JPH069693B2 - 耐食性に優れた二相ステンレス鋼管の製造方法 - Google Patents
耐食性に優れた二相ステンレス鋼管の製造方法Info
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- JPH069693B2 JPH069693B2 JP62154234A JP15423487A JPH069693B2 JP H069693 B2 JPH069693 B2 JP H069693B2 JP 62154234 A JP62154234 A JP 62154234A JP 15423487 A JP15423487 A JP 15423487A JP H069693 B2 JPH069693 B2 JP H069693B2
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Description
【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、耐食性、特に耐応力腐食割れ性に優れた二相
ステンレス鋼継目無管の製造方法に関する。
ステンレス鋼継目無管の製造方法に関する。
(従来の技術とその問題点) フェライトとオーステナイトの二相組織から成る二相ス
テンレス鋼は、フエライトステンレス鋼とオーステナイ
トステンレス鋼との長所を合わせ持ち、特に耐応力腐食
割れ性に優れているところからCl−イオンを含む厳し
い腐食環境下での高耐食性材料として広く使用されるよ
うになってきており、高級油井管や熱交換チューブ用の
二相ステンレス鋼継目無管も近年その使用量が増えつつ
ある。
テンレス鋼は、フエライトステンレス鋼とオーステナイ
トステンレス鋼との長所を合わせ持ち、特に耐応力腐食
割れ性に優れているところからCl−イオンを含む厳し
い腐食環境下での高耐食性材料として広く使用されるよ
うになってきており、高級油井管や熱交換チューブ用の
二相ステンレス鋼継目無管も近年その使用量が増えつつ
ある。
しかしながら、従来の二相ステンレス鋼継目無管は、必
ずしも二相ステンレス鋼本来の優れた耐応力腐食割れ性
を発揮しているとは言い難い。その理由は、熱間圧延に
よる継目無管の製造工程、特にその圧延温度にあるもの
と考えられる。
ずしも二相ステンレス鋼本来の優れた耐応力腐食割れ性
を発揮しているとは言い難い。その理由は、熱間圧延に
よる継目無管の製造工程、特にその圧延温度にあるもの
と考えられる。
例えば、傾斜穿孔圧延法(マンネスマン製管法)によっ
て継目無管を製造する場合、素材ビレットは1300℃前後
に加熱されて圧延に供されるが、各圧延スタンドでは管
内面とプラグ等との摩擦により実際の圧延温度はかなり
高くなる。たとえ、管外面が自然法冷されても内部から
の加工熱によって管全体としての温度上昇は免れない。
従って、圧延は殆どフェライト単相域で実施されること
になる。しかも、上記圧延過程で発生する加工熱による
温度上昇があるため、この点からも、被圧延材はその加
熱温度よりかなり高い温度で圧延されることになる。
て継目無管を製造する場合、素材ビレットは1300℃前後
に加熱されて圧延に供されるが、各圧延スタンドでは管
内面とプラグ等との摩擦により実際の圧延温度はかなり
高くなる。たとえ、管外面が自然法冷されても内部から
の加工熱によって管全体としての温度上昇は免れない。
従って、圧延は殆どフェライト単相域で実施されること
になる。しかも、上記圧延過程で発生する加工熱による
温度上昇があるため、この点からも、被圧延材はその加
熱温度よりかなり高い温度で圧延されることになる。
第1図は、後述する実施例で比較用に用いた従来の圧延
法によりフェライト単相域で圧延された二相ステンレス
鋼管のミクロ組織(倍率:100)の一例である。このミク
ロ組織をみればγ相はランダムにα相と細かく混合して
いることが分かる。このような組織になるのは、圧延過
程で加工を受けたα相が、α→α+γと相変態するとき
に生じるオーステナイト粒が方向性のないランダムなも
のであることが原因であると考えられる。
法によりフェライト単相域で圧延された二相ステンレス
鋼管のミクロ組織(倍率:100)の一例である。このミク
ロ組織をみればγ相はランダムにα相と細かく混合して
いることが分かる。このような組織になるのは、圧延過
程で加工を受けたα相が、α→α+γと相変態するとき
