JPH0696484A - オーバーライト可能な光磁気記録媒体の再生方法および記録再生装置 - Google Patents

オーバーライト可能な光磁気記録媒体の再生方法および記録再生装置

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JPH0696484A
JPH0696484A JP4244598A JP24459892A JPH0696484A JP H0696484 A JPH0696484 A JP H0696484A JP 4244598 A JP4244598 A JP 4244598A JP 24459892 A JP24459892 A JP 24459892A JP H0696484 A JPH0696484 A JP H0696484A
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layer
magnetization
medium
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JP4244598A
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Akio Okamuro
昭男 岡室
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Abstract

(57)【要約】 それぞれ垂直磁化膜からなり、後述するM層より高いキ
ュリー点を有するリード層(R層)、R層に交換結合し
た垂直磁化層からなるメモリ層(M層)およびM層に交
換結合した垂直磁化膜からなるライティング層(W層)
の少なくとも3層を含み、M層の磁化の向きを反転させ
ることなくW層の磁化の向きを所定の向きに揃えること
ができ、垂直磁化膜内での磁化の向きを該所定の向きと
該所定の向きと反対の向きのいずれかの向きとすること
により2値化された情報を記録することができる光変調
方式でオーバーライト可能な光磁気記録媒体に記録され
た情報を、該R層に直線偏光したビームを照射し反射ビ
ームの偏光面の回転状態を検知することにより再生する
際に該媒体が受ける外部磁場を0(ゼロ)とする。これ
により再生時に安定した高C/N比が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光磁気記録媒体に記録
された情報を再生する方法および装置に関わる。
【0002】
【従来の技術】最近、高密度、大容量、高いアクセス速
度、並びに高い記録及び再生速度を含めた種々の要求を
満足する光学的記録再生方法、それに使用される記録装
置、再生装置及び記録媒体を開発しようとする努力が成
されている。広範囲な光学的記録再生方法の中で、光磁
気記録再生方法は、情報を記録した後、消去することが
でき、再び新たな情報を記録することが繰り返し何度も
可能であるというユニークな利点のために、最も大きな
魅力に満ちている。
【0003】この光磁気記録再生方法で使用される記録
媒体は、記録を残す層として1層又は多層からなる垂直
磁化膜(perpendicular magnetic layer or layers)を有
する。この磁化膜は、例えばアモルファスのGdFeやGdC
o、GdFeCo、TbFe、TbCo、TbFeCoなどからなる。垂直磁
化膜は、一般に同心円状又はらせん状のトラックを有し
ており、このトラックの上に情報が記録される。トラッ
クは明示的な場合と黙示的な場合の2通りある。 〔明示的なトラック〕光磁気記録媒体はディスク形状を
している。明示的なトラックを有するディスクは、ディ
スク平面に対し垂直方向から見た場合、情報を記録する
トラックが渦巻状又は同心円状に形成されている。そし
て、隣接する2つのトラック間にトラッキングのため及
び分離のための溝(グルーブ groove )が存在する。逆
に溝と溝の間をランド(land)と呼ぶ。実際には、ディス
クの裏表でランドと溝が逆になる。そこで、ビームが入
射する方向からディスクを見て、手前を溝、奥をランド
と呼ぶ。垂直磁化膜は、溝の上にもランドの上にも一面
に形成するので、溝の部分をトラックにしてもよいし、
ランドの部分をトラックにしてもよい。溝の幅とランド
の幅との間に特に大小関係はない。
【0004】このようなランドと溝を構成するために、
一般に、基板には、表面に渦巻状又は同心円状に形成さ
れたランドと、2つの隣合うランド間に挟まれた溝が存
在する。このような基板上に薄く垂直磁化膜が形成され
る。これにより垂直磁化膜はランドと溝を持つ。 〔マーク〕本明細書では、膜面に対し「上向き(upwar
d) 」又は「下向き(downward)」の何れか一方を、「A
向き」、他方を「逆A向き」と定義する。記録すべき情
報は、予め2値化されており、この情報が「A向き」の
磁化を有するマーク(B1)と、「逆A向き」の磁化を有
するマーク(B0)の2つの信号で記録される。これらの
マークB1 ,B0 は、デジタル信号の1,0の何れか一
方と他方にそれぞれ相当する。しかし、一般には記録さ
れるトラックの磁化は、記録前に強力な外部磁場を印加
することによって「逆A向き」に揃えられる。この磁化
の向きを揃える行為は、古い意味で「初期化* (initia
lize* )」と呼ばれる。その上でトラックに「A向き」
の磁化を有するマーク(B1)を形成する。情報は、この
マーク(B1)の有無及び/又はマーク長によって表現さ
れる。尚、マークは、過去にピット又はビットと呼ばれ
たことがあるが、最近はマークと呼ぶ。 〔マーク形成の原理〕マークの形成に於いては、レーザ
ーの特徴即ち空間的時間的に素晴らしい凝集性(coheren
ce) が有利に使用され、レーザー光の波長によって決定
される回折限界とほとんど同じ位に小さいスポットにビ
ームが絞り込まれる。絞り込まれた光はトラック表面に
照射され、垂直磁化膜に直径が1μm以下のマークを形
成することにより情報が記録される。光学的記録におい
ては、理論的に約108 マーク/cm2 までの記録密度を達
成することができる。何故ならば、レーザビームはその
波長とほとんど同じ位に小さい直径を有するスポットに
まで凝縮(concentrate)することが出来るからである。
【0005】図3に示すように、光磁気記録において
は、レーザービーム(L)を垂直磁化膜(MO)の上に
絞りこみ、それを加熱する。その間、初期化* された向
きとは反対の向きの記録磁界(Hb)を加熱された部分に
外部から印加する。そうすると局部的に加熱された部分
の保磁力Hc(coersivity) は減少し記録磁界(Hb)より
小さくなる。その結果、その部分の磁化は、記録磁界
(Hb)の向きに並ぶ。こうして逆向きに磁化されたマー
クが形成される。
【0006】フェロ磁性材料とフェリ磁性材料では、磁
化及びHc の温度依存性が異なる。フェロ磁性材料はキ
ュリー点付近で減少するHc を有し、この現象に基づい
て記録が実行される。従って、Tc 書込み(キュリー点
書込み)と引用される。他方、フェリ磁性材料はキュリ
ー点より低い補償温度(compensation temperature ) T
comp. を有しており、そこでは磁化(M)はゼロにな
る。逆にその温度付近でHc が非常に大きくなり、その
温度から外れるとHc が急激に低下する。この低下した
Hc は、比較的弱い記録磁界(Hb)によって打ち負かさ
れる。つまり、記録が可能になる。この記録プロセスは
Tcomp. 書込み(補償点書込み)と呼ばれる。
【0007】もっとも、キュリー点又はその近辺、及び
補償温度の近辺にこだわる必要はない。要するに、室温
より高い所定の温度に於いて、低下したHc を有する磁
