JPH07102317B2 - 放電反応装置の電極 - Google Patents

放電反応装置の電極

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JPH07102317B2
JPH07102317B2 JP1065267A JP6526789A JPH07102317B2 JP H07102317 B2 JPH07102317 B2 JP H07102317B2 JP 1065267 A JP1065267 A JP 1065267A JP 6526789 A JP6526789 A JP 6526789A JP H07102317 B2 JPH07102317 B2 JP H07102317B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、オゾン発生器やイオン発生器等に利用される
コロナ放電を対象とした放電反応装置の電極に関するも
のである。
〔従来技術〕
高圧電極と接地電極の間に誘電体を介在させ、高圧電極
又は接地電極と誘電体の間にコロナ放電を起こさせるオ
ゾン発生器等の放電反応装置には種々の形式及び構造の
ものがあるが、基本的には第1図乃至第3図に示すもの
に分類できる。
第1図の放電反応装置は高圧電極1と接地電極2との間
に反応空間5及び誘電体3を介在させて配置した構造で
ある。高圧電極1と接地電極2の間に交流高圧電源4か
ら交流高電圧を印加し、高圧電極1と誘電体3の間の反
応空間5にコロナ放電を発生させるようになっている。
第2図の放電反応装置は、接地電極2の上に誘電体3を
配置し、その上にこの接地電極2及び誘電体3より小さ
い高圧電極1を配置し、さらにその上に反応空間5を介
在させて放電空間壁6を配置した構造である。
高圧電極1と接地電極2の間に交流高圧電源4から交流
高電圧を印加し、反応空間5にコロナ放電を発生させる
ようになっている。
第3図の放電反応装置は断面鋸歯状の高圧電極1と接地
電極2との間に誘電体3を介在させて配置した構造であ
る。高圧電極1と接地電極2の間に交流高圧電源4から
交流高電圧を印加し、高圧電極1と誘電体3の間の反応
空間5にコロナ放電を発生させるようになっている。
なお、第1図乃至第3図はいずれも誘電体3の下側の電
極を接地電極としているが、交流高圧電源4の方向を入
れ換え接地電極2を高圧電極にすると共に高圧電極1を
接地電極とし、誘電体3と接地電極の間にコロナ放電を
発生させる放電装置とすることもできる。
上記第1図乃至第3図の放電反応装置において、高圧電
極1は導電性を有し、コロナ放電及び反応生成物、例え
ば、オゾンの浸食に耐える必要があることから、放電密
度が比較的低い第1図に示す構造の放電反応装置では、
オーステナイト系ステンレス鋼が電極材として一般的に
使用されており、放電密度が高い第2図及び第3図に示
す構造の放電反応装置ではタングステン又はチタンが電
極材として用いられることが多い。
〔発明が解決しようとする課題〕
高圧電極1の表面は酸化力が強い高濃度オゾンと高密度
イオンの混合場に曝されるので電極が消耗したり、電極
物質が金属ヒューム或いは酸化物微粉となって吐出ガス
中に混入することがある。また、高圧電極の材質によっ
ては、その触媒作用によって原料ガス中の不純物を変質
させ、高圧電極1及び誘電体3の表面を汚染することが
ある。
高圧電極1の消耗は放電反応装置の性能低下及び寿命短
縮を招き、吐出ガスへの不純物の混入は吐出ガスによる
被処理物の汚染を招き、また放電面の汚染は性能低下及
び異常放電を招く原因となる。これらの傾向は、一般に
放電密度が高いと顕著になる。
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、上記不都合
を軽減又は排除しうる放電反応装置の電極を提供するこ
とにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記課題を解決するため本発明は、高圧電極と接地電極
の間に誘電体を介在させ、該誘電体と前記高圧電極の間
(第1図乃至第3図参照)又は誘電体と接地電極の間
(第1図乃至第3図において交流高圧電源4の方向を入
れ換え接地電極2を高圧電極にすると共に高圧電極1を
接地電極とした場合)にコロナ放電を発生させる放電反
応装置において、コロナ放電と接する側の電極材をアル
ミニウム又はアルミニウム合金とし、該電極の少なくと
もコロナ放電と接する領域を厚さ8μm以上の陽極酸化
処理膜で被覆するか、或いは該電極材をチタン又はチタ
ン合金とし、該電極の少なくともコロナ放電と接する領
