JPH0710472B2 - 一方向クラッチの組立装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ＜産業上の利用分野＞ この発明は、一方向クラッチのスプラグをスプリングに
自動的に組付ける一方向クラッチの組立装置に関する。

＜従来の技術＞ 一方向クラッチとして、外輪と内輪との間の空間に配置
される環状のスプリングと、このスプリングに周方向に
設けられた複数の取付穴の夫々に装着されて周方向に沿
って一回転方向に付勢されるスプラグと、個々のスプラ
グを上記取付穴に保持する環状の保持器で概略構成され
るものがある。上記スプラグは非対称形に形成されてお
り、この一方向クラッチが上記外輪と内輪との間に設置
された場合に、上記内輪が上記一回転方向に回転した際
には内輪との摩擦で上記スプラグの取付穴内で空転側に
傾動するので、上記内輪の回転トルクは外輪に伝達され
ない。一方、上記内輪が他回転方向に回転した際には内
輪との摩擦で上記スプラグは起立するので、上記外輪と
内輪とに対するスプラグの楔作用によって内輪の回転ト
ルクは外輪に伝達されるのである。

上記構造を有する一方向クラッチを正しく機能させるた
めには、非対称形を成す総てのスプラグを同じ方向に配
列して上記スプリングの取付穴に装着する必要がある。

従来、上記一方向クラッチを組み立てるに際して、上記
スプラグをスプリングの取付穴に装着して組付ける場合
には、作業員が、個々のスプラグのスプリングに対する
組付け方向を目視で確認しながら、スプラグを一個ずつ
手作業によってスプリングに組付けている。

＜発明が解決しようとする問題点＞ 上述のように、従来におけるスプラグのスプリングへの
組付け方法では、作業員が、スプラグのスプリングに対
する組付け方向を一個ずつ目視で確認している。したが
って、確認ミスが発生し易く、上記スプラグのスプリン
グに対する組付け方向が逆のものが混入した欠陥品が多
々発生する。つまり、従来のごとくスプラグの組付け方
向の確認を目視で行う場合には、歩留りの低下を来すと
いう問題がある。

また、上記スプラグのスプラグへの組付けを作業員が一
個ずつ手作業によって行っているので、組付けに長時間
を必要とし、コスト高になるという問題もある。

そこで、この発明の目的は、スプラグの組付け方向の確
認とスプリングへの組付けを人手を介さずに自動的に行
って、スプラグの組付け方向の確認ミスを無くし、組付
け工数を減少してコストダウンできる一方向クラッチの
組立装置を提供することにある。

＜問題点を解決するための手段＞ 上記目的を達成するため、この発明は、内輪と外輪との
間に周方向に所定の間隔をあけて配置される複数のスプ
ラグと、周方向に配列された複数の取付穴の夫々に上記
スプラグが挿入されて周方向に沿って一方向に上記スプ
ラグを付勢する環状のスプリングを有する一方向クラッ
チにおいて、上記スプラグをスプリングの取付穴に組付
ける一方向クラッチの組立装置であって、上記スプラグ
の側面形状に対応した孔を有して、所定の姿勢に整列さ
れたスプラグのみを上記孔を介して通過させるゲート部
材と、交差する２方向に夫々口を有して上記ゲート部材
を通過したスプラグが一方の口から収納される室が複数
配列されているマガジンと、上記マガジンを上記室の配
列方向に各室間距離ずつ上記ゲート部材からのスプラグ
の排出周期に同期して移動させる移動手段と、上記マガ
ジン内に収納されたスプラグを上記複数の室の各々の他
方の口から押し出して、上記スプラグを上記スプリング
の取付穴に挿入して組付ける押し出し装置を備えたこと
を特徴としている。

＜作用＞ 所定の姿勢に整列されたスプラグのみがゲート部材の孔
を通過して、マガジンの各室の一方の口からこの各室に
収納される一方、整列されていないスプラグは上記孔を
通過することができず、マガジンの室に収納されない。
次に、移動手段によって上記マガジンが、上記室の配列
方向に各室内距離ずつ、上記ゲート部材からのスプラグ
の排出周期に同期して移動される。そして、上記マガジ
ン内に収納されたスプラグが押し出し装置によって上記
各室の他方の口から押し出され、スプリングの取付穴に
挿入されて組付けられる。したがって、上記スプラグの
スプリングに対する組付け方向が自動的に確認されると
共に、スプラグはスプリングに自動的に組付けられる。

＜実施例＞ 以下、この発明を図示の実施例により詳細に説明する。

第１図はこの発明の一方向クラッチの組立装置の概略斜
視図である。この一方向クラッチの組立装置は、従来の
技術で説明した構造を有する一方向クラッチにおけるス
プラグのスプリングへの組付けに関するものである。

