JPH069651A - 有機金属化合物の回収方法 - Google Patents

有機金属化合物の回収方法

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JPH069651A
JPH069651A JP16466192A JP16466192A JPH069651A JP H069651 A JPH069651 A JP H069651A JP 16466192 A JP16466192 A JP 16466192A JP 16466192 A JP16466192 A JP 16466192A JP H069651 A JPH069651 A JP H069651A
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recovering
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compound according
ether solvent
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JP16466192A
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English (en)
Inventor
Kazuyuki Asakura
和之 朝倉
Toshinobu Ishihara
俊信 石原
Hiromi Osaki
浩美 大崎
Kohei Sato
幸平 佐藤
Isao Kaneko
功 金子
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
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  • Vaporization, Distillation, Condensation, Sublimation, And Cold Traps (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】グリニャール反応又はその類似の反応で合成さ
れた有機金属化合物を、エーテル溶媒から高純度、高収
率で容易に回収する方法を提供する。 【構成】ハロゲン化金属とハロゲン化有機マグネシウム
とを脱ハロゲン化マグネシウムによって縮合反応させ、
有機金属を合成してその有機金属を反応混合液から蒸留
回収するとき、その反応混合液に非エーテル系溶剤を加
えて共沸蒸留する。マグネシウム合金とハロゲン化アル
キルとを脱ハロゲン化マグネシウムによって縮合反応さ
せ、アルキル金属を合成してそのアルキル金属を反応混
合液から蒸留回収する場合も同様である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、グリニャール反応混合
液又はその類似の反応混合液から合成された有機金属化
合物を回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、III−V族及びII−VI族の
金属間化合物半導体が、半導体発光素子、マイクロ波ト
ランジスタなどの広い分野で用いられるようになってき
た。そのほかにも、金属間化合物半導体はそれらの優れ
た特性を利用して高速コンピューター用集積回路、オプ
トエレクトロニクス集積回路等でも使用されるようにも
なってきた。
【0003】これらの用途に利用される上記の金属間化
合物半導体の多くは、有機金属化合物をもとに有機金属
の化学気相成長法(MOCVD法)で金属をエピタキシ
ャル成長させて製造される。有機金属の化学気相成長法
に用いられる有機金属化合物は通常、グリニャール反応
で製造される。すなわちハロゲン化金属とハロゲン化有
機マグネシウムとを脱ハロゲン化マグネシウムによって
縮合反応させる。グリニャール反応類似の反応で製造さ
れることもある。この場合はマグネシウム合金とハロゲ
ン化炭化水素とを脱ハロゲン化マグネシウムによって縮
合反応させる。いずれの場合も溶剤には一般にエーテル
溶媒が用いられる。得られた反応混合物から有機金属化
合物を単離するには一般に蒸留が用いられる。
【0004】エーテル溶媒に有機金属化合物が混入され
ると錯体が形成される。このことは、例えば1976年
丸善発行の新実験化学講座,12, 320pp などからも知ら
れている。微量でもエーテルが配位している有機金属化
合物から製造された半導体は、良好な電気特性が得られ
ないなどの不都合がある。有機金属化合物とそれに配位
したエーテルとを通常の蒸留方法で解離させることは非
常に難しい。
【0005】エーテルは沸点が低く加熱すれば揮散す
る。エーテルが配位した有機金属錯体を加熱すればエー