域を厚さ15μm以上の陽極酸化処理膜又は厚さ5μm以
上の高温酸化処理膜で被覆したことを特徴とする。
〔作用〕
本発明によると高圧電極と接地電極の間に誘電体を介在
させ、該誘電体と高圧電極又は接地電極の間にコロナ放
電を発生させる放電反応装置において、コロナ放電と接
する側の電極材をアルミニウム又はアルミニウム合金も
しくはチタン又はチタン合金とし、該電極の少なくとも
コロナ放電と接する領域を上記の如く陽極酸化処理膜又
は高温酸化処理膜で被覆することにより、電極からの超
微粒子の発生、電極材の蒸発消耗を低減し、また、電極
及び誘電体表面の汚染を防ぐことができる。その結果と
して、放電反応装置の長期間にわたる性能の安定化、寿
命の延長、吐出ガスへの不純物の混入の低減が可能にな
る。
上記作用が生じるメカニズムは必ずしも定かでないが、
耐食性が大きく、強固で、蒸気圧が低く且つ特定の方法
(既に確立している技術である陽極酸化処理及び高温酸
化処理)で形成した絶縁性酸化物厚膜で電極表面を被覆
したことに起因していると考えられる。アルミニウム及
びアルミニウム合金或いはチタン及びチタン合金の無処
理材でも、厚さ0.01〜0.1μm程度の薄い自然酸化膜が
形成されるが、その絶縁破壊抵抗が本発明の対象とする
放電装置の付加電圧より低いため、この自然酸化膜では
破壊、微粉化し、その後の酸化膜の生成速度より破壊速
度が大きいために電極の損傷が進行する。また、人工的
に被覆した酸化膜でも、酸化物の組成、結晶構造、結晶
方位、成膜方法によって、膜の絶縁破壊抵抗、機械的強
度、耐放電性、耐化学的腐食性及び化学的活性度、電極
基材との界面強度が異なり、該電極の耐久性及び触媒作
用の強弱は酸化膜の厚さだけの問題ではない。特定の成
膜法で特定の厚さに被覆することによって、放電損傷が
殆ど無く、電極基材との界面強度が強く、絶縁破壊が起
きず、ひいては厚膜の破壊が起きなくなると考えられ
る。陽極酸化処理膜も高温酸化処理膜も電極基材の表層
を改質したものなので、溶射やスパッタリングによって
被覆した膜とは異なり、酸化膜と電極基材との界面強度
が強く、また膜厚を厚くし得ることが上記作用に大きく
寄与していると考えられる。また、電極材表面に、酸化
物であってもクロームや金を含む材質が存在するとター
ル状の有機物が生じ、これが微粉とともに、電極及び誘
電体の汚染を引き起こす傾向が認められたが、本発明の
電極被覆には、それらの金属成分が含まれないので、タ
ール状有機物の発生、付着も防げる。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を説明する。
本実施例では、放電反応装置は放電密度を高くし易い、
つまり電極材にとって過酷となる第3図に示す構造のも
のを用い、コロナ放電と接する側の高圧電極1をアルミ
ニウム又はアルミニウム合金製とし、該高圧電極1の表
面を陽極酸化処理膜で被覆するか、或いは高圧電極1を
チタン製とし、該高圧電極1の表面を陽極酸化処理膜又
は高温酸化処理膜で被覆した。
第4図は第3図に示す構造の放電反応装置において、高
圧電極1をアルミニウム,アルミニウム合金製又はチタ
ン製としその表面に上記処理膜を形成した本実施例と各
種比較例との実験結果を示す図である。同図において、
各実施例及び比較例は高圧電極1に下記の電極を用い、
2W/cm2以上の高密度放電及び150mg/Nl以上の高濃度オゾ
ンの複合場で5000時間運転して、超微粉の発生状態、電
極の浸食状態、電極及び誘電体の汚染状態を観察した結
果を示している。
実施例Aはアルミニウム電極の表面に膜厚約40μmの硬
質アルマイト膜を陽極酸化処理により形成したものであ
る。
実施例Bはアルミニウム電極の表面に膜厚約20μmの硬
質アルマイト膜を陽極酸化処理により形成したものであ
る。
実施例Cはアルミニウム合金(Al−Mg系)電極の表面に
膜厚約8μmの硬質アルマイト膜を陽極酸化処理により
形成したものである。
実施例Dはアルミニウム電極の表面に膜厚約20μmの硫
酸アルマイト膜を陽極酸化処理により形成したものであ
る。
比較例Eはアルミニウム電極の表面を無処理としたもの
である。
比較例Fはアルミニウム電極の表面に、MBV法(Na2CO3
とNa2CrO4の混合液による化成処理の一つ)により膜厚
約1μmの化成処理膜を形成したものである。
実施例Gはチタン電極の表面に、硫酸,リン酸混合液に
より膜厚約15μmの陽極酸化処理膜を形成したものであ
る。
比較例Hはチタン電極の表面に、硫酸,リン酸混合液に
より膜厚約5μmの陽極酸化処理膜を形成したものであ