に生じるオーステナイト粒が方向性のないランダムなも
のであることが原因であると考えられる。
二相ステンレス鋼の優れた耐応力腐食割れ性は、フェラ
イト相を伝播していく応力腐食の亀裂がオーステナイト
相で止められるためであるが、第1図のような組織で
は、亀裂は連続したα相またはα相とγ相の界面を伝っ
て進展していくものと考えられ、これが二相ステンレス
鋼管の耐応力腐食割れ性が不十分な原因と推定される。
イト相を伝播していく応力腐食の亀裂がオーステナイト
相で止められるためであるが、第1図のような組織で
は、亀裂は連続したα相またはα相とγ相の界面を伝っ
て進展していくものと考えられ、これが二相ステンレス
鋼管の耐応力腐食割れ性が不十分な原因と推定される。
(問題点を解決するための手段) 本発明者は、最終的に得られる製品のミクロ組織中でフ
ェライト相とオーステナイト相とが圧延方向に平行な層
状に分布している場合に、二相ステンレス鋼管の耐応力
腐食割れ性が著しく改善されることを確認した。そし
て、このようなミクロ組織を得るため、圧延工程の改善
を試み本発明に到った。
ェライト相とオーステナイト相とが圧延方向に平行な層
状に分布している場合に、二相ステンレス鋼管の耐応力
腐食割れ性が著しく改善されることを確認した。そし
て、このようなミクロ組織を得るため、圧延工程の改善
を試み本発明に到った。
すなわち、本発明の要旨は、「二相ステンレス鋼継目無
管の圧延素材の内面を冷却して、全圧延工程においてオ
ーステナイトとフェライトの二相温度域を維持しながら
熱間圧延を行うことを特徴とする耐食性、特に耐応力腐
食割れ性に優れた二相ステンレス鋼継目無管の製造方
法」にある。
管の圧延素材の内面を冷却して、全圧延工程においてオ
ーステナイトとフェライトの二相温度域を維持しながら
熱間圧延を行うことを特徴とする耐食性、特に耐応力腐
食割れ性に優れた二相ステンレス鋼継目無管の製造方
法」にある。
上記の本発明において、熱間圧延とは、二相域圧延によ
って前述のような二相組織が得られる段階での熱間圧延
であれば良いが、より具体的には、後述する製管方法に
おける第1穿孔圧延、第2穿孔圧延および、プラグミル
穿孔圧延のそれぞれにおける熱間圧延を意味し、サイザ
ーの段階での熱間圧延は含まない。
って前述のような二相組織が得られる段階での熱間圧延
であれば良いが、より具体的には、後述する製管方法に
おける第1穿孔圧延、第2穿孔圧延および、プラグミル
穿孔圧延のそれぞれにおける熱間圧延を意味し、サイザ
ーの段階での熱間圧延は含まない。
継目無管の素材となる二相ステンレス鋼は種々あるが、
本発明はその種類を問わない。しかし、広く継目無管に
要求される機械的強度や耐応力腐食割れ性をはじめとす
る耐食性、溶接性を考慮して、望ましい二相ステンレス
鋼として、次のものがある。即ち、 重量%で、C:0.08%以下、Si:0.80%以下、Mn:0.20
〜2.00%、Cr:18〜27%、Mo:1.40〜4.50%、Ni:3.00
〜8.00%、N:0.04〜0.20%を含有する二相ステンレス
鋼である。
本発明はその種類を問わない。しかし、広く継目無管に
要求される機械的強度や耐応力腐食割れ性をはじめとす
る耐食性、溶接性を考慮して、望ましい二相ステンレス
鋼として、次のものがある。即ち、 重量%で、C:0.08%以下、Si:0.80%以下、Mn:0.20
〜2.00%、Cr:18〜27%、Mo:1.40〜4.50%、Ni:3.00
〜8.00%、N:0.04〜0.20%を含有する二相ステンレス
鋼である。
上記の二相ステンレス鋼は、残部が実質的にFeから成
り、外に特定の合金元素を含有しないものであってもよ
く、また、例えば析出硬化による強度の向上、耐食性の
向上のために、Cu:2.50%以下、Nb:1.00%以下、V:
1.00%以下、Ti:0.50%以下、Zr:1.00%以下の1種以
上を含むものであってもよい。
り、外に特定の合金元素を含有しないものであってもよ
く、また、例えば析出硬化による強度の向上、耐食性の
向上のために、Cu:2.50%以下、Nb:1.00%以下、V:
1.00%以下、Ti:0.50%以下、Zr:1.00%以下の1種以
上を含むものであってもよい。
上記のような二相ステンレス鋼では、α→α+γの変態
温度はおよそ1260℃前後であるから、穿孔圧延をはじめ
とする全圧延工程における熱間圧延は1000℃から1260℃
の範囲で行う。下限の1000℃は、実操業上圧延の可能な
