JPH07102209A - 水性硬化性樹脂組成物 - Google Patents

水性硬化性樹脂組成物

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JPH07102209A
JPH07102209A JP25302093A JP25302093A JPH07102209A JP H07102209 A JPH07102209 A JP H07102209A JP 25302093 A JP25302093 A JP 25302093A JP 25302093 A JP25302093 A JP 25302093A JP H07102209 A JPH07102209 A JP H07102209A
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JP
Japan
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vinyl
group
based monomer
emulsion
resin composition
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JP25302093A
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English (en)
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Masataka Ooka
正隆 大岡
Kazuo Yamamura
和夫 山村
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DIC Corp
Original Assignee
Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 とりわけ、耐薬品性、耐水性、耐食性ならび
に外観などに優れるという、極めて実用性の高い水性硬
化性樹脂組成物を提供しようとするにある。 【構成】 N−メタクリロイルエチレン尿素などで代表
されるような、いわゆるN−アシル環状ウレア基含有ビ
ニル系単量体を必須の成分とするビニル系単量体を、水
性媒体中で、乳化重合せしめることによって得られる乳
化重合体(A)を、あるいは、上記した類のN−アシル
環状ウレア基含有ビニル系単量体を必須の成分とするビ
ニル系単量体と、水酸基、カルボキシル基、アミノ基ま
たはアセトアセチル基の如き、種々の活性水素を有する
官能基を有するビニル系単量体とを必須成分とするビニ
ル系単量体を、水性媒体中で、乳化重合せしめることに
よって得られる乳化重合体(C)を、最低必須のベース
樹脂成分として含有することから成る、水性硬化性樹脂
組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規にして有用なる水
性硬化性樹脂組成物に関する。さらに詳細には、本発明
は、N−アシル環状ウレア基という特定の基を有する乳
化重合体をベースとする、とりわけ、耐薬品性、耐水
性、耐食性ならびに外観などに優れる硬化物を形成する
という、極めて実用性の高い水性硬化性樹脂組成物に関
する。
【0002】そして、本発明のこうした硬化性樹脂組成
物は、塗料用として、あるいは、接着剤として、さらに
は、シーリング剤などとして、各種の分野に利用される
ものである。
【0003】
【従来の技術】近年、省資源、省エネルギーならびに環
境対策などを目的として、塗料分野を中心に、水性硬化
性樹脂組成物の開発が活発に行われている。その一つと
して、たとえば、水酸基、カルボキシル基またはアミド
基などの、いわゆる活性水素基を有する乳化重合体をベ
ース樹脂成分とし、硬化剤として、アミノ樹脂を配合せ
しめた形の組成物が検討されてはいるが、
【0004】かかる組成物から得られる硬化物は、耐酸
性や耐アルカリ性などの、いわゆる耐薬品性をはじめ、
耐食性ならびに耐水性などに劣るし、さらに、厚塗りを
した場合には、ピンホールが発生し易く、外観にも劣る
などの問題点があって、汎用的には使用できないという
のが実状である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかるに、本発明者ら
は、こうした現状に鑑み、上述した如き従来技術におけ
る種々の欠点の存在に鑑みて、とりわけ、耐薬品性、耐
水性、耐食性ならびに外観などに優れる硬化物を形成し
得るような、極めて実用性の高い硬化性樹脂組成物を求
めて、鋭意、研究を開始した。
【0006】したがって、本発明が解決しようとする課
題は、一にかかって、とりわけ、耐薬品性、耐水性、耐
食性ならびに外観などに優れる硬化物を形成するとい
う、極めて実用性の高い水性硬化性樹脂組成物を提供し
ようとするにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上述したような発明が解決しようとする課題に照準を合
わせて、鋭意、検討を重ねた結果、架橋用の官能基とし
て、N−アシル環状ウレア基という特定のものを有する
乳化重合体をベースとする硬化性組成物が、就中、耐薬
品性、耐水性、耐食性ならびに外観などに優れる硬化物
を与えることを見出し、上述した課題を見事に解決する
に及んで、ここに、本発明を完成させるに到った。
【0008】《構成》すなわち、本発明は、基本的に
は、それぞれ、此のN−アシル環状ウレア基を有するビ
ニル系単量体(以下、N−アシル環状ウレア基含有ビニ
ル系単量体ともいう。)などを、水性媒体中で、乳化重
合せしめて得られる乳化重合体(A)をベースとする
か、
【0009】あるいは、当該乳化重合体(A)と、上記
N−アシル環状ウレア基含有ビニル系単量体と、活性水
素を有する官能基(以下、活性水素性官能基ともい
う。)を有するビニル系単量体(以下、活性水素性官能
基含有ビニル系単量体ともいう。)となどを、水性媒体
中で、乳化重合せしめて得られる乳化重合体(C)をベ
ースとするという、特定の水性硬化性樹脂組成物を提供
しようとするものである。
【0010】具体的には、それぞれ、分子中に此のN−
アシル環状ウレア基、就中、後掲するような一般式
[I]で以て示される、N−アシル環状ウレア基を有す
るビニル系単量体を必須の単量体成分とするビニル系単
量体を、水性媒体中で、乳化重合せしめることによって
得られる乳化重合体(A)を必須の皮膜形成成分(ベー
ス)として含有するか;
【0011】あるいは、該乳化重合体(A)と、活性水
