JPH07100260B2 - ワイヤ放電加工機のワイヤ電極案内装置 - Google Patents

ワイヤ放電加工機のワイヤ電極案内装置

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JPH07100260B2
JPH07100260B2 JP1324068A JP32406889A JPH07100260B2 JP H07100260 B2 JPH07100260 B2 JP H07100260B2 JP 1324068 A JP1324068 A JP 1324068A JP 32406889 A JP32406889 A JP 32406889A JP H07100260 B2 JPH07100260 B2 JP H07100260B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、ワイヤ放電加工機に関し、特に、被加工物と
ワイヤ電極とが微小間隙を介して対向する放電加工部の
両側に設けられる一対のワイヤガイド装置を有して、ワ
イヤ電極を一定送り路沿いに案内するワイヤ電極案内装
置の改良に関する。
〔従来の技術〕
一般にワイヤ放電加工機は被加工物とワイヤ電極とを微
小間隙を介して対向させ、これら両者に通電して上記微
小間隙に放電を生起させるとともに被加工物とワイヤ電
極とを相対的に移動させて被加工物を放電のエネルギー
によって加工するものである。ワイヤ電極はその収納リ
ールから被加工物と対向する放電加工部を通過してワイ
ヤ電極巻き上げローラまたはワイヤ電極回収箱に向け常
時送られ、放電時の電極消耗による断線事故の発生を予
防する処置が採られている。また、従来よりワイヤカッ
ト放電加工機においては、放電加工部の上下にワイヤガ
イド装置を設け、これらの両者のワイヤガイド装置によ
りワイヤ電極を縦方向に案内するワイヤ電極案内装置を
構成し、常に被加工物とワイヤ電極との間の微小間隙を
介した対向配置を一定の状態に維持することにより放電
加工精度を保つ構成が採られている。そしてこのワイヤ
ガイド装置は同時にワイヤ電極に対する冷却水の供給や
放電加工部に対する加工液の供給の手段をも有し放電加
工を安定化している。
然しながら、放電加工部において放電エネルギーの変動
やワイヤ電極の線材径の不均一性等のため断線事故の発
生を完全に回避することは困難である。このために断線
事故の発生時に一時的にワイヤガイド装置のワイヤ電極
通路を拡張してワイヤ電極新線を誘導、挿通させる、所
謂、自動装填を行い得るようにする自動結線構造も一般
的には必須の構造として設けられている。このように、
ワイヤ電極が安定して放電加工部を通過するように案内
すると共にワイヤ電極通路を拡張可能にしたワイヤ電極
案内装置の一従来例が、本出願人の出願に係る特公昭61
−54530号公報に開示されている。即ち、この特公昭61
−54530号公報に開示されたワイヤカット放電加工機の
ワイヤ電極案内装置は、V溝付きのワイヤガイドのV溝
形成面に向けて接近、離反動作を直線的に行う当板を具
備し、この当板がV溝付きのワイヤガイドのV溝形成面
に略衝接するとき、V溝内を通過するワイヤ電極が該V
溝に押圧されるようにしてV溝壁面の案内でワイヤ電極
が安定に走行し得るようにしているものである。
〔発明が解決しようとする課題〕
然しながら、上述の従来例によるワイヤ電極案内装置に
よると、上下ワイヤガイド装置の構成は、V字型ワイヤ
電極案内溝を有したワイヤガイドをハウジングに固定
し、そのV字溝が設けられた面に当板を常時ばね力で押
し当てるようにし、該当板は伸縮ベローズ機構の一端に
結合してあり、ワイヤ電極案内用V字溝を拡張するとき
には、上記伸縮ベローズ機構に空気圧力を供給してベロ
ーズの伸長によって当板をワイヤガイドの面から引き離
す構成となっている。このとき、上記V字型ワイヤ電極
案内溝内に挿通されたワイヤ電極を該V字溝面に当板で
押圧する力の調節は当板の動きを制限するストッパの先
端位置をねじ調節可能にして、ワイヤ電極を当板で押圧
する力を調節し、かつ、押さえ過ぎないようにしてい
