JPH0698246A - 振れ補正装置 - Google Patents

振れ補正装置

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JPH0698246A
JPH0698246A JP4243485A JP24348592A JPH0698246A JP H0698246 A JPH0698246 A JP H0698246A JP 4243485 A JP4243485 A JP 4243485A JP 24348592 A JP24348592 A JP 24348592A JP H0698246 A JPH0698246 A JP H0698246A
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shake
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vibration
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JP4243485A
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Takeshi Morofuji
剛 諸藤
Akihiro Fujiwara
昭広 藤原
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Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 カメラ装置に加わる振れの周波数にかかわら
ず常に最大の振れ補効果を得ることのできる振れ補正装
置を提供することにある。 【構成】 カメラ装置の振動を検出する角速度センサ、
前記角速度センサの出力に応じて前記振動による画像ぶ
れを補正する補正光学系と、前記振動の周波数を検知す
る周波数検知器と、前記周波数検知器の出力に基づいて
前記補正光学系の周波数特性を可変する制御回路とを備
えることにより、常に装置に加わっている振れ中心周波
数において位相ずれ,利得ずれのない振れ補正特性を得
ることのできる振れ補正装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カメラ等の撮影装置に
用いて好適な振れ補正装置の性能改善に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来よりカメラ等の撮影装置の分野で
は、露出設定、焦点調節等あらゆる点で自動化,多機能
化が図られ、撮影環境にかかわらず常に良好な撮影を行
うことができるようになつている。
【0003】しかしながら実際に撮影画像の品位を著し
く低下させているのはカメラ振れであることが多く、近
年ではこのカメラ振れを補正する振れ補正装置が種々提
案され、注目を集めているところである。
【0004】振れ補正装置は、補正系では光学的に補正
するもの、画像処理によつて電気的に補正するものに大
別され、また検出系では物理的に振動を検出するもの、
画像の動きベクトル等を画像処理によつて検出するもの
に大別され、多くの形態が考えられる。
【0005】図19にすでに提案されている振れ補正装
置の一例をブロツク図で示したものである。同図におい
て、1はカメラ等の撮影装置本体に取り付けられ、該撮
影装置に印加される振動を物理的に角速度として検出し
て角速度信号を出力するジャイロ(角速度センサ)であ
り、撮影装置本体に取り付けられている。2は角速度セ
ンサ1より出力された角速度信号から直流成分を除去
し、振動成分のみを通過させるためのDCカツト用ハイ
パスフィルタ(以下HPFと称す)、3はHPF2を通
過した振動成分を積分して振動成分の平均値を演算し、
角変位信号として出力する積分器である。この信号が撮
影装置の振れを表す評価値となる。
【0006】9は可変頂角プリズム(以下VAPと称
す)であり、対向した2枚の透明平行板91,92の間
に透明な高屈折率の弾性体または不活性液体93を充填
し、その外周を樹脂フィルム等の封止材94にて弾力的
に封止して成り、透明平行板91,92が相対的に揺動
可能に構成されているものであり、アクチユエータ7に
よる機械的駆動によって2枚の透明平行板のなす相対的
な角度を変化させることによりその頂角を変化させ、レ
ンズユニツト10への入射光角度を変化させるものであ
る。またこのVAPの駆動状態すなわち頂角は、頂角セ
ンサ8によつて2枚の透明平行板が互いに平行である位
置からの変位角として検出される。
【0007】4は積分器3より出力された角変位信号に
頂角センサ8の信号を逆極性で加算(引き算)する加算
器、5は加算器4の出力信号を増幅するアンプ、6はア
ンプ5の出力信号をVAP9を駆動するアクチユエータ
7の駆動信号に変換する駆動回路6である。
【0008】すなわち角速度センサ1によつて検出され
た振動成分を積分器3で平均することによつて得た角変
位信号と、頂角センサ8より出力されたVAPの頂角変
位量を加算器4で引き算してその差分を演算し、アンプ
5,駆動回路6はこの差分を0にする方向にVAPを駆
動すべくアクチユエータを制御し、これによるVAPの
頂角変位は頂角センサ8によつて検出され加算器4へと
供給される。
【0009】したがつて、加算器4,アンプ5,駆動回
路6,アクチユエータ7,VAP9,頂角センサ8を経
て加算器4へと戻る閉ループが形成されており、加算器
4の出力信号が『0』すなわち積分器3より供給される
角変位信号と頂角センサ8より出力される頂角を表す信
号が常に一致するようにVAPが制御され、これによつ
て振れ補正が行われるわけである。
【0010】VAP9によって入射角度が変えられた光
束はレンズユニツト10によってCCD等の撮像素子1
1の撮像面上に結像され、撮像素子11からは入射光を
光電変換した撮像信号が出力される。
【0011】ここで、可変頂角プリズムは、その頂角を
変化させることで、光軸を偏向させるものであるので、
撮影装置の振れに応じて頂角を変化し光軸を偏向させる
ことによつて、撮像素子に対して光軸を安定させ、射像
の安定化を図るものである。よって、VAPの頂角の機
械的駆動方法に要求されるのは、コントロール信号に対
して光軸が安定して偏心するように頂角を傾けることで
ある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
ような振れ補正システムには以下に述べるような問題点
がある。
【0013】図20は、ある既存の角速度センサを使用
