JPH069716B2 - A▲l▼―Mg系合金連続塗装板の潤滑膜形成方法及び同処理材 - Google Patents

A▲l▼―Mg系合金連続塗装板の潤滑膜形成方法及び同処理材

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JPH069716B2
JPH069716B2 JP6652689A JP6652689A JPH069716B2 JP H069716 B2 JPH069716 B2 JP H069716B2 JP 6652689 A JP6652689 A JP 6652689A JP 6652689 A JP6652689 A JP 6652689A JP H069716 B2 JPH069716 B2 JP H069716B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、ビール及び炭酸飲料用缶蓋、及び果汁、コー
ヒー缶等の非炭酸飲料用缶蓋などのアルミ合金板に係
り、更に詳しくは、この種の用途に適する潤滑性に鈴れ
た連続塗装板の潤滑膜形成技術に関するものである。
(従来の技術) 従来、ビール及び炭酸飲料用、或いは果汁、コーヒー缶
等の非炭酸飲料缶などの各種飲料缶に用いられる缶蓋
(キャンエンド材)は、アルミ合金板を塗布処理した
後、蓋成形時における潤滑剤として、パラフィンワック
ス又は液状のペトロレータムが塗布されている。
これら潤滑剤としては、食品衛生上、使用できる成分、
種類が限られていることから従来、国内では主にパラフ
ィンワックスが用いられており、その塗布方法として
は、連続塗布板の場合、主にスプレー方式や回転ノズル
により飛散させて静電塗布する方法が用いられている。
(発明が解決しようとする課題) しかし、従来の塗布方法は、パラフィンワックスは融点
を超えているものの、塗布される塗布板が室温状態であ
るため、飛散したワックス粒は板に接触すると同時に冷
却され、塗布面積率が少ないという問題があった。
この対策としては、塗布量を多くして塗布面積率を確保
することが考えられるが、塗布量が多くなると、潤滑性
は向上するものの、缶蓋を連続加工する場合、金型に堆
積するワックス量が多くなり、この堆積したワックスが
加工中に缶蓋に付着してしまい実用上問題があった。
また、加工された缶蓋が金型から離れにくい、いわゆる
型離れ不具合を生じ、高速加工される場合、問題が生じ
る。
本発明は、上記従来技術の問題点を解決するためになさ
れたものであって、型離れ性に優れると共に、ワックス
堆積量等の加工性に優れる等、優れた潤滑性を有する連
続塗装アルミ合金板を提供し、またその製造方法を提供
することを目的とするものである。
(課題を解決するための手段) かゝる目的を達成するため、本発明者らは、まず、従来
のパラフィンワックス潤滑膜形成において型離れ性が劣
る原因の究明に努めた。
従来方法で塗布されたパラフィンワックス粒は、塗布さ
れる塗布板が室温状態であり、これに飛散したワックス
粒が板と接触すると同時に冷却されるため、反球状の立
体形状で塗布され、したがって、塗布面積率が低くな
り、缶蓋成形時に、局部的に潤滑不均一な部位が生じ、
この場合、蓋形状の不均一を招く場合がある。また、蓋
成形時は立体的パラフィンワックス粒が圧縮変形され、
成形用金型と加工材料との間に一種の接着現象が生じ、
型離れ性が低下し、連続高速運転では通板性に問題を生
じることが判明した。
そこで、連続塗装板を塗布されたパラフィン潤滑膜が平
面且つ塗布面積率が大きくなる製造技術を見い出すべき
鋭意研究を重ねた結果、ここに本発明をなしたものであ
る。
すなわち、本発明は、連続塗装処理されたAl−Mg系
合金板に潤滑膜を形成するに際し、パラフィンワックス
を10〜70mg/m2塗布した後、60〜150℃に保持
しつつ、60〜120℃の温度で巻取ることを特徴とす
るAl−Mg系合金連続塗装板の潤滑膜形成方法を要旨
とするものである。
また、本発明は、連続塗装処理されたAl−Mg系合金
