JPH0699294B2 - 歯石防止組成物 - Google Patents

歯石防止組成物

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JPH0699294B2
JPH0699294B2 JP2187944A JP18794490A JPH0699294B2 JP H0699294 B2 JPH0699294 B2 JP H0699294B2 JP 2187944 A JP2187944 A JP 2187944A JP 18794490 A JP18794490 A JP 18794490A JP H0699294 B2 JPH0699294 B2 JP H0699294B2
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cpp
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康雄 田中
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【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、歯石防止組成物に関し、更に詳細には練り歯
みがき、マウスウォッシュ、トローチなどの口腔用組成
物等に添加して歯石形成を抑制する歯石防止組成物に関
する。
<従来の技術> 歯石はその表面の粗造さのため、歯肉に対して、機械的
な刺激因子となるとともに、歯肉炎、歯周炎の病因とな
ることが知られている。歯石形成の詳細については必ず
しも明らかにされているわけではないが、プラークを構
成する細菌や唾液糖タンパク等の有機基質に唾液や、浸
出液から供給されるカルシウムやリンが沈着し、これが
結晶化するプラークの石灰化現象としてとらえることが
できる。一方、唾液や血清中に存在するカルシウムやリ
ンの濃度が歯や骨の主成分であるリン酸カルシウムに対
して過飽和であり、歯や骨以外の組織が石灰化しないの
は体液中にピロリン酸塩が存在するからだと考えられて
いる。このことから、歯石形成を抑制するために、ピロ
リン酸ナトリウム(PP)やトリポリリン酸ナトリウム
(TPP)などについて、例えば「In Vitroおよび動物実
験によるポリリン酸ナトリウムの歯石形成抑制効果にか
んする研究」(三宅幹雄、大里文夫、日歯周誌第30巻3
号p.860〜867)等が提案されている。
また、従来よりカゼインホスホペプチドは、カルシウム
吸収促進因子として知られており、例えばβ−カゼイン
由来のペプチドやα−カゼイン由来のペプチドが知られ
ている。しかしながら該カゼインホスホペプチドが、歯
石形成防止作用を有することについては知られていない
のが現状である。
<発明が解決しようとする課題> 従って、本発明の目的は、歯石形成防止作用に優れ、且
つ長時間にわたる連続使用においても安全性の高い歯石
防止組成物を提供することにある。
<課題を解決するための手段> 本発明によれば、カゼインホスホペプチドを有効成分と
することを特徴とする歯石防止組成物が提供される。
以下本発明を更に詳細に説明する。
本発明において、有効成分として用いるカゼインホスホ
ペプチド(Casein Phosphopeptide)は、歯石形成の初
期に生ずるリン酸カルシウムの沈殿を抑制し、次に生ず
る非晶質リン酸カルシウムからハイドロキシアパタイト
の転移を抑制し、更にハイドロキシアパタイトの結晶成
長も効果的に抑制する成分であって、該リン酸カルシウ
ム沈殿抑制については、カゼインホスホペプチドがCa2+
イオンとキレート結合し、リン酸カルシウムの形成を抑
制するからだと考えられる。このメカニズムは、キレー
ト作用により、Ca2+イオンが減少し、リン酸カルシウム
の表面に吸着して結晶成長点をブロックして結晶成長を
押さえるからである。さらにカゼインホスホペプチドは
カゼインを原料としたペプチドであり極めて安全性の高
い物質であって、口腔に何ら刺激を与えず、トリポリリ
ン酸、ピロリン酸のような骨の脱灰を刺激することがな
い物質である。
本発明に用いる該カゼインホスホペプチドは、公知の方
法、例えば結晶トリプシンでβ−カゼインを加水分解
し、精製する方法[R.F.Peterson.L,W.Nouman and T.L.
