JPH0697556B2 - 磁気バブルメモリ - Google Patents

磁気バブルメモリ

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JPH0697556B2
JPH0697556B2 JP10370785A JP10370785A JPH0697556B2 JP H0697556 B2 JPH0697556 B2 JP H0697556B2 JP 10370785 A JP10370785 A JP 10370785A JP 10370785 A JP10370785 A JP 10370785A JP H0697556 B2 JPH0697556 B2 JP H0697556B2
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辰雄 濱本
豊 秋庭
和夫 廣田
伸夫 木城
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【発明の詳細な説明】 〔発明の利用分野〕 本発明は磁気バブルメモリ、特に薄形化,小型化,低消
費電力化に好適な磁気バブルメモリに関する。
〔発明の背景〕
ここ数年実用化されている磁気バブルメモリデバイス
は、磁気バブルメモリチップをマウントしたE字状のセ
ラミックや合成樹脂等の配線基板に、互いに非対称構造
を有する矩形状ソレノイドコイルからなる回転磁界発生
用Xコイル,Yコイルをそれぞれ挿入し直交配置して組み
立てた構造となっている。Xコイル及びYコイルは磁気
バブルメモリチップだけでなく、チップよりもはるかに
大きい配線基板を巻く構造であるため、各コイルの端か
ら端迄長さが長くなり、駆動電圧,消費電力が大きくな
ってしまう。また、Xコイル,Yコイルは磁気バブルメモ
リ素子に均一かつ安定した面内回転磁界を付与するため
に均一なインダクタバランスが要求されることから、そ
のコイル形状が互いに異なる非対称構造となりかつ大型
化構造とならざるを得なかった。さらにはこれらのXコ
イル,Yコイルの外面には磁気バブルメモリ素子に垂直方
向のバイアス磁界を付与する一対の永久磁石板およびそ
の整磁板が配置されてそれらの周辺部分が樹脂モールド
により被覆されている構造であるため、垂直方向の積層
厚が増大し、磁気バブルメモリデバイスの薄形化,小型
化への要請に対して障害となっていた。
本件出願人が知る本発明に最も近い先行技術としては昭
和54年特許出願公開第55129号公報が挙げられる。この
公報には、チップを囲む額縁型コアとそれらを完全に囲
む導電性磁界反射箱の構造が記載されている。しかしな
がら、それ以上の具体的な構造は何ら示されておらず、
例えば導体ケースで完全にとり囲んでいるチップへの電
気的結線を導体ケースの外側からそれに短絡させること
なく行うことは理論的に不可能であり、永久磁石、整磁
板、バイアスコイル等の取付方法が不明であることも含
め、その記載をきっかけに実用化しようと思い立つには
見るからに不十分である。すなわち、本発明の実施例が
結果として額縁型コアを使用した点で上記公報の記載と
たまたま一致したに過ぎない。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、薄形化を可能とした磁気バブルメモリ
を提供することにある。
本発明の他の目的は、全体の体積を小さくして小型化を
可能とした磁気バブルメモリを提供することにある。
本発明の他の目的は、消費電力を低減させた磁気バブル
メモリを提供することにある。
本発明の他の目的は、回転磁界発生用コイルのインダク
タンスを小さくしてVI積を小さくさせた磁気バブルメモ
リを提供することにある。
本発明の他の目的は、構成部品の組立の自動化を可能又
は容易にした磁気バブルメモリを提供することにある。
本発明の他の目的は、大容量化等に入出力等の接続端子
数を増大させることができる磁気バブルメモリを提供す
ることにある。
本発明の他の目的は、磁気バブルメモリ素子のバイアス
磁界方向に対する傾斜角度を容易かつ高精度で認定可能
とした磁気バブルメモリを提供することにある。
本発明の他の目的はカセットの小型化が可能な磁気バブ
ルメモリを提供することである。
本発明の他の目的は磁気バブルメモリデバイスの周辺回
路を安いコストで製造できる磁気バブルメモリを提供す
ることである。
本発明の更に他の目的は動作周囲温度を拡大させた磁気
バブルメモリを提供することである。
〔発明の概要〕
本発明は、フレキシブル配線基板(FPC)の外部接続端
子と端子板(PGA)の接続端子とを接合し、高透磁性ケ
ース(SHI)の端子板接続端子引出し側に放熱体(RAD)
を密着配置することにより、磁気バブルメモリの放熱効
果向上と小型化を達成したものである。本発明によれば
下記の磁気バブルメモリが提供される。
向い合う巻線の組が互いに平行となるようにコイルを施
した額縁形コアで形成される空間部に、フレキシブル基
板に搭載し磁気バブルメモリ素子を配設し、前記コイ
ル、コアおよび磁気バブルメモリ素子の全体を良導電性
材ケース内に挟持させ、かつ前記良導電性材ケースの外
面に一対の磁石体を組み合わせて高透磁性材ケース内に
挟持させるとともに、前記フレキシブル配線基板の外部
接続端子と端子板の接続端子とを接合し、前記高透磁性
材ケースの端子板接続端子引き出し側に放熱体を密着配
置した磁気バブルメモリ。
〔発明の実施例〕
本発明の対象とする磁気バブルメモリの構造について説
明する。
(全体構造の概要 第1,2図) 第1図および第2図A,Bは本出願人による先の出願であ
る特願昭60−66456号(特開昭61−227286号)で開示さ
れているところの、本発明が対象とする磁気バブルメモ
リの全体構造を説明するための図であり、第1図は一部
破断斜視図、第2図Aはその底面図、第2図Bは第2図
Aの2B−2B断面図である。これらの図において、CHIは
磁気バブルメモリチップ(以下チップと称する)であ
り、これらの図ではチップCHIは省略して1個のみ表示
しているが本例では2個並べて配置しているものとす
る。(1つの大容量チップよりも、合計記憶容量をそれ
に合せた複数分割チップ構成の方がチップ歩留が良
い)。FPCは2個のチップCHIを搭載しかつ4隅にチップ
CHIと外部接続端子との結線用線群延長部を有するフレ
キシブル配線基板(以下基板と称する)である。COIは
2個のチップCHIをほぼ同一平面上でとり囲み対向辺が
互いに平行となるように配置された駆動コイル(以下コ
イルと称する)、CORは四角形コイル集合体COIの中空部
分を貫通するように設けられた固定配置された軟磁性材
からなる額縁形コア(以下コアと称する)であり、この
コアCORを各コイルCOIとでチップCHIに面内回転磁界を
付与する磁気回路PFCを構成している。RFSは基板FPCの
中央四角形部分と、2個のチップCHIおよび磁気回路PFC
の全体を収納する回転磁界閉じ込めケース(以下ケース
と称する)である。ケースRFSは2枚の独立した板を加
工して形成され、ケースの側面部で上下の板は電気的に
接続されている。チップCHIが配置された部分よりやや
広めの範囲で中央部分の隙間が狭くなるよう周辺部分に
絞り部が形成されている。この絞り部は磁石体の位置決
めにも利用できる。ケースRFSは磁気磁界閉じ込めと軟
弱な基板FPCを機械的に支持する一石二鳥の効果,働き
を持っている。
ケースRFSとチップCHIとの間には、特にチップCHIの側
面部に隙間SIRがあるが、チップCHIの平面部も含めてこ
の隙間部分SIRにはシリコーン樹脂がコーティング又は
充填され、チップ主表面に組立中に異物が付着したり、
組立後に水分がチップ主表面又は側面部に侵入すること
が少なくなるよう、パッシベーション効果が意図されて
いる。もし、ケースRFSの外側で完全な気密封止ができ
る場合、樹脂SIRの充填は省略しても良い。INMなケース
RFSの外側に配置された磁性材からなる一対の傾斜板で
あり、第2図で上側の傾斜板INMは左に寄るに従ってま
た下側の傾斜板INMは右に寄るに従って板厚が厚くなっ
ており、双方はケースRFS側に傾斜面が形成されてい
る。傾斜板INMの材料としては、透磁率μが高く保持力H
cの小さいソフト・フェライトやパーマロイ等を使用す
れば良く、本例では傾斜面の加工が容易なソフト・フェ
ライトを選んだ。MAGは一対の傾斜板INMの内側でそれと
重ねて配置された一対の永久磁石板(以下磁石板と称す
る)である。HOMは前記各磁石板MAGの内側でそれと重ね
て配置されたソフトフェライトのような磁性材からなる
一対の整磁板である。磁石板MAGは全面にわたって均一