素性官能基含有する化合物(B)とを必須の皮膜形成成
分として含有するか;N−アシル環状ウレア基含有ビニ
ル系単量体と、活性水素性官能官能基含有ビニル系単量
体となどを、水性媒体中で、乳化重合せしめることによ
って得られる乳化重合体(C)を必須の皮膜形成成分と
して含有するか;
【0012】さらには、該乳化重合体(C)と、活性水
素性官能基含有化合物(B)とを必須の皮膜形成成分と
して含有する、とりわけ、耐薬品性、耐水性、耐食性な
らびに外観などに優れる硬化物を与えるという、極めて
実用性の高い水性硬化性樹脂組成物を提供しようとする
ものである。
【0013】加えて、上述したような、種々の水性硬化
性組成物に、さらに、硬化触媒(D)を含ませることに
よって、一段と、硬化性の向上化された、水性硬化性樹
脂組成物をも提供しようとするものである。
【0014】
【化2】
【0015】[ただし、式中のXは、炭素数が1〜5の
アルキレンを表わすものとする。]
【0016】ここにおいて、まず、上記した、N−アシ
ル環状ウレア基含有ビニル系単量体を必須の単量体成分
とするビニル系単量体を、水性媒体中で、乳化重合せし
めることによって得られる乳化重合体(A)とは、分子
中に、前掲した一般式[I]で以て示される環状ウレア
基を有するビニル系単量体を、あるいは、此のビニル系
単量体と、該ビニル系単量体と共重合可能なる他のビニ
ル系単量体とを、水性媒体中で、乳化重合することによ
り得られる、N−アシル環状ウレア基を有する乳化重合
体を指称するものである。
【0017】当該重合体(A)として特に代表的なもの
のみを例示するにとどめれば、アクリル系重合体、芳香
族ビニル系重合体、ビニルエステル系重合体、オレフィ
ン系重合体、クロル化オレフィン系重合体またはフルオ
ロオレフィン系重合体の如き、各種のビニル系重合体な
どである。
【0018】かかる重合体(A)を調製する際に使用さ
れる、N−アシル環状ウレア基含有ビニル系単量体とし
て特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、それ
ぞれ、次のような一般式[II]あるいは[III]で
以て示されるような、各種の化合物を挙げることが出来
る。
【0019】
【化3】
【0020】[ただし、式中のR1 、R2 およびR3
は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい、水
素原子、低級アルキル基、アリール基、アラルキル基、
アシロキシル基およびアルコキシカルボニル基よりなる
群から選ばれる基を表わすものとし、また、Yは前掲の
一般式[I]で以て示されるようなN−アシル環状ウレ
ア基を表わすものとする。]
【0021】
【化4】
【0022】[ただし、式中のYは前出の通りであるも
のとし、また、nは1〜12なる整数であるものとす
る。]
【0023】そして、まず、此の一般式[II]で示さ
れる化合物を具体的に例示するに当たって、当該化合物
として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
N−(メタ)アクリロイルエチレン尿素、N−(メタ)
アクリロイルプロピレン尿素、N−(メタ)アクリロイ
ルテトラメチレン尿素、N−(メタ)アクリロイルペン
タメチレン尿素、N−(メタ)アクリロイルヘキサメチ
レン尿素、N−(メタ)アクリロイルヘプタメチレン尿
素などをはじめ、
【0024】2−(エチレンウレイドカルバミド)エチ
ル(メタ)アクリレート、2−(プロピレンウレイドカ
ルバミド)エチル(メタ)アクリレート、2−(テトラ
メチレンウレイドカルバミド)エチル(メタ)アクリレ
ート、メチル3−(N−エチレンウレイドカルボニル)
アクリレート、ブチル3−(N−エチレンウレイドカル
ボニル)アクリレート、イソブチル3−(N−プロピレ
ンウレイドカルボニル)メタクリレート類などである。
【0025】次いで、上掲した一般式[III]で示さ
れる化合物を具体的に例示するに当たって、当該化合物
として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、
N−(2−ビニルオキシカルボニルアセチル)エチレン
尿素、N−(3−ビニルオキシカルボニルプロパノイ
ル)プロピレン尿素、N−(4−ビニルオキシカルボニ
ルブタノイル)テトラメチレン尿素、N−(5−ビニル
オキシカルボニルペンタノイル)テトラメチレン尿素な
どのような、種々のN−(ω−ビニルオキシカルボニル
アルカノイル)アルキレン尿素類などである。
【0026】加えて、かかるN−アシル環状ウレア基含
有ビニル系単量体としては、一般式[IV]で以て示さ
れるような、N−アシル環状ウレア基とカルボキシル基
とを併有する化合物をも使用することが出来る。
【0027】
【化5】
【0028】[ただし、式中のR4 、R5 およびR6
は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい、水
素原子、低級アルキル基、アリール基、アラルキル基、
アシロキシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ
ル基およびカルボキシアルキル基よりなる群から選ばれ
る基を表わすものとするが、これらのR4 、R5 または
6 のうちの、いずれか一つは、カルボキシル基または
カルボキシアルキル基であるものとし、また、Yは前掲
の一般式[I]で以て示されるようなN−アシル環状ウ
レア基を表わすものとする。]
【0029】こうしたN−アシル環状ウレア基とカルボ
キシル基とを併有する化合物として特に代表的なもの特
に代表的なもののみを例示するにとどめれば、エチレン
尿素、プロピレン尿素またはテトラメチレン尿素の如
き、各種のアルキレン尿素化合物と、無水マレイン酸ま
たは無水イタコン酸の如き、各種の不飽和二塩基酸無水
物とを、1:1なる比率で以て付加反応せしめて得られ
るような種々のものなどが挙げられる。
【0030】さらに、当該N−アシル環状ウレア基含有
ビニル系単量体として、上掲した如き、N−アシル環状
ウレア基とカルボキシル基とを併有する、種々の化合物
中のカルボキシル基に、エチレンオキサイド、プロピレ
ンオキサイドまたは「カージュラ E」(オランダ国シ
ェル化学社製の、分岐脂肪族モノカルボン酸のグリシジ
ルエステル)の如き、各種のモノエポキシ化合物を付加
反応せしめて得られる、此のN−アシル環状ウレア基と
水酸基とを併有する化合物も使用することが出来る。