テルは除去される。ところが同時に有機金属化合物も分
解してしまう。
【0006】有機金属化合物を分解させないで有機金属
化合物とエーテル化合物とを分離する方法はこれまでも
いくつか提案されている。例えば丸善発行の先の新実験
化学講座ではトリメチルインジウムに関して例示があ
る。トリメチルインジウムのエーテル錯体にベンゼンを
添加し再蒸留によってトリメチルインジウムを単離す
る。
【0007】この方法について追試実験したところ、反
応混合物からエーテル錯体が分離され、ベンゼンの添加
は有機金属化合物とエーテルとの分離にある程度の効果
のあることは分かった。次いで、追加されたベンゼンと
有機金属化合物との分離をしようとしたとき、この分離
が非常に難しいという新たな問題点のあることも分かっ
た。有機金属化合物とベンゼンとの分離は精密に再蒸留
しても容易ではない。これは芳香族化合物と有機金属化
合物との間で生じている相互作用による。加えて、ベン
ゼンは人体に極めて有害である。この方法の場合、有害
化合物の取扱が避けられないという問題点も抱えてい
る。
【0008】有機金属化合物とエーテル化合物とを分離
する方法については特許出願もある。特開平1−301
684号公報や特開平3−127795号公報開示の技
術では、エーテル錯体の生成を抑えようとして溶剤に使
用するエーテルの量を少なくしている。こうした方法で
は製造される有機金属化合物の収率が40〜70%程度
と非常に低くなるという問題点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記の課題を
解決するためなされたもので、グリニャール反応又はそ
の類似の反応で合成された有機金属化合物を、エーテル
系有機溶剤から高純度、高収率で容易に回収できる方法
を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成するため広範囲の製造分離方法について鋭意研究を
重ねた結果、化学工学的に高度な装置や技術を用いるこ
となく、簡単な装置及び簡易な方法で工業的に極めて効
果的にエーテル錯体を解離し、高純度な有機金属化合物
を高収率に、有利に得ることが出来る方法を見い出し
た。
【0011】すなわち本発明は、ハロゲン化金属とハロ
ゲン化有機マグネシウムとを脱ハロゲン化マグネシウム
によって縮合反応させ、有機金属を合成してその有機金
属を反応混合液から蒸留回収するとき、その反応混合液
に非エーテル系溶剤を加えて共沸蒸留する。
【0012】マグネシウム合金とハロゲン化有機物とを
脱ハロゲン化マグネシウムによって縮合反応させ、有機
金属を合成してその有機金属を反応混合液から蒸留回収
する場合もその反応混合液に非エーテル系溶剤を加えて
共沸蒸留する。
【0013】本発明は合成後、反応混合液から有機金属
化合物を回収する方法である。そのような有機金属化合
物は、例えば次式で示される。
【0014】R3 M 式中、Mはガリウム又はインジウム、Rはアルキル基で
あると好ましい。R同士は互いに同一でもよく異種でも
よい。このような有機金属化合物は、具体的にはトリア
ルキルガリウム、トリアルキルインジウムを含む。アル
キル基の場合、特にエチル基又はメチル基であるとよ
い。
【0015】トリアルキルガリウムとしては例えば、ト
リエチルガリウム、ジエチルメチルガリウム、ジメチル
エチルガリウムなどが挙げられる。トリアルキルインジ
ウムとしては例えば、トリメチルインジウム、トリエチ
ルインジウム、ジメチルエチルインジウム、ジエチルメ
チルインジウムなどが挙げられる。トリアルキルガリウ
ム、トリアルキルインジウムとしてはこの他にも、金属
間化合物の半導体形成に提供されるエピタキシャル成長
用の有機金属化合物を広く挙げることが出来る。
【0016】本発明で上記の有機金属化合物を回収しよ
うとする反応混合液は有機金属化合物の合成液である。
有機金属化合物はグリニャール反応又はその類似の反応
によって合成されている。グリニャール反応はハロゲン
化金属とハロゲン化有機マグネシウムとの脱ハロゲン化
マグネシウム反応である。
【0017】脱ハロゲン化マグネシウム反応するハロゲ
ン化金属としては、三塩化ガリウム、三臭化ガリウム、
三ヨウ化ガリウム、三塩化インジウム、三臭化インジウ
ム、三ヨウ化インジウムなどを挙げることが出来る。
【0018】ハロゲン化金属と反応するハロゲン化有機
マグネシウムとしては、ハロゲン化エチルマグネシウ
ム、ハロゲン化メチルマグネシウムなどが挙げられる。
その場合のハロゲンは塩素、臭素、ヨウ素の中から選択
されるとよい。具体的には塩化エチルマグネシウム、臭
化エチルマグネシウム、ヨウ化エチルマグネシウム、塩
化メチルマグネシウム、臭化メチルマグネシウム、ヨウ
化メチルマグネシウムなどを挙げることが出来る。
