JPH0695612A - 強誘電性液晶素子の電圧印加駆動方法 - Google Patents

強誘電性液晶素子の電圧印加駆動方法

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JPH0695612A
JPH0695612A JP26790292A JP26790292A JPH0695612A JP H0695612 A JPH0695612 A JP H0695612A JP 26790292 A JP26790292 A JP 26790292A JP 26790292 A JP26790292 A JP 26790292A JP H0695612 A JPH0695612 A JP H0695612A
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JP
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liquid crystal
voltage
ferroelectric liquid
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stable
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JP26790292A
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Hiroyuki Endo
博之 遠藤
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Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 安定なユニフォーム状態で駆動して双安定の
良い優れたコントラストで表示し、表示を行わない間は
安定なツイスト状態で放置して自発分極による焼き付け
効果を防止する。 【構成】 強誘電性液晶素子では上側基板6と下側基板
8の二枚の電極間に強誘電性液晶材を挟持し、安定なユ
ニフォーム状態と安定なツイスト状態との二つの状態が
独立して存在する。この二枚の電極間に、相違する正負
のそれぞれの電圧波形の時間平均の絶対値がそれぞれ等
しく、かつ、正負の電圧波形の時間平均が実質的に零に
なる波形を有する交流電圧を印加して二つの状態を明確
に区別して液晶素子を駆動する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、文書編集装置の表示器
などに利用し、安定なユニフォーム状態で駆動して双安
定の良い優れたコントラストで表示を行うとともに、表
示を行わない間は、安定なツイスト状態で放置して自発
分極による焼き付け効果を防止する、二つの状態を明確
に区別して液晶素子を駆動する強誘電性液晶素子の電圧
印加駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】強誘電性液晶材(FLC)の双安定性を
利用した強誘電性液晶素子の駆動方法がクラークとラガ
ーウォルによって提案されている(特開昭56ー107
216号公報、特開昭63ー153521号公報等)。
この強誘電性液晶素子の駆動方法では、二枚の基板間に
挟持された強誘電性液晶材の間隔を十分に狭くした場合
に出現するカイラルスメクチックC相の螺旋構造が消失
した二つの安定状態、いわゆる、ユニフォーム状態を利
用して液晶素子を駆動している。
【0003】この場合、液晶素子をクロスニコル下にお
くと完全な消光位が得られる。すなわち、明と暗とのコ
ントラストが極めて明確になり、文字などを表示する液
晶素子として使用できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来例におい
て、ユニフォーム状態のみが安定である液晶素子を作製
する場合、液晶素子の基板間の間隔を十分に狭くする必
要がある。しかしながら、基板間の間隔を十分に狭くす
るには作製技術上の困難がある。また、基板間の間隔を
狭くし過ぎるとコントラストが悪化する。このため、螺
旋構造が消失して双安定性が得られる程度に基板間の間