板において、パラフィンワックス粒の高さと板面からの
最小長さとの比が次式 の関係を満足する潤滑膜を有することを特徴とする潤滑
性に優れたAl−Mg系合金連続塗装板を要旨とするも
のである。
以下に本発明を更に詳細に説明する。
(作用) 本発明者らが、Al−Mg系合金連続塗装板の潤滑剤塗
布後の加工蓋の型離れ性について調査した結果、同一塗
布量の場合、パラフィンワックス粒の高さが低く、塗布
面積率が大きいほど、上記問題が改善されることを見い
出した。
また、パラフィンワックス粒の高さを低く、塗布面積率
を大きくするためには、パラフィンワックス塗布後、塗
膜の性能を低下させない範囲で加熱すると共に、パラフ
ィンワックスの融点以上で板を巻取ることにより改善さ
れることを見い出した。
まず、本発明において用いるパラフィンワックスの塗布
量について説明する。
パラフィンワックスは、成形時の潤滑剤として少なくと
も10mg/m2以上塗布しないと、缶蓋成形時に加工割れ
等の潤滑不足による問題を生じ易い。一方、潤滑性の点
では塗布量が多いほど優れるものの、70mg/m2を超え
るとその効果が飽和すると同時に、金型へのワックスの
堆積量が多くなり、実用上問題がある。このため、パラ
フィンワックスの塗布量は10〜70mg/m2の範囲とす
る。
パラフィンワックス塗布後の加熱は、ワックス粒の高さ
の低下及びワックス塗布面積率の向上に必須である。し
かし、加熱温度が60℃未満では塗布されたパラフィン
ワックス粒の形状が殆ど変化せず、加熱の効果が得られ
ない。一方、150℃を超えるとワックス粒の形状及び
塗布面積率向上に効果を示すものの、ワックスが不均一
となり、蓋の寸法精度を低下させるので好ましくない。
したがって、加熱温度は60〜150℃の範囲とする。
上記温度で加熱した後、板を巻取るが、板巻取り温度は
パラフィンワックスの面積率に大きな影響を及ぼし、6
0℃未満ではパラフィンワックスの融点近傍或いは融点
以下であり、パラフィンワックスの流動性が小さく、塗
布面積率向上の効果を示さない。一方、120℃を超え
る場合、コイル状に巻くため、ワックスが下部に流れ落
ち、ワックスの分布を不均一にさせるので好ましくな
い。したがって、加熱後の板巻取り温度は60〜120
℃の範囲とする。
上記方法により、適切なパラフィンワックス粒の高さ
で、大きなワックス塗布面積率を得ることができる。
ここで、板巻取り後のパラフィンワックス粒の形状は、
缶蓋成形時の金型との型離れ性に影響を及ぼし、ワック
ス粒の板面からの最小長さに対するワックス粒高さを規
制する必要がある。すなわち、次式(1) の値が0.22を超えると、成形加工時の接着現象が大
きく、型離れ性が低下し、更に、今後更らなる高速化に
おいて成形加工時の接着現象を防止し型離れ性の低下を
防止するには0.10以下が好ましい。
なお、本発明におけるアルミ合金は、この種の用途に使
用されるAl−Mg系のものであれば特にその組成は制
限されない。
(実施例) 次に本発明の実施例を示す。
実施例1 AA5182−H19からなる0.30mm厚のAl合金
素材にエポキシフェノール系塗料を連続塗装処理した
後、第1表に示すワックス塗布条件にてパラフィンワッ
クスを塗布した。
塗布後、ワックス粒の形状(ワックス粒高さ及びワック
ス粒の板面からの最少長さ)を測定すると共に、キャン
エンドシェル成形金型を用いて、第1図に示す形状寸法
のシェル成形を行い、型離れ性を調査した。それらの結
果を第1表に併記する。
なお、ワックス粒の形状は、塗布板表面はAuを真空蒸
着した後、測定し、具体的には、ワックス粒の高さは光
干渉式による3次元表面測定機(非接触式)を用いて測
定し、ワックス粒の板表面からの最小長さは金属顕微鏡
により測定した。
第1表より以下の如く考察される。
本発明例No.3は、ワックスが板面に連続的に付着して
おり、そのため、シェルの型離れ性に優れている。
一方、比較例No.1は、ワックス量が本発明例に比べて