した場合に、図19の振れ補正機構を含む撮影装置に一
定振幅の加振を行ったときに、HPF2より出力される
振動成分の周波数特性であり、同図(a)は利得特性、
同図(b)は位相特性を示している。
【0014】ここで、10Hzでの特性に注目すると、
同図(a)より利得はほぼ0dBで振動成分が検出され
ておらず防振効果が十分得られているように見えるが、
同図(b)に示す位相は約7.5degのずれを生じて
いる。したがつてこの位相ずれを主要因として、画像補
正系(VAP等)の周波数特性が理想的(振れ補正周波
数帯域全域において利得0dB,位相ずれなし)であっ
たとすると、この振動検出系において発生した位相ずれ
を考慮した防振効果を20 log(OUT/IN)= G(利得)の式
に基づいて演算すると、上記振動が1/8に抑制された
ことになる。
【0015】これは、通常の撮影においては十分な効果
が期待できるが、10Hz付近の周波数が連続して長く
加わっているときには、振動が定常化して目につきやす
くなる場合がある。
【0016】すなわち上述のように、角速度センサの現
状では十分な振動抑制効果の期待できない周波数帯域
で、連続した振動が加わり続けた場合、加わっている振
動の大きさによっては、補正残りが目立つことが問題で
あった。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は上述した課題を
解決することを目的としてなされたもので、その特徴と
するところは、装置の振動を検出する振動検出手段と、
前記振動検出手段の出力に応じて前記振動による画像ぶ
れを補正する補正手段と、前記振動の周波数を検知する
周波数検知手段と、前記周波数検知手段の出力に基づい
て前記補正手段の周波数特性を変更する制御手段とを備
えた振れ補正装置にある。
【0018】
【作用】これによつて、振れ補正機構を含む撮影装置に
加わっている振れ、つまり補正すべき振れの中心周波数
を検知し、その出力に応じて位相特性を変化させること
により位相ずれを補正することができ、これにより主周
波数帯域の位相ズレの無い振れ周波数に応じた十分な振
れ補正が可能となる。
【0019】また、位相特性と共に利得特性も補正する
ことにより、更なる改善を行なうことができる。これに
より、振れの主周波数帯域の位相ずれ、利得ずれを無く
することができ、振れの周波数に応じた十分な振れ補正
が可能となる。
【0020】
【実施例】(第1の実施例)以下、本発明における振れ
補正装置を各図を参照しながらその実施例について詳述
する。
【0021】図1は本発明の振れ補正装置の第1の実施
例を示すブロツク図であり、図19に示す従来例と同一
構成部分については同一符号を付し、その説明を省略す
る。
【0022】図19と同様に、振れ補正手段としてはV
AP9が用いられ、角速度センサ1の出力からHPFで
直流分をカツトした振動成分を積分器3で平均化して角
変位信号を得、この角変位信号と頂角センサ8の出力と
を加算器4で引き算した差分が『0』となるようにVA
Pを制御すべくアクチユエータ7を駆動する閉ループ制
御系が構成されている。
【0023】次に本実施例におけるVAP駆動用アクチ
ユエータ7、頂角センサ8の細部の構成について説明す
ると、まずVAPの2枚の透明平行板の一方の91が軸
9bを中心に回動する支持枠9aによつて回動自在に支
持されており、これによつて頂角を可変するようになつ
ている。
【0024】尚、この支持枠9aは軸9bと直行する軸
方向にも図示しない支持機構により回動自在に支持され
ており、これによつてX,Y方向における振れを補正す
ることができるようになつている。そしてこれら両軸に
ついてそれぞれアクチユエータ,頂角センサが設けられ
ているが、説明の便宜上、軸9b方向についてのみ説明
する。
【0025】アクチユエータ7はコイル7aと、支持枠
9aに一体形成された突片に取りつけられたマグネツト
7bとからなり、コイル7aに電流を流すことによつて
両者の間に発生する電磁力により支持枠9aを軸9bに
ついて回動し、VAPの頂角を可変するものである。し
たがつてコイル7aに供給する電流量によつてVAPを
駆動量及び方向を制御することができる。
【0026】またVAPの頂角を検出する頂角センサ8
は、支持枠9aに一体に形成されたスリツト板9cを挟
んで上下に配されたLED等の発光素子8a及びPSD
等の受光素子8bとからなり、VAPの頂角変位に応じ
てスリツト板9cが移動し、そのスリツト像が受光素子
8b上を移動することによつて、VAPの頂角を検出す
ることができる。
【0027】次に本発明の特徴とする振れの中心周波数
を検知してVAPの駆動制御周波数特性を変更する構成
について説明する。
【0028】2’はHPFでありコンデンサC1と可変
抵抗R1とからなり、角速度センサ1の出力信号から直
流分を除去して振動成分のみを通過させるハイパスフイ
ルタの働きを有するものであるが、可変抵抗R1を制御
することにより、そのカツトオフ周波数すなわち周波数
特性を可変することができるようになつている。そして
この可変抵抗R1は後述するモータによつて制御され
る。
【0029】また12は本発明における振れ補正装置を
内蔵した撮影装置に加わる振動の周波数を検知する周波
数検知器であり、たとえば振動を検出する加速度センサ
や同図に示す角速度センサ1等の振動検知手段と、その
振動成分の周波数をカウントをする周波数カウンタとで
構成することができる。この周波数カウンタは、加速度
センサの出力の振動成分を抽出して所定の時間内に生じ
る振動数をカウントすることにより実現することがで
き、これにより振れ周波数を検出することができる。
【0030】13は周波数検知器によつて検出された振
れ周波数信号をF−V変換(周波数−電圧変換)するF
−V変換器、14はF−V変換器の出力と、抵抗R2の
抵抗値つまり周波数に対する補正量の相関を補正する補
正回路で、F−V変換器13によつて電圧値に変換され
た振れ周波数に応じた信号を後述する可変抵抗制御用モ
ータを駆動制御する電圧レベルの範囲に変換するもので
ある。15は補正回路14より供給された振れ周波数に
対応する電圧レベルと、不図示の電源電圧を可変抵抗R
1と連動する可変抵抗R2で分圧した電圧レベルとを比
較してその差に応じて後述の可変抵抗制御用モータ16
を駆動するモータ駆動回路、16は可変抵抗制御用モー
タで、その回転軸を2連の可変抵抗R1,R2の回転子
に結合され、その回転によつて可変抵抗の抵抗値を可変
するように構成されている。
