JPH07100633B2 - 多孔質炭化珪素焼結体およびその製造方法 - Google Patents

多孔質炭化珪素焼結体およびその製造方法

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JPH07100633B2
JPH07100633B2 JP9242286A JP9242286A JPH07100633B2 JP H07100633 B2 JPH07100633 B2 JP H07100633B2 JP 9242286 A JP9242286 A JP 9242286A JP 9242286 A JP9242286 A JP 9242286A JP H07100633 B2 JPH07100633 B2 JP H07100633B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は多孔質炭化珪素焼結体およびその製造方法に関
し、特に本発明は所定の平均断面積の気孔を有する基部
の外側面の少なくとも一部に、前期基部の有する気孔の
平均断面積よりも小さい平均断面積の気孔を有する外層
部が結合されてなる多孔質炭化珪素焼結体およびその製
造方法に関する。
従来、炭化珪素は高い硬度、優れた耐摩耗性、優れた耐
酸化性、優れた耐食性、良好な熱伝導率、低い熱膨張
率、高い耐熱耐衝撃性並びに高温での高い強度の化学的
および物理的に優れた特性を有し、メカニカルシールや
軸受け等の耐摩耗材料、高温炉用の耐火材、熱交換器、
燃焼管等の耐熱構造材料、酸およびアルカリ等の強い腐
食性を有する溶液のポンプ部品等の耐腐食材料として広
く使用することができる材料である。
従って、これらの優れた性質を有する炭化珪素焼結体で
あって開放気孔すなわち外部に対して通気性を有する気
孔(以下単に気孔と称す)を有する多孔質炭化珪素焼結
体は、前記炭化珪素の特徴を生かして、高温雰囲気、酸
化性雰囲気および/または腐食性雰囲気で使用される濾
過フィルター、酸化発熱反応あるいは高温下における化
学反応用の触媒あるいは触媒担体として利用可能な材料
であり、例えばメッキ液中に混入しているスラッジある
いは硫酸、塩酸等の腐食性液体中に混入している異物粒
子の除去のために使用されるフィルターとして使用し得
ることが考えられる。
上述のようなフィルターの用途に対しては、単に耐熱
性、耐食性が必要であるばかりでなく、流体の通過時の
抵抗が小さく、しかも高効率で異物粒子を取り除くこと
ができ耐用期間が長い等の特性が必要とされる。一方、
触媒、触媒担体あるいは熱交換器等の用途に対しては化
学反応、熱移動あるいは物質移動の生成を有効に行わせ
るための表面積が多いこと、しかもその表面が長期間の
使用に対して安定であり、かつ目詰まりが生じ難いこと
が必要とされる。
(従来の技術) 従来、多孔質炭化珪素焼結体の製造方法として(1)粗
粒の炭化珪素粒子と微細な炭化珪素粒子を混合し成形し
た後、炭化珪素の再結晶温度以上の高温域で焼成して製
造する方法、(2)特開昭48−39515号公報で開示され
ている「炭化珪素粉に炭素粉を加え又は加えずに炭素質
バインダーを加えると共にこの炭素粉および焼成時に生
成されるバインダーからの遊離炭素と反応する理論量の
珪素質粉を添加して成形し、しかる後この成形体の炭素
粉中で1900〜2400℃に加熱して成形体中の炭素粉を珪素
化することを特徴とする均質多孔性再結晶炭化珪素体の
製造方法。」あるいは、(3)特開昭58−122016号公報
で開示されている「高分子発泡体材料に炭化珪素素地泥
漿を含浸し、該高分子発泡体材料を熱料理により消失せ
しめて炭化珪素素地スケルトン構造体を形成し、該構造
体を1900〜2800℃の温度においてアルゴン中にて一次焼
成し次いで1600〜2100℃の温度にて1〜200気圧の窒素
ガス中にて二次焼成し、その後その両端に耐熱性電極を
形成し通電可能として成る通電発熱可能な炭化珪素フィ
ルタの製造法。」等が知られている。
しかしながら、上述の(1)および(2)の方法で製造
される多孔質炭化珪素焼結体の構造を図示すれば第4図
に示すように炭化珪素質骨材Aと骨材を被覆して骨材同
志を結合する炭化珪素質結合材あるいは炭素質結合材B
および間隙Cとから構成される。前記間隙Cすなわち気
孔は殆ど成形時の骨材の配置によって決定され、焼結体
中に占める気孔率は30〜40%程度であり比較的小さい。
このため、これらの焼結体を流体が通過する際の抵抗は
著しく高いものとなる。一方、焼結体中の気孔率を大き
くしようとすると、骨材粒子相互の接触点が少なくなる
ため焼結体の強度が著しく低下し流体との接触面積は著
しく小さくなる傾向がある。
これらの方法によれば、比較的大きい気孔径断面積を有
する焼結体とするためには大きな骨材を必要とし、この
ため粒子の接触点が少なくなり粒子相互の結合強度が低
下するため、焼結体の強度は著しく低いものとなる。一
方、比較的小さい断面積を持つ気孔を有する焼結体とす
るためには骨材の粒度配合を粗粒と中程度の粒子および
/または微粒子とを適度に混合し成形することが必要で
あり、成形体の気孔率は著しく小さくなり、極端な場合
一部の気孔が閉塞してしまう傾向がある。このため、こ
のような焼結体を流体が通過する際の抵抗は著しく高い
ものとなる。また、上述の(3)の方法で製造される焼
結体の構造は、いわゆるスケルトン構造体と呼ばれる大
小のセル状骨格で構成されているため、その気孔断面積