【0019】これらのハロゲン化有機マグネシウムはエ
ーテル溶媒中に金属マグネシウムとハロゲン化アルキル
とをほぼ等モルで投入して混合することで得られる。ハ
ロゲン化アルキルとしては、具体的には、モノハロゲン
化メチル又はモノハロゲン化エチルが挙げられ、その場
合のハロゲンとしては塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ
る。反応溶媒にはエーテル溶媒が用いられる。一般には
ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどが用いられ
るが、これらに限定されるものではない。
【0020】有機金属化合物はグリニャール反応類似の
方法で、マグネシウム合金とハロゲン化アルキルとを脱
ハロゲン化マグネシウムによって縮合反応させても得ら
れる。
【0021】マグネシウム合金と反応させるハロゲン化
アルキルとしては、ハロゲン化有機マグネシウムの合成
に用いられるハロゲン化アルキルと同様のものを挙げる
ことが出来る。マグネシウム合金としては例えば、マグ
ネシウム・ガリウム合金及び/又はマグネシウム・イン
ジウム合金などが挙げられる。
【0022】マグネシウム合金とハロゲン化アルキルと
の縮合反応も、エーテル溶媒中で行われる。
【0023】ハロゲン化金属とハロゲン化有機マグネシ
ウムとの間で行う脱ハロゲン化マグネシウム反応は乾燥
窒素あるいはヘリウム雰囲気下で行うとよい。
【0024】本発明では、このようにして合成された有
機金属化合物を高純度で回収するにあたり、反応混合液
中に非エーテル系溶剤を混入して共沸蒸留する。非エー
テル系溶剤はその沸点が特に50℃〜150℃であると
好ましい。
【0025】反応混合液中に混入される非エーテル系溶
剤としては、具体的には、脂肪族炭化水素などが挙げら
れる。溶剤ポケットブック(オーム社 昭和48年版)
などに記載されている沸点を参考の意味で括弧内に併記
する。以下同様である。
【0026】脂肪族炭化水素としては例えば鎖状脂肪族
が挙げられる。ヘキサン(38.742℃)、イソヘキ
サン(60〜64℃)、ヘプタン(98.4℃)、オク
タン(125.6℃)、イソオクタン(99.3℃)、
2,2−ジメチルブタン(49.741℃)、ヘキサン
を主成分とする石油エーテル(30〜70℃)あるい
は、石油ベンジン(50〜90℃)、ガソリン(30〜
200℃)などがある。そのほかにも環状脂肪族も挙げ
られる。シクロヘキサン(80.738℃)、メチルシ
クロヘキサン(100.934℃)、シクロヘプタン
(118.1℃)、シクロオクタン(148.5〜14
9.5℃)などがある。
【0027】そのほか、非エーテル系溶剤としてハロゲ
ン化炭化水素が挙げられる。例えば、クロロホルム(6
1.2℃)、四塩化炭素(76.72℃)、塩化エチレ
ン(83.5℃)、塩化エチリデン(57.3℃)、
1,1,1−トリクロロエタン(74.0℃)、1,
1,2−トリクロロエタン(113.5℃)、1,1,
1,2−四塩化エタン(129.2℃)、1,1,2,
2−四塩化エタン(146.3℃)、1,2−ジクロル
エチレン(60.25℃)、トリクロルエチレン(8
7.2℃)、テトラクロルエチレン(121.2℃)、
1,2−ジクロルプロパン(96.4℃)、塩化ブチル
(78.5℃)、塩化アミル(107.8℃)、混合塩
化アミル(85〜109℃)、塩化ヘキシル(132.
9℃)、臭化エチレン(131.4℃)、クロロブロモ
メタン(67.8℃)、2−ブロモ−1−クロロエタン
(106.8℃)などがある。
【0028】アルコールも挙げられる。例えば、メタノ
ール(64.5〜64.65℃)、エタノール(78.
32℃)、プロパノール(97.15℃)、イソプロパ
ノール(82.3℃)、ブタノール(117.7℃)、
2−メチル−1−プロパノール(107.9℃)、2−
ブタノール(99.5℃)、2−メチル−2−プロパノ
ール(82.36℃)、1−ペンタノール(137.8
℃)、2−メチル−ブタノール(128℃)、3−メチ
ル−ブタノール(131.4℃)、2−ペンタノール
(119.3℃)、3−ペンタノール(115.6
℃)、2−メチル−2−ブタノール(101.8℃)、
フーゼル油(110〜130℃)、4−メチル−2−ペ
ンタノール(131.63〜131.8℃)、2−エチ
ル−ブタノール(147℃)などがある。
【0029】ケトンも挙げられる。アセトン(56.2
℃)、メチルアセトン(50〜67℃)、メチルエチル
ケトン(79.57℃)、メチルプロピルケトン(10
3.3℃)、メチルイソブチルケトン(115.90
℃)、ジエチルケトン(102.2℃)、エチルブチル
ケトン(147.8℃)、ジプロピルケトン(143.
