JPH069811Y2 - インモールドコーティング装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、金型内において成形材料を所定形状に成形し
た後、この金型を開くことなく該金型内で成形品にコー
ティングを施すように構成されたインモールドコーティ
ング装置に関するものである。

（従来の技術） 合成樹脂を素材とするシートモールコーディングコンパ
ウンド（ＳＭＣ）等の成形材料を用いて成形した成形品
は、例えばボンネットやトランクリッドなど自動車の外
板部材等に適用した場合、従来の剛板製のものに比べて
車体の軽量化を図ることができる。

しかしながら、上記成形品を最終製品に仕上げるために
該成形品の表面にコーティングを施す際、成形品の表面
および表面近傍に存在する気泡内のエアが、コーティン
グの乾燥工程で塗膜を破って塗膜表面から外部に放出さ
れるため、通常のコーティング方法では塗膜にピンホー
ルが生じ、良好な表面品質を得ることができないという
問題がある。

これに対し、従来、例えば実開昭６１−５６０１１号公
報に開示されているようなインモールドコーティング装
置の採用により上記問題解決を図る工夫がなされてい
る。すなわち、このインモールドコーティング装置は、
成形材料を金型内の所定位置に配して型締めすることに
より該成形材料を所定形状に成形した後、この型締め状
態にある金型内に所定のノズルから塗料を噴出すること
により上記成形により形成された成形品の表面にコーテ
ィングを施すようにしたものであって、このような装置
を採用することにより、成形品の表面および表面近傍の
気泡内に塗料を充填して塗膜上のピンホール発生を防止
することが可能となる。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、インモールドコーティング装置において
は、射出前の塗料の温度を調節するための冷却構造が一
般に設けられており、その冷却水により、金型のノズル
近傍部分の温度は、他の部分の金型温度よりある程度低
くなっている。このため、金型内の成形品についてもノ
ズル近傍部分の温度が他の部分の温度より低くなる。し
たがって、この成形品において最も硬化しにくい部分と
なるノズル近傍部分が硬化するまで、上記成形がなされ
てから塗料射出までの時間を十分に確保する必要があ
り、成形およびコーティングのサイクルアップを図る上
で支障となっていた。

本考案は、このような事情に鑑みてなされたものであっ
て、成形およびコーティングのサイクルアップを図るこ
とのできるインモールドコーティング装置を提供するこ
とを目的とするものである。

（課題を解決するための手段） 本考案によるインモールドコーティング装置は、成形品
のノズル近傍部分をコーティング前に加熱する専用加熱
手段を金型に設けることにより、該部分の硬化促進を図
り、もって上記目的達成を図るようにしたものである。
すなわち、成形材料を金型内の所定位置に配して型締め
することにより該成形材料を所定形状に成形した後、前
記型締め状態にある前記金型内に所定のノズルから塗料
を射出することにより前記成形により形成された成形品
の表面にコーティングを施すインモールドコーティング
装置において、前記成形品の前記ノズル近傍部分を前記
コーティング前に加熱する専用加熱手段が前記金型に設
けられていることを特徴とするものである。

（考案の作用および効果） 上記構成に示すように、成形品のノズル近傍部分をコー
ティング前に加熱する専用加熱手段が金型に設けられて
いるので、成形がなされてから塗料射出までの間におけ
る該ノズル近傍部分の硬化促進を図ることができ、これ
により成形およびコーティングのサイクルアップを図る
ことができる。

なお、専用加熱手段を上記ノズルが設けられている側の
金型に設けるようにすれば、射出により形成された塗膜
に対する硬化促進をも図ることができるので、一層のサ
イクルアップを図ることができる。

（実施例） 以下添付図面を参照しながら本考案の実施例について詳
述する。

第１図は、本考案によるインモールドコーティング装置
の一実施例を示す、第４図の要部拡大図であって、第２
図は、第１図のII-II線断面図である。

第４図に示すように、インモールドコーティング装置
は、金型２を備えてなり、この金型２は、上下動可能に
設けられたキャビ型４と、該キャビ型４と組み合わされ
て成形空間６を形成するコア型８とを備えており、上記
成形空間６内でＳＭＣ（成形材料）を圧縮成形して成形
品Ｗが得られるようになっている。上記キャビ型４の内
部には略円筒状の空間部4aが設けられており、該空間部
4aには、上記成形品Ｗの表面にインモールドコーティン
グ用の塗料を注入するためのインジェクタ10が収納さ
れ、該インジェクタ10には、塗料供給管12を介して、金
型２の外部に設置された定量ポンプ14により、塗料タン
ク16に貯えられた塗料が供給されるようになっている。

上記インジェクタ10は、第１図に詳しく示すように、キ
ャビ型４の空間部4aに嵌入される本体部18を備えてお
り、該本体部18の中心部には、本体部18を上下方向に貫
挿するとともにその先端部がキャビ型４の成形面4bに至
る中空円筒状のスリーブ20が設けられ、該スリーブ20内
部の貫通孔20aには、その上下方向の中間に上記塗料供
給管12が接続されている。また、上記貫通孔20aには、
本体部18の上方に配置されたシリンダ22により上下方向
に駆動されるシャットオフピン24が摺動自在に嵌挿され
ている。