は比較的大きく、特に微細な気孔断面積を有する焼結体
を製造することは困難であった。
(発明が解決しようとする問題点) ところで、前述の如き方法で得られる焼結体はいずれも
比較的均一な気孔断面積を有するものであり、特に微細
な粒子径を有する粒子を懸濁している懸濁液あるいは浮
遊している気体から粒子を濾過分離するフィルターとし
て適用しようとする場合、前記粒子の粒子径に見合う気
孔断面積を有するものを使用することが要求されるが、
このような微細な気孔断面積を有する焼結体を使用する
と濾過抵抗が極めて大きいため、濾過速度が遅い欠点が
あり、これを改善する方法としてはフィルターとして使
用する焼結体の厚さをなるべく薄くして濾過抵抗を低く
することが考えられるが、この方法によれば焼結体の強
度が低くなるため実用的でない欠点を有していた。
(問題点を解決するための手段) ところで、本発明者は先に、外部に対し通気性を有する
多孔質炭化珪素焼結体であって種々の用途に応じて任意
の気孔径と気孔率を有し、流体の分離、吸着、吸収等の
物質移動、熱移動あるいは化学反応等を有効に働かすこ
とのできる多孔質炭化珪素焼結体を製造することのでき
る方法を新規に知見するに至り、特願昭59−212645号に
より「主として炭化ケイ素よりなる焼結体であって、平
均アスペクト比が3〜50であり、かつ長軸方向の平均長
さが0.5〜1000μmの炭化ケイ素質板状結晶から主とし
て構成されてなる三次元網目構造を有し、前記網目構造
の開放気孔の平均断面積が0.01〜250000μm2である多孔
質炭化ケイ素焼結体。」とその製造方法に係る発明を提
案している。
そこで、本発明者は、上述の問題点を解決することを目
的とし、前記多孔質炭化ケイ焼結体とその製造方法につ
いてさらに研究を重ねた結果、所定の平均断面積の気孔
を有する基部の外側面の少なくとも一部に、前記基部の
有する平均断面積よりも小さい平均断面積の気孔を有す
る外層部が結合されてなる多孔質炭化珪素焼結体および
その製造方法を新規に知見するに至り、本発明を完成し
た。
本発明は、所定の平均断面積の気孔を有する基部の外側
面の少なくとも一部に、前記基部の有する平均断面積よ
りも小さい平均断面積の気孔を有する外層部が結合され
てなる多孔質炭化珪素焼結体であって、前記基部は平均
アスペクト比が3〜50、長軸方向の平均長さが1〜1000
μmの板状結晶が三次元網目状に結合し、かつ平均断面
積が1〜250000μm2の気孔を有する多孔質体であり、一
方、前記外層部は、平均断面積が0.01〜10000μm2の気
孔を有する多孔質体であることを特徴とする多孔質炭化
珪素焼結体およびその製造方法である。
以下、本発明を詳細に説明する。
第1図は本発明の多孔質炭化珪素焼結体(以下本発明の
多孔質炭化珪素焼結体を単に多孔質体と称す)の一例の
断面を観察した走査型電子顕微鏡写真(750倍)であ
る。第1図に示した本発明の多孔質体はアスペクト比が
5〜10の炭化珪素質板状結晶が多方向に複雑に絡み合っ
て結合した三次元網目構造を有する基部の外側面に前記
基部の有する気孔の平均断面積よりも小さい平均断面積
の気孔を有する外層部が結合されている。
なお、ここでいう炭化珪素質板状結晶のアスペクト比
(R)は焼結体の任意の断面において観察される個々の
板状結晶の最大長さ(X)と(Y)との比であり、すな
わち、R=X/Yで表される値である。
本発明の多孔質体は、所定の平均断面積の気孔有する基
部の外側面の少なくとも一部に、前期基部の有する気孔
の平均断面積よりも小さい平均断面積の気孔を有する外
層部が結合されてなるものであることが必要である。そ
の理由は、本発明の多孔質体は、例えばメッキ液中に混
入しているスラッジあるいは硫酸、塩酸等の腐食性液体
中に混入している異物等の異物粒子を除去するためのフ
ィルターの如き用途に使用される場合には、平均断面積
の大きき気孔を有する端面側から平均断面積の小さい気
孔を有する端面側に流体を通過させることによって流体
中に含有される異物粒子を高効率にかつ迅速に分離する
ことができ、しかも多孔質体内に捕集された粒子は逆洗
することによって容易に除去脱離させることができ、フ
ィルターとしての機能を極めて容易に回復させることが
できるからであり、また例えばスラリー中に懸濁してい
る不溶解物質を濾過ケーキと濾液とに分離するための濾
材の如き用途に使用される場合には、平均断面積の小さ
い気孔を有する端面側から平均断面積の大きい気孔を有
する端面側に流体を通過させることによって極めて高い
圧力を負荷することができるため、多孔質体の端面に不
溶解物質を濾過ケーキとして極めて迅速に分離せしめる
ことができ、しかも多孔質体端面からの濾過ケーキの剥
離も極めて容易で、極めて高い濾過効率を発揮させるこ
とができるからである。
本発明の基部は、平均アスペクト比が3〜50、長軸方向
の平均長さが1〜1000μmの板状結晶が三次元網目状に
結合したものであることが必要である。
前記平均アスペクト比が3〜50であることが必要な理由
は、前記平均アスペクト比を3以上とすることによっ
て、炭化珪素質板状結晶によって構成される気孔の容積
を結晶の占める容積に比べて大きな基部、すなわち高い
気孔率を有する基部となすことができるからであり、一
方、前記平均アスペクト比が50よりも大きい板状結晶で
構成された基部は結晶相互の接合部が少ないため、基部
自体の強度が低いからである。なかでも前記板状結晶の