性材料に対し、その低下したHc を打ち負かせる記録磁
界(Hb )を印加すれば、記録は可能である。但し、室
温より高い所定の温度に達していない領域(この領域の
Hc は元の高いHc を有する)にある垂直磁化膜(M
O)の磁化を反転するような高すぎるHb は、不可であ
る。 〔再生の原理〕図4は、光磁気効果に基づく情報再生の
原理を示す。光は、光路に垂直な平面上で全ての方向に
通常は発散している電磁場ベクトルを有する電磁波であ
る。光が直線偏光(Lp ) に変換され、そして垂直磁化
膜(MO)に照射されたとき、光はその表面で反射され
るか又は垂直磁化膜(MO)を透過する。このとき、偏
光面は磁化Mの向きに従って回転する。この回転する現
象は、磁気カー(Kerr)効果又は磁気ファラデー(Farada
y) 効果と呼ばれる。
【0008】例えば、もし反射光の偏光面が「A向き」
磁化に対してθk 度回転するとすると、「逆A向き」磁
化に対しては−θk 度回転する。従って、光アナライザ
ー(偏光子)の軸を−θk 度傾けた面に垂直にセットし
ておくと、「逆A向き」に磁化されたマーク(B0)から
反射された光はアナライザーを透過することができな
い。それに対して「A向き」に磁化されたマーク(B1)
から反射された光は、 (sin2θk)2 を乗じた分がアナラ
イザーを透過し、ディテクター(光電変換手段)に捕獲
される。その結果、「A向き」に磁化されたマーク(B
1)は「逆A向き」に磁化されたマーク(B0)よりも明る
く見え、ディテクターに於いて強い電気信号を発生させ
る。従って、このディテクターからの電気信号は、記録
された情報に従って変調されるので、情報が再生される
のである。
【0009】ところで、記録ずみの媒体を再使用するに
は、 (1) 媒体を再び初期化* 装置で初期化* するか、
又は (2) 記録装置に記録ヘッドと同様な消去ヘッドを
併設するか、又は (3) 予め、前段処理として記録装置
又は消去装置を用いて記録ずみ情報を消去する必要があ
る。従って、光磁気記録方式では、これまで、記録ずみ
情報の有無にかかわらず新たな情報をその場で記録でき
るオーバーライトは、不可能とされていた。
【0010】もっとも、もし記録磁界Hb の向きを必要
に応じて「A向き」と「逆A向き」との間で自由に変調
することができれば、オーバーライトが可能になる。し
かしながら、記録磁界Hb の向きを高速度で変調するこ
とは不可能である。例えば、記録磁界Hb が永久磁石で
ある場合、磁石の向きを機械的に反転させる必要があ
る。しかし、磁石の向きを高速で反転させることは、無
理である。記録磁界Hbが電磁石である場合にも、大容
量の電流の向きをそのように高速で変調することは不可
能である。
【0011】しかしながら、技術の進歩は著しく、記録
磁界Hb の強度を変調せずに(ON、OFF を含む) 又は記
録磁界Hb の向きを変調せずに、照射する光ビームの強
度を記録すべき2値化情報に従い変調するだけで、オー
バーライトが可能な光磁気記録方法と、それに使用され
るオーバーライト可能な光磁気記録媒体と、同じくそれ
に使用されるオーバーライト可能な記録装置が発明さ
れ、特許出願された(特開昭62−175948号=DE3,619,61
8A1 =米国特許出願中 Ser.No453,255) 。以下、この発
明を「基本発明」と引用する。 〔基本発明の説明〕基本発明では、「基本的に垂直磁化
可能な磁性薄膜からなる記録再生層recording layer
(本明細書では、この記録再生層をメモリー層 Memory
layer又はM層と言う)と、垂直磁化可能な磁性薄膜か
らなる記録補助層 referencelayer (本明細書では、こ
の記録補助層をライティング層 Writing layer 又はW
層と言う)とを含み、両層は交換結合しており、かつ、
室温でM層の磁化の向きは変えないでW層の磁化のみを
所定の向きに向けておくことができるオーバーライト可
能な多層光磁気記録媒体」を使用する。
【0012】そして、情報をM層(場合によりW層に
も)における「A向き」磁化を有するマークと「逆A向
き」磁化を有するマークで表現し、記録するのである。
この媒体は、W層が外部手段(例えば初期補助磁界Hin
i. )によって、その磁化の向きを「A向き」に揃える
ことができる。しかも、そのとき、M層は、磁化の向き
は反転せず、更に、一旦「A向き」に揃えられたW層の
磁化の向きは、M層からの交換結合力を受けても反転せ
ず、逆にM層の磁化の向きは、「A向き」に揃えられた
W層からの交換結合力を受けても反転しない。
【0013】そして、W層は、M層に比べて低い保磁力
HC と高いキュリー点TC を持つ。基本発明の記録方法
によれば、記録媒体は、記録前までに、外部手段により
W層の磁化の向きだけが「A向き」に揃えられる。この
行為を本明細書では特別に“初期化(initialize)”と呼
ぶ。この“初期化”はオーバーライト可能な媒体に特有
なことである。
【0014】その上で、2値化情報に従いパルス変調さ
れたレーザービームが媒体に照射される。レーザービー
ムの強度は、高レベルPH と低レベルPL があり、これ
はパルスの高レベルと低レベルに相当する。この低レベ
ルは、再生時に媒体を照射する再生レベルPR よりも高
い。既に知られているように、記録をしない時にも、例
えば媒体における所定の記録場所をアクセスするために
レーザービームを<非常な低レベル>で点灯することが
ある。この<非常な低レベル>も、再生レベルPR と同
一又は近似のレベルである。従って、基本発明における
レーザービームの出力波形は、例えば、図5の通りにな
る。
【0015】なお、基本発明の明細書には明記されてい
ないが、基本発明では、記録用のビームは、1本ではな
く近接した2本のビームを用いて、先行ビームを原則と
して変調しない低レベルのレーザービーム(消去用)と
し、後行ビームを情報に従い変調する高レベルのレーザ
ービーム(書込用)としてもよい。この場合、後行ビー
ムは、高レベルと基底レベル(低レベルと同一又はそれ
より低いレベルであり、出力がゼロでもよい)との間で
パルス変調される。この場合の出力波形は例えば図6に
示される。
【0016】ビームが照射された部分の媒体に、向きも
強度も変調されない記録磁界Hb が作用する。Hb は、
ビームの照射された部分(スポット領域)と同じ位の寸
法に絞ることはできず、Hb が作用する領域は、スポッ
ト領域に比べれば、ずっと大きい。低レベルのビームが
照射されると、前のマークの磁化の向きに無関係に、M
層に「A向き」のマーク(B1)又は「逆A向き」のマー
ク(B0)の一方が形成される。
【0017】そして、高レベルのビームが照射される
と、前のマークの磁化の向きに無関係に、M層に他方の
マークが形成される。これでオーバーライトが完了す
る。基本発明では、レーザービームは、記録すべき情報
に従いパルス状に変調される。しかし、このこと自身
は、従来の光磁気記録でも行われており、記録すべき2
値化情報に従いビーム強度をパルス状に変調する手段は
既知の手段である。例えば、THE BELL SYSTEM TECHN
ICAL JOURNAL, Vol.62(1983),1923 −1936に詳しく説
明されている。従って、ビーム強度の必要な高レベルと
低レベルが与えられれば、従来の変調手段を一部修正す
るだけで容易に入手できる。当業者にとって、そのよう
な修正は、ビーム強度の高レベルと低レベルが与えられ
れば、容易であろう。
【0018】基本発明に於いて特徴的なことの1つは、
ビーム強度の高レベルと低レベルである。即ち、ビーム
強度が高レベルの時に、記録磁界Hb その他の外部手段
によりW層の「A向き」磁化を「逆A向き」に反転(re
verse)させ、このW層の「逆A向き」磁化によってM層
