JP3683929B2 - ぶれ補正装置及び光学装置 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、銀塩カメラ、ビデオカメラ等の撮影装置、あるいは双眼鏡等の光学機器等に用いて好適な画像の振れ補正装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、銀塩カメラ、ビデオカメラ等の撮影装置の分野では、露出設定、焦点調節等、あらゆる点で自動化、多機能化が図られ、撮影環境に関わらず常に良好な撮影を行うことができるようになっている。
【0003】
しかしながら、実際に撮影画像の品位を著しく低下させているのはカメラぶれであることが多く、近年では、このカメラぶれを補正するぶれ補正装置が種々提案され、注目を集めているところである。
【0004】
ぶれ補正装置は、補正系では光学的補正と、画像処理による電気的補正とに、また検出系では物理的な振動検出と、画像の動きベクトル等を用いた画像処理による検出とに大別される。そしてこれらの組み合わせの形態が種々提案されている。
【0005】
いま光学的ぶれ補正を例にして説明すると、そのぶれ検出手段として例えば振動ジャイロ等の角速度検出手段を備え、角速度センサから出力される速度信号を積分して角変位信号に変換し、光軸方向を可変の可変頂角プリズム等の光学的ぶれ補正手段を駆動してぶれを光学的に補正する構成がとられている。
【0006】
このような光学的ぶれ補正装置は、通常ぶれ補正を行うためのぶれ補正用コントロール信号によつて可変頂角プリズムを駆動し、同時に可変頂角プリズムの角変位を検出してコントロール信号に対応した位置となるまで駆動するようなフイードバツクループを有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の可変頂角プリズムの様な光学的、機械的なぶれ補正手段を用いるぶれ補正装置においては、特に機械的可動部分の温度、経時変化により、軸摩擦、素子の変形等の機械的劣化を伴い、比較的微小なぶれ(例えば光軸を微小(後述の実施例では0.03deg程度)変位して偏光する場合)に対し、制御上無視できないほどの応答(追従)性の劣化が生じてしまう場合がある。また可変頂角プリズム及びその駆動系の個体差も大きい。
【0008】
これらの機械的な性能の低下、ばらつきは、サーボ機構により制御される可変頂角プリズム用いたぶれ補正装置においては、その制御上の中心位置が、温度、経時劣化等の負荷変動の影響によりずれを生じる不都合となる。
【0009】
また可変頂角プリズムの駆動限界範囲が、温度、経時による素子の変化あるいはバッテリーの消耗により変動してしまう不都合を生じる。
【0010】
また光軸調整時のばらつきが大きいため、能力の高くない1チップ・マイクロコンピュータからの出力信号のオフセットによる調整のみでは吸収しきれない場合がある。
【0011】
そこで本発明における課題は、上述の問題点を解決し、ぶれ補正手段の温度、経時変化による、軸摩擦、素子の変形等の機械的劣化や、応答の遅れ等を補正するとともに、駆動系の個体差によるばらつき等を補正し、常に良好な応答特性を確保し得るようなぶれ補正装置を提供するとともに、このようなぶれ補正装置を双眼鏡のようの複数の光学系を有する光学装置に適用した際、その光学系の前記応答特性のバランス調整を同時に行うことにより、左右の特性の揃ったぶれ補正特性を有する双眼鏡を提供することいある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述の課題を解決するために、本願の請求項1に記載された発明によれば、ぶれによる画像の動きを補正する第1の動き補正手段(実施例では双眼鏡の右側光学系に配された右側VAP、ぶれ補正ブロツク30R,30R’及びマイコン20内の積分手段203R,203R’、位相/利得補正手段204R、204R’とその駆動系に相当する)と、ぶれによる画像の動きを補正する第2の動き補正手段と、駆動特性を検出するための信号に対する前記動き補正手段の応答特性と、(実施例では双眼鏡の左側光学系に配された左側VAP、ぶれ補正ブロツク30L,30L’及びマイコン20内の積分手段203L,203L’、位相/利得補正手段204L、204L’とその駆動系に相当する)と、前記駆動特性を検出するための信号に対する前記第2の動き補正手段の応答特性をそれぞれ検出し、前記第1の動き補正手段の応答特性と、前記第2の動き補正手段の応答特性が実質的に等しくなるように、前記第1の動き補正手段及び前記第2の動き補正手段の少なくとも一方の駆動特性を補正する制御手段(実施例ではマイコン20内のキヤリブレーシヨンブロツク207に相当する)とを備え、前記制御手段は、前記駆動特性を検出するための信号に対する前記第1及び第2の動き補正手段の駆動範囲を検出して所定の駆動範囲基準値に対するオフセツトをそれぞれ演算し、該オフセツトに応じて前記第1及び第2の動き補正手段の駆動限界範囲を補正するように構成する(実施例ではマイコン20による図15のフローチヤートのステツプS209〜S212までの処理に相当する)。
【0016】
また本願の請求項2に記載された発明によれば、ぶれによる画像の動きを補正する第1の動き補正手段(実施例では双眼鏡の右側光学系に配された右側VAP、ぶれ補正ブロツク30R,30R’及びマイコン20内の積分手段203R,203R’、位相/利得補正手段204R、204R’とその駆動系に相当する)と、ぶれによる画像の動きを補正する第2の動き補正手段と、駆動特性を検出するための信号に対する前記動き補正手段の応答特性と、(実施例では双眼鏡の左側光学系に配された左側VAP、ぶれ補正ブロツク30L,30L’及びマイコン20内の積分手段203L,203L’、位相/利得補正手段204L、204L’とその駆動系に相当する)と、前記駆動特性を検出するための信号に対する前記第2の動き補正手段の応答特性をそれぞれ検出し、前記第1の動き補正手段の応答特性と、前記第2の動き補正手段の応答特性が実質的に等しくなるように、前記第1の動き補正手段及び前記第2の動き補正手段の少なくとも一方の駆動特性を補正する制御手段(実施例ではマイコン20内のキヤリブレーシヨンブロツク207に相当する)とを備え、前記駆動特性を検出するための信号は前記第1及び第2の動き補正手段を基準位置に位置させる信号であり、前記制御手段は、前記第1及び第2の動き補正手段の前記基準位置に対するオフセツトを検出し、該オフセツトに応じて前記第1及び第2の動き補正手段の初期位置を補正するように構成する(実施例ではマイコン20による図15のフローチヤートのステツプS202〜S208までの処理に相当する)。
【0017】
また本願の請求項3に記載された発明によれば、請求項1または2において、前記動き補正手段は、可変頂角プリズムを含む光学的ぶれ補正手段とした。
【0023】
【作用】
これによって、本願の請求項1に記載の発明によれば、前記第1及び第2の動き補正手段の駆動範囲基準値に対するオフセツトが検出され、各動き補正手段の駆動限界範囲が最適値にバランス良く補正される。
【0024】
また本願の請求項2に記載の発明によれば、前記第1及び第2の動き補正手段の前記基準位置に対するオフセツトが検出され、前記各動き補正手段の初期位置が補正され、動き補正の偏りが補正され、前記第1及び第2の動き補正手段のバランスをたもちながら、且つその動き補正ダイナミツクレンジを広くとることができる。
【0025】
また本願の請求項3に記載された発明によれば、可変頂角プリズムの温度、経時変化、素子の変形等の機械的誤差による駆動特性の劣化及び変化が良好に補正され、最適制御を図ることができる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を各図を参照しながらその実施例について詳細に説明する。
【0030】
(第1の実施例)
図1は本発明におけるぶれ補正装置をビデオカメラあるいはカメラ一体型VTRに適用した構成を示すブロツク図である。
【0031】