る。故に、ワイヤカット放電加工機の作業現場における
実際の調節作業においては、ワイヤ電極がV溝路を通過
しようとする際の押圧力が適正な値になるように、ワイ
ヤ電極の張力をテンションゲージで測定しながら、当板
の動きを制限するストッパの先端位置をねじで調節する
という構成となっていた。この作業は煩瑣であり、微妙
な調節には熟練を要するため、当板によるワイヤ電極の
押圧力は必然的にばらつく傾向があり適正なワイヤ押圧
力を得ることは困難であった。更に、長時間を費して適
正な押圧力に調節した場合でも、ワイヤ電極の走行に応
じてワイヤガイドのV字溝面や当板の摩耗により押圧力
は経時的に変動するため定期的に上記作業を行ない押圧
力を調節する必要があった。しかもストッパ調節ねじ
は、放電加工時にはワークの下に隠れているため、ワー
ク加工中に押圧力を調節する必要が生じた場合、加工を
中断して一旦ワークを取外してから調節を行なわねばな
らず、作業進行上、煩瑣、被能率的である等の問題があ
った。
よって本発明はこれらの問題点を解決し、適正なワイヤ
電極の押圧力を容易に得ることのできるワイヤ放電加工
機のワイヤ電極案内装置を提供すること目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、上述の目的に鑑みて、当板によりワイヤ電極
をワイヤガイドの固定部の溝に押付ける際に前記当板の
移動を外部入力信号に応じて変位量を調節可能な圧電ア
クチュエータを用いて微調節可能とすることによって、
前記当板とワイヤガイド固定部溝との間隙を調節し、も
ってワイヤ押圧力を適正値に調節するように構成したも
のである。更に詳述すると、本発明によれば、ワイヤ放
電加工部の両側にそれぞれ離間配置され、ワイヤ電極を
支持する一対のワイヤガイド装置を有し、ワイヤ電極と
被加工物とを相対移動させて放電加工をおこなうワイヤ
放電加工機において、前記一対のワイヤガイド装置のう
ち少くとも一方は、ハウジングに固定されワイヤ電極を
受承する溝を有した固定部及び該固定部の溝にワイヤ電
極を押圧する当板から成るワイヤガイドと、該ワイヤガ
イドの当板を前記ワイヤガイドの固定部の溝に対向した
接近位置と離反位置との間で移動させる当板移動機構
と、前記当板が前記接近位置にあるとき、外部入力信号
に応じて変位量を調節可能な圧電アクチェエータを用
い、前記当板のワイヤ電極への押圧位置を微調節する押
圧位置調節手段を具備したことを特徴とするワイヤ放電
加工機のワイヤ電極案内装置が提供される。
また、本発明によれば、ワイヤ放電加工部の両側にそれ
ぞれ離間配置され、ワイヤ電極を支持する一対のワイヤ
ガイド装置を有し、ワイヤ電極と被加工物とを相対移動
させて放電加工をおこなうワイヤ放電加工機において、
前記一対のワイヤガイド装置のうち少くとも一方は、ハ
ウジングに固定されワイヤ電極を受承する溝を有した固
定部及び該固定部の溝にワイヤ電極を押圧する当板から
成るワイヤガイドと、該ワイヤガイドの当板を前記ワイ
ヤガイドの固定部の溝に対向した接近位置と離反位置と
の間で移動させる当板移動機構と、前記ワイヤガイドの
固定部の溝に受承したワイヤ電極に対して電気当板によ
って押圧力を発生させる押圧力発生手段と、 該押圧力発生手段による押圧力の作用に対抗して前記当
板の移動を制止する押圧力受承用のストッパ手段及び、
該押圧力受承用のストッパ手段を外部入力信号に応じて
前記押圧力方向に微細に進退させることのできる圧電ア
クチュエータを有し、前記当板のワイヤ電極への押圧位
置を細調節する押圧位置調節手段とを備えたことを特徴
とするワイヤ放電工加工機のワイヤ電極案内装置が提供
される。
〔作 用〕
請求項1の発明では、圧電アクチュエータの変位量を電
圧信号等の外部入力信号により調節することにより、当
て板のワイヤ電極への押圧位置が直接的に微調節され、
ワイヤ電極の押圧力の調節が行なわれる。また、請求項
2の発明では、圧電アクチュエータへの電圧信号等の外
部入力信号に応じてストッパ手段を微細に進退させるこ
とにより、当板のワイヤ電極への押圧位置が間接的に微