に「逆A向き」磁化〔又は「A向き」磁化〕を有するマ
ークを形成する。ビーム強度が低レベルの時は、W層の
磁化の向きは、“初期化”状態と変わらず、そして、W
層の作用(この作用は交換結合力を通じてM層に伝わ
る)によってM層に「A向き」磁化〔又は「逆A向き」
磁化〕を有するマークを形成する。
【0019】なお、本明細書で、○○○〔又は△△△〕
という表現は、先に〔 〕の外の○○○を読んだときに
は、以下の○○○〔又は△△△〕のときにも、〔 〕の
外の○○○を読むことにする。それに対して先に○○○
を読まずに〔 〕内の△△△の方を選択して読んだとき
には、以下の○○○〔又は△△△〕のときにも○○○を
読まずに〔 〕内の△△△を読むものとする。
【0020】基本発明で使用される媒体は、第1実施態
様と第2実施態様とに大別される。いずれの実施態様に
おいても、記録媒体は、M層とW層を含む多層構造を有
する。M層は、室温で保磁力が高く磁化反転温度が低い
磁性層である。W層はM層に比べ相対的に室温で保磁力
が低く磁化反転温度が高い磁性層である。なお、M層と
W層ともに、それ自体多層膜から構成されていてもよ
い。場合によりM層とW層との間に中間層(例えば、交
換結合力σW 調整層・・・・以下、この層をInt.層と略
す)が存在していてもよい。Int.層については、特開昭
64−50257 号や特開平1−273248号を参照されたい。
【0021】第1実施態様では、M層の保磁力をHC1、
W層のそれをHC2、M層のキュリー点をTC1、W層のそ
れをTC2、室温をTR 、低レベルPL のレーザービーム
を照射した時の記録媒体の温度をTL 、高レベルPH の
レーザービームを照射した時のそれをTH 、M層が受け
る結合磁界をHD1(HD1はσW をM層飽和磁気モーメン
トMS とM層の膜厚tとの積で割った商で算出され
る)、W層が受ける結合磁界をHD2(HD2はσW をW層
飽和磁気モーメントMS とW層の膜厚tとの積で割った
商で算出される)とした場合、記録媒体は、下記の式1
を満足し、そして室温で式2〜5を満足するものであ
る。
【0022】 TR <TC1≒TL <TC2≒TH ・・・・・・・式1 HC1>HC2+|HD1−(±HD2)|・・・・・式2 HC1>HD1 ・・・・・・・・・・・・・・・式3 HC2>HD2 ・・・・・・・・・・・・・・・式4 HC2+HD2<|Hini. |<HC1±HD1・・・・式5 上記式中、符号「≒」は、等しいか又はほぼ等しい(±
20℃位) ことを表す。また上記式中、複号±について
は、上段が後述するA(antiparallel) タイプの媒体の
場合であり、下段は後述するP(parallel)タイプの媒体
の場合である。なお、フェロ磁性体媒体はPタイプに属
する。
【0023】つまり、保磁力と温度との関係をグラフで
表すと、一般には図7の如くなる。細線はM層のそれ
を、太線はW層のそれを表す。従って、この記録媒体に
室温で外部手段例えば初期補助磁界(Hini.) を印加する
と、式5によれば、M層の磁化の向きは反転せずにW層
の磁化のみが反転する。そこで、記録前に媒体に外部手
段から作用(例えば、初期補助磁界Hini.)を及ぼすと、
W層の磁化のみを「A向き」に揃えることができる。つ
まり、“初期化”である。以下の説明では、「A向き」
を便宜的に本明細書紙面において上向きの矢↑で示し、
「逆A向き」を下向きの矢↓で示す。そして、Hini. が
なくなっても、式4により、W層の磁化↑は再反転せず
にそのまま保持される。
【0024】外部手段によりW層の磁化のみが、記録前
までに「A向き」↑に揃えられた状態−−−−“初期
化”された状態−−−−を概念的に表すと、図8にな
る。図8でM層における磁化の向きは、それまでに記録
されていた情報を表わす。以下の説明においては、M層
の磁化の向きに関係がないので、これをXで示し簡略化
すると、図8は、図9の状態1で示せる。
【0025】ここにおいて、高レベルのレーザービーム
を照射して媒体温度をTH に上昇させる。すると、TH
はキュリー点TC1より高温度なのでM層の磁化は消失し
てしまう。更にTH はキュリー点TC2付近なのでW層の
磁化も全く又はほぼ消失する。ここで、媒体の種類に応
じて「A向き」又は「逆A向き」の記録磁界Hb を印加
する。Hb は、媒体自身からの浮遊磁界でもよい。説明
を簡単にするために「逆A向き」↓の記録磁界Hb を印
加したとする。媒体は移動しているので、照射された部
分は、レーザービームから直ぐに遠ざかり、冷却され
る。Hb の存在下で、媒体の温度が低下すると、W層の
磁化は、Hb に従い、反転されて「逆A向き」↓の磁化
となる(図9状態2)。
【0026】そして、さらに放冷が進み、媒体温度がT
C1より少し下がると、再びM層の磁化が現れる。その場
合、磁気的結合(交換結合)力のために、M層の磁化の
向きは、W層の影響を受け所定の向きとなる。その結
果、媒体の種類に応じて「逆A向き」↓のマーク(Pタ
イプの媒体の場合)又は「A向き」↑のマーク(Aタイ
プの媒体の場合)がM層に形成される。この状態が図9
状態3(Pタイプ)又は状態4(Aタイプ)である。
【0027】この高レベルのレーザービームによる状態
の変化をここでは高温サイクルと呼ぶことにする。次
に、低レベルPL のレーザービームを照射して 媒体温
度をTL に上昇させる。TL はキュリー点TC1付近なの
でM層の磁化は全く又はほぼ消失してしまうが、キュリ
ー点TC2よりは低温であるのでW層の磁化は消失しな
い。この状態は図9状態5で示される。ここでは、記録
磁界Hb は、不要であるが、高速度(短時間)でHb を
ON,OFFすることは不可能である。従って、止むを
得ず高温サイクルのときのままになっている。
【0028】しかし、HC2はまだ大きいままなので、H
b によってW層の磁化↑が反転することはない。媒体は
移動しているので、照射された部分は、レーザービーム
から直ぐに遠ざかり、冷却される。冷却が進むと、再び
M層に磁化が現れる。現れる磁化の向きは、磁気的結合
力のためにW層の影響を受け所定の向きとなる。その結
果、媒体の種類に応じて「A向き」↑のマーク(Pタイ
プの媒体の場合)又は「逆A向き」↓のマーク(Aタイ
プの媒体の場合)がM層に形成される。この磁化は室温
でも変わらない。この状態が図9状態6(Pタイプ)又
は状態7(Aタイプ)である。
【0029】この低レベルのレーザービームによる状態
の変化をここでは低温サイクルと呼ぶことにする。以
上、説明したように、記録前のM層の磁化の向きがどう
であれ、高温サイクルと低温サイクルを選択することに
よって、「逆A向き」↓のマークと、「A向き」↑のマ
ークをM層に自由に形成できる。つまり、レーザービー
ムを情報に従い高レベル(高温サイクル)と低レベル
(低温サイクル)との間でパルス状に変調することによ
りオーバーライトが可能となる。図10、図11を参照
されたい。図10、図11では、それぞれPタイプ及び
Aタイプの媒体について、いずれも室温又は室温に戻っ
たとき形成されている磁化の向きを描いてある。
【0030】これまでの説明は、M層、W層ともに室温
とキュリー点との間に補償温度Tcomp. がない磁性体組
成について説明した。しかし、補償温度Tcomp. が存在
する場合には、それを越えると磁化の向きが反転する
こと−−−−実際にはRE、TMの各副格子磁化の向き
は変わらないが、その大小関係が逆転するので、全体
(合金)としての磁化の向きが反転する−−−−−と、
A、Pタイプが逆になるので、説明はそれだけ複雑に
なる。この場合、記録磁界Hb の向きも、室温で考えた
場合、前頁の説明の向き↓と逆になる。つまり、“初期
化”されたW層の磁化の向き↑と同じ向きのHb を印加
する。