限界温度である。
温度はおよそ1260℃前後であるから、穿孔圧延をはじめ
とする全圧延工程における熱間圧延は1000℃から1260℃
の範囲で行う。下限の1000℃は、実操業上圧延の可能な
限界温度である。
製管方法としては、継目無製管法と総称されるマンドレ
ルミル方式、プラグミル方式、プレスピアシング方式等
の穿孔圧延法が採用される。その他、熱間押出法、熱間
押抜き法等の各種の継目無管製造方法が採用できる。
ルミル方式、プラグミル方式、プレスピアシング方式等
の穿孔圧延法が採用される。その他、熱間押出法、熱間
押抜き法等の各種の継目無管製造方法が採用できる。
製管工程に先立つビレットの加熱は、二相ステンレス鋼
が比較的熱間加工の困難な材料であることを考慮して、
従来どおり1300℃前後の温度とするのがよい。
が比較的熱間加工の困難な材料であることを考慮して、
従来どおり1300℃前後の温度とするのがよい。
圧延素材の冷却、すなわち圧延工程における圧延素材の
内面の冷却には、プラグ先端から圧延素材内面に向かっ
て水や空気、窒素ガス等の冷却用流体を流す方法、プラ
グを熱伝導性の良い材料で製作しプラグ自体を強冷する
方法などが採用される。
内面の冷却には、プラグ先端から圧延素材内面に向かっ
て水や空気、窒素ガス等の冷却用流体を流す方法、プラ
グを熱伝導性の良い材料で製作しプラグ自体を強冷する
方法などが採用される。
本発明において、このように圧延素材の内面を冷却す
る、つまり強制的に冷却することとしているのは、強制
的に冷却を行わないと、熱間加工時に発生する加工熱に
より素材の内面の温度が著しく上昇してしまい、フェラ
イト単相域に到達してしまうからである。また、加工熱
により内面温度が1300〜1350℃以上に達すると、ステン
レス鋼特有の延性ゼロ領域にて圧延を行うことになり、
著しい内面カブレが発生してしまう。一方、圧延素材外
面は自然放冷によりその温度が低下するため、内面冷却
を行わないと、内面と外面との間の温度差が著しく大き
くなり、熱間圧延が行えなくなるとともに圧延素材の内
面および外面について、オーステイトとフェライトの二
相温度域を維持して熱間圧延を行うことができなくなる
からである。
る、つまり強制的に冷却することとしているのは、強制
的に冷却を行わないと、熱間加工時に発生する加工熱に
より素材の内面の温度が著しく上昇してしまい、フェラ
イト単相域に到達してしまうからである。また、加工熱
により内面温度が1300〜1350℃以上に達すると、ステン
レス鋼特有の延性ゼロ領域にて圧延を行うことになり、
著しい内面カブレが発生してしまう。一方、圧延素材外
面は自然放冷によりその温度が低下するため、内面冷却
を行わないと、内面と外面との間の温度差が著しく大き
くなり、熱間圧延が行えなくなるとともに圧延素材の内
面および外面について、オーステイトとフェライトの二
相温度域を維持して熱間圧延を行うことができなくなる
からである。
そこで、本発明ては、自然放冷により熱間圧延時の前記
外面の温度が二相温度域内となるように圧延開始前に圧
延素材の加熱を行い、さらに熱間圧延時には圧延素材の
内面の冷却を行うことにより、圧延素材の内面および外
面の温度差を例えば50℃というように可及的少とすると
ともにそれらがともに二相温度域を維持できるようにす
るのである。
外面の温度が二相温度域内となるように圧延開始前に圧
延素材の加熱を行い、さらに熱間圧延時には圧延素材の
内面の冷却を行うことにより、圧延素材の内面および外
面の温度差を例えば50℃というように可及的少とすると
ともにそれらがともに二相温度域を維持できるようにす
るのである。
製管後の熱処理は、従来のとおり溶体化処理を行えばよ
い。前述の本発明方法の対象として望ましい二相ステン
レス鋼の場合、溶体化処理は、およそ1000〜1200℃での
加熱の後、水冷する。
い。前述の本発明方法の対象として望ましい二相ステン
レス鋼の場合、溶体化処理は、およそ1000〜1200℃での
加熱の後、水冷する。
(作用) 本発明の製管方法によれば、素材二相ステンレス鋼の圧
延は管の内・外面ともにα+γの二相域で行われる。従
って、圧延によって延伸されたオーステナイト相はその
まま圧延方向に平行に残り、その間にフェライト相が分
散した組織、すなわちオーステナイト結晶粒が圧延方向
に大きく伸びてフェライト結晶粒がオーステナイト結晶
粒とが層状に分布した組織となる。このような組織の管
