JPH0697911A - 同期捕捉装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 送信機でノイズ等により、拡散符号と送信デ
ータの位相関係がずれて拡散されても、受信機でデータ
再生することができるようにする。 【構成】 拡散符号発生部２の出力の拡散符号の位相
を、最大値検出器６から最大値タイミング信号が出力さ
れなくなったとき、拡散符号位相制御部11で拡散符号１
周期毎に前後に拡散符号の位相をシフトさせることによ
り、送信機をリセットせずに瞬時にデータ再生が可能と
なる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、スペクトラム拡散方式
の受信機における同期捕捉装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、スペクトラム拡散方式は、そのラ
ンダム多元接続性、秘話性、耐干渉性のために、軍用通
信だけでなく公共通信やパーソナル信号にも利用される
ようになってきた。その中でもスペクトラム拡散技術の
中心である同期捕捉装置の研究開発が著しい。

【０００３】以下、図面を参照しながら従来の同期捕捉
装置について説明を行う。

【０００４】通常、拡散符号としてｎ個のチップ(最小
単位)からなる１周期ｎチップ長の擬似雑音系列が用い
られ、ベースバンド信号ａはこの擬似雑音系列により拡
散されている。

【０００５】図３は従来のスペクトラム拡散方式の受信
機の同期捕捉装置の構成を示すブロック図である。図３
において、１はベースバンド信号ａが入力する入力端
子、２は送信機でベースバンド信号ａを拡散するために
用いられた拡散符号(以下、擬似雑音系列Ａという)と同
じパターンを持つ拡散符号(以下、擬似雑音系列Ｂとい
う)を発生させる拡散符号発生部(以下、擬似雑音系列発
生器という)、３はベースバンド信号ａと擬似雑音系列
発生器２の出力の擬似雑音系列Ｂとの相関値を演算出力
するデジタル・マッチド・フィルタ(以下、ＤＭＦとい
う)、４は擬似雑音系列Ｂの１／２チップ分だけ遅延さ
せる遅延器、５は遅延器４の出力とＤＭＦ３の出力の差
をとる減算器、６はＤＭＦ３の出力の相関値の最大値を
検出し、最大値タイミング信号を出力する最大値検出
器、７は最大値検出器６の出力の最大値タイミング信号
をクロックとして、減算器５の出力を入力し、進相／遅
相信号を出力するラッチ、８はラッチ７からの進相／遅
相信号を入力し、進相／遅相信号を滑らかにするループ
フィルタ、９はループフィルタ８で滑らかにされた進相
／遅相信号を入力し、滑らかな再生クロックを出力する
再生クロック発生器、10はＤＭＦ３の出力の相関値によ
り、再生データＲＤを出力するデータ再生器である。

【０００６】以上のように構成された従来の同期捕捉装
置について、以下その動作を図４を用いて説明する。図
４はスペクトラム拡散の原理を説明するための波形図を
示し、ベースバンド信号ａは、送信機(図略)において、
送信データＴＤの各１ビットと擬似雑音系列Ａの１周期
(ここでは、簡単に説明するためにチップ長は15チップ
とする)が掛け合わされたものである。入力端子１にベ
ースバンド信号ａが入力する受信機の擬似雑音系列発生
器２は、送信機でベースバンド信号ａを拡散するために
用いられた擬似雑音系列Ａと同じパターンを持つ擬似雑
音系列Ｂを出力する。

【０００７】ＤＭＦ３にはベースバンド信号ａと擬似雑
音系列Ｂが入力し、ベースバンド信号ａの各１ビットと
擬似雑音系列Ｂの１周期のパターン(位相)の相関をと
り、相関値を出力する。遅延器４はこの相関値を入力
し、擬似雑音系列Ｂの１／２チップ分だけ相関値を遅延
して出力する。減算器５は遅延器４出力の相関値とＤＭ
Ｆ３の出力の相関値との差をとり、出力する。

【０００８】最大値検出器６はＤＭＦ３の出力の相関値
を入力し、ベースバンド信号ａの各１ビット(擬似雑音
系列１周期分)毎の相関値の最大値を検出し、最大値タ
イミング信号を出力する。ラッチ７は減算器５の出力
を、最大値検出器６から最大値タイミング信号が入力さ
れたときだけ、進相／遅相信号として出力する。

【０００９】ループフィルタ８は、直接、進相／遅相信
号により再生クロック発生器９を制御すると、再生クロ
ックの変動が大きくなる恐れがあるため、再生クロック
発生器９を制御する進相／遅相信号を滑らかにする。再
生クロック発生器９は滑らかにされた進相／遅相信号を
入力し、送信機のクロックと同期した再生クロックを発
生する。

【００１０】一方、データ再生器10はＤＭＦ３の出力の
相関値を入力し、その相関値が後述する図６に示すよう
に９〜15であれば“Ｈ”、０〜６であれば“Ｌ”出力
し、再生データＲＤを出力する。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図５の
波形図に示すように送信機でノイズ等により、送信デー
タＴＤの１ビットと擬似雑音系列Ａ′の１周期の決まっ
た位相関係(ここでは初期位相と呼ぶ)が(ア)に示すよう
に受信機側の擬似雑音系列Ｂとずれて拡散した場合、上
記した図３に示す従来の受信機の同期捕捉装置では、再
生データＲＤが図５のようにデータ再生ができないとい
う問題点を有していた。