調節され、ワイヤ電極の押圧力の調節が行なわれる。
上記いずれの場合も、ワイヤ電極の押圧力の調節は適宜
な位置に設けた外部入力装置から行うことができる。
〔実施例〕
第1図は、本発明の1実施例に係るワイヤ電極案内装置
を構成する下ワイヤガイド装置の外観斜視図であり、第
2図は本発明に係るワイヤ電極案内装置が具備されるワ
イヤ放電加工機の放電加工部を示した斜視図、第3図
は、第1図のワイヤ電極案内装置の旋回アーム機構にお
けるアクチュエータの実施例の構成を示した断面図、第
4図はアクチュエータの作動原理を示す略示図である。
さて、第2図を参照すると、ワイヤ放電加工機の機体8
の前面に設けられた放電加工部が図示されており、同放
電加工部12には被加工ワークが取付けられるワーク取付
台14が具備され、このワーク取付台14の上方と下方にワ
イヤ電極10の縦方向走行を案内支持する上ワイヤガイド
装置16と下ワイヤガイド装置18とが具備されている。上
記ワーク取付台14は平面内において、図示のように直交
するX軸、Y軸の2軸方向に移動可能に形成されてお
り、縦方向に走行するワイヤ電極10に対してワークを相
対的に上記2軸方向に移動させ、ワイヤ電極との間で微
小間隙を介して放電を生起させ、放電加工を進捗させる
ようにし、所望の形状を得るものである。ここで、ワイ
ヤ電極10は一般的に図示されていないワイヤ電極供給源
となるワイヤ電極供給ボビンから種々のガイドローラや
テンションローラーを経て一定の張力を付与した状態で
放電加工部に誘導される。ローラ20はそのガイドローラ
の1つを示し、また、このガイドローラ20を経たワイヤ
電極10がワイヤ電極送給ローラ機構22を経て上ワイヤガ
イド装置16を上方に到達している。上ワイヤガイド装置
16の直上方にはワイヤ電極誘導装置24が設けられ、これ
は、放電加工部12においてワイヤ電極10の断線が発生し
たときに新しいワイヤ電極端を上ワイヤガイド装置16に
誘導してワイヤ電極10の自動結線を可能にする装置であ
り、近時のワイヤ放電加工機では必須の構成要素を成し
ている。なお、上ワイヤがイド装置16は一般的に下ワイ
ヤガイド装置18に対して上下に接近、離反動作(Z軸動
作)可能に設けられており、ハンドル6を回すことによ
り上ワイヤガイド装置16はワイヤ電極誘導装置24と一体
的に上下動するのである。また上ワイヤガイド装置16
は、前述のX軸及びY軸の平面と平行な別の平面内で直
交するU軸、V軸の2軸方向に移動変位可能に構成され
て、ワイヤ電極10を垂直線から傾斜させ、これに依って
被加工ワークに対してテーパ孔や傾斜面等のテーパ加工
を行い得るようにしている。
なお、ワイヤ電極10は上ワイヤガイド装置16を出てから
被加工ワークを微小間隙を隔てて通過し、アーム26の先
端のベース26aに保持された下ワイヤガイド装置18に案
内され、その後、例えば、図示例では下ワイヤガイド装
置18の直下で略直角に曲げられ、図示されていない適宜
のガイドローラやワイヤ電極巻き上げローラ等を経て機
体の適所に設けた巻き取りローラ或いはワイヤ電極回収
箱内に回収される。尚、放電加工部12は加工液の飛散を
防止する適宜のカバー28により、囲繞されている。
さて、本発明は上述したワイヤ放電加工機に具備される
ワイヤ電極案内装置の上下ワイヤガイド装置16,18の少
なくとも一方に設けられる改善された構造に関するもの
であり、以下に下ワイヤガイド装置18に対して改善構造
を設けた実施例に就いて説明する。
第1図を参照すると、同図は上記第2図における下ワイ
ヤガイド装置18の外側ケースを取り除いた構成を示して
おり、同下ワイヤガイド装置18は前記ベース26aに取付
けられたハウジングに固定された固定側ワイヤガイド30
を有し、この固定側ワイヤガイド30は、例えば、サファ
イヤ等の電気絶縁性と耐摩耗性を有した材料で形成さ
れ、その前面にV字型の溝32がワイヤ電極10の案内溝と
して刻設されている。この固定側ワイヤガイド30のV溝
32が形成された前面と対向した配置で同じくサファイヤ
等で形成された当板34が設けられ、この当板34はブラケ