隔を設定しているのが現状である。
【0005】この場合、ユニフォーム状態以外にもツイ
スト状態と呼ばれる液晶材の配向状態をとることもあ
る。このツイスト状態ではクロスニコル下では完全な消
光位は得られず、ユニフォーム状態の中に混在するとコ
ントラストが著しく悪化する。このようなユニフォーム
状態は、強誘電性液晶材の自発分極が液晶セル内で全て
上向き又は下向きになる状態である。この状態で外部電
界を断にして放置すると、液晶セル内部に自発分極によ
る内部電界が発生したままになって、液晶材中の不純物
イオンが液晶セル内で徐々に分離し、双安定性を悪化さ
せると考えられている。このように、ユニフォーム状態
で放置した場合に片安定的になり、いわゆる、焼き付け
効果が生じて再度の表示が困難になる欠点がある。この
焼き付け効果の生じる理由は以下のように考えられてい
る。ユニフォーム状態で外部電界を断にすると、液晶セ
ル内では強誘電性液晶材の自発分極が全て同じ向きにな
っている。液晶中には少量ではあるが不純物イオンが存
在しているので自発分極が一方に揃う効果の内部電界に
よって、先の説明のようにイオンの分離が生じ、例えば
自発分極を上向きにするユニフォーム状態が、より安定
化し、もう一方の自発分極下向きにするユニフォーム状
態が不安定になる。このようになると新たに駆動電圧を
印加しても双安定性が損なわれており表示ができ難くな
る。
【0006】このような焼き付け効果の阻止を目的とし
たものとして、特開昭63ー163426号及び特開平
2ー225592号公報に開示された技術がある。これ
らの提案では、液晶中に不純物イオンを吸着する材料を
添加している。しかし、これらの提案の技術では必ずし
もすべてのイオンを吸着できるとはいえない。
【0007】また、特開平2ー165122号公報で
は、液晶素子の未使用時に定期的に正負の電界を印加
し、液晶の配向方向を切替える技術が提案されている。
しかし、この技術は回路構成が複雑であり、また電源コ
ンセントを抜いた場合やバッテリーの容量が低減して電
源断となった場合に正常に機能しない。
【0008】さらに、特開平3ー243920号公報で
は、配向膜を用いた構成であって、使用時以外はツイス
ト状態で放置する技術が提案されている。しかし、この
技術は、しきい値特性では二つのユニフォーム状態の間
にツイスト状態が存在するため、しきい値特性が悪化
し、コントラストの良い表示が出来ない場合が考えられ
る。さらに、必ずしもツイストが現れるとは限らない。
【0009】本発明は、上述した事情にかんがみてなさ
れたものであり、安定なユニフォーム状態で駆動して双
安定の良い優れたコントラストで表示を行うとともに、
表示を行わない間は安定なツイスト状態で放置して自発
分極による焼き付け効果を防止する、二つの状態を明確
に区別して液晶素子を駆動できる強誘電性液晶素子の電
圧印加駆動方法の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明の方法は、二枚の電極間に強誘電性液晶材を
挟持し、安定なユニフォーム状態と安定なツイスト状態
との二つの状態が独立して存在する強誘電性液晶素子に
おける強誘電性液晶素子の電圧印加駆動方法にあって、
二枚の電極間に、相違する正負のそれぞれの電圧波形の
時間平均の絶対値がそれぞれ等しく、かつ、正負の電圧
波形の時間平均が実質的に零になる波形を有する交流電
圧を印加して二つの状態を可逆的に変化させている。
【0011】また、二枚の電極と強誘電性液晶材との間
に少なくともラビング処理された高分子膜又は斜方蒸着
された無機物質膜の配向膜を設けないようにしてある。
【0012】そして、安定なユニフォーム状態から安定
なツイスト状態に遷移させるために強誘電性液晶素子に
印加するパルス電圧をV、パルス幅をτ、強誘電性液晶
素子が完全にスイッチングする電圧をVsatとし、V≦
satの条件のパルス幅τのパルス電圧を間欠的に印加
している。
【0013】さらに、安定なツイスト状態から安定なユ
ニフォーム状態への遷移させるために、少なくとも5M
V/mの電界強度を持つ交流電圧を印加している。
【0014】さらにまた、強誘電性液晶素子にあって、
