JPH0699783B2 - 焼結ステンレス鋼とその製造方法 - Google Patents

焼結ステンレス鋼とその製造方法

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JPH0699783B2
JPH0699783B2 JP59114428A JP11442884A JPH0699783B2 JP H0699783 B2 JPH0699783 B2 JP H0699783B2 JP 59114428 A JP59114428 A JP 59114428A JP 11442884 A JP11442884 A JP 11442884A JP H0699783 B2 JPH0699783 B2 JP H0699783B2
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【発明の詳細な説明】 (発明の分野) 本発明は、マトリクスと分散相からなる焼結ステンレス
鋼であって、フェライト−オーステナイト二相系金属組
織からなるマトリクスにオーステナイト系金属組織から
なる分散相が分散する耐応力腐食割れ性に優れた焼結二
相系ステンレス鋼およびその製造方法に関する。
特にCO2−H2Sを含む塩化物含有環境(CO2−H2S−Cl-
下において著しく優れた耐応力腐食割れ性を有する焼結
二相系ステンレス鋼に関する。
(従来技術) 最近のエネルギー事情は年々深部での油井・ガス井開発
を促しており、使用される油井掘削用、原油・天然ガス
採取用の継目無鋼管(以下、油井管と総称する)に要求
される性能は益々厳しくなっている。こうした油井環境
の特徴は、益々スウィート化、サワー化していることで
あり、高温・高圧していることである。つまり、このこ
とは、多量のCO2ガスと、H2Sガスならびに高濃度のCl-
イオンを含有する高温・高圧の湿潤環境下で油井管が使
用されることを意味している。
多量のCO2ガスと極微量のH2SガスやCl-を含む環境下で
は従来の低Cr鋼にかわりマルテンサイト系の13Crステン
レス鋼が使用されているが、深井戸の高温環境下では13
Crステンレス鋼といえども全面腐食や孔食が問題であ
り、また高強度化しているものは微量のH2Sでの硫化物
応力腐食割れ(以下、単に“SCC"という)を起こしやす
い欠点を有している。
このように、H2Sガス濃度がやや高い油井・ガス井環境
では13Crステンレス鋼といえども十分な性能を有してい
るとは言いがたく、したがって、ここ数年来はH2Sガス
濃度がやや高くSCCの危険性がある場合には13Crステン
レス鋼にかわり22〜25%Crを含有するフェライト−オー
ステナイトの二相ステンレス鋼が使用されるようになっ
てきている。
二相ステンレス鋼の特徴はSCC限界応力値が同等成分の
オーステナイト系ステンレス鋼ならびにフェライト系ス
テンレス鋼に比べ高く、耐SCC性に優れていること、な
らびに高強度、高靱性であることである。
第1図は、発明者の一人が二相ステンレス鋼の耐応力腐
食割れ(以下、耐SCC)特性について「防食技術」vol.3
0,No.4(pp.218〜226)に報告したものである。25Cr−6
Ni二相ステンレス鋼(○印)とそのフェライト相相当成
分を有する28Cr−4Niフェライトステンレス鋼(●印)
およびオーステナイト相相当成分を有する21Cr−9Niオ
ーステナイトステンレス鋼(△印)の3鋼種を別々に溶
解し、耐SCC性を427K、45%MgCl2溶液中で評価した結果
をまとめたものである。縦軸は耐力に対するSCC限界応
力値の比(σth/σ0.2)を示し、高い方が耐SCC性は優
れている。横軸は破断に至るまでの時間であり長い方が
優れている。25Cr−6Ni二相ステンレス鋼(○印)はオ
ーステナイト相相当成分鋼(△印)およびフェライト相
相当成分鋼(●印)いずれよりも破断時間が600hr以上
となるσth/σ0.2が高く、耐SCC性に対し著しく優れて
いることを示している。
このように二相ステンレス鋼のSCC抵抗性が高い理由と