平均アスペクト比は5〜30であることがより好適であ
る。
また、前記板状結晶の長軸方向の平均長さが1〜1000μ
mであることが必要な理由は、長軸方向の平均長さが1
μmより小さいと前記板状結晶により形成される気孔が
小さく、場合によっては気孔の一部が独立気孔になって
いることがあり、流体の通過抵抗が大きいためであり、
一方、1000μmよりも長くなると、板状結晶の接合部の
強度が小さく、基部自体の強度が低いためである。なか
でも、前記板状結晶の長軸方向の平均長さは5〜500μ
mであることがより好適である。
なお、ここでいう板状結晶の長さは焼結体の任意の断面
において観察される個々の板状結晶の最大長さである。
本発明の基部は、平均断面積が1〜250000μm2の気孔を
有する焼結体であることが必要である。その理由は、気
孔の平均断面積が1μm2より小さいと、流体の通過抵抗
が大きく、フィルター等の用途にそれ程適さないためで
あり、一方、気孔の平均断面積が250000μm2より大きい
と焼結体自体の強度が低く実用的でないからである。前
記基部は、平均断面積が4〜90000μm2の気孔を有する
焼結体であることがより有利である。
そして、前記基部は焼結体の結晶100重量部のうち3〜5
0のアスペクト比を有する板状結晶は少なくとも20重量
部を占めることが好ましい。ところで、前記板状結晶の
含有量は結晶の構造写真を解析することにより求められ
る。ここで、前記焼結体が20重量部以上の3〜50のアス
ペクト比を有する板状結晶で占められていることが好ま
しい理由は、前記板状結晶が20重量部より少ないと、ア
スペクト比の小さい炭化ケイ素結晶が多く含まれること
になり、流体の通過抵抗が大きいからである。なかでも
前記板状結晶は前記焼結体の結晶100重量部のうち少な
くとも40重量部を占めることが有利である。
また、前記基部の気孔率は焼結体の全容積に対し20〜95
容積%であることが好ましい。その理由は気孔率が20容
積%よりも小さいと気孔の一部が独立気孔となり易く、
焼結体内を流体が通過する時の抵抗が大きいからであ
り、一方95容積%よりも大きいと、焼結体内を流体が通
過する時の抵抗は小さい反面、前記焼結体の強度が低
く、使用が困難となるためであり、なかでも前記気孔率
は焼結体の全容積に対し40〜70容積%であることが有利
である。
本発明の外層部は、平均断面積が0.01〜10000μm2の気
孔を有する焼結体であることが必要である。その理由
は、気孔の平均断面積が0.01μm2よりも小さいと流体の
通過抵抗が著しく大きくなるからであり、逆に10000μm
2よりも大きいと前記基部との接合強度が小さく、剥離
し易いからであり、なかでも前記外層部は、気孔の平均
断面積が0.25〜2500μm2の焼結体であることが有利であ
る。
そして、前記外層部の開放気孔率は30〜70容積%である
ことが好ましく、なかでも35〜65容積%であることが有
利である。
また、前記基部と外層部の接合強度は少なくとも100kgf
/cm2であることが好ましい。その理由は、接合強度が10
0kgf/cm2よりも小さいと流体の通過時における圧力によ
って、外層部が剥離したり破損したりし易いからであ
り、なかでも200kgf/cm2以上であることが有利である。
本発明の多孔質体は、前記フィルターの如き用途の他
に、例えば含油軸受や複合化骨材などの用途に対しても
有利に適用することができる。
次に本発明の多孔質体の製造方法について説明する。
本発明の第2発明の方法によれば、所定の平均断面積の
気孔を有する基部の外側面の少なくとも一部に、前記基
部の有する気孔の平均断面積よりも小さい平均断面積の
気孔を有する外層部が結合されてなる多孔質体は、
(a) 平均粒径が10μm以下の炭化珪素粉末であっ
て、β型結晶およびβ型結晶よりも低温安定型の結晶か
らなる炭化珪素を少なくとも50重量%含有する炭化珪素
粉末を所望の形状で0.2〜2.0g/cm3の密度を有する生成
形体に成形する工程、(b) 前記(a)工程により成
形された生成形体を非酸化性雰囲気中で1900〜2300℃の
温度範囲内で焼成し、平均アスペクト比が3〜50、長軸
方向の平均長さが10〜1000μmの板状結晶が三次元網目
状に結合し、かつ平均断面積が400〜250000μm2の気孔
を有する焼結体からなる基部となす工程、(c) 前記
(b)工程により得られた基部の外側面の少なくとも一
部に平均粒径が50μm以下の主として炭化珪素粉末層を
形成する工程および、(d) 前記(c)工程により得
られた炭化珪素粉末層が形成された基部を非酸化性雰囲
気中で1500〜2200℃の温度範囲内でかつ前記(b)工程
における焼成温度よりも低い温度に加熱し、前記炭化珪
素粉末層を平均断面積が0.01〜10000μm2の気孔を有す
る焼結体からなる外層部となし、かつ前記基部に結合す
る工程により製造することができ、本発明の第3発明に
よれば、所定の平均断面積の気孔を有する基部の外側面
の少なくとも一部に、前記基部の有する気孔の平均断面
積よりも小さい平均断面積の気孔を有する外層部が結合
されてなる多孔質体は、(イ)平均粒径が10μm以下の
炭化珪素粉末であって、アルミニウム、ホウ素、カルシ
ウム、クロム、鉄、ランタン、チタン、イットリウム、
エルビウムあるいはそれらの化合物から選ばれる何れか
少なくとも1種の含有量が炭化珪素100重量部に対して1
0重量部以下である炭化珪素粉末を所望の形状で0.2〜2.