【0031】当該乳化重合体(A)としては、勿論、前
掲した如き種々のN−アシル環状ウレア基含有ビニル系
単量体の単独重合体を使用することが出来るし、さらに
は、これらの単量体と、共重合可能なる他のビニル系単
量体との共重合体をも使用することが出来る。
【0032】このような共重合体を調製する際に使用さ
れる、共重合可能なる他のビニル系単量体として特に代
表的なもののみを例示するにとどめれば、メチル(メ
タ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチ
ル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)
アクリレートもしくはラウリル(メタ)アクリレートの
如き、C1 〜C22なる各種のアルキル(メタ)アクリレ
ート類;
【0033】シクロペンチル(メタ)アクリレート、シ
クロヘキシル(メタ)アクリレートもしくはイソボルニ
ル(メタ)アクリレートの如き、各種の脂環式アルキル
(メタ)アクリレート類;ベンジル(メタ)アクリレー
トもしくはフェネチル(メタ)アクリレートの如き、各
種のアラルキル(メタ)アクリレート類;
【0034】クロトン酸メチルもしくはクロトン酸エチ
ルの如き、各種のクロトン酸のアルキルエステル類;ジ
メチルマレート、ジブチルマレート、ジメチルフマレー
ト、ジブチルフマレート、ジメチルイタコネートもしく
はジブチルイタコネートの如き、各種の不飽和ジカルボ
ン酸のジアルキルエステル類;
【0035】スチレン、p−tert−ブチルスチレ
ン、α−メチルスチレンもしくはビニルトルエンの如
き、各種の芳香族ビニル単量体類;N,N−ジメチル
(メタ)アクリルアミドの如き、各種のN,N−ジ置換
(メタ)アクリルアミド類;(メタ)アクリロニトリル
もしくはクロトノニトリルの如き、各種のシアノ基含有
単量体類;
【0036】フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、テトラ
フルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキ
サフルオロプロピレン、塩化ビニルもしくは塩化ビニリ
デンの如き、各種のハロオレフィン類;エチレン、プロ
ピレン、イソブチレンもしくは1−ブテンの如き、各種
のα−オレフィン類;
【0037】または酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、
ピバリン酸ビニルもしくはバーサテイック酸ビニルの如
き、各種のカルボン酸ビニルエステル類などであり、さ
らには、エチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエー
テル、イソブチルビニルエーテルもしくはシクロヘキシ
ルビニルエーテルの如き、各種のアルキル−ないしはシ
クロアルキルビニルエーテル類などである。
【0038】さらに、当該乳化重合体の粒子内を部分的
に架橋するための単量体として、たとえば、ジビニルベ
ンゼンもしくはエチレングルコールジメタクリレートの
如き、各種の多官能性の単量体や、γ−メタクリロキシ
プロピルトリメトキシシランもしくはビニルトリメトキ
シシランの如き、各種の加水分解性シリル基含有単量体
などをも併用することが出来る。
【0039】本発明において用いられる、当該乳化重合
体(A)を構成するビニル系単量体の使用比率として
は、N−アシル環状ウレア基含有単量体の1〜100重
量%と、該N−アシル環状ウレア基含有単量体と共重合
可能なる他の単量体の0〜99重量%とが適切である
し、さらに好ましくは、前者の2〜70重量%と、後者
の30〜98重量%とが適切である。
【0040】かかる単量体類から、当該乳化重合体
(A)を調製するには、公知慣用の乳化剤、安定剤およ
び重合開始剤などを使用して、公知慣用の乳化重合法を
適用すればよい。
【0041】その際に用いられる乳化剤としては、アニ
オン型乳化剤、非イオン型乳化剤っまたはカチオン型乳
化剤をはじめ、さらには、反応性乳化剤であるとか、ア
クリル・オリゴマーなどのような界面活性能を有する種
々の物質が挙げられる。
【0042】それらのうち、まず、非イオン型乳化剤と
して特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ポ
リオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオ
キシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン高
級脂肪酸エステル、エチレンオキサイドープロピレンオ
キサイドブロック共重合体などであるし、
【0043】次いで、アニオン型乳化剤として特に代表
的なもののみを例示するにとどめれば、アルキルベンゼ
ンスルホン酸アルカリ金属塩、アルキルサルフェートア
ルカリ金属塩、ポリオキシエチレンアルキルフェノール
エーテルサルフェートアルカリ金属塩などである。
【0044】さらに、上述のアニオン型乳化剤の代わり
に、あるいは、併用の形で以て、ポリカルボン酸または
スルホン酸塩よりなる水溶性オリゴマー類をも使用でき
る。さらにまた、ポリビニルアルコールまたはヒドロキ
シエチルセルロースなどのような、いわゆる水溶性高分
子物質を、保護コロイドとして用いることも出来る。以
上のような乳化剤などの使用量としては、ビニル系単量
体の総使用量に対して0.1〜10重量%程度が適切で
ある。
【0045】次に、重合開始剤としては、乳化重合に一
般的に使用されているものであれば特に限定されない
が、具体例としては、特に代表的なもののみを例示する
にとどめれば、過酸化水素の如き、各種の水溶性無機過
酸化物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムもしくは
過硫酸ナトリウムの如き、各種の過硫酸塩類;
【0046】クメンハイドロパーオキサイドもしくはベ
ンゾイルパーオキサイドの如き、各種の有機過酸化物
類;またはアゾビスイソブチロニトリルもしくはアゾビ
スシアノ吉草酸の如き、各種のアゾ系開始剤類などであ
り、これらは、単独使用であっても2種以上の併用であ
ってもよいことは、勿論である。
【0047】当該重合開始剤の使用量としては、ビニル
系単量体の総使用量に対して、0.1〜2重量%程度が
適切である。なお、これらの重合開始剤と、金属イオン
および還元剤との併用による、いわゆるレドックス重合
法として、公知慣用の方法によってもよいことは、勿論