【0031】すなわち抵抗R2には、HPF2’の抵抗
R1の抵抗値が反映され、モータ駆動回路15は補正回
路14の出力と抵抗R2の電圧が等しくなるように可変
抵抗制御用モータ16を駆動することにより、結果とし
てHPF2’内の可変抵抗R1の抵抗値すなわち時定数
を振れ周波数に応じて可変することができる。
【0032】そこで本発明では、図20に示す角速度セ
ンサ1の周波数特性から、各振れ周波数の時に生じる位
相ずれ量を求め、それらの振れ周波数ごとにその時に生
じる位相ずれを補正するのに必要な周波数特性の補正
値、具体的には可変抵抗R1の抵抗値が演算で求められ
るので、周波数検知器12によつて検出された周波数に
応じて可変抵抗制御モータ16が回転制御され自動的に
その周波数において発生する位相ずれを補正し得る抵抗
値が可変抵抗R1に設定されるように、抵抗R2の抵抗
値とF−V変換器13の間の対応関係が補正回路14に
よつて設定されている。これによつて振れ周波数の変化
に応じて常に位相ずれの生じない周波数特性がHPF
2’に設定されることになり、振れ周波数にかかわらず
高い防振効果を得ることができる。
【0033】図2に本発明の振れ補正装置における第1
の実施例の防振特性データを示す。同図(a)は利得特
性、同図(b)は位相特性、また図3はそのときに得ら
れる振動抑制の効果を示す特性である(ただし画像補正
系は前述のように理想的なものであるとする)。
【0034】このデータは、積分器6の遮断周波数を
0.07Hz、HPF2’の遮断周波数を0.06Hz
とし、そのときの位相の0degとの交点周波数の利得
を0dBとした図20の特性に対して、振れの周波数
(1Hzごと)に対応して位相ずれを補正したときの周
波数特性図である。
【0035】同図において記号3,〜,10で示される
特性曲線は、それぞれ振れ周波数が3Hz,4Hz,5
Hz,6Hz,7Hz,8Hz,9Hz,10Hzのと
きの位相ずれを補正した周波数特性図である。すなわち
各曲線3〜10はそれぞれ3Hz〜10Hzで位相が0
degとなり抑制効果が最大となるように可変抵抗4の
値を変更して位相ずれを補正したときの特性曲線であ
る。この3Hz〜10Hzの周波数帯域はたとえば自動
車、電車等の乗り物上で撮影を行ったような場合の振動
を想定したものである。
【0036】すなわち図20をともに参照して明らかな
ように、位相特性曲線は位相ずれが0となる0degラ
インと交差するが、もし位相遅れがあるとその周波数に
おいて利得が0dBであつても前述のように防振効果が
不十分となる。そこで各振れ周波数ごとにその周波数に
おいて位相ずれが0degとなるように補正をかけた時
の特性曲線が同図の3〜10の曲線である。
【0037】そしてその特性曲線を選択する手段は、図
2(a),(b)に示された特性曲線をHPF2’に持
たせることにより補正系に位相遅れを補償する位相進み
補正を行い、位相ずれを補正するものであり、具体的に
は可変抵抗R1を可変してHPF2’の時定数を可変
し、振れ周波数が低くなる程、遮断周波数を低域にシフ
トすることにより位相補償を行うものである。
【0038】図3は、上述の補正を行った後の振れを示
すものであり、図2に示す周波数特性を振れ周波数ごと
に切り換え、各振れ周波数に応じた補正を行った結果得
られた抑制の効果を示すものである(ただし画像補正系
は前述のように理想的なものとする)。
【0039】これら位相ずれを補正したときの各振れ周
波数に対する補正の効果を見ると、それぞれの振れ周波
数で最良の効果がでていることがわかる。
【0040】このように、連続した振れに対し、本実施
例で最も抑制効果の小さい10Hz付近でも、従来は1
/8程度の振れに抑える程度であったが、これを1/4
0以下まで抑制効果を向上する事ができる。
【0041】尚、図3において3Hzで最も抑制効果が
大きい(60dB以上)のは、シミユレーシヨンにおい
て、3Hzで利得が0dBとなる系で実験を行ったこと
に起因するものである。このもとの利得特性のばらつき
に起因する抑制効果のばらつきについては本発明の後述
の実施例によつて解決される。
【0042】また本実施例によれば、角速度センサ以外
の構成要素は理想的であるとして説明したが、VAPの
応答遅れ等、系全体を考慮する場合には、実測に基づい
てモータ駆動回路15の設定をシフトすべく、可変抵抗
R2に印加する電圧値を変えるか、補正回路14の設定
を変更することにより適応させることができる。
【0043】(第2の実施例)図4は本発明の第2の実
施例を示すものである。図1に示す第1の実施例によれ
ば直流カツトを行うHPF2’を構成する抵抗R1の抵
抗値を振れ周波数に応じて可変することにより、その振
れ周波数において振動抑制効果が最大となるように防振
特性を設定する手段を用いたが、図4のような回路構成
を用いても、第1の実施例と同等の効果を得ることがで
きる。
【0044】図1の第1の実施例と異なるところは、H
PF2’を構成するコンデンサC2を可変容量コンデン
サとして抵抗R1を固定抵抗となし、振れ周波数に応じ
て可変容量コンデンサC2の容量を可変することによ
り、その出力を補正すべき位相ずれに対応する周波数特
性に制御するものである。
【0045】すなわち角速度センサ1の周波数特性よ
り、各振れ周波数に対応した位相ずれを補正するための
可変容量コンデンサC2の値を求めておき、周波数検知
器12の出力により、それに対応した設定値にC2の容
量を変化させれば、振れの主周波数帯域の位相ずれを
『0』にすることができ、振れの周波数に応じた十分な
振れ補正が可能となる。
【0046】この場合可変容量コンデンサは所謂バリコ
ンを用い、これをモータで制御するようにしてもよい
が、可変容量ダイオード(バリキヤツプ)を用いて電気
的に制御することもできる。そして補正回路14も図1
の可変抵抗の特性に適応したものから可変容量コンデン
サの特性に適応したものとなる。
【0047】他の構成については図1の構成と同様であ
り、これ以上の説明は省略する。
【0048】(第3の実施例)図5に本発明の第3の実
施例を示す。
【0049】前述の第1,第2の実施例では、DCカツ
ト用のHPFによって周波数特性を変え、位相ずれを振
れ周波数に対応して補正したが、このように構成するこ
とにより、図1,図4のHPF2の信号は位相ずれを補
正した角速度信号として直接用いることができる。
【0050】しかしながら、角速度センサの特性により
振動分のみが得られ、DCカットが必要ない場合に、図
5に示すように積分器に周波数特性を可変する機能を持