0g/cm3の密度を有する生成形体に成形する工程、(ロ)
前記(イ)工程により成形された生成形体を非酸化性雰
囲気中で1700〜2300℃の温度範囲内で焼成し、平均アス
ペクト比が3〜50、長軸方向の平均長さが1〜200μm2
の板状結晶が三次元網目状に結合し、かつ平均断面積が
1〜15000μmの気孔を有する焼結体からなる基部とな
す工程、(ハ)前記(ロ)工程により得られた基部の外
側面の少なくとも一部に、平均粒径が50μm以下の主と
して炭化珪素粉末を形成する工程、および(ニ)前記
(ハ)工程により得られた炭化珪素粉末層が形成された
基部を非酸化性雰囲気中で1500〜2200℃の温度範囲内で
かつ前記(ロ)工程における焼成温度よりも低い温度に
加熱し、前記炭化珪素粉末層を平均断面積が0.01〜1000
0μm2の気孔を有する焼結体からなる外層部となし、か
つ前記基部に結合する工程により製造することができ
る。
本発明の第2発明は、特に長軸方向の平均長さが10〜10
00μmの板状結晶が三次元網目状に結合し、かつ平均断
面積が400〜250000μm2の気孔を有する焼結体からなる
基部を有する多孔質体を製造する方法であり、一方、本
発明の第3発明は、特に長軸方向の平均長さが1〜200
μmの板状結晶が三次元網目状に結合し、かつ平均断面
積が1〜15000μm2の気孔を有する焼結体からなる基部
を有する多孔質体を製造する方法である。
以下、本発明の第2発明の製造方法について説明する。
本発明の第2発明によれば、出発原料である炭化珪素粉
末は、平均粒径が10μm以下の炭化珪素粉末であって、
β型結晶およびβ型結晶よりも低温安定型の結晶からな
る炭化珪素を少なくとも50重量%含有するものであるこ
とが必要である。
前記炭化珪素粉末の平均粒径が10μm以下であることが
必要な理由は、平均粒径が10μm以下の粉末は、生成形
体を成形した際の粒子相互の接触点が比較的多く、また
焼成温度域での熱的活性が大であり、炭化珪素粒子間で
の拡散移動が著しく大きいため、炭化珪素粒子相互の結
合が極めて起り易いからである。したがって板状結晶の
成長性が著しく高く、特に前記平均粒径は5μm以下で
あることが板状結晶の成長性により好ましい結果が得ら
れる。
前記炭化珪素粉末がβ型結晶およびβ型結晶よりも低温
安定型の結晶からなる炭化珪素を少なくとも50重量%含
有するものであることが必要な理由は、前記β型結晶お
よびβ型結晶よりも低温安定型の結晶からなる炭化珪素
は、焼結に際し、その一部が4H,6Hあるいは15R型等の高
温安定型α型結晶に相転移して、板状結晶を生じ易く、
しかも結晶の成長性にも優れた特性を有し、特に50重量
%以上のβ型結晶およびβ型結晶よりも低温安定型の結
晶からなる炭化珪素を含有する炭化珪素粉末を用いるこ
とによって極めて好適に本発明の第2発明の多孔質体を
製造することができるからである。
本発明の第2発明によれば、前記炭化珪素粉末は、所望
の形状で0.2〜2.0g/cm3の密度を有する生成形体に成形
される。
前記生成形体の密度を0.2〜2.0g/cm3の範囲とする理由
は、0.2g/cm3よりも低い密度の生成形体は成形すること
が困難であるばかりでなく、炭化珪素粒子相互の接触点
が極めて少ないため実用的な強度を有する焼結体を得る
ことが困難であるからであり、一方、2.0g/cm3より高い
密度の生成形体も得ることが困難であるが、むしろ2.0g
/cm3よりも高い密度の生成形体を得たとしてもそれ程顕
著な効果が認められないからである。
なお、前記生成形体として特に低い密度のものを得る場
合には、原料である炭化珪素粉末中に焼結時に揮散した
り、分解したりしてしまうような物質であって、焼結に
悪影響を及ぼさないものを混合することもできる。
本発明の第2発明によれば、前記(a)工程により成形
された生成形体を非酸化性雰囲気中で1900〜2300℃の温
度範囲内で焼成し、平均アスペクト比が3〜50、長軸方
向の平均長さが10〜1000μmの板状結晶が三次元網目状
に結合し、かつ平均断面積が400〜250000μm2の気孔を
有する焼結体からなる基部が製造される。
前記生成形体を1900〜2300℃の温度範囲で焼成すること
が必要な理由は、前記焼成温度が1900℃よりも低いと板
状結晶の成長が不十分であり、高い強度を有する焼結体
を得ることが困難であり、一方、2300℃よりも高いと炭
化珪素の昇華が盛んになり、発達した板状結晶が逆にや
せ細ってしまい、その結果高い強度を持った焼結体を得
ることが困難になるためであり、なかでも1950〜2250℃
の範囲内で焼結することがより好適である。
本発明の第2発明によれば、前記(c)工程において、
前記(b)工程により得られた基部の外側面の少なくと
も一部に、平均粒径が50μm以下の主として炭化珪素粉
末よりなる粉末層が形成される。
前記平均粒径が50μm以下の主として炭化珪素粉末を用
いる理由は、平均粒径が50μmより大きいと平均断面積
の大きい気孔を有する外層部を得ることができるが、前
