JPH0699076B2 - 延反機の反端払出レベル調節装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、原反から繰り出された反物を、ガイド板の上
を斜め下方に向けスライドさせて延反台の上に繰り出す
ことにより、延反台の上に多数枚の反物を積重ね延反す
るようになされた延反機における反端払出レベル調整装
置に関する。

［従来の技術］ 延反機による延反は、延反機に搭載したロール巻状の原
反から反物を繰り出しながら延反機を後退走行させるこ
とにより、この反物を延反機の前端部から延反台の上に
展開するという工程を含んでいる。このような延反を行
う場合、延反機の機内では反物が所定経路を経て配設さ
れ、その反物配設経路に終部では、金属製のガイド板の
上を反物が斜め下方に向けスライドして繰り出される。
また、このような延反機においては、延反台の上に展開
した反物を機内の反物から切り離し、そのようにして延
反台の上に展開された反物の上にさらにガイド板の上を
斜め下方に向けてスライドさせることにより繰り出した
反物を展開するという積重ね延反を行うこともある。

この積重ね延反においては、延反台の上に積み重ねられ
た多数の反物の切離端部、つまり反端が反物の相互間で
揃っていることが好ましい。すなわち、仮に積重ね延反
された多数枚の反物の反端が個々の反物の間で大きく位
置ずれしていると、積重ね延反された多数の反物をまと
めて断裁するときの反物の有効部分が小さくなり、歩留
り低下などによって経済性が損なわれるという事態を生
じる。

他方、上記ガイド板の先端レベルは、積重ね延反の繰り
返しによって延反台の上に次第に積み上げられていく反
物の高さを予め勘案し、積重ね延反された反物の高さが
高くなっても、延反機の後退走行時（延反時）は勿論、
延反の開始先立って延反機が延反開始位置まで前進走行
するときにガイド板の先端がそれらの反物に当たらない
ようになされている。したがって、多数枚の反物を積重
ね延反しようとすれば、必然的に延反台の上面とガイド
板の先端との間隔を広くしておかねばならない。

［発明が解決しようとする課題］ しかしながら、延反台の上面とガイド板の先端との間隔
が広くなっていると、延反台の上に一枚目の反物を延反
するときや、延反された反物の枚数が少ないときには、
延反開始時におけるガイド板の先端から払い出された反
端が延反台の上面や既に延反されている反物の上に乗る
までの距離が長くなり、延反台の上面または既に延反さ
れている反物の上に乗る反端の位置が反物ごとにずれや
すくなり、積重ね延反された反物の反端の不揃いを生じ
やすいという問題があった。

そこで、この問題を生じないようにするためには、ガイ
ド板の取付位置を下げ、ガイド板の先端を延反台の上面
に近付けておくとよいが、そのようにすると、延反を行
なえる反物の枚数が少なくなるという問題を生じる。

また、延反台に延反された反物の枚数が増えていくに連
れ、その積重ね高さに応じてガイド板を徐々に上昇させ
るように構成することも可能である。ところが、ガイド
板を昇降式にする場合、延反した反物を切り離すための
カッタ機構をガイド板と共に昇降させ得るようにするこ
とが不可欠であるから、ガイド板を昇降させるための機
構として大出力の昇降機構を備え付ける必要が生じ、そ
の構成が複雑になると共に価格が高くなるという問題が
ある。

本発明は以上の問題に鑑みてなされたもので、多数枚の
反物を積重ね延反することができるものであり、しかも
上述したような大出力の昇降機構を備え付けることを不
要として価格を安く抑えられるものでありながら、何枚
目の反物を延反するときでも延反台の上面や既に延反さ
れている反物に対する反端の払出レベルを同じ程度に設
定して延反をすることが可能な延反機の反端払出レベル
調節装置を提供することを目的とする。

［課題を解決するための手段］ 本発明に係る延反機の反端払出レベル調節装置は、原反
を搭載した延反機機の機内に上記原反から繰り出された
反物が所定経路を経て配設され、反物配設経路の終部に
おいて反物がガイド板の上を斜め下方に向けてスライド
して繰り出されるように構成した延反機において、ガイ
ド板に対し重なり状態で設けられた補助板と、この補助
板を上記ガイド板に沿ってそのガイド板の先端から斜め
下方に向けて突き出させる位置とガイド板に沿ってその
ガイド板の先端から斜め上方に向けて退入させる位置と
の間で進退移動させるための駆動手段とを有するもので
ある。

［作 用］ この構成によれば、ガイド板の先端レベルを変えること
はできないけれども、駆動手段によって補助板をガイド
板の先端から突き出させれば、ガイド板から突き出た補
助板の先端から反端が払い出されることになる。したが
って、ガイド板の先端からの補助板の突出幅を増減調節
すれば、延反台の上面や既に延反されている反物に対す
る反端の払出レベルが変わる。また、ガイド板自体を昇
降させるものでないのでカッタ機構を昇降させる必要が
なく、そのために、補助板の駆動手段にそれほど大きな
出力が要求されない。

［実施例］ 第１図は本発明の実施例による反端払出レベル調節装置
Ａが搭載された延反機の概略側面図である。

延反機は、左右のサイドフレーム１の間にロール巻状の
原反100を支持する一対の解反ロール2,3、反物案内ロー
ル４、繰出ロール5,6,7などが設けられていると共に、
延反機の先端部分に斜め下向きに傾斜したガイド板８と
反物押え板９とカッタ機構10とが設けられている。その
他、左右のサイドフレーム１の間には、必要とされる各
種のロール類、各種の駆動源や駆動機構などが組み込ま
れている。