安定したユニフォーム状態で表示する駆動を行い、か
つ、表示を行った後に安定なツイスト状態で、当該強誘
電性液晶素子を放置するようにしてある。
【0015】次に、本発明の強誘電性液晶素子の電圧印
加駆動方法を図面を参照して説明する。ここでは(1)
〜(6)に区分けして説明する。 (1)液晶セルにおけるユニフォーム状態とツイスト状
態について説明する。このユニフォーム状態とツイスト
状態は、福田敦夫、竹添秀男共著「強誘電性液晶の構造
と物性」(コロナ社)P324〜P329に解説されている。強
誘電性液晶分子は図1のようにコーン上を動くものであ
る。
【0016】図1は本発明の強誘電性液晶素子の電圧印
加駆動方法に係り、強誘電性液晶分子がコーン上を動く
状態を示す模式図である。図1において、強誘電性液晶
分子2がコーン4上を動く。ここでは、自発分極は矢印
〔M〕方向を向いており、また、強誘電性液晶分子2の
位置をコーン4の底面の円周に矢印〔N〕方向として表
す。
【0017】図2(a),(b),(c),(d)は、
ユニフォーム状態とツイスト状態を示す模式図である。
図2(a)は、上側基板6と下側基板8間での二つのユ
ニフォーム状態(1),(2)を示している。なお、上
側基板6と下側基板8間(液晶セル厚)は2〜5μmで
ある。ユニフォーム状態(1),(2)では自発分極の
矢印〔M〕が上側基板6と下側基板8間に直交して反対
向きとなり、強誘電性液晶分子2の向きの矢印〔N〕も
180度反対となる。図2(b)はツイスト状態を示し
ている。図2(c)は、ユニフォーム状態(1),
(2)での図1中の強誘電性液晶分子2の状態を、それ
ぞれの上側基板6又は下側基板8から見て示したもので
あり、上側基板6と下側基板8との間で同一方向に向い
ている。図2(d)はツイスト状態である。上側基板6
又は下側基板8上から見た図1中の強誘電性液晶分子2
の状態を示し、上側基板6又は下側基板8から見た場合
に強誘電性液晶分子2が交差している。なお、ツイスト
状態はこの一種類のみでない。すなわち、上側基板6又
は下側基板8間で矢印〔N〕が何方を向いているかと、
自発分極が上から下へ向かってどちら向きに回転するか
によっていくつかの種類かある。
【0018】このようなユニフォーム状態はクロスニコ
ル下で完全な消光位が得られ、明、暗のコントラストが
極めて良い。また、液晶セル内で自発分極がすべて上向
き又は下向きになっている。ツイスト状態はクロスニコ
ル下で完全な消光位が得られない。すなわち、薄いブル
ー又は黄色に見える。また、液晶セル内で自発分極の方
向が連続的に変化し、厚み方向に平均するとゼロにな
る。
【0019】(2)このような液晶セルを配置した液晶
素子の構成を説明する。図3は、この液晶素子の構成を
示す断面図である。図3において、この液晶素子は偏光
板10a,10bと、積層した基板12a,12bと、
電極14a,14bと、液晶材16とを有している。偏
光板10a,10bは、偏光軸の方向は特に限定しない
が、好ましくは互いに直交しているのが良い。基板12
a,12bは、透明性の材料ならば特に限定しない。例
えば、ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PE
T)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリカーボネ
イト(PC)などのプラスチック基板を用いる。厚さは
10μm〜数mmが望ましい。
【0020】電極14a,14bは酸化インジウム又は
酸化インジウムと酸化錫との混合物からなるITOなど
の透明性の電極を用いる。液晶材16は、強誘電性を示
す液晶材(組成物)であれば良く、特に限定しないが、
低分子液晶(組成物)、低分子液晶と高分子液晶の混合
物、高分子液晶(組成物)などを用いることが出来る。
なお、必要に応じて、色素、減粘剤、接着剤、非液晶カ
イラル化合物などを混合する。
【0021】ところで、本発明では安定なユニフォーム
状態と、安定なツイスト状態とが具体的に強誘電性液晶
材のどのような状態なのか同定されていない。しかしな
がら、後述するように、電圧の印加方法によって安定な
ユニフォーム状態から安定なツイスト状態、又は安定な