7℃)、アセトン油(90〜110℃)、メシチルオキ
シド(129℃)などがある。
【0030】エステルも挙げられる。ギ酸エチル(5
4.3℃)、ギ酸プロピル(81.3℃)、ギ酸ブチル
(106.8℃)、ギ酸イソブチル(98℃)、ギ酸ア
ミル(13.4℃)、酢酸メチル(57.8℃)、酢酸
エチル(77.1℃)、酢酸プロピル(101.6
℃)、酢酸イソプロピル(89.0℃)、酢酸ブチル
(126.5℃)、酢酸イソブチル(113.8℃)、
酢酸2−ブチル(112.5℃)、酢酸アミル(14
7.6℃)、酢酸イソアミル(142.5℃)、酢酸
1,3−ジメチル−ブチル(146.3℃)、2−アセ
トキシ−ヘキサン(146.3℃)、プロピオン酸メチ
ル(79.7℃)、プロピオン酸エチル(99.1
℃)、プロピオン酸ブチル(145.4℃)、酪酸メチ
ル(102.3℃)、酪酸エチル(121.3)、乳酸
メチル(144.8℃)などがある。
【0031】脂肪酸も挙げられる。ギ酸(100.70
℃)、酢酸(117.72℃)、無水酢酸(140.0
℃)、プロピオン酸(140.8℃)などがある。
【0032】有機窒素化合物も挙げられる。ニトロエタ
ン(114.0℃)、1−ニトロプロパン(131.6
℃)、2−ニトロプロパン(120.3℃)、ジエチル
アミン(55.5℃)、トリエチルアミン(89.35
℃)、イソプロピルアミン(33.0℃)、ジイソプロ
ピルアミン(83.4℃)、ブチルアミン(77.8
℃)、イソブチルアミン(68.6℃)、ジイソブチル
アミン(136〜140℃)、2−アミノブタン(6
3.5℃)、1−アミノペンタン(103℃)、2−ア
ミノペンタン(91〜92℃)、2−アミノヘキサン
(107〜110)、3−アミノメチル−ペンタン、
(125℃)、エチレンジアミン(117.0℃)、
1,2−ジアミノプロパン(120.9℃)、シクロヘ
キシルアミン(134.75℃)、N,N−ジメチルヒ
ドロキシエチルアミン(134.6℃)、N,N−ジメ
チルホルムアミド(149.56℃)、アセトニトリル
(81.60℃)、アセトンシアンヒドリン(95
℃)、ピリジン(115.58℃)、α−ピコリン(1
29.44℃)、β−ピコリン(143.8℃)、γ−
ピコリン(143.1℃)、2,6−ルチジン(14
4.4℃)などがある。
【0033】シリコーン油(>99.5℃)などの無機
溶剤も挙げられる。
【0034】本発明で用いられる非エーテル系溶剤は単
にこれらに限定されない。しかもこれらの非エーテル系
溶剤は単独で用いられてもよく、本発明の目的を損なわ
ない範囲で組み合わされて用いられてもよい。
【0035】実際の選択に当たっては上記の非エーテル
系溶剤の中で、その沸点が該エーテル溶媒の沸点より3
0℃〜50℃高く、回収予定の有機金属化合物の沸点よ
り50℃以上低い溶剤を選ぶとよい。その中でも、特に
脂肪族炭化水素化合物が好ましい。
【0036】該非エーテル系溶剤の沸点が低過ぎる場
合、すなわち、該エーテル溶媒との差が30℃未満の場
合、錯体の解離が起こりにくく、共沸蒸留による精製後
も有機金属化合物に配位したエーテルが残る。該非エー
テル系溶剤の沸点が高過ぎる場合、すなわち、有機金属
化合物の沸点との差が50℃未満の場合、単純な共沸蒸
留操作では該有機金属化合物と該非エーテル系溶剤とを
完全に分離することが出来ず好ましくない。
【0037】非エーテル系溶剤の添加は、グリニャール
反応又はグリニャール反応類似の反応終了後、反応液の
入っている反応釜内に直接行ってもよく、有機金属化合
物エーテル錯体を反応液から単離し、その単離した有機
金属化合物エーテル錯体に対して行ってもよい。その
内、単離した有機金属化合物エーテル錯体中に非エーテ
ル系溶剤を直接添加すると、有機金属の分解が抑制され
て好ましい。
【0038】
【作用】エーテル溶媒の沸点と有機金属化合物の沸点の
中間の沸点を持つ非芳香族の非エーテル系溶剤を加えて
共沸蒸留を行うと、工業的手段としてほとんど期待でき
ないと思われそうな方法であるが効率よくエーテル錯体
を分解し、実質的にエーテル溶媒の大部分を除去する。
