JPH0710412U - ガス浄化装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 装置を薄型構造にするとともに、装置内にお
けるガス流路の通気抵抗を低減し、また、ガス中の不純
物質や微粒子も除去する。 【構成】 周縁に鋸歯部１ａを有した導電板からなる第
１の電極１と、表面に誘電体層３を被着した第２の電極
２と、両電極１，２間に接続した高圧電源４とを備え
る。第１の電極１の鋸歯部１ａと第２の電極２とを所定
の間隙を有して対向配置し、第１の電極１の平坦面１ｂ
をガスの流路方向Ｂに対して角度θ〔度〕程度傾斜させ
て配置した。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、車両、船舶及び発電用エンジン等が排出する排気ガスや、産業廃 棄物等から発生する有害ガスといった各種の不純ガスを、払子コロナ（ｓｔｒｅ ａｍｅｒ ｃｏｒｏｎａ）放電を用いて清浄なガスに浄化するガス浄化装置の改 良に関する。

【０００２】

【従来の技術】

近年、環境汚染を無くすために、様々な研究が行われている。特に、車両、船 舶及び発電用エンジン等が排出する排気ガスや、産業廃棄物等から発生する有害 ガスは、深刻な問題を我々を取り巻く環境、引いては地球環境に与えており、こ れらの不純ガスを清浄化することが急務となっている。 これに対処すべく、例えば特開昭６３−１８３２１１号公報に示すごとき、払 子コロナ放電を安定維持して発生させるための技術が提案されている。そして、 該払子コロナ放電は、各種のコロナ放電の内で不純ガスを清浄化することに極め て有効なコロナ放電であることが確認されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、上記した従来技術におけるガス浄化装置は、その構造上、薄型 構造にすることが難しく、例えば、車両や建造物の床下等の限られた空間内に収 納することが困難であった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

この考案は、上記した課題を解決するものであり、装置を薄型構造にすること ができるとともに、装置内におけるガス流路の通気抵抗を低減し、また、ガス中 の有害物質や微粒子も除去することができるガス浄化装置を提供することを目的 としたものである。

【０００５】 この考案は、上記目的を達成するために、周縁に鋸歯部を有した少なくとも１ つ以上の導電板からなる第１の電極と、表面に誘電体層を被着した第２の電極と 、該両電極間に接続した高圧電源とを備えたガス浄化装置において、前記鋸歯部 と前記誘電体層との間に払子コロナ放電を誘発して該払子コロナ放電雰囲気中に ガス流路を形成すべく前記第１の電極の鋸歯部と前記第２の電極とを所定の間隙 を有して対向配置するとともに、前記第１の電極の平坦面をガスの流路方向に対 して傾斜して配置したことを特徴とするガス浄化装置を提供する。

【０００６】 またこの考案は、上記したものの実施態様として、前記第１の電極の鋸歯部及 び前記第２の電極相互間の各対向面を略円弧状に形成した構成、少なくとも前記 第１の電極の付着物を洗い流す洗浄液供給部を有した構成、及び、前記第１の電 極及び第２の電極を収納した反応容器に洗浄液供給部を設けた構成を提供する。

【０００７】

【第１実施例】 添付の図１〜図３は、この考案に係る第１実施例を示したものであり、図１は ガス浄化装置を模式化して示した縦断面図、図２は図１に示す第１の電極１の上 面図、図３は図２の第１の電極１を構成する導電板１ｄの斜視図である。 同図において、１は第１の電極、２は第２の電極、３は誘電体層、４は高電圧 電源及び５は反応容器であり、以下各構成を説明する。

【０００８】 まず第１の電極１は、導電板１ｄによって構成している。該導電板１ｄは、例 えばステンレススチールといった板材をプレス加工したものであり、図３に示す ごとく周縁に鋸歯部１ａを有し、中央に穴１ｃを形成している。該第１の電極１ は、硝子等で構成したポール６を各導電板１ｄの穴１ｃに貫通するとともに、該 ポール６の軸方向に対して各導電板１ｄの平坦面１ｂを水平方向に傾斜させて組 付けて構成している。その傾斜角度θは、例えば図２に矢印で示すガス流路方向 Ｂに対してθ＝７５〜８０〔度〕に設定するとよい。

【０００９】 また第２の電極２は、表面に誘電体層３を被着している。ちなみに、誘電体層 ３は、セラミック、有機ガラス若しくは有機樹脂といった材料の中から、用途に 適した材料を選択して使用するとよい。

【００１０】 また高圧電源４は、前記第１の電極１と第２の電極２との間に接続している。 該高圧電源４は、正負両極の高電圧を繰り返し発生するものであればよく、この 実施例では昇圧した交流電源を使用している。