少ないものであり、シェル成形時に加工割れを招いた。
従来例No.2は従来条件でワックスが塗布されたもので
あり、ワックス粒は立体形状にあるため、(1)式の値が
本発明範囲の上限よりもかなり高い値を示し、シェルの
型離れ性に劣っている。
比較例No.4は板温度を本発明範囲よりも高くしたもの
であり、ワックスは板面に連続的に付着するものの、ワ
ックスの片寄りが認められ、結果的にシェルの型離れ性
に劣っている。
比較例No.5は板巻取り温度を本発明範囲よりも高くし
たものであり、ワックス量はコイルの上部と下部で大幅
に異なり、コイル上部のワックス量の少ない部位では加
工割れを生じた。
比較例No.6は本発明例に比べてワックス量が多いもの
であり、若干型離れ性に劣る傾向が認められる他、ワッ
クスの金型への堆積が認められた。
実施例2 AA5182−H19からなる0.30mm厚のAl合金
素材にエポキシフェノール系塗料を連続塗装処理した
後、第2表に示すワックス塗布条件にてパラフィンワッ
クスを塗布した。
塗布後、ワックス粒の形状(ワックス粒高さ及びワック
ス粒の板面からの最少長さ)を測定すると共に、キャン
エンドシェル成形金型を用いて、第1図に示す形状寸法
のシェル成形を行い、型離れ性を調査した。それらの結
果を第2表に併記する。
なお、ワックス粒の形状の測定は実施例1の場合と同様
とした。
第2表より以下の如く考察される。
本発明例No.5〜No.6、No.9はいずれもワックス粒形
状、加工性及び型離れ性とも優れている。
一方、比較例No.2は、ワックス形状及び型離れ性に優
れるものの、潤滑不足により加工割れが生じ易い。ま
た、比較例No.1はワックスなしの例であり、No.2より
も更に加工割れが著しい。
従来例No.3は従来条件によるものであり、(1)式の値が
本発明範囲の上限よりも大きいと共に型離れ性が劣って
いる。
比較例No.4は従来例No.3よりも若干型離れ性が改善さ
れているものの、実用上まだ問題がまる。
比較例No.7はワックス粒形状及び型離れ性に優れてい
るものの、ワックス量が不均一であり、少ない部位でシ
ェル成形時、加工により変形の大きい部位に微少な塗膜
のクラックが認められ、実用上問題がある。
比較例No.8は従来例No.3に比べて若干型離れ性が改善
されているものの、実用上まだ問題がある。
比較例No.10はワックス粒形状に優れているものの、
型離れ性が若干劣り、また金型へのワックス堆積量が多
く、実用上問題がある。
(発明の効果) 以上詳述したように、本発明によれば、従来材で問題と
されているキャンエンドシェル成形品の金型からの型離
れに優れ、連続高速運転でも良好な通板性が得られると
共に、加工性(加工割れ、ワックス堆積量等)に優れる
等、優れた潤滑性を有するAl−Mg系合金塗装板を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】 第1図はシェル成形の形状寸法を示す図である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】連続塗装処理されたAl−Mg系合金板に
    潤滑膜を形成するに際し、パラフィンワックスを10〜
    70mg/m2塗布した後、60〜150℃に保持しつつ、
    60〜120℃の温度で巻取ることを特徴とするAl−
    Mg系合金連続塗装板の潤滑膜形成方法。
  2. 【請求項2】連続塗装処理されたAl−Mg系合金板に
    おいて、パラフィンワックス粒の高さと板面からの最小
    長さとの比が次式 の関係を満足する潤滑膜を有することを特徴とする潤滑
    性に優れたAl−Mg系合金連続塗装板。
  3. 【請求項3】前記潤滑膜が、パラフィンワックス粒の高
    さと板面からの最小長さとの比が次式 の関係を満足する潤滑膜である請求項2に記載のAl−
    Mg系合金連続塗装板。
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