ット部材36にねじ止め等の取り外し可能な結合手段によ
り止着されており、該ブラケット部材36は旋回軸38に固
定された旋回アーム40の先端に固着されている。従っ
て、当板34は、ブラケット部材36に取付けられた状態で
旋回アーム40と共に旋回軸38の旋回中心に対して円弧に
沿って旋回動作が可能であり、この旋回動作により、固
定側ワイヤガイド30の前面に対向、接近して後述のよう
に、ワイヤ電極10をV字溝32壁面へ押圧する対向、接近
位置と、その位置から退避した離反位置へ移動可能に構
成されている。なお、必要に応じて上記ブラケット部材
36と旋回アーム40とは一体形成部材としてもよい。この
固定側ワイヤガイド30と可動側ワイヤガイドである当板
34とで1組のワイヤガイドを成している。上記旋回軸38
は下方に延び、2個所に配置された回転軸受42,44によ
り回転可能に支持されており、更に旋回軸38の上記軸受
42,44の取付部の中間には、大径部38aが形成され、該大
径部38aから略直角に突出した突桿46を備えている。
この突桿46の両側にはそれぞれ作動桿56,58が設けられ
ており、左側の作動桿58は後述する押圧力発生手段に押
され上記突桿46を矢印Cの方向に押圧しており、右側の
作動桿56は、該作動桿を圧力空気等の流体圧で進退させ
るシリンダ52とアクチュエータとを備えた押圧力調節装
置70に接続されている。この押圧力調節装置70について
は後述する。
上記作動桿56の機能の1つはワイヤガイドの前記当板34
をV字溝32壁面から離反した位置に移動させることであ
り、この場合作動桿56は前記シリンダ52に導入された流
体の圧力で図の矢印B方向に前進させられる。この動作
により作動桿56は前記突桿46と、それに当接している作
動桿58とを前記押圧力発生手段の押圧力に抗して矢印B
方向に押動し、旋回軸38を旋回軸心回りに矢印Aの方向
にアーム40と共に旋回させ、その結果当板34を前記離反
位置へ移動させる。また、作動桿56に作用していた流体
圧が解除されると作動桿58は前記押圧力発生手段の押圧
力を受け、突桿46と作動桿56とを矢印C方向に押動し、
旋回軸38を矢印Aと反対方向に旋回させるため、当板34
はアーム40の旋回運動によって前記V字溝32壁面に対向
した接近位置に移動する。作動桿56には、後述するスト
ッパが設けられており、作動桿56の矢印C方向への移動
を制限しているため、当板34はV字溝32壁面と適切な間
隙を介して保持され、当板34はV字溝32内を上方から下
方へ走行するワイヤ電極10を適度な押圧力でV溝32の壁
面に押圧し、それによってワイヤ電極10が確実にワイヤ
ガイド30のV溝32による案内作用を受けて安定に走行す
る。
ワイヤガイド30と当板34との対向時に形成されるV溝32
内のワイヤ電極案内路を通過したワイヤ電極10は給電子
90を通過する。このとき、ワイヤ電極10には被加工ワー
クとの間に放電電力が供給されるのである。この際に、
ワイヤ電極10と給電子90との間の機械的かつ電気的接触
を良好に保持するために1対のVブロック92a,92bが給
電子90の上下に対向配置され、これら1対のVブロック
92a,92bは連結桿94で結合され、同期してワイヤ電極10
に対して進退可能に構成されている。Vブロック92a,92
bの前面にはV字溝が形成され、これらVブロック92a,9
2bが矢印Dの方向に前進してワイヤ電極10を給電子90の
給電面90aに圧接するのである。また、Vブロック92a,9
2bが矢印Eの方向に後退すると、ワイヤ電極10は自由状
態になる。即ち、ワイヤ電極10の初期設定時や断線補修
時には、両Vブロックは後退作動されるのである。な
お、上記Vブロック92a,92bの進退動作は、前述した当
板34の接近位置と離反位置との2位置間での移動と同期
して流体作動型のシリンダ装置96a,96bに依って起動さ
れるように成っている。
さて、前記作動桿56,58は第3図に示すように前記突桿4
6の左右に設けたシリング52,54内に滑動可能に取付けら
れている。上記シリンダ54の作動桿58後方には、前記押