これによって金属間化合物半導体の形成に必要なエピタ
キシャル成長にとって十分な純度の有機金属化合物を単
離精製できる。単離には工業的に著しく不利な精密蒸留
などによることを必要としない。
【0039】
【発明の効果】本発明の有機金属化合物の回収方法は、
グリニャール反応又はその類似の反応で合成された有機
金属化合物を、エーテル溶媒から高純度、高収率で容易
に回収できる。精密蒸留を必要としないのでその面から
も経済性が高い。産業上極めて有利である。
【0040】
【実施例】以下、本発明を実施例によって説明する。
【0041】実施例1 容量3リットルの4つ口フラスコに乾燥窒素あるいはヘ
リウム雰囲気下でマグネシウム屑85g(3.50モ
ル)とジエチルエーテル1400ミリリットルとを添加
して撹拌した。更にこの中に385g(3.53モル)
の臭化エチルのうちから体積で10ミリリットル取り出
して加え、臭化エチルに対するマグネシウムの付加反応
を開始させ、反応が始まると残りの臭化エチルを添加し
た。10時間撹拌してグリニャール試薬(臭化エチルマ
グネシウム)を得た。
【0042】三塩化ガリウム200g(1.14モル)
を500ミリリットルのジエチルエーテルに溶解した。
上記で得られたグリニャール試薬を撹拌しながらグリニ
ャール試薬中にその三塩化ガリウム溶液を加え、グリニ
ャール試薬と三塩化ガリウムとを反応させた。反応時間
及び熟成時間を含め10時間後に、トリエチルガリウム
のジエチルエーテル錯体が混合されているジエチルエー
テル溶液を得た。
【0043】次いで、ガラスビーズを充填した30cm
×1.5cmφのカラムを用いて上記の錯体のジエチル
エーテル溶液を蒸留し、錯体を単離した。
【0044】この単離した錯体にヘプタン400ミリリ
ットルを添加し、次いで、ガラスビーズを充填した50
cm×1.5cmφのカラムを用いて共沸蒸留して、高
純度のトリエチルガリウム145g(0.92モル)を
得た。三塩化ガリウム基準の収率は81%だった。
【0045】得られたトリエチルガリウム中のジエチル
エーテルとヘプタンの残存量をガスクロマトグラフスペ
クトロメーターで分析した。ジエチルエーテルの含有量
は10ppm以下、ヘプタンの含有量は1ppm以下だ
った。
【0046】実施例2 容量3リットルの4つ口フラスコに乾燥窒素あるいはヘ
リウム雰囲気下でマグネシウム屑85g(3.50モ
ル)、ジエチルエーテル1400ミリリットル、ヨウ化
メチル2.0ミリリットル(0.03モル)を添加して
よく撹拌し、ヨウ化メチルに対するマグネシウムの付加
反応を開始させた。反応が始まるとその撹拌していた反
応溶液に塩化メチルを20(常圧)リットル/時間の供
給速度でフィードし、50時間後にグリニャール試薬
(ヨウ化メチルマグネシウム)を得た。
【0047】得られたグリニャール試薬を更に撹拌しな
がらそのグリニャール試薬中に三塩化インジウム250
g(1.13モル)を少量ずつ添加し、そのグリニャー
ル試薬と三塩化インジウムとを反応させ、トリメチルイ
ンジウムのジエチルエーテル錯体が混合されているジエ
チルエーテル溶液を得た。
【0048】次いで、上記ジエチルエーテル溶液中から
上記錯体を実施例1と同様に単離し、ヘプタンを添加し
て共沸蒸留することにより、高純度のトリメチルインジ
ウム200g(0.90モル)を得た。三塩化インジウ
ムを基準にした収率は80%だった。
【0049】得られたトリメチルインジウム中のジエチ
ルエーテルとヘプタン各々の量をガスクロマトグラフス
ペクトロメーターで分析した。ジエチルエーテルの含有
量は5ppm以下、ヘプタンの含有量は1ppm以下だ
った。
【0050】比較例1 実施例1と同様にしてトリエチルガリウムとジエチルエ
ーテルとの錯体を単離した。この錯体中にベンゼン40
0ミリリットルを添加し、再度共沸蒸留してトリエチル
ガリウム140g(0.89モル)を得た。三塩化ガリ
ウム基準の収率は78%だった。
【0051】得られたトリエチルガリウム中のジエチル
エーテルとベンゼン各々の量をガスクロマトグラフスペ