では、仮に一部に応力腐食割れが発生しても亀裂の進展
はオーステナイト相で阻止され、肉厚方向に貫通する割
れには到らない。
延は管の内・外面ともにα+γの二相域で行われる。従
って、圧延によって延伸されたオーステナイト相はその
まま圧延方向に平行に残り、その間にフェライト相が分
散した組織、すなわちオーステナイト結晶粒が圧延方向
に大きく伸びてフェライト結晶粒がオーステナイト結晶
粒とが層状に分布した組織となる。このような組織の管
では、仮に一部に応力腐食割れが発生しても亀裂の進展
はオーステナイト相で阻止され、肉厚方向に貫通する割
れには到らない。
なお、本発明方法の対象として望ましいものとして挙げ
た前記の二相ステンレス鋼の成分含有量の限定理由を略
述すれば、次のとおりである。
た前記の二相ステンレス鋼の成分含有量の限定理由を略
述すれば、次のとおりである。
C:C量が多くなるとCr炭化物が析出し粒界腐食と孔食
の感受性が増大するので上限を0.08%とした。
の感受性が増大するので上限を0.08%とした。
Si:Siは脱酸のため必要な元素であるが、Si量が多くな
ると靱性が劣化するので上限を0.80%とした。
ると靱性が劣化するので上限を0.80%とした。
本例において圧延素材の内面の冷却はプラグ先端に設け
た水冷孔からの冷却水噴射によって行い、ほヾ50℃の温
度低下を図った。したがって、下記表示温度は冷却後の
温度である。
た水冷孔からの冷却水噴射によって行い、ほヾ50℃の温
度低下を図った。したがって、下記表示温度は冷却後の
温度である。
Mn:Mnはオーステナイトを安定させる元素であり強度上
昇にも効果があるが、0.20%未満ではその効果は少な
く、2.00%を超えると靱性を劣化させる。
昇にも効果があるが、0.20%未満ではその効果は少な
く、2.00%を超えると靱性を劣化させる。
Cr:Crは2相ステンレス鋼の基本成分であり耐食性向上
に効果があるが、18%未満ではその効果は小さく、27%
を超えるとオーステナイトが出現しにくくなり高価なNi
を多量に使用しなければならない。また、溶接性も劣化
する。
に効果があるが、18%未満ではその効果は小さく、27%
を超えるとオーステナイトが出現しにくくなり高価なNi
を多量に使用しなければならない。また、溶接性も劣化
する。
Mo:Moは炭化物を形成して高温強度を高め、耐孔食性を
含め耐食性を改善する元素であるが、1.40%未満ではそ
の効果は小さく、4.50%を超えるとオーステナイトが出
現しにくくなり高価なNiを多量に使用しなければならな
くなる。
含め耐食性を改善する元素であるが、1.40%未満ではそ
の効果は小さく、4.50%を超えるとオーステナイトが出
現しにくくなり高価なNiを多量に使用しなければならな
くなる。
Ni:Niはオーステナイト安定化元素で2相ステンレス鋼
の基本成分であるが、3%未満ではその効果が少なく、
8%を超えると経済上好ましくない。
の基本成分であるが、3%未満ではその効果が少なく、
8%を超えると経済上好ましくない。
N:Nは溶解中に大気から侵入してくる元素で特に有害
ではないが、0.04%未満にはN量を低下しにくく、かつ
結晶粒微細化効果が少なくなるため下限を0.04%とし、
0.20%を超えると加窒しなければならず、工数が増大し
経済上好ましくない。
ではないが、0.04%未満にはN量を低下しにくく、かつ
結晶粒微細化効果が少なくなるため下限を0.04%とし、
0.20%を超えると加窒しなければならず、工数が増大し
経済上好ましくない。
これらの成分の外に、脱酸剤として使用されるAlはso
l.Alとして0.10%まで含有されていてもよい。また、
不純物であるSとPはそれぞれ0.010%以下、0.035以下
に抑える。
l.Alとして0.10%まで含有されていてもよい。また、
不純物であるSとPはそれぞれ0.010%以下、0.035以下
に抑える。
更に、特定の性質の向上のために必要に応じて添加され
る成分とその含有量の限定理由は下記の通りである。
る成分とその含有量の限定理由は下記の通りである。
Cu:耐食性の向上のために添加するが、靱性劣化を防ぐ
ため含有量の上限を2.50%とする。
ため含有量の上限を2.50%とする。
Nb、V、Ti、Zr:これらは、析出強化による強度上昇の
ため添加されるが、含有量が多すぎると析出物が粗大化
して好ましくない。従って、それぞれ上限を1.00%、1.