の板厚を有して形成されている。INNは一対の整磁板HOM
の内側対向面にそれと重ねて配置された銅のように熱伝
導性が良く非磁性体の材料からなる一対の傾斜板であ
る。これらの傾斜板INNは傾斜板INMとほぼ同等の傾斜角
でかつ逆方向の傾斜面を有して形成されている。傾斜板
INM、磁石板MAG、整磁板HOM及び傾斜板INNは、それぞれ
積み重ねて配置し一体化してバイアス磁界発生用磁石体
BIM(以下磁石体と称する)を構成したときに積層板磁
石体全体の厚さがほぼ全面にわたって均一となるように
形成されている。一対の磁石体BIMはケースRFSの絞り部
によって囲まれた中央の平な部分に接着されている。BI
Cは磁石体BIMの周縁部とケースRFSとの間の溝状隙間部
分に配置されたバイアス磁界発生用コイル(以下バイア
スコイルと称する)である。バイアスコイルBICは磁石
板MAGの磁力をチップCHIの特性に合せて調整したり、不
要バブル発生不良の有無をテストする際、チップCHIの
バブルをオールクリア(全消去)する場合に駆動され
る。SHIは前記チップCHIを搭載した基板FPCおよび磁気
回路PFCを収納したケースRFSと、その外側で、一対の磁
石体BIMa,BIMbおよびバイアスコイルBICを収納する磁性
材からなる外部磁気シールドケース(以下シールドケー
スと称する)である。シールドケースSHIの材料として
は、透磁率μが高く、飽和磁束密度Bsが大きく、Hcの小
さい磁性体が好ましく、パーマロイやフェライトがその
ような特性を持っているが、本例では折り曲げ加工に適
し、機械的な外力に対して強いパーマロイの鉄・ニッケ
ル合金が選択された。PKGは前記シールドケースSHIの外
周面に接着あるいははめ込みにより取り付けられた熱伝
導率が高く、加工のし易いAlのような材質からなるパッ
ケージングケースである。CNPは前記基板FPCの4隅から
延長して設けられ、シールドケースSHIの背面に折り返
された外部接続端子に接触するように配置されたコンタ
クトパッドである。TEFは各コンタクトパッドCNPを開口
部の段差部で支持固定する絶縁性部材からなる端子固定
板である。
(全体構造の特長 第1,2図) 第1図及び第2図に示した磁気バブルメモリデバイス全
体構造の特長点は下記のように列挙される。しかし、本
例による特長点はこれらに限定されるものではなく、他
の特長点は第3図以降の説明からも明らかとなるであろ
うが、ここでは各構成部品間の関連性を中心として特長
点を述べる。
(1)回転磁界発生コイルPFCを額縁型にして、バブル
メモリチップCHIをその額内にほぼ同一平面上で配置し
ているので、バブルデバイス全体の厚さを薄くできる。
現今の主流技術では、チップ上下面をX及びYコイルで
ぐるぐる巻いているため、デバイス全体の厚さはチップ
厚、Xコイル厚及びYコイル厚の和の関数となるからで
ある。
(2)Xコイル及びYコイルがほぼ同一平面に配置され
ているので、従来のXコイルに重ねてYコイルを巻いた
構造に比べ下記の効果がある。
コイルの総巻線長が長くならない。従ってインダクタ
ンスLを小さくでき、低電圧駆動や低消費電力化を可能
とした。
Xコイル及びYコイルとチップCHIとの距離を等しく
することができ、磁界分布をバランスのとれたものとす
ることができる。
(3)回転磁界発生コイルPFCを導体ケースRFSで囲んで
いるので磁束の漏れが少なくチップCHIに対する駆動効
率を高められる。
(4)導体ケースRFSは、回転磁界Hr発生コイルPFCから
発生された交流磁界が透磁率μの大きい磁石体BIMに漏
れるのを防ぎ、他方磁石体BIMからチップCHIへ加えられ
るべきバイアス磁界Hbの直流磁界に対しては実質的にそ
の通過を妨げないという選択性がある。
(5)導体ケースRFSとしては、従来配線基板として使
用されていたエポキシガラス等に比べ硬い銅のような材
質を使用しているため、チップCHIを機械的に強固に支
持できる。従って、特に製造歩留を上げるため等に複数
チップ実装構成とした場合は、チップ間の傾斜角度バラ
ツキが磁気特性に大きな影響を与えるが、本例によれば
チップ間の傾斜角度のバラツキを小さく押えられる。
(6)配線基板としてフレキシブルフィルム基板FPCを
使用しているため下記の効果が得られる。
基板厚を小さくできる。
リードボンディング方式を採用できるので従来のワイ
ヤホンディング方式に比べボンディング部分が占める厚
さを小さくできる。
上記,の効果は、磁気回路のギャップ(透磁率μ
の小さい部分)を小さくでき小さい厚さ,又は小さい平
面積のバイアス磁石MAGを使用することができ、デバイ
ス全体の薄型化又は平面積の縮小化につながる。
チップCHIからの配線の折り曲げ等が自由自在であ
る。従って、端子部分の180゜の裏返し等が可能であ
り、デバイス全体の平面積を制限することができる。
回転磁界閉じ込めケースRFSの配線取り出し用開口幅
を小さくできる。従って、回転磁界の漏れを最小限に留
めることができる。
(7)配線基板FPCの外部導出配線を四角形の角部に集
約させているので、回転磁界閉じ込めケースRFSの開口
を最も影響の小さい角部に設けることができる。
(8)傾斜板INNの機能を磁石或は整磁機能と兼用させ
ていないので下記の効果がある。
傾斜角を形成するために、加工性の良い銅等の材料を
使用できる。
熱導率の良い銅等の材料を使用でき、回転磁界発生コ
イルCOIで発生した熱を効率良く発散できる。
非磁性体の材料を使用することによって、整磁板HOM
を通る磁界を乱さないようにすることができる。
(9)傾斜板INNは磁気的ギャップを小さくするために
できるだけ薄い方が好ましく、その幅を磁石MAGや整磁
板HOMに比べて、傾斜角形成に必要十分なところに制限
することによって、薄い厚さでの傾斜角形成を容易とし
ている。
(10)磁石MAGとシールドケースSHI間には、透磁率μの
大きいソフトフェライトのような板INMが挿入されてい
るので、その間の磁気的ギャップを埋めることができ
る。また、板INMは放熱にも寄与する。板INMとしては磁
石MAGよりも保持力Hcの小さい材料を選んでいるので、
永久磁石の実効的な厚さを均一なままにしておくことが
できる。
(11)シールドケースSHIは透磁率μの大きいパーマロ
イ等の磁性材料で構成しているため、磁石MAGを磁界源
とする磁気回路の磁気抵抗を小さくできるので、磁石MA
Gの厚さや平面積を小さくできる。
(12)シールドケースSHIは飽和磁束密度Bsの大きいパ
ーマロイ等の磁性材料で構成しているため、外来の磁界
ノイズをバイパスし、チップCHIに伝えない働きがあ
る。
(13)上記(11),(12)はそれぞれ、シールドケース
SHIの厚さを薄くすることにつながる。
(14)シールドケースSHIはパーマロイのような鉄−ニ
ッケル合金を使用しているため、折り曲げ加工に適し、
又機械的な外力に対してその中に組み込まれた部品を保
護する働きがある。
(15)回転磁界発生コイルPFCとバイアスコイルBICを共
にコア型にしているので、パッケージングケースSHIはP
KG内での収納効率又は実装密度を高めることができる。
(16)コア−CORと整磁板HOMとの間にはケースRFSを挿
入しているため、その間隔はコイルCOIの厚さの他に回
転磁界閉じ込めケースRFSの厚さ及び折り曲げ角度で微
調整できる。この距離は短ければ短い程全体の平面的な
大きさを小さくすることができ、コイル長の低減による
低消費電力化につながる。しかしながら、その距離が短
か過ぎると磁石MAGからの直流バイアス磁界Hbが透磁率
の高いコア−CORに漏れてしまい、チップ周辺部分にお
けるバイアス磁界の一様性が悪くなる。従って、この距
離は上記特性上非常にシビアであり、本構造によるとそ
の調整が精密にできる。
(17)回転磁界閉じ込めケースRFSの周辺に絞り部を設
けているため、磁石体BIMの位置合せが容易である。
(18)傾斜板INNは同じ製造条件で作った2枚のもの
を、チップの上下面で平面的に180゜の回転角度差があ
るように配置することによって、チップをはさんで上下
面に配置された1対の整磁板HOMや1対の磁石MAGをほぼ
平行に合せることができる。
(19)回転磁界閉じ込めケースRFSの側壁部にバイアス
コイルBICをもうけているので、素子CHIがケースRFS内
に収納された状態で不要磁気バブル発生不良の有無をテ
ストすることができ、また、素子CHIのバブルをオール
クリアすることができる。さらにはバイアスコイルBIC
の使用後にそれをとりはずしすることもできる。この場
合、バブルメモリの部分点数が減り製造コストを安くす
ることができる。