記基部との結合が不十分になり易く、高い接合強度を得
ることが困難であるからであり、なかでも20μm以下の
平均粒径を有する炭化珪素粉末を用いることが有利であ
る。
前記基部の少なくとも一部に、平均粒径が50μm以下の
主として炭化珪素粉末よりなる粉末相を形成する方法と
しては、前記粉末を媒液中に懸濁せしめたり、熱可塑性
樹脂に分散せしめたりして流動性を付与し、基部の開放
気孔中へ含浸する方法、圧入する方法あるいは基部の表
面に塗布したりする方法を適用することができ、その他
にドクターブレード法などの方法によって薄板状に成形
した生成形体を基部の表面に圧接する方法を適用するこ
とができる。
本発明の第2発明によれば、前記(c)工程において形
成された炭化珪素粉末層は、アルミニウム、ホウ素、カ
ルシウム、クロム、鉄、ランタン、ケイ素、チタン、イ
ットリウム、エルビウム、炭素あるいはそれらの化合物
から選ばれるいずれか少なくとも一種を炭化珪素100重
量部に対し0.01〜5重量部含有していることが好まし
い。その理由は、前記物質は炭化珪素の結晶の成長速度
を著しく高める働きがあり、炭化珪素結晶相互の結合を
強固にすることができるからである。前記物質の含有量
が0.01〜5重量部の範囲が好ましい理由は、前記含有量
が0.01重量部より少ないと接合を十分強固にすることが
困難であり、一方、5重量部より多くしても接合はそれ
程強固にはならず、むしろ前記物質の焼結体内に残留す
る量が多くなるため、炭化珪素本来の特性が劣化するか
らである。前記含有量はなかでも0.1〜3重量部の範囲
内であることがより好適である。
本発明の第2発明によれば、前記(d)工程において、
前記(c)工程により得られた炭化珪素粉末層が形成さ
れた基部を非酸化性雰囲気中で1500℃以上の温度範囲内
で、かつ前記(b)工程における焼成温度よりも低い温
度に加熱し、前記炭化珪素粉末相を平均断面積が0.01〜
10000μm2の気孔を有する焼結体からなる外層部とな
し、かつ前記基部に結合することが必要である。前記
(c)工程により得られた炭化珪素粉末層が形成された
基部を前記(b)工程における焼成温度よりも低い温度
に加熱する理由は、(b)工程における焼成温度と同等
あるいはそれ以上に加熱すると基部と外層部の気孔の平
均断面積が実質的に同じ程度となるからであり、また前
記焼成温度を1500℃以上とする理由は、前記温度が1500
℃よりも低いと実質的な強度を有する外層部となすこと
が困難であるからである。
以下、本発明の第3発明の製造方法について説明する。
本発明の第3発明によれば、出発原料である炭化珪素粉
末は、平均粒径が10μm以下の炭化珪素粉末であって、
アルミニウム、ホウ素、カルシウム、クロム、鉄、ラン
タン、チタン、イットリウム、エルビウムあるいはそれ
らの化合物から選ばれるいずれか少なくとも一種の含有
量が炭化珪素100重量部に対して10重量部以下であるこ
とが必要である。
前記炭化珪素粉末の平均粒径が10μm以下であることが
必要な理由は、平均粒径が10μm以下であることが必要
な粉末は、生成形体を成形した際の粒子相互の接触点が
比較的多く、また焼成温度域での熱的活性が大であり、
炭化珪素粒子間での拡散移動が著しく大きいため、炭化
珪素粒子相互の結合が極めて起こりやすいからである。
したがって板状結晶の成長性が著しく高く、特に前記平
均粒径は5μm以下であることが板状結晶の成長性によ
り好ましい結果が得られる。
前記炭化珪素粉末がアルミニウム、ホウ素、カルシウ
ム、クロム、鉄、ランタン、チタン、イットリウム、エ
ルビウムあるいはそれらの化合物から選ばれるいずれか
少なくとも一種を含有するものであることが必要な理由
は、前記物質は炭化珪素の結晶成長の速度を著しく高め
る働きがあり、さらに(ロ)工程における焼成時に前記
物質の蒸気および/または分解生成物の蒸気が生成し、
極めて多くの箇所で板状結晶の核を発生させるため、そ
の結果形成される板状結晶の大きさが制限され細かい組
織の三次元網目構造とすることができるからである。な
お、前記物質のうちホウ素、アルミニウム、イットリウ
ムおよびその化合物を含有するものであることが好適で
ある。
また、前記物質の含有量を10重量部以下に限定する理由
は、前記含有量が10重量部より多いと前記物質の焼結体
内に残留する量が多くなるため炭化珪素本来の特性が劣
化するからであり、なかでも5重量部以下であることが
好適である。
本発明の第3発明によれば、前記炭化珪素粉末は、所望
の形状で0.2〜2.0g/cm3の密度を有する生成形体に成形
される。
前記生成形体の密度を0.2〜2.0g/cm3の範囲とする理由
は、0.2g/cm3よりも低い密度の生成形体は成形すること
が困難であるばかりでなく、炭化珪素粒子相互の接触点
が極めて少ないため実用的な強度を有する焼結体を得る
ことが困難であるからであり、一方、2.0g/cm3より高い
密度の生成形体も得ることが困難であるが、むしろ、2.