【0031】記録媒体は一般にディスク状であり、記録
時、媒体は回転される。そのため、記録された部分(マ
ーク)は、記録後に再び外部手段例えばHini. の作用を
受け、その結果、W層の磁化は元の「A向き」↑に揃え
られる。つまり、W層は“初期化”される。しかし、室
温では、W層の磁化の影響がM層に及ぶことはなく、そ
のため記録された情報は保持される。
【0032】そこで、M層に直線偏光を照射すれば、そ
の反射光には情報が含まれているので、従来の光磁気記
録媒体と同様に情報が再生される。このようなM層及び
W層を構成する垂直磁化膜は、補償温度を有せずキュ
リー点を有するフェロ磁性体の非晶質或いは結晶質、
補償温度を有せずキュリー点を有する及びフェリ磁性体
の非晶質或いは結晶質、並びに補償温度、キュリー点
の双方を有するフェリ磁性体の非晶質或いは結晶質から
なる群から選択される。
【0033】以上の説明は、磁化反転温度としてキュリ
ー点を利用した第1実施態様の説明である。それに対し
て第2実施態様はキュリー点より低い温度に於いて低下
したHc を利用するものである。第2実施態様は、第1
実施態様に於けるTC1の代わりにM層がW層に磁気結合
される温度TS1を使用し、TC2の代わりにW層がHbで
反転する温度TS2を使用すれば、第1実施態様と同様に
説明される。
【0034】第2実施態様では、M層の保磁力をHC1、
W層のそれをHC2、M層がW層に磁気的に結合される温
度をTs1とし、W層の磁化がHb で反転する温度をTS
2、室温をTR 、低レベルPL のレーザービームを照射
した時の媒体の温度をTL 、高レベルPH のレーザービ
ームを照射した時のそれをTH 、M層が受ける結合磁界
をHD1(HD1はσW をM層の飽和磁気モーメントMS と
M層の膜厚tとの積で割った商で算出される)、W層が
受ける結合磁界をHD2(HD2はσW をW層飽和磁気モー
メントMS とW層の膜厚tとの積で割った商で算出され
る)とした場合、記録媒体は、下記式6を満足し、かつ
室温で式7〜10を満足するものである。
【0035】 TR <Ts1≒TL <Ts2≒TH ・・・・・・・式6 HC1>HC2+|HD1−(±HD2)|・・・・・式7 HC1>HD1 ・・・・・・・・・・・・・・・式8 HC2>HD2 ・・・・・・・・・・・・・・・式9 HC2+HD2<|Hini. |<HC1±HD1・・・・式10 上記式中、複号±については、上段がA(antiparalle
l) タイプの媒体の場合であり、下段はP(parallel)タ
イプの媒体の場合である。
【0036】第2実施態様では、高温TH のとき、W層
の磁化は消失していないが、十分に弱く、M層の磁化は
消失しているか、又は十分に弱い。M層、W層ともに十
分に弱い磁化を残留していても、記録磁界Hb ↓が十分
に大きいので、Hb ↓がW層及び場合によりM層の磁化
の向きをHb ↓に従わせることができる。この状態が図
12状態2である。この後、直ちに又はレーザービ
ームの照射が無くなって放冷が進み、媒体温度がTH よ
り下がった時又はHb から遠ざかった時、W層がσW
を介してM層に影響を及ぼしてM層の磁化の向きを安定
な向きに従わせる。その結果、図12状態3(Pタイ
プ)又は状態4(Aタイプ)となる。
【0037】他方、低温TL のとき、W層はもちろんM
層も磁化を消失していない。しかし、M層のそれは比較
的小さい。この場合、マークの状態には、Pタイプの場
合図12状態5と状態6の2種類あり、Aタイプの場
合、図12状態7と状態8の2種類ある。状態6及び状
態8では、M層とW層との間に界面磁壁(太線で示すも
の)が生じており、やや不安定(準安定)な状態であ
る。状態1は状態5〜8のいずれかを示す。この状態の
媒体部分が、レーザービームの照射位置に来る直前に、
Hb ↓の印加を受ける。それでも、この状態6又は状態
8は保持される。何故ならば、W層は、室温で、十分な
磁化を有するので、磁化がHb ↓によって反転すること
はない。また、Hb ↓と向きが反対の状態8のメモリー
層は、Hb ↓の影響より大きなW層からの交換結合力σ
W の影響を受け、Pタイプ故にW層と同じ向きに、磁化
の向きが保持される。
【0038】その後、まもなく状態6又は状態8は低レ
ベルのレーザービームの照射を受ける。そのため、媒体
温度は上昇する。それに伴い両層の保磁力は低下する。
しかし、W層は高いキュリー点を有するので、保磁力H
C2の低下は小さく、Hb ↓に負けることがなく、“初期
化”されたときの磁化の向き「A向き」↑が維持され
る。他方、M層は低いキュリー点を有するものの、媒体
温度は未だM層のキュリー点Tc1より低いので、保磁力
HC1は残存する。しかし、HC1は小さいので、M層は
Hb ↓の影響とW層からの交換結合力σw を介した影
響(Pタイプの場合、同じ向きに向かせようとする力)
を受ける。この場合、後者の方が強く、 式10の2 :HC1+Hb <(σw /2MS1t1 ) 式10の3 :HC2+Hb >(σw /2MS2t2 ) の2つの式が同時に満足される。これらの式が同時に満
足される最も低い温度をTLminと呼ぶ。換言すれば、状
態6又は状態8の磁壁が消滅する最低温度がTLminであ
る。
【0039】その結果、状態6は状態9に移行し、状態
8は状態10に移行する。他方、磁壁が元々ない状態5は
状態9と同じであり、同じく磁壁が元々ない状態7は状
態10と同じであるから、結局、前の状態(Pタイプの場
合、状態5か6か、Aタイプの場合、状態7か8か)に
関係なく、低レベルのビームの照射により状態9(Pタ
イプ)又は状態10(Aタイプ)のマークが形成される。
【0040】この状態は、その後マークがレーザービー
ムの照射が止んだり又は照射位置から外れたりすること
により、媒体温度が低下し、室温に戻った時にも、変わ
らない。この図12状態9(Pタイプ)又は状態10
(Aタイプ)は、図9状態6(Pタイプ)又は状態7
(Aタイプ)と同一である。これにより、M層のキュリ
ー点TC1まで媒体温度を高めることなく、低温サイクル
が実現されることが理解されよう。
【0041】実は低温サイクルをTC1以上で実施する第
1実施態様の場合にも、媒体温度が室温からTC1に上昇
する途中でTLminを通るので、そのとき、Pタイプの場
合、状態6から状態9への移行が、Aタイプの場合、状
態8から状態10への移行がそれぞれ起こるのである。そ
の後、TC1に至り、図9状態5となるのである。以上の
説明は、M層、W層ともに室温とキュリー点との間に補
償温度Tcomp.がない磁性体組成について説明した。し
かし、補償温度Tcomp. が存在する場合には、それを越
えると磁化の向きが反転することとA、Pタイプが
逆になるので、説明はそれだけ複雑になる。また、記録
磁界Hb の向きも、室温で考えた場合の向きと逆にな
る。
【0042】第1、第2実施態様ともに、M層及びW層
が遷移金属(例えばFe, Co) −重希土類金属( 例えばG
d,Tb,Dyその他) 合金組成から選択された非晶質フェリ
磁性体である記録媒体が好ましい。M層、W層の双方と
も、遷移金属(TM= transition metal)−重希土類金
属(RE=heavy rare earth metal )合金組成から
選択された場合には、各合金としての外部に現れる磁化
の向き及び大きさは、合金内部のTM原子の副格子磁
化の向きと大きさとRE原子の副格子磁化の向きと大
きさの関係で決まる。例えばTMの副格子磁化の向き及
び大きさを点線の矢印ベクトルで表わし、REの副格子
磁化のそれを実線の矢印ベクトルで表し、合金全体の磁
化の向き及び大きさを白抜きの矢印ベクトルで表す。こ
のとき白抜きの矢(ベクトル)は点線の矢(ベクトル)