(組立の概要 第3図) 第3図は前述した磁気バブルメモリデバイスを構成する
各構成部材の積重ね組み立て手順を説明するための組み
立て斜視図であり、前述と同一符号は同一部材を示して
いる。同図において、まず、4隅に突出して入出力配線
の接続部を有しかつ中央部に素子搭載部を有する基板FP
C上に2個の素子CHIを搭載した基板組立体BNDを、底面
に絶縁性シートを接着配置した外側ケースRFSa内に配置
し、さらにこの基板FPC上に磁気回路PFCを組み込んだ
後、シリコーン樹脂SIR(図示せず)を充填しその上部
に内側ケースRFSbを外側ケースRFSaに対して組み込み、
外側ケースRFSaと内側ケースRFSbとの側面接触部分を半
田付等により電気的に接続する。次にこれらの外側ケー
スRFSaおよび内側ケースRFSbの外面に設けられている凹
状の絞り部に上側磁石体BIMaおよび下側磁石体BIMbを配
置した後、この上側磁石体BIMaの外縁部と内側ケースRF
Sbの内側とで形成される図示しない隙間に整列巻きされ
たバイアスコイルBICを配置し、これらを外側ケースSHI
a内に収納し、更に内側ケースSHIbを組み込み、外側ケ
ースSHIaと内側ケースSHIbとの側面接触部分を溶接等に
より磁気的に接続する。次に内側ケースSHIbの4隅から
突出している前記基板FPCの外部接続端子接続部をこの
内側ケースSHIbの背面に第4図Bに示すように折り返
し、一定形状を有するように組み合わせて配置し、これ
らの接続部にそれぞれ設けられている半田等で被覆され
た各外部接続端子に、図示しないコンタクトパッドCNP
を各開口部に搭載した端子固定板TEFを接触配置して熱
圧着等により各外部接続端子とコンタクトパッドCNPを
半田付等により電気的に接続させる。次にこれらの組み
立て体にパッケージングケースPKG内に収納し、端子固
定板TEFとパッケージングケースPKGの接触部においてハ
ーメチックシール等の封止を行って組み立てられる。
次に前述した各構成部品の構造について説明する。
(フレキシブル配線基板 第4図) 第4図は基板FPCを示す図であり、同図Aはその平面
図、同図Bは4隅から突出している外部接続端子の接続
部を折り返し組み合わせて配置した平面図、同図Cは同
図Aの4C−4C拡大断面図、同図Dは同図Aの4D−4D拡大
断面図である。同図において、基板FPCは、中央部に角
形状の素子保護部1と、この4隅に巾の小さい折り曲げ
部2(2a,2b,2c,2d)と、この先端部に角形状の外部接
続端子接続部(以下接続部と称する)3(3a,3b,3c,3
d)とを有し、全体形状がほぼ風車状をなして一体的に
形成されており、また、この素子保護部1の対向辺側に
は後述する2個の素子CHIを搭載しその端子部を接続さ
せる2重枠構造の矩形状開口部4(4a,4b)および位置
決め用の3個の穿孔5(5a,5b,5c)が設けられ、さらに
1個の接続部3cの先端には位置決め用の基板突出部6が
設けられている。
また、この基板FPCは、同図Cに示すように厚さ例えば
約50μm程度のポリイミド樹脂フィルムからなるベース
フィルム7上にエポキシ系の接着剤8を介して銅薄膜9
(以下、配線層として総称する場合は9と表し、その各
部を示すときは9に添字を付加して表す)を形成し、こ
れを所要のパターン形状にエッチングすることにより、
同図Aに示すような配線用リード9a,円形状の外部端子9
b,楕円状のコイルリード接続用端子9c,記号9dおよびイ
ンデックスマーク9e等のパターンが形成され、さらにこ
れらの上面には前記同様な部材からなる接着剤8を介し
て透光ないし半透光性のカバーフィルム10が接着配置さ
れている。そして、この基板FPCの開口部4において
は、図示しない素子CHI搭載側となるベースフィルム7
が高い精度の寸法で開口が形成され、また、その上面側
カバーフィルム10には比較的寸法の大きい開口が形成さ
れ、さらにベースフィルム7とカバーフィルム10との間
には配線用リード9aが露出し、この配線用リード9aの表
面には錫メッキ層11が形成され、開口形状が2層構造で
かつ2重枠構造を有して形成されている。一方、接続部
3においては、同図Dに示すようにカバーフィルム10の
前記円形状外部端子9bおよび図示しない楕円状の外部端
子9cと対応する部位に円形状の開口12が形成され、その
開口12から露出した外部端子9b,9c銅薄膜パターン上に
はめっき或いはディップ等による半田層13が形成されて
いる。そして、これらの接続部3に設けられた各外部端
子9b,9cは各接続部3a,3b,3c,3dおよび折り曲げ部2a,2b,
2c,2d並びに素子保護部1上に連続して形成された各配
線用リード9aに接続され、これらの配線用リード9aは素
子搭載部1に設けられた各開口部4a,4bの開口端の一部
に各接続部3a,3b,3c,3dのブロック毎に集結してその先
端部が各開口部4a,4b内に露出されている。すなわち同
図Aに示すように接続部3aの配線用リード9aは開口部4a
の左上部に、接続部3bの配線用リード9aは開口部4bの左
下部に、接続部3cの配線用リード9aは開口部4aの右上部
に、また接続部3dの配線用リード9aは開口部4bの右下部
にそれぞれ配線されている。そして、この基板FPCは、
後工程で各接続部3a,3b,3c,3dが各折り曲げ部2a,2b,2c,
2dで折り曲げられて同図Bに示すように組み合わされ、
半田層13を形成した各外部端子9b,9cが表面に露出し、
また、配線用リード9a,記号9dおよびインデックスマー
ク9eは表面がカバーフィルム10により被覆されているの
で、これらのパターンはカバーフィルム10を透かして容
易に判読できるように構成されている。
このような構成において、基板FPCはポリイミド樹脂フ
ィルムを用い、素子保護部1の4隅に各折り曲げ部2a,2
b,2c,2dを介して各接続部3a,3b,3c,3dを設けた風車状に
構成し、これらの各接続部3a,3b,3c,3dを折り返し組み
合わせて外部端子部を構成したことにより、素子保護部
1と接続部とが2層配線構造となるので、接続部3の面
積を小さくすることなく、素子保護部1の面積を大きく
させ、併せて外部端子部の多端子化が可能となり、全体
形状を小形化することができる。
また、このような構成において、各外部端子9bから素子
保護部1の各開口部4a,4bまでの配線リード9aを大幅に
短縮できるので、外部雑音等による影響を大幅に減らす
ことができる。すなわちS/N比の高い信号を入出力させ
ることができる。さらに接続部3cの一端に基板突出部6
を設けるとともに、この突出部6にインデックスマーク
9eを設けたことにより、折り返し組み立てた際の基板中
央部の表示用,ケースRFSおよびSHI(第2図参照)に組
み込む際の位置合せ用,配線リード9aの種類の区別用あ
るいは製品型式の表示用等の判別に利用してその判別が
容易となるので、組み立ておよび基板管理等を合理化す
ることができる。また、基板FPCの素子保護部1の両端
側に穿孔5a,5b,5cを設けたことにより、基板FPCの左右
の区別、素子CHIの位置決め等が容易となり、同様に組
み立て性を合理化することができる。
(基板組立体 第5,6,7図) 第5図は前述した基板FPCに素子CHIを搭載した平面図を
示したものである。同図において、基板FPCの素子搭載
部1には2個の素子CHIが開口部4a,4b間に並列配置して
搭載され基板組立体BNDが構成されており、この素子CHI
の1個は、第6図に拡大平面図で示すように1Mbチップ
の2ブロックが一体化して構成され、2個の素子CHIで
は4ブロック、合計で4Mbチップを構成している。な
お、第6図に示した素子CHIの1ブロックにおいて、太
線は導体パターン,細線はシェブロンパターン転送路を
それぞれ示している。また、第5図に示した素子CHI
は、第7図A,第7図Bにそれぞれ拡大断面図で示すよう
に素子CHIの端部に金メッキして設けられた各ボンディ
ングパッド14と、基板FPC開口部4の錫メッキ層11が形
成された配線用リード9aとの間に金バンプ15を介在させ
て熱圧着法にによるAu−Sn共晶によりリードボンディン
グされて搭載されている。
このような構成によれば、基板FPCの開口部4a,4bの配線
用リード9aと素子CHIのボンディングパッド14とがAu−S
n共晶によるリードボンディングにより接続されて素子C
HIが支持固定できるので、接続強度を大幅に向上できる
とともに、薄形化が可能となる。また、素子CHIの表面
が基板FPCの素子搭載部1により被覆されるので、素子C
HIの表面が保護され、ハンドリング性を向上させること