圧力発生手段として押圧ばね60が取付ねじ62との間に取
着されており、作動桿58を介して常時突桿46を矢印C方
向に押圧している。
また右側の作動桿56にはシリンダ52との接触部にOリン
グ51が設けられ、シリンダ52に空気入口53から圧力空気
を導入するとにより作動桿56が図の左方向(矢印B方
向)に動作し、突桿46を押動して軸38を矢印A方向に旋
回させ、当板34に前記V溝32壁面からの離反動作を行な
わせるようになっている。更に、上記作動桿56の右側に
は、前記当板34が前記V溝32壁面に接近した位置にある
場合に前記押圧ばね60の押圧力に対向して作動桿56の右
方向への移動を制止するストッパ71と、該ストッパ71を
押圧力方向に前進、後退させる圧電アクチュエータ72、
及び差動ねじ機構を有するアジャスタ73とを備えた押圧
位置調節装置70が設けられている。
上記圧電アクチュエータは積層型圧電素子(例えば東北
金属製NLA−2×3×18)から構成されている。積層型
圧電素子は多数の内部電極層を持つ固体素子で電極に電
圧を付加すると電界方向(図では圧電アクチュエータ72
の長手方向)に伸びる性質を有しており、応答性が速い
ことや伸長時の発生力が大きいこと、機械的強度が大き
いこと等の特長を有している。更に上記に加えて印加電
圧に対する変位(伸び量)が非常に小さいため本発明に
用いた場合非常に精密なストッパ位置調節が可能となっ
ている。本実例においては、電圧に対する圧電アクチュ
エータの伸びは100Vの電圧に対して15μm程度であり、
印加電圧の調節によりμm単位の精度でストッパ71の位
置の調節が可能である。また、伸長の際の発生力は同様
に100Vの印加電圧に対して最大30kg/cm2程度と大きく、
前記作動桿58の押圧ばね60による押圧力に余裕を持って
対抗することができる。
上記圧電アクチュエータ72の後端部は第3図に示すよう
にアジャスタ73のベース74の中心に設けた保持孔に挿入
され、接着剤若しくは同様の手段で上記保持孔に固着さ
れており、電圧を印加するためのワイヤ77は保持孔から
外部に導かれ、電圧信号発生器(図示せず)に接続され
ている。また、圧電アクチュエータ前端部はストッパ71
の中心部に設けた、ドリル加工等による深穴78に挿入さ
れ、上記前端部はボールを介して深穴78の底面に当接
し、更に接着剤若しくは同様の手段で深穴78に固着され
ている。ここでボールは圧電アクチュエータと深穴78の
ドリル加工による円錐底面との接触を確保するのに用い
られ、同時に圧電アクチュエータの曲りを防いでいる。
ストッパ71は円柱状の部材であり、シリンダ52内に挿入
された前記アジャスタ73のアジャスタベース76と一体の
スリーブ79内に滑動可能に保持されており、ストッパ71
の一端は前記作動桿56の端部に当接し、作動桿56の右方
向への動きを制止している。また、ストッパ71の外周に
は軸線に平行な溝80が設けられ、前記スリーブ79に取り
付けた止ねじ81の先端部と係合しており、後述する、差
動ねじによる動作位置調節の際ストッパ71の回転を防止
すると共にストッパ71を軸線方向に移動可能としてい
る。
アジャスタ73は、ベース74、ノブ75、アジャスタベース
76から構成されており、アジャスタベース76は環状に形
成された部材で環状部内面にはピッチAの雌ねじ85が形
成されている。またアジャスタベース76の一側には前述
のようにストッパ保持用のスリーブ79が形成されており
該スリーブ79にストッパ71を挿入し、回転防止用止ねじ
81を取付けた後この部分をシリンダ52に挿入してアジャ
スタベース76をワイヤガイドのベット部83に取付ボルト
84で取付けている。
またノブ75は環状の溝を有する円板状の部材であり、上
記環状溝外周部にはピッチAの雄ねじ86が形成されてお
り前記アジャスタベース76の内周に形成されたピッチA
の雌ねじと螺合してノブ75の環状溝とアジャスタベース
76の環状部とが係合するようになっている。上記ノブ75
の中央部には、内周にピッチBの雌ねじ87が設けらてお
り、前記圧電アクチュエータ72を保持したベース74外周