と実線の矢(ベクトル)との和として表わされる。ただ
し、合金の中ではTMの副格子磁化とRE副格子磁化と
の相互作用のために点線の矢(ベクトル)と実線の矢
(ベクトル)とは、向きが必ず逆になっている。従っ
て、点線の矢(ベクトル)と実線の矢(ベクトル)との
和は、両者の強度が等しいとき、合金のベクトルは ゼ
ロ(つまり、外部に現れる磁化の大きさはゼロ)にな
る。室温でこのゼロになるときの合金組成は補償組成(c
ompensation composition ) と呼ばれる。それ以外の組
成のときには、合金は両方の副格子磁化の強度差に等し
い強度を有し、いずれか大きい方のベクトルの向きに等
しい向きを有する白抜きの矢(ベクトル)を持つ。
【0043】そこで、合金の磁化ベクトルを点線のベク
トルと実線のベクトルを隣接して書き、例えば図13に
示すように書き表す。RE、TMの副格子磁化の状態は
大別すると4通りあり、これらを図13の(1A)〜(4A)に
示す。そして、各状態における合金の磁化ベクトル(白
抜きの矢)を図14の(1B)〜(4B)に対応して示す。例え
ば、REベクトルがTMベクトルに比べて大きい場合、
副格子磁化の状態は(1A)に示され、合金の磁化ベクトル
は、(1B)に示される。
【0044】ある合金組成のTMベクトルとREベクト
ルの強度が、どちらか一方が大きいとき、その合金組成
は、強度の大きい方の名をとって○○リッチ例えばRE
リッチであると呼ばれる。M層とW層の両方について、
TMリッチな組成とREリッチな組成とに分けられる。
従って、縦軸座標にM層の組成を横軸座標にW層の組成
をとると、基本発明の媒体全体としては、種類を図15
に示す4象限に分類することができる。図15におい
て、座標の交点は両層の補償組成を表す。先に述べたP
タイプは、図15に示す1象限と3象限に属するもので
あり、Aタイプは2象限と4象限に属するものである。
【0045】一方、温度変化に対する保磁力の変化を見
ると、キュリー点(保磁力ゼロの温度)に達する前に保
磁力が一旦無限大に増加してまた降下すると言う特性を
持つ合金組成がある。この無限大のときに相当する温度
は補償温度(Tcomp. )と呼ばれる。補償温度より低い
温度ではREベクトル(実線の矢)の方がTMベクトル
(点線の矢) より大きく、そのためREリッチと言うこ
とができ、補償温度より高い温度ではその逆になる。従
って、補償組成の合金の補償温度は、室温にあると言う
ことができる。
【0046】逆に補償温度はTMリッチの合金組成にお
いては、室温からキュリー点の間には存在しない。室温
より下にある補償温度は、光磁気記録においては無意味
であるので、この明細書で補償温度とは室温からキュリ
ー点の間に存在するものを言うことにする。M層とW層
の補償温度の有無について分類すると、媒体はタイプ1
〜4の4つのタイプに分類される。タイプ1は、M層と
W層の両方が補償温度を持つ。タイプ2は、M層が補償
温度を持たず、W層が補償温度を持つ。タイプ3は、M
層が補償温度を持ち、W層が補償温度を持たない。タイ
プ4は、M層とW層の両方が補償温度を持たない。1象
限の媒体は、4つ全部のタイプを含む。そこで、M層と
W層の両方についてREリッチかTMリッチかで分け、
かつ補償温度を持つか持たないかで分けると、記録媒体
は表1に示す9クラスに分類される。
【0047】
【表1】
【0048】〔クラス1−1の説明〕ここで表1に示し
たクラス1の記録媒体(Pタイプ・1象限・タイプ1)
に属する媒体No.1−1 を例にとり、オーバーライト原理
について詳細に説明する。この媒体No.1−1 は、次式1
1: TR <Tcomp.1<TL <TH ≦TC1≦Tc2 及び式11の2:Tcomp.2 <TC1 の関係を有する。本明細書では「≦」の「=」は等しい
か又はほぼ等しい(±20℃位) ことを意味する。説明を
簡単にする目的から、以下の説明は、TH <TC1<Tc2
の関係を有するものについて説明する。Tcomp.2は、T
L よりも高くとも等しくとも、低くともよいが、説明を
簡単にする目的から、以下の説明では、TL <Tcomp.2
とする。以上の関係をグラフで示すと、図16の如くな
る。なお、細線はM層のグラフを示し、太線はW層のグ
ラフを示す。
【0049】室温TR でM層の磁界が初期補助磁界Hin
i. により反転せずにW層のみが反転する条件は、
【0050】
【数1】
【0051】として示す式12である。この媒体No.1−1
は式12を満足する。 但し、HC1:M層の保磁力 HC2:W層の保磁力 MS1:M層の飽和磁気モーメント(saturation magnet
ization) MS2:W層の飽和磁気モーメント t1 :M層の膜厚 t2 :W層の膜厚 σw :M層とW層との間の交換結合力 (interface wal
l energy) =σw12 =界面磁壁エネルギー このとき、Hini. の条件式は、数4に示す式15で示され
る。Hini. が無くなると、M層、W層の磁化は交換結合
力により互いに影響を受ける。それでもM層、W層の磁
化が反転せずに保持される条件は、式13〜14で示され
る。この媒体No.1−1 は式13〜14を満足する。
【0052】
【数2】
【0053】
【数3】
【0054】室温で式12〜14の条件を満足する記録媒体
のW層の磁化は、記録の直前までに
【0055】
【数4】
【0056】に示す式15を満足するHini. により例えば
「A向き」↑に揃えられる。このときM層は前の記録状
態のままで残る。この状態は図17の状態1又は状態2
のいずれかで示される。これより図17を引用して説明
する。この状態1、状態2は記録直前まで保持される。
そして、記録磁界Hb は「A向き」↑に印加することに
する。
【0057】記録磁界Hb は、一般の磁界がそうである
ように、レーザービームの照射領域(スポット領域)と
同一の範囲に絞ることは難しい。媒体がディスク状の場
合、一旦記録された情報(マーク)は、1回転した場
合、途中でHini. の影響を受け、再び状態1又は状態2
となる。その後、そのマークは、レーザービームの照射
領域(スポット領域)に近いところを通過する。このと
き、状態1、状態2のマークは、記録磁界Hb 印加手段
に近づくのでその影響を受ける。この場合Hb と反対向
きの磁化を有する状態2のマークのM層の磁化の向きが
Hb によって反転させられたとすると、1回転前に記録
されたばかりの情報が消失することになる。そうならな
い条件は、
【0058】
【数5】
【0059】に示す式15の2で表される。ディスク状媒
体No.1−1 は、室温でこの条件式15の2を満足させる必
要がある。逆に言えば、Hb を決定する1つの条件は、
式15の2で示される。さて、状態1、2のマークは、い
よいよレーザービームのスポット領域に到達する。レー
ザービームの強度は、低レベルと高レベルの2種があ
る。
【0060】−−−−−低温サイクル−−−− 低レベルのレーザービームが照射されて、媒体温度がT
comp.1以上に上昇する。そうすると、PタイプからAタ
イプに移行する。そして、M層のRE、TM各スピンの
方向は変わらないが、強度の大小関係が図14の(3A)か
ら(4A)へと逆転する。そのため、M層の磁化は図14の
(3B)から(4B)へと反転する。その結果、図17状態1の
マークは状態3に移行し、状態2のマークは状態4に移
行する。
【0061】レーザービームの照射が続いて、媒体温度
は、やがてTLminになる。すると、式10の2 並びに式10
の3 が同時に満足される。その結果、Hb ↑が存在して
も、図17状態4のマークは状態5に遷移する。他方、
図17状態3のマークは、Hb ↑が存在しても10の2 並
びに式10の3 が同時に満足されているため、そのままの