第２図と第３図のように、反端払出レベル調節装置Ａ
は、ガイド板８に対し重なり状態で設けられた補助板11
と、この補助板11を進退移動させるための駆動手段12と
を有している。

補助板11は金属などで矩形に形成されており、斜め下向
きのガイド板８の背面に重ね合わされていると共に、ガ
イド機構13によってガイド板８の先端8aから突き出る位
置とガイド板８の先端8aから退入する位置との間でスラ
イド自在に保持されている。図例のガイド機構13はガイ
ド板８の両端部に設けられた係合片で補助板11の両端部
を抱持した構成になっているが、このガイド機構13は、
レールとそのレールに摺動自在に保持された倣い部材と
の組合せなど、他の種々の公知のガイド機構によって構
成することが可能である。

駆動手段12は、補助板11に固着されたナット体14をねじ
軸15に螺合させ、このねじ軸15を歯車伝達機構16を介し
てモータ17の回転軸に連結した構成になっている。ねじ
軸15を回転自在に支持する軸受18やモータ17はたとえば
延反機のサイドフレーム１に固着されている取付部材19
に固定されている。

この構成で、モータ17を駆動してねじ軸15を回転させる
と、ねじ軸15の回転方向や回転回数に応じてナット体14
と共に補助板11が矢符Ｘのようにガイド板８に沿ってそ
のガイド板８の先端8aから斜め下方に向けて突き出した
り、ガイド板８に沿ってそのガイド板８の先端8aから斜
め上方に向けて退入したりするため、そうすることによ
って補助板11をガイド板８の先端8aから突き出させた
り、ガイド板８の先端8aから退入させたりすることが可
能であり、また、ガイド板８の先端からの補助板11の突
出幅Ｌを増減したりすることも可能である。したがっ
て、そのようにすることにより反端の払出レベルを無段
階で変更することが可能である。

次に延反を行う場合を説明する。

解反ロール2,3の作用で原反100から繰り出した反物101
を反物案内ロール４や繰出ロール5,6,7の作用で機内の
所定経路に配設して延反準備を行った後、延反台20の上
で延反機を後退走行させながら、反物案内ロール４や繰
出ロール5,6,7を作動させて反物101をガイド板８の上で
スライドさせて延反台20の上に展開し、所定長の反物10
1が展開されたときに延反機を停止させ、押え板９を矢
符ａのように下降させることによりその押え板９で反物
101をガイド板８の先端部に押し付け、この状態でカッ
タ機構10をガイド板８の先端縁に沿って反物101の幅方
向に走行させて反物101を切り離す。次に、延反機を延
反開始位置まで前進走行させることと、押え板９を矢符
ｂのように上昇させて反物101の繰り出しに備えること
とを行い、上述したところと同様の手順で延反を行う。

このような延反を行うに当たり、繰り返し行われる延反
の最初の段階、すなわち延反台20の上に反物が延反され
ていない段階および延反されている反物の枚数が少ない
段階では、駆動手段12によって補助板11をガイド板８の
先端8aから大きく突き出し、補助板11によって反端の払
出レベルを低くしておく。そして、積重ね延反の進行に
伴って積み重ねられた反物の高さが高くなるにつれて、
補助板11を徐々に退入させていくようにすると、反端の
払出レベルが積重ね延反されている反物に対して同じ程
度のレベルに保たれ、積重ね延反での反端の不揃いを生
じにくい。

［発明の効果］ 以上のように本発明によれば、ガイド板の先端レベルを
延反台の上面から離れた位置に設定しておいても、補助
板をガイド板の先端から突出させることにより反端の払
出レベルを延反台の上面や既に延反されている反物に近
付けることができるのみならず、ガイド板の先端からの
補助板の突出幅を調節することにより、上記払出レベル
を調節することが可能になるという効果がある。そのた
め、積重ね延反の進行に伴って徐々に補助板の突出幅を
小さくしていけば、ガイド板から払い出される反端を、
何枚目の延反を行うときでも同じ程度のレベルから払い
出すことが可能になり、そのことにより、反物を積重ね
延反した場合に反端の不揃いを生じにくくなる。その
上、本発明では、補助板だけを進退させる構成にしてあ
るので、ガイド板やカッタ機構を動かし得るような大出
力の駆動手段が必要なくなり、それだけ構成が簡単にな
り、しかも価格が安く付くという長所がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例による反端払出レベル調節装置
が搭載された延反機の概略側面図、第２図は同装置の一
部を示す概略正面図、第３図は同装置の概略側面図であ
る。 Ａ……反端払出レベル調節装置、８……ガイド板、8a…
…ガイド板の先端、11……補助板、12……駆動手段、10
0……原反、101……反物。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】原反を搭載した延反機の機内に上記原反か
   ら繰り出された反物が所定経路を経て配設され、反物配
   設経路の終部において反物がガイド板の上を斜め下方に
   向けてスライドして繰り出されるように構成した延反機
   において、 ガイド板に対し重なり状態で設けられた補助板と、この
   補助板を上記ガイド板に沿ってそのガイド板の先端から
   斜め下方に向けて突き出させる位置とガイド板に沿って
   そのガイド板の先端から斜め上方に向けて退入させる位
   置との間で進退移動させるための駆動手段とを有するこ
   とを特徴とする延反機の反端払出レベル調節装置。