ツイスト状態から安定なユニフォーム状態への変位、つ
まり可逆的に変化できることや、配向膜を用いないこと
によって、次のように考えることが出来る。
【0022】配向膜を用いずITO電極面に直接、強誘
電性液晶材が接しているのでプレチルト角が小さく、強
誘電性液晶材のスメクチック層構造がシェブロン構造を
とり易い。このような構造ではツイスト状態が安定化す
る。さらに、電極間に、例えば、矩形波状の電圧を印加
すると電界と強誘電性液晶材の自発分極の間に働くトル
クによってスメクチック層がブックシェルフ構造に変化
する。この構造でユニフォーム状態が安定化する。この
構造では、後述するように、パルスしきい値程度の電圧
のパルス波形を印加すると強誘電性液晶材を適当に揺ら
して緩和する効果があるためシェブロン構造に変化す
る。
【0023】本発明では配向膜を用いないので界面の液
晶材に及ぼす規制力が小さく、シェブロン構造とブック
シェルフ構造との間の変化が比較的容易に生じ、安定な
ツイスト状態と安定なユニフォーム状態との間で容易か
つ可逆的に変化する。
【0024】(3)この安定なツイスト状態と安定なユ
ニフォーム状態との間で容易かつ可逆的に変える遷移方
法について説明する。 (3−1)先ず、安定なツイスト状態から安定なユニフ
ォーム状態への遷移について説明する。この安定なツイ
スト状態から安定なユニフォーム状態への遷移では、二
枚の電極間に交流電界を印加する。この交流電界は、強
誘電性液晶材に常に電界からのトルク力が加わることが
好ましいと判断されるため、最も望ましい印加電圧の波
形は矩形波である。すなわち、常に電圧±Eによる電界
が印加される。その他、サイン波(コサイン波)、三角
波等を印加電圧としても良い。
【0025】印加電圧波形の電界強度としては、5MV
/m以上とし、好ましくは10MV/mとする。また、
交流の周期(周波数)は、強誘電性液晶材の応答時間に
よって変化するが、強誘電性液晶材の応答時間よりも長
い周期が好ましい。印加時間は数秒から1時間程度と
し、印加電圧は、バイアスをかけない正(+)方向又は
負(−)方向の波形の時間平均をゼロにする。すなわ
ち、図4(a)(b)に示すように、外部から直流電界
が平均して正(+)方向又は負(−)方向で印加された
後に、この直流電界を断としても、図4(c)に示すよ
うに液晶材中の不純物イオンが移動し、液晶材が劣化し
たり負イオン、正イオンの移動によって内部電界が発生
する。すなわち、双安定性での悪影響を避けるようにす
る。
【0026】(3−2) 次に、安定なユニフォーム状
態から安定なツイスト状態への遷移について説明する。
ここでは、安定なユニフォーム状態を安定なツイスト状
態へ遷移させるために印加するパルス電圧V、パルス幅
τ、図6に示すような液晶分子が完全にスイッチングす
る電圧Vsatとして、後述するV≦Vsat のパルスしき
い値電圧のパルス波形を間欠的に印加する。このパルス
しきい値電圧を測定するには、配向した液晶セルに、図
5に示すパルス波形を印加する。例えば、リセットパル
スで暗状態にして書込パルスで明状態にスイッチングさ
せる。
【0027】図6は、この場合のパルス波形の電圧印加
後における透過光強度と書込みパルスの電圧をグラフに
して示している。図5において、それぞれのパルスのパ
ルス幅は強誘電性液晶材の応答時間程度にする。また、
0 は十分に強誘電性液晶材が反転するように大きな電
圧とする。このとき、透過光強度が変化しはじめる電圧
が、このパルス幅のパルスに対するしきい値電圧であ
る。
【0028】次に、この印加電圧波形の具体例を説明す
る。図7は、この印加電圧波形を示している。図7にお
いて、パルス波形の電界強度Ethは、パルス幅τに対し
て、パルスしきい値電圧程度とする。そして、パルス幅
τは強誘電性液晶材の応答時間の1〜数倍とする。ま
た、パルス波形の間隔τmは、パルス幅τに対して10
〜10000倍程度であって間欠的にする。また、印加
時間は数秒から1時間程度とし、印加電圧の正(+)方
向又は負(−)方向は、バイアスをかけない状態での時
間平均をゼロにする。すなわち、平均正(+)方向又は
負(−)方向へ電圧が印加される場合の液晶材中の不純