McMeekin,Journal of the American Chemical Society
80 95〜99(1958)又はR.Naito and H.Suzuki,Agricult
ural Biological Chemistry 38 1543〜1545(197
4)]、各種酸カゼイン、カゼインナトリウム、カゼイ
ンカルシウム等を原料とし、トリプシン又はトリプシン
を含む酵素剤を作用させた後、分画操作して得る方法
(特開昭59−159792号公報、特開昭59−159793号公報)
等により調製することができる他、例えば商品名「明治
CPP−1」(CPP含有量12重量%以上)、「明治CPP−
2」(CPP含有量12重量%以上)、「明治CPP−3」(CP
P含有量85重量%以上)(以上明治製菓株式会社製)等
の市販品をそのまま用いることもできる。
本発明の歯石防止組成物において、有効成分として用い
るカゼインホスホペプチドの含有割合は、歯石形成を防
止できる量以上であれば特に限定されるものではなく、
組成物全体に対して0.01重量%以上、好ましくは0.1〜
5重量%であれば良い。本発明においてカゼインホスホ
ペプチド以外に含有させることができる成分としては、
例えば公知の賦形剤、補助剤、香料、抗菌剤、防腐剤等
を添加することもできる。
本発明の歯石防止組成物の作用形態は、例えば公知の口
腔用製剤、具体的には歯みがき剤、マウスウォッシュ、
トローチ剤、うがい薬塗布液剤、チューインガム等とし
て使用することができる。
<発明の効果> 本発明の歯石防止組成物は、カゼインホスホペプチドを
有効成分として含有するので、歯肉炎の病因として知ら
れる歯石形成を有効に防止することができ、しかもカゼ
インホスホペプチドが天然物であり、極めて安全性に優
れているので、口腔用衛生品、食品添加剤としして極め
て有用である。
<実施例> 以下本発明を試験例及び実施例により更に詳細に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
試験例 歯石形成の原因と考えられるリン酸カルシウムの沈殿形
成と非晶質リン酸カルシウムからハイドロキシアパタイ
トへの転移、更にハイドロキシアパタイトの結晶成長、
夫々についてその抑制効果を調べるために、カゼインホ
スホペプチドとして、市販の商品名「明治CPP−1」、
「明治CPP−2」、「明治CPP−3」(以上明治製菓株式
会社製)を用いて以下のとおり行った。
(a)リン酸カルシウム沈殿の抑制試験 まず16本の10ml試験管に、各々のカゼインホスホペプチ
ドと、比較試験として、従来歯石形成を防止する有効成
分として知られるトリポリリン酸とが夫々試験溶液全体
に対して0.05wt%、0.1wt%、0.25wt%、0.5wt%となる
ように、リン酸カルシウム溶液(pH7.4)と共に入れ、
ミキサーで混合した後、塩化カルシウム溶液0.25mlを夫
々添加混合して、試験溶液全体を5mlとした。得られた
各溶液を商品名「日立U−1100」(日立製作所株式会
社)を用いて50nmにおける吸光度を測定した。この測定
時においても各溶液をミキサーで攪拌し、生成する沈殿
が均一に分散した状態で測定を行った。得られた吸光度
と、各有効成分との関係を第1図に示す。第1図におい
て、吸光度が高いほどリン酸カルシウムの沈殿抑制効果
が高いことを示す。従って第1図の結果より、カゼイン
ホスホペプチドは、従来のトリポリリン酸より、微量で
リン酸カルシウムの沈殿の抑制効果を示すことが判っ
た。
(b)ハイドロキシアパタイト形成の抑制試験2mlの0.1
Mリン酸カルシウム水溶液と、表1に示す商品名「明治C
PP−1」(カゼインホスホペプチド含有量12重量%)、
「明治CPP−2」(カゼインホスホペプチド含有量12重
量%)、「明治CPP−3」(カゼインホスホペプチド含
有量85重量%)及び比較としてトリポリリン酸(TPP)
がサンプル液全体(22ml)に対して夫々0.02、0.04、0.