0g/cm3よりも高い密度の生成形体を得たとしてもそれ程
顕著な効果が認められないからである。
なお、前記生成形体として特に低い密度のものを得る場
合には、原料である炭化珪素粉末中に焼結時に揮散した
り、分解したりしてしまうような物質であって焼結に悪
影響を及ぼさないものを混合することもできる。
本発明の第3発明によれば、前記(イ)工程により成形
された生成形体を非酸化性雰囲気中で1700〜2300℃の温
度範囲内で焼成し、平均アスペクト比が3〜50、長軸方
向の平均長さが1〜200μm2の板状結晶が三次元網目状
に結合し、かつ平均断面積が1〜15000μmの気孔を有
する焼結体からなる基部が製造される。
前記生成形体を1700〜2300℃の温度範囲で焼成すること
が必要な理由は、前記焼成温度が1700℃よりも低いと板
状結晶の成長が不十分であり、高い強度を有する焼結体
を得ることが困難であり、一方、2300℃よりも高いと炭
化珪素の昇華が盛んになり、発達した板状結晶が逆にや
せ細ってしまいその結果、高い強度を持った焼結体を得
ることが困難になるためであり、なかでも1750〜2250℃
の範囲内で焼結することがより好適である。
本発明の第3発明によれば、前記(ハ)工程において前
記(ロ)工程より得られた基部の外側面の少なくとも一
部に、平均粒径が50μm以下の主として炭化珪素粉末よ
りなる粉末層が形成される。
前記平均粒径が50μm以下の主として炭化珪素粉末を用
いる理由は、平均粒径が50μmより大きいと平均断面積
の大きい気孔を有する外層部を得ることができるが、前
記基部との結合が不十分になり易く、高い接合強度を得
ることが困難であるからであり、なかでも20μm以下の
平均粒径を有する炭化珪素粉末を用いることが有利であ
る。
前記基部の少なくとも一部に、平均粒径が50μm以下の
主として炭化珪素粉末よりなる粉末相を形成する方法と
しては、前記粉末を媒液中に懸濁せしめたり、熱可塑性
樹脂に分散せしめたりして流動性を付与し、基部の開放
気孔中へ含浸する方法、圧入する方法あるいは基部の表
面に塗布したりする方法を適用することができ、その他
にドクターブレード法などの方法によって薄板状に成形
した生成形体を基部の表面に圧接する方法を適用するこ
とができる。
本発明の第3発明によれば、前記(ハ)工程において形
成された炭化珪素粉末層は、アルミニウム、ホウ素、カ
ルシウム、クロム、鉄、ランタン、ケイ素、チタン、イ
ットリウム、エルビウム、炭素あるいはそれらの化合物
から選ばれるいずれか少なくとも一種を炭化珪素100重
量部に対し0.01〜5重量部含有していることが好まし
い。その理由は、前記物質は炭化珪素の結晶の成長速度
を著しく高める働きがあり、炭化珪素結晶相互の結合を
強固にすることができるからである。前記物質の含有量
が0.01〜5重量部の範囲が好ましい理由は、前記含有量
が0.01重量部より少ないと接合を十分強固にすることが
困難であり、一方、5重量部より多くしても接合はそれ
程強固にはならず、むしろ前記物質の焼結体内に残留す
る量が多くなるため、炭化珪素本来の特性が劣化するか
らである。前記含有量はなかでも0.1〜3重量部の範囲
内であることがより好適である。
本発明の第3発明によれば、前記(ニ)において前記
(ハ)工程により得られた炭化珪素粉末層が形成された
基部を非酸化性雰囲気中で1500℃以上の温度範囲内で、
かつ前記(ロ)工程における焼成温度よりも低い温度に
加熱し、前記炭化珪素粉末相を平均断面積が0.01〜1000
0μm2の気孔を有する焼結体からなる外層部となし、か
つ前記基部に結合することが必要である。前記(ハ)工
程により得られた炭化珪素粉末層が形成された基部を前
記(ロ)工程における焼成温度よりも低い温度に加熱す
る理由は、(ロ)工程における焼成温度と同等あるいは
それ以上に加熱すると基部と外層部の気孔の平均断面積
が実質的に同じ程度となるからであり、また前記焼成温
度を1500℃以上とする理由は、前記温度が1500℃よりも
低いと実質的な強度を有する外層部となすことが困難で
あるからである。
次に本発明を実施例により詳細に説明する。
実施例1 出発原料として94.6重量%がβ型結晶よりなり0.39重量
%の遊離炭素、0.17重量%の酸素、0.03重量%の鉄、0.
03重量%のアルミニウムを主として含有し、平均粒径が
0.28μmの炭化珪素微粉末を使用した。
前記炭化珪素微粉末100重量部に対し、ポリビニルアル
コール5重量部、水300重量部を配合し、ボールミル中
で5時間混合した後乾燥した。
この乾燥混合物を適量採取し、顆粒化した後金属製押し
型を用いて50kg/cm2の圧力で成形した。この生成形体の
密度は1.2g/cm3であった。
ついで、前記生成形体を外気を遮断することのできる黒
鉛ルツボに装入し、タンマン型焼成炉を使用して1気圧
のアルゴンガス雰囲気中で焼成した。焼成は2.5℃/min
で2250℃まで昇温し、最高温度2250℃で6時間保持し
た。
得られた焼結体の結晶構造は、第2図の走査型電子顕微
鏡写真(75倍)に示したようにアスペクト比が5〜10の
炭化珪素板状結晶が複雑に絡み合った三次元網目構造を
有し、この開放気孔の平均断面積は14400μm2、板状結
晶の平均アスペクト比は7.5、同結晶の長軸方向の平均
長さは150μmであり、そしてアスペクト比が3〜50の
板状結晶の焼結体中に占める割合は約95重量%と推定さ
れた。また、この焼結体の開放気孔率は63容積%であっ
た。この焼結体を基部とする。
次いで、前記炭化珪素粉末100重量部にポリビニルアル
コール5重量部、炭化率が35%のフェノールレジン5重