である。
【0048】そして、これらの重合開始剤と、水と、好
ましくは、イオン交換水と、さらに必要に応じて、乳化
剤の存在下に、ビニル系単量体を、そのまま、あるい
は、乳化せしめた状態で以て、一括して、または分割し
て、あるいは連続的に、反応容器中に滴下して、0〜1
00℃程度、好ましくは、30〜90℃なる範囲内の温
度で以て重合を行えばよい。
【0049】ビニル系単量体の総使用量と、水との比率
は、最終的に得られる当該乳化重合体(A)の固形分量
が、5〜60重量%なる範囲内、好ましくは、15〜5
5重量%なる範囲内となるように、設定すべきである。
【0050】また、乳化重合を行うに当たり、粒子径を
成長ないしは制御せしめるために、予め、水相中に、エ
マルジョン粒子を存在させた形で以て、重合させるとい
う、いわゆるシード重合法によってもよい。
【0051】本発明において用いられる、N−アシル環
状ウレア基含有ビニル系単量体と、活性水素性官能基含
有ビニル系単量体とを必須成分とするビニル系単量体
を、水性媒体中で、乳化重合せしめることによって得ら
れる、前記した乳化重合体(C)とは、前掲した如き、
種々のN−アシル環状ウレア基含有ビニル系単量体と、
【0052】水酸基、カルボキシル基、アミノ基または
アセトアセチル基の如き、N−アシル環状ウレア基を除
く、各種の活性水素性官能基含有ビニル系単量体とを必
須の単量体成分とするビニル系単量体を、水性媒体中
で、乳化重合することにより得られるものを指称する
が、
【0053】それらのうちでも特に代表的なもののみを
例示するにとどめれば、アクリル系重合体、芳香族ビニ
ル系重合体、ビニルエステル系重合体、オレフィン系重
合体、クロル化オレフィン系重合体またはフルオロオレ
フィン系重合体の如き、各種のビニル系重合体などであ
る。
【0054】かかる重合体(C)を調製する際に使用さ
れる、N−アシル環状ウレア基含有ビニル系単量体とし
て特に代表的なもののみを例示するとすれば、前記した
乳化重合体(A)を調製する際に使用されるような、種
々の化合物を挙げることが出来る。
【0055】他方、上記した活性水素性官能基含有ビニ
ル系単量体のうち、まず、水酸基を有する単量体として
特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、2−ヒ
ドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルビニルエ
ーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテルもしくは
2−ヒドロキシエチルアリルエーテルまたはアリルアル
コールをはじめ、さらには、これらの水酸基含有単量体
類と、ε−カプロラクトンとの付加反応物のような種々
の化合物などである。
【0056】次いで、カルボキシル基含有単量体として
特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、(メ
タ)アクリル酸またはクロトン酸、イタコン酸、マレイ
ン酸もしくはフマル酸の如き、各種の不飽和カルボン酸
類;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノブチル、マ
レイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、フマル酸
モノメチルもしくはフマル酸モノブチルの如き、各種の
不飽和ジカルボン酸類と、飽和1価アルコール類とのモ
ノエステル類(ハーフエステル類);
【0057】アジピン酸モノビニルもしくはコハク酸モ
ノビニルの如き、各種の飽和ジカルボン酸類のモノビニ
ルエステル類;無水コハク酸、無水グルタル酸、無水フ
タル酸もしくは無水トリメリット酸の如き、各種の飽和
ポリカルボン酸の無水物類と、前掲した如き各種の水酸
基含有単量体類との付加反応生成物などをはじめ、
【0058】さらには、これらのカルボキシル基含有単
量体類を、アンモニアまたは1級アミン類、2級アミン
類もしくは3級アミン類で以て、中和せしめて得られる
形の、いわゆるカルボキシレート基含有単量体類などが
挙げられる。
【0059】また、上記したアミノ基含有単量体として
特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、ter
t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−ア
ミノエチルクロトネート、N−メチルアミノエチルクロ
トネート、2−アミノエチルビニルエーテル、4−アミ
ノブチルビニルエーテル、アリルアミン、N−メチルア
リルアミンなどをはじめ、
【0060】(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メ
タ)アクリルアミド,N−n−ブチル(メタ)アクリル
アミド、ダイアセトンアクリルアミドもしくは2−イソ
シアナートエチルメタクリレートの如き、各種のイソシ
アナート基含有単量体と、ヒドラジンとを反応せしめる
ことによって得られる、ヒドラジン残基を有する単量体
のような、いわゆる1級ないしは2級アミノ基含有単量
体などを挙げることが出来る。
【0061】さらに、上記したアセトアセチル基含有単
量体として特に代表的なもののみを例示するにとどめれ
ば、2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレー
ト、4−アセトアセトキシブチル(メタ)アクリレー
ト、2−アセトアセトキシエチルビニルエーテルまたは
4−アセトアセトキシブチルビニルエーテルなどを挙げ
ることが出来る。
【0062】当該乳化重合体(C)としては、前述した
如きN−アシル環状ウレア基含有ビニル系単量体と、活
性水素性官能基含有ビニル系単量体との、2成分の共重
合体を使用することも出来るし、さらには、これらの2
種類の単量体成分と、共重合可能なる他のビニル系単量
体との共重合体をも使用することが出来る。
【0063】ここにおいて、そのような共重合体を調製
する際に用いられる、共重合可能なる他のビニル系単量
体としては、前述した(A)成分を調製する際に使用さ
れるような、種々の化合物を使用することが出来る。
【0064】以上に掲げられたような各単量体類から、
当該乳化重合体(C)を調製する際における、それぞれ
の単量体の使用比率としては、N−アシル環状ウレア基
含有ビニル系単量体の1〜99重量%と、活性水素性官
能基含有ビニル系単量体の1〜99重量%と、共重合可