08重量%となるように混和した後、2mlの0.1M塩化カル
シウム水溶液を添加した。反応は、商品名「HM−7E PH
メーター」(東亜電波株式会社製)を用いて、前記塩化
カルシウムを加えた時点からpHを測定し、ハイドロキシ
アパタイト形成の時間を測定した。その結果を表1に示
す。尚カゼインホスホペプチド又はトリポリリン酸を添
加しない場合には16分でハイドロキシアパタイトが形成
された。
表1の結果より、カゼインホスホペプチドは、トリポリ
リン酸と同等若しくはそれ以上のハイドロキシアパタイ
トの形成を抑制する効果が得られると推定できる。尚商
品名「明治CPP−1」及び「明治CPP−2」では、ハイド
ロキシアパタイトの形成時間がトリポリリン酸よりかな
り速いが、これは、有効成分であるカゼインホスホペプ
チドの濃度が12重量%とトリポリリン酸濃度の約1/8の
濃度であるからであり、同程度の濃度、即ち「明治CPP
−3」を用いた場合にはそれ以上の効果が得られること
がわかる。
(c)ハイドロキシアパタイト結晶成長の抑制試験 食塩0.05M、塩化カルシウム1.06mMを含む0.63mMリン酸
カリウム緩衝液(pH7.4)20mlに、商品名「明治CPP−
1」、「明治CPP−2」「明治CPP−3」又はTPPを0.5〜
5PPMの濃度になるように添加し、更に種結晶として商品
名「NoH−0252,TypeI」(シグマ株式会社製)のハイド
ロキシアパタイト25mgを攪拌下加えた。リン濃度の測定
は、1時間毎に各上澄液を採取し、モリブデンブルー比
色定量法により定量した。その結果を夫々第2a〜d図に
示す。
第2a〜d図の結果より、カゼインホスホペプチドは、ト
リポリリン酸と同様なハイドロアパタイトの結晶成長を
抑制する効果が得られることが判った。
実施例1〜5 試験例において、リン酸カルシウム阻害活性を示した各
々のカゼインホスホペプチドを配合した実施例を以下に
示す。
(実施例1) 歯みがき剤 第2リン酸カルシウム 42 グリセリン 19 カラギーナン 1 ラウリル硫酸ナトリウム 1 サッカリン 1 カゼインホスホペプチド「明治CPP−2」 0.5 香料 1 水 残量 全量 100.0(wt%) (実施例2) マウスウォッシュ エタノール(95wt%) 15 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 2.5 グリセリン 8 サッカリンナトリウム 0.5 安息香酸ナトリウム 0.1 カゼインホスホペプチド「明治CPP−1」 0.5 香料 0.5 水 残量 全量 100.0(wt%) (実施例3) トローチ剤 アラビアゴム 6 ブドウ糖 72.2 乳糖 20 カゼインホスホペプチド「明治CPP−1」 0.5 香料 1 ステアリン酸マグネシウム 0.3 全量 100.0(wt%) (実施例4) チューインガム ガムベース 35 炭酸カルシウム 2 粉糖 40 グルコース 20 カゼインホスホペプチド「明治CPP−2」 0.5 香料 1.0 水 残量 全量 100.0(wt%) (実施例5) 飴 グラニュー糖 60 水飴 55 クエン酸 1 カゼインホスホペプチド「明治CPP−1」 0.2 香料 0.2 水分蒸発全量 100.0(wt%)
【図面の簡単な説明】
第1図は、試験例で行ったカゼインホスホペプチド及び
トリポリリン酸の濃度と透過率とを示すグラフ、第2a図
は、試験例で行った商品名「明治CPP−1」を用いた各
濃度における時間とリン濃度とを示すグラフ、第2b図
は、同じく商品名「明治CPP−2」を用いた各濃度にお
ける時間とリン濃度とを示すグラフ、第2c図は、同じく
商品名「明治CPP−3」を用いた各濃度における時間と
リン濃度とを示すグラフ、第2d図は同じくトリポリリン
酸を用いた各濃度における時間とリン濃度とを示すグラ
フである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カゼインホスホペプチドを有効成分とする
    ことを特徴とする歯石防止組成物。
JP2187944A 1990-07-18 1990-07-18 歯石防止組成物 Expired - Lifetime JPH0699294B2 (ja)

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