同図において、1はカメラ等の撮影装置に取り付けられた振動ジヤイロ等の角速度センサで、角速度検出手段を構成する。2は角速度検出手段1から出力される角速度信号の直流成分を遮断するDCカツトフイルタ(あるいは、任意の帯域で信号を遮断するハイパス・フイルタ(以下、HPFと称す))、3は角速度信号を適当な感度に増幅するアンプである。
【0032】
20はアンプ3より出力された角速度信号を入力して、後述のぶれ補正ブロツク30内の画像補正手段としての可変頂角プリズム(以下VAP:Variable angle prismと称す)を駆動するためのぶれ補正信号を演算して出力する制御手段としてのマイクロコンピユータ(以下マイコンと称す)であり、その内部構成はソフトウエアによつて実現されるが、本実施例においては、本発明を構成する手段及び機能を明瞭とするため、各機能ごとにブロツクで示すことにする。
【0033】
したがつて、マイコン20内の各種ブロツク以外の領域は、図示した各種ブロツクと各種データ及び指令の通信及び制御を行い、システム全体を総合的に統括し制御するシステムコントロール部を示すものである。
【0034】
マイコン20内において、201はアンプ3より出力された角速度信号をデジタル信号に変換するA/D変換器、202は任意の帯域で特性を可変する機能を有するとともに位相補償の可能なHPFで、ぶれとして検出する周波数成分を通過させる。
【0035】
203は角速度信号を積分してぶれ補正量に相当する角変位信号に変換するための積分手段(積分器)、204は積分手段6の出力側に配され、角速度信号を積分して角変位信号に変換してぶれ補正量を演算する系の位相及び利得を補正する位相/利得補正手段を構成する。
【0036】
尚、位相/利得補正手段(回路)204内には不図示のD/A変換器を備えており、アナログ出力に変換して出力することができる。そしてこのD/Aの出力にリミツタをかけてぶれ補正用のコントロール信号の振幅を制限することにより、後述の可変頂角プリズムVAPの駆動範囲を制限して温度、経時変化等機械的なオフセツトを補正し、また双眼鏡の実施例においては、左右のぶれ補正手段のバランス調節を行うことができる。このような駆動範囲補正も制御データ線Cを介して行うことができる。
【0037】
30はマイコン20内の位相/利得補正手段204より出力された、角変位信号に基づいて、そのぶれによる画像の動きを補正するぶれ補正ブロツクを示し、その内部には、画像ぶれを補正する素子、機構及びこれを駆動するアクチユエータ等からなる画像補正手段5と、この画像補正手段5を駆動するための駆動手段としての駆動回路4が設けられている。
【0038】
画像補正手段は、駆動回路4の出力にしたがつてぶれによる画像の動きを補正するための駆動用アクチユエータを含む可変頂角プリズム5が設けられており、これによつてぶれによる動きを打ち消す方向に光軸を変位させることによつてぶれによる画像の動きを補正するものである。
【0039】
ここで再びマイコン20内の構成について説明すると、205はパンニング、チルテイング及び撮影状態を判別するパン/チルト判別手段(回路)、206は角速度信号よりぶれの周波数及び振幅を検出する周波数/振幅検知手段(回路)である。
【0040】
このパン/チルト判別手段205は、HPF202からの角速度信号と、積分手段(積分器)203から出力された角変位信号を入力し、たとえば角速度信号が一定で、角変位信号が一定の方向に単調増加あるいは減少している場合に、パンニングあるいはチルテイングを判別することができる。
【0041】
またこの判別の際に、同時に周波数/振幅検知手段206によつて角速度信号及び角変位信号の振幅及び周波数が検出され、ぶれ周波数が低く、振幅が一方向に増加あるいは減少している場合に、パンニングあるいはチルテイングを判別することができ、この情報はパン/チルト判別手段205へと供給される。
【0042】
そしてパン/チルト判別手段205及び周波数/振幅検知手段206によつてパンニング,チルテイングが検出された場合には、積分手段の積分特性すなわち低域のカツトオフ周波数を高域側にシフトして低域のぶれ補正機能を低下させ、パンニング及びチルテイング動作時の動き補正を低下させ、可変頂角プリズムの片寄りを防止する。
【0043】
また周波数/振幅検知手段206によつてぶれの周波数を検出することにより、積分手段203の周波数特性をぶれの中心周波数に設定することにより、ぶれ周波数が変化しても、そのぶれ周波数に対して最大のぶれ補正効果が得られるように動作させることができ、ぶれの状態に対して最適ぶれ補正制御を行うことができる。
【0044】
また周波数/振幅検知手段206によつて検出されたぶれの周波数及び振幅の情報は、位相/利得補正手段204へと供給され、ぶれ周波数及び振幅に応じて制御系の積分特性の周波数特性を変化させた際の位相及び利得の補償を同時に行っているので、常に制御系の安定性を保つことができ、いかなるぶれに対しても高い補正能力を実現できるとともに、高精度かつ安定で信頼性の高いシステムを実現することができる。
【0045】
このように、マイコン20内では、A/D変換器201で、角速度信号(アンプ3出力)をデジタル値に変換し、積分手段203において、角変位信号に変換する。
【0046】
またパン/チルト判別手段205はA/D変換器201後の角速度信号と積分手段203の出力する角変位信号を用いたパン/チルト及び撮影状態の判別手段を構成し、その判断結果に基づき、積分手段203の周波数特性を上述のようにパンニング/チルテイング時に高域側にシフトするように変更し、可変頂角プリズムのパンニング(チルテイング)方向と逆方向の端へのつき当たりを防止し、パンニング中でも高域側でのぶれ補正を可能とする。
【0047】
したがつて、ここでの積分手段203としては、低周波数域の遮断特性を有したものを想定している。
【0048】
また周波数/振幅検知手段206は、角速度信号(A/D変換器201の出力)と角変位信号(積分手段203の出力)を入力とした周波数および振幅検出手段であり、その検出周波数、検出振幅により、位相/利得補正手段204において補正が行われる。
【0049】
その補正が施された角変位信号が位相/利得補正手段204内の不図示のD/A変換器によりアナログ値に変換され、あるいは、PWM等のパルス出力としてマイコン20から出力され、ぶれ補正ブロツク30内の駆動回路4へと供給され、VAPからなる画像補正手段5が駆動される。これによつてぶれが抑制され、安定した画像を得ることができる。
【0050】
尚、上記位相及び利得の補正を、位相/利得補正手段204で行わずに、図1に点線で示すように、HPF2の周波数特性を可変して行うこともできる。
【0051】
また7はぶれ補正機能の動作、非動作を選択するISスイツチで、そのON/OFF状態は、データ線T1によつてマイコン20内に取り込まれる。
【0052】
また電源ONはpower on信号となつてデータ線T5よりマイコン20内に取り込まれる。
【0053】
また8はバツテリーの残量をチエツクするバツテリーチエツク動作を行うバツテリーチエツクスイツチで、その操作状態はデータ線T2によつてマイコン20内に読み込まれる。
【0054】
また9は後述する本発明の特徴部分であるキヤリブレーシヨン動作を行うためのキヤリブレーシヨンスイツチで、データ線T3によつてマイコン20内に読み込まれる。
【0055】
また10は、操作者(観察者)の眼が本発明のビデオカメラの接眼部に近づいたことを検出して装置を動作状態にするための観察者検知手段である。この検知手段は、図12に示すように、たとえばビデオカメラあるいは双眼鏡等の接眼部130に投受光センサ131を設け、赤外線を操作者の眼球EYEに照射し、その反射光から眼球が近づいたことを知るような構成が用いられ、近年カメラのオートフオーカス用の測距領域等の設定に用いられている視線検出装置によつて実現することができる。またこの検知手段の状態はデータ線T4によつてマイコン20内に読み込まれる。
【0056】