能なる他のビニル系単量体の0〜98重量%となるよう
にするのが適切であるし、
【0065】さらに好ましくは、N−アシル環状ウレア
基含有ビニル系単量体の2〜70重量%と、活性水素性
官能基含有ビニル系単量体の2〜70重量%と、共重合
可能なる他のビニル系単量体の30〜96重量%となる
ようにするのが適切である。
【0066】当該乳化重合体(C)を調製するには、前
述した乳化重合体(A)を調製する場合と同様にして、
公知慣用の乳化剤、安定剤および重合開始剤などを使用
して、公知慣用の乳化重合法を適用すればよい。
【0067】次に、本発明において、乳化重合体(A)
および/または(C)と併用される、前記した活性水素
性官能基含有化合物(B)とは、水酸基、カルボキシル
基、アミノ基またはアセトアセチル基の如き、N−アシ
ル環状ウレア基を除く、各種の活性水素性官能基よりな
る群から選ばれる、少なくとも1種の官能基を、一分子
中に少なくとも2個、有するようなものを指称する。
【0068】かかる化合物(B)として特に代表的なも
ののみを例示するにとどめれば、多価アルコール類、多
価カルボン酸類またはそれらのアミン中和物、ポリアミ
ン化合物類またはそれらの酸中和物、多価アルコールの
アセト酢酸エステル類、アミノカルボン酸類、ヒドロキ
シカルボン酸類またはそれらのアミン中和物、ポリヒド
ラジド化合物、あるいはポリイソシアネート化合物と、
【0069】ヒドラジンとを反応せしめて得られるよう
な、ヒドラジン残基を有する化合物の如き、比較的、低
分子量の化合物に加えて、当該活性水素性官能基(中和
されたルボキシル基をも含む。)を有する、それぞれ、
ビニル系重合体、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポ
リウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂ま
たはエポキシ樹脂などをはじめ、さらには、セルロース
・アセテート・ブチレートや、ニトロセルロースなどの
繊維素の如き、各種の重合体類などである。
【0070】当該化合物(B)が重合体である場合に
は、それらは、水性エマルジョンとしても、あるいは、
水溶液、水分散液、親水性有機溶剤溶液ないしは無溶剤
などのような、いずれの形態であっても使用することが
出来るし、かかる各種形態の各重合体類は、公知慣用の
方法によって調製することが出来る。
【0071】また、本発明の水性硬化性樹脂組成物に
は、N−アシル環状ウレア基の自己縮合を促進するため
の触媒を、あるいは、N−アシル環状ウレア基と、アミ
ノ基、カルボキシル基、水酸基ないしはアセトアセチル
基などのような種々の官能基との反応を促進するための
触媒を配合することによって、硬化性を、一層、向上化
せしめることが出来る。
【0072】かかる硬化触媒(D)のうちでも特に代表
的なもののみを例示するにとどめれば、ジアザビシクロ
オクタン、ジアザビシクロウンデセンもしくはジアザビ
シクロノネンの如き、各種の強塩基性の3級アミン類;
ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、
ジブチル錫ジラウレートもしくはトリブチル錫−2,2
−ジメチルペンタノエートなどのような、種々の有機錫
化合物類;
【0073】テトラメチルアンモニウムフルオライド、
テトラブチルアンモニウムクロライド、トリメチルベン
ジルアンモニウムアセテート、トリエチルベンジルアン
モニウムオクトエートもしくはトリメチルベンジルアン
モニウム−2,2−ジメチルペンタノエートの如き、各
種の4級アンモニウム塩類;
【0074】トリフェニルベンジルホスホニウムフルオ
ライド、トリフェニルベンジルホスホニウムクロライ
ド、テトラブチルホスホニウムアセテートもしくはテト
ラブチルホスホニウム−2,2−ジメチルペンタノエー
トの如き、各種のホスホニウム塩類などのようなもので
ある。
【0075】また、強塩基性の3級アミノ基、錫カルボ
キシレート基、4級アンモニウム基またはホスホニウム
基の如き、触媒活性(能)を有する基を含有するビニル
系重合体などのような、特殊の重合体類をも使用するこ
とが出来る。
【0076】そして、これらの種々の触媒の中で、硬化
性などの面からは、強塩基性の3級アミン類や、4級ア
ンモニウム塩類などの使用が、特に望ましい。
【0077】前述した、それぞれ、(A)成分と、
(B)成分とから、本発明の水性硬化性樹脂組成物を調
製するには、(A)成分が活性水素性官能基を有しない
場合には、(A)成分中の環状ウレア基と、(B)成分
中の活性水素性官能基との当量比が、0.1:1〜1:
0.1となるような比率で以て、好ましくは、0.2:
1〜1:0.2となるような比率で以て、これらの両成
分を混合せしめるようにすればよいし、
【0078】(A)成分が活性水素性官能基を有する場
合には、(A)成分中の環状ウレア基と;(B)成分中
の活性水素性官能基および(A)成分中の活性水素性官
能基の総量との当量比が、0.1:1〜1:0.1とな
るような比率で、好ましくは、0.2:1〜1:0.2
となるような比率で以て、両成分を混合せしめるように
すればよい。
【0079】また、前述した、それぞれ、(C)成分
と、(B)成分とから、本発明の水性硬化性樹脂組成物
を調製するには、(C)成分中の環状ウレア基と、
(C)成分および(B)成分中の活性水素性官能基の総
量との当量比が、0.1:1〜1:0.1、好ましく
は、0.2:1〜1:0.2となるような比率で両成分
を混合すればよい。
【0080】さらに、(A)成分;(A)成分と(B)
成分との混合物;(C)成分;あるいは(C)成分と
(B)成分との混合物に、硬化触媒(D)を配合せしめ
ることによって、本発明の水性硬化性樹脂組成物を調製
するには、前述したような各成分ないしは各成分の混合
物の固形分1000グラムに対して、触媒活性を有する
基ないしは原子団の量が、2〜400ミリモルとなるよ
うな比率で以て、好ましくは、4〜200ミリモルとな
るような比率で以て、当該(D)成分を配合せしめれば
よい。
【0081】本発明の樹脂組成物は、そのままで以て、
あるいは、さらに、この形の樹脂組成物に、溶剤、顔料
または充填剤などをはじめ、さらには、レベリング剤、
紫外線吸収剤、酸化防止剤または顔料分散剤などのよう
な、公知慣用の種々の添加剤類などをも配合せしめた形
で以て、使用することが出来る。
【0082】さらに、本発明の組成物には、本発明の目
的を逸脱しない範囲内で以て、本発明の効果を、そし