ができるとともに、基板FPCの機械的強度を保持するこ
とができる。また、このような構成によれば、各素子CH
Iが2ブロックからなり、2個の素子CHIは4ブロックで
構成されているので、各ブロックをそれぞれ最も近接す
る各接続部3a,3b,3c,3dへ分配して配線でき、素子CHI配
置の対称性が得られ、試験,検査等が極めて容易とな
る。さらに基板FPCに4個の接続部3a,3b,3c,3dを設けて
いるので、各素子CHIの磁気バブル検出器DETおよびマッ
プループ等の配線を他の機能配線と区別して1個所の接
続部に集結させ、この接続部を雑音発生源から遠ざける
部位に選定して配置することにより、雑音の極めて少な
い入出力信号を授受することができる。
(駆動磁気回路 第8,9図) 第8図は磁気回路PFCを示す図であり、同図Aは斜視
図、同図Bはその駆動磁気回路を示す平面図である。同
図において、磁気回路PFCは、軟磁性材料からなる額縁
形のコアCORの互いに平行な対向する辺上に、矢印方向
に巻線を施して4組のコイル20a,20b,20c,20dからなる
コイルCOIが巻設され、互いに対向する辺上のコイル20a
と20bとを接続点21bを介して直列巻きさせてXコイル22
aを、コイル20cと20dとを接続点21aを介して直列巻きさ
せてYコイル22bをそれぞれ構成している。そして、X
コイル22aおよびYコイル22bに位相の90度異なる電流Ix
およびIy(例えば三角波電流)を供給することにより、
同図Bに示すようにx軸方向に漏洩磁界Hxが、y軸方向
には漏洩磁界Hyが発生し、前述した2個の素子CHIに回
転磁界として供給される。
また、このように構成される磁気回路PFCは、第9図に
斜視図で示すように1本の軟磁性材料からなる直方体状
の磁気コア23に巻線を複数ブロック毎にタップ24を設
け、直列巻きして一対のコイル、例えばコイル20a,20b
からなる一対のXコイル22aを形成した後、各コイル20a
と20bとの間に一定の巾を有する幅の広い溝25とさらに
幅の小さい溝26とを切削加工して設け、しかる後、この
幅の小さい溝26部分から切断して両者に分割された幅の
広い溝25を互いに直交する方向に組み合わせて接着し、
第8図に示すように額縁形に構成する。また、逆に前述
した幅の広い溝25および幅の小さい溝26を予め形成した
直方体コア23にコイル20a,20bをタップ24を介して巻設
し、一対のXコイル22aを形成してもよい。また、前述
した一対のYコイル22bについても全く同様に形成され
る。
このような構成において、直方体状磁気コア23にコイル
20a,20bを直列方向にタップ24を設けて巻設しているの
で、第8図に示すように組み立て構成した場合、互いに
交差させて結線(接続点)する必要がなくなり、巻線の
引き廻しを簡素化することができる。
このような構成によれば、Xコイル22aとYコイル22bと
が対称構造となるので、粗カップリングとなり、インダ
クタンスバランスが向上し、漏洩磁界に対する磁性体間
の磁気的干渉を防止することができる。また、この磁気
回路PFCは素子CHIの上,下面に配置されない額縁形構造
となるので、積層方向の厚さが小さくなり、薄形化が可
能となる。
(回転磁界閉込めケース 第10,11,12図) 第10図は内側ケースRFSbを示す図であり、同図Aは平面
図、同図Bはその10B−10B断面図である。同図におい
て、内側ケースRFSbは、その中央部分が凹状となる枠形
状の絞り部30と、その対向端辺が上方向にほぼ90度折り
曲げられた折り曲げ部31と、その各4隅が斜め方向に切
断された切り欠き部32とをそれぞれ有して構成されてお
り、このケースRFSbは良導電性材料、例えば無酸素銅板
をプレス加工して形成されている。この場合、絞り部30
および折り曲げ部31はこの内側ケースRFSbのねじれ方向
の機械的強度を向上させるとともに、互いに対向する折
り曲げ部31相互間の縦横方向の外径寸法Lを適宜制限す
ることができる。また、絞り部30は、このケースRFSbの
外面側に配設される磁石体BIMbと、内面側に配置される
素子CHIとの間の距離を適宜調整することができる。な
お、4隅に設けた切り欠き部32は、このケースRFSb内に
配設される基板FPCの各折り曲げ部2a,2b,2c,2dの引出し
部分を形成している。
このような構成によれば、内側ケースRFSbは、プレス加
工法により形成できるので、高精度寸法でかつ低コスト
で製作することができる。
なお、内側ケースRFSbは、無酸素銅を用いたが、この他
に銅,銀,金板あるいはこれらの合金板にメッキを施し
た板材を用いても良い。
第11図は前述した内側ケースRFSbに対応する外側ケース
RFSaを示す図であり、同図Aは平面図、同図Bはその11
B−11B断面図である。同図において、この外側ケースRF
Saは、前述した内側ケースRFSbと同等の材料および製作
法により形成され、その構造は前述とほぼ同様にその中
央部が凹状となる枠形状の絞り部33と、その対向端辺が
上方向にほぼ90度に折り曲げられた折り曲げ部34と、そ
の各4隅が斜め方向に切断された切り欠き部35とを有し
て構成されている。この場合、互いに対向する折り曲げ
部34は、その相互間の内側寸法が、前述した内側ケース
RFSbの折り曲げ部31相互間の外側寸法L1、L2とほぼ同等
値を有しかつ高さH1を大きくして形成されている。な
お、この絞り部33および切り欠き部35は前述した内側ケ
ースRFSbとほぼ同等の寸法を有して形成されている。
このように構成された外側ケースRFSaおよび内側ケース
RFSbは、第12図Aにその平面図,第12図Bに12B−12B断
面図でそれぞれ示すように外側ケースRFSa内に内側ケー
スRFSbを挿入し、外側ケースRFSaの折り曲げ部31の外面
とを互いに接触させて接続することにより、一体化させ
ケースRFSが組み立てられる。
(ケース組立体 第13図) 第13図は前述したケースRFS内に基板組立体BNDを収納配
置した断面図を示したものである。同図において、外側
ケースRFSaの底面には、電気的絶縁性シートとして、例
えば厚さ約0.1mm程度のポリイミドフィルム36が接着配
置され、このフィルム36上には基板組立体BNDが、ま
た、その周縁部には磁気回路FPCがそれぞれ配置され、
さらに基板組立体BNDの上面にエポキシ系の接着剤37を
塗布した後、これらの上方部には内側ケースRFSbが挿入
されて接合配置されている。この場合、この外側ケース
RFSaの折り曲げ部34の内面と内側ケースRFSbの折り曲げ
部31の外面とが×印で示す部分でメタルフローあるいは
半田付等により電気的,機械的に接合されている。ま
た、この外側ケースRFSaと内側ケースRFSbとの間と隙間
部分にはシリコーン樹脂SIRが充填され基板組立体BNDお
よび磁気回路PFCが固定配置されている。なお、この場
合、これらの外側ケースRFSaおよび内側ケースRFSbの4
隅に設けられた図示しない各切り欠き部32,35には基板F
PCの折り曲げ部2(2a,2b,2c,2d)が外部へ引出されて
いる。38はコイルCOI同志の接続またはコイルCOIと基板
FPC上に設けられた外部端子9cを接続するためのリード
線である。
このような構成において、磁気回路FPCの駆動により漏
洩磁界が発生すると、ケースRFSには閉ループを形成す
るように誘起電流が流れ、この誘起電流によって回転磁
界がケースRFS内に封じ込められ、したがって素子CHIに
は均一な回転磁界を付与される。
このような構成によれば、外側ケースRFSaおよび内側ケ
ースRFSbとの間に中央部分の凹状部内に基板FPCに搭載
された素子CHIを、周縁部分の凸状部内に磁気回路PFCを
それぞれ挟持させて配置したのでパッケージング効果が
向上できるとともに、組立性が大幅に向上できる。ま
た、外側ケースRFSaおよび内側ケースRFSbで覆われる体
積が減少することにより、VI積(∝体積)が低減でき、
回転磁界を発生させる磁気回路PFCの小形化が可能とな
る。さらに外側ケースRFSaおよび内側ケースRFSbに絞り
部30,33で形成される凹状部を設け対向する凹状部間の
ギャップを減少させることにより、回転磁界は素子CHI
の平面に垂直な成分(Z成分)が零に近接して水平な成
分のみとなり、一様性を向上させることができる。
(磁石体 第14図) 第14図は磁石体BIMを示す図であり、同図Aは平面図、
同図Bはその側面図、同図Cはその正面図である。同図
において、磁石体BIMは、対向面の一方が所定の傾斜面
を有する非磁性材、例えば銅からなる傾斜板INNと、こ
の傾斜板INNの傾斜面側に配置する板厚の均一な第1の