る。
実施例Jはチタン電極の表面に、大気中、温度950℃に
おいて膜厚約5μmの高温酸化処理膜を形成したもので
ある。
比較例Kはチタン電極の表面を無処理としたものであ
る。
比較例Lは18−8ステンレス鋼電極を無処理としたもの
である。
比較例Mはタングステン箔電極を無処理としたものであ
る。
第4図から明らかなように、電極にアルミニウムの無処
理材又は化成処理材を用いた比較例E.F及びチタンの無
処理材又は18−8ステンレス鋼の無処理材或いはタング
ステン箔の無処理材を用いた比較例K,L,Mでは、5000時
間の運転において超微粉の発生、電極の浸食又は電極や
誘電体の汚染のいずれかの不都合が発生している。一
方、電極としてアルミニウム或いはアルミニウム合金に
厚さ8μm以上の陽極酸化処理膜を被覆したものを用い
た実施例A,B,C,Dでは何れの不都合も認められない。ま
た、電極としてチタンに陽極酸化処理膜または高温酸化
処理膜を被覆した実施例G,J,比較例Hの内実施例G,Jで
はいずれの不都合も発生せず、比較例Hでは極軽微の超
微粉発生及びその誘電体への付着が認められた。
なお、全ての実施例において、運転開始初期の放電開始
電圧、放電電圧と電流の関係、オゾン濃度及び生成量は
比較例E,K,Lと、計測可能精度内で同じであった。ま
た、5000時間の運転後には、比較例K,Mにおいて、放電
電流の増減、オゾン生成量の減少等なんらかの経時変化
が認められたのに対し、実施例A,B,C,D,G,J及び比較例
Hで経時変化は認められなかった。
なお、前記実施例に用いた表面処理膜の形成技術はいず
れも既に確立されており、処理コストも低く、処理によ
る電極材の変形がないことは、本発明を実施する上で極
めて有利である。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明によれば、コロナ放電と接す
る側の導電性電極に、アルミニウム又はアルミニウム合
金を用いその放電面を厚さ8μm以上の陽極酸化処理膜
で被覆するか、或いはチタン又はチタン合金を用いその
放電面を厚さ15μm以上の陽極酸化処理膜又は厚さ5μ
m以上の高温酸化処理膜で被覆することによって、該電
極から微粉の発生、ヒュームの発生及び該電極又は該電
極と対向する誘電体の汚染を防止或いは軽減できる。そ
してこれらは、本発明の対象とする放電反応装置の吐出
物の清浄化、安定性能の維持、長寿命化をもたらすとい
う優れた効果をもたらす。特に、高密度放電、高濃度オ
ゾンの複合場においてこの効果は大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図乃至第3図はそれぞれ本発明が対象とする放電反
応装置の基本構造例を示す図、第4図は本発明の実施例
と比較例の実験結果を示す図である。 図中、1……高圧電極、2……接地電極、3……誘電
体、4……交流高圧電源、5……反応空間、6……放電
空間壁。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 長井 弟二 東京都中央区銀座7丁目10番1号 サッポ ロビール株式会社内 (72)発明者 北嶋 宣光 神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株 式会社荏原総合研究所内 (56)参考文献 特開 昭63−114991(JP,A) 特開 昭52−108392(JP,A)

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高圧電極と接地電極の間に誘電体を介在さ
    せ、該誘電体と前記高圧電極又は前記接地電極の間にコ
    ロナ放電を発生させる放電反応装置において、前記コロ
    ナ放電と接する側の電極材をアルミニウム又はアルミニ
    ウム合金とし、該電極の少なくともコロナ放電と接する
    領域を厚さ8μm以上の陽極酸化処理膜で被覆したこと
    を特徴とする放電反応装置の電極。
  2. 【請求項2】高圧電極と接地電極の間に誘電体を介在さ
    せ、該誘電体と前記高圧電極又は前記接地電極の間にコ
    ロナ放電を発生させる放電反応装置において、前記コロ
    ナ放電と接する側の電極材をチタン又はチタン合金と
    し、該電極の少なくともコロナ放電と接する領域を厚さ
    15μm以上の陽極酸化処理膜又は厚さ5μm以上の高温
    酸化処理膜で被覆したことを特徴とする放電反応装置。
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