クトロメーターで分析した。ジエチルエーテルの含有量
は100〜500ppm、ベンゼンの含有量は1000
0〜15000ppmだった。
【0052】比較例2 実施例2と同様にしてトリメチルインジウムとジエチル
エーテルとの錯体を単離した。この錯体中にベンゼンを
添加し再度蒸留してトリメチルインジウム197g
(0.89モル)を得た。三塩化インジウム基準の収率
は79%だった。
【0053】得られたトリメチルインジウム中のジエチ
ルエーテルとベンゼン各々の量をガスクロマトグラフス
ペクトロメーターで分析した。ジエチルエーテルの含有
量は500〜1000ppm、ベンゼンの含有量は30
000〜50000ppmだった。
【0054】比較例3 実施例1と同様にしてトリエチルガリウムとジエチルエ
ーテルとの錯体を単離した。次いでその錯体を再度蒸留
することによりトリエチルガリウム63g(0.40モ
ル)を得た。三塩化ガリウム基準の収率は35%だっ
た。
【0055】得られたトリエチルガリウム中のジエチル
エーテルの量をガスクロマトグラフスペクトロメーター
で分析した。ジエチルエーテルの含有量は500〜10
00ppmだった。
【0056】比較例4 実施例2と同様にしてトリメチルインジウムとジエチル
エーテルとの錯体を単離した。次いでその錯体を再度蒸
留することによりトリメチルインジウム60g(0.2
7モル)を得た。三塩化インジウム基準の収率は24%
だった。
【0057】得られたトリメチルインジウム中のジエチ
ルエーテルの量をガスクロマトグラフスペクトロメータ
ーで分析した。ジエチルエーテルの含有量は1000〜
1500ppmだった。
【0058】実施例1、2及び比較例1〜4の結果から
非ベンゼン系の非エーテル系溶剤を加えることで有機金
属化合物の純度が極めて高くなることが分かった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大崎 浩美 新潟県中頸城郡頸城村大字西福島28番地の 1 信越化学工業株式会社合成技術研究所 内 (72)発明者 佐藤 幸平 新潟県中頸城郡頸城村大字西福島28番地の 1 信越化学工業株式会社合成技術研究所 内 (72)発明者 金子 功 新潟県中頸城郡頸城村大字西福島28番地の 1 信越化学工業株式会社合成技術研究所 内

Claims (21)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハロゲン化金属とハロゲン化有機マグネ
    シウムとを脱ハロゲン化マグネシウムによってエーテル
    溶媒中で縮合反応させ、有機金属を合成してその有機金
    属を反応混合液から蒸留回収するとき、その反応混合液
    に非エーテル系溶剤を加えて共沸蒸留することを特徴と
    する有機金属化合物の回収方法。
  2. 【請求項2】 該ハロゲン化金属が、三塩化ガリウム、
    三臭化ガリウム、三ヨウ化ガリウム、三塩化インジウ
    ム、三臭化インジウム、三ヨウ化インジウムの中から選
    択される請求項1に記載の有機金属化合物の回収方法。
  3. 【請求項3】 該ハロゲン化有機マグネシウムがハロゲ
    ン化エチルマグネシウム又はハロゲン化メチルマグネシ
    ウムであり、そのハロゲンは塩素、臭素、ヨウ素の中か
    ら選択される請求項1又は2に記載の有機金属化合物の
    回収方法。
  4. 【請求項4】 該ハロゲン化有機マグネシウムの合成
    は、金属マグネシウムとハロゲン化アルキルとをエーテ
    ル溶媒中で実質的に等モルで混合して行う請求項1〜3
    のいずれかに記載の有機金属化合物の回収方法。
  5. 【請求項5】 該ハロゲン化アルキルは、モノハロゲン
    化メチル又はモノハロゲン化エチルである請求項4に記
    載の有機金属化合物の回収方法。
  6. 【請求項6】 該ハロゲンが塩素、臭素、ヨウ素の中か
    ら選択される請求項5に記載の有機金属化合物の回収方
    法。
  7. 【請求項7】 ハロゲン化有機マグネシウムを合成する
    該エーテル溶媒がジエチルエーテル及び/又はテトラヒ