そしてISスイツチのOFF→ONへの変更時、あるいは電源投入時等に、HPF2(あるいはHPF202)、積分回路203の特性(遮断周波数)を可変制御する。
【0057】
また、これらは、後述の記憶手段としてのEEPROM6を用いて、可変頂角プリズム等の個体差を吸収するため、任意の設定を行ったり、補正関数を変更する事も可能である。
【0058】
ここで、補正ブロツク30内の画像補正手段として用いられている光学的に光軸方向を変位させてぶれを相殺するVAPすなわち可変頂角プリズムについて説明する。
【0059】
画像補正手段としてVAPを使用した場合の構成例を図5に示す。これはプリズムの駆動にボイスコイル型のモーターを使用し、プリズムの角変位をエンコーダにより検出して帰還をかける閉ループ制御の構成としたものである。
【0060】
図8に示すように、VAPは、対向した2枚の透明平行板106a、106bの間に透明な高屈折率(屈折率n)の弾性体または不活性液体117を狭持し、その外周を樹脂フイルム等の封止材116にて弾力的に封止して成り、透明平行板106a、106bが揺動可能に構成されている。
【0061】
図9は、図8の可変頂角プリズム106の一方の透明平行板106aを揺動軸101(111)の回りに角度σだけ回動させたときの入射光束119の通過状態を示した図であり、同図に示すように、光軸343に沿って入射してきた光束119は楔形プリズムと同じ原理により、角度φ=(n−1)σだけ偏向されて出射する。即ち、光軸118は118aで示すように、角度φだけ偏心(偏向)される。
【0062】
図11の説明に戻ると、以上、述べてきたVAP106を保持枠107を介して101,111を軸として回動し得るよう、鏡筒102に固定している。
【0063】
113はヨーク、115はマグネツト、112はコイルであり、コイル112に電流を流すことにより111を中心としてVAPの頂角を可変し得る、ボイスコイル型のアクチュエータとなっている。110はスリツトであり、回転軸111と同一に動く。
【0064】
108は発光ダイオード、109はPSD(Position Sensing Detector)であり、110のスリツトと合わせて、VAP頂角の角変位を検出するエンコーダを構成している。そして、VAP106によって入射角度が変えられた光束は103のレンズによって104のCCD面上に結像する。なお、105はもう片軸の中心軸を示している。
【0065】
これらを用いた基本的な制御系の例を図6にブロツク図で示す。
【0066】
121はアンプ、122はドライバー、123はアクチュエータ、124はVAP、125はVAPの頂角を検出する角変位エンコーダであり、ぶれ補正用のコントロール信号120と角変位エンコーダ125からの出力信号とが加算器126で逆極性で加算される。
【0067】
したがSつて、コントロール信号120と角変位エンコーダ125の出力信号とが等しくなるように制御が働くので、結果としてコントロール信号120がエンコーダ125の出力と一致するように作用する。
【0068】
しかしながら、実際は、図5、図6に示すVAPユニツト(速度フイードバツク補償無し)の周波数特性は、図10に示す程度のものであり、光軸をそれぞれ0.03deg偏光する場合と、0.1deg偏光する場合とでは、その周波数特性(利得、位相)が大きく異なってしまう(図にはないが低周波数帯域ではほぼ同一の応答を見せる)。
【0069】
すなわち、10Hzでは、0.1deg偏光時に対し、0.03deg偏光時の位相が7deg遅れてしまっている。
【0070】
これは軸摩擦の影響、VAP素子の出来に起因するもので、機械的改良等により解決されるのが好ましいことではある。
【0071】
しかし、上記によりぶれ補正性能上無視できないほどの応答性の劣化が生じてしまうので、制御上の対策として、後述の図7のフローチヤートで示すように、ぶれ振幅に応じて適当な利得を設定し、機器に加わる周期的ぶれの振幅により利得を変更する手段を用いている。
【0072】
このような手法を駆使することにより、このように光軸の偏光を機械的駆動により行う機構を持つぶれ補正装置と現状の振動ジヤイロの特性を起因として、比較的不得意とする10Hz以上のぶれでも、良好な補正が可能となっている。
【0073】
実際には、位相進み補正の補正値により、どのあたりの周波数に当てるかで補正効果は異なってくる(10Hzに最適化可能である)が、手ぶれ補正を主体に考えると(周波数適応制御を行わない場合)、10Hz以上の周波数に対する補正効果は低下してしまう。
【0074】
ここで、上記のVAPを画像補正手段として用いた本実施例の制御系を、以下に説明すると、図1のHPF202、積分手段203、位相/利得補正手段204は、その特性をマイコン20内において実現するためには、デジタル・フイルタを用いれば良く、この様なデジタルフイルタには、例えば、図11に示す1次IIRフイルタを使用するなら、
u0 = a0・w0 + a1・w1
w0 = e0 + a2・w1
w1 = w0 (w1は状態変数)
e0 : 入力
u0 : 出力
a0,a1,b1:フイルタ係数
の演算により実現でき、フイルタ係数a0,a1,a2を変えることにより、周波数特性を設定できるので、対応したフイルタ係数a0,a1,a2のデータをテーブルとして用意し、そのテーブルを検索して得られるフイルタ係数で上記のIIRフイルタの演算を行えばよい。
【0075】
そして、HPF202,積分手段203,位相/利得補正手段204は、ここではデジタルフイルタ等を使用して実現するので、サンプリング時間が比較的高くなければならない(例えば1kHz以上)が、パン/チルト及び撮影状態の判別を行うパン/チルト判別手段205、周波数/振幅検知手段206は比較的遅い周期(例えば100Hz)の処理に設定すれば良い。
【0076】
次に、この回路構成におけるマイコン20の処理動作について、図7(a),(b)のフローチヤートにより説明する。
【0077】
まず、図7(a)は、VAP等の画像補正手段を駆動制御するぶれ角変位信号演算に関するフローチヤートである。
【0078】
ステツプS100で処理を開始する。
【0079】
ステツプS101でHPF2,アンプ3を介して角速度検出手段1を構成する角速度センサからの角速度信号をA/D変換器201によつてデジタル信号に変換してマイコン20内部に取り込み、ストアする。
【0080】
ステツプS102でHPF202の演算係数(図11の各フイルタ係数に相当する)を不図示のROMよりロードする。
【0081】
ステツプS103でステツプS101の入力角速度信号に対してHPF演算を施し、直流成分、オフセツト成分を除去する。
【0082】
ステツプS104で積分手段203の積分演算係数を不図示のROMより読み出してロードし、積分手段203の特性を設定する。
【0083】
ステツプS105では、ステツプS103でHPF演算の施された角速度信号を積分回路203で上記積分係数による積分演算を行い、角変位信号に変換する。
【0084】
この際、前述したように、周波数/振幅検知手段206によつて検出したぶれ周波数及び振幅に応じたぶれ補正特性を積分手段203に持たせることができ、ぶれ周波数に応じた最適のぶれ補正信号を得ることができる。
【0085】
ステツプS106でステツプS104で求められた角変位信号をストアする。
【0086】
ステツプS107で位相/利得補正手段204の位相及び利得補正係数をロードし、位相/利得補正手段204の補正特性を決定し、制御系の特性に最適な位相/利得補正を行う。
【0087】
ステツプS108でステツプS105で得られた角変位信号に、振動周波数・振幅、撮影状態の判断に応じた補正演算を施し、ぶれ補正用のコントロール信号を生成する。
【0088】
具体的には、ぶれの中心周波数を検出してその周波数にぶれ補正手段のぶれ抑制力の周波数特性を合わせる。これによつてそのぶれ周波数に対して効果的にぶれ補正を行うことができる。
【0089】