物イオンの移動による液晶材の劣化とイオンの移動によ
って内部電界が発生し、双安定性への悪影響を避けるよ
うにする。
【0029】(4)次に、配向方法について説明する。
本発明の液晶素子の構成では配向膜を用いない。すなわ
ち、図3の液晶セル構成で説明したように液晶セルを作
製しても強誘電性液晶材は配向せず、光学素子としての
機能を果たさない。そこで次の配向処理を行う。
【0030】図8は、この配向処理の状態を示す側面図
である。図8において、強誘電性液晶材18を挟持した
電極付きの上側基板20aと電極付きの下側基板20b
に剪断応力をかける。上側基板20aと下側基板20b
で矢印(Va,Vb,Wa,Wb)で示すように、逆方
向に剪断を一回〜数回かけることによって均一な配向が
得られる。なお、上側基板20aと下側基板20bに可
撓性フィルムを用いる場合は、強誘電性液晶材18に高
分子液晶材を含む組成物を用いると良い。いずれの場合
も、剪断応力の印加と同時に電界を印加しても良い。
【0031】(5)ユニフォームが安定な状態での駆動
について説明する。液晶セル作製後、先に説明したユニ
フォーム状態を安定に設定する。この状態で、図5,6
で説明したようにパルスしきい値を測定する。
【0032】図9は、測定したパルスしきい値の状態を
示している。図9中にあって、(a)部は暗のユニフォ
ーム状態である。(c)部は明ユニフォーム状態であ
る。(b)部の領域は非常に狭いが、ユニフォーム状態
の暗と明とが混在している。このような状態の場合、従
来知られているような駆動波形で表示を行えば、明と暗
とが明確なコントラストの良い表示ができる。しかしな
がら、このような表示を行った後に外部電界を断にして
放置すると、双安定性が損なわれる、いわゆる、焼き付
け効果が生じて再度の表示が困難になる問題がある。こ
の焼き付け効果の生じる理由は従前で説明した通りであ
る。
【0033】(6)次に、ツイスト状態で放置し、焼き
付け効果を防止する場合について説明する。ここでの焼
き付け効果を防止する提案については、従前に説明した
各種の提案があるが、本発明では表示後に未使用で放置
する前に、先の説明のように安定なユニフォーム状態か
ら安定なツイスト状態への遷移で二枚の電極間に交流の
パルス状電界を印加している。すなわち、ツイスト状態
が安定な状態に遷移させてから放置している。この状態
では、液晶セル中で自発分極の向きが連続的に変化して
いるので不純物イオンの移動が生じずに焼き付け効果が
発生しない。この状態で、先に説明したようにパルスし
きい値を測定すると、ユニフォーム状態が得られず書込
みができない。そのため、表示を行うには安定したユニ
フォーム状態へ遷移させる必要がある。
【0034】本発明では、安定なユニフォーム状態で駆
動して双安定の良い優れたコントラストで表示し、か
つ、表示を行わない間は安定なツイスト状態で放置して
自発分極による焼き付け効果を防止する、二つの状態を
明確に区別して液晶素子を駆動している。
【0035】
【実施例】次に、本発明の強誘電性液晶素子の電圧印加
駆動方法を実施例によって、さらに詳細に説明するが、
本発明は、これに限定されるものではない。実施例1 図10(a),(b)は液晶セルの作製状態を示してい
る。図10(a),(b)にあって、この実施例1にお
ける液晶セルの作製では、電極付のガラス基板30a,
30bとして、10×18×1.1mmの部材を用い
た。電極としてITO32a,32bを用い、その面積
を0.2cm2 、厚さを1000Åとした。そして、強
誘電性液晶材34として、ZLI4237ー100(メ
ルク社製)を使用した。このZLI4237ー100の
相転移は下記の通りである。 また、スペーサー36a,36bとして直径3μmのシ
リカビーズを使用した。そして、ガラス基板30a,3
0bに、その電極側の表面に強誘電性液晶材(ZLI4
237−100)34を含浸塗布法により塗布して厚さ
約3μmの液晶層を形成した。さらにスペーサー36
a,36bとして3μmのシリカビーズを付着させた。
【0036】次いで、強誘電性液晶材34を100℃ま
で加熱したあと、形成された液晶層の上に、電極付のガ
ラス基板30a,30bと同様に対向基板を、液晶層と