しては最初Fontanaらによりフェライト相のKeying効果
が考えられ、またUhligら、Shimodairaらによりその機
構が検討された。発明者の一人は先の報告の中におい
て、二相ステンレス鋼の耐SCC性はフェライトおよびオ
ーステナイト各相の化学組成ではなく二相混合共存の組
織によるところが大きく、マトリクスに島状に分布して
いるオーステナイト相のKeying効果によると報告した。
第2図は、二相ステンレス鋼のSCCの伝播の様子を模式
的に示したものであるが、SCCは、図中、太黒線で示す
ように、フェライト相内を伝播し、島状に分布するオー
ステナイト相を迂回して、オーステナイト相で伝播を阻
止(Keying効果)されるのが特徴である。
ところで、第3図は、発明者の一人がCO2−H2S−Cl-
境におけるフェライト−オーステナイト二相ステンレス
鋼の耐食性、特に耐SCC性について種々実験を重ねて検
討した結果得たデータを、J.MATERIALS FOR ENERGY SYS
TEMS,vol.5,No.1,June 1983,pp.59〜66に報告したもの
である。現在市販されている代表的な二相ステンレス鋼
としては22Cr系二相ステンレス鋼と25Cr系二相ステンレ
ス鋼とがあり、それぞれ22Cr−5Ni−3Mo、25Cr−7Ni−3
Moの成分系を有している。第3図はこのうちの25Cr系の
二相ステンレス鋼の30atm CO2、25%NaCl溶液中で温度
とPH2Sを変化させながら耐SCC性を評価した結果であ
る。図中、 がSCCを発生したことを示す。第3図よりPH2Sはおよそ
0.1atmが使用環境としての上限であることがわかる。SC
Cの発生した試験片にはフェライト相の選択溶解とこれ
を起点とするSCCが認められた。
Cr含有量を増加させることにより耐食性をさらに一層改
善した二相ステンレス鋼も成分的には考えられるが、σ
相生成に伴う製造上の問題より製品化は困難である。
したがって、現在のところ二相ステンレス鋼を使用した
のでは耐食性の点で問題のあるようなより厳しい油井環
境では、Hastelloy C 276(15Cr−16Mo−3.4W−1.0Co−
60Ni−Bal.Fe)、MP 35N(20Cr−10Mo−35Co−35Ni−B
al.Fe)といった高合金が用いられている。これらの高
合金は高価なMoあるいはCoおよびNiを多量に含有するた
めそれ自体極めて高価であるばかりでなく、熱間加工性
も極めて悪く、製造性も悪い。
(発明の目的) 本発明の第一の目的は、CO2およびH2Sを含む塩化物含有
環境下で、従来のフェライト−オーステナイト二相系ス
テンレス鋼に比較して耐SCC性を顕著に改善したステン
レス鋼を提供することである。
本発明の別の目的は、CO2およびH2Sを含む塩化物含有環
境下で、Niを多量に含有するオーステナイトステンレス
鋼の代替として耐SCC性を飛躍的に改善した二相系ステ
ンレス鋼を提供することである。
さらに本発明の別の目的は、従来はMo、WおよびNiとい
った高価な合金元素を多量に含有する高合金しか使用で
きなかった厳しいCO2−H2S−Cl-湿潤環境においても使
用できる安価で高耐食性の、耐SCC性に著しく優れた二
相系ステンレス鋼を提供することにある。
さらに本発明の別の目的は粉末冶金法による飛躍的に耐
SCCが改善され靱性にも優れた焼結ステンレス鋼を製造
する方法を提供することにある。
(発明の要約) 重量%で22〜25%のCrを含有する従来のフェライト−オ
ーステナイト二相ステンレス鋼では微量のH2Sを含有し
たCO2−Cl-環境においても全面腐食、孔食ならびにSCC
発生の問題があり、硫化水素分圧がおよそ0.1atm以上の
CO2−H2S−Cl-環境においては多量のNi、Mo、W等を含
有する高価なオーステナイト系高合金が用いられてい
る。本発明者らは二相ステンレス鋼の耐食性改善を試み
たが、フェライト−オーステナイト二相系ステンレス鋼
の耐食性劣化の原因がフェライト相の選択腐食であり、
また高Cr、高Moの高耐食性フェライト系ステンレス鋼で
もCO2−H2S−Cl-環境においては良好な耐食性を発揮で
きないことから、フェライト−オーステナイト二相ステ
ンレス鋼では耐食性の劣化は避けがたいと考えた。
他方で本発明者らは、多量のCO2ガス、H2Sガス、Cl-
オンを含有する油井環境においてオーステナイト系高合
金の耐食性と鋼中Cr、Ni、Moの効果を検討してきた。第
4図ないし第6図は発明者の一人が20%NaCl+0.5%CH3
COOH−1.0MPaCO2−PH2S−250℃でのPH2Sの環境とCr、N
i、Moの影響を種々実験、検討して得たデータをNACE CO
RROSION′84で報告したものである。これらの結果か
ら、PH2Sに関係なく、少なくとも、重量%で、20%以上
のCrと、20%以上のNiと、3%以上のMoを含有すること
が耐食性を確保するうえで必要であることを確認でき
た。その後、第7図に示すように、オーステナイト系ス
テンレス鋼には温度条件に応じて、Cr量とNi量との間に
は耐SCC性に関し一定の相関関係があることを見い出す
に至り(図中、斜線領域は、20%NaCl+0.5%CH3COOH、
1.0MPaH2O−1.0MPaCO2の条件下で良好な耐SCC性を示す
領域である)、それらの知見にもとずいて何種かの新規
なオーステナイト系高合金を開発するに至ったが、すで
に述べたような二相ステンレス鋼のKeying効果によるSC
C限界応力値改善効果を最大限に発揮させた、より安価
なステンレス鋼を開発することはできないかという思い
は強く、その後もその開発手段を追求しつづけてきた。
その結果、CO2−H2S−Cl-環境下で良好な耐食性を発揮
するオーステナイトステンレス鋼と、フェライト−オー
ステナイト二相系ステンレス鋼とをそれぞれ別々に溶解
し、これを粉末として凝固させた後に所定の割合で混合
して焼結することにより、混合前のフェライト−オース
テナイト二相系ステンレス鋼粉の成分を有する二相系ス
テンレス鋼粉以上の優れた耐SCC性を発揮することがで
きることを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨とするところは、マトリクス相
と分散相とからなる焼結ステンレス鋼であって、フェラ
イト−オーステナイト二相系金属組織からなるマトリク
ス相にオーステナイト系金属組織からなる分散相が分散
する耐応力腐食割れ性に優れた焼結二相系ステンレス鋼
であって、マトリクス相のCr、Ni、Mo成分が重量%で下
記の範囲であり、必要に応じてNを重量%で0.30%以下
含有してもよい。
Cr:20.0%以上、30.0%以下 Ni:4.0%以上、12.0%以下 Mo:2.0%以上、5.0%以下 また、前記分散相のCr、Ni、Mo成分が重量%で下記の範
囲であり、必要に応じてNを重量%で0.30%以下含有し
てもよい。
Cr:20.0%以上 Ni:20.0%以上、60.0%以下 Mo:3.0%以上 本発明によれば、使用する環境に応じて好ましくは上記
範囲内においてマトリクス成分、ならびに分散相の成分
を自由に選択できる。さらにフェライト−オーステナイ
ト二相組織のマトリクス中に島状に分散した耐SCC性に
優れたオーステナイト相のKeying効果によりSCCの限界
応力値はマトリクスを形成しているフェライト−オース
テナイト二相系ステンレス鋼が単独で存在する場合に比
べ著しく高くなる。二相系ステンレス鋼のSCCの限界応
力値はもともとこれを形成するフェライト相あるいはオ
ーステナイト相がそれぞれ単独で存在する場合よりも高
いが、発明におけるごとく耐SCC性に優れたオーステナ
イト系ステンレス鋼が島状に分散する場合にはたとえマ
トリクス側をSCCが伝播したとしても分散相をSCCは迂回
して伝播せざるを得なく、さらにはSCCの伝播は分散相
により停止する。この様子を第8図に示す。なお、第2
図には従来の溶解材の二相ステンレス鋼におけるSCCの
伝播を示しているが、両者の比較からも明らかなよう
に、SCC伝播に対する分散相の役割は本質的には同一で
ある。
ここで、本発明によれば、そのマトリクスは; Cr:20.0%〜30.0%、 Ni:4.0%〜12.0%、 Mo:2.0%〜5.0% を含有するが、その場合のマトリクスの各成分の限定理
由を以下に記す。
Cr:20.0%未満では、マルテンサイト相の生成等で問題
があり、30.0%を越えるとσ相生成等の問題がある。σ
相が生成した場合には熱間での加工性、および耐食性が
劣化する。
CO2およびH2Sを含有する塩化物含有環境で耐食性を確保
するめにはCrは20%以上必要である。
以上の理由により、好ましくはCrを20.0%以上、30.0以
下に限定する。
Ni:Crを20.0%以上、30.0以下とした場合、金属組織を
二相組織とするためにはNiは少なくとも4.0%以上必要
である。しかし、12.0%を越えたNiは本発明鋼において
適正な二相組織を得る目的より必要でない。
Mo:耐食性を確保するうえで2.0%以上必要である。本発
明鋼においては5.0%を越えたMoは必要としない。
N:Nは重要なオーステナイト相生成元素であり、高温で
のオーステナイト相生成を容易にする効果がある。必要
に応じて0.30%以下のNを含有させることがある。
このようにCr、Ni、Moともに本発明に係る鋼の基本的な
耐食性を決定する重要な元素である。
ところで本発明に係る鋼においては分散相であるオース
テナイト系金属組織はCO2およびH2Sを含む塩化物含有環
境下での耐SCC性を飛躍的に改善するための、Keying効
果を発揮させるための分散相でありその成分範囲は極め
て重要である。H2Sを含有する塩化物環境でSCCを発生し
ないためには少なくとも重量%で、20.0%以上のCrと、
20.0%以上のNiと、3%以上のMoを含有することが必要
である。一方でNiは水素脆性を促進するため60.0%以下
とすることが必要である。したがって、好適態様とし
て、本発明にあっては、分散相のオーステナイト系金属
組織の成分を重量%で Cr:20.0%以上 Ni:20.0%以上、60.0%以下 Mo:3.0%以上 と限定した。
(発明の態様) 本発明に係る焼結ステンレス鋼は、基本的製造工程とし
て圧粉成形、冷間静水圧プレス(Cold,Isostatic,Prres
sing、以下略して、“CIP"という)、焼結、熱間静水圧
プレス(Hot,Isostatic,Pressing、以下略して、“HIP"
という)、冷間押出し、冷間抽伸、熱間押出し、鍛造、
圧延等のうち1種以上の工程を経て製造された焼結ステ
ンレス鋼と、これに必要に応じて適宜熱処理を施して得
られた焼結ステンレス鋼を包含する。
また、本発明において云うオーステナイト相にはオース
テナイト単相は云うまでもなく、本発明の趣旨に反しな
い限り、例えば微量のマルテンサイト相あるいは他の析
出相の存在する金属組織相も包含されることは明らかで
ある。さらにマトリクス相および分散相には通常のステ
ンレス鋼に含有される不純物の他に、Ti、Nb、Zr等の安
定化元素ならびにS、Pb、Se、La、Te、Ca等の被削性改
善成分を含有させても良い。またAlを合金元素として添
加しても良い。
なお、各ステンレス鋼粉の製造履歴、さらにはステンレ
ス鋼粉の形態、粉度分布についても、本発明の趣旨に反
しない限り、特に制限されない。
本発明はマトリクスと分散相とからなる焼結ステンレス
鋼にあって、フェライト−オーステナイト二相系金属組
成からなるマトリクス相に、オーステナイト系金属組織
が分散する二相組織となし、その耐SCC性を飛躍的に改
善しょうとするものである。したがって、本発明の好適
態様にあっては少なくとも分散相をなすオーステナイト
系金属組織相の耐SCC性はマトリクスを形成するフェラ
イト−オーステナイト二相系金属組織相の耐SCC性より
も優れている必要がある。使用する環境によっては、SC
Cを発生しないために、必要なCr、Ni、Mo量は異なり、
マトリクス成分の耐食性および使用される腐食環境を考
慮しつつその分散相の適正成分を選ぶ必要がある。
次に実施例によって本発明をさらに説明する。
実施例1 第1表に示した各ステンレス鋼粉を第2表に示した混合
割合で混合した後、鋼製カプセルに充填し加熱しながら
真空に引いて内部を脱気して密閉した。真空引きの条件
は1×10-5mmHgで500℃×1hrである。保持温度は室温で
も良いが、内部の水分を除去する目的より加熱した方が
より効果的である。その場合の加熱は500℃以下でも十
分である。
次いで、これを熱間静水圧法(HIP)により2000気圧の
圧力をかけながら1080℃で1時間焼結を実施した。
HIPの具体的条件については使用するステンレス鋼粉の
成分により最適条件は変化する。十分な緻密化と結晶が
進行する条件を選択する必要がある。ここで上記の条件
をみたすかぎりは低い温度の方が望ましいことは作業製
の点からも望ましいことは言うまでもない。
得られた焼結体は1200℃に加熱してから1時間保持した
後、厚さ30mm×幅60mm×長さ70mmの仕上げ寸法にまで熱
間鍛造した。次いでこの鍛造材を大気中で1200℃に再度
加熱したのち厚さ7mm×幅60mmにまで加熱圧延し、1120
℃×30分保持後、水冷した。その後40%の冷間加工を加
えた。
このようにして得た焼結ステンレス鋼の板材から試片を
切り出して常温での引張試験、シャルピー衝撃試験、耐
SCC評価試験を実施した。
常温での引張試験は平衡部が直径3mm、長さ20mmの丸棒
引張試験片で実施した。
シャルピー衝撃試験は2Vノッチ付JIS4号ハーフサイズ
(5mmt)を用い−20℃で実施した。
耐SCC性は第9図に示すいわゆるT型治具を使った4点
拘束試験片を使って行った。試験片としては中央部にU
字切欠きを設けたものを使用した。試験片寸法は75×10
×2mmで中央部の切欠きは0.25Rであった。かかる形状の
試験片を用いて20%NaCl+0.05、0.1および0.5atmH2S+
25atmCO2の環境下で耐食性を評価した。試験時間は2000
hrであり、温度は150℃であった。付加応力は1.0×σ
とした。この付加応力の計算式は第10図に示す通りであ
る。
結果をまとめて第2表に示す。
実施例2 第1表に示したステンレス鋼粉を用い継目無鋼管を製造
した。
第2表に示した混合割合でステンレス鋼粉を混合した
後、鋼製の外径200mm×内径60mm×長さ30mmのカプセル
に装入し、500℃に加熱しながら内部を真空引きした。
真空引きの条件は1×10-5mmHgである。加熱、真空引き
の状態で3hr保持した後カプセルを密閉した。
カプセルを密閉後、冷間静水圧法(CIP)により常温、6
000kg/cm2×1min保持の条件でカプセル内の密度を均一
とし低気孔率化した。次に電気炉で1250℃に加熱した
後、熱間押出しにより外径73mm、肉厚7mmの継目無鋼管
とした。これを1130℃で40分保持後水冷し、その後30%
の冷間加工を加えて試験に共した。
耐SCC性をC−リング型試験片を用いて実施例1の場合
と同一条件で評価した。このC−リングテストはASTM G
38−73に準じて行った。試験片形状は第11図に示すとお
りである。結果は第2表にまとめて示す。
第2表に示す結果より、本発明にかかる鋼種1〜4はい
ずれの条件下でもすぐれた耐SCC性を示した。鋼種5,6も
本発明にかかるものであるが、H2S量が増加するにつれ
て耐食性が低下し、孔食も見られた。これは第1表から
もわかるように、オーステナイト系ステンレス鋼粉のCr
含有量が20%未満と低く、かつNi、Moのいずれかの含有
量が本発明の好適範囲を外れるためである。
比較鋼である鋼種7は分散相としてフェライト系ステン
レス鋼組成の相を使用してもより苛酷な条件下では割れ
が発生することを示す。
以上説明したように本発明によれば、SCC発生の問題よ
り従来の二相ステンレス鋼が使用困難であるため多量の
Mo、WおよびNiを含有する高価な高合金であるオーステ
ナイト系ステンレス鋼を用いざるを得なかったように、
多量のCO2ガス、H2SガスおよびCl-イオンを含有する高
温、高圧環境下でも優れた耐食性を発揮する耐SCC性に
優れた安価なオーステナイト系ステンレス鋼が得られ
る。
このことからも本発明は産業上の利用性が極めて高いと
言わざるを得ない。
【図面の簡単な説明】
第1図は、従来の二相ステンレス鋼、オーステナイト系
ステンレス鋼およびフェライト系ステンレス鋼の耐SCC
性を示すグラフ; 第2図は、SCC伝播の機構を模式的に示す略式説明図; 第3図は、従来のフェライト−オーステナイト二相系ス
テンレス鋼の耐SCCを示すグラフ; 第4図ないし第6図は、それぞれCr(%)、Ni(%)お
よびMo(%)と耐SCC性との関係を示すグラフ; 第7図は、Cr(%)とNi(%)とが耐SCCに及ぼす影響
を示すグラフ; 第8図は、本発明に係る焼結オーステナイト系ステンレ
ス鋼にみられるSCC伝播機構を模式的に示す略式説明
図;および 第9図ないし第11図は、本発明に係る鋼の耐SCC性評価
試験の試験要領を示す略式説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西口 勝 兵庫県尼崎市西長洲本通1丁目3番地 住 友金属工業株式会社中央技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭52−138409(JP,A) 特開 昭56−139604(JP,A) 特開 昭57−57860(JP,A) 特開 昭57−169002(JP,A)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マトリクス相と分散相とからなる焼結ステ
    ンレス鋼であって、フェライト−オーステナイト二相系
    金属組織からなるマトリクス相にオーステナイト系金属
    組織からなる分散相が分散し、前記マトリックス相のC
    r、Ni、Mo成分が重量%で下記の範囲であることを特徴
    とする耐応力腐食割れ性に優れた焼結二相系ステンレス
    鋼。 Cr:20.0%以上、30.0%以下 Ni:4.0%以上、12.0%以下 Mo:2.0%以上、5.0%以下
  2. 【請求項2】前記分散相のCr、Ni、Mo成分が重量%で下
    記の範囲であることを特徴とする特許請求の範囲第1項
    記載の耐応力腐食割れ性に優れた焼結二相系ステンレス
    鋼。 Cr:20.0%以上 Ni:20.0%以上、60.0%以下 Mo:3.0%以上
  3. 【請求項3】前記マトリクス相および/または分散相が
    Nを重量%で0.30%以下含有することを特徴とする特許
    請求の範囲第1項または2項記載の耐応力腐食割れ性に
    優れた焼結二相系ステンレス鋼。
  4. 【請求項4】フェライト−オーステナイト二相系ステン
    レス鋼粉と、オーステナイト系ステンレス鋼粉とを混合
    し、しかるのち、圧粉成形して焼結する方法であって、
    前記フェライト−オーステナイト二相系ステンレス鋼粉
    のCr、Ni、Mo成分が重量%で下記の範囲であることを特
    徴とする、耐応力腐食割れ性にすぐれた焼結二相系ステ
    ンレス鋼の製造方法。 Cr:20.0%以上、30.0%以下 Ni:4.0%以上、12.0%以下 Mo:2.0%以上、5.0%以下
  5. 【請求項5】前記オーステナイト系ステンレス鋼粉のC
    r、Ni、Mo成分が重量%で下記の範囲であることを特徴
    とする特許請求の範囲第4項に記載の耐応力腐食割れ性
    にすぐれた焼結二相系ステンレス鋼の製造方法。 Cr:20.0%以上 Ni:20.0%以上、60.0%以下 Mo:3.0%以上
  6. 【請求項6】前記フェライト−オーステナイト二相系ス
    テンレス鋼粉および/または前記オーステナイト系ステ
    ンレス鋼粉がNを重量%で0.30%以下含有することを特
    徴とする特許請求の範囲第4項または第5項に記載の耐
    応力腐食割れ性にすぐれた焼結二相系ステンレス鋼の製
    造方法。
JP59114428A 1984-06-06 1984-06-06 焼結ステンレス鋼とその製造方法 Expired - Fee Related JPH0699783B2 (ja)

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