量部および水100重量部とを配合し、混合したスラリー
を前記焼結体の表面へ噴霧して炭化珪素粉末層を形成し
た。
前記炭化珪素粉末層が形成された焼結体をタンマン型焼
成炉に装入し、5/分の割合でアルゴンガスを流しな
がら900℃まで2.5℃/分、900〜1800℃まで10℃/分で
昇温し、1800℃で一時間保持した。得られた焼結体は第
1図の走査型電子顕微鏡写真(150倍)に示したように
先に得られた焼結体の外側面に前記焼結体の有する気孔
の平均断面積よりも小さい平均断面積の気孔を有する外
層部が結合されていた。
前記外層部の気孔の平均断面積は約1.4μm2、開放気孔
率は約56容積%であり、また前記焼結体と外層部との接
合強度は280kgf/cm2であった。
この外層部が結合された焼結体をフィルターとして使用
し、平均断面積の大きな気孔を有する焼結体側から外層
部側へ0.1〜100μmの粒度分布の炭化珪素粒子を5重量
%懸濁している懸濁液を0.14kgf/cm2の濾過圧力で通水
したところ初期の通水量は12.9m3/h.m2であり、このフ
ィルターの100%捕集径は0.5μm、95%捕集径は0.2μ
mと極めて優れたフィルター特性を有してした。
また、このフィルターを上記条件で18時間使用したとこ
ろ、濾過圧力は0.9kgf/cm2まで上昇したが約10分間の超
音波逆洗浄により、濾過機能を殆ど回復させることがで
きた。
比較例1 実施例1で製造された焼結体であるが、外層部を有しな
い焼結体を使用して実施例1と同様のフィルター試験を
行った。通水量は14.8m3/h.m2であり、100%捕集径は18
μm、95%捕集径は11μmであった。
実施例2〜7、比較例2〜7 実施例1とほぼ同様であるが、第1表に示す如く種々条
件を変化させて外層部が結合された焼結体を製造し、実
施例1と同様のフィルター試験を行った。フィルター試
験の結果は第2表に示した。
なお、実施例2および比較例2は出発原料として実施例
1で使用した炭化珪素粉末と平均粒径が8.4μmのα型
炭化珪素粉末との混合粉末を使用した例、実施例3〜4
および比較例3〜4は基部となる焼結体を得るための焼
結温度を変化させた例、実施例5および比較例5は外側
面の炭化珪素粉末層の厚さを変化させた例、実施例6〜
7および比較例6〜7は外層部となる焼結体を得るため
の焼結温度を変化させた例である。
実施例8 実施例1で使用した炭化珪素粉末100重量部に対し、非
晶質ホウ素1重量部、ポリエチレングリコール1重量
部、ポリアクリル酸エステル4重量部、ベンゼン100重
量部を配合し、ボールミル中で20時間混合した後乾燥し
た。
この乾燥混合物を適量採取し、顆粒化した後金属製押し
型を用いて1500kg/c2の圧力で成形した。この生成形体
の密度は2.0g/cm3であった。
ついで、前記生成形体を外気を遮断することのできる黒
鉛ルツボに装入し、タンマン型焼成炉を使用して1気圧
のアルゴンガス雰囲気中で焼成した。焼成は5℃/分で
2100℃まで昇温し、最高温度2100℃で4時間保持した。
得られた焼結体は、開放気孔の平均断面積が25μm2、平
均アスペクト比が10で長軸方向の平均長さが13μmの板
状結晶が複雑に絡み合った三次元網目構造を有してお
り、3〜50のアスペクト比を有する板状結晶の焼結体中
に占める割合は約96重量%と推定された。また、この焼
結体の開放気孔率は31容積%であった。この焼結体を厚
さ10mmの板状に加工したものを基部とする。
ついで、前記炭化珪素粉末100重量部に非晶質ホウ素1
重量部、ポリビニルアルコール3重量部および水100重
量部等を配合し、混合したスラリーを前記基部の表面か
ら加圧含浸して炭化珪素粉末層を形成した。
前記炭化珪素粉末層が形成された焼結体をタンマン型焼
成炉に装入し、10/分の割合でアルゴンガスを流しな
がら2000℃まで10℃/分で昇温し、1時間保持した。得
られた焼結体の外層部は気孔の平均断面積が約0.49μ
m2、開放気孔率が約48容積%であり、又前記焼結体と外
層部との接合強度は970kgf/cm2であった。
この外層部が形成された焼結体を外径が30mm、内径が15
mmのリング状に加工した後、スピンドル油を含浸させ
た。次いでこの焼結体とステンレス鋼(SUS 304)との
摺動試験をリングオンリング法で行った。摺動速度は15
m/秒、端面荷重は20kgf/cm2に設定した。
この場合の摩擦係数は0.08〜0.10、2000時間後の焼結体
の摩擦量は2.5μmであり、摺動特性に極めて優れてい
ることが認められた。
実施例9〜16、比較例8〜14 実施例8とほぼ同様であるが、第3表に示す如く種々条
件を変化させて外層部が結合された焼結体を製造し、実
施例8と同様の摺動試験を行った。摺動試験の結果は第
4表に示した。
なお、実施例9および比較例8は出発原料の粒径を変化
させた例、実施例10〜12および比較例9は添加剤の種類
と添加量を変化させた例、実施例13〜14および比較例10
〜11は基部となる焼結体を得るための焼結温度を変化さ
せた例、実施例15および比較例12は外層部となる炭化珪
素粉末層を構成する炭化珪素粉末の粒度を変化させた
例、実施例16および比較例13〜14は外層部となる焼結体
を得るための焼結温度を変化させた例である。
前記比較例のうち比較例9の外層部は、焼成時に剥離し
てしまった。
(発明の効果) 以上述べた如く、本発明の多孔質炭化珪素焼結体は高温
雰囲気、酸化性雰囲気および/または腐食性雰囲気で使
用される濾過フィルター、酸化発熱反応あるいは高温下
における化学反応用の触媒あるいは触媒担体、摺動材料
および複合体用骨材等の用途に優れた材料であって、産