状態を保つ。つまり、状態3から、同じ状態である図1
7状態5になるだけである。
【0062】この状態でレーザービームのスポット領域
から外れると媒体温度は低下を始める。媒体温度がTco
mp.1以下に冷えると、Aタイプから元のPタイプに戻
る。そして、M層のREスピンとTMスピンとの大小関
係が、図14の(2A)から(1A)へと逆転する。そのため、
M層の磁化は図14の(2B)から(1B)へと反転する。その
結果、図17状態5のマークは状態6(M層の磁化は
「A向き」↑)に移行する。この状態6は媒体温度が室
温まで下がっても保持される。こうして、M層に「A向
き」↑のマークが形成される。
【0063】−−−−−高温サイクル−−−−− 高レベルのレーザービームが照射されると、媒体温度
は、Tcomp.1を経て低温TL に上昇する。その結果、図
17状態5と同じ状態7になる。高レベルのレーザービ
ームの照射により、媒体温度は更に上昇する。媒体温度
がW層のTcomp.2を越えると、AタイプがPタイプに移
行する。そして、W層のRE、TM各スピンの方向は変
わらないが、強度の大小関係が、図14の(1A)から(2A)
へと逆転する。そのため、W層の磁化は図14の(1B)か
ら(2B)へと反転する。その結果、W層の磁化は、「逆A
向き」↓となる。これが図17状態8である。
【0064】しかし、この温度ではHC2がまだ大きいの
で、↑Hb によってW層の磁化が反転されることはな
い。さらに温度が上昇し、TH になると、M層、W層
は、その温度がキュリー点に近いので保磁力が小さくな
る。その結果、媒体は、
【0065】
【数6】
【0066】に示す(1)又は
【0067】
【数7】
【0068】に示す(2)又は
【0069】
【数8】
【0070】に示す(3)のいずれかに示した2つの式
を同時に満足する。そのため、両層の磁化は、ほぼ同時
に反転し、Hb ↑の向きに従う。この状態が状態9であ
る。この状態でレーザービームのスポット領域から外れ
ると、媒体温度は低下を始める。媒体温度がTcomp.2以
下になると、PタイプからAタイプに移行する。そし
て、RE、TMの各スピンの方向は変わらないが、強度
の大小関係が、図14の(4A)から(3A)へと逆転する。そ
のため、W層の磁化は図14の(4B)から(3B)へと反転す
る。その結果、W層の磁化は、「逆A向き」↓となる。
これが図17状態10である。状態10では、媒体は、
【0071】
【数9】
【0072】に示す式15の4を満足する。そのため、W
層にHb ↑が作用しても反転することはない。媒体の温
度がこの状態10のときの温度から更に低下して、Tcom
p.1以下になると、Aタイプから元のPタイプに戻る。
そして、M層のREスピンとTMスピンの強度の大小関
係が、図14の(4A)から(3A)へと逆転する。そのため、
M層の磁化は図14の(4B)から(3B)へと反転する。その
結果、M層の磁化は「逆A向き」↓となる。この状態が
図17状態11である。
【0073】やがて媒体の温度は、状態11のときの温度
から室温まで低下する。室温でのHC1は十分に大きい
(式15の5参照)ので、M層の磁化↓は、↑Hb によっ
て反転されることなく、状態11が保持される。
【0074】
【数10】
【0075】こうして、M層に「逆A向き」↓のマーク
が形成される。 〔選択発明の説明〕以上の説明は、M層とW層の2層膜
で説明した。このような2層膜を持っておれば、3層膜
以上の多層膜でもオーバーライトは可能である。特に、
基本発明の説明では、初期補助磁界(Hini. )という外
部手段を用いた。しかし、基本発明では、外部手段はHi
ni. に限られることはない。要するに、記録の前まで
に、W層の磁化が所定の向きを向いている、つまり、
“初期化”されていればよいのである。そのため、外部
手段としてHini. に代えて初期化層(intializing laye
r)を使用する発明がなされた。和文雑誌 "OPTRONICS"
1990年No.4 第 227〜231頁を参照されたい。これより
詳しいものは、1990年3月8日に発行された国際公開特
許公報WO/90/2400(PCT/JP89/863)である。以下、この発
明を選択発明( selection invention ) と引用する。
【0076】図18の状態1に選択発明で使用される媒
体の構成を示す。この媒体は基板とその上に成膜された
原則的に4層構造の磁性膜からなる。この磁性膜は、順
に、垂直磁化可能な磁性薄膜からなるM層と、垂直磁化
可能な磁性薄膜からなるW層と、垂直磁化可能な磁性薄
膜からなるスイッチング層Switching layer (以下、S
層と略す)と、垂直磁化可能な磁性薄膜からなる“初期
化”層 Initializing layer(以下、Ini.層と略す)と
の原則的に4層構造(場合によりS層はなくともよい)
からなる。
【0077】尚、前記国際公開特許公報では、M層は第
1磁性層、W層は第2磁性層、S層は第3磁性層(特許
請求の範囲の第3項参照)、Ini.層は第4磁性層(特許
請求の範囲の第3項参照)と呼ばれている。この第3項
以外の個所では第3磁性層と第4磁性層の呼び方が逆に
なっており、誤記と思われる。また、前記雑誌"OPTRONI
CS" では、S層は制御層と呼ばれている。
【0078】この4層構造媒体では、M層とW層とは交
換結合しており、室温でM層の磁化の向きは変えないで
W層の磁化のみを所定の向きに向けておくことができ、
しかもW層とIni.層とはS層のキュリー点以下の温度で
S層を介して交換結合している。Ini.層は最も高いキュ
リー点を有し、高レベルのレーザービームの照射を受け
ても磁化を失わない。Ini.層は常に所定の向きの磁化を
保持しており、これが記録の都度、次の記録に備えてW
層の“初期化”を繰り返し行なう手段となる。そのた
め、Ini.層は“初期化”層と呼ばれる。
【0079】しかしながら、高温サイクルの過程(例え
ば、TH 付近)では、W層の磁化反転が必ず起こらねば
ならず、その場合には、Ini.層からの影響が無視できる
ように小さくなければならない。温度が高くなると、W
層とIni.層との間の交換結合力σw24 は小さくなるの
で、好都合である。しかし、TH においても、十分なσ
w24 が残っている場合には、W層とIni.層との間にS層
が必要になる。S層が非磁性体であれば、σw24 はゼロ
又は非常に小さくなる。しかし、TH より低く室温まで
のどこかの温度では、W層の“初期化”のためにσw24
は大きくなければならない。そのとき、S層はW層とIn
i.層との間に見掛け上十分に大きな交換結合力を与えな
ければならない。それにはS層は磁性体である必要があ
る。従って、S層は、相対的に低い温度では、磁性体と
なってW層とIni.層との間に、見掛け上十分に大きな交
換結合力σw24 を与え、相対的に高い温度では、非磁性
体となってW層とIni.層との間に見掛け上ゼロ又は非常
に小さな交換結合力σw24 を与えるものである。それ
故、S層はスイッチング層switching layer と呼ばれ
る。
【0080】次に図18を用いて、4層膜オーバーライ
トの原理を説明する。この説明は典型的な例であり、こ
れ以外にも例はある。例えば、各層の何れかの層が室温
とキュリー点との間にTcomp. を持つと説明はより複雑
になる。図18で、白抜きの矢印は、各層の磁化の向き
を示す。記録前の状態は、状態1又は状態2のいずれか
である。M層に着目すると、状態1は「A向き」のマー
ク(B1)であり、状態2は「逆A向き」のマーク(B0)
であり、M層とW層との間に界面磁壁(太線で示す)が
あり、やや不安定な状態(準安定)にある。
【0081】 −−−−−−−低温サイクル−−−−−−−− 状態1及び状態2のマークにレーザービームを照射して
