを見るものであ
る。この加熱変形率を値を40%としたのは、120℃で40
%を超えて変形してしまっては使用に耐えられないから
である。 また、さらに第1表中のAEIC溶剤抽出試験(AEIC CS5
−82)は、AEICCS5−82に規定された架橋ポリエチレン
絶縁電力ケーブルの半導電層、特に絶縁体界面の架橋度
合を評価する試験であり、合(○)、否(× 架橋不十
分)で示したものである。合格の条件としては、溶剤
(デカヒドナフタリン)抽出にて、半導電層全周に渡っ
て欠落、欠陥が生じないこと(AEICCS5−82)である。 第1表中、実施例1、2、3のそれぞれは、体積抵抗率
(ASTM D991)、引張伸び値(JIS 3号ダンベル)、
脆化温度(ASTM D746)、120℃における加熱変形率(J
IS C3005)、溶剤抽出試験(AEIC CS5−82)のそれぞ
れに対して合格(○)を示している。 これに対し、比較例1は、体積抵抗率(ASTM D991)、
引張伸び値(JIS 3号ダンベル)、脆化温度(ASTM D
746)、120℃における加熱変形率(JIS C3005)のそれ
ぞれに対して合格(○)するも、溶剤抽出試験(AEIC
CS5−82)においては、不合格(× 架橋不十分)の結
果が生じている。また、比較例2は、体積抵抗率(ASTM
D991)、120℃における加熱変形率(JIS C3005)、
溶剤抽出試験(AEIC CS5−82)のそれぞれに対して合
格(○)を示しているが、引張伸び値(JIS 3号ダン
ベル)、脆化温度(ASTM D746)に対して不合格(×)
の結果が生じている。さらに、比較例3は、引張伸び値
(JIS 3号ダンベル)、脆化温度(ASTM D746)、120
℃における加熱変形率(JIS C3005)、溶剤抽出試験
(AEIC CS5−82)のそれぞれに対して合格(○)する
も、体積抵抗率(ASTM D991)においては、105Ω−cm
を超え不合格(×)の結果が生じている。また、比較例
4は、体積抵抗率(ASTM D991)、引張伸び値(JIS
3号ダンベル)、脆化温度(ASTM D746)、溶剤抽出試
験(AEIC CS5−82)のそれぞれに対して合格(○)す
るも、120℃における加熱変形率(JIS C3005)におい
ては、不合格(×)の結果が生じている。
【発明の効果】 本発明は、以上説明したように構成されているので、押
出し加工時におけるスコーチ(早期架橋)の発生を防止
することができ、このスコーチを原因として形成される
半導電層の押出し表面(絶縁体との界面)部分の凹凸や
突起(水トリー発生や絶縁破壊の起点となる)をなくす
ことができ、電気的な長期信頼性を向上することができ
る。 また、スコーチ(早期架橋)の発生を防止することがで
きことにより、厳密な温度制御、押出し停止後の押出し
機内オーバーホールの必要がなくなり、半導電層の押出
し成型加工の作業性を向上することができる。 さらに、スコーチ(早期架橋)の発生を防止することが
できることにより、押出し機内における発熱を許容する
ことができ、機械的物性を保持できる範囲内で、材料の
溶融温度を上げることができるため、半導電層材料の撚
線導体内への落ち込みが少なくなり、したがって落ち込
み防止のため導体上に巻廻する半導電性テープを必要と
せず、ケーブル構造の簡素化を図ることができ、製品コ
ストの低減を図ることができる。 また、架橋剤を添加しない組成にも拘らず、架橋助剤を
添加したことによって、半導電層の絶縁体近傍の架橋反
応の進行が促進され、かつ、絶縁体との密着がより強固
なものになるため、充分な耐熱性と電気的信頼性を得る
ことができる。
出し加工時におけるスコーチ(早期架橋)の発生を防止
することができ、このスコーチを原因として形成される
半導電層の押出し表面(絶縁体との界面)部分の凹凸や
突起(水トリー発生や絶縁破壊の起点となる)をなくす
ことができ、電気的な長期信頼性を向上することができ
る。 また、スコーチ(早期架橋)の発生を防止することがで
きことにより、厳密な温度制御、押出し停止後の押出し
機内オーバーホールの必要がなくなり、半導電層の押出
し成型加工の作業性を向上することができる。 さらに、スコーチ(早期架橋)の発生を防止することが
できることにより、押出し機内における発熱を許容する
ことができ、機械的物性を保持できる範囲内で、材料の
溶融温度を上げることができるため、半導電層材料の撚
線導体内への落ち込みが少なくなり、したがって落ち込
み防止のため導体上に巻廻する半導電性テープを必要と
せず、ケーブル構造の簡素化を図ることができ、製品コ
ストの低減を図ることができる。 また、架橋剤を添加しない組成にも拘らず、架橋助剤を
添加したことによって、半導電層の絶縁体近傍の架橋反
応の進行が促進され、かつ、絶縁体との密着がより強固
なものになるため、充分な耐熱性と電気的信頼性を得る
ことができる。
第1図は、本発明に係る架橋ポリエチレン電力ケーブル
の実施例を示す断面図である。 1……架橋ポリエチレン電力ケーブル 2……導体 3……内部半導電層 4……絶縁体 5……外部半導電層
の実施例を示す断面図である。 1……架橋ポリエチレン電力ケーブル 2……導体 3……内部半導電層 4……絶縁体 5……外部半導電層
Claims (1)
- 【請求項1】架橋剤の添加された電力ケーブルの絶縁体
の内層又は外層として形成される内部又は外部半導電層
であって、密度が0.910g/cm3以下で、融点が110℃以上
の超低密度ポリエチレン100重量部に対して、導電性カ
ーボンブラック5〜80重量部、架橋助剤5重量部以下を
配合してなる架橋ポリエチレン電力ケーブルの半導電
層。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1036663A JPH07105172B2 (ja) | 1989-02-16 | 1989-02-16 | 架橋ポリエチレン電力ケーブルの半導電層 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP1036663A JPH07105172B2 (ja) | 1989-02-16 | 1989-02-16 | 架橋ポリエチレン電力ケーブルの半導電層 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02215012A JPH02215012A (ja) | 1990-08-28 |
JPH07105172B2 true JPH07105172B2 (ja) | 1995-11-13 |
Family
ID=12476099
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP1036663A Expired - Fee Related JPH07105172B2 (ja) | 1989-02-16 | 1989-02-16 | 架橋ポリエチレン電力ケーブルの半導電層 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07105172B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3173443A1 (en) * | 2015-11-27 | 2017-05-31 | Borealis AG | Semiconductive polyethylene composition |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS60141745A (ja) * | 1983-12-28 | 1985-07-26 | Hitachi Cable Ltd | 半導電性組成物 |
-
1989
- 1989-02-16 JP JP1036663A patent/JPH07105172B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH02215012A (ja) | 1990-08-28 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |