JPH0699510A - ポリブテン−1樹脂の成形方法 - Google Patents
ポリブテン−1樹脂の成形方法Info
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- JPH0699510A JPH0699510A JP4251575A JP25157592A JPH0699510A JP H0699510 A JPH0699510 A JP H0699510A JP 4251575 A JP4251575 A JP 4251575A JP 25157592 A JP25157592 A JP 25157592A JP H0699510 A JPH0699510 A JP H0699510A
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- B29C48/00—Extrusion moulding, i.e. expressing the moulding material through a die or nozzle which imparts the desired form; Apparatus therefor
- B29C48/25—Component parts, details or accessories; Auxiliary operations
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- B29C2948/92—Measuring, controlling or regulating
- B29C2948/92819—Location or phase of control
- B29C2948/92857—Extrusion unit
- B29C2948/92904—Die; Nozzle zone
Abstract
(57)【要約】
【構成】 ポリブテン−1樹脂の成形を、成形物中の分
子配向度が60%より高くなる条件下で行い、得られた成
形物に、ポリブテン−1のII型からI型への結晶転移完
了後に、アニールによる配向緩和により分子配向度を60
%以下とする、ポリブテン−1樹脂の成形方法。 【効果】 結晶転移が従来の半分以下の時間で完了し、
アニール時間を加えても従来より製品貯蔵時間が短縮で
きる。装置が簡単で、製品の強度その他の物性が損なわ
れない。
子配向度が60%より高くなる条件下で行い、得られた成
形物に、ポリブテン−1のII型からI型への結晶転移完
了後に、アニールによる配向緩和により分子配向度を60
%以下とする、ポリブテン−1樹脂の成形方法。 【効果】 結晶転移が従来の半分以下の時間で完了し、
アニール時間を加えても従来より製品貯蔵時間が短縮で
きる。装置が簡単で、製品の強度その他の物性が損なわ
れない。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリブテン−1樹脂の
成形方法に関し、より詳しくは、ポリブテン−1樹脂の
II型からI型への結晶転移を促進させて、変形がなく高
品質の成形物を製造することのできる成形方法に関す
る。本発明はまた、この方法を利用したポリブテン−1
樹脂管の押出成形方法にも関する。
成形方法に関し、より詳しくは、ポリブテン−1樹脂の
II型からI型への結晶転移を促進させて、変形がなく高
品質の成形物を製造することのできる成形方法に関す
る。本発明はまた、この方法を利用したポリブテン−1
樹脂管の押出成形方法にも関する。
【0002】ポリブテン−1 (以下、単にPB−1と略
記する) 樹脂からなるパイプ (PB−1樹脂管) は、耐
クリープ特性、耐環境応力亀裂性、柔軟性、強靱性、耐
熱性、高温・低温特性、耐摩耗性等に優れていることか
ら、給水・給湯用、床下暖房用、温泉配管用、薬剤散布
用、排水用などの各種配管に利用されている。
記する) 樹脂からなるパイプ (PB−1樹脂管) は、耐
クリープ特性、耐環境応力亀裂性、柔軟性、強靱性、耐
熱性、高温・低温特性、耐摩耗性等に優れていることか
ら、給水・給湯用、床下暖房用、温泉配管用、薬剤散布
用、排水用などの各種配管に利用されている。
【0003】
【従来の技術】PB−1には2種の結晶型が存在し、溶
融状態から固化すると、初めに準安定なII型結晶 (正方
晶系変態)となり、続いて数日間 (通例1週間前後) に
わたってゆっくり安定なI型 (六方晶系変態)に結晶転
移することが知られている。
融状態から固化すると、初めに準安定なII型結晶 (正方
晶系変態)となり、続いて数日間 (通例1週間前後) に
わたってゆっくり安定なI型 (六方晶系変態)に結晶転
移することが知られている。
【0004】このように、PB−1のII型からI型への
結晶転移速度は非常に遅いが、溶融状態からのII型結晶
への結晶化速度もそれほど大きくはない。しかも、PB
−1樹脂はII型結晶の状態では柔らかい。その結果、溶
融成形後の成形物 (例、パイプ) は、結晶化中または結
晶転移中の柔らかなII型結晶が存在する状態で搬送、輸
送、貯蔵などの取扱いを受けることとなり、その間に変
形が起こり易く、変形した状態のままI型結晶への結晶
転移が完了すると、変形が残留し、製品としての価値が
低下するという欠点があった。そのため、I型への結晶
転移が完了するまで静置する等の手段をとっているが、
静置のために広い保管スペースが必要となり、また緊急
の出荷要請にすぐに対応できないなど、結晶転移完了ま
でのPB−1樹脂成形品の取扱いに苦慮しているのが現
状である。
結晶転移速度は非常に遅いが、溶融状態からのII型結晶
への結晶化速度もそれほど大きくはない。しかも、PB
−1樹脂はII型結晶の状態では柔らかい。その結果、溶
融成形後の成形物 (例、パイプ) は、結晶化中または結
晶転移中の柔らかなII型結晶が存在する状態で搬送、輸
送、貯蔵などの取扱いを受けることとなり、その間に変
形が起こり易く、変形した状態のままI型結晶への結晶
転移が完了すると、変形が残留し、製品としての価値が
低下するという欠点があった。そのため、I型への結晶
転移が完了するまで静置する等の手段をとっているが、
静置のために広い保管スペースが必要となり、また緊急
の出荷要請にすぐに対応できないなど、結晶転移完了ま
でのPB−1樹脂成形品の取扱いに苦慮しているのが現
状である。
【0005】この問題の解決策として、PB−1の結晶
転移を促進させることが従来より試みられてきた。例え
ば、PB−1樹脂の成形体を50℃以下の温度で延伸する
方法(特開昭47−4294号公報)、PB−1樹脂に添加剤
を配合する方法 (特開昭57−36140 号、同57−92038 号
公報) 、PB−1樹脂の押出成形時に外径を圧縮しなが
ら成形する方法 (特開平1−36415 号、同1−36419 号
公報) などが提案されている。
転移を促進させることが従来より試みられてきた。例え
ば、PB−1樹脂の成形体を50℃以下の温度で延伸する
方法(特開昭47−4294号公報)、PB−1樹脂に添加剤
を配合する方法 (特開昭57−36140 号、同57−92038 号
公報) 、PB−1樹脂の押出成形時に外径を圧縮しなが
ら成形する方法 (特開平1−36415 号、同1−36419 号
公報) などが提案されている。
【0006】しかし、PB−1樹脂管を延伸すること
は、装置が複雑となる上、延伸により得られたPB−1
分子が配向したPB−1樹脂管も物性が特に優れている
とは言えず、引張特性などはかえって低下する。一方、
PB−1樹脂に添加剤を配合することは、本来PB−1
樹脂が有している耐クリープ特性、耐耐環境応力亀裂
性、柔軟性、強靱性、耐熱性、高温・低温特性、耐摩耗
性等を低下させるので、必ずしも望ましくない。また、
PB−1を押出成形時に外径を圧縮しながら成形するこ
とは、成形されたPB−1樹脂管の外表面層のPB−1
分子の配向を引起し、強度特性の低下を生ずるので、こ
れも好ましいことではない。
は、装置が複雑となる上、延伸により得られたPB−1
分子が配向したPB−1樹脂管も物性が特に優れている
とは言えず、引張特性などはかえって低下する。一方、
PB−1樹脂に添加剤を配合することは、本来PB−1
樹脂が有している耐クリープ特性、耐耐環境応力亀裂
性、柔軟性、強靱性、耐熱性、高温・低温特性、耐摩耗
性等を低下させるので、必ずしも望ましくない。また、
PB−1を押出成形時に外径を圧縮しながら成形するこ
とは、成形されたPB−1樹脂管の外表面層のPB−1
分子の配向を引起し、強度特性の低下を生ずるので、こ
れも好ましいことではない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
のような従来技術の問題点を伴わずに、パイプなどのP
B−1樹脂成形物のII型結晶からI型結晶への転移を促
進させることができる、PB−1樹脂の成形方法を提供
することである。
のような従来技術の問題点を伴わずに、パイプなどのP
B−1樹脂成形物のII型結晶からI型結晶への転移を促
進させることができる、PB−1樹脂の成形方法を提供
することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、パイプな
どのPB−1樹脂の成形物において、成形時のPB−1
分子の配向度が大きいほど、II型からI型への結晶転移
が促進されることを見出した。さらに、結晶転移が完了
してから、分子配向度をアニール等の方法により下げて
やれば、PB−1樹脂成形物の強度特性などの低下も生
じないことを見出し、本発明を完成させた。
どのPB−1樹脂の成形物において、成形時のPB−1
分子の配向度が大きいほど、II型からI型への結晶転移
が促進されることを見出した。さらに、結晶転移が完了
してから、分子配向度をアニール等の方法により下げて
やれば、PB−1樹脂成形物の強度特性などの低下も生
じないことを見出し、本発明を完成させた。
【0009】ここに、本発明の要旨は、PB−1樹脂の
成形において、(a) 成形を成形物中のPB−1分子の配
向度が増大する条件下で行い、(b) 得られた成形物に、
PB−1のII型からI型への結晶転移完了後に、配向緩
和処理を施すことを特徴とする、PB−1樹脂の成形方
法にある。
成形において、(a) 成形を成形物中のPB−1分子の配
向度が増大する条件下で行い、(b) 得られた成形物に、
PB−1のII型からI型への結晶転移完了後に、配向緩
和処理を施すことを特徴とする、PB−1樹脂の成形方
法にある。
【0010】本発明の好適態様にあっては、(a) 成形
を、成形物中のPB−1分子の配向度が60%より高くな
る条件下で行い、(b) 得られた成形物に、PB−1のII
型からI型への結晶転移完了後に、配向緩和処理を施し
て、PB−1分子の配向度を60%以下とする。
を、成形物中のPB−1分子の配向度が60%より高くな
る条件下で行い、(b) 得られた成形物に、PB−1のII
型からI型への結晶転移完了後に、配向緩和処理を施し
て、PB−1分子の配向度を60%以下とする。
【0011】本発明において、PB−1の分子配向度
は、次に述べるX線回折を利用した方法で求めることが
できる。図1に示すように、X線(Cu Kα線)をPB−
1成形物 (図示例ではパイプ)から切り出した試験片に
入射させ、回折により生じた散乱X線をX線カウンター
により計数する。この時、X線カウンターは固定し、試
験片を入射X線の光軸のまわりに20°/分の速度でβ=
0°〜 360°にわたってβ回転させつつ散乱X線の計数
を行うことにより、図2に示すようなX線干渉図が得ら
れる。図2において、縦軸は散乱X線強度〔1秒当たり
の散乱X線計数値 (cps)〕である。
は、次に述べるX線回折を利用した方法で求めることが
できる。図1に示すように、X線(Cu Kα線)をPB−
1成形物 (図示例ではパイプ)から切り出した試験片に
入射させ、回折により生じた散乱X線をX線カウンター
により計数する。この時、X線カウンターは固定し、試
験片を入射X線の光軸のまわりに20°/分の速度でβ=
0°〜 360°にわたってβ回転させつつ散乱X線の計数
を行うことにより、図2に示すようなX線干渉図が得ら
れる。図2において、縦軸は散乱X線強度〔1秒当たり
の散乱X線計数値 (cps)〕である。
【0012】X線カウンターの位置は、PB−1のII型
結晶の分子配向度を測定する場合には、この結晶の(20
0) 反射2θ=11.7°に、PB−1のI型結晶の分子配
向度を測定する場合には、この結晶の(110) 反射2θ=
10.0°に固定する。即ち、成形直後の成形物について測
定を行う場合には、結晶のほとんどがII型であるので、
X線カウンターをII型の測定位置である11.7°に固定し
て測定を行い、II型からI型への結晶転移が完了した後
の成形物について測定を行う場合には、X線カウンター
をI型の測定位置である10.0°に固定して測定を行えば
よい。
結晶の分子配向度を測定する場合には、この結晶の(20
0) 反射2θ=11.7°に、PB−1のI型結晶の分子配
向度を測定する場合には、この結晶の(110) 反射2θ=
10.0°に固定する。即ち、成形直後の成形物について測
定を行う場合には、結晶のほとんどがII型であるので、
X線カウンターをII型の測定位置である11.7°に固定し
て測定を行い、II型からI型への結晶転移が完了した後
の成形物について測定を行う場合には、X線カウンター
をI型の測定位置である10.0°に固定して測定を行えば
よい。
【0013】こうして得たX線干渉図(例、図2)につ
いて、そのピークの半価幅(α°)を求め、次の式1よ
りPB−1分子の配向度を算出する。なお、PB−1の
結晶転移は、結晶領域内PB−1分子のコンフォメーシ
ョン変化が起こるだけであり、この結晶転移にともなっ
て結晶のサイズ・数量や結晶内のPB−1分子の並び方
(分子配向度) には、変化が起こらない。従って、PB
−1分子の配向度はII型結晶からI型結晶に転移しても
変化しない。
いて、そのピークの半価幅(α°)を求め、次の式1よ
りPB−1分子の配向度を算出する。なお、PB−1の
結晶転移は、結晶領域内PB−1分子のコンフォメーシ
ョン変化が起こるだけであり、この結晶転移にともなっ
て結晶のサイズ・数量や結晶内のPB−1分子の並び方
(分子配向度) には、変化が起こらない。従って、PB
−1分子の配向度はII型結晶からI型結晶に転移しても
変化しない。
【0014】
【数1】 配向度=(180°− α°)/180°× 100 (%) ‥‥ (1) 本発明において用いるPB−1樹脂とは、ブテン−1を
チーグラー触媒系を用いて重合することにより得られる
結晶性の樹脂であり、ブテン−1の単独重合体であって
も、あるいは結晶性を保持し、PB−1樹脂の性質を損
なわない限り、他のα−オレフィン (例、エチレン、プ
ロピレン等) 成分を共重合またはポリマーブレンドによ
り含んでいてもよい。また、PB−1樹脂には、ポリオ
レフィン類に通常添加される種類の各種配合剤、例えば
耐候安定剤、耐熱安定剤、スリップ剤、核剤、顔料、染
料、潤滑剤等を、PB−1樹脂の性質を損なわない範囲
で添加しておいてもよい。
チーグラー触媒系を用いて重合することにより得られる
結晶性の樹脂であり、ブテン−1の単独重合体であって
も、あるいは結晶性を保持し、PB−1樹脂の性質を損
なわない限り、他のα−オレフィン (例、エチレン、プ
ロピレン等) 成分を共重合またはポリマーブレンドによ
り含んでいてもよい。また、PB−1樹脂には、ポリオ
レフィン類に通常添加される種類の各種配合剤、例えば
耐候安定剤、耐熱安定剤、スリップ剤、核剤、顔料、染
料、潤滑剤等を、PB−1樹脂の性質を損なわない範囲
で添加しておいてもよい。
【0015】
【作用】各種条件で押出成形したPB−1樹脂管の成形
直後の分子配向度を上述の方法で測定し、II型からI型
への結晶転移の速度との関係を調べた結果、成形物にお
けるPB−1分子の配向増大による結晶転移の促進効果
は次のようなメカニズムで発生することが推論された。
直後の分子配向度を上述の方法で測定し、II型からI型
への結晶転移の速度との関係を調べた結果、成形物にお
けるPB−1分子の配向増大による結晶転移の促進効果
は次のようなメカニズムで発生することが推論された。
【0016】押出成形によるPB−1樹脂管の成形時
に、PB−1分子は溶融状態での押出ダイ内剪断流動と
ダイを出てからの引き落としによる伸長効果とを受け
る。その結果、冷却された成形物中の結晶領域内のPB
−1分子 (II型結晶状態) は押出成形方向に配向し、そ
れにつれて非晶領域内のPB−1タイ分子 (非晶領域内
において結晶部と別の結晶部を結ぶ分子) も配向方向に
延伸され、緊張する。この緊張したタイ分子が緊張状態
から緩和するときに、結晶領域内のPB−1分子が分子
鎖軸方向に伸長され、この分子伸長がII型からI型への
結晶転移を引き起こす。従って、冷却後の結晶化で生成
した結晶領域内の分子配向度が大きいほど、タイ分子の
緊張が大きくなり、その緩和による結晶転移が起こり易
くなって、結晶転移が促進される。
に、PB−1分子は溶融状態での押出ダイ内剪断流動と
ダイを出てからの引き落としによる伸長効果とを受け
る。その結果、冷却された成形物中の結晶領域内のPB
−1分子 (II型結晶状態) は押出成形方向に配向し、そ
れにつれて非晶領域内のPB−1タイ分子 (非晶領域内
において結晶部と別の結晶部を結ぶ分子) も配向方向に
延伸され、緊張する。この緊張したタイ分子が緊張状態
から緩和するときに、結晶領域内のPB−1分子が分子
鎖軸方向に伸長され、この分子伸長がII型からI型への
結晶転移を引き起こす。従って、冷却後の結晶化で生成
した結晶領域内の分子配向度が大きいほど、タイ分子の
緊張が大きくなり、その緩和による結晶転移が起こり易
くなって、結晶転移が促進される。
【0017】このようなメカニズムで、成形物中のPB
−1分子の配向度が高いほど、II型→I型の結晶転移が
促進されるのである。従って、本発明においては、成形
を成形物中のPB−1分子の配向度が増大する条件下で
行う。
−1分子の配向度が高いほど、II型→I型の結晶転移が
促進されるのである。従って、本発明においては、成形
を成形物中のPB−1分子の配向度が増大する条件下で
行う。
【0018】この配向度増大による結晶転移の促進につ
いてさらに検討した結果、特に、成形物中のPB−1分
子の配向度が60%である時を境にして、その前後で結晶
転移の速度が大きく変化することを究明した。即ち、こ
のPB−1分子の配向度が60%より高い時には、配向度
60%以下である時に比べて、結晶転移に要する時間を1/
2 以下に短縮でき、換言すると、結晶転移速度が2倍以
上に速くなった。
いてさらに検討した結果、特に、成形物中のPB−1分
子の配向度が60%である時を境にして、その前後で結晶
転移の速度が大きく変化することを究明した。即ち、こ
のPB−1分子の配向度が60%より高い時には、配向度
60%以下である時に比べて、結晶転移に要する時間を1/
2 以下に短縮でき、換言すると、結晶転移速度が2倍以
上に速くなった。
【0019】しかし、通常の条件下での押出成形法でP
B−1樹脂管を成形した場合、JIS-K 6778に規定された
パイプのうち、外径42 mm 以下の小径のPB−1樹脂管
のPB−1分子の配向度は55〜60%程度であり、外径が
42 mm 超、114 mm以下の大径のPB−1樹脂管のPB−
1分子の配向度は50〜60%程度である。即ち、通常の押
出成形条件下では、パイプの径によらず、60%を超える
ような高い分子配向度のパイプを成形することはできな
い。
B−1樹脂管を成形した場合、JIS-K 6778に規定された
パイプのうち、外径42 mm 以下の小径のPB−1樹脂管
のPB−1分子の配向度は55〜60%程度であり、外径が
42 mm 超、114 mm以下の大径のPB−1樹脂管のPB−
1分子の配向度は50〜60%程度である。即ち、通常の押
出成形条件下では、パイプの径によらず、60%を超える
ような高い分子配向度のパイプを成形することはできな
い。
【0020】従って、本発明によりII型→I型の結晶転
移を促進させるためには、成形条件を調整して、成形物
中のPB−1分子の配向度を増大させる (好ましくは60
%より大きな分子配向度に) 必要がある。それにより、
結晶転移に要する時間を、従来に比べて半分以下に短縮
することができ、成形物の変形を防止ないし著しく軽減
することができる。
移を促進させるためには、成形条件を調整して、成形物
中のPB−1分子の配向度を増大させる (好ましくは60
%より大きな分子配向度に) 必要がある。それにより、
結晶転移に要する時間を、従来に比べて半分以下に短縮
することができ、成形物の変形を防止ないし著しく軽減
することができる。
【0021】このように成形物のPB−1分子の配向度
を増大させる成形条件としては、例えば押出成形におい
ては、成形時の樹脂温度を200 ℃以下と低下させる、
ダイから押出された成形物を冷却する冷却水温度を20
℃以下の低温にする、ダイ内の剪断速度 (これは押出
速度に依存する) を200 sec -1以上と大きくする、など
が可能である。成形物の分子配向度を所望の程度まで増
大させるように、これらの成形条件の一つまたは二つ以
上を採用すればよい。
を増大させる成形条件としては、例えば押出成形におい
ては、成形時の樹脂温度を200 ℃以下と低下させる、
ダイから押出された成形物を冷却する冷却水温度を20
℃以下の低温にする、ダイ内の剪断速度 (これは押出
速度に依存する) を200 sec -1以上と大きくする、など
が可能である。成形物の分子配向度を所望の程度まで増
大させるように、これらの成形条件の一つまたは二つ以
上を採用すればよい。
【0022】こうして成形時の成形物中のPB−1分子
の配向度を増大させることにより、結晶転移が従来の半
分以下の時間で迅速に完了するので、成形後の静置時間
がそれだけ短くてすむ。結晶転移が完了し、PB−1の
I型結晶状態となった成形物は、PB−1分子の配向度
が高いまま (例、60%超のまま) では、歪が大きく、強
度特性が不十分であるので、アニール処理などの適当な
配向緩和処理を施して、分子配向度を下げる (例、60%
以下に) 。
の配向度を増大させることにより、結晶転移が従来の半
分以下の時間で迅速に完了するので、成形後の静置時間
がそれだけ短くてすむ。結晶転移が完了し、PB−1の
I型結晶状態となった成形物は、PB−1分子の配向度
が高いまま (例、60%超のまま) では、歪が大きく、強
度特性が不十分であるので、アニール処理などの適当な
配向緩和処理を施して、分子配向度を下げる (例、60%
以下に) 。
【0023】なお、本発明において、「結晶転移の完
了」とは、実施例で説明した方法で求めたPB−1分子
のII型からI型への結晶転移率が90%以上あれば、結晶
転移が完了したものとする。これは、結晶転移率90%
で、パイプが柔らかいために生じる搬送中、輸送中、貯
蔵中などの変形の問題とその状態のまま結晶転移が完了
して変形が残留し、製品価値が低下するといった問題が
解消されるからである。
了」とは、実施例で説明した方法で求めたPB−1分子
のII型からI型への結晶転移率が90%以上あれば、結晶
転移が完了したものとする。これは、結晶転移率90%
で、パイプが柔らかいために生じる搬送中、輸送中、貯
蔵中などの変形の問題とその状態のまま結晶転移が完了
して変形が残留し、製品価値が低下するといった問題が
解消されるからである。
【0024】成形時の成形物中のPB−1分子の配向度
は、高いほど結晶転移の促進効果が大きいわけである
が、分子配向度があまり高くなりすぎると、結晶転移後
の配向緩和が困難となる場合がある。例えば、アニール
だけでは充分に配向緩和できず、配向緩和処理後のPB
−1樹脂管の結晶配向度がなお高水準 (例、60%超) に
あると、成形物が樹脂管の場合には、その周方向の降伏
強度が低く、その軸方向の破断伸びも小さいといった強
度特性が低下した製品になることがある。或いは、充分
な配向緩和が可能であっても、それに要する処理時間が
1週間を超える長さとなり、従来法と比べて成形後の処
理時間が短縮されない上、配向緩和処理中におけるPB
−1樹脂への悪影響が懸念される場合がある。さらに、
結晶転移前のPB−1樹脂管の分子配向度が高すぎる
と、アニール中に起こる配向緩和量が非常に大きくな
り、偏平化などの変形が起こり易くなって、成形物の寸
法精度が低下したり、表面状態や強度特性が劣化するの
で、この点からも、結晶転移前のPB−1樹脂管の結晶
配向度を過度に大きくするのは不利である。
は、高いほど結晶転移の促進効果が大きいわけである
が、分子配向度があまり高くなりすぎると、結晶転移後
の配向緩和が困難となる場合がある。例えば、アニール
だけでは充分に配向緩和できず、配向緩和処理後のPB
−1樹脂管の結晶配向度がなお高水準 (例、60%超) に
あると、成形物が樹脂管の場合には、その周方向の降伏
強度が低く、その軸方向の破断伸びも小さいといった強
度特性が低下した製品になることがある。或いは、充分
な配向緩和が可能であっても、それに要する処理時間が
1週間を超える長さとなり、従来法と比べて成形後の処
理時間が短縮されない上、配向緩和処理中におけるPB
−1樹脂への悪影響が懸念される場合がある。さらに、
結晶転移前のPB−1樹脂管の分子配向度が高すぎる
と、アニール中に起こる配向緩和量が非常に大きくな
り、偏平化などの変形が起こり易くなって、成形物の寸
法精度が低下したり、表面状態や強度特性が劣化するの
で、この点からも、結晶転移前のPB−1樹脂管の結晶
配向度を過度に大きくするのは不利である。
【0025】以上より、結晶転移前の成形物のPB−1
分子の配向度は、例えば、パイプの押出成形において
は、70%以下とすることが望ましいが、この分子配向度
の上限は成形方法や配向緩和処理条件に応じて変動する
ので、配向緩和に要する時間や配向緩和後の成形物の物
性や品質に悪影響を生じない範囲で当業者が適宜決定す
ればよい。
分子の配向度は、例えば、パイプの押出成形において
は、70%以下とすることが望ましいが、この分子配向度
の上限は成形方法や配向緩和処理条件に応じて変動する
ので、配向緩和に要する時間や配向緩和後の成形物の物
性や品質に悪影響を生じない範囲で当業者が適宜決定す
ればよい。
【0026】成形物の結晶転移が完了した後のPB−1
分子の配向緩和は、この目的が達成される限り任意の方
法で実施すればよいが、例えば、70〜120 ℃の温度で1
〜3日間アニールするというアニールが最も簡便であ
る。
分子の配向緩和は、この目的が達成される限り任意の方
法で実施すればよいが、例えば、70〜120 ℃の温度で1
〜3日間アニールするというアニールが最も簡便であ
る。
【0027】アニール温度が低すぎるか、アニール時間
が短すぎると、PB−1分子の配向を充分に緩和でき
ず、成形物の強度特性が低下することがある。アニール
温度が120 ℃より高いと、アニール中に成形物の溶融変
形が起こることがあり、所定の形状の成形物を得ること
が困難となる。また、3日を超える長時間のアニール
は、高温下に長時間保持することによる樹脂や添加剤の
劣化や成形物の変形が起こる可能性もある。
が短すぎると、PB−1分子の配向を充分に緩和でき
ず、成形物の強度特性が低下することがある。アニール
温度が120 ℃より高いと、アニール中に成形物の溶融変
形が起こることがあり、所定の形状の成形物を得ること
が困難となる。また、3日を超える長時間のアニール
は、高温下に長時間保持することによる樹脂や添加剤の
劣化や成形物の変形が起こる可能性もある。
【0028】本発明の方法は、代表的には押出成形によ
るPB−1樹脂管の成形に適用されるが、押出成形以外
の各種成形方法 (例、射出成形、ブロー成形) にも適用
可能である。また、成形物の形態もパイプ (管材) に限
定されず、ロッド、バーなどの棒材、異形材、板材など
であってもよい。
るPB−1樹脂管の成形に適用されるが、押出成形以外
の各種成形方法 (例、射出成形、ブロー成形) にも適用
可能である。また、成形物の形態もパイプ (管材) に限
定されず、ロッド、バーなどの棒材、異形材、板材など
であってもよい。
【0029】管材の押出成形の場合の成形および冷却方
法も特に限定されず、種々の公知の方法が採用できる。
例えば、押出ダイは、ストレートヘッドダイ、クロスヘ
ッドダイ、オフセットダイなどのいずれでもよく、冷却
方法もサイジングプレート法、アウトサイドマンドレル
法、サイジングボックス法、インサイドマンドレル法な
どのいずれの方法も採用できる。
法も特に限定されず、種々の公知の方法が採用できる。
例えば、押出ダイは、ストレートヘッドダイ、クロスヘ
ッドダイ、オフセットダイなどのいずれでもよく、冷却
方法もサイジングプレート法、アウトサイドマンドレル
法、サイジングボックス法、インサイドマンドレル法な
どのいずれの方法も採用できる。
【0030】
【実施例】以下の実施例および比較例において、三井石
油化学工業 (株) 製ポリブテン−1樹脂 (商品名: P140
4C) を原料PB−1樹脂として使用し、パイプの押出実
験を行った。この樹脂の密度は0.921 g/cm3 (ASTM D150
5)、メルトフローインデックスは0.4 g/10分 (ASTM D12
38E)であった。
油化学工業 (株) 製ポリブテン−1樹脂 (商品名: P140
4C) を原料PB−1樹脂として使用し、パイプの押出実
験を行った。この樹脂の密度は0.921 g/cm3 (ASTM D150
5)、メルトフローインデックスは0.4 g/10分 (ASTM D12
38E)であった。
【0031】押出成形は、直径20 mm の押出成形機を用
いて行い、この押出成形機に装着した押出ダイはギャッ
プ1mm、直径20 mm のストレートヘッド型環状ダイであ
った。押出されたパイプの冷却はサイジングプレート法
により行った。
いて行い、この押出成形機に装着した押出ダイはギャッ
プ1mm、直径20 mm のストレートヘッド型環状ダイであ
った。押出されたパイプの冷却はサイジングプレート法
により行った。
【0032】この押出成形を通常の条件下 (樹脂温度 2
00〜230 ℃、冷却水温度15〜35℃、ダイ内剪断速度50〜
150 sec -1) で行った場合、押出成形直後の樹脂管のP
B−1分子の配向度は約45〜60%の範囲内である。
00〜230 ℃、冷却水温度15〜35℃、ダイ内剪断速度50〜
150 sec -1) で行った場合、押出成形直後の樹脂管のP
B−1分子の配向度は約45〜60%の範囲内である。
【0033】実施例1、2 および比較例1、2 押出成形時の樹脂温度、押出速度、冷却水温度を表1に
示すように変化させて、PB−1樹脂管の押出成形を行
った。なお、実施例1および2で採用した押出速度2m
/分はダイ内剪断速度に換算すると約 200 sec-1に相当
し、比較例1および2で採用した押出速度0.5 m/分は
ダイ内剪断速度に換算すると約50 sec-1に相当した。
示すように変化させて、PB−1樹脂管の押出成形を行
った。なお、実施例1および2で採用した押出速度2m
/分はダイ内剪断速度に換算すると約 200 sec-1に相当
し、比較例1および2で採用した押出速度0.5 m/分は
ダイ内剪断速度に換算すると約50 sec-1に相当した。
【0034】
【表1】
【0035】こうして押出成形されたPB−1樹脂管の
押出成形直後 (即ち、冷却直後) のPB−1分子の配向
度を、上に述べた方法でII型結晶について散乱X線を測
定することにより求めた。その後、この樹脂管の結晶転
移率を次に述べる方法で経時的に測定することにより、
II型からI型への結晶転移に要する時間を求めた。
押出成形直後 (即ち、冷却直後) のPB−1分子の配向
度を、上に述べた方法でII型結晶について散乱X線を測
定することにより求めた。その後、この樹脂管の結晶転
移率を次に述べる方法で経時的に測定することにより、
II型からI型への結晶転移に要する時間を求めた。
【0036】〔結晶転移率の測定方法〕図1に示したの
と同様のX線回折装置を用い、X線(Cu Kα線)をPB
−1樹脂管から切り出した試験片に入射させ、回折によ
り生じた散乱X線をX線カウンターにより計数する。た
だし、この場合には、試験片を固定し、X線カウンター
の方を2°/分の速度で2θ=5°〜25°にわたって2
θ回転させて測定を行う。得られたX線干渉図より、2
θ=10.0°のI型結晶による(110) 反射のX線強度 (I
a) と2θ=11.7°のII型結晶による(200) 反射のX線
強度 (Ib) とを求め、次の式(2) によりPB−1の結晶
転移率を算出する。
と同様のX線回折装置を用い、X線(Cu Kα線)をPB
−1樹脂管から切り出した試験片に入射させ、回折によ
り生じた散乱X線をX線カウンターにより計数する。た
だし、この場合には、試験片を固定し、X線カウンター
の方を2°/分の速度で2θ=5°〜25°にわたって2
θ回転させて測定を行う。得られたX線干渉図より、2
θ=10.0°のI型結晶による(110) 反射のX線強度 (I
a) と2θ=11.7°のII型結晶による(200) 反射のX線
強度 (Ib) とを求め、次の式(2) によりPB−1の結晶
転移率を算出する。
【0037】
【数2】 結晶転移率= (Ia×2) / (Ia×2+Ib) × 100 (%) ‥‥ (2) こうして求めた結晶転移率が90%になるまでの時間を、
結晶転移に要する時間(T) とした。ここで、結晶転移
率90%を転移完了の目安としたのは、上記のように、結
晶転移率90%でII型結晶の存在による悪影響がなくなる
からである。
結晶転移に要する時間(T) とした。ここで、結晶転移
率90%を転移完了の目安としたのは、上記のように、結
晶転移率90%でII型結晶の存在による悪影響がなくなる
からである。
【0038】結晶転移率が90%に達し、結晶転移が完了
した後、PB−1分子の配向を緩和するために、各樹脂
管を100 ℃の熱風循環型の恒温槽に静置することにより
アニール処理した。アニール処理時間は、実施例1では
2日間、実施例2および比較例1および2では1日間で
あった。さらに、アニール処理後のPB−1樹脂管のP
B−1分子の配向度を、上に述べた方法でI型結晶につ
いて散乱X線を測定することにより求めた。
した後、PB−1分子の配向を緩和するために、各樹脂
管を100 ℃の熱風循環型の恒温槽に静置することにより
アニール処理した。アニール処理時間は、実施例1では
2日間、実施例2および比較例1および2では1日間で
あった。さらに、アニール処理後のPB−1樹脂管のP
B−1分子の配向度を、上に述べた方法でI型結晶につ
いて散乱X線を測定することにより求めた。
【0039】実施例1、2および比較例1、2で得られ
たPB−1樹脂管の押出成形直後のPB−1分子配向
度、結晶転移に要した時間、アニール処理時間および温
度、アニール処理後のPB−1分子配向度、およびアニ
ール処理後の管軸方向の引張伸び (JIS K 6778に準拠し
て測定) を、次の表2にまとめて示す。
たPB−1樹脂管の押出成形直後のPB−1分子配向
度、結晶転移に要した時間、アニール処理時間および温
度、アニール処理後のPB−1分子配向度、およびアニ
ール処理後の管軸方向の引張伸び (JIS K 6778に準拠し
て測定) を、次の表2にまとめて示す。
【0040】
【表2】
【0041】表2に示した試験結果から明らかなよう
に、本発明方法により押出成形することにより、結晶転
移に要する時間を半分以下と大幅に短縮することができ
た。また、1〜2日程度のアニール処理により、増大さ
せた分子配向は通常条件下で押出成形した場合と同程度
まで低下させることができ、分子配向による強度特性等
の物性低下を避けることができた。このアニール処理時
間を加えても、押出成形製品を得るまでの時間は、実施
例1および2のいずれも96時間であり、比較例で結晶転
移に要した時間に比べて著しく短くなった。
に、本発明方法により押出成形することにより、結晶転
移に要する時間を半分以下と大幅に短縮することができ
た。また、1〜2日程度のアニール処理により、増大さ
せた分子配向は通常条件下で押出成形した場合と同程度
まで低下させることができ、分子配向による強度特性等
の物性低下を避けることができた。このアニール処理時
間を加えても、押出成形製品を得るまでの時間は、実施
例1および2のいずれも96時間であり、比較例で結晶転
移に要した時間に比べて著しく短くなった。
【0042】実施例3および比較例3、4 樹脂温度を200 ℃、冷却水温度を7℃、押出速度を2m
/分 (ダイ内剪断速度に換算すると約 200 sec-1に相
当) と一定にしてPB−1樹脂管を押出成形し、得られ
た樹脂管の押出成形直後のPB−1分子の配向度および
そのII型→I型の結晶転移に要した時間 (結晶転移率90
%に達するまでの時間) を上記と同様に求めた。
/分 (ダイ内剪断速度に換算すると約 200 sec-1に相
当) と一定にしてPB−1樹脂管を押出成形し、得られ
た樹脂管の押出成形直後のPB−1分子の配向度および
そのII型→I型の結晶転移に要した時間 (結晶転移率90
%に達するまでの時間) を上記と同様に求めた。
【0043】次いで、結晶転移完了後に、表3に示すよ
うにアニール処理条件 (時間および温度) を変えて樹脂
管を上記と同様に熱風循環型恒温槽でアニール処理する
ことにより、PB−1分子の配向を緩和した。アニール
処理後のPB−1樹脂管の分子配向度と管軸方向の引張
伸びを上記と同様に求めた。以上の成形処理条件、アニ
ール処理条件、試験結果をまとめて表3に示す。
うにアニール処理条件 (時間および温度) を変えて樹脂
管を上記と同様に熱風循環型恒温槽でアニール処理する
ことにより、PB−1分子の配向を緩和した。アニール
処理後のPB−1樹脂管の分子配向度と管軸方向の引張
伸びを上記と同様に求めた。以上の成形処理条件、アニ
ール処理条件、試験結果をまとめて表3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】この試験結果からわかるように、結晶転移
後のアニール処理時の温度が低いか、処理時間が短かす
ぎ、PB−1分子の配向が充分に緩和されないと、機械
強度の低下が起こった。これに対し、本発明方法により
充分に配向緩和すると、強度特性などの物性の低下を避
けることができた。
後のアニール処理時の温度が低いか、処理時間が短かす
ぎ、PB−1分子の配向が充分に緩和されないと、機械
強度の低下が起こった。これに対し、本発明方法により
充分に配向緩和すると、強度特性などの物性の低下を避
けることができた。
【0046】
【発明の効果】従来のPB−1樹脂の成形方法では、II
型からI型への結晶転移が完了する前の成形物の変形を
避けるために、押出成形後の成形物を結晶転移が完了す
るまで1週間前後もしくはそれ以上静置保管する必要が
あった。本発明によれば、結晶転移を著しく促進させる
ことができ、結晶転移までの静置時間とその後のアニー
ル処理時間を加えても、従来より保管期間を著しく短縮
できるようになった。それにより、製品保管のスペース
が少なくてすみ、短時間で出荷しなければならない事態
に対応し易くなるなど、製品供給面で非常に大きな効果
が得られる。
型からI型への結晶転移が完了する前の成形物の変形を
避けるために、押出成形後の成形物を結晶転移が完了す
るまで1週間前後もしくはそれ以上静置保管する必要が
あった。本発明によれば、結晶転移を著しく促進させる
ことができ、結晶転移までの静置時間とその後のアニー
ル処理時間を加えても、従来より保管期間を著しく短縮
できるようになった。それにより、製品保管のスペース
が少なくてすみ、短時間で出荷しなければならない事態
に対応し易くなるなど、製品供給面で非常に大きな効果
が得られる。
【0047】また、従来のPB−1の結晶転移促進方法
とは異なり、装置もアニール処理用の恒温槽を付設する
だけで簡単であり、結晶転移完了後に配向緩和処理する
ことで、強度などの物性の低下が起こらず、PB−1樹
脂成形物が持っている本来の耐クリープ性、耐環境応力
亀裂性、柔軟性、強靱性、耐熱性、高温・低温特性、耐
摩耗性等が損なわれることがない。
とは異なり、装置もアニール処理用の恒温槽を付設する
だけで簡単であり、結晶転移完了後に配向緩和処理する
ことで、強度などの物性の低下が起こらず、PB−1樹
脂成形物が持っている本来の耐クリープ性、耐環境応力
亀裂性、柔軟性、強靱性、耐熱性、高温・低温特性、耐
摩耗性等が損なわれることがない。
【図1】PB−1分子の配向度を測定するためのX線回
折法の説明図である。
折法の説明図である。
【図2】X線回折測定により得られるX線干渉図の1例
である。
である。
Claims (2)
- 【請求項1】 ポリブテン−1樹脂の成形において、
(a) 成形を成形物中のポリブテン−1分子の配向度が増
大する条件下で行い、(b) 得られた成形物に、ポリブテ
ン−1のII型からI型への結晶転移完了後に、配向緩和
処理を施す、ことを特徴とする、ポリブテン−1樹脂の
成形方法。 - 【請求項2】 ポリブテン−1樹脂の成形において、
(a) 成形を、成形物中のポリブテン−1分子の配向度が
60%より高くなる条件下で行い、(b) 得られた成形物
に、ポリブテン−1のII型からI型への結晶転移完了後
に、配向緩和処理を施して、ポリブテン−1分子の配向
度を60%以下とする、ことを特徴とする、ポリブテン−
1樹脂の成形方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4251575A JPH0699510A (ja) | 1992-09-21 | 1992-09-21 | ポリブテン−1樹脂の成形方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4251575A JPH0699510A (ja) | 1992-09-21 | 1992-09-21 | ポリブテン−1樹脂の成形方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0699510A true JPH0699510A (ja) | 1994-04-12 |
Family
ID=17224860
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4251575A Withdrawn JPH0699510A (ja) | 1992-09-21 | 1992-09-21 | ポリブテン−1樹脂の成形方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0699510A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012526666A (ja) * | 2008-05-16 | 2012-11-01 | マルティベイス・ソシエテ・アノニム | フレキシブルパイプの製造方法 |
CN108884195A (zh) * | 2016-01-28 | 2018-11-23 | 三井化学株式会社 | 丁烯系聚合物、树脂组合物及成型体 |
-
1992
- 1992-09-21 JP JP4251575A patent/JPH0699510A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012526666A (ja) * | 2008-05-16 | 2012-11-01 | マルティベイス・ソシエテ・アノニム | フレキシブルパイプの製造方法 |
US9067373B2 (en) | 2008-05-16 | 2015-06-30 | Multi-Base Sa | Process for the manufacture of flexible pipe |
CN108884195A (zh) * | 2016-01-28 | 2018-11-23 | 三井化学株式会社 | 丁烯系聚合物、树脂组合物及成型体 |
CN108884195B (zh) * | 2016-01-28 | 2021-06-11 | 三井化学株式会社 | 丁烯系聚合物、树脂组合物及成型体 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 19991130 |