たせることによっても上述の各実施例と同様の作用効果
を実現できる。
【0051】すなわち角速度センサの出力が直流分を含
まないとすると、その出力は変位量を微分した信号とな
り、対数で考えれば周波数の変位に対して一様な傾きを
持つ微分特性曲線となる。
【0052】一方、積分器は微分信号と逆特性となる。
したがつてこれらの特性を合成し、積分器の遮断周波数
を変化させれば、結果として系全体の周波数特性を可変
することができるわけである。
【0053】また、本実施例では、画像補正手段とし
て、VAPを用いず、たとえばレンズ10と撮像素子1
1が一体化したものを支持部材10aを介して軸10b
について回動自在に支持し、これをアクチユエータ7で
駆動することによつて頂角を可変し、振れ補正を行うよ
うにしてもよい。尚、説明の便宜上、図示を省略する
が、際には、支持部材10aを支持し、軸10bと直行
する軸について全体を回動自在に支持する支持部材が配
されており、X−Y方向の補正が可能となつていること
は言うまでもない。
【0054】同図において、21は角速度センサ1より
出力された振動成分を所定のレベルに増幅するとともに
マツチングをとるバツフアアンプ、22はオペアンプで
あり、オペアンプ22と、その入力側の抵抗R4、帰還
ループに配されたコンデンサC3、抵抗R5、アナログ
スイツチ24によつて周波数特性を変更可能な積分器3
が構成されている。
【0055】そして積分器の周波数特性を変更する手段
としては、オペアンプ22のフイードバツクループに挿
入されている抵抗R5に直列に配されているアナログス
イツチ24をON,OFFする時間すなわちアナログス
イッチ24を後述するPWM変換器23により出力され
るPWM信号でデューティ制御することで、抵抗R5と
アナログスイツチ24の両端の見かけの抵抗値を可変に
している。
【0056】すなわちアナログスイツチ24がONのと
きは、抵抗R5がコンデンサC3と並列に挿入され、時
定数回路を形成するが、OFFのときは、単に開放とな
り、電流が遮断されるため、一定の周波数でアナログス
イツチ24をON,OFF制御すると、そのデユーテイ
により、ONの間はその時定数で電流が流れ、OFFの
時は遮断されるので、ある時間内で見れば電流量をデユ
ーテイ比を可変することによつて変化させることができ
ることになり、実質的には抵抗値を変化させたのと同じ
結果となる。
【0057】一方、このような方式を取ると、アナログ
スイツチ24をON,OFFする周波数のリツプル分が
信号に混入することになるが、振れの周波数は本来1H
z以下の周波数から100Hzに満たないごく低い周波
数帯域であり、これより十分高い周波数でアナログスイ
ツチ24をON,OFF制御すれば、積分器の出力とし
ては、アナログスイツチ24のスイツチング周波数はそ
の積分器による時定数によるフイルタ自体で吸収されて
しまい、悪影響を及ぼすことはなく、そのデユーテイ制
御によつて電流量のみが制御され、実質的に抵抗値を可
変したのと同じになる。この方式を用いると、可変抵抗
のような機械的な接触を要する部品やこれを駆動する手
段を必要としない上、特にマイクロコンピユータによる
制御が容易となる。
【0058】周波数検知器12で検知された振れ周波数
信号は、F−V変換器13によつてF−V変換され、続
いて補正回路14を介してPWM変換器23へと供給さ
れる。このPWM変換器23はアナログスイツチ24を
ON,OFFするパルス信号を出力するとともにそのデ
ユーテイを制御するものであり、補正回路14は周波数
をこのアナログスイツチをON,OFF制御するための
デユーテイ比に変換するための処理を行うものである。
したがつて積分器の出力は補正すべき位相ずれに対応す
る周波数特性をもった角変位信号となる。
【0059】以上の説明では本実施例を各構成要素単位
で説明したが、F−V変換器13,補正回路14,PW
M変換器23はマイクロコンピユータ25によつて構成
することが可能であり、図20に示す角速度センサ1の
周波数特性より、各振れ周波数に対応した位相ずれを補
正するための積分器の周波数特性補正値、具体的にはア
ナログスイツチ24をON,OFFするためのデユーテ
イ比を求めてマイクロコンピユータ25内のROMにテ
ーブル形式で記憶しておき、周波数検知器12によつて
検知した周波数に応じてその振れ周波数に対応するデユ
ーテイ比を読み出してPWM変換器23へと供給し、そ
のデユーテイを制御するものである。
【0060】図6(a)は振れ周波数に応じてアナログ
スイツチ24のON,OFF制御信号のデユーテイ比を
設定するまでの処理を示すフローチヤート、同図(b)
はマイクロコンピユータ25内のROMに格納された振
れ周波数とその補正値となるデユーテイ比のデータテー
ブルを示すものである。
【0061】同図(a)において、処理を開始すると、
S1で周波数検知器12より供給される振れ周波数デー
タを入力し、S2で同図(b)に示すデータテーブルよ
り、振れ周波数に対応するデユーテイ比(アナログスイ
ツチのON期間)を検索して読み出す。
【0062】S3ではデータテーブルより読み出した振
れ周波数に対応したデユーテイ比を変数デユーテイデー
タ1(デユーテイの目標値)としてセツトし、S4でア
ナログスイツチ24を現在ON,OFF制御しているデ
ユーテイ比を変数デユーテイデータ2としてセツトす
る。
【0063】S5ではデユーテイデータ1とデユーテイ
データ2とを比較し、両者が等しければ現在のデユーテ
イ比が目標値に等しいわけであるから、S1へと復帰し
て再度振れ周波数検出値の入力を行う。
【0064】S5でデユーテイデータ1とデユーテイデ
ータ2とが等しくなかつた場合にはS6へと進み、デユ
ーテイデータ1とデユーテイデータ2の大小関係を判定
し、デユーテイデータ1がデユーテイデータ2より小さ
い場合はS7へと移行してデユーテイデータ2を所定値
a減少させ、デユーテイデータ1がデユーテイデータ2
以上の場合にはS8へと移行してデユーテイデータ2を
所定値a増加させる。すなわちデユーテイ比をいきなり
目標値に変更するのではなく、所定値a単位で増減させ
ることにより、制御の安定化及び円滑化を図っている。
【0065】以上の処理を行った後、S9でデユーテイ
データ2を出力(変更)し、PWM変換器23ブロツク
へと供給し、再びS4へと復帰して現在のデユーテイ比
をセツトして以上の処理を繰り返し行うものである。
【0066】これによつて振れ周波数に対応した振れ補
正の周波数特性を実現することができ、積分器の特性を