    ドロフランである請求項4に記載の有機金属化合物の回
    収方法。
  8. 【請求項8】 マグネシウム合金とハロゲン化有機物と
    を脱ハロゲン化マグネシウムによってエーテル溶媒中で
    縮合反応させ、有機金属を合成してその有機金属を反応
    混合液から蒸留回収するとき、その反応混合液に非エー
    テル系溶剤を加えて共沸蒸留することを特徴とする有機
    金属化合物の回収方法。
  9. 【請求項9】 該マグネシウム合金がマグネシウム・ガ
    リウム合金及び/又はマグネシウム・インジウム合金で
    ある請求項8に記載の有機金属化合物の回収方法。
  10. 【請求項10】 該ハロゲン化有機物がモノハロゲン化
    メチル又はモノハロゲン化エチルである請求項8又は9
    に記載の有機金属化合物の回収方法。
  11. 【請求項11】 脱ハロゲン化マグネシウム反応させる
    該エーテル溶媒がジエチルエーテル又は/及びテトラヒ
    ドロフランである請求項1〜10のいずれかに記載の有
    機金属化合物の回収方法。
  12. 【請求項12】 該脱ハロゲン化マグネシウム反応は乾
    燥窒素あるいはヘリウム雰囲気下で行う請求項1〜11
    のいずれかに記載の有機金属化合物の回収方法。
  13. 【請求項13】 該非エーテル系溶剤はその沸点が50
    ℃〜150℃にある請求項1〜12のいずれかに記載の
    有機金属化合物の回収方法。
  14. 【請求項14】 該非エーテル系溶剤が脂肪族炭化水
    素、ハロゲン化炭化水素、アルコール、ケトン、エステ
    ル、脂肪酸、有機窒素化合物、無機溶剤でなる中から選
    ばれる請求項1〜13のいずれかに記載の有機金属化合
    物の回収方法。
  15. 【請求項15】 該脂肪族炭化水素化合物がヘプタンで
    ある請求項14に記載の有機金属化合物の回収方法。
  16. 【請求項16】 該非エーテル系溶剤の選択はその沸点
    が脱ハロゲン化マグネシウム反応させるエーテル溶媒の
    沸点より30℃以上高く、回収しようとする有機金属化
    合物の沸点より50℃以上低い溶剤の中から選択する請
    求項1〜15のいずれかに記載の有機金属化合物の回収
    方法。
  17. 【請求項17】 非エーテル系溶剤の添加は、脱ハロゲ
    ン化マグネシウム反応終了後、反応液の入っている反応
    釜内に直接行う請求項1〜16のいずれかに記載の有機
    金属化合物の回収方法。
  18. 【請求項18】 非エーテル系溶剤の添加は、有機金属
    化合物とエーテルとの錯体を反応液から単離し、その単
    離した錯体に対して行う請求項1〜17のいずれかに記
    載の有機金属化合物の回収方法。
  19. 【請求項19】 有機金属化合物が次式1 R3 M ・・・(1) (式中、Mはガリウム又はインジウム、Rはアルキル)
    で示されるアルキル金属化合物である請求項1〜19の
    いずれかに記載の有機金属化合物の回収方法。
  20. 【請求項20】 アルキル基がエチル基又は/及びメチ
    ル基である請求項19に記載の有機金属化合物の回収方
    法。
  21. 【請求項21】 有機金属化合物がエピタキシャル成長
    用の有機金属化合物である請求項1〜19のいずれかに
    記載の有機金属化合物の回収方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5922640A (en) * 1996-02-29 1999-07-13 Mitsubishi Gas Chemical Company, Inc. Adsorbent for carbon monoxide
KR100764935B1 (ko) * 2006-08-18 2007-10-09 (주)디엔에프 고순도의 유기갈륨화합물의 제조방법

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