第１図において、１はゲート部材、２はマガジン、３は
押し出し装置、４はスプリングセット台および６はスプ
ラグ配列装置である。

上記スプラグ配列装置６は多くのスプラグ７を収納する
と共に、上記各スプラグ７を整列させて、供給通路８よ
りゲート部材１へ供給する。

上記ゲート部材１はｘ方向貫通する孔11を有する直方体
の形状をし、この孔11はスプラグ７の側面形状に対応し
た形状である。この孔11はその形状に対応した所定の姿
勢に整列されたスプラグ（以下、整列スプラグと言う）
７のみを通過させることができる。また、上記ゲート部
材１の孔11の入口側の側面に、上記孔11のｙ方向の幅よ
りやや広い幅の溝12をｚ方向に形成し、この溝12にスプ
ラグ配列装置６からスプラグ７を供給するようにしてい
る。この溝12は、上記所定の方向に整列されず、したが
って、孔11を通過することができないスプラグ（以下、
不整列スプラグと言う）を収納するものである。上記ゲ
ート部材１の端面13をシリンダ14のピストンロッドの先
端に取付けて、上記不整列スプラグを溝12に収納したと
き、上記シリンダ14の動作によってゲート部材１をｙ方
向に移動させて、溝12に収納されている不整列スプラグ
を溝12から下方に排出するようにしている。

上記マガジン装置２は、マガジン21と、マガジン21の低
部に設けた雌ネジ（図示せず）に先端に設けた雄ネジ
（図示せず）が螺合してマガジン21を昇降させる軸28
と、上記軸28を駆動するギア列27と、モータ26とからな
る。上記マガジン21は、ｘ方向に口22,22（一方のみ図
示）を有すると共に、ｙ方向に口23,23（一方のみ図
示）を有する複数の室24,24,…を、一方向クラッチ１セ
ット分のスプラグ数だけｚ方向に一列に配列して形成し
ており、上記室24,24,…にはゲート部材１の孔11を通過
したスプラグを収納するようにしている。また、マガジ
ン21はモータ26の回転によってギア列27と軸28を介し
て、ｚ方向および反ｚ方向に移動することができる。

上記押し出し装置３は、本体31の一側面に棒状の押し出
し棒32,32,…を有し、この押し出し棒32,32,…は、上記
マガジン21の各口23,23,…の間隔と同一間隔でｚ方向に
配列している。また、上記押し出し棒32,32,…が配列さ
れた側面の反対側の側面31をシリンダ33のピストンロッ
ドの先端に取付けている。したがって、押し出し装置３
は、上記マガジン21が上昇して、一点鎖線で示すスプリ
ング９へスプラグ７を組付ける位置21′に在るときに、
押し出し棒32,32,…の先端がマガジン21の口23,23,…に
対向し、押し出し装置３をシリンダ33でｙ方向に移動し
て、押し出し棒32,32,…でマガジン21内のスプラグ
７′,7′，…を室24,24,…外に押し出すようになってい
る。

上記スプリングセット台４は、上記スプラグ７′が組付
けられるスプリング９をセットするものである。このス
プリングセット台４はセット時にはセット面41がｙ方向
になるセット位置に位置し、スプラグ組付け時にはシリ
ンダ42の動作によって90゜回動し、組付け位置21′に在
るマガジン21に対向する組付け位置４′に移動するよう
にしている。

上記構成の一方向クラッチの組立装置は次のように動作
する。

第１図中実線で示すセット位置に位置したスプリングセ
ット台４のセット面41上に、スプリング９をセットした
後、このスプリングセット台４をシリンダ42の作動によ
って90゜回動して組付け位置４′に移動させる。次に、
モータ26を一方向に駆動し、軸28とマガジン21とのネジ
結合により回転運動を直線運動に変換して、マガジン21
を反ｚ方向に移動する。そしてマガジン21の最上の室24
の口22が、上記ゲート部材１の孔11に対向する位置でモ
ータ26を停止する。上記スプラグ配列装置６によりスプ
ラグ７は所定方向に整列され、供給路８を通ってゲート
部材１に供給される。ゲート部材１に供給された整列ス
プラグ７は、孔11を通過して、この孔11に対向したマガ
ジン21の室24の口22から上記最上の室24に収納される。
そうすると、上記モータ26を他方向に駆動してマガジン
21をｚ方向に移動し、２段目の室24の口22が孔11に対向
する位置で停止する。