00%、0.50%、1.00%とする。
ため添加されるが、含有量が多すぎると析出物が粗大化
して好ましくない。従って、それぞれ上限を1.00%、1.
00%、0.50%、1.00%とする。
次に本発明の実施例によってさらに具体的に説明する。
(実施例) 第1表記載の組成をもつ二相ステンレス鋼を電気炉−AO
Dで溶製し、連続鋳造ブルームから分塊圧延して213mm径
の丸ビレットとした。これを素材として下記の加熱条件
で、圧延素材の内面にプラグ先端からN2ガスを流して、
第1穿孔圧延〜プラグミル穿孔圧延における熱間圧延時
に、管の内面および外面がオーステナイトとフェライト
の二相温度域を維持するようにして熱間圧延を行い、23
1.6mm径×15.8mm厚の継目無管を製造した。
Dで溶製し、連続鋳造ブルームから分塊圧延して213mm径
の丸ビレットとした。これを素材として下記の加熱条件
で、圧延素材の内面にプラグ先端からN2ガスを流して、
第1穿孔圧延〜プラグミル穿孔圧延における熱間圧延時
に、管の内面および外面がオーステナイトとフェライト
の二相温度域を維持するようにして熱間圧延を行い、23
1.6mm径×15.8mm厚の継目無管を製造した。
ビレット加熱温度・・・・・・1300 ℃ 第1穿孔圧延温度・・・・・・1140 ℃ 第2穿孔圧延温度・・・・・・1120 ℃ プラグミル圧延温度・・・・・1100 ℃ サイザー圧延温度・・・・・・ 800 ℃ 熱処理・・・・・・・・1050℃加熱、水冷 (温度は全て外面温度の測定値) 上記によって得られた鋼管から6mm径×30mmG.L.の試験
片を採り、引張り試験と応力腐食割れ試験を行った。そ
の結果を第2表に掲げる。
片を採り、引張り試験と応力腐食割れ試験を行った。そ
の結果を第2表に掲げる。
(第2表に、比較例として同じビレットから従来の製管
法で製造した継目無管の性質を併記した。) 第1図に上記比較例によって得られた鋼管のミクロ組
織、第2図に本発明の実施例によってえられた鋼管のミ
クロ組織(倍率はいずれも100倍)を示す。第2図に明
らかなように、本発明方法によって製造された鋼管では
オーステナイト結晶粒が圧延方向に大きく伸びて層状に
分布している。このような組織であれば、フェライト粒
に発生した亀裂もオーステナイト粒によって効果的に阻
止されるから、これが第2表に示される優れた耐応力腐
食割れ性を生むのである。なお、本発明方法で製造され
た鋼管の機械的性質は、第2表に示すとおり、従来方法
によるものと何ら差違はない。
法で製造した継目無管の性質を併記した。) 第1図に上記比較例によって得られた鋼管のミクロ組
織、第2図に本発明の実施例によってえられた鋼管のミ
クロ組織(倍率はいずれも100倍)を示す。第2図に明
らかなように、本発明方法によって製造された鋼管では
オーステナイト結晶粒が圧延方向に大きく伸びて層状に
分布している。このような組織であれば、フェライト粒
に発生した亀裂もオーステナイト粒によって効果的に阻
止されるから、これが第2表に示される優れた耐応力腐
食割れ性を生むのである。なお、本発明方法で製造され
た鋼管の機械的性質は、第2表に示すとおり、従来方法
によるものと何ら差違はない。
(発明の効果) 実施例からも明らかなとおり、本発明方法によって製造
される二相ステンレス鋼継目無管は、従来の製造方法に
よるものと比較して、極めて優れた耐応力腐食割れ性を
持つ。かかる二相ステンレス鋼継目無管は、ますます苛
酷になる腐食環境下でも高い信頼性をもって使用できる
ものである。
される二相ステンレス鋼継目無管は、従来の製造方法に
よるものと比較して、極めて優れた耐応力腐食割れ性を
持つ。かかる二相ステンレス鋼継目無管は、ますます苛
酷になる腐食環境下でも高い信頼性をもって使用できる
ものである。
第1図および第2図は、それぞれ従来法および本発明法
によって製造された二相ステンレス鋼継目無管のミクロ
組織の顕微鏡写真(×100)である。
によって製造された二相ステンレス鋼継目無管のミクロ
組織の顕微鏡写真(×100)である。
Claims (5)
- 【請求項1】二相ステンレス鋼継目無管の圧延素材の内
面を冷却して、全圧延工程においてオーステナイトとフ
ェライトの二相温度域を維持しながら熱間圧延を行うこ
とを特徴とする耐応力腐食割れ性に優れた二相ステンレ
ス鋼継目無管の製造方法。 - 【請求項2】重量%で、C:0.08%以下、Si:0.80%以
下、Mn:0.20〜2.00%、Cr:18〜27%、Mo:1.40〜4.50
%、Ni:3〜8%、N:0.04〜0.20%を含有する二相ス