温度を上昇させると、最初にS層の磁化が消失する。そ
のため、状態1は状態3に移行し、状態2は状態4に移
行する。更に温度が上昇してTLminに達すると、M層の
磁化は弱くなり、W層からの交換結合力を介した作用が
強くなる。その結果、状態4のM層の磁化は反転すると
同時に層間の磁壁は消失する。これが状態5である。状
態3のマークはもともと層間の磁壁はないので、そのま
ま状態5に移行する。
【0082】ここで、レーザービームの照射が止むか又
は照射位置から遠ざかると、状態5のマークは温度が低
下を始め、やがて状態3を経て状態1になる。これが低
温サイクルである。なお、状態5から更に温度が上昇し
M層のキュリー点を越えると、磁化が消失し状態6にな
る。ここで、レーザービームの照射が止むか又は照射位
置から遠ざかると、状態6のマークは温度が低下を始
め、やがてM層のキュリー点を少し低い温度に至る。そ
うすると、M層に磁化が現れる。この磁化の向きは、W
層からの交換結合力を介した作用を受け、W層の磁化の
向きに対して安定な向き(層間に磁壁が生じない向き)
となる。ここではPタイプであるので、状態5が再現す
る。温度は更に低下し、それに従い、状態3が生じ、次
いで状態1のマークが生じる。このプロセスは低温サイ
クルの別の例である。
【0083】 −−−−−−−高温サイクル−−−−−−−− 図18状態1及び状態2のマークにレーザービームを照
射して温度を上昇させると、既述のように状態5を経て
状態6に至る。更に温度が上昇すると、W層の保磁力は
非常に低下する。そのため、記録磁界Hb ↓によって磁
化が反転する。これが状態8である。
【0084】ここで、レーザービームの照射が止むか又
は照射位置から遠ざかると、媒体温度は低下を始める。
やがて媒体温度はM層のキュリー点より少し下になる。
そうすると、M層に磁化が現れる。この磁化の向きは、
W層からの交換結合力を介した作用を受け、W層の磁化
の向きに対して安定な向き(層間に磁壁が生じない向
き)となる。ここではPタイプであるので、状態9が出
現する。
【0085】温度が更に低下すると、S層に磁化が現
れ、その結果、W層とIni.層とは磁気的に(交換結合力
で)結合される。その結果、W層の磁化の向きは、Ini.
層の磁化の向きに対して安定な向き(層間に磁壁が生じ
ない向き)となる。ここではPタイプであるので、W層
の磁化は「A向き」に反転し、その結果、M層とW層と
の間には界面磁壁が生じる。この状態が室温でも維持さ
れ、状態2のマークが生成する。
【0086】これが高温サイクルである。なお、記録磁
界Hb ↓によって状態8が出現した後、更に温度が上昇
すると、やがて温度はW層のキュリー点を越える。そう
すると、状態7が出現する。ここで、レーザービームの
照射が止むか又は照射位置から遠ざかると、媒体温度は
低下を始める。やがて媒体温度はW層のキュリー点より
少し下になる。そうすると、W層に磁化が現れる。この
磁化の向きは、記録磁界Hb ↓の向きに従う。その結
果、状態8が出現する。
【0087】更に温度が低下すると、状態9を経て状態
2のマークが形成される。このプロセスは高温サイクル
の別の例である。 −−−−−−オーバーライト−−−−−−− 以上の通り、前の記録状態に無関係に、低温サイクルで
M層に状態1のマーク(B1)が形成され、高温サイクル
で M層に状態2のマーク(B0)が形成される。従っ
て、オーバーライトが可能となる。
【0088】ここまで述べたような媒体のM層は種々の
条件から、θk の大きい磁性組成で構成することが難し
いため、再生時のC/N比が低いという欠点があった。
そこでM層の上にM層と交換結合した垂直磁化膜のリー
ド層(R層=readout 層=再生層)を設けた媒体が発明
された(以下、先願発明と称する)。この先願発明の媒
体においては、R層に直線偏光したビームを照射して、
反射ビームの偏光面の回転状態を検知することによっ
て、媒体に記録された情報を再生する。このR層は、専
ら読み出し(再生)にのみ供されるのでθk の大きい磁
性組成で構成することができ、したがって再生時のC/
N比が向上する。
【0089】
【発明が解決すべき課題】上記の如き先願発明の媒体を
製造しその特性を調べると、再生層の付加によるC/N
比の向上は顕著であったが、再生時のノイズが大きく、
C/N比が期待した程には向上しない媒体例が時々見受
けられた。このことは、再生層を付加したことにより、
C/N比を低下させる何らかの原因が新たに生じたこと
を示している。これが本発明が解決しようとする問題点
である。
【0090】
【発明の概要】上述のようなC/N比低下の原因として
は、メモリ層のデータが再生層にうまく転写できてい
ない、再生層の垂直磁気異方性が小さい、再生層の
付加により、メモリ層の再生ビームや初期化補助磁界H
ini.に対するデータ保存能力が低下した、などが考えら
れた。発明者は、これらの観点からC/N比低下の原因
を解明するための実験を繰り返したが、原因をつきとめ
得なかった。
【0091】しかしその後研究を続けた結果、以下の事
実を見出し本発明をなすに至った。即ち、通常、上述の
ような光磁気記録媒体に記録された情報の再生は、情報
の記録と再生の両方を行なう光磁気記録再生装置により
行なわれる。このような記録再生装置においては、記録
時に媒体に記録磁界を印加し、そのもとで記録すべき2
値化情報にしたがって強度変調されたレーザービームを
媒体に照射することにより情報の記録を行なう。再生時
には記録時と同じ光学系を用いて、強度変調されていな
い(DC点灯の)レーザービームを照射して反射ビーム
の偏光面の回転状態を検知することにより情報の再生を
行なう。このような装置では、上記の記録磁界は通常永
久磁石により発生されており、したがって再生時にも
(本来不要であるにもかかわらず)外部磁場が媒体に印
加されたままの状態となっている。発明者は、再生時に
この外部磁場を取り去って再生を行なうと、問題となっ
ていたC/N比の低下がなくなることを見出した。これ
により、これまで述べたC/N比低下の原因が、再生時
に媒体に加わっている外部磁場により再生層の磁化の向
きが反転していることにあることがわかった。
【0092】そこで再生層の反転磁場を大きくする条件
をさがして実験を重ねたが、高いC/N比を維持し、か
つ十分な再生パワーマージンを与えるような媒体条件を
見出すことはできなかった。結局、再生時の外部磁場を
0(ゼロ)とすることが高C/N比および十分な再生パ
ワーマージンを得る最良の方法であることが判明した。
これが本発明の光磁気記録媒体の再生方法および再生装
置の特徴である。
【0093】
【実施例】以下において、図1を参照して本発明の実施
例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではな
い。図1は本発明の一実施例である光磁気再生装置の主
要な構成を示す概念図である。この装置は記録装置を兼
ねており、主として、光磁気記録媒体4を回転させるモ
ータ(回転手段8)、レーザービーム光源5、レーザー
ビームの強度を記録すべき二値化情報にしたがって高レ
ベルPH と低レベルPL との間でパルス変調する光源駆
動回路6、記録磁界印加手段(電磁石1)、初期補助磁
界印加手段3、電磁石1への給電を制御する制御手段2
からなる。該制御手段は装置の記録、再生の切替に連動
して、記録時には電磁石1をオンして記録磁界を印加す
るようにし、再生時にはオフするように制御する。
【0094】この装置による媒体への記録は以下の様に
して行なわれる。回転手段8で回転させられた媒体は、
まずレーザービームの照射位置に来る。レーザービーム
光源5から出射するビームは光源駆動回路6により記録