ステツプS109では、ステツプS108で得られたコントロール信号を、位相/利得補正回路内のD/A変換器(不図示)によりアナログ値に変換し、あるいは、PWM等のパルス出力(不図示)としてマイコン20より出力する。
【0090】
ステツプS110では、後述の図10(b)の処理において用いられる、振動周波数及び振幅検出等の演算に使用する角速度信号に、ノイズが大きい場合に、そのノイズを除去するために、角速度信号にLPF演算を施す。
【0091】
ステツプS111では、ステツプS110で求めた角速度信号をストアし、次の動作に備える。
【0092】
ステツプS112は、処理の終了を示すものである。
【0093】
次に、パン/チルト判別回路205及び周波数/振幅検知手段206による振動周波数・振幅検出、パン/チルト及び撮影状態の検知、各演算係数の設定等に関する処理を、図7(b)のフローチヤートに示す。
【0094】
ステツプS113で、処理を開始する。
【0095】
ステツプS114では、図7(a)のステツプS111でストアされた角速度信号をロードする。
【0096】
ステツプS115では、ステツプS106でストアされた角変位信号を読み出してロードする。なお、ステツプS114,S115の順序は逆でもよい。
【0097】
ステツプS116では、ステツプS114、S115の角速度信号、角変位信号を入力として、機器に加わっているぶれ中心周波数及び振幅を検出する。
【0098】
ぶれ振幅は、サーボ機構で駆動されるVAP等の画像補正装置で、微小な振幅でサーボ特性が低下(追従振幅の減少すなわち不感帯内で追従できなくなる)したときの補正処理などに有効である。
【0099】
例えば、サーボ機構により制御されるVAPを用いたぶれ補正装置では、機械的構造、軸摩擦等により比較的微小なぶれ(例えば0.03deg以下)に対し、ぶれ補正性能上無視できないほどの応答性の劣化が生じてしまうので、ぶれ振幅に応じて適当な利得を設定し、機器に加わる周期的ぶれの振幅により利得を変更する手段を用いている。
【0100】
ステツプS117では、ステツプS114、S115の角速度信号、角変位信号、ステツプS116で検出したぶれ中心周波数及び振幅を入力として、パン/チルト及び撮影状態の判断を行う。
【0101】
ステツプS118では、パン/チルト及び撮影状態の判断結果から、HPF演算係数及びの積分手段の積分演算係数の設定を行う。すなわちパン/チルト状態であつた場合には、積分手段の低域カツトオフ周波数を高域側にシフトし、低域のぶれに対する積分を抑制する。これによつて直流分を含む超低域の振動(パンニング/チルテイング)に対する補正が行われなくなり、VAPの端へのつき当たりが防止される。
【0102】
また、ステツプS116で求められたぶれ中心周波数、振幅により、周波数補正係数を設定する。
【0103】
以上の処理を行って、ステツプS119で一連の処理を終了する。
【0104】
なお、これらのパン/チルト及び撮影(観察)状態に応じた係数は経験上求められ、予め用意されたデータ・テーブルを検索する。これに対して、周波数補正係数は予め周波数毎に設定されたデータテーブルより検索される。そして図11で示すようなマイコン20ないに形成されたデジタルフイルタの係数を変更して周波数特性を変更する。
【0105】
しかしながら、上述のように、ぶれ補正ブロツク30内において、画像補正手段5としての可変頂角プリズムを駆動するアクチユエータとしては、ボイスコイルモータ等を使ったサーボ機構により駆動される頂角プリズム(光学的駆動手段)では、コントロール信号への追従性を向上させるために、サーボ制御の手法である位相進み遅れ補償、速度フイードバツク補償とループゲインの変更を用いて周波数特性の向上(追従性の向上)が図られているが、機械的構造、軸摩擦等により比較的微小なぶれ(例えば0.03deg以下)に対し、ぶれ補正性能上無視できないほどの応答性の劣化が生じてしまう。
【0106】
そこで、ぶれ振幅に応じて適当な利得を設定し、機器に加わる周期的ぶれの振幅により利得を変更している。
【0107】
しかしながら、上述のように、温度や経時変化に起因した、軸摩擦、素子の変形等の機械的劣化により、比較的微小なぶれ(例えば0.03deg以下)に対し、性能上無視できないほどの応答(追従)性の劣化が生じてしまう場合があるとともに、VAP間のばらつきも大きい。
【0108】
またサーボ機構により制御されるVAPを用いたぶれ補正装置においては、その制御上の中心位置が、温度、経時劣化等の負荷変動によりずれてしまうこともあり、またVAPの駆動限界範囲が、温度、経時による素子の変化、バツテリーの消耗によつて変動してしまう。
【0109】
また光軸調整時のばらつきが大きいため、1チツプマイクロコンピユータからの出力信号のオフセツトによる調整のみでは、吸収しきれない場合がある。
【0110】
これらの多くの問題を解決するために、本発明の実施例によれば、以下に示すような、ぶれ補正特性測定機能、キヤリブレーシヨン機能を導入している。
【0111】
このキヤリブレーシヨン機能は、マイコン20内に設けられたキヤリブレーシヨンブロツク207によつて実現され、このキヤリブレーシヨンブロツク207は、ぶれ補正ブロツク30内の駆動回路4と制御及びデータバスBによつて接続されて双方向に通信可能に構成されており、駆動回路4へと画像補正手段5内の可変頂角プリズムを任意の周波数及び振幅の基準駆動信号で強制的に駆動するためのテスト信号を供給し、その応答特性を受信して可変頂角プリズムのばらつき、経年変化、各種特性のずれを補正する動作を行うものである。
【0112】
またキヤリブレーシヨンブロツク207はVAPの応答特性を検出して、制御系の周波数特性(利得、位相)を補正するため、位相/利得補正手段204の周波数特性を変更する手段を有しており、その制御指令は、バスBから分岐して位相/利得補正手段204へと接続される制御データ線Cによつて供給される。これによつてVAPの位相遅れ、利得の誤差が補正される。
【0113】
またISスイツチ7、バツテリーチエツクスイツチ8、キヤリブレーシヨンスイツチ9、撮影者検知手段10の操作状態を示すデータ線T1〜T5は、キヤリブレーシヨンブロツク207へと供給されており、これらの信号に応じてキヤリブレーシヨン動作を行うことが可能である。
【0114】
またいずれのスイツチに応じてキヤリブレーシヨンを行うかは、自由に設定することができる。詳細は後述する。
【0115】
キヤリブレーシヨンブロツクは、VAPを任意の周波数及び振幅で駆動し、基準駆動信号に対する応答振幅及び位相ずれを検出し、その応答振幅及び位相ずれに応じ、制御データ線Cを用いて補正係数を位相及び利得補正手段204へと送信し、その周波数特性を変更し、利得、位相ずれを補正する。
【0116】
この基準駆動信号は、予めマイコン内蔵ROMに波形を書き込んでおき、測定時に読み出して使用し、同じく内蔵のA/D変換器を使って応答波形を取り込み、基準信号との比較により周波数特性を求めれば良い。よって、キヤリブレーシヨン機能の追加による素子の増加を伴うことは無い。
【0117】
尚、図1から明らかなように、ぶれ検出系及びぶれ補正系は、YAW方向と、PITCH方向の2系統が設けられており、それぞれ独立してぶれを検出し、補正する動作を行うが、補正するぶれの方向が異なるだけで、その制御系の構成自体は全く同一でよい。
【0118】
したがつて、本実施例では、YAW方向のぶれ補正系についてのみ説明し、PITCH方向については、YAW方向の構成に対応させて各構成要素に符号を付し、符号にダツシュ『 ’』をつけて図示し、説明は省略する。
【0119】
またYAW方向とPITCH方向とで、画像補正手段を別個に設けているが、VAP等のぶれ補正手段はもちろん共通のもので、各ぶれ補正方向に対し、VAP駆動用のアクチユエータが別個に設けられていることは言うまでもない。
【0120】
またさらに図13,図14に示すような双眼鏡に本発明を適用した場合には、VAPを含むぶれ補正系を左右で2系統備えているため、図1のYAW方向、PITCH方向いおけるぶれ補正系がもう1組設けられているが、構成自体は同一であるため、図示及び説明を省略し、図18にその概略のみ図示し、後述する。