整磁板HOM1と、この第1の整磁板HOM1の上面側に配置す
る板厚の均一な磁石板MAGと、この磁石板MAGの上面側に
傾斜面を有する第2の整磁板HOM2とを順次積層し、エポ
キシ系の接着剤により一体化されて形成され、全体の積
層板厚がほぼ全面にわたって均一となるように構成され
ている。そして、この磁石体BIMの上,下面からはほぼ
全面にわたって均一なバイアス磁界発生用の磁界が放出
される。
(バイアスコイル 第15図) 第15図はバイアスコイルBICを示す図であり、同図Aは
斜視図、同図Bはその15B−15B断面図である。同図にお
いて、バイアスコイルBICは、表面に絶縁部材として例
えば熱硬化性樹脂が外面に被覆された巻線40を、断面が
5×4線の配列とし全体形状が額縁状となるように整列
巻きした後、熱溶着で圧着し、冷却させて所定値の額縁
形状に成形して構成されている。この場合、各巻線40の
外面に被覆されている熱硬化樹脂が互いに熱溶着すると
ともに、圧着により各巻線40が目詰りして成形され、冷
却させることにより、各巻線40が結束した状態で硬化さ
れるので、所定形状の額縁形状に形成される。
(ケース組立体への磁石体及びバイアスコイルの実装
第16図) 第16図は前記第13図で説明したケースRFS組立体に前述
した磁石体BIMおよびバイアスコイルBICを組み込んだ断
面図を示したものである。同図において、内部に基板組
立体BNDおよび磁気回路PFCを収納したケースRFS組立体
N上,下面にはそれぞれ上部磁石体BIMa下部磁石体BIMb
が接着配置され、さらにこの上部磁石体BIMaの周縁部
と、内側ケースRFSbの折り曲げ部31とで囲まれて形成さ
れる額縁状溝部にはバイアスコイルBICが収納配置され
ている。この場合、上部磁石体BIMaと下部磁石体BIMbと
は全く同一の材料,寸法で構成されており、これらの磁
石体BIMa,BIMbはその傾斜板INN側が、内側ケースRFSbの
絞り部30で囲われた凹状部および外側ケースRFSaの絞り
部33で囲われた凹状部内にそれぞれ密着されて配置され
る。
このような構成において、ケースRFS組立体の中央部両
面側に形成された凹状部内に一対の磁石体BIMa,BIMbが
配置され、さらにその周縁部に形成される額縁状溝部内
にバイアスコイルBICが配設できるので、各構成部品の
積層方向の全体の厚さが小さくなり、小形,薄形化が可
能となる。また、外側ケースRFSaと下部磁石体BIMbの外
縁部分とで額縁状の空間溝が形成されるので、この部分
に前記バイアスコイルBICを配置しても良く、また新た
にバイアスコイルを設けても良く、さらにはコイルボビ
ンとして巻線を施してバイアスコイルを形成することも
できる。
(磁気シールドケース 第17,18,19図) 第17図は外側シールドケースSHIaを示す図であり、同図
Aは平面図、同図Bはその17B−17B断面図である。同図
において、外側シールドケースSHIaは、平坦部51と、こ
の平坦部51の対向端辺に上方向にほぼ90度に折り返した
折り曲げ部52と、この折り曲げ部52の中央部に一部が切
り欠かれた凹部53と、その各4隅が斜め方向に切断され
た切り欠き部54とを有して構成されており、このシール
ドケースSHIaは高透磁率および高飽和磁束密度を有し望
ましくは熱伝導率の大きい材料、例えばパーマロイ板を
プレス加工して形成されている。
第18図は前述した外側シールドケースSHIaに対応する内
側シールドケースSHIbを示す図であり、同図Aは平面
図、同図Bはその18B−18B断面図である。同図におい
て、この内側シールドケースSHIbは、前述した外側シー
ルドケースSHIaと同等の材料および製作法により形成さ
れ、その構造は前述とほぼ同様に平坦部55と、この平坦
部55の対向端辺に上方向にほぼ90度に折り返した折り曲
げ部56と、この折り曲げ部56の中央部に一部が切り欠か
れた凹部57と、その各4隅が斜め方向に切断された切り
欠き部58とを有して構成されている。この場合、互いに
対向する折り曲げ部56はその相互間の外側寸法が、前述
した外側シールドケースSHIaの折り曲げ部52相互間の内
側寸法L3、L4とほぼ同等値を有しかつ高さH2を小さくし
て形成されている。
このように構成された外側シールドケースSHIaおよび内
側シールドケースSHIbは第19図Aにその平面図,第19図
Bにその19B−19B断面図でそれぞれ示すように外側シー
ルドケースSHIa内に内側シールドケースSHIbを挿入し、
外側シールドケースSHIaの凹部53と内側シールドケース
SHIbの凹部57とで形成される凹部59にスポット溶接ある
いは半田溶接を施し、磁気的、機械的に固定することに
より一体化させ外側シールドケースSHIaが組み立てられ
る。 このような構成において、外側シールドケースSH
Iaの折り曲げ部52および内側シールドケースSHIbの折り
曲げ部56を横方向、つまり積層方向と交差する方向に設
定することなく、積層方向に揃えて設定することによ
り、横方向の寸法を小さくさせ、小形でかつ構成部品の
高集積化が可能となる。
(磁気シールドケース組立体 第20図) 第20図は前述したシールドケースSHI組立体内に、前記
第16図で説明した内部に基板組立体BND,磁気回路FPCを
組み込んだケースRFS組立体と、一対の磁石体BIMa,BIM
b、バイアスコイルBICとからなる組立体を組み込んだ断
面図を示したものである。同図において、外側シールド
ケースSHIaの内部には、その底面側から中央部に上部磁
石体BIMa,周縁部にバイアスコイルBIC,ケースRFS組立体
(内部に基板組立体BND,磁気回路PFC等が組み込まれて
いる),下部磁石体BIMbを順次積層配置させた後、内側
シールドケースSHIbを挿入し、前述した外側シールドケ
ースSHIaの凹部53と内側シールドケースSHIbの凹部57と
で形成される凹部59(第19図参照)で溶接固定して封止
される。この場合、このシールドケースSHI内にグリー
ス等を充填させておくことにより、内部の構成部品が実
質的に相互に密着することになり、ケースRFSから発生
する熱がこのシールドケースSHIを介して外部に放出す
ることができる。また、ケースRFSとシールドケースSHI
を圧入方式により側面で接触させる構造にして放熱効果
を向上させることができる。
このような構成において、外側シールドケースSHIaの底
面側にケースRFS組立体を、その折り曲げ部31,34が対向
するように積層配置させることによって外部シールドケ
ースSHIaと内部シールドケースSHIbとの間に積層される
各構成部品が密着配置できるので、小形化,薄形化が可
能となるとともに放熱効果も同時に得られる。
(パッケージングケース 第21図) 第21図はパッケージングケースPKGを示す図であり、同
図Aは平面図、同図Bはその21B−21B断面図である。同
図において、パッケージングケースPKGは、熱伝導の良
好な材料、例えば板厚約0.5mmのアルミニウム板を絞り
加工を施して形成され、図示されないが、その外面には
黒色被膜が設けられている。このパッケージングケース
PKGは、前記外側シールドケースSHIaの形状を改良して
兼用させて使用することができる。
このような構成において、このパッケージングケースPK
Gは、磁気バブルメモリデバイス完成後の外側ケースと
なるとともに放熱体としての機能を有し、さらにその内
側角部は後述するポッティング法による樹脂モールド時
の型としての機能も同時に有している。
(端子固定板及びコンタクトパッド 第22,23図) 第22図は端子固定板TEFを示す図であり、同図Aは平面
図、同図Bはその22B−22B断面図、同図Cはその背面図
である。同図において、端子固定板TEFは、電気的絶縁
性を有する材料、例えばガラスエポキシ系の樹脂板60か
らなり、その外形状は前記パッケージングケースPKGの
開口部に対して挿入出自在となる縦横方向の寸法を有し
て形成されており、またこの樹脂板60の周辺部を除く部
位には多数個の貫通孔61が縦横方向に所定の間隔をもっ
てマトリックス状の配列で穿設され、さらにこれらの貫
通孔群の角部には回転対称とはならない断面が凹状とな
る非貫通孔62が設けられ、この非貫通孔62内には例えば
方向性あるいは特長を位置付ける白色の塗膜などによる
マーク63が付着されている。また、この樹脂板60に穿設
された多数個の貫通孔61には、同図Bに示すようにその
背面側に口径の大きい開口64が同軸的に連通して設けら
れており、これらの開口64の全ては板厚の約60%の深さ
を有しかつ貫通孔61とは途中に段差を有して連通されて
いる。また、この樹脂板60の背面側には同図Cに示すよ