一方、ゲート部材１に上記不整によりスプラグが供給さ
れると、その不整列スプラグは、上記孔11を通過すると
ができず、溝12に収納される。そうすると、シリンダ13
が作動して不整列スプラグを収納したゲー部材１をｙ方
向に移動し、不整列スプラグを溝12から下方に排出す
る。この場合、モータ26は駆動されずマガジン21は移動
しない。上述の動作を、マガジン21の最下の室24に整列
スプラグ７′を収納するまで繰り返す。すなわち、ゲー
ト部材１によって、スプラグ７の組付け方向の確認と不
整列スプラグの排出を行うのである。

全ての室24,24,…に１セット分の整列スプラグ７′,
7′，…を収納したマガジン21は、モータ26に駆動に伴
って組付け位置21′に移動し、第２図の状態に至る。第
２図において、シリンダ33が作動して押し出し装置３が
ｙ方向に移動し、押し出し棒32,32,…の先端で、この先
端に対応する各室32,32,…に収納された１セット分の整
列スプラグ７′,7′，…を、一度に室23,23,…外に押し
出して、第２図中実線で示す組付け位置に在るスプリン
グセット台４上のスプリング９の対応した取付穴に挿入
して一度に組付ける。

このように、スプリング７のスプリング９に対する組付
けの方向確認をゲート部材１によって自動的に行なうの
で、スプラグ７の組付け方向のミスが防止される。ま
た、スプラグ７のスプリング９への組付けを、上記マガ
ジン装置2,押し出し装置３およびスプリングセット台４
によって自動的に行なうので、組付け工数が大幅に減少
される。

上記実施例では、マガジン21にスプラグ収納用の室24を
１セット分備えているが、室24を１個または２個にし
て、収納したスプラグ７′を１セット分ストックするこ
となく直ちに、１スプラグ分ずつ移動するスプリング９
に組付けるようにして、組付け部を小型に形成してもよ
い。また、マガジン装置２の駆動部をモータ26,ギア列2
7およびネジ部で形成しているが、これに限るものでは
なく、例えば空気圧シリンダ等によってマガジン21を移
動してもよい。

＜発明の効果＞ 以上より明らかなように、この発明の一方向クラッチの
組立装置は、スプラグの側面形状に対応した孔を有する
ゲート部材と、交差する２方向に口を有する複数の室を
配列したマガジンと、上記マガジンを上記室の配列方向
に移動させる移動手段と、押し出し装置を備えて、上記
スプラグの孔を通過する所定の姿勢に整列されたスプラ
グのみを上記マガジンの室に一方の口から収納し、上記
スプラグを収納したマガジンを上記移動手段によって移
動しつつ、収納されたスプラグを押し出し装置によって
上記室の他方の口から押し出して、スプリングの取付穴
に挿入して組付けるようにしたので、スプラグの組付け
方向を自動的に揃えることができ、スプラグの組付け方
向のミスが防止されて、スプラグの組付け不良品が無く
なる。また、スプラグのスプリングへの組付けを自動的
に行うことができ、組付け工数を大幅に減少してコスト
ダウンを達成できる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例における一方向クラッチの
組立装置の概略斜視図、第２図は上記実施例におけるス
プラグの組付け動作の説明図である。 １……ゲート部材、２……マガジン装置、 ３……押し出し装置、４……スプリングセット台、 7,7′……スプラグ、９……スプリング、11……孔、 14,33,42……シリンダ、21……マガジン、 22,23……口、24……室、32……押し出し棒。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内輪と外輪との間に周方向に所定の間隔を
   あけて配置される複数のスプラグと、周方向に配列され
   た複数の取付穴の夫々に上記スプラグが挿入されて周方
   向に沿って一方向に上記スプラグを付勢する環状のスプ
   リングを有する一方向クラッチにおいて、上記スプラグ
   をスプリングの取付穴に組付ける一方向クラッチの組立
   装置であって、 上記スプラグの側面形状に対応した孔を有して、所定の
   姿勢に整列されたスプラグのみを上記孔を介して通過さ
   せるゲート部材と、 交差する２方向に夫々口を有して上記ゲート部材を通過
   したスプラグが一方の口から収納される室が、複数配列
   されているマガジンと、 上記マガジンを、上記室の配列方向に、各室間距離ず
   つ、上記ゲート部材からのスプラグの排出周期に同期し
   て移動させる移動手段と、 上記マガジン内に収納されたスプラグを上記複数の室の
   各々の他方の口から押し出して、上記スプラグを上記ス
   プリングの取付穴に挿入して組付ける押し出し装置を備
   えたことを特徴とする一方向クラッチの組立装置。