業上極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1に記載の基部を構成する焼結体と外層
部を構成する焼結体の結合部分の結晶構造を示す走査型
電子顕微鏡写真(750倍)、第2図は実施例1に記載の
基部を構成する焼結体の結晶構造を示す走査型電子顕微
鏡写真(75倍)、第3図は実施例1に記載の外層部を構
成する焼結体の結晶構造を示す走査型電子顕微鏡写真
(750倍)、第4図は従来の多孔質炭化珪素焼結体の構
造を示す模式図である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の平均断面積の気孔を有する基部の外
    側面の少なくとも一部に、前期基部の有する気孔の平均
    断面積よりも小さい平均断面積の気孔を有する外層部が
    結合されてなる多孔質炭化珪素焼結体であって、 前期基部は、平均アスペクト比が3〜50、長軸方向の平
    均長さが1〜1000μmの板状結晶が三次元網目状に結合
    し、かつ平均断面積が1〜250000μm2の気孔を有する焼
    結体であり、一方、前記外層部は平均断面積が0.01〜10
    000μm2の気孔を有する焼結体であることを特徴とする
    多孔質炭化珪素焼結体。
  2. 【請求項2】下記(a)〜(d)工程からなることを特
    徴とする所定の平均断面積の気孔を有する基部の外側面
    の少なくとも一部に、前期基部の有する気孔の平均断面
    積よりも小さい平均断面積の気孔を有する外層部が結合
    されてなる多孔質炭化珪素焼結体の製造方法。 (a) 平均粒径が10μm以下の炭化珪素粉末であっ
    て、β型結晶およびβ型結晶よりも低温安定型の結晶か
    らなる炭化珪素を少なくとも50重量%含有する炭化珪素
    粉末を所望の形状で0.2〜2.0g/cm3の密度を有する生成
    形体に成形する工程; (b) 前記(a)工程により成形された生成形体を非
    酸化性雰囲気中で1900〜2300℃の温度範囲内で焼成し、
    平均アスペクト比が3〜50、長軸方向の平均長さが10〜
    1000μmの板状結晶が三次元網目状に結合し、かつ平均
    断面積が400〜25000μm2の気孔を有する焼結体からなる
    基部となす工程; (c) 前記(b)工程により得られた基部の外側面の
    少なくとも一部に平均粒径が50μm以下の主として炭化
    珪素粉末層を形成する工程;および、 (d) 前記(c)工程により得られた炭化珪素粉末層
    が形成された基部を非酸化性雰囲気中で1500〜2200℃の
    温度範囲内でかつ前記(b)工程における焼成温度より
    も低い温度に加熱し、前記炭化珪素粉末層を平均断面積
    が0.01〜10000μm2の気孔を有する焼結体からなる外層
    部となし、かつ前記基部に結合する工程。
  3. 【請求項3】前記(c)工程において形成される炭化珪
    素粉末層は、アルミニウム、ホウ素、カルシウム、クロ
    ム、鉄、ランタン、ケイ素、チタン、イットリウム、エ
    ルビウム、炭素あるいはそれらの化合物から選ばれる何
    れか少なくとも1種を、炭化珪素100重量部に対し0.01
    〜5重量部含有する特許請求の範囲第2項記載の製造方
    法。
  4. 【請求項4】下記(イ)〜(ニ)工程からなることを特
    徴とする所定の平均断面積の気孔を有する基部の外側面
    の少なくとも一部に、前期基部の有する気孔の平均断面
    積よりも小さい平均断面積の気孔を有する外層部が結合
    されてなる多孔質炭化珪素焼結体の製造方法。 (イ)平均粒径が10μm以下の炭化珪素粉末であって、 アルミニウム、ホウ素、カルシウム、クロム、鉄、ラン
    タン、チタン、イットリウム、エルビウムあるいはそれ
    らの化合物から選ばれる何れか少なくとも1種の含有量
    が炭化珪素100重量部に対して10重量部以下である炭化
    珪素粉末を所望の形状で0.2〜2.0g/cm3の密度を有する
    生成形体に成形する工程; (ロ)前記(イ)工程により成形された生成形体を非酸
    化性雰囲気中で1700〜2300℃の温度範囲内で焼成し、平
    均アスペクト比が3〜50、長軸方向の平均長さが1〜20
    0μmの板状結晶が三次元網目状に結合し、かつ平均断
    面積が1〜1500μm2の気孔を有する焼結体からなる基部
    となす工程; (ハ)前記(ロ)工程により得られた基部の外側面の少
    なくとも一部に、平均粒径が50μm以下の主として炭化
    珪素粉末を形成する工程; および (ニ)前記(ハ)工程により得られた炭化珪素粉末層が
    形成された基部を非酸化性雰囲気中で1500〜2200℃の温
    度範囲内でかつ前記(ロ)工程における焼成温度よりも
    低い温度に加熱し、前記炭化珪素粉末層を平均断面積が
    0.01〜10000μm2の気孔を有する焼結体からなる外層部
    となし、かつ前記基部に結合する工程。
  5. 【請求項5】前記(ハ)工程において形成される炭化珪
    素粉末層は、アルミニウム、ホウ素、カルシウム、クロ
    ム、鉄、ランタン、ケイ素、チタン、イットリウム、エ
    ルビウム、炭素あるいはそれらの化合物から選ばれる何
    れか少なくとも1種を、炭化珪素100重量部に対し0.01
    〜5重量部含有する特許請求の範囲第4項記載の製造方
    法。
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