すべき2値情報に従いパルス変調される。光源5から出
射したビームは、コリメーターレンズ9を通って平行に
された後、ビームスプリッタ10で反射される。反射さ
れたビームは対物レンズ11で集光され、媒体4上に焦
点を結ぶ。記録時には、記録磁界印加手段1により媒体
のビーム照射位置には記録磁界が印加されている。その
後媒体は初期補助磁界印加手段3の上を通って "初期
化" される。また "初期化" は記録の前に行なっても良
い。また "初期化" 層(Ini. 層) を有する媒体の場合に
はこの初期補助磁界の印加は不要であり、したがって装
置の初期補助磁界印加手段3も不要である。
【0095】この装置により、媒体に記録された情報の
再生を行なう場合には、強度を低めた変調しない(DC
点灯の)レーザービームを記録時と同様に媒体4に照射
する。そして媒体から反射された光を対物レンズ11を
通してビームスプリッタ10に入射させ、そこを透過し
た光を集光レンズ12で集光した上で、ディテクタ14
に入射させる。このとき集光レンズ12とディテクタ1
4との間に置いたアナライザ13(偏光子)を通して、
偏光面の回転状況(+θk と−θk )を光の強度変化に
変換する。これにより、偏光面の回転として読み取った
媒体4の記録情報を光の強度変化に変換する。光の強度
変化はディテクタ14で電気信号の強弱に変換される。
かくして媒体に記録された情報が再生されたことにな
る。上述のように、再生時には記録磁界印加手段1(電
磁石)はオフになっているので、再生時に媒体のレーザ
ー照射位置に加わる外部磁場はゼロとなっている。
【0096】−従来の方法と本発明の方法との再生時の
C/N比の比較− まず,図2に示した媒体を作成した。図2において21
はガラス2P基板、22はSi3N4 70nmの保護層、23は
GdFeCo 50nmのR層、24は TbFeCo 20nmのM層、25
はGdFeCo 10nm のI層、26は DyFeCo 50nmのW層、2
7は Si3N4 70nm の保護層である。この媒体に線速11.3
m/s,で 7MHz, Duty 50% の標準化情報を記録し、記録磁
界と同等の磁場(300 Oe) を印加した状態と、磁場をゼ
ロとした状態とで再生を行なった。この結果を表2に示
す。
【表2】
【0097】
【発明の効果】表2の結果から理解されるであろうよう
に、再生時の外部磁場をゼロとすることにより、安定し
て高いC/N比が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の光磁気記録装置の主要構成
を示す概念図である。
【図2】本発明の実施例に使用した光磁気記録媒体の概
略断面図である。
【図3】光磁気記録方式の記録原理を説明する概念図で
ある。
【図4】光磁気記録方式の再生原理を説明する概念図で
ある。
【図5】基本発明に従いオーバーライトする場合のレー
ザービームの波形図である。
【図6】基本発明に従い2本のビームでオーバーライト
する場合のレーザービームの波形図である。
【図7】オーバーライト可能な光磁気記録媒体のM層、
W層について保磁力と温度との関係を示すグラフであ
る。
【図8】M層とW層の磁化の向きを示す概念図である。
【図9】M層とW層の磁化の向きの変化を示す説明図で
ある。
【図10】Pタイプ媒体について、低温サイクル、高温
サイクルの結果、M層とW層の磁化の向きがどう変化す
るかを示す説明図である。いずれも室温での状態を示
す。
【図11】Aタイプ媒体について、低温サイクル、高温
サイクルの結果、M層とW層の磁化の向きがどう変化す
るかを示す説明図である。いずれも室温での状態を示
す。
【図12】M層とW層の磁化の向きの変化を示す説明図
である。
【図13】希土類(RE)原子の副格子磁化を示すベク
トル(実線の矢)と遷移金属(TM)原子の副格子磁化
を示すベクトル(点線の矢)とを比較するための説明図
である。
【図14】副格子磁化のベクトル(実線の矢及び点線の
矢)と合金の磁化の向きを示すベクトル(白抜き矢)と
の関係を示す説明図である。
【図15】M層とW層について、それぞれREリッチ、
TMリッチに分けた場合、オーバーライト可能な媒体が
4つの分類(1象限〜4象限)に分けられることを説明
する説明図である。
【図16】オーバーライト可能な光磁気記録媒体No. 1
−1のM層、W層について保磁力と温度との関係を示す
グラフである。
【図17】媒体No. 1−1の媒体について、低温サイク
ルと高温サイクルの結果、M層とW層の磁化の向きがど
う変化するかを示す概念図である。
【図18】は、選択発明にかかる4層膜構造のオーバー
ライト可能な光磁気記録媒体について、そのオーバーラ
イト原理を説明する説明図である。
【符号の説明】 1 記録磁界印加手段(電磁石) 2 制御手段 3 初期補助磁界印加手段 4 オーバーライト可能な光磁気記録媒体 5 レーザービーム光源 6 光源駆動回路 8 媒体回転手段 9 コリメーターレンズ 10 ビームスプリッタ 11 対物レンズ 12 集光レンズ 13 アナライザ 14 ディテクタ

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 それぞれ垂直磁化膜からなり、後述する
    M層より高いキュリー点を有するリード層(R層)、R
    層に交換結合した垂直磁化層からなるメモリ層(M層)
    およびM層に交換結合した垂直磁化膜からなるライティ
    ング層(W層)の少なくとも3層を含み、M層の磁化の
    向きを反転させることなくW層の磁化の向きを所定の向
    きに揃えることができ、垂直磁化膜内での磁化の向きを
    該所定の向きと該所定の向きと反対の向きのいずれかの
    向きとすることにより2値化された情報を記録すること
    ができる光変調方式でオーバーライト可能な光磁気記録
    媒体に記録された情報を、該R層に直線偏光したビーム
    を照射し反射ビームの偏光面の回転状態を検知すること
    により再生する情報再生方法において、再生時に該媒体
    の被再生部位が受ける外部磁場を0(ゼロ)とすること
    を特徴とする光磁気記録媒体の情報再生方法。
  2. 【請求項2】 それぞれ垂直磁化膜からなり、後述する
    M層より高いキュリー点を有するリード層(R層)、R
    層に交換結合した垂直磁化層からなるメモリ層(M層)
    およびM層に交換結合した垂直磁化膜からなるライティ
    ング層(W層)の少なくとも3層を含み、M層の磁化の
    向きを反転させることなくW層の磁化の向きを所定の向
    きに揃えることができ、垂直磁化膜内での磁化の向きを
    該所定の向きと該所定の向きと反対の向きのいずれかの
    向きとすることにより2値化された情報を記録すること
    ができる光変調方式でオーバーライト可能な光磁気記録
    媒体に情報を記録および再生する光磁気記録再生装置で
    あって、媒体に記録磁界を印加するための記録磁界印加
    手段と、記録時に記録すべき2値情報にしたがって高レ
    ベルPH と低レベルPL との間でパルス変調された記録
    用レーザービームを、再生時に変調されていないDC点
    灯の再生用レーザービームを媒体に照射するレーザー照
    射手段と、再生時に前記再生用レーザービームのR層か
    らの反射光の偏光面の回転状態を検知する検知手段とを
    含む光磁気記録再生装置において、記録時には前記記録
    磁界印加手段を作動状態とし、再生時には非作動状態と
    する記録磁界制御手段を有することを特徴とする光磁気
    記録装置。
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