て、本発明の特徴を損なわない範囲内で以て、尿素樹
脂、メラミン樹脂またはベンゾグアナミン樹脂などのよ
うな、種々のアミノ樹脂や、ブロックイソシアネートの
如き、公知慣用の種々の硬化剤類をも添加せしめた形で
以て、使用することも出来る。
【0083】かくして得られる、本発明の水性硬化性樹
脂組成物は、基材などに塗布したのちに、100〜25
0℃程度で、1分間〜2時間程度の加熱硬化を行うこと
によって、とりわけ、耐薬品性、耐水性、耐食性ならび
に外観などに優れる硬化物を形成するというものであ
る。
【0084】そして、本発明の、こうした硬化性樹脂組
成物は、セメント系などのような種々の無機窯業系基材
をはじめ、さらには、鉄やアルミニウム合金などのよう
な種々の金属基材用の塗料用として使用することが出来
るが、さらに具体的な用途としては、缶の内面ないしは
外面用塗料、プレコート・メタル用塗料、自動車用上塗
りのためのベース・コート塗料またはトップ・コート用
塗料などのような、種々の塗料用として使用することが
出来る。
【0085】また、接着剤またはシーリング剤などのよ
うな、いわゆる塗料以外の、種々の分野にも、有効に、
利用され得るものである。
【0086】
【実施例】次に、本発明を参考例、実施例および比較例
により、一層、具体的に説明することにするが、以下に
おいて、部および%は、特に断りの無い限り、すべて重
量基準であるものとする。
【0087】参考例 1[乳化重合体(A)の調製例] 温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下漏斗および窒素ガス
導入管を備えた反応容器に、イオン交換水の140部お
よびラウリル硫酸ナトリウムの3部を仕込んで、攪拌し
ながら、窒素ガス気流中で、80℃にまで昇温した。
【0088】次いで、同温度で、スチレンの20部、メ
チルメタクリレートの30部、n−ブチルアクリレート
の35部およびN−メタクリロイルエチレン尿素の15
部からなる混合物と、過硫酸アンモニウムの0.5部お
よびイオン交換水の10部からなる混合物とを、各別
に、3時間に亘って滴下した。
【0089】滴下終了後も、同温度で、3時間の加熱を
行って、反応を継続せしめた。反応の終了後に、少量の
イオン交換水を添加せしめて、不揮発分(NV)が40
%なる、N−アシル環状ウレア基を含有する乳化重合体
を得た。以下、これを乳化重合体(A−1)と略称す
る。
【0090】参考例 2〜10 [乳化重合体(A)な
らびに(C)の調製例] ビニル系単量体として、第1表に示される化合物を用い
るように変更した以外は、参考例1と同様に乳化重合を
行って、乳化重合体(A−2)〜(A−4)ならびに乳
化重合体(C−1)〜(C−6)を調製した。
【0091】
【表1】
【0092】《第1表の脚注》 MMA…………………メチルメタクリレートの略記 n−BA………………n−ブチルアクリレートの略記 2−EHMA…………2−エチルヘキシルメタクリレー
トの略記
【0093】N−MEU……………N−メタクリロイル
エチレン尿素の略記 N−AEU……………N−アクリロリルエチレン尿素の
略記 N−MTEU…………N−メタクリロイルテトラメチレ
ン尿素の略記 N(3−CP)EU…N−(3−カルボキシプロパノイ
ル)−エチレン尿素の略記
【0094】
【表2】
【0095】《第1表の脚注》 2−HEA…………2−ヒドロキシエチルメタクリレー
トの略記 2−AcAEMA…2−アセトアセトキシエチルメタク
リレートの略記
【0096】参考例 11 [化合物(B)の調製例] ビニル系単量体として、スチレンの20部、メチルメタ
クリレートの30部、n−ブチルアクリレートの40部
およびアクリル酸の10部からなる混合物を使用するよ
うに変更した以外は、参考例1と同様にして、NVが4
0%なる、カルボキシル基含有ビニル系重合体のエマル
ジョンを調製した。以下、これを化合物(B−1)と略
称する。
【0097】参考例 12 (同上) ビニル系単量体として、スチレンの20部、メチルメタ
クリレートの30部、n−ブチルアクリレートの40部
および2−ヒドロキシエチルメタクリレートの10部か
らなる混合物を使用するように変更した以外は、参考例
1と同様にして、NVが40%なる、カルボキシル基含
有ビニル系重合体のエマルジョンを調製した。以下、こ
れを化合物(B−2)と略称する。
【0098】参考例 13 (同上) ビニル系単量体として、スチレンの20部、メチルメタ
クリレートの30部、n−ブチルアクリレートの30部
および2−アセトアセトキシエチルメタクリレートの2
0部からなる混合物を使用するように変更した以外は、
参考例1と同様にして、NVが40%なる、カルボキシ
ル基を含有するビニル系重合体のエマルジョンを調製し
た。以下、これを化合物(B−3)と略称する。
【0099】参考例 14(同上) 参考例1と同様の反応器に、イソプロピルアルコールの
66部を仕込み、窒素雰囲気下に、80℃にまで昇温し
た。
【0100】次いで、スチレンの10部、メチルメタク
リレートの20部、n−ブチルメタクリレートの20
部、2−ヒドロキシエチルメタクリレートの15部、n
−ブチルアクリレートの20部およびアクリル酸の15
部と、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサ
ノエートの4部とからなる混合物を、3時間に亘って滴
下した。
【0101】滴下終了後も、同温度に、10時間のあい
だ保持して、NVが60.0%で、かつ、数平均分子量
が14,000なる、カルボキシル基と水酸基とを併有
するアクリル系重合体の溶液を得た。
【0102】しかるのち、かくして得られた重合体溶液
に、トリエチルアミンの21部と、イソプロピルアルコ
ールの100部とを加えて、充分に攪拌せしめ、カルボ
キシル基の100%が中和されて、カルボキシレート基
に変換された形の重合体の溶液を得た。
【0103】次いで、攪拌しながら、この溶液に、15
0部のイオン交換水を加えて、均一なる溶液と為した。
【0104】引き続いて、減圧下に、この溶液から、イ
ソピロピルアルコールと水との一部分を留去せしめて、
不揮発分が40%なる、水酸基とカルボキシレート基と
を併有するアクリル系重合体の、水−イソプロピルアル
コール溶液を得た。以下、これを化合物(B−4)と略
称する。
【0105】参考例 15 (対照用の、水酸基を含有
する乳化重合体の調製例) ビニル系単量体として、スチレンの20部、メチルメタ
クリレートの30部、n−ブチルアクリレートの33