【００１２】図６は図５のように送信機でノイズ等によ
り、送信データ１ビットと擬似雑音系列１周期(ここで
は、簡単に説明するためにチップ長は15チップとする)
の決まった位相関係(初期位相)がずれて拡散した場合、
データ再生が不可能となるときの波形図である。図６に
おいて、Ａは送信機で拡散すべき擬似雑音系列、Ａ′は
ノイズ等により、送信データの位相に対して、擬似雑音
系列Ａから数チップ(ここでは１チップ)ずれた擬似雑音
系列である。送信データＴＤは送信したい音声等のデー
タである。ベースバンド信号ａは、擬似雑音系列Ａ′と
送信データＴＤを掛け合わせた(拡散した)信号であり、
伝送路に誤りがない場合、受信機のベースバンド信号も
送信機からのベースバンド信号ａとなる。Ｂは受信機の
擬似雑音系列発生器２から出力される擬似雑音系列であ
る。再生データＲＤはデータ再生器10により再生され、
正常であれば送信データＴＤと同様になる。図６の例で
は、ＤＭＦ３の出力の相関値が３回だけ正常に最大値
(イ)，(ロ)，(ハ)となった後、(ニ)以降に示すように
Ａ′とＢの初期位相がずれている。この場合、相関値が
小さくなり、最大値タイミング信号のパルスがでなくな
り、データ再生不能となる。

【００１３】本発明は上記課題を解決し、送信機でノイ
ズ等により、初期位相がずれて拡散された場合でも、デ
ータ再生可能な同期捕捉装置を提供することを目的とし
ている。

【００１４】

【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため、従来の同期捕捉装置において、擬似雑音系列
発生器とＤＭＦの間に拡散符号位相制御部(擬似雑音系
列位相制御器)を追加したものである。

【００１５】

【作用】本発明は上記した構成により、送信機でノイズ
等により、初期位相がずれて拡散された場合でも、拡散
符号位相制御部でもって位相が調整され受信機でもって
データ再生ができるものである。

【００１６】

【実施例】図１は本発明の一実施例のスペクトラム拡散
方式の受信機の同期捕捉装置のブロック図を示し、前記
図３と同じ機能ブロックには同じ符号を付し、その説明
を省略する。本実施例において、11は、最大値検出器６
から最大値タイミング信号が出力できない程度に、相関
値が小さくなった場合(送信機でノイズ等により、初期
位相がずれて拡散された場合等)、擬似雑音系列発生器
２から出力される擬似雑音系列Ｂの位相を、初期位相か
ら擬似雑音系列Ｂの１周期毎に前後にシフトさせる拡散
符号位相制御部(以下、擬似雑音系列位相制御器という)
である。

【００１７】図２は図１の動作の説明をする波形図であ
る。図２において、Ａは送信機で拡散すべき擬似雑音系
列、Ａ′はノイズ等により、送信データの位相に対し
て、擬似雑音系列Ａから数チップ(ここでは１チップ)ず
れた擬似雑音系列である。送信データＴＤは送信したい
音声等のデータである。ベースバンド信号ａは、擬似雑
音系列Ａ′と送信データＴＤを掛け合わせた(拡散した)
信号であり、伝送路に誤りがない場合、受信機のベース
バンド信号も送信機からのべースバンド信号ａとなる。
Ｂは受信機の擬似雑音系列発生器２から出力される擬似
雑音系列である。Ｂ′は最大値タイミング信号のパルス
がでてない場合、擬似雑音系列位相制御器11で位相制御
されて出力される。図２の例では、ＤＭＦ３の出力の相
関値が２回(イ)，(ロ)だけ正常に最大値となった後、
(ハ)のようにＡ′とＢは初期位相がずれている。そのた
め相関値が低くなり、最大値タイミング信号のパルスが
でなくなり、データの再生が不能となる(ニ)。

【００１８】そこで、次の擬似雑音系列Ｂの１周期で擬
似雑音系列位相制御器11により擬似雑音系列Ｂの位相を
(ニ)のように１チップだけずらす。しかし、相関値が小
さいため、その次の擬似雑音系列Ｂの１周期で擬似雑音
系列位相制御器11により擬似雑音系列Ｂの位相を前回と
は逆の方向に(ホ)のように１チップだけずらす。する
と、相関値が最大値になったため、最大値タイミング信
号が出力され、擬似雑音系列位相制御器11によりその位
相を保つ。この例の場合、２周期で相関値が最大となっ
たが、実際には相関値が最大となるまで、擬似雑音系列
位相制御器11により擬似雑音系列Ｂの位相を中心として
擬似雑音系列１周期毎に前後にシフトする。