しかもPWM制御することにより、上述の実施例1,2
と同様の効果を得ることができる。
【0067】(第4の実施例)図7は本発明の第4の実
施例を示すブロツク図である。
【0068】以上述べた実施例によれば、図2に示すよ
うに振れ周波数に応じてその位相特性を補正(その振れ
周波数において位相が0dBとなる)を行うことによ
り、図3に示すように3Hz〜10Hzの各振れ周波数
に対していずれも大幅な振動抑制力を得ることができ、
位相特性の補正によりかなりの特性の改善ができたこと
は明らかであるが、位相特性と共に利得特性をも補正す
ることにより更なる改善を行なうことができる。
【0069】すなわち振れの主周波数帯域の位相ずれ、
利得ずれを無くすることで、振れの周波数に応じた完全
な振れ補正が可能となる。もう少し詳しく解析すると、
図3に示すように、位相特性の補正によりいずれの振れ
周波数について十分な振動抑制効果が得られるが、3H
zの振れ周波数に対する振動抑制力と10Hzの振動抑
制力とでは、3Hzの方が振動抑制効果が大きい。これ
は図2(a)の利得特性において、角速度センサの特性
が3Hzで利得が0dBとなるような特性を持ってお
り、周波数が4Hz,5Hz,……,10Hzと高くな
るにつえて利得特性が0dBから序々に離れていく特性
となつているからである。
【0070】したがつて位相特性だけでなく、利得特性
も各振れ周波数ごとに補正するようにすれば、すべての
周波数に対して均一で且つ高い振動抑制力を得ることが
できるはずである。本実施例はこの方式を実現したもの
である。
【0071】図7において、たとえば図1に示す第1の
実施例と異なる構成部分は、積分器3の後にオペアンプ
26,抵抗R6,可変抵抗R7によつて構成され、可変
抵抗R7を可変することにより利得を可変できる可変利
得アンプが付加された点である。そして可変抵抗R1,
R7はモータ駆動回路15の入力側の可変抵抗R2と連
動して回転されるようになつており、これによつて特性
可変用の可変抵抗R1,R7の回転位置すなわち抵抗値
がモータ駆動回路15の入力側に反映されるようになつ
ている。他の部分は図1と同様であり、その説明を省略
する。
【0072】具体的には第1の実施例で説明したよう
に、図20(a),(b)に示す角速度センサ1の周波
数特性より、それぞれ各振れ周波数に対応した位相ずれ
及び利得ずれをもとめ、これを補正するための位相補正
値(HPFの時定数)及び利得を補正する利得補正値
(可変利得アンプの利得)を求めておき、周波数検知器
12の出力により、その振れ周波数に応じたそれぞれ位
相及び利得補正値をHPFの可変抵抗R1及び可変利得
アンプの可変抵抗R7に設定することにより、振れの主
周波数帯域の位相ずれ、利得ずれが無くなり、振れの周
波数に応じた十分な振れ補正が可能となる。
【0073】周波数検知器12で検知された周波数はF
−V変換器13で電圧値に変換され、補正回路14で補
正された後モータ駆動回路15へと供給され、モータ1
6を駆動する。これによつてHPFの可変抵抗R1及び
可変利得アンプの可変抵抗R7が駆動されてその抵抗値
が可変され、それぞれ位相特性,利得特性が補正され
る。
【0074】また各可変抵抗R1,R7の変位は可変抵
抗R2の抵抗値に現れ、補正回路14は可変抵抗R2,
R7が振れ周波数に対応した補正値になるまで駆動され
たとき可変抵抗R2によつて設定される電圧値と補正回
路14の出力が等しくなるように、F−V変換器13の
出力を補正するものである。すなわちモータ駆動回路1
5,モータ16,各可変抵抗R1,R2,R7によつて
閉ループを構成している。
【0075】図8に本実施例の振れ補正装置における振
れの周波数(3,7,10Hz)に対応して位相ずれ、
利得ずれを補正するための防振特性データを示すもの
で、同図(a)は利得特性、同図(b)は位相特性、ま
た図9はそのときに得られる振動抑制の効果を示す特性
である(ただし画像補正系は前述のように理想的なもの
であるとする)。
【0076】すなわち利得補正後の周波数特性は図8
(a)に示すようになり、3Hz,7Hz,10Hzの
振れ周波数に対応する補正特性曲線3,7,10はそれ
ぞれ3Hz,7Hz,10Hzにおいて利得が0dBと
なる特性となる。
【0077】また位相補正後の周波数特性は図8(b)
に示すようになり、3Hz,7Hz,10Hzの振れ周
波数に対応する補正特性曲線3,7,10はそれぞれ3
Hz,7Hz,10Hzにおいて位相が0degとなる
特性となる。
【0078】またこの利得及び位相補正による振動抑制
効果は、図9に示されているようにいずれの振れ周波数
に対しても一様に高い振動抑制効果が得られ、連続した
振れに対し、第1〜第3の実施例に示したような位相補
正のみの場合には、図3に示したように10Hz付近で
1/40程度に振れを抑える程度であったが、上記のよ
うに、利得ズレの補正を加えることにより、これを1/
100以下まで抑制する事ができる。これは位相,利得
の両方を補正したことによるものである。
【0079】(第5の実施例)図10に本発明における
第5の実施例を示す。
【0080】図7の第4の実施例と異なる点は、位相ず
れ、利得ずれを補正するための周波数特性(それぞれH
PFの時定数設定用の抵抗値及び可変利得アンプの利得
設定用の抵抗値)の変更を行うのに、それぞれアナログ
スイツチ28,27を用い、そのON,OFFのデユー
テイ比をPWM制御することにより実質的に抵抗値を可
変するように構成している点である。
【0081】したがつて系自体は、図7の第4の実施例
と同様であり、振れ周波数に応じてDCカツト用のHP
Fの位相特性を可変するとともに、可変利得アンプの利
得を可変することにより振れ周波数ごとに最適な特性を
設定するものである。
【0082】また具体的な特性可変手段は、上述のよう
に、PWM制御によつてアナログスイツチをON,OF
Fし、そのデユーテイ比を可変することによつて電流値
を制御し、実質的な抵抗値を可変する方式がとられてお
り、この制御方式自体は前述した図5において説明した
通りである。
【0083】角速度センサ1の周波数特性より、周波数
に対応した位相ずれを補正するためのアナログスイツチ
28のPWM信号のデューティ比、及び利得ずれを補正
するための27のPWM信号のデューティ比を求めてお
き、周波数検知器12で検知された振れ周波数に対応し
て各アナログスイツチをON,OFFするPWM信号の
デューティ比を変化させれば、それに応じたアナログス
イッチ28,27のスイツチングによって抵抗R10と