電極側の表面とが接するように重ね合わせた。その後、
80℃まで冷却し、得られた重ね合わせたものを1℃/
分の割合で徐冷しながら、温度58〜60℃において
0.5mmの剪断変形を10往復加えて液晶材料を配向
処理して液晶分子を配向させた。さらに、重ね合わせた
ものを室温まで冷し、基板の周囲を瞬間接着剤(セメダ
イン社製、ハイスーパー)で封止して、液晶素子を得
た。さらに、透明電極の引き出し線にリード線37a,
37bを半田付けした。
【0037】次に、この作製した液晶素子の測定につい
て説明する。図11は、液晶素子の測定する測定系の構
成を示している。図11において、液晶素子37を恒温
槽38に入れ、液晶素子37から引き出した一方のリー
ド線をアースに接続し、他方のリード線をコンピュータ
40に接続された任意関数発生器41の出力端子に増幅
器42を通じて接続した。また、液晶素子37の下部に
設置した光源39からの照射光を偏光板46を通じて液
晶素子37に入射し、この液晶素子37からの透過光量
を液晶素子37の上部に設置した偏光顕微鏡43により
検知した。この検知信号を光電子増幅器44を通じて増
幅し、電気的信号として波形記録器45で記録した。こ
のようにして作製した液晶素子に、室温で電圧±30
V、周波数25Hzの矩形波形電圧を1分間印加した。
その後、図11中の任意関数発生器41からパルス波形
を印加して双安定性を調べたところ、ユニフォーム状態
での明と暗が明確に表示できた。
【0038】図12はこの任意関数発生器41からのパ
ルス波形を示している。図12において、上段は印加波
形であり電圧±30V、パルス幅0.5msである。下
段は任意目盛であり、透過光強度を表わしており、横軸
2ms/divである。この図12に示すパルス波形を
印加して、双安定性状態でユニフォーム状態の明と暗の
コントラスト比を測定したところ10であった。さら
に、しきい値特性を評価した。
【0039】図13は、しきい値特性の評価での電圧V
対透過光強度を示している。図13において、リセット
パルスV0 =30V、パルス幅0.5msである。書込
みパルスが、電圧0〜30Vの範囲内で、図11中の偏
光顕微鏡43によってテクスチャーを観察したところ、
ユニフォーム状態での暗又は明のみが観察され、ツイス
ト状態は見られなかった。なお、混合領域も存在する。
さらに、この液晶素子に以下のような印加電圧波形を3
分間印加した。
【0040】図14は、この印加電圧波形を示してい
る。電圧印加した3分後、図11中の偏光顕微鏡43で
テクスチャーを観察すると、ほぼ全面的に薄いブルー色
になっており、ツイスト状態であることが確認できた。
さらに、この状態で先の図12と同様に電圧±30V、
パルス幅0.5msのパルス波形を印加して双安定を調
べた。
【0041】図15はこの双安定の状態を示している。
図15において、明、暗に書き込もうとしてもツイスト
状態へ戻ってしまい、ツイスト状態が安定であることが
判明した。このツイスト状態で外部電界を切り、1週間
放置した。その後、電圧±30V、周波数25Hzの矩
形波状電圧を1分間印加し、図11中の任意関数発生器
41によってパルス波形(電圧±30V、0.5ms)
を印加し、双安定性を調べたところ、先の図12と同様
に良好であり、コントラスト比も10であった。
【0042】次に、比較例について説明する。比較例1 実施例1で示したガラス基板にPVA(ポリビニルアル
コール)の膜をスピンコート法を用いて作製してラピン
グして配向膜とした。なお、厚さを1000Åとした。
実施例1と同様にZLI4237−100を用いて液晶
セルを作製した。ただし、剪断変形処理はしなかった。
すなわち、配向膜によって液晶材が配向している。実施
例1と同様に電圧±30V、周波数25Hzの矩形波形
電圧を1分間印加した後、±30V、パルス幅0.5m
sのパルス波形を印加すると、ユニフォーム状態での明
と暗が表示できた。この場合のコントラスト比は7であ
った。さらに、実施例1と同様のパルス波形、すなわ
ち、電圧±10V、パルス幅0.5ms、パルス間隔5
00msを10分間印加したが、ツイスト状態は観察で
きなかった。さらに、外部電界を断として1週間放置