部、アクリル酸の2部および2−ヒドロキシエチルメタ
クリレートの15部からなる混合物を使用するように変
更した以外は、参考例1と同様にして、NVが40%な
る、カルボキシル基を有ビニル系重合体のエマルジョン
を調製した。以下、これを乳化重合体(P−1)と略称
する。
【0106】実施例 1〜15 第2表に示される通りの比率で以て、各成分を配合せし
めることによって、各種の水性硬化性樹脂組成物を調製
した。次いで、それぞれの組成物を、各別に、アプリケ
ーターを使用して、0.8mmなる厚さの燐酸亜鉛処理
鋼板上に、50ミクロン(μm)なる乾燥膜厚となるよ
うに塗装せしめたのち、同表に示されるような条件で以
て加熱硬化せしめることによって、各種の硬化塗膜を得
た。
【0107】しかるのち、かくして得られた、それぞれ
の硬化塗膜について、耐薬品性、耐水性、耐食性ならび
に外観の評価検討の試験を行った。それらの結果は、ま
とめて、同表に示す。
【0108】なお、上記耐薬品性としての、それぞれ、
「耐酸性」および「耐アルカリ性」は、次のような要領
で行ったものである。 「耐酸性」…………硬化塗膜を、40℃に保持した、1
0%硫酸水溶液中に、24時間のあいだ浸漬せしめたの
ちの塗面の状態を、目視により判定した。
【0109】「耐アルカリ性」…硬化塗膜を、40℃に
保持した、10%水酸化ナトリウム水溶液中に、24時
間のあいだ浸漬せしめたのちの塗面の状態を、目視によ
り判定した。
【0110】また、上記耐水性は、硬化塗膜を、70℃
の温水中に、14日間のあいだ浸漬せしめたのちの塗面
の状態を、目視により判定した。さらに、上記耐食性
は、クロスカットを入れた硬化塗膜について、240時
間に亘る塩水噴霧試験を行ったのちの塗面の状態を、目
視により判定した。
【0111】さらにまた、上記した外観は、塗面の、そ
れぞれ、平滑性、鮮映性ならびに光沢などから、総合的
に判断したものである。
【0112】比較例 1 参考例15で得られた、水酸基を含有する乳化重合体
(P−1)の100部と、「ウォーターゾール S−6
95」[大日本インキ化学工業(株)製のメチルエーテ
ル化メラミン樹脂;NV=66%]の15部とから、対
照用の水性硬化性樹脂組成物を調製した。
【0113】かくして得られた、対照用の組成物を、実
施例1〜15と同様にして、燐酸亜鉛処理鋼板上に、5
0μmなる乾燥膜厚となるように塗装せしめたのち、1
60℃で30分間の焼き付けを行って、対照用の硬化塗
膜を得た。
【0114】しかるのち、この硬化塗膜についても、各
実施例と同様の、評価試験の試験を行った。それらの結
果をも、併せて、第2表に示す。
【0115】
【表3】
【0116】《第2表の脚注》表中の各成分の数字は、
いずれも、「重量部」を表わす。
【0117】「A−1」、「A−2」および「A−3」
は、それぞれ、乳化重合体(A)なる成分としての、
「乳化重合体(A−1)」、「乳化重合体(A−2)」
および「乳化重合体(A−3)」の略記である。
【0118】……………………「ベンジルトリメチル
アンモニウムアセテート」の略記
【0119】「耐アル性」………「耐アルカリ性」の略
【0120】
【表4】
【0121】《第2表の脚注》「A」は、「(A)成
分」の略記であるし、また、「A−4」は、此の乳化重
合体(A)なる成分としての、「乳化重合体(A−
4)」の略記である。
【0122】また、「C−1」および「C−2」は、そ
れぞれ、乳化重合体(C)なる成分としての、「乳化重
合体(C−1)」および「乳化重合体(C−2)」の略
記である。
【0123】……………………「テトラブチルアンモ
ニウムフルオライド」の略記
【0124】
【表5】
【0125】《第2表の脚注》「B−1」および「B−
2」は、それぞれ、乳化重合体(B)なる成分として
の、「乳化重合体(B−1)」および「乳化重合体(B
−2)」の略記である。
【0126】「C−3」および「C−4」は、それぞ
れ、乳化重合体(C)なる成分としての、「乳化重合体
(C−3)」および「乳化重合体(C−4)」の略記で
ある。
【0127】
【表6】
【0128】
【表7】
【0129】《第2表の脚注》「B−3」および「B−
4」は、それぞれ、乳化重合体(B)なる成分として
の、「乳化重合体(B−3)」および「乳化重合体(B
−4)」の略記である。
【0130】「AdHy」………アジピン酸ジヒドラジ
ドの略記
【0131】「C−5」および「C−6」は、それぞ
れ、乳化重合体(C)なる成分としての、「乳化重合体
(C−5)」および「乳化重合体(C−6)」の略記で
ある。
【0132】
【表8】
【0133】
【発明の効果】本発明の水性硬化性樹脂組成物は、とり
わけ、耐薬品性、耐水性、耐食性ならびに外観などに優
れる硬化物を形成するという、極めて実用性の高いもの
である。
【手続補正書】
【提出日】平成6年12月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正内容】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正内容】
【0041】その際に用いられる乳化剤としては、アニ
オン型乳化剤、非イオン型乳化剤またはカチオン型乳化
剤をはじめ、さらには、反応性乳化剤であるとか、アク
リル・オリゴマーなどのような界面活性能を有する、種
々の物質などが特に代表的なものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0093
【補正方法】変更
【補正内容】
【0093】N−MEU……………N−メタクリルロイ
ルエチレン尿素の略記 N−AEU……………N−アクリルロイルエチレン尿素 N−MTEU…………N−メタクリルロイテトラメチレ
ン尿素の略記 N(3−CP)EU…N−(3−カルボキシプロノイ
ル)−エチレン尿素の略記
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0098
【補正方法】変更
【補正内容】
【0098】参考例 13 (同上) ビニル系単量体として、スチレンの20部、メチルメタ
クリレートの30部、n−ブチルアクリレートの30部
および2−アセトアセトキシエチルメタクリレートの2
0部からなる混合物を使用するように変更した以外は、
参考例1と同様にして、NVが40%なる、アセトアセ
チル基するビル系重合体のエマルジョンを調製し
た。以下、これを化合物(B−3)と略称する。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0105