R9の両端の抵抗値がそれぞれ変化する。以上の繰り返
しにより、振れの主周波数帯域の位相ずれが無くなり、
振れの周波数に応じた十分な振れ補正が可能となる。
【0084】以上の構成において、F−V変換器13,
補正回路14,PWM変換器23はマイクロコンピユー
タ29によつて実現することができ、以下図11のフロ
ーチヤートを用いてマイクロコンピユータ29に振れの
周波数を取り込み、PWM出力により各アナログスイッ
チのデューティを変更するまでの処理の流れを説明す
る。
【0085】同図において、S11で振れ周波数検出値
を取り込み、S12でその周波数に応じて、予めマイク
ロコンピユータ29内に設定されている振れ周波数とア
ナログスイツチ28,27をPWM制御するデユーテイ
比の関係を設定されたデータテーブル(図12参照)を
検索し、S13でその振れ周波数に対応する位相制御用
のアナログスイツチ28をON,OFF制御する際のデ
ューティ比を読み出してデューティデータ1にセットす
るとともに、振れ周波数に対応する利得制御用のアナロ
グスイツチ27をON,OFF制御する際のデユーテイ
比を読み出してデータ1’にセットする。
【0086】次に、S14で、各アナログスイッチ2
8,27に現在出力されているデユーテイをそれぞれデ
ユーテイデータ2にセットし、S15でデユーテイデー
タ1とデユーテイデータ2の値を比較し、同じであれば
後述のS19へと移行し、異なっていれば、S16へと
進んでデユーテイデータ1とデユーテイデータ2の大小
関係を判定し、デユーテイデータ1がデユーテイデータ
2より小さい場合はS17へと移行してデユーテイデー
タ2を所定値a減少させ、デユーテイデータ1がデユー
テイデータ2以上の場合にはS18へと移行してデユー
テイデータ2を所定値a増加させる。すなわちデユーテ
イ比をいきなり目標値に変更するのではなく、所定値a
単位で増減させることにより、制御の安定化及び円滑性
を図っている。
【0087】続いてS19で、各アナログスイッチ2
8,27に現在出力されているデユーテイをそれぞれデ
ユーテイデータ2’にセットし、S20でデユーテイデ
ータ1’とデユーテイデータ2’の値を比較し、同じで
あればS25へと移行し、位相補正用のアナログスイツ
チ28におけるデユーテイデータ1とデユーテイデータ
2とが等しい否かを判別し、異なっていればS16の処
理へと移行し、等しければS11へと移行して再度振れ
周波数検知情報の再度の取り込み動作が行われる。
【0088】S20でデユーテイデータ1’とデユーテ
イデータ2’が異なっていれば、S21へと進んでデユ
ーテイデータ1’とデユーテイデータ2’の大小関係を
判定し、デユーテイデータ1’がデユーテイデータ2’
より小さい場合はS22へと移行してデユーテイデータ
2’を所定値b減少させ、デユーテイデータ1’がデユ
ーテイデータ2’以上の場合にはS23へと移行してデ
ユーテイデータ2’を所定値b増加させる処理を行い、
徐々にデューティ比をbづつ変更していく。
【0089】S24では、上記の処理によつて変更され
た各アナログスイツチ28,27のPWM制御用デユー
テイを表すデータ2,データ2’をそれぞれ用いて、ア
ナログスイツチ28,27を実際にON,OFF制御
し、S14の処理へと戻る。
【0090】またS20で利得補正データであるデータ
1’とデータ2’が等しい時、そのまま処理を終了せず
にS25で位相補正データであるデユーテイデータ1と
デユーテイデータ2とを比較しているが、これは利得の
補正が終了しても、位相の補正が終了しなかつた場合、
再度位相の補正を行うようにしたものである。
【0091】なお、上の処理は周期的に繰り返し行わ
れ、徐々に、アナログスイツチの制御デユーテイ比が変
更されて行く。これは、アナログスイツチの値を急激に
変化させることによる系の周波数特性の急変、不連続な
動きを生じてしまうことを防止することができる。
【0092】尚、図12はマイクロコンピユータ29内
に格納された、振れ周波数に対応するアナログスイツチ
PWM制御用のデユーテイ比を示すデータテーブルの構
造を示すものである。同図から明らかなように、振れ周
波数f(Hz)に対して、HPF制御用デユーテイ比、
ゲイン制御用のデユーテイ比の値が設定されている。ま
た同図の(%)表示は、アナログスイツチの駆動パルス
のON時間を示したものである。HPFのデユーテイ比
は振れ周波数が高くなるにつれてON時間が長くなり、
HPFの抵抗R10は高い方から序々に抵抗R10本来
の値へと近づいていく。また利得はその系の特性で決定
される所定の周波数でデユーテイ比が最大となり、その
両側でデユーテイ比を減少させる特性となる。これは角
速度センサの特性の周波数特性において利得が最大とな
る位置の両側で利得が低下する特性であるため、これを
補正するための設定となつているものである。
【0093】(第6の実施例)図13は本発明における
振れ補正装置の第6の実施例を示すブロック図を示すも
のである。
【0094】同図において、100はズームレンズ、1
01は光学像を電気信号に変換する撮像素子(CCDイ
メージ・センサ)、102は撮像素子より出力された撮
像信号をデジタル信号に変換するA/D変換器、103
はA/D変換器102より出力されたデジタル撮像信号
をフイールドメモリ106に書き込む処理、読み出す処
理を行うとともに、読み出し処理を行う際に後述する振
れ検出系からの振れ補正信号に基づき振れによる画像の
動きを相殺する方向にメモリ読み出し位置をシフトする
ことにより振れ補正を行う処理を行うメモリ制御部と、
フイールドメモリ106の読み出し位置をシフトする
際、ズームエンコーダ109より供給される焦点距離情
報(ズーム倍率情報)によりシフト量を補正するととも
に、読み出した画像情報を拡大して通常の画角に補正す
る電子ズーム処理等を行う補正部とからなるシステムコ
ントロール回路で、マイクロコンピユータによつて構成
される。
【0095】すなわち本実施例の振れ補正システムは、
撮像素子より出力された画像信号をメモリに記憶してこ
れを読み出す際、その読み出し範囲を画面全体より小さ
くするとともに、画面内でその読み出し範囲を可変と
し、この読み出し範囲を装置の振れによつて生じた画像
の動きを相殺する方向にシフトすることにより、実質的
に振れの補正された画像情報を得るものである。そして
読み出した画像情報は標準の画角よりも狭い範囲の画像
であるため、これを電子的に拡大して標準の画角に合わ
せる電子ズーム処理を行うものである。