し、その後、電圧±30V、周波数25Hzの矩形波形
電圧を1分間印加し、電圧±30V、パルス間隔0.5
msのパルス波形で双安定性を調べたところ、片安定的
になっており、暗状態への書込みが出来なかった。
【0043】比較例2 比較例1のPVA(ポリビニルアルコール)に代え、ポ
リイミドを用いて配向膜を作製した。なお、厚さを10
00Åとした。実施例1と同様に電圧±30V、周波数
25Hzの矩形波形電圧を1分間印加し、図5,6に示
した方法でパルスしきい値を測定した。すなわち、実施
例1と同一の方法で測定を行なった。
【0044】図16は、この比較例2の結果を示してい
る。図16において、電圧を変化させると、すなわち、
ユニフォーム状態での明〔J〕と暗〔K〕との中間領域
でツイスト状態〔T〕も出現し、しきい値特性が悪かっ
た。実施例2 この実施例2では、以下の[化1]に示すように分子量
2600の強誘電性高分子液晶材Aと非カイラル低分子
液晶材B(みどり化学株式会社製)を重量比8:2で混
合した。
【0045】
【化1】
【0046】ここで、この[化1]に示す液晶の混合方
法について説明する。1gの液晶Aと0.25gの液晶
Bを溶媒(ジクロロメタン)50ccに溶解し、相互に
よく撹拌した後、約100℃で溶媒を蒸着させた。組成
物の相転移は下記の通りである。
【0047】次に、液晶素子の作製について説明する。
[化1]に示す組成物を20重量%のトルエン溶液と
し、ITO電極付きのポリエーテルスルホン(PES)
基板の電極面上に、マイクログラビアコーターを用いて
厚み3μmに製膜した。溶媒乾燥後、直ちに何も塗布し
ていない同種の基板を液晶層と電極面が接するようにラ
ミネートし、配向処理前の未配向液晶素子の原反(幅1
50mm、厚さ3m)を作製した。
【0048】次に、未配向液晶素子曲げ配向処理を行っ
た。図17は、4本の加熱ロール群からなる配向装置を
用いて、未配向液晶素子の曲げ配向処理の状態を示して
いる。図17において、各加熱ロール50a,50b,
50c,50dは、直径80mmのクロムメッキを施し
た鉄製であり、幅800mmのものを用いた。表面温度
はT1 =75℃、T2 =73℃、T3 =70℃、T4
68℃にコントロールし、ライン速度はv=8m/分と
した。この配向装置によって、未配向液晶素子52の液
晶材は曲げ変形による剪断を与えられながら等方相から
液晶相へ冷却され、最終的に基板長手方向と垂直な方向
に一軸水平配向し、配向済液晶素子54が得られた。こ
の配向済液晶素子54の上下に偏光板を、偏光軸が互に
直交するように配した。この配向済液晶素子54に室温
で電圧±30V、周波数20Hzの矩形波形電圧を5分
間印加した。実施例1と同様のパルス波形を用いて双安
定性を調べたところユニフォーム状態での明と暗がはっ
きり表示できた。この場合のコントラスト比は9であっ
た。なお、パルス波形は電圧±30V、パルス幅5ms
である。 さらに、同様にしきい値特性を評価したとこ
ろ書込みパルスが電圧0〜30Vの範囲内でツイスト状
態は見られなかった。
【0049】さらに、この配向済液晶素子54にパルス
波形電圧を5分間印加した。図18は、この印加したパ
ルス波形電圧を示している。印加5分後、偏光顕微鏡で
テクスチャーを観察したところ、ほぼ全面が薄いブルー
色になっており、ツイスト状態であることが確認でき
た。さらに、この状態で実施例1と同様の電圧±30
V、パルス幅5msのパルス波形を印加して双安定を調
べた。明、暗に書込もうとしてもツイスト状態へ戻って
しまいツイスト状態が安定であることがわかった。この
ツイスト状態で外部電界を切り、1週間放置した。その
後、電圧±30V、周波数2Hzの矩形波を5分間印加
し、電圧±30V、5msのパルス波形を印加して双安
定性を調べたところ良好であり、ユニフォーム状態が
明、暗になった。この場合のコントラスト比は9であっ
た。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の強誘電性
液晶素子の電圧印加駆動方法は、安定なユニフォーム状
態で駆動して双安定の良い優れたコントラストで表示を
行えるとともに、表示を行わない間は安定なツイスト状