【００１１】 また反応容器５は、入口５ａと出口５ｂを有した容器であり、図１に示すごと く上方に第１の電極１を、下方に第２の電極２をそれぞれ取り付けている。 そして、該反応容器５は、前記第１の電極１の鋸歯部１ａと前記第２の電極２ との間に払子コロナ放電Ｃを誘発し、該払子コロナ放電Ｃの雰囲気中にガス流路 を形成すべく、前記第１の電極１の鋸歯部１ａと前記第２の電極２とを所定の間 隙Ｇを有して対向配置するとともに、導電板１ｄを支持したポール６の軸を図１ 及び図２に矢印で示すガス流路方向Ｂに合致させて配置し、前記第１の電極１の 平坦面１ｂを前記ガス流路方向Ｂに対して斜めに設定し、ガス流路の通気抵抗を 低減させている。

【００１２】 次に、上記構成の第１実施例について作動を説明する。 第１の電極１は、高圧電源４が発生する電圧の極性に応じて異なったコロナ放 電を生じる。例えば、第１の電極１及び第２の電極２間に高圧電源４から高圧交 番電圧を印加すると、第１の電極１が正極で第２の電極２が負極の状態と、逆に 、第１の電極１が負極で第２の電極２が正極の状態とが繰り返し発生する。

【００１３】 まず、第１の電極１が正極となる前者の状態のとき、第１の電極１の鋸歯部１ ａと誘電体層３を被着した第２の電極２との間に正極性コロナ放電が発生し、該 正極性コロナ放電中を通過する有害物質を含有した不純ガスをプラズマ状にして 該不純ガス分子を酸化還元する。該正極性コロナ放電が最も生長したものを所謂 払子コロナ放電と称する。

【００１４】 逆に、第１の電極１が負極となる後者の状態のとき、第１の電極１の鋸歯部１ ａと誘電体層３を被着した第２の電極２との間に負極性コロナが発生し、該負極 性コロナ放電中を通過する有害物質を含有した不純ガスをイオン化し、プラスイ オンを第１の電極１側に、マイナスイオンを第２の電極２側に引きつける。この とき、第１の電極１から電子も発生し、該電子が誘電体層３の表面に蓄積したプ ラス電荷と結合し、プラス電荷を減少させる。該誘電体層３の表面に蓄積したプ ラス電荷は、前記正極性コロナ放電が払子コロナ放電へと生長することを妨げる が、該プラス電荷は、第１の電極１が負極の状態となる毎に前記電子によって減 少するため、結局、払子コロナ放電が継続的に発生する。

【００１５】 尚、上記第１実施例の構造において、第１の電極１の鋸歯部１ａのピッチＰを １〔ｍｍ〕に、該鋸歯部１ａと第２の電極２との間隙Ｇを６〔ｍｍ〕に、誘電体 側３の厚さＴを１．５〔ｍｍ〕に、高圧電源４の発生電圧Ｖを５〜１５〔ＫＶ〕 にそれぞれ設定して試験した結果、上記間隙Ｇの空間に払子コロナ放電が継続的 に発生させることを確認した。

【００１６】

【第２実施例】 添付の図４、図５は、この考案に係る第２実施例を示したものであり、図４は ガス浄化装置を模式化して示した横断面図、図５は図４に示すものを不純ガス発 生源に接続した状態を例示するブロック図である。 同図において、７は第１の電極、８は第２の電極、９は誘電体層、１０は高圧 電源、１１は反応容器、１３は洗浄液及び１４は洗浄液供給部であり、以下各構 成を説明する。

【００１７】 まず第１の電極７は、例えばステンレススチールを略扇状にプレス加工した導 電板７ｄによって構成している。該導電板７ｄは、図４に示すごとく周縁に略円 弧状に配列した鋸歯部７ａを有し、中央に穴７ｃを形成している。該第１の電極 ７は、硝子等で構成したポール１２を各導電板７ｄの穴７ｃに貫通するとともに 、該ポール１２の軸方向に対して各導電板７ｄの平坦面７ｂを傾斜させて組付け て構成している。

【００１８】 また第２の電極８は、断面が円弧状の形状をしており、その表面に誘電体層９ を被着している。ちなみに、該第２の電極８が円弧形状であるため、後述する洗 浄液１３を下部液溜１８に良好に流すことができる。 また高圧電源１０は、前記第１実施例の高圧電源４と同じ構成である。

【００１９】 また反応容器１１は、前記第１実施例で示したものと同様の容器であり、上方 に第１の電極７と上部液溜１７を設け、下方に第２の電極８と下部液溜１８を設 けている。そして、該下部液溜１８と上部液溜１７とを、ポンプ１５及びパイプ １６からなる洗浄液供給部１４によって連絡している。これにより下部液溜１８ に溜めた洗浄液１３を上部液溜１７に環流させ、上部液溜１７から第１の電極７ に洗浄液１３を滴下し、少なくとも第１の電極７に付着した付着物を洗浄してい る。該洗浄液１３は、該第２実施例において清浄分散剤を添加したエンジンオイ ル等の液状のものを使用するが、これに限定するものでなく、例えば、噴霧状に したものを使用してもよい。