【0096】システムコントロール回路103より出力
された画像情報は、上述の処理によつて振れによる画像
の動きが補正されており、且つ拡大処理が行われてい
る。104はこの画像の拡大処理すなわち通常の1画素
の出力期間に何画素出力するかを求め、情報のない画素
間を隣接画素情報等から補間する補間処理回路である。
そして補間処理回路104の出力はD/A変換器105
へと供給されてアナログ信号に変換され、不図示のレコ
ーダ装置、モニタデイスプレイ等に出力される。
【0097】次に装置に加わる振れを検出する振れ検出
系について説明する。107は装置に加わつた振動の周
波数を検知する前記各実施例において用いられたものと
同様の周波数検知器、110は振動ジヤイロ等の角速度
センサ、111は角速度センサ110より出力された角
速度信号の直流(ドリフト)成分を除去するDCカット
フィルタ、112は角速度信号を所定のゲインで増幅す
るアンプ、113はA/D変換器、114はA/D変換
器113より出力された角速度信号を積分する積分手
段、115は周波数検知手段107で得られるブレの周
波数に応じて位相及び利得を補正する位相及び利得変更
手段である。またA/D変換器113,積分手段11
4,位相及び利得変更手段115はマイクロコンピユー
タ116によつて構成することができる。
【0098】以上のように構成された本実施例の振れ補
正装置について、以下その動作を説明する。
【0099】ズームレンズ100を通過した光学像を撮
像素子101により電気信号に変換し、その撮像信号を
A/D変換器102でデジタル信号に変換し、1フィー
ルド分の画像情報をフイールドメモリ106に書き込
む。ここで位相及び利得変更手段115より出力される
振れ信号と、ズームエンコーダ109より得たズーム倍
率により求められる動き量により、上述した如く、フイ
ールドメモリ106に書き込んだ画像信号の読み出し位
置が振れによる画像の動きを補正する方向にシフトさ
れ、振れを補正された画像信号が読み出され、拡大処
理,補間処理を行われ、通常の画角で出力される。
【0100】ここで、これまでの実施例においては、D
Cカット用のHPFに位相の補正手段を持たせているた
めに補正手段の位置が限定されてしまうが、先のDCカ
ット用のHPFと別に位相補正手段を構成することも当
然可能であり、A/D変換後のデジタル信号においても
同様の効果を持たせることが可能である。位相及び利得
変更手段115はこれを実現したものである。
【0101】図16(a)、(b)はそれぞれ利得,位
相について、角速度センサの基本特性,これを補正する
ための補正手段の特性,補正後の理想的な特性をそれぞ
れ示したものである。そして図17は図16に示す補正
を行った場合の振動抑制効果を示す特性である。これら
の図では、説明の便宜上、周波数10Hzに対する特性
のみを示したが、各周波数ごとに補正特性が用意されて
おり、振れ周波数に応じて選択する点については前述の
各実施例と同様である。
【0102】図16において、角速度センサの基本特性
を図16にaで示す特性曲線とすると、この角速度セン
サの基本特性aに対して周波数10Hzで最良の効果を
出すためには位相を7.5deg進めて0dBとし、そ
のときにゲインを0dBに調整すれば良い。具体的に
は、特性aに対して、特性bを実現し得るデジタルフィ
ルタを構成し、特性aと直列接続を行えば、これらの特
性を合成した特性cを得ることができ、このときに図1
7に示すように、周波数10Hzにおいて−60dBを
越える振動抑制効果を得ることができる。
【0103】図14は図13に示すA/D変換器11
3,積分手段114,位相及び利得変更手段115から
なるマイクロコンピユータ116において行われる処理
の一例を示すフローチヤートである。
【0104】同図において、処理をスタートすると、S
111において角速度センサより出力された角速度信号
のA/D変換を行い、S112で積分演算を行う。次に
S113で周波数検出手段107より振れ周波数を取り
込み、S114でその値に応じたデジタルフィルタ等の
定数を検索し、S115でデジタルフイルタにその定数
データをセットする。続いてS116ではS115で設
定したデジタルフィルタにより補正演算を行い、S11
7で演算結果をストアするとともに前述の画像処理によ
る振れ補正を行うシステムコントロール回路103の補
正部へと出力される。以後ストアされた定数に基づいて
フイルタ演算が行われる。
【0105】この様にして得られた振れ補正信号によ
り、画像補正系をコントロールし、その振れ周波数に応
じた適切な振れ補正(適切なメモリ読み出し位置のシフ
ト量の設定)を行うことができる。
【0106】この時のデジタルフィルタの一例を示す
と、1次IIRフィルタを使用するなら、図15に示す
構成及び特性となり、このフイルタにより図16
(a),(b)における各振れ補正特性曲線bを形成
し、角速度センサの特性を特性曲線cに示す理想的な特
性に補正するものである。図15において各部の定数及
び演算式は以下のようになり、 u0 = a0 ・w0 + a1 ・w1 w0 = e0 + a1 ・w1 w1 = w0 (w1 は1サンプリング前のw0 ) e0 : 入力 u0 : 出力 a0 ,a1 ,a2:フィルタ係数 の演算により実現でき、フイルタ係数a0 ,a1 ,a2
を変えることにより、周波数特性を設定できるので、振
れ周波数に対応したフィルタ係数a0 ,a1 ,a2のデ
ータをテーブルとして用意し、振れ周波数に応じてその
テーブルから対応するフィルタ係数を読み出し、上記の
IIRフィルタの演算を行えばよい。
【0107】なお、系の周波数特性によっては、2次の
フィルタを用いた方が好ましいことがあるが、この場合
もフィルタ係数の設定値が増加するだけなので、容易に
対応できる。
【0108】この様に、振れ検出手段や画像補正系が変
化しても、それらの周波数特性を予め測定し、それに応
じて位相及び利得補正手段の最適補正値を設定すること
で対応することができる。
【0109】このように、角速度検出手段から画像補正
系の間のオープンの系において、位相進み(遅れ)要素
と利得変更手段が直列接続させることで、上述の位相ず
れ、利得ずれの補正がなされている。
【0110】(第7の実施例)図18は本発明における
第7の実施例を示すブロック図である。角速度検出手段
110から位相及び利得変更手段115までの角速度検
出系、振れ周波数検出手段107の構成及び動作につい
ては図13に示す第6の実施例と同様であるため説明は
省略する。