【0121】
また図1において、208は通常のぶれ補正動作を行う場合には、位相/利得補正手段204の出力をぶれ補正ブロツク30へと供給し、後述のキヤリブレーシヨン動作を行う場合は、キヤリブレーシヨンブロツク207より出力される駆動波形をぶれ補正ブロツク30へと供給すべく、バスBをぶれ補正ブロツクに接続するよう、各種制御及びデータ線を切り換える切換ブロツクである。この切換ブロツク28がぶれ補正ブロツク30に対する入出力ポートとなる。
【0122】
図2に、特性測定、キヤリブレーシヨン動作を行うキヤリブレーシヨンブロツク207及びぶれ補正ブロツク30内の駆動回路4の内部構成及び接続関係をブロツク図で示す。
【0123】
キヤリブレーシヨンブロツク207内の構成について見ると、ROM207aには予めテスト用のVAP駆動波形が記憶されており、駆動信号発生回路207bは、ROM207aよりVAP駆動波形を読み出して、所定の周波数及び振幅のVAP駆動波形をバスBを介して駆動回路4へと出力する。またこのテスト用VAP駆動波形は後述のオフセツト補正回路207cにも供給される。
【0124】
207cは駆動信号発生回路207bによつて発生されたテスト用VAP駆動波形に対するVAPの実際の応答特性を検出する周波数特性検出手段と、VAP駆動波形とその応答特性とを比較してその制御系の位相、周波数のずれ、VAPの光軸中心のずれ、VAPの駆動範囲のずれ等を検出し、これらのオフセツトを補正するオフセツト補正手段からなるオフセツト補正回路である。
【0125】
またオフセツト補正回路207cは、VAPの駆動系の周波数,位相特性を検出した結果をEEPROM6に記憶し、またその記憶した特性すなわちオフセツト情報を次回の使用の際に読み出して、VAP駆動回路の特性を補正し、常にVAPが最適な特性で駆動されるように制御する。
【0126】
またオフセツト補正回路207cは、テスト用VAP駆動信号と、これに対する実際のVAPの応答信号を角変位エンコーダ4eより読み込み、図3で見て振動波形の中心が0レベルからオフセツトしていた場合には、テスト用VAP駆動信号とVAPの応答波形の振動の中心となる基準レベル(0レベル)が等しくなるように、テスト用VAP駆動信号のレベルをシフトさせるよう、そのオフセツト量の情報を駆動信号発生手段207bへと供給する。
【0127】
これによつて、図3において、テスト用VAP駆動波形と応答波形との位相遅れを正確に検知することができる。
【0128】
このEEPROM6内の記憶値は、キヤリブレーシヨン動作を行う度に更新されるため、経時変化や温度変化等の環境変化に際しても最適の駆動状態を得ることができる。また製造時から変化しない情報は、変更を要しない。
【0129】
一方、駆動回路4内の構成について見ると、4aは位相補償回路、4bはアンプ、4cは画像補正手段5としてのVAPを駆動するためのドライバーである。
【0130】
4dはVAPの角速度を検出する角速度エンコーダであり、この角速度を図の様にアンプ4の入力側に加算器4hによつてフイードバツクすることで速度フイードバツク補償を行っている。
【0131】
4eは画像補正手段5としてのVAPの移動量を検出する角変位エンコーダであり、図のように位相遅れ進み補償回路4aの入力側にフイードバツクし、変位ループが構成されている。
【0132】
この角変位エンコーダ4eの出力値のオフセツト調整、D/A変換器25により角変位エンコーダ4eにバイアスを与えることにより、VAPの頂角変位を変更し、光軸ずれを補正することができる。
【0133】
また角変位エンコーダ4eの出力は、キヤリブレーシヨンブロツク207内のオフセツト補正回路207cへと供給され、角変位エンコーダ4eから供給された信号と、VAP駆動波形とを比較し、駆動回路4を含むVAPの周波数特性を演算し、かつ光軸のオフセツトを補正する。この光軸補正はD/A変換器4fを介して角変位エンコーダ4eにバイアスを与えることによつて頂角を可変して行う。EEPROM6はこれらの調整値すなわちオフセツト情報を記憶する。
【0134】
図3に位相遅れの測定方法の一例を示す。まずキヤリブレーシヨンブロツク207より出力されるテスト用のVAP駆動波形(疑似ぶれ信号)に対するVAP応答波形のオフセツトをキヤンセルする。
【0135】
図3に示すように、疑似ぶれ信号及びVAP応答波形各々の中心値とクロスするタイミングの時間差tnを測定し、設定期間Tでの平均により算出する。
【0136】
また、特性測定、キヤリブレーションを行うタイミングとしては、単独で専用スイツチ(キヤリブレーシヨンスイツチ9)を設け、任意の時刻にキヤリブレーシヨンを行うようにすることができる他、観察者検知手段10のように、図12に示すような投受光センサ131で眼球EYEの反射を検出して撮像動作が行われようとしていることを検出する視線検知手段等を使用して観察者が覗いているか否かを判断し、観察者が覗かずに、ISスイツチ7、バツテリーチエツクスイツチ8が押された場合に、キヤリブレーシヨンを開始し、該応答振幅及び位相ずれの検出を行うことが考えられる。
【0137】
すなわち観察者が撮影あるいは被写体を見ている状態ではキヤリブレーシヨンは行わず、観察者が見ていないときに行うようにすることにより、不自然な画像を見ることを防止している。
【0138】
次に、この実施例における特性測定、キヤリブレーシヨン動作時のマイコン20の処理について、図2のフローチヤートにより説明する。これはキヤリブレーシヨン用に専用のON/OFFスイツチ(キヤリブレーシヨンスイツチ9)を用いずにキヤリブレーシヨンを行っている例である。
【0139】
ステツプ200で処理を開始する。
【0140】
ステツプ201では、ISスイツチ7の状態が検出され、ONであれば次のステツプ202へ進む。
【0141】
ステツプ202では、観察者検知手段(接眼部センサー)10により、操作者(観察者)によりフアインダの観察が行われているか否かを判断し、観察が行われていれば、ステツプ211に示す通常のぶれ補正動作ルーチンに移行する。観察が行われていなければ、ステツプ203へと移行して、キヤリブレーシヨン動作が実行される。
【0142】
ここで、誤操作等により、ある一定時間内に何回もキヤリブレーシヨン動作を行わないように、2回目以降はステツプ203へと移行せずに、ステツプ201へと復帰するように構成してもよい。
【0143】
ステツプ203では、マイコン20内のキヤリブレーシヨンブロツク207より、VAPの光軸が撮像系の光軸と一致するようなVAPセンター基準保持信号を出力する。初期調整では、この時VAPの偏光が光学中心となっているが、図5に示すような、サーボ機構により制御されるVAPでは、温度、経時変化による軸摩擦、素子の変形等の機械的劣化等を主要因として、実際には制御位置がずれてしまう。
【0144】
これによりVAPをその光軸中心に位置させるセンター基準位置保持信号を加えた場合、光束が光学中心から偏光した状態となる。
【0145】
ステツプ204は、光学偏光のオフセツト補正を行う処理である。すなわち、上記の現象に対応するため、頂角センサーの出力が、初期調整で得た光学中心位置の記憶値となるようにように、VAPセンター基準保持信号にオフセツトを加え補正する。この補正オフセツト値をEEPROM6等に記憶する。
【0146】
ステツプ205では、マイコン20内のキヤリブレーシヨンブロツク207より疑似駆動波形を出力する。
【0147】
この時、疑似駆動波形をキヤリブレーシヨンブロツク207内のROM207a上に記憶しておくことにより、種々の駆動波形(振幅、周波数)を設定可能である。
【0148】
ステツプ206では、VAPの頂角変位を検出する角変位エンコーダ4eから出力された角変位信号をバスBを介してA/D変換器(オフセツト補正回路207eに内蔵)によりオフセツト補正回路207e内部に取り込む。
【0149】