【補正方法】変更
【補正内容】
【0105】参考例 15 (対照用の、水酸基を有す
る乳化重合体の調製例) ビニル系単量体として、スチレンの20部、メチルメタ
クリレートの30部、n−ブチルアクリレートの33
部、アクリル酸の2部および2−ヒドロキシエチルメタ
クリレートの15部からなる混合物を使用するように変
更した以外は、参考例1と同様にして、NVが40%な
る、水酸基するビル系重合体のエマルジョンを調製
した。以下、これを乳化重合体(P−1)と略称する。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0115
【補正方法】変更
【補正内容】
【0115】
【表3】
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0118
【補正方法】変更
【補正内容】
【0118】……………………「ベンジルトリメチル
アンモニウムアセテート」の略記“硬化条件”………単位としては、「℃×分」であり、
たとえば、「220×30」は、『220℃の温度で、
30分間のあいだ』という意味である。以下同様。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0129
【補正方法】変更
【補正内容】
【0129】《第2表の脚注》「B−3」および「B−
4」は、それぞれ、活性水素を有する官能基を有する化
合物(B)なる成分としての、「化合物(B−3)」お
よび「化合物(B−4)」の略記である。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 N−アシル環状ウレア基を有するビニル
    系単量体を必須の成分とするビニル系単量体を、水性媒
    体中で、乳化重合することにより得られる乳化重合体
    (A)を、必須の皮膜形成成分として含有することを特
    徴とする、水性硬化性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 N−アシル環状ウレア基を有するビニル
    系単量体を必須の成分とするビニル系単量体を、水性媒
    体中で、乳化重合することにより得られる乳化重合体
    (A)と、活性水素を有する官能基を有する化合物
    (B)とを、必須成分として含有することを特徴とす
    る、水性硬化性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 N−アシル環状ウレア基を有するビニル
    系単量体と、活性水素を有する官能基を有するビニル系
    単量体を必須成分とするビニル系単量体を、水性媒体中
    で、乳化重合することにより得られる乳化重合体(C)
    を、必須成分として含有することを特徴とする、水性硬
    化性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 N−アシル環状ウレア基を有するビニル
    系単量体と、活性水素を有する官能基を有するビニル系
    単量体とを必須成分とするビニル系単量体を、水性媒体
    中で、乳化重合することにより得られる乳化重合体
    (C)と、イソシアネート基と反応する官能基を有する
    化合物(B)とを、必須成分として含有することを特徴
    とする、水性硬化性樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 N−アシル環状ウレア基を有するビニル
    系単量体を必須の成分とするビニル系単量体を、水性媒
    体中で、乳化重合することにより得られる乳化重合体
    (A)と、硬化触媒(D)とを、必須の成分として含有
    することを特徴とする、水性硬化性樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 N−アシル環状ウレア基を有するビニル
    系単量体を必須の成分とするビニル系単量体を、水性媒
    体中で、乳化重合することにより得られる乳化重合体
    (A)と、活性水素を有する官能基を有する化合物
    (B)と、硬化触媒(D)とを、必須成分として含有す
    ることを特徴とする、水性硬化性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 N−アシル環状ウレア基を有するビニル
    系単量体と、活性水素を有する官能基を有するビニル系
    単量体とを必須の成分とするビニル系単量体を、水性媒
    体中で、乳化重合することにより得られる乳化重合体
    (C)と、硬化触媒(D)とを、必須成分として含有す
    ることを特徴とする、水性硬化性樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 N−アシル環状ウレア基を有するビニル
    系単量体と、活性水素を有する官能基を有するビニル系
    単量体とを必須成分とするビニル系単量体を、水性媒体
    中で、乳化重合することにより得られる乳化重合体
    (C)と、活性水素を有する官能基を有する化合物
    (B)と、硬化触媒(D)とを、必須成分として含有す
    ることを特徴とする、水性硬化性樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 前記したN−アシル環状ウレア基が、一
    般式[I]で示されるものである、請求項1〜8に記載
    の水性硬化性樹脂組成物。 【化1】 [ただし、式中のXは炭素数が1〜5のアルキレンを表
    わすものする。]
  10. 【請求項10】 前記した活性水素を有する官能基を有
    する化合物(B)中の活性水素を有する官能基が、カル
    ボキシル基、水酸基、アミノ基、アセトアセチル基から
    成る群より選ばれる、少なくとも1種である、請求項
    2、4、6または8のいずれかに記載の水性硬化性樹脂
    組成物。
  11. 【請求項11】 前記した活性水素を有する官能基を有
    するビニル系単量体中の活性水素を有する官能基が、カ
    ルボキシル基、水酸基、アミノ基、アセトアセチル基か
    ら成る群より選ばれる、少なくとも1種である、請求項
    3、4、7または8のいずれかに記載の水性硬化性樹脂
    組成物。
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