【００２０】 該反応容器１１は、前記第１実施例のものと同様に、第１の電極７の鋸歯部７ ａと前記第２の電極８との間に払子コロナ放電Ｃを誘発し、該払子コロナ放電Ｃ の雰囲気中にガス流路を形成すべく、前記第１の電極７の鋸歯部７ａと前記第２ の電極８とを所定の間隙を有して対向配置するとともに、導電板７ｄを支持した ポール１２の軸をガス流路方向に合致させて配置し、前記第１の電極７の平坦面 ７ｄを前記ガス流路方向に対して傾斜して設定し、ガス流路の通気抵抗を低減さ せている。

【００２１】 該第２実施例の作動は、洗浄液供給部１４によって少なくとも第１の電極７の 付着物を洗浄する以外は、前記第１実施例のものとほぼ同じで有り、作動説明を 省略する。 尚、前記反応容器１１は、不純ガス発生源１９に接続し、該不純ガス発生源１ ９から導入した不純ガスを清浄化しているが、例えば、図５に示すごとく不純ガ ス発生源１９と反応容器１１との間に送風機２０を介設してもよい。

【００２２】

【考案の効果】

この考案は、上述の構成作用を有するので、次の効果を奏する。 （１）この考案は、周縁に鋸歯部を有した少なくとも１つ以上の導電板からなる 第１の電極と、表面に誘電体層を被着した第２の電極と、該両電極間に接続した 高圧電源とを備えたガス浄化装置において、前記第１の電極の鋸歯部と前記第２ の電極とを所定の間隙を有して対向配置するとともに、前記第１の電極の平坦面 をガスの流路方向に対して傾斜して配置したので、本装置、例えば反応容器を薄 型にすることができるとともに、装置内におけるガス流路の通気抵抗を低減する ことができる。 （２）またこの考案は、上記したものの実施態様として、前記第１の電極の鋸歯 部及び前記第２の電極相互間の各対向面を略円弧状に形成したので、第１の電極 を洗浄した後の洗浄液を反応容器内の下部液溜まで良好に流すことができる。 （３）またこの考案は、上記したものの実施態様として、少なくとも前記第１の 電極の付着物を洗い流す洗浄液供給部を有したので、不純ガスを浄化するのみな らず、前記電極に付着したガス中の有害物質や微粒子も除去することができ、有 害物質や微粒子による火花放電の発生を防止することができ、これにより装置の 保守を頻繁に行わずとも、払子コロナを長期に亘って発生させることが可能とな るとともに、除塵効果も併せ持つことができる。 （４）またこの考案は、上記したものの実施態様として、前記第１の電極及び第 ２の電極とを収納した反応容器に洗浄液供給部を設けたので、洗浄液を該反応容 器内で環流させることができ、洗浄液を効率良く使用することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に係る第１実施例を示した縦断面図で
ある。

【図２】図１に示す第１の電極の上面図である。

【図３】図２の第１電極を構成する導電板の斜視図であ
る。

【図４】この考案に係る第２実施例を模式化して示した
横断面図である。

【図５】図４に示すものを不純ガス発生源に接続した状
態を例示するブロック図である。

【符号の説明】

１，７ 第１の電極 ２，８ 第２の電極 ３，９ 誘電体層 ４，１０ 高圧電源 ５，１１ 反応容器 １ａ，７ａ 鋸歯部 １ｄ，７ｄ 導電板 １４ 洗浄液供給部

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 周縁に鋸歯部（１ａ，７ａ）を有した少
   なくとも１つ以上の導電板（１ｄ，７ｄ）からなる第１
   の電極（１，７）と、表面に誘電体層（３，９）を被着
   した第２の電極（２，８）と、該両電極（１，７，２，
   ８）間に接続した高圧電源（４，１０）とを備えたガス
   浄化装置において、 前記第１の電極（１，７）の鋸歯部（１ａ，７ａ）と前
   記第２の電極（２，８）とを所定の間隙を有して対向配
   置するとともに、前記第１の電極（１，７）の平坦面
   （１ｂ，７ｂ）をガスの流路方向に対して傾斜して配置
   したことを特徴とするガス浄化装置。
2. 【請求項２】 前記第１の電極（７）の鋸歯部（７ａ）
   及び前記第２の電極（８）相互間の各対向面を略円弧状
   に形成したことを特徴とする請求項１記載のガス浄化装
   置。
3. 【請求項３】 少なくとも前記第１の電極（７）の付着
   物を洗い流す洗浄液供給部（１４）を有したことを特徴
   とする請求項１又は２記載のガス浄化装置。
4. 【請求項４】 前記第１の電極（７）及び第２の電極
   （８）を収納した反応容器（１１）に洗浄液供給部（１
   ４）を設けたことを特徴とする請求項１、２又は３記載
   のガス浄化装置。