に設けたピッチBの雄ねじ88と螺合し、ベース74を保持
するようになっている。
上記アジャスタ73は前記アクチュエータ72を移動させス
トッパ71を所定の作動位置近傍に来るように概略調節す
るためものであり、概略調節後の押圧力の精密な調節は
圧電アクチュエータ72により行なわれる。
上記アジャスタ73によるストッパ71の位置調節は、ノブ
75を回転させ、いわゆる差動ねじ機構を用いて行なわれ
る。すなわち、前記ねじ85,86のピッチAはねじ87,88の
ピッチBより大きく設定してあり、例えばノブ75を図の
左方向に進むように1回転させるとノブ75は左方向にね
じ85,86の1ピッチ分(A)だけ前進する。このとき、
ベース74はストッパ71に嵌合した圧電アクチュエータ72
を介してストッパ71の止めねじ81により回転を阻止され
ているため、ノブ75と共に回転せず静止している。この
ためノブ75とベース74との間に相対回転が生じ、ねじ8
7,88によりベース74はノブ75に対して右方法にねじ87,8
8の1ピッチ分(B)だけ進行する。ところが前述のよ
うにノブ75は左方向にAだけ進んでいるため、ベース74
はヘッドボディー83に対してはピッチAとBとの差(A
−B)だけ左方向に進むことになり圧電アクチュエータ
72を介してストッパ71を突桿46を押す方向へ前進させ
る。同様に、ノブ75を上記の回転方向と反対に1回転さ
せた場合もストッパ71は突桿46から離反する方向に(A
−B)だけ後退することになる。このように差動ねじ機
構を用いることによって、加工の困難な微細ピッチのね
じを用いることなく、通常のねじを使用して、ストッパ
71の位置を精度良く調節することができる。この調節精
度を更に向上させるためストッパ71とスリーブ79との間
には、ばね89が設けられ、ストッパ71とアクチュエータ
72を介してベース74を右方向に押圧しており、ねじ85と
86,87と88の遊びを吸収して、ストッパ71の右方向動作
と左方向動作との間の遊びが生じないようにしている。
また、前述のように、当板34をワイヤガイド固定部30か
ら離反させるため、シリンダ52には圧力空気を導入して
作動桿56を突桿46に向けて移動させることから、シリン
ダ52の気密を保つ必要があるため、ねじ85〜88の噛合部
から空気が洩れないように各接触面にはシール82が設け
られている。
次に上記押圧位置調節装置70を用いたワイヤ電極の押圧
力の調節操作について説明する。
前述のように、ワイヤ電極10をワイヤガイドのV溝32に
挿通する操作は当板34をV溝32面から離反した位置に移
動させて行なう。このときシリンダ52には空気入口53か
ら圧力空気が導入され、作動桿56は、押圧ばね60の押圧
力に抗して突桿46、作動桿58を押動して軸38を第1図矢
印Aの方向に旋回させる。ワイヤ電極挿通後シリンダ52
の圧力を抜くと、シリンダ56はばね60の押圧力により作
動桿56、突桿46に押されて後退するため、軸38は上記と
反対方向に旋回して、当板34がV溝32壁面に押上てら
れ、ワイヤ電極10を押圧する。このときワイヤ電極10に
はばね60により発生する強い押圧力(数kg)が加わって
いる。次にこの状態から前記アジャスタ73のノブ75を回
動させることによりストッパ71の概略位置を調節する。
この作業は従来同様ワイヤの張力をテンションゲージを
用いて監視しながら行なうが、この段階の調節は精密で
ある必要はなく、例えば適正な張力レベル(通常1〜10
g程度)に対し、これより大きい張力で、ある一定範囲
内(例えば10〜50g)になるようにストッパ71の位置を
調節する。従来この作業は熟練を要したが、本実施例で
はストッパ位置の調節を上記一定範囲内に概略調節すれ
ば良いこと、及びアジャスタ73に差動ねじ機構を採用
し、細かい調節が簡単にできるようになったことから、
従来に較べてはるかに簡単に調節できるようになってい
る。
次に上記の状態から前記圧電アクチュエータ72に電圧信
号を印加する。これにより圧電アクチュエータは伸長
し、前記ばね60の押圧力に抗してストッパ71を微動させ