【００１９】以上のように構成された同期捕捉装置につ
いて、以下その動作を説明する。入力端子１にベースバ
ンド信号ａが入力する。擬似雑音系列発生器２は、送信
機でベースバンド信号ａを拡散するために用いられた擬
似雑音系列Ａと同じパターンを持つ擬似雑音系列Ｂを出
力する。擬似雑音系列位相制御器11は、最大値検出器６
から最大値タイミング信号が出力されている場合、擬似
雑音系列発生器２の出力の擬似雑音系列Ｂを入力し、そ
の位相のまま出力する。

【００２０】最大値検出器６から最大値タイミング信号
が出力されない程度に、ＤＭＦ３の出力の相関値が小さ
くなった場合、図２のように擬似雑音系列発生器２から
出力される擬似雑音系列Ｂの位相を、初期位相から擬似
雑音系列の１周期毎に前後に１チップずつシフトさせ
る。そして、最大値検出器６から最大値タイミング信号
が出力されると、上記動作を止め、その位相を保つ。こ
れにより、送信機で初期位相が一旦ずれると、そのまま
の初期位相で拡散し続けるため、初期位置がずれた時点
から送信機の初期位相をリセットするまでデータ再生不
能となることが避けられる。

【００２１】ＤＭＦ３はベースバンド信号ａと擬似雑音
系列位相制御器11の出力の擬似雑音系列Ｂ′が入力し、
ベースバンド信号ａの各１ビットと擬似雑音系列の１周
期のパターン(位相)の相関をとり、相関値を出力する。
遅延器４は相関値を入力し、擬似雑音系列Ｂ′の１／２
チップ分だけ相関値を遅延して出力する。減算器５は遅
延器４の出力の相関値とＤＭＦ３の出力の相関値との差
をとり、出力する。最大値検出器６はＤＭＦ３の出力を
入力し、ベースバンド信号ａの各１ビット(擬似雑音系
列１周期分)毎の相関値の最大値を検出し、最大値タイ
ミング信号を出力する。ラッチ７は減算器５の出力を最
大値タイミング信号が入力されたときだけ、進相／遅相
信号として出力する。ループフィルタ８は、直接進相／
遅相信号により再生クロック発生器９を制御すると、再
生クロックの変動が大きくなる恐れがあるため、再生ク
ロック発生器９を制御する進相／遅相信号を滑らかにす
る。再生クロック発生器９は滑らかにされた進相／遅相
信号を入力し、送信機のクロックと同期した再生クロッ
クを発生する。また、再生クロック発生器９は、最大値
検出器６から最大値タイミング信号が出力されなくなっ
た場合、その直前に出力していた再生クロックを保持す
る。データ再生器10はＤＭＦ３の出力の相関値を入力
し、その相関値が９〜15であれば“Ｈ”，０〜６であれ
ば“Ｌ”出力する。

【００２２】

【発明の効果】以上説明したように本発明の同期捕捉装
置は、送信機でノイズ等により、初期位相がずれて拡散
されても、送信機をリセットせずに瞬時にデータ再生が
可能となる同期捕捉装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に於ける同期捕捉装置の構成
を示すブロック図である。

【図２】図１の動作を説明する波形図である。

【図３】従来の同期捕捉装置の構成を示すブロック図で
ある。

【図４】スペクトラム拡散の原理を説明するための波形
図である。

【図５】擬似雑音系列と送信データ位相関係がずれて拡
散された場合の波形図である。

【図６】図５の動作の詳細を説明する波形図である。

【符号の説明】

１…入力端子、 ２…拡散符号発生部(擬似雑音系列発
生器)、 ３…デジタル・マッチド・フィルタ(ＤＭ
Ｆ)、 ４…遅延器、 ５…減算器、 ６…最大値検出
器、 ７…ラッチ、 ８…ループフィルタ、 ９…再生
クロック発生器、 10…データ再生器、 11…拡散符号
位相制御部(擬似雑音系列位相制御器)。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 送信機でベースバンド信号を拡散するた
   めに用いられた拡散符号と同じ拡散符号を発生する拡散
   符号発生部と、入来するベースバンド信号と拡散符号位
   相制御部出力の拡散符号との相関値を演算出力するデジ
   タル・マッチド・フィルタと、このデジタル・マッチド
   ・フィルタ出力の相関値を拡散符号の１／２チップ分だ
   け遅延させる遅延部と、前記デジタル・マッチド・フィ
   ルタ出力の相関値の最大値を検出し、最大値タイミング
   信号を出力する最大値検出部と、前記遅延部出力とデジ
   タル・マッチド・フィルタ出力の差をとる減算部と、前
   記最大値検出部出力の最大値タイミング信号により前記
   減算部出力を進相／遅相信号として出力するラッチと、
   進相／遅相信号を滑らかにするループフィルタと、該ル
   ープフィルタ出力により滑らかな再生クロックを出力す
   る再生クロック発生部と、相関値により再生データを出
   力するデータ再生部と、前記最大値検出部から最大値タ
   イミング信号が出力されている場合、前記拡散符号発生
   部出力の拡散符号を入力し、その位相のまま出力し、か
   つ最大値検出部から最大値タイミング信号が出力されな
   い場合、拡散符号発生部出力の拡散符号の位相を、拡散
   符号１周期毎にシフトさせる拡散符号位相制御部を備え
   たことを特徴とする同期捕捉装置。