テンレス鋼を、1000〜1260℃で圧延する特許請求の範囲
第1項記載の耐応力腐食割れ性に優れた二相ステンレス
鋼継目無管の製造方法。 - 【請求項3】二相ステンレス鋼が、前記成分の外、残部
がFeおよび不可避不純物から成るものである特許請求の
範囲第2項記載の耐応力腐食割れ性に優れた二相ステン
レス鋼継目無管の製造方法。 - 【請求項4】二相ステンレス鋼が、特許請求の範囲第2
項記載の成分の外、Cu:2.50%以下、Nb:1.00%以下、
V:1.00%以下、Ti:0.50%以下、Zr:1.00%以下の1
種以上を含有し、残部がFeおよび不可避不純物から成る
ものである特許請求の範囲第2項記載の耐応力腐食割れ
性に優れた二相ステンレス鋼継目無管の製造方法。 - 【請求項5】熱間圧延が傾斜穿孔圧延法である特許請求
の範囲第1項、第2項、第3項、または第4項記載の耐
応力腐食割れ性に優れた二相ステンレス鋼継目無管の製
造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62154234A JPH069693B2 (ja) | 1987-06-20 | 1987-06-20 | 耐食性に優れた二相ステンレス鋼管の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP62154234A JPH069693B2 (ja) | 1987-06-20 | 1987-06-20 | 耐食性に優れた二相ステンレス鋼管の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS63317204A JPS63317204A (ja) | 1988-12-26 |
JPH069693B2 true JPH069693B2 (ja) | 1994-02-09 |
Family
ID=15579781
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP62154234A Expired - Lifetime JPH069693B2 (ja) | 1987-06-20 | 1987-06-20 | 耐食性に優れた二相ステンレス鋼管の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH069693B2 (ja) |
Families Citing this family (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2677054B1 (en) | 2011-02-14 | 2020-03-25 | Nippon Steel Corporation | Duplex stainless steel plate or pipe, and process for production thereof |
JP6197850B2 (ja) * | 2014-12-18 | 2017-09-20 | Jfeスチール株式会社 | 二相ステンレス継目無鋼管の製造方法 |
JP2016164288A (ja) * | 2015-03-06 | 2016-09-08 | Jfeスチール株式会社 | 油井用高強度ステンレス継目無鋼管の製造方法 |
CN115584443A (zh) * | 2021-07-05 | 2023-01-10 | 中国石油天然气集团有限公司 | 一种含铜抗菌双相不锈钢连续管及加工方法 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS612743A (ja) * | 1984-06-15 | 1986-01-08 | Mitsubishi Rayon Co Ltd | 多孔質膜 |
-
1987
- 1987-06-20 JP JP62154234A patent/JPH069693B2/ja not_active Expired - Lifetime
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Publication number | Publication date |
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JPS63317204A (ja) | 1988-12-26 |
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