ステツプ207では、駆動波形発生回路207bより供給したVAP駆動波形(疑似駆動波形)と、これに対するVAPの応答波形とを比較し、図3で説明したように、応答特性のずれ、すなわち利得及び位相遅れを求める。
【0150】
ステツプ208では、ステツプ207で検出されたVAPの応答特性すなわち周波数特性を演算し、その演算結果から、最適な補正パラメータ(周波数特性補正係数)を予め用意された複数の周波数補正係数を格納したデータテーブルより選びだす。
【0151】
ステツプ209では、その周波数補正係数をEEPROM6等に記憶する。すなわち通常のぶれ補正動作のルーチンにおいては、前記EEPROM6内に記憶された補正パラメータ(データテーブル)を用いて制御され、機械的誤差、素子自体の経時変化があつても、その誤差を補正して最適な特性で動作させることができる。
【0152】
ステツプ210でキヤリブレーシヨン動作を終了し、処理を終わる。
【0153】
上述のキヤリブレーシヨン動作において、VAP駆動波形(疑似駆動波形)の測定周波数及び振幅は任意に設定可能であるが、特性を認識するのに代表的な周波数、振幅にしたがつて、1,2点測定すれば良い。例えば、図10に示す程度の特性であれば、10Hz、±0.1degでの測定により補正パラメータを選べば良いであろう。
【0154】
以上の構成により、温度、経時変化による、軸摩擦、素子の変形等の機械的劣化に対応した、最適なぶれ補正(適応制御)が可能となる。
【0155】
(第2の実施例)
以上は、主に周波数特性に関するキヤリブレーシヨン手段であるが、この他、駆動範囲に対するキヤリブレーシヨンも有効である。
【0156】
すなわちVAP素子等の、温度、経時劣化により、駆動範囲(偏光可能範囲)が初期状態と比べ、狭まってしまう場合があるからである。これは、VAPユニツトを単一で使用する場合においては、ぶれ補正範囲の低下が主問題となるが、特に以下に示すような複数組のVAPユニツトを使用する双眼鏡では、左右の光学系の間で観察視野の違い等を引き起こし、観察者に不快感を与えかねなくなる。
【0157】
まず独立した2組以上の画像補正手段を有する光学機器の一例として、図13に、左右独立した2組の可変頂角プリズムユニツトを内蔵した双眼鏡の斜視図を示す。
【0158】
同図において、400は双眼鏡本体、401L,401Rは対物レンズユニツト、402L,402Rは双眼鏡本体400に設けられた一対の接眼プリズムユニツト本体である。
【0159】
また、対物レンズユニツト401L,401Rとの間には視度・フォーカス調整機構403が設けられている。
【0160】
また404はフォーカス調整リング、405は視度調整リングである。
【0161】
そして、双眼鏡本体200には垂直方向のぶれを検出するぶれ検出センサ、水平方向のぶれを検出する検出センサが固定されている。
【0162】
また、7はぶれ補正の動作・非動作を操作する補正操作スイツチであり、例えば、押圧により操作される。
【0163】
ここで、ぶれ補正装置の双眼鏡への配置例について図14に示す。301はフォーカスレンズを含む対物レンズ群、302LはVAPユニツト、303は正立プリズム、304は接眼レンズ群、306は制御回路基板、305はぶれ補正装置に電力を供給するバツテリーである。
【0164】
VAPユニツト302L,302Rはレイアウト上、機械構造的に、対称に配置されている。つまり、構造的に、左右の慣性力が異なってしまう場合がある。
【0165】
以下にマイコン20によるキヤリブレーシヨン動作を説明するが、本実施例は、双眼鏡であり、図1に示すようなYAW、PITCH方向のぶれ補正ブロツクを左右2組備えている。
【0166】
したがつて、前述の第1の実施例に示すようなぶれ補正系が単独(VAP単体のキヤリブレーシヨン)の場合だけでなく、左右のぶれ補正系のバランス調節が重要である。
【0167】
図1では、単一のぶれ検出補正系しか記載していないが、マイコン20内には、図1に示す単一のぶれ検出補正系がもう1系統設けられており、それぞれ双眼鏡の左右のぶれ検出補正系を構成している。そしてこの左右のバランス調節もマイコン20によつて行われる。
【0168】
図18は双眼鏡のぶれ検出補正系の概念を示すブロツク図である。同図において、右側光学系について見ると、1R,1R’はそれぞれYAW、PITCH方向の角速度検出手段、30R,30R’はそれぞれYAW、PITCH方向のぶれ補正ブロツクで、右側VAPに接続されている。
【0169】
またマイコン20内では、それぞれYAW、PITCH方向の積分手段203R,203R’、それぞれYAW、PITCH方向の位相/利得補正手段204R,204R’が設けられている。
【0170】
また左側光学系について見ると、YAW、PITCH方向の角速度検出手段1L,1L’は、右側光学系の角速度検出手段1R、1R’と兼用されている。これによつて左右の光学系に対し、左右でばらつくことなく同じ角速度信号を供給することができる。30L,30L’はそれぞれYAW、PITCH方向のぶれ補正ブロツクで、左側VAPに接続されている。
【0171】
またマイコン20内では、それぞれYAW、PITCH方向の積分手段203L,203L’、それぞれYAW、PITCH方向の位相/利得補正手段204L,204L’が設けられている。
【0172】
またキヤリブレーシヨンブロツク207はそれぞれ、右側ぶれ補正系のYAW、PITCH方向のキヤリブレーシヨン及び左側ぶれ補正系のYAW、PITCH方向のキヤリブレーシヨンを行い、これらの各キヤリブレーシヨン動作におけるテスト用駆動信号及び通常ぶれ補正動作時における位相/利得補正手段204R、204R’、204L、204L’の出力はそれぞれ切換ブロツク208でその動作モードに応じて適宜切換られ、ぶれ補正ブロツクへと供給される。
【0173】
またEEPROM6も、これらの計4系統のオフセツト情報を記憶している。
【0174】
マイコン20は、このように左右の光学系それぞれについてYAW、PITCH方向の位相及び利得の周波数特性のずれ、駆動範囲の基準値からのずれ、初期位置(基準位置)からのずれ当からなるオフセツト情報を検出して、そのオフセツト情報の補正を行うことにより、左右のぶれ検出補正系個々の駆動特性の補正及び左右のバランス調整を行うものである。
【0175】
以下、本第2の実施例における特性測定、キヤリブレーシヨン動作時のマイコン上の処理について、図15のフローチヤートにより説明する。ここでは、電源投入用のスイツチ、キヤリブレーシヨンモードを指示するスイツチを有するものとする。
【0176】
尚、VAPの制御及び駆動系については、図1、図4の回路構成と同様であり、マイコン20によつて処理が実行される。
【0177】
処理をスタートし、ステツプS200において電源投入がなされると、ステツプS201へと移行し、観察者検知センサー10により、撮影者による観察が行われているか否か、すなわち撮影者がフアインダを見ているか否かを判断する。
【0178】
そして観察が行われていれば次のステツプS202へ進み、通常のぶれ補正動作が行われ、ステツプS201へと戻る。
【0179】
ステツプS201で観察が行われていなければステツプS203へ進み、キヤリブレーシヨンスイツチ9の状態を検出し、ONであれば次のステツプS204へ進み、OFFであればステツプS205へ進む。
【0180】
ステツプS204では、キヤリブレーシヨン終了フラグの状態により、キヤリブレーシヨン動作が終了しているか否かの判別が行われ、キヤリブレーシヨン動作が終了していれば、ステツプS205へと移行して、VAP駆動系の補正動作を停止(VAPをメカ的に固定)し、ステツプS201へと戻る。これによつて無駄に補正動作(VAP駆動)を行うことがなく節電効果がある。
【0181】
またステツプS204で、キヤリブレーシヨン終了フラグが立っておらず、キヤリブレーシヨン動作が終了していなければS206へ進む。
【0182】