て旋回軸38を介して当板34をV溝32壁面から上記電圧信
号に応じた距離だけ離反させる。この調節も同様に、ワ
イヤ電極の張力を監視しながら行ない、アジャスタ73に
より設定した上述の大きな張力を圧電アクチュエータに
加える電圧信号を調節して適正レベルの張力にまで下げ
て行く。圧電アクチュエータ72の動作は前述のようにμ
m単位の調節が可能であるため、この調節作業も簡易、
迅速かつ精密に行なうことができる。また一旦設定した
間隙は上記印加電圧を保持することにより一定に維持さ
れ、更に印加電圧を増減することで簡単に変更できる。
第4図(A)は上記調整作業を略示した図で、図中の参
照番号は対応部品について上記実施例と同じ番号を用い
ている。
第4図(A)に示すように当板34は旋回軸38と突桿46を
介して押圧ばね60によV溝壁面32に押圧されており、ワ
イヤ電極の押圧力の調節はストッパ71を移動させ、当板
34と固定側ワイヤガイド30との間隙Cを設定することに
より行なわれる。この間隙を精度良く調節するため本実
施例では圧電アクチュエータ72が用いられているが、圧
電アクチュエータはμm単位の微妙な動作が可能である
が動作範囲が狭いため、これを補い概略位置設定を行な
うためアジャスタ73が用いられている。すなわち、図に
示した距離aの移動はアジャスタで行ない、移動後の調
整範囲bは圧電アクチュエータ72にり精密に行なうよう
にしたものである。本実施例においては押圧ばね60とス
トッパ71とは旋回軸38を介して適度なレバー比で圧電ア
クチュエータ72の動作を増幅して当板34を動作させてい
るが、第4図(B)に示すように旋回軸を介さず圧電ア
クチュエータ72の動作を直接当板に伝達するようにして
も良い。また、第4図(C)に示すように押圧ばね60を
用いずに当板34を圧電アクチュエータ72で直接的にワイ
ヤ電極10に押し当てると共に押圧位置を変化させ、その
押圧力を微調節するようにしても良い。
また、上記実施例においては圧電アクチュエータ72に印
加する電圧は直流であるが、前記アジャスタ73によりス
トッパ概略位置を調節後、圧電アクチュエータ72に交流
電圧を印加し、それにより突桿46を介して旋回軸38を回
転振動させることも可能である。この回転振動により旋
回軸の摩擦抵抗、特にシール類のゴムによる抵抗を除去
した状態で当板34とワイヤ電極10とを当接し、再現性良
好に押圧力調節が可能となる。
更に、本実施例においては、ワイヤ電極押圧力は圧電ア
クチュエータの印加電圧をオペレータが調節することに
より行なわれるが、例えばワイヤ電極の張力を監視する
適宜なセンサを用いて、その出力をフィードバックする
ことにより、加工中も含めて、常に押圧力を自動的に適
正レベルに保持することも可能であり、ワイヤ電極の押
圧力過大に起因する断線を完全に防止することができ
る。また同様にワイヤ電極の押え圧の設定プログラムを
ワイヤ放電加工機のNC制御装置に組込めば、人間の手を
介することなく自動的にワイヤ電極押圧力を設定するこ
とも可能である。
〔発明の効果〕
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、ワイ
ヤ放電加工機のワイヤ電極案内装置が備える上下ワイヤ
ガイド装置の少くとも一方において、固定側ワイヤガイ
ドの溝部にワイヤ電極を押圧する当板を設け、アクチュ
エータにより当板のワイヤ電極への押圧位置を微調節し
たり、該当板の押圧力に対抗して該当板と固定側ワイヤ
ガイドと間隙を一定の値に保持するストッパを設け、こ
のストッパ位置を外部から調節可能とすることにより、
ワイヤ電極に加わる押圧力を常に適正レベルに維持する
ことができる。また、上記ワイヤ電極押圧力の調節は外
部から電圧等の信号をアクチュエータに入力することに
より行なわれ、しかも精密な調節が可能である。またこ
の調節は従来、熟練作業者が手作業で行なう必要があ
り、作業も煩瑣で、頻繁に調節することは困難であった
が、本発明によれば、誰でも簡易迅速に調節が行なえ、
加工作業の途中でも調節可能である。このためワイヤ電
極の押圧力変更の必要が生じた場合にも迅速に対応で