うにその周辺部分に沿って前記開口64の深さとほぼ同等
の深さを有しかつ平面方向の幅が異なりその断面が凹形
状となる溝65が形成され、この溝65内は前述したコイル
COIの巻線,バイアスコイルBICの巻線の通路部および接
続部を構成している。また、この樹脂板60の角部66は凹
形状とはならず、所定の板厚寸法を有し、前述したパッ
ケージングケースPKGの内側面に体して接触面を得てい
る。このように樹脂板60の背面側は板厚の異なる2段構
造を有して形成されている。
第23図はコンタクトパッドCNPを示す図であり、同図A
は平面図、同図Bはその23B−23B断面図である。同図に
おいて、コンタクトパッドCNPは、良導電性材料、例え
ば板厚約0.5mm程度の銅板をプレス加工により打ち抜い
た素片70の表面にニッケルメッキ層71,金メッキ層72を
形成して構成される。
(最終組立 第20,4,2図) このように構成された各構成部品は、まず最初に前述し
たパッケージングケースPKG内に、第20図で説明したシ
ールドケース組立体を挿入する。この状態ではこのパッ
ケージングケースPKGの4隅から前記基板組立体BNDの各
接続部3a,3b,3c,3d(第4図A参照)が各折り曲げ部2a,
2b,2c,2dから約90度で折れ曲がって突出する。次に、こ
のパッケージングケースPKGの4隅にポッティング法に
より樹脂モールドを行なってこのパッケージングケース
PKG内に各個性部品を固定配置させる。引き続きこれら
の各接続部3a,3b,3c,3dを対応する各折り曲げ部2a,2b,2
c,2dでさらに約90度で折り曲げて内側シールドケースSH
Ibの外面に接着剤を介して前記第4図Bに示すように組
み合わせた後、前記端子固定板TEF背面側の各開口64内
にコンタクトパッドCNPを搭載し、あるいは更にコンタ
クトパッドCNPの側面を接着剤により固着してパッケー
ジングケースPKGに挿入し、各接続部3a,3b,3c,3dに接触
配置させる。この場合、各接続部3a,3b,3c,3dに設けら
れている各外部端子9bの配列ピッチと各コンタクトパッ
ドCNPの配列ピッチとが一致しているので、各外部端子9
bとコンタクトパッドCNPとは電気的に接触する。次に配
置した端子固定板TEFの裏側から各貫通孔61に例えば先
端部の細い加熱体を挿入し、コンタクトパッドCNPを熱
圧着する事により、各外部端子9bと対応する各コンタク
トパッドCNPが電気的に接続されるとともに端子固定板T
EFも同時に機械的に固定されて第2図に示した磁気バブ
ルメモリデバイスが完成される。
(磁気バブルメモリ素子 第24,25,26,27,28図) 第24図は前述した磁気バブルメモリ素子CHIのボンディ
ングパッドPAD近辺の断面図を示すものである。同図に
おいて、GGGはgadolinium−gallium−garnet基板であ
り、LPEは液相エピタキシャル成長法によって形成され
たバブル磁性膜であり、その組成の一例は次頁表1に示
した通りである。
IONはハードバブル抑制のためにLPE膜表面に形成された
イオン打込層を示している。SP1は第1のスペーサであ
り、例えば3000Åの厚さのSiO2が気相化学反応により形
成される。CON1及びCON2は2層の導体層を示しており、
後述するバブル発生,複写(分割)及び交換を制御する
機能を持っており、下の第1の導体層CON1がMo,上の第
2の導体層CON2がAu等の材料でそれぞれ形成されてい
る。SP2及びSP3は導体層CONとその上に形成されるパー
マロイ等の転送パターン層Pとを電気的に絶縁するポリ
イミド樹脂等から成る層間絶縁膜(第2,第3のスペー
サ)である。PASは気相化学反応法により形成されたSiO
2膜等からなるパッシベーション膜である。PADは素子CH
Iのボンディングパッドを示しており、Al線等の細いコ
ネクタワイヤがここに熱圧着法や超音波法によりボンデ
ィングされる。このボンディングパッドPADは下の第1
層PAD1がCr,中央の第2層PAD2がAu層,上の第3層PAD3
がAuメッキ層等の材料でそれぞれ形成されており、第2
層PAD2および第3層PAD3をCr,Cu等の材料で形成しても
良い。Pはバブルの転送路やバブルの分割,発生,交換
及び検出部更にはガードレール部に用いられる層を示し
ており、以後の説明では便宜上転送パターン層と表現す
る。
第24図の例ではこの転送パターン層Pは下層P1にFe−Si
を、上層P2にFe−Niをそれぞれ使用しているが、前述し
たように両者の材質を上下入れ替えることも可能であ
る。
以下、前述した複数層から成る転送パターン層を素子CH
Iの各部に適用した例を第25図以降の平面図で説明する
が、これらの平面図では転送パターン層の各層はセルフ
アラインで形成されているため、同じ輪郭線で表されて
いることに注意されたい。第25図はバブル検出器D部分
を示しており、MEMはメイン磁気抵抗素子であり、横方
向に帯状に引き伸ばされたバブルがそこを通過するとき
抵抗値が変ることを利用してバブルの有無を検出する。
MEDはメイン磁気抵抗素子MEMと同様なパターン形状のダ
ミー磁気抵抗素子であり、回転磁界の影響等による雑音
成分を検出するために用いられる。メイン磁気抵抗素子
MEMの上方には2段分しか図示していないがバブルを横
方向に引き伸ばしながら下方に転送していくバブルスト
レッチャーSTが数10段形成されている。なお、PRはバブ
ルの転送方向を示している。ERはバブルの消去器であ
り、導体層CNDにバブルが達したとき、消去される。こ
の検出器Dの周囲及びダミー及びメイン検出の間には、
3列のパターン群から成るガードレールGRが設けられて
おり、ガードレールGRの内部に発生した不要なバブルを
その外側に追い出したり、ガードレールGRの外側で発生
した不要なバブルがその内側に入り込むのを防ぐように
なっている。なお、第25図以下の平面パターン図では導
体層CND以外のパターンは第24図で説明した転送パター
ン層Pを示している。同図において、磁気抵抗素子MEM,
MEDを多層磁性層で形成することにより、信号対雑音比
(S/N比)が向上した。例えば、転送パターンとして各
層間にSiO2膜を介在させた3層パーマロイ層を使用した
場合は、パーマロイ単層用のものに比べ下記表2に示す
ようにS/N比が2倍以上向上させることができる。
また、ガードレールGRの性能も保持力Hcの低減により不
要バブルの排除率が高くなるなど改善される。
第26図は磁気バブル発生器GENを示しており、転送パタ
ーン層Pを多層化することにより、磁気バブルの発生電
流を小さくすることができ、磁気バブル発生器の導体層
CNDの寿命を長くすることが可能となった。従って、導
体層CNDの駆動回路も電流容量値の小さい半導体素子が
使用でき、低価格可が可能となる。
第27図はPa〜Ph等の転送パターンで形成されたマイナル
ープm,Pw1〜Pw3等の転送パターン列で形成された書き込
みメイジャーラインWML及びヘアピン状導体層CNDで形成
されたスワップゲート部を示している。同図において、
P7は第26図のバブル発生器GENにおける転送パターンP7
と同一のものであり、言い換えればバブル発生器GENで
発生されたバブルはP1〜P7の転送路を通って書き込みメ
イジャーラインWMLに転送される。スワップ導体層CNDに
電流を流したとき、マイナループm1の転送パターンPdの
磁気バブルは転送パターンPl,Pmを通ってメイジャーラ
インWMLの転送パターンPw3に転送され、メイジャーライ
ンPw1からの磁気バブルは転送パターンPk,Pj,Piを経て
マイナループの転送パターンPeに転送されてバブルの交
換、すなわち情報の書き換えが行なわれる。なお、右端
のマイナループmdにはスワップゲートが設けられていな
いが、これは、周辺効果を軽減するための磁気バブルを
注入しないダミーのループである。このように交換位置
における転送パターン層Pi〜Pmを多層化することによ
り、小さい電流値で磁気バブルの交換を行なうことがで
きる。
また、第28図に示すように磁気バブルの複写器、即ち分
割器でも同様に小さい電流値駆動が可能となる。同図に
おいて、通常磁気バブルはPn〜Pq,Ps〜Pxの順路で転送
されており、導体層CNDに電流を流したとき、転送パタ
ーンPqの位置でバブルは分割され、分割された1つの磁
気バブルはPy,P8〜P10を経て読出しメイジャーラインRM
Lに転送される。
(ホールディング磁界及び回転磁界 第29図) 磁石板MAGは素子CHIに対して約2度程度傾斜させて配置
される。これは素子CHIに対しバイアス磁界Hbが垂直方