ステツプS206では、マイコン20のキヤリブレーシヨンブロツクより、VAPセンター基準保持信号を出力し、上述の第1の実施例における図4で説明したキヤリブレーシヨン動作と同様に、ステツプS207で、左側のVAP区同形の光学偏光オフセツト補正が行われる。これによつて左側VAPの光軸補正が行われる。
【0183】
続いてステツプS208で、左側と同様に右側の光学偏光オフセツト補正が行われる。これによつて右側VAPの光軸補正が行われ、左右のVAPの光軸オフセツト補正が完了する。
【0184】
ステツプS209では、マイコン20内のキヤリブレーシヨンブロツク207よりVAP駆動波形(疑似駆動波形)を出力しVAPの可動範囲の確認が行われる。ここではVAPの可動範囲を確認するためのものであるので、通常のVAPの可動範囲よりも大きな振幅の信号を出力する。
【0185】
ステツプS210では、VAP頂角変位を検出する角変位エンコーダ4eからの角変位信号をA/D変換器により内部に取り込む。
【0186】
ステツプS211では、駆動波形と応答波形との比較をし、左右のVAP駆動系各々の可動範囲を測定する。
【0187】
ステツプS212では、ステツプS211で得られた結果から、VAPの駆動範囲を設定し、左右のVAPの駆動範囲が同じくなるように補正が行われる。尚、この左右のVAP駆動系それぞれのオフセツト補正量は、EEPROM6等に記憶され、次回のデフォルト値とする。
【0188】
尚、この場合のVAPの駆動範囲設定は、図10に示すような特性を、左右同一視野の保たれる範囲で行われなければならない。すなわち左右のVAPが同じ特性(駆動限界範囲、初期状態の光軸センターとなる基準位置で、同じ応答特性を有する範囲)で動作するように構成されている。
【0189】
VAPの駆動範囲の設定(補正)は、図1において、位相/利得補正手段204、204’に制御データ線Cを用いてオフセツト情報を供給し、D/A変換器にリミツタを設けてダイナミツクレンジを制限し、ぶれ補正用コントロール信号の振幅に制限を加えることによつて実現される。
【0190】
そしてこの左右のVAPの可動範囲の小さい方のVAPの可動範囲よりもさらに小さい範囲に駆動限界範囲を設定する。これによつて左右のVAPをバランス良く、さらに可動範囲に余裕を持たせることによつて、安定な駆動を行うことができる。
【0191】
以上でキヤリブレーシヨン動作を終了し、ステツプS213で、キヤリブレーシヨン終了フラグをセツトし、ステツプS201へ戻る。
【0192】
実際の適用においては、YAW,PITCH独立(片方を中心付近に固定)に、左右の駆動範囲を設定すれば効果が得られる。
【0193】
このように、本実施例では、温度、経時変化による、軸摩擦、素子の変形等の機械的劣化に対応した、最適なぶれ補正(適応制御)が可能となり、特にぶれ補正光学系を複数有する双眼鏡のような光学系において、個々のぶれ補正系のみならず、左右の補正系のバランス調整をも同時に行うことができる。
【0194】
(第3の実施例)
次に、本発明における第3の実施例について説明する。
【0195】
サーボ機構により制御されるVAPユニツトを用いたぶれ補正装置では、温度、経時変化、姿勢差による、軸摩擦、素子の変形等の機械的劣化により、基準位置保持信号を加えた場合の光束の偏光が、期待されるもの(初期状態)に対し、オフセツトを持つ。
【0196】
これは、単体使用では問題にならないレベルであっても、双眼鏡用として2組で使用する場合には、光軸のズレが観察者に不快感を与え兼ねなくなる。
【0197】
そこで、本実施例では、キヤリブレーシヨン時はもちろんのこと、特にぶれ補正動作中に、明らかに左右各々の信号がオフセツトを生じている場合に、左右の信号が一致するように補正を行うことを可能としたものである。
【0198】
つまり、IS動作中、良好な追従性の確保される低周波数域において、ぶれ制御信号に対するVAPの左右各々の頂角センサ出力が、ぶれ制御信号に対し、一定の変位差を保って推移している場合には、オフセツトを徐々に変更し補正を行う。
【0199】
本実施例においても、VAP制御系の構成自体は、図1,図4と同様であるため、その説明は省略する。
【0200】
次に、この実施例におけるマイコンで実行される処理について、図16のフローチヤートにより説明する。
【0201】
図16のフローチヤートの処理は、通常のぶれ補正動作中に実行可能であり、ステツプS300は、ぶれ補正動作中であることを示す。
【0202】
ステツプS301において、オフセツト調整フラグの状態により、オフセツト調整中であるか否かが判別され、オフセツト調整中であれば、ステツプS304へと移行して調整動作を行い、調整中でなければステツプS302へと移行する。
【0203】
ステツプS302では、マイコン20よりぶれ補正ブロツク30内のVAP駆動回路4へと供給されるぶれ補正を行うためのVAP駆動信号aと角変位エンコーダ4eから出力された頂角変位センサ信号bを比較し、初期状態と比較して、その変位量の差が予め求められている平均的な設定値cより大きければステツプS303へ、小さければステツプS300へ戻る。
【0204】
ステツプS303では、オフセツト調整フラグをセツトし、ステツプS304で前記の|a−b|が小さくなるように、オフセツト調整を行う。すなわち変位量の差が小さくなるように、所定値だけオフセツト出力を変更する(後述するが、オフセツト出力の補正には、専用の調整機構を使用する方法と、マイコン20から出力するVAP駆動信号にオフセツトを加える方法とがある)。
【0205】
ステツプS305では、VAP駆動信号と頂角センサ信号の変位差が0であるかを調べ、0であれば次のステツプS306へ進み、0でなければステツプS300へ戻る。
【0206】
ステツプS306では、オフセツト調整フラグをリセツトしてオフセツト調整を終了し、ステツプS300へ戻る。
【0207】
サーボ機構により制御されるVAPユニツトを用いたぶれ補正装置では、温度、経時変化、姿勢差による、軸摩擦、素子の変形等の機械的劣化により、基準位置保持信号を加えた場合の光束の偏光が、期待されるものに対し、オフセツトを持つ。
【0208】
これは、単体使用では問題にならないレベルであっても、双眼鏡用として2組で使用する場合には、光軸のズレが観察者に不快感を与え兼ねなくなる。
【0209】
そこで、本実施例では、キヤリブレーシヨン時はもちろん、ぶれ補正動作中に、明らかに左右各々の信号がオフセツトを生じている場合に、左右の信号が一致するように補正を行う。これにより、左右光軸の一致した良好な観察が可能となる。特に通常のぶれ補正動作時においてこのオフセツト調整を可能としたので、キヤリブレーシヨン動作を意識させることがなく、操作性が格段に向上するとともに、画像に違和感がなく、常に正確な観察を行うことができる。
【0210】
(第4の実施例)
以下に本発明の第4の実施例について説明する。図14に示すような2組のVAPユニツトを内蔵した双眼鏡では、VAPユニツト302L,302Rはレイアウト上、機械構造的に、対称に配置されている。
【0211】
つまり、構造的に、左右の慣性力が異なる。また、上述のVAPユニツトにおいては、角変位検出素子の取付誤差により、VAPの光軸中心位置に対する角変位検出器の出力がずれてしまうため、これのオフセツト調整が必要となる。
【0212】
ここで、オフセツトの調整方法としては、前述のように、初期調整において、マイコンからVAPセンター基準位置保持信号を出力した状態で、VAPを通過した光束が光学中心となるように調整を行う。これは、VAPセンター基準位置保持信号にオフセツトを付加する事によっても実現できるが、素子、メカ構造に起因するオフセツトのばらつきの大きさによって、調整範囲を大きく取らねばならず、ひいてはダイナミツクレンジの低下につながってしまう。また、高分解能のD/A変換器を使用すれば良いが、これは高価である。
【0213】
そこで、図2に示すように、外付けの安価な、またはワンチツプマイコンに内蔵された低分解能D/A変換器25と、VAP駆動信号へのオフセツト付加を組み合わせる。
【0214】
つまり、安価な低分解能D/A変換器で粗調整を行い、ぶれ制御信号のオフセツトにより微調整を行う。