き、種々の条件下においてワイヤ電極押圧力を適切に設
定できる。その結果、被加工ワークに対する放電加工精
度の向上、放電加工中のワイヤ電極断線発生率を低下さ
せることができる。
また、本発明によればワイヤ電極押圧力の調節作業に要
する時間を低減し、作業効率を効上させることができる
のみでなく、ワイヤ張力のモニタを付加し、ワイヤ張力
を常時監視することにより周囲条件が変わってもワイヤ
電極押圧力を設定値に自動調節するように、又、ワイヤ
放電加工機のNC装置にプログラムを組込むことによりワ
イヤ押圧力の設定を自動的に行なうようにすることも可
能である。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の1実施例に係るワイヤ電極案内装置
を構成する下ワイヤガイド装置の外観斜視図であり、第
2図は本発明に係るワイヤ電極案内装置が具備されるワ
イヤ放電加工機の放電加工部を示した斜視図、第3図
は、第1図のワイヤ電極案内装置の旋回アーム機構にお
けるアクチュエータの実施例の構成を示した、第1図の
III−III線に沿う断面図、第4図(A),(B),
(C)は本発明のワイヤ電極案内装置の作動原理を示す
略示図である。 8……機体、10……ワイヤ電極、 12……放電加工部、14……ワーク取付台、 16……上ワイヤガイド装置、 18……下ワイヤガイド装置、 30……固定側ワイヤガイド、 32……V溝、34……当板、 38……旋回軸、40……旋回アーム、 46……突桿、52……シリンダ、 56,58……作動桿、60……押圧ばね、 71……ストッパ、 72……圧電アクチュエータ、 73……アジャスタ。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ワイヤ放電加工部の両側にそれぞれ離間配
    置され、ワイヤ電極を支持する一対のワイヤガイド装置
    を有し、ワイヤ電極と被加工物とを相対移動させて放電
    加工をおこなうワイヤ放電加工機において、 前記一対のワイヤガイド装置のうち少くとも一方は、ハ
    ウジングに固定されワイヤ電極を受承する溝を有した固
    定部及び該固定部の溝にワイヤ電極を押圧する当板から
    成るワイヤガイドと、 該ワイヤガイドの当板を前記ワイヤガイドの固定部の溝
    に対向した接近位置と離反位置との間で移動させる当板
    移動機構と、 前記当板が前記接近位置にあるとき、外部入力信号に応
    じて変位量を調節可能な圧電アクチュエータを用い、前
    記当板のワイヤ電極への押圧位置を微調節する押圧位置
    調節手段と、 を具備したことを特徴とするワイヤ放電加工機のワイヤ
    電極案内装置。
  2. 【請求項2】ワイヤ放電加工部の両側にそれぞれ離間配
    置され、ワイヤ電極を支持する一対のワイヤガイド装置
    を有し、ワイヤ電極と被加工物とを相対移動させて放電
    加工をおこなうワイヤ放電加工機において、 前記一対のワイヤガイド装置のうち少くとも一方は、ハ
    ウジングに固定されワイヤ電極を受承する溝を有した固
    定部及び該固定部の溝にワイヤ電極を押圧する当板から
    成るワイヤガイドと、 該ワイヤガイドの当板を前記ワイヤガイドの固定部の溝
    に対向した接近位置と離反位置との間で移動させる当板
    移動機構と、 前記ワイヤガイドの固定部の溝に受承したワイヤ電極に
    対して前記当板によって押圧力を発生させる押圧力発生
    手段と、 該押圧力発生手段による押圧力の作用に対向して前記当
    板の移動を制止する押圧力受承用のストッパ手段及び、
    該押圧力受承用のストッパ手段を外部入力信号に応じて
    前記押圧力方向に微細に進退させることのできる圧電ア
    クチェエータを有し、前記当板のワイヤ電極への押圧位
    置を微調節する押圧位置調節手段と、 を備えたことを特徴とするワイヤ放電加工機のワイヤ電
    極案内装置。
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