態で放置して自発分極による焼き付け効果を防止でき、
二つの状態を明確に区別して液晶素子を駆動できるとい
う効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の強誘電性液晶素子の電圧印加駆動方法
に係る強誘電性液晶分子がコーン上を動く状態を示す模
式図である。
【図2】(a),(b),(c),(d)はユニフォー
ム状態とツイスト状態を示す模式図である。
【図3】本発明の強誘電性液晶素子の電圧印加駆動方法
に係る液晶素子の構成を示す断面図である。
【図4】(a),(b),(c)は印加電圧による負イ
オン、正イオンの変化状態を示す図である。
【図5】しきい値電圧を測定するためのパルス波形を示
す図である。
【図6】パルスの電圧印加後の透過光強度と書込みパル
スの電圧をグラフにして示す図(しきい値特性を表わす
図)である。
【図7】具体例な印加電圧波形を示す図である。
【図8】配向処理の状態を示す側面図である。
【図9】測定したパルスしきい値を示す書き込み電圧対
透過光強度を示す図である。
【図10】実施例における液晶セルの作製状態を示す図
である。
【図11】実施例にあって液晶素子を測定する測定系の
構成を示す構成図である。
【図12】実施例にあって図11中の任意関数発生器か
らのパルス波形を示す図である。
【図13】実施例にあってしきい値特性を評価した電圧
対透過光強度を示す図である。
【図14】実施例にあって液晶素子に印加電圧波形を示
す図である。
【図15】実施例における双安定の状態を示す図であ
る。
【図16】実施例における比較例1での透過光強度対電
圧の結果を示す図である。
【図17】実施例にあって未配向液晶素子の曲げ配向処
理を行う状態を示す図である。
【図18】実施例における印加パルス波形電圧を示す図
である。
【符号の説明】
2 強誘電性液晶分子 4 コーン 6 上側基板 8 下側基板 10a,10b 偏光板 12a,12b 基板 14a,14b 電極 16 液晶材 18 強誘電性液晶材 20a 上側基板 20b 下側基板

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二枚の電極間に強誘電性液晶材を挟持
    し、安定なユニフォーム状態と安定なツイスト状態との
    二つの状態が独立して存在する強誘電性液晶素子におけ
    る強誘電性液晶素子の電圧印加駆動方法にあって、 上記二枚の電極間に、相違する正負のそれぞれの電圧波
    形の時間平均の絶対値がそれぞれ等しく、かつ、正負の
    電圧波形の時間平均が実質的に零になる波形を有する交
    流電圧を印加して上記二つの状態を可逆的に変化させる
    ことを特徴とする強誘電性液晶素子の電圧印加駆動方
    法。
  2. 【請求項2】 二枚の電極と強誘電性液晶材との間に少
    なくともラビング処理された高分子膜又は斜方蒸着され
    た無機物質膜の配向膜を設けないことを特徴とする請求
    項1記載の強誘電性液晶素子の電圧印加駆動方法。
  3. 【請求項3】 安定なユニフォーム状態から安定なツイ
    スト状態に遷移させるために強誘電性液晶素子に印加す
    るパルス電圧をV、パルス幅をτ、強誘電性液晶素子が
    完全にスイッチングする電圧をVsatとし、 V≦Vsatの条件のパルス幅τのパルス電圧を間欠的に
    印加することを特徴とする請求項1又は2記載の強誘電
    性液晶素子の電圧印加駆動方法。
  4. 【請求項4】 安定なツイスト状態から安定なユニフォ
    ーム状態へ遷移させるために、少なくとも5MV/mの
    電界強度を持つ交流電圧を印加することを特徴とする請
    求項1又は2記載の強誘電性液晶素子の電圧印加駆動方
    法。
  5. 【請求項5】 強誘電性液晶素子にあって、安定したユ
    ニフォーム状態で表示する駆動を行い、かつ、表示を行
    った後に安定なツイスト状態で、当該強誘電性液晶素子
    を放置することを特徴とする強誘電性液晶素子の電圧印
    加駆動方法。
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