【0215】
また、マイコン20で、これら2つの調整手段をコントロールすることにより、調整時には意識しなくともよい。これにより、調整範囲が広く、且つ、高精度のオフセツト調整が行えるようになる。
【0216】
またVAPの光学偏光位置信号の測定手段は、レーザー等によるVAPの通過光をPSD等でうけて測定する方法がある。
【0217】
次に、この実施例におけるマイコン上の処理につていて、図17のフローチヤートにより説明する。
【0218】
(オフセツト調整)
処理をスタートし、ステツプS401で、VAP光学中心位置信号dとVAP光学偏光位置信号e(垂直に入射された光の中心位置からの偏光変位信号)とを比較し、差が0であればステツプS402へ、0でなければステツプS406へ進む。
【0219】
ステツプS402では、安価な低分解能D/A変換器により粗調整を行う。すなわち図2のD/A変換器4fによつて角変位エンコーダ4eの値に所定のバイアスをかけ、大まかなVAPの基準位置調整を行う。
【0220】
ステツプS403では、VAP光学中心位置信号dとVAP光学偏光位置信号eの差が所定値f以下であれば、ステツプS404へ進む。ここで、fは低分解能D/A変換器の調整限界値に設定された値である。
【0221】
ステツプS404では、マイコン20からVAP駆動回路4へと供給されるVAP制御信号へのオフセツト付加による微調整を行う。ここでの微調整は位相/利得補正手段204よりぶれ補正ブロツク30へと供給されるぶれ補正用のコントロール信号のレベルを微調整することによつて高精度に行われる。
【0222】
ステツプS405では、VAP光学中心位置信号dとVAP光学偏光位置信号e(垂直に入射された光の中心位置からの偏光変位信号)とを比較し、両者の差|d−e|が0であればステツプS406へ進んでオフセツト調整動作を終了し、ステツプ505で0でなければステツプS404へと戻る。ステツプS406は、調整動作の終了を意味する。
【0223】
ここでは、一軸の調整しか述べていないが、図14に示す双眼鏡では、左右、YAW,PITCHの合わせて4軸の調整が必要である。
【0224】
サーボ機構により制御されるVAPユニツトを用いたぶれ補正装置では、温度、経時変化、姿勢差による、軸摩擦、素子の変形等の機械的劣化により、基準位置保持信号を加えた場合の光束の偏光が期待されるものに対し、オフセツトを持つ。単体では問題にならないレベルであるが、双眼鏡用として2組で使用する場合には、光軸のズレが観察者に不快感を与え兼ねなくなる。
【0225】
そこで、本実施例では、キヤリブレーシヨン時、あるいは、ぶれ補正動作中に、明らかに左右各々の信号がオフセツトを生じている場合に、左右の信号が一致するように補正を行う。これにより、左右光軸の一致した良好な観察が可能となる。
【0228】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、前記第1及び第2の動き補正手段の駆動範囲基準値に対するオフセツトが検出され、各動き補正手段の駆動限界範囲が最適値にバランス良く補正される。
【0229】
また本発明によれば、前記第1及び第2の動き補正手段の前記基準位置に対するオフセツトが検出され、前記各動き補正手段の初期位置が補正され、動き補正の偏りが補正され、前記第1及び第2の動き補正手段のバランスをたもちながら、且つその動き補正ダイナミツクレンジを広くとることができる。
【0230】
また本発明によれば、可変頂角プリズムの温度、経時変化、素子の変形等の機械的誤差による駆動特性の劣化及び変化が良好に補正され、最適制御を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例を示すブロツク図である。
【図2】図1の実施例の要部の構成(キヤリブレーシヨンブロツク及びぶれ補正ブロツク)を示すブロツク図である。
【図3】図2の構成で行われるキヤリブレーシヨン動作を説明するための図である。
【図4】第1の実施例の動作を説明するためのフローチヤートである。
【図5】VAPを組み込んだ撮影光学系の一例の構成を示す図である。
【図6】VAPの駆動回路の基本構成を示すブロツク図である。
【図7】VAPを用いたぶれ補正系の制御動作を説明するためのフローチヤートである。
【図8】本発明の実施例を説明するためのVAPの構造図である。
【図9】本発明の実施例を説明するためのVAPの構造図である。
【図10】本発明の実施例を説明するためのVAPユニツトの周波数特性を示す図である。
【図11】本発明の実施例におけるHPF,積分手段,利得/位相補正手段等を構成するデジタルフイルタの構成を示す図である。
【図12】観察者がフアインダ接眼部を覗いているか否かを検知する観察者検知手段の構成を説明するための図である。
【図13】本発明のぶれ補正装置を内蔵した双眼鏡の斜視図である。
【図14】本発明のぶれ補正装置を内蔵した双眼鏡の透視図である。
【図15】本発明における第2の実施例を示すフローチヤートである。
【図16】本発明における第3の実施例を示すフローチヤートである。
【図17】本発明における第4の実施例を示すフローチヤートである。
【図18】第2の実施例〜第4の実施例に共通する双眼鏡のぶれ検出及び補正系の構成を示すブロツク図である。
【符号の説明】
1 角速度検出手段(角速度センサ)
2 HPF
3 アンプ
4 駆動回路
5 画像補正手段(ぶれ補正手段)
6 EEPROM
7 ISスイツチ
8 バツテリーチエツクスイツチ
9 キヤリブレーシヨンスイツチ
20 マイコン
30 ぶれ補正ブロツク
106 VAP
201 A/D変換器
202 HPF
203 積分手段
204 位相/利得補正手段
205 パン/チルト判別手段
206 周波数/振幅検出手段
207 キヤリブレーシヨンブロツク
208 切換ブロツク
400 双眼鏡
Claims (4)
- ぶれによる画像の動きを補正する第1の動き補正手段と、
ぶれによる画像の動きを補正する第2の動き補正手段と、
駆動特性を検出するための信号に対する前記第1の動き補正手段の応答特性と、
前記駆動特性を検出するための信号に対する前記第2の動き補正手段の応答特性とをそれぞれ検出し、前記第1の動き補正手段の応答特性と、前記第2の動き補正手段の応答特性とが実質的に等しくなるように、前記第1の動き補正手段及び前記第2の動き補正手段の少なくとも一方の駆動特性を補正する制御手段とを備え、
前記制御手段は、前記駆動特性を検出するための信号に対する前記第1及び第2の動き補正手段の駆動範囲を検出して所定の駆動範囲基準値に対するオフセツトをそれぞれ演算し、該オフセツトに応じて前記第1及び第2の動き補正手段の駆動限界範囲を補正するように構成されていることを特徴とするぶれ補正装置。 - ぶれによる画像の動きを補正する第1の動き補正手段と、
ぶれによる画像の動きを補正する第2の動き補正手段と、
駆動特性を検出するための信号に対する前記第1の動き補正手段の応答特性と、
前記駆動特性を検出するための信号に対する前記第2の動き補正手段の応答特性とをそれぞれ検出し、前記第1の動き補正手段の応答特性と、前記第2の動き補正手段の応答特性とが実質的に等しくなるように、前記第1の動き補正手段及び前記第2の動き補正手段の少なくとも一方の駆動特性を補正する制御手段とを備え、
前記駆動特性を検出するための信号は前記第1及び第2の動き補正手段を基準位置に位置させる信号であり、
前記制御手段は、前記第1及び第2の動き補正手段の前記基準位置に対するオフセツトを検出し、該オフセツトに応じて前記第1及び第2の動き補正手段の初期位置を補正するように構成されていることを特徴とするぶれ補正装置。 - 前記動き補正手段は、可変頂角プリズムを含む光学的ぶれ補正手段であることを特徴とする請求項1または2に記載のぶれ補正装置。
- 請求項1から3のいずれか1項に記載のぶれ補正装置を有することを特徴とする光学機器。
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