向よりややずれて印加されるようにしたもので、それに
よってバブル転送のスタート、ストップマージンを約6
〔Oe〕向上させるホールディング磁界Hdcを生み出す
(第29図A)。
第29図Aに示したように磁石体BIMと素子CHIとの角度θ
の傾斜により、直流磁界Hzは、xy平面内の成分Hdcを持
つことになる。そして、この面内成分Hdcの大きさは、H
z・sinθとなり、通常Hdc=5〔Oe〕〜6〔Oe〕になる
ように傾斜角度θが選定される。また、この面内成分Hd
cの方向は、回転磁界Hrのスタート・ストップ(St/Sp)
方向(+x軸方向)に一致するように傾斜されている。
そして、このxy面内成分Hdcは、回転磁界Hrのスタート
・ストップ(St/Sp)動作に対して有効な働きをし、ホ
ールディングフィールドと呼ばれている公知の磁界であ
る。なお、素子CHI面に垂直に作用するバイアス磁界Hb
の大きさはHz・cosθとなる。
さて、上述したホールディングフィールドHdcは、素子C
HIのxy面に対して常時作用するため、第29図Bに図解し
たように前記素子CHIに作用する回転磁界Hr′は偏心す
る。同図において、Hrは外部から加えられる回転磁界、
Hr′は、素子CHIに作用する回転磁界である。この場
合、CHIに作用する回転磁界Hr′は外部から加えられる
回転磁界Hrと面内成分Hdcとを合成したものとなり、そ
の回転磁界Hr′の中心O′はスタート・・ストップ(St
/Sp)方向である+x軸方向に面内成分Hdc分だけ平行移
動する。このため、同図の結果から明らかなように、外
部から加えている回転磁界Hrの強さが|Hr|であっても実
効的に阻止CHIに作用する回転磁界の強度|Hr′|は回転
磁界Hrの位相によって異なる。すなわちSt/Sp方向での|
Hr′|は|Hr|+|Hdc|となり、|Hr|に比べてホールディ
ングフィールドHdcの強さ|Hdc|だけ強くなっている。逆
に、St/Sp方向と逆方向の場合の|Hr′|は|Hr|−|Hdc|
となり、|Hr|に比べて|Hdc|だけ弱まっている。
(周辺回路 第30図) 最後に素子CHIの周辺回路を第30図で説明する。RFは素
子CHIのX及びYコイルに90゜位相差の電流を流し回転
磁界Hrを発生するための回路である。SAは素子CHIの磁
気抵抗素子からの微小なバブル検出信号を回転磁界のタ
イミングと合わせてサンブリングし感知、増幅するセン
スアンプである。DRは、MBMデバイスの書き込みに関係
するバブル発生及びスワップ並びに読み出しに関係する
レプリケートの各機能導体に所定のタイミングで電流を
流す駆動回路である。以上の回路は回転磁界Hrのサイク
ル及び位相角に同期して動作するようタイミング発生回
路TGによって同期化されている。
(回転磁界分布特性 第31図) 第31図は前述した磁気回路PFCの回転磁界分布特性を示
したものである。すなわち同図において、横軸に第8図
Bで示した磁気回路PFC内の中心をOとしてX軸方向の
長さを、縦軸にそのX軸方向の回転磁界強度Hx=Oとし
たときのX軸方向の回転磁界強度Hxをそれぞれ示すと、
曲線Iで示すような回転磁界分布特性が得られた。同図
から明らかなように、磁気回路PFCの対向するコアCOR間
の内側までの距離−Xc〜+Xcの範囲までほぼ均一な回転
磁界強度Hxが得られ、また、素子CHIの有効エリア(回
転磁界を付与すべき最小範囲)−Xe〜+Xeの範囲では±
約2%の磁界強度一様性が得られた。なお、破線で示す
曲線IIは従来構成の磁気回路による回転磁界分布特性で
ある。
以上第1図、第2図に示す磁気バブルメモリの前回構造
に関連して細部を説明した。本発明の放熱体についての
実施例を、第32図乃至第37図を用いて説明する。
第32図は本発明の実施例を説明するため基板FPCの平面
図であり、前述の図と同一部分は同一符号を付してあ
る。同図において、基板FPCは、中央部に角形状の素子
保護部1と、その周辺部に枠形状の外部接続端子接続部
(以下接続部と称する)3′(3a′,3b′,3c′,3d′)
とを有し、全体形状がほぼ矩形状をなして一体的に形成
されており、また、この素子保護部1の対向辺側には、
2個の素子CHIを搭載しその端子部を接続させる2重枠
構造の矩形状開口部4(4a,4b)および素子CHI位置決め
用の3個の穿孔5(5a,5b,5c)が設けられ、さらにこの
素子保護部1の周辺部には外側ケースRFSaの折り曲げ部
34および外側シールドケースSHIaの折り曲げ部52を貫通
させる4つの台形状開口部4′(4a′,4b′,4c′,4
d′)が設けられている。一方、接続部3′には周辺部
分に円環状の導体パターン9fを形成しその中央部に円形
状の開口4″を穿設した複数個の外部接続端子(以下接
続端子と称する)9′が所定のピッチで整列配設され、
これらの接続端子9′には素子CHIに接続された配線用
リード9aが接続されて基板組立体BNDが構成されてい
る。
第33図は端子板PGAを示す図であり、同図Aは平面図、
同図Bはその33B−33B断面図、同図Cは同図Aの33C−3
3C断面図である。同図において、端子板PGAは、電気的
絶縁性を有する材料、例えばガラスエポキシ系の樹脂板
60′からなり、中央部には前述したシールドケースSHI
組立体が挿入可能な角形状の開口部60a′を有し、その
外形状は後述するパッケージングケースPKGの開口部が
挿入できる縦横方向の寸法を有して形成されており、ま
た、この樹脂板60′の周辺部には前記基板FPCに設けら
れた外部接続端子9′の配列と同等のピッチを有して複
数本の金属製ピン73が植設されている。
第34図はパッケージングケースPKGを示す図であり、同
図Aは平面図、同図Bはその34B−34B断面図である。パ
ッケージングケースPKGは、熱伝導性の良好な材料、例
えば板厚約0.5mmのアルミニウム板を絞り加工を施し、
本体部81と、内部周辺に空間部を形成する鍔部82と、開
口端周辺部を固定する係止部83とを有して一体的に成形
され、図示しないが、その外面には黒色被覆が形成され
ており、磁気バブルメモリデバイス完成後の外側ケース
および放熱体としての機能を有している。
このような構成された各構成部品は、まず最初に第32図
で説明した基板組立体BNDを第13図に示すような磁気回
路PFCとともに外側ケースRFSaと下側ケースRFSbとの間
に挟持させて接合する。この場合、基板FPCに形成され
た4個の台形状開口部4a′,4b′,4c,4d′に外側ケースR
FSaの各折り曲げ部34が貫通し、ケースRFS組立体の周辺
部に基板FPCの各接続部3′が枠形状に突出されること
になる。次にこのケースRFS組立体を前述した一対の磁
石体BIMおよびバイアスコイルBICとともに外側シールド
ケースSHIaと内側シールドケースSHIbとの間に積層し挟
持させて電気的,機械的に接続する。この場合も基板FP
Cに形成された4個の台形状開口部4a′,4b′,4c′,4d′
に外側シールドケースSHIaの各折り曲げ部52が貫通し、
同様にシールドケースSHI組立体の周辺部には基板FPCの
各接続部3′が枠形状に突出されることになる。引き続
きこのシールドケースSHI組立体を第33図で説明した端
子板PGA上に搭載し、端子板PGA上に突出している各ピン
73の先端部に、基板FPCの接続部3′に設けられている
各接続端子9′の開口4″を挿入して第35図に拡大断面
図で示すように半田90により電気的,機械的に接続して
配置される。この場合、端子板PGAに設けられている開
口部60a′内にはシールドケースSHI組立体が寸法的裕度
をもって挿入されている。次にこのシールドケースSHI
組立体を搭載したパッケージングケースPKG内に挿入す
る(第36図)。この状態ではパッケージングケースPKG
の4隅から前記基板組立体BNDの各接続部3a′,3b′,3
c′,3d′が約90度で折れ曲がり、さらに逆方向に約90度
で折れ曲がってパッケージングケースPKGの鍔部82内に
配置される。次にこのパッケージングケースPKG内にポ
ッティング法により樹脂モールドを行ってこのパッケイ
ージングケースPKG内に各構成部品を固定配置させると
ともにパッケージングケースPKGの係止部83を端子板PGA
の底面周辺部に係止させる。また、端子板PGAの開口部6
0a′に露出しているシールドケースSHI組立体(内側シ
ールドケースSHIb)の表面には、熱伝導性の良好な材
料、例えば、アルミニウム材をプレス成形加工を施して
ブロック状に形成した放熱体RADが熱伝導性の良好なシ
リコン系接着材により密着配置されている。
このようにして構成された磁気バブルメモリデバイス
は、第36図に示すように第30図で説明した駆動回路を実