【0111】この実施例では、画像補正系にVAPを使
用し、機械的連結によりステッピングモータ使用して、
頂角を変化させるようにしたものであり、VAPを駆動
する振れ補正系だけを見ると、制御系はオープンループ
の制御となる。
【0112】同図においてレンズ鏡筒10の前部には、
VAP200が支持枠201を介して取り付けられてお
り、2枚の平行透明板202a,202bが高屈折率の
物質を挟んで周囲を封止材203によつて封止された状
態で支持枠201にそれぞれ支持されている。レンズ側
の透明板202bが軸204によつて回動可能に支持さ
れ、これによつて頂角を可変することができる。尚、本
実施例についても軸204と直行する軸に関する支持、
駆動機構については簡単のため省略する。
【0113】可動の透明板202bには球状係合部20
6が形成され、連結部材207の一端とユニバーサルジ
ヨイントを形成し、連結部材207の移動により軸20
4の回りを回動されるように構成されている。
【0114】一方、連結部材の他端は、レンズ鏡筒に固
定されたステツピングモータ209の回転軸に形成され
たリードスクリユー210によつて可動される可動子の
球状係合部28とユニバーサルジヨイントを形成するこ
とによつて連結されている。これによつてステツピング
モータ209を駆動することによつてVAPの頂角を可
変することができる。
【0115】A/D変換器113,積分手段114,位
相及び利得変更手段115を含むマイクロコンピユータ
211内には、位相及び利得変更手段より出力される振
れ補正信号をステツプモータ209の駆動ステツプ数を
表す信号に変換する駆動演算回路212が配されてお
り、これより出力された駆動ステツプ数の信号はステツ
プモータを実際に駆動する駆動パルスを出力するための
駆動回路212へと供給され、ステツプモータ209が
駆動される。また205はVAPが初期位置すなわち透
明板202bが透明板202aと平行な位置となる位置
を検出してリセツト信号を出力し、駆動演算回路内の駆
動ステツプ数をセツトするカウンタをリセツトするリセ
ツトセンサである。
【0116】このように、振れ補正系をステツプモータ
によるオープンループの補正系としても、位相及び利得
の補正の施された振れの角変位信号を、ステップモータ
の駆動パルス数に変換することにより、前述の第6の実
施例と同様の振れ補正機能を達成し得る。
【0117】
【発明の効果】以上述べたように、本発明における振れ
補正装置によれば、撮影時における振れの周波数帯によ
って、振れ補正手段の周波数特性を変更するようにした
ので、常に撮影の条件、状態に応じた最適の振れ補正が
可能となる。
【0118】また本発明によれば、振れ補正手段を含む
撮影装置に加わる周波数帯域での補正効果を最大とでき
るため、特有の周波数分布を持つ加振に対して絶大な効
果改善を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における振れ補正装置の第1の実施例を
示すブロツク図である。
【図2】第1の実施例における角速度センサの特性に補
正を施した周波数特性を示す図である。
【図3】第1の実施例における振動抑制効果を示す周波
数特性図である。
【図4】本発明における振れ補正装置の第2の実施例を
示すブロツク図である。
【図5】本発明における振れ補正装置の第3の実施例を
示すブロツク図である。
【図6】本発明における振れ補正装置の第3の実施例を
説明するためのフローチヤート及びデータテーブルを示
す図である。
【図7】本発明における振れ補正装置の第4の実施例を
示すブロツク図である。
【図8】第4の実施例における角速度センサの特性に補
正を施した周波数特性を示す図である。
【図9】第4の実施例における振動抑制効果を示す周波
数特性図である。
【図10】本発明における振れ補正装置の第5の実施例
を示すブロツク図である。
【図11】本発明における振れ補正装置の第5の実施例
を説明するためのフローチヤートである。
【図12】本発明における振れ補正装置の第5の実施例
におけるデータテーブルを示す図である。
【図13】本発明における振れ補正装置の第6の実施例
を示すブロツク図である。
【図14】本発明における振れ補正装置の第6の実施例
を説明するためのフローチヤートである。
【図15】本発明における振れ補正装置の第6の実施例
にデジタルフイルタの構成例を示す図である。
【図16】第6の実施例における角速度センサの検出特
性にを補正を施した周波数特性を示す図である。
【図17】第6の実施例における振動抑制効果を示す周
波数特性図である。
【図18】本発明における振れ補正装置の第7の実施例
を示すブロツク図である。
【図19】従来の振れ補正装置の構成を示すブロツク図
である。
【図20】従来の振れ補正装置における角速度センサの
周波数特性を示す図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 装置の振動を検出する振動検出手段と、 前記振動検出手段の出力に応じて前記振動による画像ぶ
    れを補正する補正手段と、 前記振動の周波数を検知する周波数検知手段と、 前記周波数検知手段の出力に基づいて前記補正手段の周
    波数特性を変更する制御手段と、 を備えたことを特徴とする振れ補正装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記制御手段は前記
    周波数特性のうち位相特性を補正する位相補正手段を有
    し、前記位相補正手段は前記周波数検知手段の任意の検
    出周波数毎に位相補正量が設定されていることを特徴と
    する振れ補正装置。
  3. 【請求項3】 請求項1において、前記制御手段は前記
    周波数特性のうち利得特性を補正する利得補正手段を有
    し、前記利得補正手段は前記周波数検知手段の任意の検
    出周波数毎に利得補正量が設定されていることを特徴と
    する振れ補正装置。
  4. 【請求項4】 請求項1において、前記周波数検知手段
    は振動周波数を各周波数に応じた離散値で出力し、前記
    制御手段は前記周波数特性のうち位相特性を補正する位
    相補正手段と利得特性を補正する利得補正手段とを備
    え、前記離散値毎に前記位相補正手段及び利得補正手段
    の補正量がそれぞれ設定されていることを特徴とする振
    れ補正装置。
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