また、上記本体部18の内部には、スリーブ20および塗料
供給管12のまわりにジャケット部18aが形成されてお
り、該ジャケット部18aには、冷却水供給管26と冷却水
戻り管28とが接続されている。そして、上記冷却水供給
管26より冷却水を供給する一方、キャビ型４の保有熱に
より暖められた水を冷却水戻り管28より排出させること
により、上記ジャケット部18a内の温度を一定に保つよ
うにし、上記塗料供給管12内の塗料の温度を所定値に保
ち、該塗料がキャビ型４からの伝熱により硬化すること
を防止することができるようになっている。上記スリー
ブ20のジャケット部18aから下方に延びる部分は、その
貫通孔20aの下端部が成形空間６と連通するノズル部20b
を構成している。

以上のように構成された金型２によるＳＭＣの成形およ
びその成形品Ｗの表面に対するコーティングの工程につ
いて、以下、説明する。

まず、キャビ型４を上方に移動させて金型２を開き、Ｓ
ＭＣをコア型８の成形面上に載置した後、上記キャビ型
４を下降させて型締めし、ＳＭＣを所定形状に圧縮成形
する。このとき、インジェクタ10のシャットオフピン24
は、スリーブ20内で下降した成形位置に維持され、その
ノズル部20bの先端はキャビ型４の成形面4bの一部を構
成している（第１図参照）。

次に、上記成形がなされてから所定時間経過後、シリン
ダ22の作用により上記シャットオフピン24が上方に移動
せしめられ、その下端部が塗料供給管12とスリーブ20と
の接続点により上方に位置するまで引き上げられる。こ
の結果、塗料が塗料供給管12を介して上記スリーブ20の
貫通孔20aに供給される。

次いで、第３図に示すように、シャットオフピン24が下
方に押し下げられ、上記塗料は該シャットオフピ24で加
圧されて、ノズル部20bから成形品Ｗの上記貫通孔20aに
対応する部位にダミー部として設けられた舌状のタブ部
Ｗａの表面に射出注入され、ここから成形品Ｗの表面全
体に拡げられて塗膜を形成するようになっている。

そして、定量の塗料が射出注入された後、上記シャット
オフピン24は再び成形位置にまで下降せしめられ、その
状態で成形品Ｗおよび塗料の金型２内での硬化のために
一定時間保持される。その後、金型２を開いて成形品Ｗ
を取り出し、不要部分である上記ダブ部Ｗａを切断除去
する。

上記塗料の射出は、ＳＭＣを所定形状に成形した後、そ
の成形品が十分に硬化してから行うことが、塗膜の均一
化、成形品の変形防止等の観点から肝要であるが、イン
ジェクタ10には塗料の温度調節をするための冷却水が給
排されているので、該インジェクタ10周囲の金型温度は
他の部分の金型温度（約150℃）より約20℃低い130℃程
度となり、このため、インジェクタ10の下端部のノズル
部20bの近傍に位置するダブ部Ｗａの硬化に長時間を要
するのが普通である。

このような不都合を解消するため、本実施例において
は、ダブ部Ｗａの硬化促進を図るための専用加熱手段た
る１対のヒータ30が金型２内の所定位置に設けられてい
る。すなわち、これらヒータ30はダブ部Ｗａの両側の、
インジェクタ10内の冷却水温度に悪影響を及ぼすおそれ
のない部分に位置するようにしてキャビ型４に植設され
ており、型締め時にはその下端部がコア型８に形成され
た凹陥部8aに嵌入されるようになっている。これらヒー
タ30は、ＳＭＣを所定形状に成形するための金型２の型
締めがなされると同時にＯＮ状態とされ、これにより、
インジェクタ10下端部のノズル部20b周囲の金型温度を
約160℃（ＯＦＦ状態より約30℃高い温度）まで上昇さ
せるようになっている。この場合、各ヒータ30の出力は
200Ｗ程度に設定すればよい。これらヒータ30は、コー
ティング後の型開きがなされると同時に再びＯＦＦ状態
とされるようになっている。

このように、本実施例によれば、成形後におけるタブ部
Ｗａの加熱を成形品Ｗの他の部分と同等以上の金型温度
で行うことが可能となり、タブ部Ｗａの硬化を著しく促
進することができ、これにより、成形およびコーティン
グのサイクルアップを図ることができる。

また本実施例においては、ヒータ30がインジェクタ10と
同じキャビ型４に植設されているので、昇温されたキャ
ビ型４の保有熱によって、上記射出により形成された塗
膜に対する硬化促進をも図ることができ、これにより一
層のサイクルアップを図ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案によるインモールドコーティング装置の
一実施例を示す、第４図の要部拡大図、 第２図は第１図のII-II線断面図、 第３図は上記実施例の作用を示す、第１図と同様の図、 第４図は上記実施例に係るインモールドコーティング装
置の全体構成を示す概要側断面図である。 ２…金型、４…キャビ型 ８…コア型、20b…ノズル部（ノズル） 30…ヒータ（専用加熱手段） Ｗ…成形品、Ｗａ…タブ部

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】成形材料を金型内の所定位置に配して型締
   めすることにより該成形材料を所定形状に成形した後、
   前記型締め状態にある前記金型内に所定のノズルから塗
   料を射出することにより前記成形により形成された成形
   品の表面にコーティングを施すインモールドコーティン
   グ装置において、 前記成形品の前記ノズル近傍部分を前記コーティング前
   に加熱する専用加熱手段が前記金型に設けられているこ
   とを特徴とするインモールドコーティング装置。