装し、かつ挿入用の複数の開口100および配線パターン1
01を形成したボードBOD上に実装して端子板PGAのピン73
とボードBODの配線パターン101とを半田90により接続さ
れて完成される。この場合、シールドケースSHI組立体
の裏面上に密着配置された放熱体RADはその裏面側がボ
ードBODの表面に接触して密着配置される。
このような構成によれば、シールドケースSHI組立体の
背面に放熱体RADを密着配置したので、磁気回路PFCから
放出された熱は、シールドケースSHI組立体(内側シー
ルドケースSHIb)を経由して放熱体RADに伝導され、そ
の一部分は4辺方向(点線で示す矢印A方向)へ、また
一部分はボードBODの内部(点線で示す矢印B方向)
へ、さらに、一部分はボードBODを介して外部(点線で
示す矢印C方向)へそれぞれ放熱される。したがって素
子CHIの温度上昇を低減することができる。また、この
ような構成によれば、シールドケースSHI組立体の底面
側に放熱体RADを設けているので、磁気バブルメモリデ
バイスのボードBODへの実装時の位置決め用治具として
の機能も同時に得られ、されにはピン73にストッパを不
要とした端子板PGAが使用可能となるなどの効果が得ら
れる。
第37図は本発明の他の実施例を示したものであり、第36
図と異なる点は、磁気バブルメモリデバイスを搭載する
ボードBODの表裏面にそれぞれ信号回路用配線パターン
とは異なる第1の導体パターン102および第2の導体パ
ターン103を設け、両者をスルーホール104により電気
的,機械的に接続させ、ボードBOD表面上の第1の導体
パターン102に放熱体RADを密着配置することにより、放
熱性をさらに向上させることができる。
〔発明の効果〕
以上説明したように本発明によれば、向い合う巻線の組
が互いに平行となるようにコイルを施した額縁形コアで
形成される空間部に、フレキシブル基板に搭載した磁気
バブルメモリ素子を配設し、前記コイル,コアおよび磁
気バブルメモリ素子の全体を良導電性材ケース内に挟持
させ、かつ前記良導電性ケースの外面に一対の磁石体を
組み合わせて高透磁性材ケース内に挟持させるととも
に、前記フレキシブル基板の外部接続端子と端子板の接
続端子とを接合し、前記高透磁性材ケースの端子板接続
端子引き出し側に放熱体を密着配置したことにより、磁
気バブルメモリデバイスの温度上昇を低減できるので、
全体形状を小形化,薄形化にして動作マージンを低下さ
せることなく、広い温度範囲での動作が可能となるなど
の極めて優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明が適用される磁気バブルメモリデバイス
の全体を示す一部破断斜視図、第2図Aは底面図、第2
図Bは同図Aの2B−2B断面図、第3図は積み重ね構造を
示す分解斜視図、第4図は基板FPCを説明する図、第5
図は基板FPCに素子CHIを搭載した基板組立体BNDを示す
平面図、第6図は素子CHIを示す図、第7図は基板組立
体BNDのリードボンディングを説明する図、第8図は磁
気回路PFCを説明する図、第9図は磁気回路PFCの製作方
法を説明する図、第10図は内側ケースRFSbを示す図、第
11図は外側ケースRFSaを示す図、第12図はケースRFSの
組立図、第13図はケースRFS内に基板組立体BNDおよび磁
気回路FPCを収納した組立体の断面図、第14図は磁石体B
IMの構成を説明する図、第15図はバイアスコイルを説明
する図、第16図はケースRFS組立体に一対の磁石体BIMお
よびバイアスコイルBICを組み込んだ組立体の断面図、
第17図は外側シールドケースSHIaを示す図、第18図は内
側シールドケースSHIbを示す図、第19図はシールドケー
スSHIの組立図、第20図は第16図に示す組立体をシール
ドケースSHI内に組み込んだ組立体の断面図、第21図は
パッケージングケースPKGを示す図、第22図は端子固定
板TEFの構成を説明する図、第23図はコンタクトパッド
の構成を示す図、第24図は素子CHIの断面図、第25図は
素子CHIの磁気バブル検出器Dの構成を示す図、第26図
は素子CHIの磁気バブル発生器GENの構成を示す図、第27
図は素子CHIのスワップゲートSWPの構成を示す図、第28
図は素子CHIのレプリケートゲートREPの構成を示す図、
第29図Aはバイアス磁界Hbとホールディング磁界Hdcの
関係を示す図、同図Bはトータル回転磁界Hr′を示す
図、第30図は磁気バブルメモリボードの全体回路を示す
図、第31図は回転磁界分布特性図、第32図ないし第37図
は本発明の実施例を説明する図である。 CHI……磁気バブルメモリチップ(素子)、FPC……フレ
キシブル配線基板(基板)、BND……基板組立体、COI…
…駆動コイル(コイル)、COR……額縁形コア(コ
ア)、PFC……磁気回路、RFS……回転磁界閉じ込めケー
ス(ケース)、RFSa……外側ケース、RFSb……内側ケー
ス、BIM……バイアス磁界発生用磁石体(磁石体)、BIM
a……上部磁石体、BIMb……下部磁石体、INM……傾斜
板、MAG……永久磁石板(磁石板)、HOM……整磁板、IN
N……非磁性傾斜板、BIC……バイアス磁界発生用コイル
(バイアスコイル)、SHI……外部磁気シールドケース
(シールドケース)、SHIa……外側シールドケース、SH
Ib……内側シールドケース、REG……樹脂モールド剤、P
KG……パッケージングケース、TEF……端子固定板、CNP
……コンタクトパッド、RAD……放熱体、BOD……ボー
ド、1……素子搭載部、2,2a,2b,2c,2d……折り曲げ
部、3,3′,3a,3a′,3b,3b′,3c,3c′,3d,3d′……外部
接続端子接続部、4,4′,4a,4a′,4b,4b′,4c′4d′、…
…開口部、4″……開口、5,5a,5b,5c……穿孔、6……
基板突出部、7……ベースフィルム、8……接着剤、
9′……外部接続端子、9a……配線用リード、9b……外
部端子、9c……接続用端子、9d……記号、9e……インデ
ックスマーク、9f……導体パターン、10……カバーフィ
ルム、11……錫メッキ層、12……開口、13……半田メッ
キ層、14……ボンディングパッド、15……金バンプ、20
a,20b,20c,20d……ヘリツクスコイル、21a,21b……接続
点、22a……Xコイル、22b……Yコイル、23……磁気コ
ア、24……タップ、25……幅の大きい溝、26……幅の小
さい溝、30……絞り部、31……折り曲げ部、32……切欠
き部、33……絞り部、34……折り曲げ部、35……切欠き
部、36……ポリイミドフィルム、37……接着剤、38……
コイル巻線、40……巻線、51……平坦部、52……折り曲
げ部、53……凹部、54……切欠き部、55……平坦部、56
……折り曲げ部、57……凹部、58……切欠き部、59……
凹部、60,60′……樹脂板、60a′……開口部、61……貫
通孔、62……非貫通孔、63……マーク、64……開口、65
……溝、66……角部、70……素片、71……ニッケルメッ
キ層、72……金メッキ層、73……ピン、73a……先端
部、81……本体部、82……鍔部、83……係止部、90……
半田、100……開口、101……配線パターン、102……第
1の導体パターン、103……第2の導体パターン、104…
…スルーホール。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 廣田 和夫 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 木城 伸夫 千葉県茂原市早野3350番地の2 日立デバ イスエンジニアリング株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】向い合う巻線の組が互いに平行となるよう
    にコイルを施した額縁形コアで形成される空間部に、フ
    レキシブル基板に搭載した磁気バブルメモリ素子を配設
    し、前記コイル,コアおよび磁気バブルメモリ素子の全
    体を良導電性材ケース内に挟持させ、かつ前記良導電性
    材ケースの外面に一対の磁石体を組み合わせて高透磁性
    材ケース内に挟持させるとともに、前記フレキシブル基
    板の外部接続端子と端子板の接続端子とを接合し、前記
    高透磁性材ケースの端子板接続端子引き出し側に放熱体
    を密着配置したことを特徴とする磁気バブルメモリ。
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